(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非導電性ギャップ、前記第1の非導電性境界、および、前記第2の非導電性境界には、金属ナノ構造が存在しない、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のパターン化された透明コンダクタ。
前記非導電性ギャップ、前記第1の非導電性境界、および、前記第2の非導電性境界には、導電性ネットワークを形成できない構造欠陥を伴う金属ナノ構造を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のパターン化された透明コンダクタ。
前記エッチングすることは、前記非導電性ギャップ、前記第1の非導電性境界、および、前記第2の非導電性境界における前記金属ナノ構造の全てを完全に除去する、請求項13に記載のプロセス。
前記エッチングすることは、前記非導電性ギャップ、前記第1の非導電性境界、および、前記第2の非導電性境界における前記金属ナノ構造を部分的にエッチングすることにより、構造欠陥を生じさせる、請求項14に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
透明導電性フィルムは、タッチスクリーンまたは液晶ディスプレイ(LCD)のようなフラットパネルディスプレイにおける必須の構成要素である。それらは、これらデバイスの電気的性能を決定するのみならず、これら構成要素の光学的性能および耐久性に対する直接的インパクトを有する。
【0021】
タッチスクリーンセンサについて、それが容量性であるかまたは抵抗性であるか否かにかかわらず、1つまたは2つの透明導電性フィルムが、採用されて、タッチパネルの下にある電流を運搬する。透明導電性フィルムは、導電性ラインにパターン化されて、タッチ入力の場所の座標を検出する。タッチパネルがタッチされるとき、タッチ入力の場所で電圧の小さな変化が検出される(抵抗性タッチセンサにおいて)。
【0022】
従来、透明コンダクタは、エッチングまたは直接プリンティングによってパターン化され得る。パターン化は、それゆえ、エッチングによって除去されたかまたはプリントされなかったかのいずれかの、導電性材料が存在しない電気的絶縁領域を生じさせる。パターン化された透明コンダクタにおける導電性領域および絶縁領域は、概して、デバイスの周囲光またはバックライトとのそれらの相互作用が異なる。結果として、パターンは見えるようにする。
【0023】
それゆえ、フラットパネルディスプレイ用のフィルム上に導電性ラインのパターンを生成するとき、パターンの可視性を最小にすることが、所望される。ITOベース透明コンダクタについて、これらパターンは、ITOと、エッチングされた絶縁領域との屈折率の差異に起因して可視である。したがって、しばしば、屈折率が整合するコーティングが、ITOのエッチングされたパターンに対する対抗手段として要求される。
【0024】
金属ナノワイヤのネットワークを含む導電性フィルムについて、屈折性金属表面を離れる光散乱も、パターンの可視性に寄与する。
図1は、1mmのライン幅を有する導電性ライン(20)を含むパターン化された透明コンダクタ(10)のセクションを示す。隣接する2つの導電性ラインは、各々、金属ナノ構造をもたない3mm幅の絶縁領域(30)によって電気的に絶縁される。これらの寸法で、このパターンは、絶縁領域(30)と比較されると、導電性領域(20)における光散乱の量の差異のために、しばしば可視である。
【0025】
パターンの可視性を最小にするための1つのアプローチは、導電性領域と絶縁領域との間の光学的差異を最小にすることである。米国特許第8,018,569号および米国特許出願公開第2008/0143906号は、ナノワイヤを部分的にエッチングして絶縁領域を提供することによって生成される低可視性パターンを備えた透明コンダクタを記載している。部分的エッチングは、ナノワイヤを完全には除去しない。むしろ、それは、ナノ構造を壊してその中に刻み目(nick)を生じさせることにより、それらを非導電性にするがそれらの光散乱性質を実質的に変えない。
【0026】
本明細書に開示されるものは、導電性領域と絶縁領域との間の差異を最小にするための代替アプローチである。特に、低可視性または不可視性のパターンが、「アイランドによる低可視性または不可視性」を通して生成される。種々の実施形態で、(金属ナノ構造から成る)導電性ラインは、複数の領域を絶縁することによって互いから電気的に絶縁される。絶縁領域は、導電性材料を欠いていない。むしろ、絶縁領域は、導電性材料アイランド(すなわち、これもまた金属ナノワイヤから成る)で大きく満たされ、これは、非導電性ギャップによって互いから電気的に絶縁される。このアプローチは、光散乱ナノ構造を有しない全体的非導電性領域を効果的に最小にし、それゆえ、それらを可視化することをより困難にする。その間に、導電性ライン間の電気的絶縁は、非導電性ギャップによって維持される。
【0027】
したがって、本開示は、パターン化された透明コンダクタを提供し、上記コンダクタは、
基板、
上記基板上の第1の導電性ラインであって、上記第1の導電性ラインは、導電性ナノ構造の第1のネットワークを備え、かつ、第1の長さ方向を有する、第1の導電性ラインと、
上記基板上の第2の導電性ラインであって、上記第2の導電性ラインは、導電性ナノ構造の第2のネットワークを備え、かつ、第2の長さ方向を有する、第2の導電性ラインと、
