(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843236
(24)【登録日】2021年2月25日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】乗員保護装置を制御する方法
(51)【国際特許分類】
B60R 21/0136 20060101AFI20210308BHJP
B60G 17/015 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
B60R21/0136 310
B60G17/015 A
B60G17/015 C
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-524148(P2019-524148)
(86)(22)【出願日】2017年10月4日
(65)【公表番号】特表2019-535572(P2019-535572A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017075124
(87)【国際公開番号】WO2018086799
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2019年7月9日
(31)【優先権主張番号】102016222082.9
(32)【優先日】2016年11月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】レックツィーゲル,バスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ゾンターク,エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ラング,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】エブラヒム,パリサ
(72)【発明者】
【氏名】ケーニヒ,ジーモン
【審査官】
神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−175322(JP,A)
【文献】
特開2002−331903(JP,A)
【文献】
特開平08−091169(JP,A)
【文献】
特開平08−108820(JP,A)
【文献】
特開平11−124004(JP,A)
【文献】
特開2000−335364(JP,A)
【文献】
特開2015−221592(JP,A)
【文献】
特開2012−176688(JP,A)
【文献】
米国特許第05418722(US,A)
【文献】
米国特許第05668740(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/00 − 21/13
G08G 1/16
B60G 17/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの慣性センサを備えた車両が通行する面の状態を表す状態値(201)を決定する方法であって、
前記慣性センサによって検出された少なくとも1つの第1の信号(202)に応じて状態値(201)を増加または減少させ、
前記第1の信号(202)が信号閾値(222)を超えたときには、前記状態値(201)を所定の罰則値の分だけ高めることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の信号(202)が前記信号閾値(222)に達するか、または前記信号閾値(222)を超えたときには前記状態値(201)を増加させ、前記第1の信号(202)が前記信号閾値(222)より低下したときには前記状態値(201)を減少させる方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記第1の信号(202)の振幅に応じて前記罰則値を増加させる方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の信号(202)が前記信号閾値(222)を超えているときには前記状態値(201)を線形に増加させる方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法であって、
前記第1の信号(202)が前記信号閾値(222)より低下しているときには前記状態値(201)を線形に減少させる方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法であって、
前記状態値(201)を増加させる際に、前記第1の信号(202)の振幅に依存する速さで前記状態値(201)を上昇させる方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1の信号(202)が前記信号閾値(222)を超えたときにおける前記状態値(201)の時間区間での増加の勾配は、前記第1の信号(202)が前記信号閾値(222)より低下したときにおける前記状態値(201)の同じ時間区間での減少の勾配よりも大きい、方法。
【請求項8】
衝突センサの少なくとも1つの信号に応じて衝突検出機能が衝突を検出したときに車両用の乗員保護装置を制御する方法であって、
