【課題を解決するための手段】
【0004】
この問題は、試料液体の電気脱イオン化のための装置によって解決される。装置は、2つの開口部および陽極を含む陽極室と、2つの開口部および陰極を含む陰極室と、陽極室と陰極室との間に位置し、2つの開口部およびイオン交換体を含む処理室とを含む。前記装置では、陽極室および陰極室は、選択透過膜によって処理室から分離されており、エネルギー源が、陽極および陰極に作動的に接続される。
【0005】
これらの室間には、2つの代替的な接続可能性がある。一方では、処理室の開口部のうちの一方、陽極室の開口部、および陰極室の開口部のうちの一方は、処理室が陽極室に作動的に接続され、陽極室が陰極室に作動的に接続されるように、互いに接続されてもよい。他方では、処理室の開口部のうちの一方、陽極室の開口部のうちの一方、および陰極室の開口部は、処理室が陰極室に作動的に接続され、陰極室が陽極室に作動的に接続されるように、互いに相互接続されてもよい。
【0006】
エネルギー源は、たとえば電圧源、特に、電極、すなわち陽極および陰極間のDC電圧の複雑でない印可を可能にするDC電圧源である。その場合、陽極はDC電圧源の正極に接続され、陰極はDC電圧源の負極に接続される。電極はとりわけ、金属ワイヤ、金属メッシュ、または金属プレートであってもよく、それらはまた、エキスパンドメタルで作られてもよい。
【0007】
1つの室の開口部は互いから間隔を置いて配置されてもよく、特に、開口部のうちの一方は室の上部1/3に、他方は室の下部1/3にあってもよい。一方の開口部が室の上側に位置し、他方の開口部が室の下側に位置することも可能である。
【0008】
選択透過膜は、部分透過性または半透過性の物理的界面である。すなわち、それは、ある物質/物を保持し、他の物質/物を通過させる。たとえば、それは、陰イオン透過膜または陽イオン透過膜であり得る。そのような膜は、たとえば水、気体、および電子に対して実質的に不透過性であるものの、陰イオンまたは陽イオンを通過させる。次に、対イオンが引き止められ、膜を浸透できない。そのような選択透過膜は、たとえば、スルホン化テトラフルオロエチレンポリマーから構築され得る。好適な選択透過膜のさらなる例は、特許明細書US4324606およびUS4997567に記載されている。これらの室は、空間的に分離可能な3つのユニットであってもよく、それらはたとえば、3つの室をすべて含む小型ユニットを形成するために、通常のねじ込みタイロッドの代わりに、着脱が容易なシステムを介して接続され得る。たとえば、これらの室は直方体の基本構造を有しており、すべての室の、高さおよび幅などの2つの縁長さは同一であるものの、深さは変わり得る。中央の処理室は6つの側面を含むことができ、それらのうち、2つの対向する側面は各々、1つの選択透過膜によって実質的に形成される。しかしながら、陽極室および陰極室は、略平坦な側面を5つしか有しておらず、1つの選択透過膜が各々、第6の側面として機能するように、処理室に接続され得る。しかしながら、それはまた、部分的に覆われた槽に匹敵する構造であり得る。2つの対向する側において、そのような槽は、一方の側に陽極を、他方の側に陰極を含む。槽の覆われていない部分において陽極と陰極との間に処理室を挿入することによって、3つの室を含む装置を形成することもできる。この挿入された処理室はイオン交換体で充填され、各々選択透過膜によって実質的に形成された2つの対向する側面を含む。選択透過膜の面積は、タンクを処理室の方向に3つの別個の室へと液密および気密に分割するのに十分に大きい。これらの室の水圧作動接続は、たとえば管によって実現され得る。処理室の一方の開口部は、陽極室の一方の開口部に、ホースを介して接続され得る。陽極室の他方の開口部は、陰極室の開口部のうちの一方に、ここでもホースによって接続される。陽極室に接続されていない処理室の開口部は、試料液体のための入口開口部として機能し得る。陽極室に接続されていない陰極室の開口部は、試料液体のための出口として機能し得る。
【0009】
矛盾しない限り、挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、処理室の一方の開口部、陽極室の開口部、および陰極室の一方の開口部は、処理室における供給された試料液体が実質的に重力の方向に誘導され、陽極室および陰極室において実質的に重力の方向に対抗して誘導されるように、相互接続される。
【0010】