上記第1の導電性ラインを上記第2の導電性ラインから電気的に絶縁する絶縁領域であって、上記絶縁領域は、上記第1の長さ方向に沿って上記第1の導電性ラインの側方に接する第1の非導電性境界と、上記第2の長さ方向に沿って上記第2の導電性ラインの側方に接する第2の非導電性境界を有する絶縁領域とを備え、上記絶縁領域は、上記非導電性基板上に配置されて非導電性ギャップによって互いから電気的に絶縁された複数の導電性材料アイランドを備え、各導電性材料アイランドは、それぞれの複数の導電性ナノ構造を備える、絶縁領域と
を備える。
【0028】
図2〜4は、「アイランドによる不可視性」アプローチに向けられた詳細な実施形態を示す。
図2は、金属ナノ構造(116)のネットワークから成る導電性ライン(110a、110b、110c)を含むパターン化された透明コンダクタ(100)を示す。2つの隣接する導電性ラインは、絶縁領域(120a、120b、または、120c)によって電気的に絶縁される。絶縁領域(120a)は、第1の非導電性境界(130a)および第2の非導電性境界(130b)によって、2つの隣接する導電性ライン(110aおよび110b)にそれぞれ接している。絶縁領域(例えば、120a)はさらに、複数の導電性材料アイランド(例えば、140a、144a)を含み、それら各々は、金属ナノ構造(118)から成る。この実施形態において、導電性材料アイランドは、(長方形、正方形、偏菱形、斜方形などを含む)規則的な形状の平行四辺形であり、かつ、第1の非導電性境界および第2の非導電性境界は、実質的に真っ直ぐであり、それぞれ、導電性ライン(110a、110b、110c)の長さ方向(160a、160b、160c)に平行である。導電性材料アイランドは、非導電性ギャツプ(150)によって互いから電気的に分離される。
【0029】
図2に示されるように、導電性材料アイランドは、
図1の導電性ラインと比較される場合に可視性が低いパターン化された導電性ラインをまさに作製する。しかし、ヒトの脳は、視認条件(例えば、照明、視角)に依存してパターンを識別することが顕著であり、見る者は、依然として、
図2における規則的なアイランドの列のような規則的パターンを識別することができ得る。
【0030】
それゆえ、さらなる特定の実施形態において、導電性材料アイランドは、不規則形状である。換言すれば、非導電性ギャップは、不規則かつランダムである。
図3に示されて、パターン化された透明コンダクタ(200)は、金属ナノ構造(216)のネットワークから成る導電性ライン(210a、210b、210c)を有する。2つの隣接する導電性ラインは、絶縁領域(220a、220b)によって電気的に絶縁される。絶縁領域(220a)は、それぞれ、第1の非導電性境界(230a)および第2の非導電性境界(230b)によって2つの隣接する導電性ライン(210aおよび210b)に接している。絶縁領域(例えば、220a)はさらに、各々が金属ナノ構造(218)から成る複数の導電性材料アイランド(例えば、240a、244a)を含む。この実施形態において、導電性ラインを規定する第1の非導電性境界および第2の非導電性境界は、実質的に真っ直ぐであり、それぞれ、導電性ライン(210a、210b、210c)の長さ方向(260a、260b、260c)に平行であり、導電性材料アイランドは、それら個々の形状およびサイズに関して識別可能なパターンを有さず、これは、任意の隣接するアイランドを電気的に絶縁する非導電性ギャップ(250)がまた不規則であることを意味する。
【0031】
なおもさらなる特定の実施形態において、導電性材料アイランドは、導電性ラインを規定する非導電性境界がそうであるように、不規則形状である。この実施形態において、アイランドの、および、導電性ラインを規定する境界の不規則かつランダムな形状にもかかわらず、透明コンダクタは、依然として、「パターン化されている」と考えられ、なぜなら、それは、実質的に同じ長さ方向に延びる導電性ラインを提供するからである。
図4に示されて、パターン化された透明コンダクタ(200)は、金属ナノ構造(316)のネットワークから成る導電性ライン(310a、310b、310c)を有する。2つの隣接する導電性ラインは、絶縁領域(320a、320b)によって電気的に絶縁される。
絶縁領域(320a)は、それぞれ、第1の非導電性境界(330a)および第2の非導電性境界(330b)によって2つの隣接する導電性ライン(310aおよび310b)に接している。絶縁領域(例えば、320a)はさらに、各々が金属ナノ構造(318)から成る複数の導電性材料アイランド(例えば、340a、344a)を含む。この実施形態において、導電性ラインを規定する第1の非導電性境界および第2の非導電性境界は、不規則ではあるが、それぞれ、概して、導電性ライン(310a、310b、31c)の長さ方向(360a、360b、360c)に沿って延びる。導電性材料アイランド(例えば、340a、340b)は、それらの個々の形状およびサイズに関して識別可能なパターンを有さず、これは、任意の隣接するアイランドを電気的に絶縁する非導電性ギャップ(350)がまた不規則な形状であることを意味する。導電性ラインの不規則形状と、導電性材料アイランドのランダム形状との組み合わされた効果は、パターンを認識するためのヒトの脳の能力を混乱させ、その一方、導電性ラインと絶縁領域との間の光学的差異を最小にする。その結果、導電性ラインのパターンは、不可視であるか、または、低可視性を有する。