周辺認識センサの信号の評価を実行して、当該車両の周辺の物体との衝突の確率を決定するステップと、
前記衝突の確率に基づいて前記物体との衝突が差し迫っているかどうかを決定するステップと、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法により決定された当該状態値(201)を状態閾値(211)と比較して前記状態値(201)が前記状態閾値(211)を超えているか否かを示す誤用値(204)を設定するステップと、
前記衝突の確率および前記誤用値(204)に依存して前記衝突検出機能の感度を高めるかどうかを決定するステップと
を備え、
前記物体との衝突が差し迫っているとの決定がなされ、かつ、前記状態値(201)が前記状態閾値(211)を超えていることを前記誤用値(204)が示すときは前記衝突検出機能の感度は高められず、
前記物体との衝突が差し迫っているとの決定がなされ、かつ、前記状態値(201)が前記状態閾値(211)を超えていないことを前記誤用値(204)が示すときに前記衝突検出機能の感度が高められる
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記衝突検出機能が前記衝突センサの少なくとも1つの信号に基づいて決定した衝突信号が衝突閾値を超えているときに、衝突を決定する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記衝突閾値を減少させることによって前記衝突検出機能の感度を高める方法。
【請求項11】
請求項8から10までのいずれか1項に記載の方法であって、
前記状態値(201)が前記状態閾値(211)を超えたときには、前記車両が通行する面の状態が前記衝突検出機能にとって不都合であると評価して前記衝突検出機能の感度を高めない、方法。
【請求項12】
請求項9または10に記載の方法であって、
前記状態値(201)が前記状態閾値(211)を超えたときには、前記車両が通行する面の状態が前記衝突検出機能にとって不都合であると評価して前記衝突閾値を増加させる、方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法を、前記車両に備わる計算ユニットに実行させるためのコンピュータプログラムを格納したメモリ媒体。
【請求項14】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されている、前記車両に備わる計算ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員保護装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102011118149号明細書には、自動車の安全システムを作動する方法が開示されている。この方法では、現在の交通状況が分類される。さらに、分類された現在の交通状況における所定の複数の事故タイプから1つの事故タイプの発生確率が決定される。決定された確率が所定の閾値を超えた場合には、操作のためのトリガ閾値を少なくとも1つの乗員保護装置に適合させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第102011118149号
【発明の概要】
【0004】
本発明は、車両通行面、特に道路の状態を表す状態値を決定する方法を開示している。車両は少なくとも1つの慣性センサを備える。この方法は、慣性センサによって検出する少なくとも1つの第1の信号に依存して状態値を増加または減少させることを特徴とする。
【0005】
この方法は、特に対応するセンサを備える車両で実施することができる。代替的には、この方法は、例えば1つ以上の車両で検出されたセンサ値を受信および評価する外部の計算ユニットで実施することもできる。伝送は、例えば無線によって、またはインターネットを介して行うことができる。通行する道路について得られた情報は、続いて、例えばクラウドなどの対応する通信インターフェイスを介して複数の車両と共有することができる。このようにして、対応する機能が組み込まれていないか、または不可欠なセンサ装置がない車両であっても特定の面、特定の道路、または特定の道路区間に関する情報を受信する。
【0006】
状態値を決定した後にこの状態値を1つ以上の他の機能に提供することができる。この他の機能を、例えば車両に実装してもよいし、安全手段および/または乗員保護システムおよび/または拘束手段をトリガするように設計してもよい。緩衝器または空気ばねなどの、シャーシを制御するための機能を設けることも可能である。
【0007】
表面、特に道路の状態とは、例えば表面が良好または劣悪な路面を備えているかどうかである。例えば、表面に多数の窪みが存在しているかどうか、多くの小石または石が周囲にあるかどうか、または表面が極めて平滑な地表を備えているかどうかである。この場合、特に表面および/または道路の状態が車両の慣性センサおよび/または衝突センサに与える影響が重要である。
【0008】