試料液体のそのような流れは、たとえば、処理室の上側に配置された開口部を介して処理室に試料液体を供給し、次に、試料液体が処理室を実質的にその長さに沿って流れ、試料液体が処理室の下側に配置された開口部を介して処理室を出ることによって、実現され得る。試料液体は次に、陽極室の下側の開口部を通って管によって導入され、陽極室を実質的にその長さに沿って流れ、陽極と陽極に面する選択透過膜との間を少なくとも部分的に流れ、陽極室の頂部で、頂部に配置された開口部を通って陽極室を出る。管により、試料液体は次に、陰極室の下側の開口部を介して陰極室へ導入され、陰極室を実質的にその長さに沿って流れ、陰極と陰極に面する選択透過膜との間を少なくとも部分的に流れ、陰極室の頂部で、そこに配置された開口部を介して出る。
【0011】
縦方向とは、実質的に上から下まで、およびその逆を意味する。選択透過膜に関しては、これらの室には横方向の試料液体の流れはなく、膜に対して縦方向のものしかない。
【0012】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、処理室の接続されていない開口部の前に導電率センサが配置される。
【0013】
陽極室の開口部のうちの一方に接続されていない処理室の開口部の前に配置された導電率センサは、処理室に入る前の試料液体の導電率を求めるために使用され得る。たとえば、蒸気生成用の水は一般にアルカリ化されている。なぜなら、水蒸気回路の内面上の酸化鉄の保護層は高pH値では溶解しにくく、したがって適所に固定されたままであるためである。これは、下にある金属を、高温水および蒸気によるさらなる腐食から保護する。アルカリ化剤の導電率、pH、および濃度といったパラメータは関連しているため、アルカリ化剤を有する超純水の導電率を測定することは、アルカリ化剤の濃度、および、超純水とアルカリ化剤との溶液のpHを計算することを可能にする。蒸気発生用の典型的な処理水導電率は、8マイクロジーメンス/cm〜45マイクロジーメンス/cmに及ぶ。液体の導電率を測定するための典型的なセンサは、特許US2611007「温度補償導電率セル」(Temperature Compensating Conductivity Cell)に記載されている。最近の導電率センサの別の例は、スワン・アナリティスク・インストゥルメント・アーゲー(SWAN ANALYTISCHE INSTRUMENTE AG)からの「スワンセンサ(Swansensor)UP−Con1000」である。
【0014】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、処理室と陽極室との間に導電率センサが配置される。
【0015】
処理室と陽極室との間に、たとえば前記室同士を接続する管に配置された導電率センサは、処理室を通過後の試料液体の導電率を求めるために使用され得る。
【0016】
処理室はイオン交換樹脂で少なくとも部分的に充填されるため、処理室を通過する際にイオン交換が起こり、それは、試料液体に溶解したイオンのタイプおよび量に依存して、試料液体の導電率に影響を及ぼす。
【0017】
選択透過膜による、陽極および陰極からのイオン交換体の分離により、陽極および陰極で電気分解によって生成された気体が処理室へ浸透して試料液体とともに導電率センサに搬送されることはない。このように、導電率の妥協のない測定が実現され得る。試料液体が電極を通過する前に導電率測定が行なわれるため、試料液体におけるイオンの酸化または還元は、導電率測定後にしか起こらない。
【0018】
試料液体の導電率が処理室の前および後で求められる場合、これは、拡張された分析可能性を提供する。たとえば、試料液体のpH値を求めることが可能である。
【0019】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、処理室と陽極室との間に位置する導電率センサの下流に脱気部が配置される。脱気部と陽極室との間に別の導電率センサが配置される。
【0020】
試料液体に存在し、処理室に供給される気体は、気泡として、すなわち溶解していない形または溶解した形で生じ得る。気泡は導電率測定自体を妨げ、不安定な信号をもたらす。荷電粒子(イオン)へと解離する、すなわち、少なくとも部分的に分解する溶解気体は、試料液体の比導電率を増加させる。たとえば、水に溶解した二酸化炭素(CO
2)は、pH値に依存して、炭酸または重炭酸イオンおよび陽子を形成することができる。CO
2は、沸騰または他の物理的方法によって試料液体から追い出され得る。この脱気後の試料液体の導電率測定は、たとえば、CO