【0032】
本明細書に記載される実施形態の各々において、ナノ構造の導電性ネットワークは、非導電性境界および非導電性ギャップ(集合的に「非導電性領域」という)には存在しなく、任意の隣接する導電性材料アイランド間(例えば、140aと144aとの間)、または、導電性ライン(110a)と、隣接する導電性材料アイランド(140a)との間に電気的絶縁を生じさせる。
【0033】
特定の実施形態において、導電性ネットワークは、非導電性領域中には存在しなく、なぜなら、金属ナノ構造が、非導電性領域には存在しなく、すなわち、それらは、エッチングによって完全に除去されているか、または、非導電性領域上にプリントされていないからである。
【0034】
他の実施形態において、金属ナノ構造は、非導電性領域に存在しているが、それらは、金属ナノ構造における特定の構造的欠陥のために、導電性ネットワークを形成しないからである。特定すると、非導電性領域における金属ナノ構造は、部分的にエッチングされ得、導電性ネットワークをもはや形成することのできない破壊されたかまたは傷つけられたナノ構造を生じさせ得る。この非導電性領域は、それゆえ、導電性ではなく、特定量のナノ構造を保持する。部分的エッチングおよびアイランドの組み合わされた効果は、低可視性の改善されたレベルを提供する。
【0035】
典型的に、導電性ライン(110a、110b、110c)は、0.5〜5mm幅であり得る。種々の実施形態において、このライン幅は、約0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、もしくは、5mmであり得るか、または、上記値の任意の2つの間の任意の範囲であり得る。
【0036】
非導電性ギャップの、および、非導電性境界のライン幅は、本明細書でさらに詳細に論議されるように、特定のエッチングまたはプリントの方法によって決定される。典型的に、効果的な電気的絶縁を維持しながら可視性を最小にするために、ライン幅は、約10〜500ミクロン、または、より典型的に、100〜500ミクロンである。特定の実施形態において、このライン幅は、約200ミクロンである。
【0037】
導電性材料アイランドの形状(規則的またはランダム)にかかわらず、それらは、同じサイズであり得るか、または、異なるサイズであり得る。導電性材料アイランドの表面積は、典型的に、0.1〜10mm
2の範囲内であるか、または、より典型的に、0.5〜2mm
2の範囲内である。
【0038】
本明細書で使用されるとき、「約」は、特定された値の値±20%の範囲をいう。例えば、語句「約1mm」は、1mmの±20%、すなわち、0.8〜1.2ミクロンの範囲を含み得る。
【0039】
本開示の特定の特徴は、さらに、下記でより詳細に論議される。
【0040】
金属ナノ構造
本明細書で使用されるとき、用語「金属ナノ構造」は、概して、電気的に伝導性のナノサイズ構造をいい、それの少なくとも1つの寸法(すなわち、幅または直径)は、500nm未満であり、より典型的に、100nmまたは50nm未満である。種々の実施形態において、このナノ構造の幅または直径は、10〜40nm、20〜40nm、5〜20nm、10〜30nm、40〜60nm、50〜70nmの範囲にある。
【0041】
ナノ構造は、任意の形状または幾何学的形状であり得る。所与のナノ構造の幾何学的形状を規定するための1つの方法は、その「アスペクト比」により、これは、ナノ構造の長さと幅(または直径)との比をいう。特定の実施形態において、ナノ構造は、等方的な形状である(すなわち、アスペクト比=1)。典型的な等方的または実質的に等方的なナノ構造は、ナノ粒子を含む。好ましい実施形態において、ナノ構造は、非等方的な形状である(すなわち、アスペクト比≠1)。この非等方的なナノ構造は、典型的に、その長さに沿って長手方向軸を有する。例示の非等方的なナノ構造は、ナノワイヤ(少なくとも10、より典型的に少なくとも50のアスペクト比を有する中実ナノ構造)、ナノロッド(少なくとも10のアスペクト比を有する中実ナノ構造)、および、ナノチューブ(中空ナノ構造)を含む。
【0042】
長くて非等方的なナノ構造(例えば、ナノワイヤ)は、長さが500nm超、または、1μm超、または、10μm超である。種々の実施形態で、ナノ構造の長さは、5〜30μmの範囲にあるか、または、15〜50μm、25〜75μm、30〜60μm、40〜80μm、または、50〜100μmの範囲にある。
【0043】
金属ナノ構造は、典型的に、金属的材料であり、元素金属(例えば、遷移金属)または金属化合物(例えば、金属酸化物)を含む。金属的材料はまた、2つ以上のタイプの金属を含むバイメタル材料または金属合金であり得る。好適な金属は、限定されないが、銀、金、銅、ニッケル、金メッキ銀、プラチナ、および、パラジウムを含む。本開示は、主にナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ)を記載しているが、上記規定内の任意のナノ構造が等しく採用され得ることが、注記されるべきである。
【0044】