慣性センサは、例えば回転速度センサまたは加速度センサとして理解することができる。衝突センサとしては、これらのセンサタイプに加えて圧力センサを使用することができる。したがって少なくとも1つの慣性センサによって検出した第1の信号は、回転速度を表す信号および/または加速度値を表す信号として理解することができる。
【0009】
本方法は、車両通行面の状態の決定を極めて簡単に、安価に行うことができるという利点をもたらす。さらにこの決定は、衝突検出のためにも使用することができるセンサ測定値に基づいている。したがって、得られた情報が供給される場合には、交通利用者の安全性を高めることにも貢献する相乗効果が生じる。
【0010】
本方法の別の実施形態では、第1の信号が信号閾値に達するか、または信号閾値を超えた場合には状態値を増加させ、および/または第1の信号が信号閾値より低下した場合には状態値を減少させる。
【0011】
方法のこの実施形態は、状態値が、車両通行面、特に道路の現実に近い状態を再現するという利点をもたらす。車両のそれぞれの小さい動きまたは振動が状態値に取り込まれないようにするため、状態値を増加させる前に第1の信号がまず信号閾値に達することを必要とする。
【0012】
この場合、信号閾値および/または複数の信号閾値は、車両特有およびセンサ特有に様々に設定してよいし、または様々に定義/決定してもよい。これにより、様々な車両のために本方法の最適な適合を保証することが可能である。
【0013】
本方法の別の実施形態では、第1の信号が信号閾値を超えたときには状態値を所定の罰則値の分だけ高める。
【0014】
この実施形態は、大きな起伏をより大きく重み付けし、したがって衝突信号の誤った解釈の確率を減少させるという利点をもたらす。さらに信号閾値を超えた場合に罰則値の分だけ状態値を高めることによって、加速度ピークの数、したがって振動の頻度を状態値に取り込む。このことは同様に、車両通行面の状態を決定するための重要な基準である。
【0015】
この場合、「信号閾値を超えること」は、信号がかつては信号閾値未満であり、超えた後には信号閾値を超えていることとして理解される。
【0016】
本方法の別の実施形態では、罰則値の増加は、第1の信号の決定および/または検出した
振幅に依存して行う。
【0017】
本方法のこの実施形態は、表面の状態値を決定するときに、強度の異なる起伏が同様に異なる強度で重み付けされるという利点をもたらす。これにより、状態値によって表面の実際の状態についての正確な基準を得ることが可能である。この実施形態では、罰則値は、超えた時点に対して幾分ずらして状態値に追加することができ、したがってまずピーク
振幅を決定することができる。これに代替的または付加的に、ピーク
振幅は1つ以上の後続の罰則値にも影響を及ぼすことができる。
【0018】
本方法の別の実施形態では、第1の信号が信号閾値を超えている場合には状態値を連続的に増加させ、状態値を、特に線形に増加させる。
【0019】
この場合、既に述べた罰則値では、信号閾値を超えた場合に一度だけ状態値を罰則値の分だけ増加させるが、これとは異なり、第1の信号が信号閾値を超えている場合には状態値を連続的に増加させる。
【0020】
この実施形態は、第1の信号が信号閾値を超えている期間を、状態値を決定する場合に考慮するか、もしくは状態値に取り込むという利点をもたらす。この期間は同様に通行面の状態のための基準である。したがって、著しくでこぼこの路面における長時間の運転が状態値を決定する場合に極めて重要である。
【0021】
本方法の別の実施形態では、第1の信号が信号閾値より低下している場合には状態値を連続的に減少させる。この場合、状態値を特に線形に減少させる。
【0022】
この実施形態は、表面、特に道路の環境が良好な場合には状態値を再び減少させることができるという利点をもたらす。これにより、状態値の質がさらに改善する。歩道に乗り上げるなどの一度しか生じないか、またはほとんど生じない出来事はそれほど重要視せず、したがって、通行した表面の状態の誤った解釈を防止することができる。
【0023】
本方法の別の実施形態では、状態値の時間的な増加を行う。増加の強度、すなわち単位時間毎にどのくらいの速さで状態値を上昇させるかは、この場合、第1の信号の決定および/または検出した
振幅に依存する。
【0024】
この実施形態は、長時間にわたる大きな起伏を状態値に取り込み、したがって、このような起伏をより大きく重み付けすることを可能にする。これにより、最後に決定した状態値が表面の実際の状態についてできるだけ正確な基準を表すようにパラメータを設定する別の可能性を提供する。
【0025】
本方法の別の実施形態では、第1の信号が信号閾値を超えた場合には状態値を時間
区間毎に、第1の信号が時間閾値より低下した場合に状態値を同じ時間
区間で減少させるよりも
大きく増加させる。
【0026】
この実施形態では、状態値は一度だけ増加または減少させるのではなく、状態値は時間的に連続して増加もしくは減少させる。この実施形態は、状態値によって実際の表面状態もしくは道路状態を最適に表すことを可能にする。この実施形態は、信号閾値を超えた場合に罰則値の分だけ状態値を増加させることに対して、追加的または代替的に使用することができる。罰則値に加算しない場合には、第1の信号が信号閾値を超えた場合に状態値をより速く上昇させることによって、大きい振動が測定される時間を、振動がない時間もしくは第1の信号が信号閾値より低下する時間よりも強く重み付けすることを確保することができる。