2含有量が求められることを可能にする。
【0021】
試料液体の一部のみが脱気部を通って供給され、他の部分が陽極室に直接供給される場合、脱気部を通って供給された試料液体は、直列または並列に供給し返される。すなわち、試料液体のこれら2つの部分は、まとめられてから陽極室へ供給されてもよく、または、これら2つの部分は、陽極室における別々の開口部を通って並列に供給されてもよい。処理室の後の試料流れ全体が、陽極室に向かう途中で、最初に導電率センサ、次に脱気部、次に別の導電率センサを通過することも可能である。部分流れを拒否することも可能である。
【0022】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、導電率センサのうちの少なくとも1つは温度センサを含む。
【0023】
温度センサが導電率センサに一体化される場合、試料液体の温度補償された比導電率を求めることができる。
【0024】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、装置は少なくとも1つの流量センサを含む。この少なくとも1つの流量センサは、たとえば、処理室の開口部のうちの一方、陽極室の開口部のうちの一方、および/または、陰極室の開口部のうちの一方に位置し得る。
【0025】
流量センサは連続的な流れの測定を可能にし、導電率測定の検証を提供することができる。流量がある場合、測定された比導電率は実際にオンラインで測定され、現在値を反映する。
【0026】
典型的な流量は、たとえば、毎時2リットルから毎時15リットルに及ぶ。
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、イオン交換体は、陽イオン交換樹脂である。
【0027】
好適な強酸性ゲル状イオン交換樹脂は、たとえば、ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)からのアンバージェット(Amberjet)−1000−H−L(登録済)である。
【0028】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、イオン交換体は、呈色指示イオン交換体、特に呈色指示陽イオン交換樹脂である。
【0029】
たとえば、強酸性陽イオン交換樹脂が使用可能であり、それは、酸/塩基呈色指示薬で色付けられる。樹脂が「使い尽くされた」場合、すなわち、たとえば酸性陽子(H
+)と交換された塩基アンモニウムイオン(NH4
+)といった陽イオンが樹脂に装填された場合、pH値は増加し、陽イオン交換樹脂または指示薬はこれを可逆的変色によって示す。樹脂が再び生成されると、元の色が再び現われる。システムにとって典型的である色分布からのずれは、たとえば、機能不全の表示であり得る。
【0030】
指示薬を用いる好適な陽イオン交換樹脂の一例は、ランクセス(Lanxess)からのレバチット(Lewatit)S 100 G1(登録済)というタイプである。
【0031】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、処理室は、特に処理室の開口部に沿って少なくとも部分的に透明である。
【0032】
処理室の内部を見ることが可能である場合、たとえば、処理室を浸透した不純物が感知され得る。酸化鉄堆積物も、イオン交換体上で検出され得る。呈色指示イオン交換体が処理室に位置する場合、その状態を点検することができ、必要であれば、たとえば、使用されたイオン交換体を置き換えること、処理室全体を置き換えること、または他の好適な方策を取ることができる。
【0033】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、装置は光学センサを含む。光学センサは、イオン交換体を監視するために使用され得る。
【0034】
人間の目によって点検される代わりに、たとえばスペクトル選択的反射測定を行なうことができる光学センサはまた、処理室に位置する呈色指示イオン交換体イオン交換体の色、ひいては品質を監視することができるように搭載され得る。たとえば、ある臨界値を上回る場合、装置が完璧に機能することをもはや保証できないため、光学センサに接続された電子測定システムが警告をトリガすることができ、または、電子制御部が電気脱イオン化プロセスおよび/または試料流れを中断することができる。使用されたイオン交換体の自動交換をトリガする電子制御システムも考えられる。