典型的に、金属ナノ構造は、10〜100,000の範囲にあるアスペクト比を有する金属ナノワイヤである。より大きなアスペクト比が透明コンダクタ層を得るために好まれ得、なぜなら、それらは、高透明性のためにワイヤのより低い全体的密度を可能にしながらもより効率的な導電性ネットワークが形成されることを可能にし得るからである。換言すれば、高アスペクト比を伴う導電性ナノワイヤが使用されるとき、導電性ネットワークを達成するナノワイヤの密度は、この導電性ネットワークが実質的に透明であるために十分低くあることができる。
【0045】
金属ナノワイヤは、当該技術分野で公知の方法によって調製され得る。特に、銀ナノワイヤは、ポリオール(例えば、エチレングリコール)およびポリ(ビニルピロリドン)の存在下、銀塩(例えば、硝酸銀)の溶相還元を通して合成され得る。均一サイズの銀ナノワイヤの大規模生産は、米国特許出願公開第2008/0210052号、第2011/0024159号、第2011/0045272号、および、第2011/0048170号に記載の方法に従って調製され、精製され得、それらは全て、本開示の譲受人であるCambrios Technologies Corporationの名における。
【0046】
導電性ネットワーク
導電性ネットワークは、金属ナノ構造(例えば、ナノワイヤ)を相互接続する層をいい、これは、透明コンダクタの電気的に伝導性の媒体を提供する。導電性は、1つの金属ナノ構造から別の金属ナノ構造に浸透する電荷によって達成されるので、電気的浸透閾値に到達して導電性になるために十分な金属ナノワイヤが、導電性ネットワークに存在しなければならない。導電性ネットワークの表面導電率は、ときにシート抵抗と称されるその表面抵抗率に逆比例し、これは、当該技術分野で公知の方法によって測定され得る。本明細書で使用されるとき、「電気的に伝導性」または単に「導電性」は、10
4Ω/□を超えない、または、より典型的に、1,000Ω/□を超えない、または、より典型的に、500Ω/□を超えない、または、より典型的に、200Ω/□を超えない表面抵抗率に対応する。この表面抵抗率は、アスペクト比、アラインメントの程度、集塊の程度および相互接続する金属ナノ構造の抵抗率のような因子に依存する。
【0047】
特定の実施形態において、金属ナノ構造は、バインダなしで、基板上の導電性ネットワークを形成し得る。他の実施形態において、基板へのナノ構造の接着を容易にするバインダが存在し得る。好適なバインダは、光学的にクリアなポリマを含み、これは、限定されないが、ポリメタクリレート(例えば、ポリ(メチルメタクリレート))、ポリアクリレート、および、ポリアクリロニトリルのようなアクリル化合物、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、および、ポリカーボネート)、フェノール化合物またはクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))のような高程度の芳香族性を備えたポリマ、ポリスチレン、ポリビニルウレタン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、および、ポリフェニルエーテル、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、および、環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマ(ABS)、セルロース化合物、シリコーンおよび他のシリコン含有ポリマ(例えば、ポリシルセスキオキサンおよびポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルナン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、および、フルオロポリマ(例えば、ポリビニリデンフルオリド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、または、ポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンと炭化水素オレフィンとのコポリマ(例えば、Lumiflon(登録商標))、および、アモルファスフルオロカーボンポリマまたはコポリマ(例えば、Asahi Glass Co.によるCYTOP(登録商標)、または、Du PontによるTeflon(登録商標)AF)を含む。
【0048】
用語「基板」は、上に金属ナノ構造がコーティングまたは積層される非導電性材料をいう。基板は、剛性または可撓性であり得る。基板は、クリアまたは不透明であり得る。好適な剛性基板は、限定されないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート、アクリル化合物などを含む。好適な可撓性基板は、限定されないが、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、および、ポリカーボネート)、ポリオレフィン(例えば、直線状、分岐、および、環状ポリオレフィン)、ポリビニル化合物(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、および、ポリアクリレートなど)、セルロースエステルベース(例えば、三酢酸セルロース、酢酸セルロース)、ポリエーテルスルホンのようなポリスルホン、ポリイミド、シリコーンおよび他の従来のポリマフィルムを含む。好適な基板の追加の例は、例えば、米国特許第6,975,067号に見出されることができる。
【0049】