【0027】
さらに、車両のための乗員保護装置を制御する方法を請求する。この場合、乗員保護装置を、衝突検出機能によって衝突を検出した場合に、特に衝突センサの少なくとも1つの信号に依存して制御する。この場合、衝突検出機能を、周辺認識センサの信号に依存して感度を高める。さらに、車両が通過する表面、特に道路の状態に依存して感度を高める。
【0028】
乗員保護装置は、事故に関与した人を保護するように構成されたオプションの装置として理解することができる。このような装置には、例えば車両乗員のためのエアバッグ、シートベルト、車両の外部の人員のためのエアバック、および、例えば、歩行者を保護するためにボンネットを持ち上げる機構などの他の安全装置が挙げられる。
【0029】
衝突検出機能は、特に衝突センサの少なくとも1つの信号に依存して、衝突が生じているかどうかを決定する機能として理解される。対応する衝突検出機能は、従来技術により公知である。
【0030】
衝突検出機能の感度を高めることは、衝突をより速く、もしくは時間的により早期に検出するか、もしくは対応する信号を衝突検出機能によって出力することと理解される。衝突検出機能の感度を高めることは、例えば衝突閾値を減少させることと理解することができる。感度を高めることは、衝突センサによって検出した信号の処理を変更することと理解することもできる。衝突センサの少なくとも1つの信号を処理することによって、限界条件(例えば車両に作用する加速度、動力など)が同じ場合に、処理を行わない場合よりも早期に乗員保護装置をトリガすることができる。例えば、増倍率または信号に対する加算値または減算値を変更することができる。これに匹敵する結果は、衝突閾値を減少させた場合にも得られる。
【0031】
この場合、車両通行面、特に道路の状態を様々な形式で受信および/または決定することができる。決定は車両内で行うこともできるし、または車両は車両通行面の状態に関する情報を含むデータを受信することもできる。これらのデータは、例えば上記方法によって決定したものであってもよい。表面、特に道路の状態は、この方法で呼び出すことができるデジタルマップに記憶させていてもよい。代替的には、道路状態に関する情報を他の車両または中心的な拠点から受信することもできる。例えば、複数の車両が道路状態に関する情報をクラウドに送信することもでき、クラウドは続いてこの情報を他の車両のために提供する。データの評価および処理をクラウドで行ってもよい。このためには、車両のセンサデータをクラウドに伝送するか、または外部のサーバに伝送すれば十分である。通行面の状態を表す状態値を決定するための対応する方法は、クラウドもしくは外部のサーバで対応して実施することができる。
【0032】
ここに提示した方法は、特に車両が、衝突感度に負の影響を及ぼす状態の表面もしくは道路に位置している場合に、例えば乗員保護装置が誤ってトリガされるなど、衝突信号の誤った解釈を減らすことができるという利点をもたらす。このことは、特に窪みおよび/または石を有するでこぼこな道の場合にあてはまる。
【0033】
本方法の別の実施形態では、衝突センサによって検出した少なくとも1つの信号に基づいて決定した衝突信号が衝突閾値を超えている場合には、衝突と決定する。
【0034】
一般に、超えた状態が低下した状態になるように、信号の決定時に符号を変更することができる。このような方法の変更は、当然ながら本願の保護範囲に入る可能な選択肢である。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、衝突閾値を適合、特に減少させることによって衝突検出機能の感度を高める。
【0036】
本発明のこの実施形態は、乗員保護装置をトリガすることが望ましいかどうかについての決定をより早期に行うことができるという利点をもたらす。したがって、差し迫る衝突により迅速に対応し、ひいては乗員保護装置が最適にトリガされることを保証することが可能である。これにより交通利用者の安全性が高められる。
【0037】
本方法の別の実施形態では、少なくとも1つの周辺認識信号に基づいて差し迫る衝突を検出した場合には、少なくとも1つの周辺認識信号に依存して衝突検出の感度を高める。
【0038】
例えば、少なくとも1つの周辺認識信号に基づいて衝突確率を決定することによって、差し迫る衝突を検出することができる。例えば、周辺認識信号の評価によって獲得することができる値を必要に応じて衝突確率の決定に取り入れることができる。例えば、衝突物、例えば別の車両の走行方向、自身の走行方向、様々な物体の速度、物体の寸法などである。物体は、周辺認識センサによって検出可能な全ての対象物および/または可能な衝突物として理解することができる。これらの情報に加えて、自己中心的な車両についてのさらなる情報、例えば速度、操舵角、他の制御ユニットのさらなる評価などを取り入れることもできる。例えば、実際のブレーキ圧または操舵圧がどのくらいの大きさであるか、およびどのくらい速く運転操作が実施可能であるかについての情報を使用することもできる。したがって、これらすべての情報を組み合わせることにより、衝突が差し迫っているかどうか、または衝突がどのような確率で差し迫っているのかを決定することができる。例えば確率閾値を定めることもでき、この確率閾値を超えた場合には衝突が差し迫っていると想定する。したがって、この閾値を超えた場合には衝突であると検出する。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、車両通行面、特に道路の状態を、車両通行面、特に道路の状態を表す状態値を決定するための上記方法によって決定する。