【0035】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、装置は電子測定システムを含む。電子測定システムは、導電率センサのうちの少なくとも1つからの少なくとも1つの信号、温度センサのうちの少なくとも1つからの少なくとも1つの信号、流量センサのうちの少なくとも1つからの少なくとも1つの信号、少なくとも光学センサからの少なくとも1つの信号、エネルギー源の電圧、および/または、エネルギー源の電流を記録して処理する。
【0036】
そのような電子測定システムは、装置に含まれるすべてのセンサの記録および/または評価を可能にする。同じことは、エネルギー源の電圧および電流といったパラメータにも当てはまる。電子測定システムはパネルに一体化されてもよく、パネルは測定値が読まれることを可能にし、外部コンピュータまたはデータキャリアへのインターフェイスを含む。たとえば、陽イオン交換の前または後に、もしくは脱気の後に導電率センサが試料液体の臨界比導電率を送信するやいなや、電子測定システムは警告をトリガすることができる。電子測定システムは、電子測定システムを介して供給された信号に従って装置を制御する電子制御システムと結合され得る。たとえば、流量の増加または入力導電率の増加とともに、陽極と陰極との間の電圧が、陽極でより多くの陽子を生成するために増加され得る。陽子は次に、選択透過膜を通って処理室へ移動し、そこでそれらは、より多量に装填されたイオン交換体を再生成するために、陽子に対する必要性の増加を保証する。
【0037】
電気脱イオン化装置は、電子測定システムに一体化され得る共通のエネルギー源から電力供給され得る。
【0038】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、処理室の開口部のうちの少なくとも一方は、フィルタ部を含む。
【0039】
試料液体のための入口として機能する処理室の開口部の前に配置されたフィルタ部は、処理室への不純物の浸透を防止するかまたは減少させる。それはまた、蒸気発生器が上下に駆動されている場合などの発電所の異常な運転状態時にイオン交換樹脂が洗い流されることを防止する。フィルタ部がなければ、水、ひいてはイオン交換樹脂も、装置の入口開口部を通って吸い戻されるかもしれない。陽極室の開口部に作動的に接続された処理室の開口部の前のフィルタ部は、イオン交換体が試料液体とともに処理室から洗い流されることを防止する。フィルタ部は、たとえば、焼結ポリエチレン、特に超高分子量焼結ポリエチレンで作られたフィルタプレートであってもよい。イオン交換体を確実に保持するために、フィルタ部の孔径は、たとえば、イオン交換体の最小径の5%〜50%であり得る。
【0040】
典型的な単分散イオン交換樹脂は、たとえば、分散範囲が+/−0.05mmである0.65mmのボール径を有する。
【0041】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、装置は少なくとも1つのイオン伝導膜を含む。これは、たとえばイオン伝導膜が、処理室から陽極室および陰極室を分離する選択透過膜に匹敵するかまたはそれらと同一である場合、別の選択透過膜であってもよい。これは、陽極とそれに面する選択透過膜との間の陽極室に、または、陰極とそれに面する選択透過膜との間の陰極室に配置され得る。イオン伝導膜はまた、陽極室に、および陰極室に配置され得る。
【0042】
そのようなイオン伝導膜は、発生期酸素またはオゾンといった、電極で生成される攻撃的物質から選択透過膜を保護する。イオン伝導膜はまた、エキスパンドメタルまたは金属スクリーンで作られた電極で生じ得るような、鋭い縁による損傷から選択透過膜を保護する。
【0043】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った装置の一実施形態では、装置の処理室は相互交換可能である。
【0044】
試料液体の電気脱イオン化のためのこの発明に従った装置で使用するために、処理室が提供され、それは略直方体の基本構造を有する。処理室は、互いに間隔を置いた2つの開口部と、各々選択透過膜によって実質的に形成された2つの対向する側面とを含む。
【0045】