典型的に、透明コンダクタ(すなわち、非導電性基板上の導電性ネットワーク)の光学的透過性またはクリアさは、光透過およびヘーズ(haze)を含むパラメータによって定量的に規定され得る。「光透過」(または「光透過率」)は、媒体を通して透過される入射光のパーセンテージをいう。種々の実施形態で、導電性層の光透過は、少なくとも80%であり、98%と同じほど高くあり得る。接着層、抗反射層、または、惑光防止層のような性能向上層はさらに、透明コンダクタの全体的光透過を低減することに寄与し得る。種々の実施形態で、透明コンダクタの光透過(%)は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または、少なくとも80%であり得、少なくとも91%〜92%、または、少なくとも95%と同じぐらい高くあり得る。
【0050】
ヘーズ(H%)は、光散乱の尺度である。それは、入射光から分離されかつ透過中に散乱させられた光の量の%をいう。大部分が媒体の性質である光透過とは異なり、ヘーズは、しばしば生産の問題であり、典型的に、表面粗さ、または、媒体中に包埋された粒子または組成異質性によって引き起こされる。典型的に、導電性フィルムのヘーズは、ナノ構造の直径によって有意に影響され得る。より大きい直径のナノ構造(例えば、より太いナノワイヤ)は、典型的に、より高いヘーズと関連付けられる。種々の実施形態で、透明コンダクタのヘーズは、10%を超えず、8%を超えず、または、5%を超えず、そして、2%を超えない、1%を超えない、または、0.5%を超えない、または、0.25%を超えないほどに低くあり得る。
【0051】
コーティング組成物
本開示によるパターン化された透明コンダクタは、ナノ構造含有コーティング組成物を非導電性基板上にコーティングすることにより調製される。コーティング組成物を形成するために、金属ナノワイヤは、典型的に、揮発性液体において分散させられて、コーティングプロセスを促進する。本明細書で使用されるとき、金属ナノワイヤが安定な分散を形成し得る任意の非腐食性の揮発性液体が使用され得ることが、理解される。好ましくは、金属ナノワイヤは、水、アルコール、ケトン、エーテル、炭化水素、または、芳香族溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)において分散させられる。より好ましくは、液体は、揮発性であり、200℃を超えない、150℃を超えない、または、100℃を超えない沸点を有する。
【0052】
さらに、金属ナノワイヤ分散物は、添加物およびバインダを含んで、粘度、腐食、接着、および、ナノワイヤ分散を制御し得る。好適な添加物およびバインダの例は、限定されないが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、2−ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、トリプロピレングリコール(TPG)、および、キサンタンガム(XG)、ならびに、エトキシレート、アルコキシレート、エチレンオキシド、および、プロピレンオキシド、ならびに、それらのコポリマ、スルホネート、スルフェート、ジスルホネート塩、スルホサクシネート、ホスフェートエステル、および、フルオロ界面活性剤(例えば、DupontによるZonyl(登録商標))のような界面活性剤を含む。
【0053】
1つの例において、ナノワイヤ分散物、または、「インク」は、0.0025重量%〜0.1重量%の界面活性剤(例えば、好ましい範囲は、Zonyl(登録商標)FSO−100について0.0025重量%〜0.05重量%である)、0.02重量%〜4重量%の粘度改変剤(例えば、好ましい範囲は、HPMCについて0.02重量%〜0.5重量%である)、94.5重量%〜99.0重量%の溶媒、および、0.05重量%〜1.4重量%の金属ナノワイヤを含む。好適な界面活性剤の典型的な例は、Zonyl(登録商標)FSN、Zonyl(登録商標)FSO、Zonyl(登録商標)FSH、Triton(×100、×114、×45)、Dynol(604、607)、n−Dodecyl b−D−maltoside、および、Novekを含む。好適な粘度改変剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、および、ヒドロキシメチルセルロースを含む。好適な溶媒の例は、水およびイソプロパノールを含む。
【0054】
分散物におけるナノワイヤ濃度は、ナノワイヤネットワーク層の厚み、(表面導電率を含む)導電率、光学的透明度、および、機械的特性のようなパラメータに影響を及ぼすか、または、それらを決定する。溶媒のパーセンテージは、分散物におけるナノワイヤの所望の濃度を提供するように調節され得る。しかし、好ましい実施形態において、他の成分の相対的比率は、同じままであり得る。特に、粘度改変剤に対する界面活性剤の比率は、好ましくは、約80〜約0.01の範囲にあり、金属ナノワイヤに対する粘度改変剤の比率は、好ましくは、約5〜約0.000625の範囲にあり、界面活性剤に対する金属ナノワイヤの比率は、好ましくは、約560〜約5の範囲にある。分散物の成分の比率は、基板と、使用される適用の方法とに依存して改変され得る。ナノワイヤ分散物のための好ましい粘度の範囲は、約1〜100cPである。
【0055】