【0040】
本発明の別の実施形態では、車両通行面、特に道路の状態が衝突検出機能にとって不都合であると評価した場合には、衝突検出機能の感度を高めない。車両通行面の状態は、特に状態値が状態閾値を超えた場合には、衝突検出機能にとって不都合であると評価する。
【0041】
車両通行面の状態の代わりに、状態値に基づいて評価を行うために他の方法も考えられる。例えば、道路の状態に関する情報をデジタルマップから得ることもできる。代替的には、例えばクラウドからこのような情報を呼び出すこともできる。道路状態を検出するこれらの代替的な方法では、必ずしも状態値を検出および/または評価する必要はない。この情報は、任意の方法で、例えば「良好」については「0」で、「劣悪」については「1」で伝えることができる。
【0042】
この実施形態は、特に、劣悪な状態にある表面もしくは道路に車両が位置している場合に、衝突信号の誤った解釈を減らすことができるという利点をもたらす。
【0043】
状態閾値を超えていない場合には感度を高めることができる。感度を高めるためには、例えば衝突閾値を減少させることができる。複数の状態閾値を定めることができ、これらの状態閾値より低下した場合または超えた場合には感度を高めることができ、例えば1つの閾値または複数の衝突閾値の段階的な適合を行うことができる。
【0044】
本方法の別の実施形態では、車両通行面、特に道路の状態が衝突検出機能にとって不都合であると評価した場合には衝突閾値を高める。この場合、車両が通過する表面の状態は、特に状態値が状態閾値を超えた場合には不都合であると評価する。
【0045】
方法のこの実施形態は、衝突信号の誤った解釈を減らすことができるという利点をもたらす。車両が、例えば極めてでこぼこな道路に位置している場合には、大きい振動に基づいて衝突閾値を超えることにより状況が衝突検出機能によって誤って解釈される、という不都合な事態が生じる場合がある。劣悪な、もしくは衝突検出機能にとって不都合な状態で車両通行面を検出した場合に、衝突閾値を増加させることによってこのような事態を防止することができる。これにより全ての交通利用者の安全性を高めることができる。
【0046】
他の利点は、機械読取り可能なメモリ媒体に格納されたコンピュータプログラムの使用によって得られ、このコンピュータプログラムは、計算装置によって実行されると、上記実施形態にしたがって方法を計算装置に実施させる。
【0047】
したがって、上記方法の少なくともいずれか1つを実行するように構成されたコンピュータプログラムを格納したメモリ媒体も、保護を請求する。
【0048】
本発明の別の好ましい実施形態は、電気機械のための計算ユニット、特に調整器において得られる。このような電気機械は、計算ユニット、特に計算ユニットのメモリ媒体に提供されているコンピュータプログラムおよび/または対応する集積回路によって、上記実施形態による少なくとも1つの方法を実行するように構成されている。これにより、計算ユニット、特に調整器は、電気機械を調整するためにだけではなく、本発明による方法を実行するためにも構成されているので、相乗効果が生じる。計算ユニットは、例えば適合された衝突検出機能に依存して、エアバッグまたは他の乗員保護装置を制御するように設計してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図4】乗員保護装置をトリガするための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
事故を確実に検出するためには、車両内に組み込んだ衝突センサに加えて、同様に車両内に組み込んだ周辺認識センサを使用することもできる。衝突を決定する場合に最大限の確実性を得るためには、両方の情報を一緒に使用することができる。例えば、周辺認識センサの信号の評価後に、物体との衝突が差し迫っているかもしれないことを確認した場合には、衝突センサの信号の評価に基づいて行う衝突検出機能の感度を高めることができる。すなわち、実際の衝突が生じた場合には、拘束手段または乗員保護装置を迅速にトリガすることが可能である。しかしながら、劣悪な地表、例えば極めてでこぼこな道路に車両が位置する場合には、衝突感度を高めることにより負の影響が生じることもある。この課題は、本発明および次の実施例により解決する。
【0051】
図1は、車両が通行する面の状態を表す状態値を決定する方法を示す。状態値の決定は、車両が走行できると考えられる全ての表面について行うことができる。例えば、道路、畑道、駐車場、砂漠、浜および/または氷表面である。車両は、このために少なくとも1つの慣性センサ、この実施例では加速度センサを備える。さらに車両は計算ユニットを備え、この計算ユニットは加速度センサの信号を受けることができ、この計算ユニットでは以下に説明する方法を実施することができる。方法はステップ101で始まる。