開口部同士は間隔を置いていてもよい。たとえば、一方の開口部は処理室の上部に、一方の開口部は処理室の下部に位置していてもよい。室の上部または頂部、および下部または底部とは、別段の定義がない限り、室の下部1/3および上部1/3を意味する。また、開口部のうちの一方は処理室の上側に、一方は下側に位置していてもよい。選択透過膜によって形成されていない直方体の基本構造の表面は、たとえば、プラスチックプレート、特に機械的に強いプラスチックプレートによって形成されている。
【0046】
矛盾しない限り、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った処理室の一実施形態では、対向する側面は、基本構造の一部を形成し、選択透過膜が接着適用される、略矩形のフレームを各々含む。
【0047】
直方体の基本構造は、平行6面体の基本構造を完成させる4つのプレートと水密および気密に接続される、互いに平行に整列された2つのフレームから構成され得る。
【0048】
たとえば、フレームおよびプレートはプラスチックで作られ得る。フレームによって包囲された空洞を完全に覆う1つの選択透過膜が、気密および水密の態様で、特に接着または貼り合わせによって前記フレームに取付けられる。フレームは、たとえば、余分な接着剤を収容するための溝を有し得る。溝は周囲にあり、接着点の外部に位置するものの、依然として選択透過膜によって覆われるように配置され得る。
【0049】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った処理室の一実施形態では、イオン交換体を充填するためのさらなる開口部、および/または、脱気のためのさらなる開口部が、開口部のうちの一方に隣接して設けられる。特に、これらの追加の開口部のうちの少なくとも1つは水密および気密に閉鎖可能である。
【0050】
さらなる開口部は、処理室の上部1/3、特に処理室の上側に位置していてもよく、水密および気密の態様で(再)閉鎖可能および/または接続可能であってもよい。
【0051】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った処理室の一実施形態では、開口部のうちの少なくとも1つは、フィルタ部によって覆われる。フィルタ部は、開口部自体の内部に、開口部上に直接、または少なくとも1つの支持要素上に載って配置され得る。
【0052】
試料液体の入口用の開口部と脱気のための開口部とは、たとえば、別々のフィルタ部によって、または共通のフィルタ部によって覆われ得る。1つのフィルタ部が、処理室の内部および外部の双方で、開口部自体の内部および開口部上の双方に位置し得る。試料液体を放出するための処理室の下側の開口部はフィルタ部によって覆われてもよく、フィルタ部は処理室内に位置しており、たとえば、下側の表面と実質的に等しい表面を有する。処理室にはまた、処理室内で選択透過膜に対して実質的に面平行に配置されたフィルタ、たとえば丸いフィルタが装備され得る。
【0053】
そのような平坦なフィルタ部が処理室の下側に直接置かれることを避けたい場合、フィルタ部は、少なくとも1つの支持要素上に載って開口部を間接的に覆うことができる。フィルタ部の間接的接触は、フィルタ表面の一部が通流のためにブロックされることを防止する。たとえば、1つ以上の穿孔支持リング、螺旋体、または放射状チャネルが、支持要素として使用され得る。焼結ポリエチレンで作られたフィルタプレートの代わりに、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、および/またはフルオロポリマーで作られた目の細かいプラスチックネットも、フィルタ部として使用されてもよく、そのメッシュサイズは、使用されるイオン交換樹脂の樹脂ボールの最小径よりも少なくとも50%小さく、特に、メッシュサイズは、樹脂ボールの最小径の5%〜50%に対応する。好適なフルオロポリマーは、たとえば、PTFE、FEP、および/またはECTFEである。ネットは、たとえば、接着性のものであってもよく、または、締付け要素で締結されてもよい。ネットも、上述の支持要素上に載ることができる。
【0054】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った処理室の一実施形態では、選択透過膜によって各々実質的に形成された側面の外側には、取り外し可能に固定された保護要素、特に硬質プレートが設けられる。
【0055】