コーティングの次に、揮発性液体は、蒸発によって除去される。蒸発は、加熱(例えば、ベーキング)によって加速され得る。結果として得られるナノワイヤネットワークは、それを導電性にするための後処理を必要とし得る。この後処理は、下記に記載のように、熱、プラズマ、コロナ放電、UV−オゾン、または、圧力への曝露を伴うプロセスステップであり得る。
【0056】
好適なコーティング組成物の例は、米国特許出願公開第2007/0074316号、第2009/0283304号、第2009/0223703号、および、第2012/0104374号に記載され、それら全ては、本開示の譲受人であるCambrios Technologies Corporationの名における。
【0057】
コーティング組成物は、例えば、シートコーティング、ウェブコーティング、プリンティング、および、積層によって、基板上にコーティングされて、透明コンダクタを提供する。導電性ナノ構造から透明コンダクタを製作する追加の情報は、例えば、Cambrios Technologies Corporationの名における、米国特許出願公開第2008/0143906号、および、第2007/0074316号に開示される。
【0058】
透明コンダクタをパターン化すること
本明細書で使用されるとき、「パターン化」は、導電性ラインおよび絶縁領域を生成するプロセスを広くいう。「パターン化」は、任意の2つの導電性ラインが絶縁領域によって互いから電気的に絶縁されること以外には任意の繰り返し特徴を生じさせる必要が必ずしもない。典型的に、導電性ラインは、たとえそれらが不規則な非導電性境界を有していたとしても(例えば、
図4を参照のこと)実質的に同じ長さ方向に延びる。
【0059】
パターン化はまた、絶縁領域内に導電性材料アイランドを提供する。本明細書で論議されるように、導電性材料アイランドは、規則的なまたは繰り返しの形状を有していなくてもよく、同じまたは異なる表面領域を有し得る。しかし、絶縁領域は、導電性材料アイランドが非導電性ギャップによって互いから電気的に絶縁される限り、「パターン化されている」と考えられる。
【0060】
したがって、「パターン化」された透明コンダクタは、導電性ラインと、アイランドを有する絶縁領域との配列を規定する。本明細書で使用されるとき、本明細書に記載される透明コンダクタのパターンは、不可視であるか、または、低可視性を有し、なぜなら、導電性ラインおよび絶縁領域は、実質的に同じ光散乱およびヘーズを有しているからである。特に、光散乱に対応するヘーズにおける任意の差異は、1%未満、または、より典型的に、0.5%未満、または、0.1%未満、または、0.01%未満であるべきである。
【0061】
パターン化は、直接プリンティング、レーザ切除、または、エッチングによって実行され得、これらの全ては、ナノ構造含有コーティング組成物をコーティングすることを含む。特定の実施形態において、このコーティング組成物は、所望のパターン、すなわち、導電性ラインとアイランドを有する絶縁領域との配列に従って、基板上に直接プリントされ得る。好適なプリンティング方法は、例えば、スクリーンプリンティングを含み得る。したがって、1つの実施形態は、低可視性パターンを備えた透明コンダクタを製作するプロセスを提供する。この方法は、パターンに従って、非導電性基板上にコーティング組成物を直接プリントすることであって、上記コーティング組成物が、複数の金属ナノ構造および揮発性液体キャリアを有する、ことと、上記揮発性液体キャリアを除去することとを包み、ここで、上記パターンが、上記非導電性基板上の第1の長さ方向を有する第1の導電性ラインと、上記非導電性基板上の第2の長さ方向を有する第2の導電性ラインと、上記第1の導電性ラインを上記第2の導電性ラインから電気的に絶縁する絶縁領域とを規定し、上記絶縁領域が、上記第1の長さ方向に沿って上記第1の導電性ラインの側方に接する第1の非導電性境界と、上記第2の長さ方向に沿って上記第2の導電性ラインの側方に接する第2の非導電性境界とを有し、上記絶縁領域が、上記非導電性基板に配置され、かつ、非導電性ギャップによって互いから電気的に絶縁される複数の導電性材料アイランドを備え、各々の導電性材料アイランドが、それぞれの複数の導電性ナノ構造を備え、上記非導電性ギャップと、上記第1の非導電性境界および上記第2の非導電性境界とが、任意の金属ナノ構造を有さない。
【0062】
特定の実施形態において、非導電性境界および非導電性ギャップは、(例えば、2つの異なるマスクを使用して)逐次的ステップでエッチングされる。他の実施形態において、それらは、(例えば、1つのマスクを使用して)単一ステップにおいてエッチングされる。
【0063】
さらなる実施形態において、上記パターンは、金属ナノ構造を第1にエッチングした後に金属ナノ構造をコーティングすることによって生じさせられて、非導電性境界と、アイランド間の非導電性ギャップとを含む非導電性領域を形成する。より特定すると、上記方法は、非導電性基板上にコーティング組成物をコーティングすることであって、上記コーティング組成物が、複数の金属ナノ構造および揮発性液体キャリアを有する、ことと、金属ナノ構造の導電性ネットワークを提供するように上記揮発性液体キャリアを除去することと、パターンに従って上記導電性ネットワークをエッチングすることとを包含し、ここで、上記パターンが、上記非導電性基板上の第1の長さ方向を有する第1の導電性ラインと、上記非導電性基板上の第2の長さ方向を有する第2の導電性ラインと、上記第1の導電性ラインを上記第2の導電性ラインから電気的に絶縁する絶縁領域とを規定し、上記絶縁領域が、上記第1の長さ方向に沿って上記第1の導電性ラインの側方に接する第1の非導電性境界と、上記第2の長さ方向に沿って上記第2の導電性ラインの側方に接する第2の非導電性境界とを有し、上記絶縁領域が、上記非導電性基板上に配置されて非導電性ギャップによって互いから電気的に絶縁される複数の導電性材料アイランドを備え、各々の導電性材料アイランドが、それぞれの複数の導電性ナノ構造を備え、上記非導電性ギャップならびに上記第1の非導電性境界および上記第2の非導電性境界は、上記金属ナノ構造の導電性ネットワークを有さない。