【0052】
ステップ102では、慣性センサもしくは加速度センサによって、この実施例では加速度信号に相当する第1信号を検出する。
【0053】
ステップ103では、検出した加速度信号に基づいて、車両通行面の状態を表す状態値を決定する。この実施例では、これは、加速度センサによって検出した加速度信号を受信し、評価することができる計算ユニットで行う。この場合、加速度センサによって検出した第1信号に依存して状態値を増加または減少させる。
【0054】
方法はステップ104で終了する。車両通行面を連続的に監視もしくは決定するためには、この方法を連続的に実施することも有意義である。したがって、
図1に示したプロセスはループとして連続的に実施し、本方法はステップ104に達した後には再びステップ101で開始する。このようにして、状態値は通行面の状態に依存して連続的に変化する。
【0055】
図2は、状態値201の計算が発生した場合にこのような計算をどのようにして行うことをできるかを詳細に示す。様々な値の波形を時間tに対して示す。これらの値は、状態値201、この実施例では加速度信号202に対応する第1信号202、イベント値203、および誤用値204である。イベント値203は、加速度信号202が所定の信号閾値222を超えた場合に常に「1」に設定する。そうでない場合は、イベント値203は「0」に等しい。誤用値204は、状態値201が状態閾値211を超えていない場合には「0」に設定する。状態値201が状態閾値211を超えた場合には、誤用値204を「1」に設定する。この誤用値204は、例えば別の機能に道路状態を通知するために使用することもできる。誤用値204が「0」に等しい場合には、例えば車両に組み込まれた加速度センサの測定値に不都合な影響を及ぼすことのない道路状態を想定することができる。誤用値204が「1」に等しい場合には、これとは反対に、他の測定値もしくは衝突検出などの評価方法に負の影響を及ぼし得る道路状態が生じていると想定することができる。
【0056】
次に、第1信号もしくは加速度信号202に依存して状態値201がどのように変化するかを詳述する。加速度信号202が信号
閾値222を超えた場合には、状態値201を所定の罰則値の分だけ高める。この実施例では、罰則値は固定しており、加速度信号202が信号閾値222をはじめて超えた直後の状態値201の大きさに対応している。加速度信号202が信号閾値222を下方から超えた場合には、状態値201を常に罰則値の分だけ高める。すなわち、加速度信号202は当初は信号閾値222よりも小さく、後に信号閾値222以上になる。
【0057】
加速度信号202が信号閾値222を超えている限り、イベント値202は「1」に設定する。この間、状態値201は所定の勾配により線形に上昇する。
【0058】
加速度信号202が再び信号閾値222より低下した場合には、イベント値203を再び「0」に設定する。この期間においては、状態値201は低下する。この実施例では、加速度信号202が信号閾値222を超え、状態値201が増加する場合のように、低下は線形に同じ勾配で
起こるが、符号が反転した勾配で起こる。状態値201が値「0」に達した場合には、状態値201をさらに低下させることはせず、加速度信号202が再び信号閾値222を超えるまで「0」に保持する。
【0059】
誤用値204は、状態値201が状態閾値211を超えた場合には「1」に設定する。この実施例では、ある時間後に時点t
0205に達する。誤用値204は、状態値201が再び状態閾値211より低下するまで「1」に設定された状態に保持する。
【0060】
代替的な実施形態では、誤用値204を「1」に設定した後に、すなわち状態値201が状態閾値211を超えた後に、ある所定の時間にわたって「1」に設定した状態に保持する。この時間内には、状態値201が状態閾値211より再び低下した場合にも、誤用値204を「1」に設定した状態に保持する。この時間は、例えば数分に設定することもできる。本実施例では、この時間は10分に設定する。この実施形態によれば、状態が頻繁に変化する道路を走行する場合にも道路状態を確実に決定可能とすることを確保できる。
【0061】
本方法の代替的な実施形態では、加速度信号202が信号閾値222を超えた場合の状態値の勾配と信号閾値222より低下した場合の状態値の勾配とは異なっている。すなわち、例えば加速度信号202が信号閾値222を超えた場合には、状態値201は時間
区間毎に、同じ時間
区間で加速度信号202が信号閾値222より低下する場合よりも大きく増加する。この実施例では、第1信号が信号閾値を超えた場合には、状態値を罰則値の分だけ増加させない。
【0062】
別の実施形態では、加速度信号202が信号閾値222を超えた場合の状態値201は非線形に、ただし指数関数的に増加する。この場合、加速度信号202が信号閾値222を長く超えていればいる程、それだけ状態値201は単位時間毎に速く増加する。加速度信号202が信号閾値222より低下したときに状態値201を減少させるためには、同様に非線形の波形を設定しもよい。本実施例では、状態値は同様に線形に減少する。
【0063】
別の実施形態ではさらに加速度信号202の