処理室を搬送および保管のために保護するために、機械的に安定したプレートといった保護要素を、処理室の直方体の基本構造の側面の外側に取り外し可能に取付けることができ、側面は各々、選択透過膜によって実質的に形成されている。保護要素を取付けるために、たとえば、接着テープまたは搭載ループが使用され得る。これに加えて、またはこれに代えて、処理室はまた、保護のために、たとえばプラスチックで作られた袋に、オプションで真空下で包まれ得る。
【0056】
問題はまた、試料液体の電気脱イオン化のための方法によって解決される。この発明に従った方法は、2つの選択透過膜によって空間的に分離された陽極および陰極への電圧の印加と、イオン交換体で少なくとも部分的に充填され、2つの選択透過膜によって境界された処理室を通る試料液体の少なくとも部分的な流れと、陽極と選択透過膜のうちの一方との間に位置する陽極室を通る試料液体の少なくとも部分的な流れと、陰極と他方の選択透過膜との間に位置する陰極室を通る試料液体の少なくとも部分的な流れとを含む。
【0057】
この発明によれば、これらの室を通る流れは、異なる順序で起こり得る。一方では、少なくとも部分的にイオン交換体で充填され、2つの選択透過膜によって境界された処理室を試料液体が少なくとも部分的に流れた後、試料液体は次に、陽極と選択透過膜のうちの一方との間に位置する陽極室を少なくとも部分的に流れることができ、次に、試料液体は、陰極と他方の選択透過膜との間に位置する陰極室を少なくとも部分的に流れることができる。
【0058】
他方では、少なくとも部分的にイオン交換体で充填され、2つの選択透過膜によって境界された処理室を試料液体が少なくとも部分的に流れた後、試料液体は、陰極と選択透過膜のうちの一方との間に位置する陰極室を少なくとも部分的に流れることができ、次に、試料液体は、陽極と他方の選択透過膜との間に位置する陽極室を少なくとも部分的に流れることができる。
【0059】
このプロセスは、溶解物質のための2つの搬送機構に実質的に関与する。一方では、対流、すなわち、試料液体の流れを用いたこれらの溶解物質の搬送が生じる。他方では、電子移動、すなわち、電荷を帯びた粒子の、電界に沿った移動が起こる。電界は、陽極と陰極との間の電圧によって生成される。対流は、これらの室を通る少なくとも部分的な流れに対応する。
【0060】
矛盾しない限り、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った方法の一実施形態では、イオン交換体で少なくとも部分的に充填された処理室を通る少なくとも部分的な流れは、実質的に重力の方向に起こり、陽極室を通る少なくとも部分的な流れは、重力の方向に対抗して起こり、陰極室を通る少なくとも部分的な流れは、重力の方向に対抗して起こる。
【0061】
電気分解により、気体生成が電極で、すなわち陽極室および陰極室で生じる場合、結果として生じる気体は、試料液体ストリームとともに室から放出され得る。
【0062】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った方法の一実施形態では、方法はさらに、試料液体の比導電率の測定を含む。試料液体の比導電率は、イオン交換体で少なくとも部分的に充填され、2つの選択透過膜によって境界された処理室を試料液体が少なくとも部分的に流れる前に測定される。
【0063】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った方法の一実施形態では、方法はさらに、試料液体の比導電率の測定を含む。試料液体の比導電率は、イオン交換体で少なくとも部分的に充填され、2つの選択透過膜によって境界された処理室を通る試料液体の少なくとも部分的な流れの後に、および、陽極と選択透過膜のうちの一方との間に位置する陽極室を通る試料液体の少なくとも部分的な流れの前に、測定される。
【0064】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれか、および、さらに挙げられる実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った方法の一実施形態では、方法はさらに、試料液体の少なくとも一部の脱気を含む。次に、陽極と選択透過膜のうちの一方との間に位置する陽極室を試料液体が少なくとも部分的に流れる前に、試料液体の比導電率が追加で測定される。
【0065】
矛盾しない限り、すでに述べられた実施形態のうちのいずれかと組合され得る、この発明に従った方法の一実施形態では、方法はさらに、試料液体の流量の一体化された連続的な測定を含む。
【0066】
本発明の実施形態例を、図面を参照して以下により詳細に説明する。