【0064】
特定の実施形態において、上記非導電性ギャップならびに上記第1の非導電性境界および上記第2の非導電性境界は、金属ナノ構造が存在しないように完全にエッチングされる。
【0065】
典型的に、エッチング溶液は、マスクを通してナノ構造コーティングされた基板上にスクリーンプリントされ得、このマスクは、導電性ラインおよびアイランドを規定する。したがって、このエッチングは、上記非導電性ギャップならびに上記第1の非導電性境界および上記第2の非導電性境界を含む非導電性領域を提供する。好適なエッチング溶液は、典型的に、強酸(例えば、HNO
3)と、必要に応じて、1つ以上の酸化剤(例えば、KMnO
4)とを含む。好適なエッチング溶液の例は、Cambrios Technologies Corporationの名における米国特許出願公開第20080143906号に記載されているものを含む。
【0066】
他の実施形態において、上記非導電性ギャップならびに上記第1の非導電性境界および上記第2の非導電性境界は、上記金属ナノ構造が破壊されるかまたは損傷させられ、かつ、導電性ネットワークを形成しないように、部分的にエッチングされる。金属ナノ構造を部分的にエッチングすることができるエッチング溶液は、Cambrios Technologies Corporationの名における米国特許出願公開第20100243295号および同第2011/0253668号に記載される。
【0067】
透明コンダクタ構造、それらの電気的特性および光学的特性、ならびに、パターン化する方法は、下記の非限定的な実施例によってより詳細に示される。
【実施例】
【0068】
実施例1
銀ナノワイヤの合成
銀ナノワイヤを、例えば、Y.Sun,B.Gates,B.Mayers,&Y.Xia,「Crystalline silver nanowires by soft
solution processing」,Nanoletters, (2002), 2(2) 165−168に記載されている「ポリオール」法に従って、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)の存在下、エチレングリコール中に溶解させられた硝酸銀の還元によって合成した。Cambrios Technologies Corporationの名における米国特許出願第11/766,552に記載されている改変「ポリオール」法は、従来の「ポリオール」法が生じさせるよりも高い収率でより均一な銀ナノワイヤを生じさせる。この出願は、その全体が本明細書に参照によって援用される。
【0069】
実施例2
低可視性パターンニング
HPMCと、銀ナノワイヤと、水との懸濁物を調製した。この懸濁物を、ガラス基板上にスピンコートして、HPMCマトリックスにおける銀ナノワイヤの薄い導電性フィルムを形成した。この導電性層は、光学的にクリアであり、約88.1%の光学的透過率(%T)および約2.85%のヘーズ(%H)を備えていた。この導電性層はまたは、約25Ω/□の表面抵抗率を備えて高度に表面導電性である。
【0070】
その後、導電性フィルムの領域を、酸化剤、例えば、0.5%ハイポクロライトを有する漂白溶液で2分間処理した。次いで、処理されたフィルムを水でリンスし、窒素雰囲気において乾燥させた。フィルムの処理された領域は、非処理領域の光学的特性と比較された場合、実質的に同じ透過(89.1%T)およびヘーズ(5.85%H)を示した。処理された領域と非処理領域とは、見た目が均一であった。
【0071】
しかし、処理領域の表面抵抗率は、数桁の大きさで増加し、効果的に絶縁になる。さらに、銀ナノワイヤは、破壊され、塩化銀のような不溶性かつ絶縁の銀塩に転換された可能性があった。
【0072】
銀ナノワイヤベースの導電性フィルムをより強力かつより濃縮された酸化剤、30%過酸化水素で処理した。処理された領域において、ほぼ全てのナノワイヤおよび有機HPMCマトリックスは溶解した。処理された領域および非処理領域における光学的特性は、著しく異なった。
【0073】
実施例3
フォトレジストパターン化法
0.2%HPMCと、250ppm TritonX100と、銀ナノワイヤとから成る銀ナノワイヤ分散物を調製した。この分産物を基板上にスピンコートし、180℃で90秒間焼成した。次いで、ナノワイヤフィルムをAZ−3330Fフォトレジストとともにスピンコートして、2.5μmの透明導電性フィルムを作製した。次いで、この透明コンダクタを110℃で60秒間焼成した。フォトマスクは、フォトレジスト層の部分と接触しているように配置し、透明コンダクタを、12mW/cm
2で20秒間光に曝した。
次いで、コンダクタを110℃で60秒間焼成した。
【0074】