振幅を評価し、罰則値の大きさおよび状態値201の増加の基準に取り込む。加速度信号202が信号閾値222を超えている場合には、例えば、加速度信号202の
振幅が大きければ大きい程、それだけ状態値201を単位時間毎に増加させる勾配を大きく選択することができる。
【0064】
本方法の代替的な実施形態では、加速度信号202が信号閾値222を超えた場合には罰則値の分の状態値201の増加は行わない。その代わりとして、この増加は、イベント値203が「1」に設定されており、したがって加速度信号202が信号閾値222を超えている時間にのみ行う。
【0065】
図3は、別の概略的な方法プロセスを示す。この方法プロセスはステップ301で始まる。この場合、ステップ302および303はステップ102もしくは103に対応している。
【0066】
したがって、ステップ302では慣性センサの信号を検出する。ステップ303では、この信号に基づいて状態値201を増減させる。状態値201のこのような増減は、この実施例では
図2に関して説明した第1の方法にしたがって行う。
【0067】
ステップ304では、状態値201が状態閾値211を超えているかどうかを判定する。状態値201が状態閾値211を超えていない場合には、本方法はステップ302に戻り、新たに慣性センサの信号を検出し、続いてステップ303で状態値201を更新する。
【0068】
しかしながら、状態値201が状態閾値211を超えたときには、この情報を衝突検出機能に伝える。この衝突検出機能は衝突を検出するように設計されている。この場合には、衝突センサの少なくとも1つの信号を読み取る。この実施例では、複数の加速度信号を読み取る。これらの加速度信号から、衝突検出機能によって衝突信号を決定する。この衝突信号が所定の衝突閾値を超えた場合には、衝突検出機能によって衝突を検出する。この情報は、続いて、例えば乗員保護装置をトリガするために使用する。本実施例では、衝突信号が衝突閾値を超えるとすぐにドライバー用エアバッグをトリガする。
【0069】
状態値201が状態閾値211を超えたことをステップ304で確認したときには、この情報をステップ305で衝突検出機能に伝える。
【0071】
本方法の代替的な実施形態では、状態値201を衝突検出機能に連続的に伝えることもできる。所定の状態閾値211を超えた場合には、この情報は、例えば衝突検出の感度を高めるのを防止するために衝突検出機能によって使用する。このことは、例えば衝突検出機能が加速度値に加えて周辺認識センサのデータを評価し、この評価を衝突検出に取り込む場合に有意義である。例えば、衝突が差し迫っていることを
周辺認識センサの信号によって確認した場合には衝突検出機能の感度を高め、例えば衝突閾値を減少させることも可能である。車両が劣悪な状態の道路に位置しており、したがって、例えば高い加速度値を測定し、この加速度値は劣悪な道路条件に起因するものであって事故に起因するものではないが、衝突検出機能に影響を及ぼしているかもしれない場合に、このように衝突検出機能の感度を高めることは状況の誤った解釈となり得る。
【0072】
代替的な実施形態では、衝突検出機能には状態値201を伝えるのではなく、例えば上記方法で決定するような誤用値204を伝える。
【0073】
図4には、上記方法のうちの複数の方法を互いに組み合わせる別の方法を示す。この方法はステップ401で始まる。
【0074】
ステップ402では、慣性センサの少なくとも1つの信号を検出する。この信号はステップ403で評価し、この信号に基づいて状態値201を決定する。この状態値201は、例えば
図2について説明した方法にしたがって決定することができる。
【0075】
ステップ404では状態値201を状態閾値211と比較し、誤用値204を生成する。この誤用値204は、ステップ444で実施する衝突閾値を決定するための機能に供給する。
【0076】
ステップ455では、少なくとも1つの周辺認識センサ、この実施例ではカメラの信号を検出する。ステップ405ではこの信号の評価を行う。この場合、車両の周辺の物体を検出し、この物体との衝突が差し迫っているかどうかを決定する。この実施例では、ステップ444で実施する衝突閾値を決定するための機能に、このような衝突の確率を供給する。
【0077】
ステップ444では衝突閾値の決定を行う。衝突閾値はまず固定して定めているが、差し迫る衝突を検出した場合には感度を高めることができる。衝突が差し迫っているかどうかをステップ405で決定した衝突の確率に基づいて確認する。この実施例では、感度を高めることは衝突閾値を減少させることに相当し、したがって、より低い衝突信号でも衝突を想定する。
【0078】
このように衝突閾値の感度を実際に高めるかどうかは、この実施例では、ステップ404で決定した誤用値204にさらに依存している。誤用値204が値「0」を有する場合には、ステップ405で予測した衝突に基づいて衝突閾値の感度を高めることができる。しかしながら、誤用値204が値「1」を有している場合には、衝突閾値の感度は高めず、したがって衝突閾値を減少させることは行わない。
【0079】
ステップ406では衝突検出を行い、衝突が生じているかどうか、したがって乗員保護装置をトリガすることが望ましいかどうかを、衝突検出機能によって決定する。このような評価のためには、衝突検出機能は衝突センサ、この実施例ではステップ466で検出した複数の圧力センサおよび加速度センサの信号を受信する。さらに衝突検出機能には、ステップ444で決定した衝突閾値を伝える。
【0080】
この実施例では、衝突検出機能を用いて、衝突センサにより検出した信号に基づいて衝突信号を決定する。決定した衝突信号が、ステップ444で決定した衝突閾値を超えている場合には、ステップ407で乗員保護装置のトリガを行う。この実施例では、このために複数のシートベルト、エアバッグ、および歩行者用の保護装置をトリガすることができる。
【0081】
所定の衝突閾値を超えていない場合には、本方法は、この方法が終了するステップ408に進み、乗員保護装置はトリガしない。本方法を行ってステップ408に達した後、本方法は再びステップ401で開始する。
【0082】
本方法の代替的な実施形態では、ステップ444で衝突閾値を決定するときに衝突閾値を増加させることを行うこともできる。誤用値204が「1」に等しいときには、道路の状態が衝突検出に影響を及ぼすと想定することができる。衝突状況の誤った解釈を防止するために、この状況では衝突閾値を高めることもできる。
【0083】
代替的な実施形態では、両方の情報を共に評価し、互いに比較検討し、衝突閾値の最適な適合を行う。
【0084】
本方法の別の実施形態では、ステップ404で誤用値204は供給せずに状態値201のみを伝える。したがってステップ404では、実際に生じている状態値201の詳細な評価を行うことができ、必要に応じて衝突閾値のより厳密な適合を行うことができる。
【0085】
別の実施例では、車両は、計算ユニットで実施する衝突検出機能を備える。さらに車両は、事故を決定するための加速度センサおよびカメラ、ライダー、およびレーダの形式の周辺認識センサを備える。さらに様々な区間の状態を受信することができる受信手段を車両に組み込んでいる。
【0086】
衝突検出機能は、周辺センサの信号および衝突センサの信号の両方を評価する。周辺認識センサによって差し迫る衝突を検出したときには衝突検出の感度を高め、衝突センサの信号に基づいて、同じ限界条件で(車両に作用する加速度が同一の場合に)衝突検出の感度を高めていない場合よりも早期に拘束手段をトリガする。
【0087】
さらに衝突検出機能は、周辺認識センサの評価に基づいて感度を高めるのを抑制することもできる。このような抑制は、車両通行面の状態に基づいて行う。通行中の表面の状態を評価できる方法は車両には組み込んでいないので、通行中の表面の状態に関する情報を受信する。これは車両に組み込んだ受信装置によって行う。
【0088】
この場合、道路状態は外部のサーバに保存し、外部のサーバから車両に送信し、車両で受信する。サーバに格納された情報は、例えば複数の車両によって収集された情報であってもよく、これらの車両では通行面の状態を決定するための機能を実施し、これらの車両は決定した状態をこのサーバに伝送する。
【0089】
代替的な実施形態では、様々な区間の状態は既に車両に保存しており、例えばデジタルマップに保存している。これらの状態は衝突検出機能によって読み取ることができ、衝突検出の感度を高めることを抑制するために使用することができる。
【0090】
代替的な実施形態では、道路状態に関する信号を他の車両から車両間通信インターフェイスを介して送信され、この車両によって受信する。
【0091】
図5は、車両のための乗員保護装置を制御するための基本的な方法を示し、この方法はステップ501で開始する。
【0092】
ステップ502では衝突検出機能によって、衝突が生じているかどうかを決定する。この決定は、衝突センサ521の少なくとも1つの信号に依存して行う。この信号521はこの実施例では加速度センサによって検出する。
【0093】
さらに、衝突が生じているかどうかの決定は周辺認識センサ522の信号に依存して行う。この信号522は、この実施例ではカメラによって検出する。周辺認識センサによって検出したこの信号は、衝突検出機能の感度を高めるために用いる。
【0094】
さらに、衝突が生じているかどうかの決定は、車両通行面の状態523に依存して行う。実際に車両が通行する道路の状態は様々な形式で決定することができる。車両の加速度センサ、例えば提供されている衝突センサを用いて状態を検出することが可能である。このためには、例えば
図2に示した方法を提案する。この実施例では、この状態523を表す信号は、様々な区間についての実際のデータが保存されているクラウドから受信する。
【0095】
衝突が生じていることがステップ502で衝突検出機能によって決定された場合には、ステップ503で乗員保護装置をトリガする。どの保護装置をトリガするのか、その保護装置をどのくらいの時間後にどのような強度でトリガするのかは、衝突検出機能の計算結果に依存する。衝突検出機能は、例えば様々な衝突の重大性を検出することができる状態にある。さらに、どちらの側で衝突が起こっているのか、車両、対象物、例えば木との衝突なのか、または人との衝突なのかを検出することができる。本方法はステップ504で終了する。
【0096】
衝突が生じていないことをステップ502で衝突検出機能によって決定したときには、乗員保護装置のトリガは行わない。この決定およびこの発明では、車両通行面の状態523を取り入れることが重要である。