次いで、フォトレジストをAZ300MIF現像剤で現像し、リンスし、スピン乾燥した。このコンダクタを、次いで、Transene銀エッチング液に10秒間曝し、リンスし、スピン乾燥した。次いで、フォトレジストを、アセトンを使用してストリップした。透明コンダクタを、PGME中の2.5%希釈でPolyset PCX35−39Bを用いてオーバーコートし、次いで、180℃で45分間硬化した。結果として得られたパターン化透明コンダクタは、5μm〜10μmのライン幅を有していた。より大きいパターンのライン幅をも、本明細書に開示されるフォトレジストおよび他のパターン化法を使用して得た。例えば、10μm〜300μmおよび10μm〜50μmのライン幅を得た。
【0075】
実施例4
塩化銅エッチング液による低可視性パターン化
240gのCuCl
2・2H
2Oを180gの濃縮されたHCl(37% w/w)および580gの水と混合することによって、エッチング溶液を調製した。CuCl
2の最終濃度は約19%であり、HClは6.8%である。
【0076】
銀ナノワイヤの導電性フィルムを、本明細書に記載される方法に従って調製した。この導電性フィルムをエッチングすると、2つの領域は光学的特性の差異をほとんど示さなかったが、エッチングされた領域は導電性が低く、約20,000Ω/sqの抵抗率を有していたことが、観察できた。
【0077】
実施例5
加熱による低可視性パターン化−エッチング
実施例5は、部分的エッチングステップと、それに引き続く加熱ステップとを組み合わせることによって、導電性フィルムにおいて低可視性パターンを生成することを実証する。本明細書で論議されるように、加熱は、エッチングされた領域をさらに非導電性または低導電性にすることによって、エッチングを完成させる。
【0078】
表1は、単独の加熱ステップが、エッチングされていない導電性フィルムの導電率を実際に増加させることを示す。試行Aおよび試行Bにおいて、導電性フィルム(またはサンプル)を、それぞれ、5分間および30分間加熱し、それらのシート抵抗(R
s)は、5〜10%減少した。
【表1】
【0079】
表2は、部分的にエッチングされたサンプルに対する加熱の影響を示す。列挙された3つの試行において、サンプルを、それらのシート抵抗が約1000Ω/sqになるまで、(実施例18に記載されるように)CuCl
2エッチング液を用いて化学的にエッチングした。次いで、それらを、130℃で、最大5分間加熱するか、ほんの1分間加熱した。
各試行において、この加熱ステップは、サンプルを非導電性にするためには十分であった。換言すれば、エッチングプロセスによって最初に引き起こされたナノワイヤネットワークの損傷を、加熱プロセスによって完成させた。
【表2】
【0080】
表3は、初期の化学的エッチングステップが不十分である場合、すなわち、ナノワイヤへの損傷が不十分である場合、それに引き続く加熱ステップを用いてさえサンプルを非導電性にするのが困難になることを、示す。試行Fにおいて、サンプルを、その抵抗率が108から120Ω/sqに変化するまで、エッチングした。それに引き続く130℃で1分間の加熱は、サンプル抵抗率を変えなかった。試行Gにおいて、別のサンプルを、その抵抗率が121から198Ω/sqに変化するまで、エッチングした。それに引き続く130℃で最大25分間の加熱は、サンプル抵抗率を連続的に増加させたのではあるが、シート抵抗は、685Ω/sqを超えることはなかった。これは、エッチングを完了させるための加熱ステップのために、初期の部分的エッチングによって、エッチングされた領域を閾値抵抗率(これは、ナノ構造への損傷の程度の指標である)に到達させることが重要であることを、示す。
【表3】
【0081】
表4は、2つのパターン化したサンプルの光学的特性を比較していて、試行Iにおけるサンプルは、非導電性であるように(CuCl
2エッチング液によって)化学的にエッチングし、試行Hにおけるサンプルは、部分的にエッチングした後で加熱した。
【0082】
試行Hにおいて、初期の部分的エッチングは、抵抗率を105Ω/sqから602Ω/sqにし、これは、それに引き続く加熱ステップがサンプルを非導電性にするために十分であった。示されるように、最終の光学的特性は、サンプルの初期性質(エッチング前)とほとんど同一であり、すなわち、ヘーズ(H%)の差異は約0.01%であり、透過率(T%)の差異は0.1%であった。このサンプルは、低可視性パターンを有していた。
【0083】
試行Iにおいて、サンプルを、完全に非導電性であるようにエッチングした。ここで、透過はエッチング前後で同じままであったが、ヘーズは、エッチング前のヘーズ値と比較した場合、約0.07%減少した。(試行Hのエッチング領域と比べた場合の)試行Iのフィルムのエッチングされた領域とエッチングされていない領域とのヘーズ間のより大きい差異は、エッチング領域を、試行Hのものよりも可視性にする。
【表4】
【0084】
本明細書において言及され、かつ/または、出願データシートに列挙される上記の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および、非特許刊行物の全ては、それらの全体が参考によって本明細書中に援用される。
【0085】
前述から、本発明の特定の実施形態が例示の目的のために本明細書中に記載されているが、種々の改変が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、認識される。