(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、
図1〜
図15を参照して、本発明の実施形態に係る医療用光学撮影装置(以下、適宜「撮影装置4」という。)を説明する。撮影装置4を説明する前に、まず、撮影装置4が取り付けられる医療用診療装置100を説明する。
なお、本実施形態では、
図3または
図4に示す撮影装置4において、操作パネル部42側を前方向、2つの把持部43がある方向を左右方向、照明手段6及び撮影部7がある方向を下方向として説明する。
【0014】
≪医療用診療装置≫
図1に示す医療用診療装置100は、手術等で使うデジタル式カメラ、光学式カメラ、デジタル式顕微鏡(デジタル式マイクロスコープ)、光学式顕微鏡等から成る撮影装置4と、撮影装置4を移動可能に支持するためのアーム3と、アーム3を支持する支柱2と、を備えた医療機器である。
なお、医療用診療装置100は、撮影装置4を備えて、歯科等の医療の診断・治療を行う装置であればよく、使用用途、設置場所、アーム3及び支柱2の構造等は特に限定されない。以下、医療用診療装置100の一例として、撮影装置4を着脱自在に取り付けた歯科用治療ユニット1によって、根管Sa(
図10(b)参照)を被写体Sとする場合を例に挙げて説明する。
【0015】
≪歯科用治療ユニット≫
歯科用治療ユニット1は、診療台10と、診療台10に立設された支柱2と、支柱2の上部に軸支されたアーム3と、アーム3の先端部に取り付けた撮影装置4と、支柱2に設けた表示部5と、を備えている。歯科用治療ユニット1は、診療台10、支柱2、アーム3及び撮影装置4を有するものであればよく、型式、種類等は特に限定されない。
【0016】
図1に示すように、診療台10は、支柱2を有するものであればよく、患者が仰伏する診療台に限定されるものではない。
【0017】
支柱2は、アーム3の基端部を回転可能に支持する柱部材である。支柱2は、例えば、電源等と撮影装置4とを電気的に接続するハーネス35を挿通した円筒形状の金属製部材によって形成されている。支柱2の上下方向の中央部には、表示部5が設置されている。支柱2の上部には、アーム3の基端部が回動可能に設置されている。
【0018】
アーム3は、支柱2から撮影装置4に延びて配置されて、所定以上の力(予め設定された回転方向の任意の力)を移動方向に加えることで、撮影装置4を上下前後左右方向に移動可能に弾性支持する支持力を有するバランスアームから成る。アーム3は、複数の関節を有する多関節アームから成る。アーム3は、例えば、支柱2に配置された第1アーム31と、第1アーム31の先端部に配置された第2アーム32と、第2アーム32の先端部に配置されて撮影装置4を支持する第3アーム33と、を備えて成る。アーム3(例えば、第1アーム31及び第3アーム32)内には、基端側が支柱2内を挿通し、先端側が撮影装置4の筐体41に設けられたコネクタ(図示省略)に接続されたハーネス35が挿通されている。
【0019】
第1アーム31は、支柱2に水平方向に旋回可能に取り付けられている。第1アーム31は、第1アーム31に水平方向の所定以上の力が加えられた際に、取付金具31aを中心として旋回するように弾性支持されている。第1アーム31の基端部は、第1固定部材31bによって、水平方向に回動不能に支柱2に軸支されている。
【0020】
第2アーム32は、第2アーム32の第1アーム31側に回動可能に弾性支持された第2回転連結部材32aと、第2アーム32の第2回転連結部材42a側の内部に回動可能に弾性支持された第2上下方向軸支部材(図示省略)と、第2アーム32の先端部側に適宜な角度に保持可能に連結されたジョイント部32bと、を備えている。
【0021】
第3アーム33は、基端部が、第2アーム32のジョイント部32bに対して回転可能に連結されて、先端部の連結部に、撮影装置4をアーム3の先端に取り付けるための着脱部材34が設けられている。
【0022】
図1に示すように、着脱部材34は、第3アーム33の先端部と、撮影装置4と、を着脱可能に連結するための連結部材である。着脱部材34は、例えば、第3アーム33の先端に配置された接続部(図示省略)と、撮影装置4の筐体41の連結部とを連結して固定するための着脱ネジ部材から成る。
【0023】
図1及び
図2に示すように、表示部5は、診療情報を表示するための表示装置である。表示部5は、支柱2に回動可能に設置されている。表示部5は、撮影装置4に電気的に接続されている。このため、医療用診療装置100は、表示部5によって、医療用診療装置100で使用する診療情報の表示と、撮影装置4の映像情報の表示等を表示可能である。
【0024】
<撮影装置>
図1に示すように、撮影装置4は、前記したように、アーム3の先端に着脱自在に取り付けられる歯科手術用のデジタル式カメラ、無影灯カメラ、デジタル式顕微鏡等である。
図2に示すように、撮影装置4は、筐体41と、被写体Sに向けて照明光を照射する照明手段6と、被写体Sを撮影するための撮影部7と、撮影部7を制御するための制御部8と、を備えている。
なお、
図4〜
図7に示す照明手段6は、筐体41に対し固定して配置されていてもよく、光源駆動部69a,69b(
図9参照)を用いて手動で作動するものでも、電動で自動に作動するものであってもよい。このため、
図2の撮影装置4において、照明手段6は、光源駆動部69a,69bがなくてもよく、少なくとも光源取付台66は筐体41に対し固定して配置されていてもよい。以下、撮影装置4を説明する。
【0025】
<筐体>
図3〜
図7に示すように、筐体41は、撮影装置4の撮影装置本体である。筐体41は、略箱型をしている。筐体41は、前面に設けられた操作パネル部42と、左右側面に突設された把持部43と、左右の把持部43に設けられたスイッチ部44と、後面に設けられた被接続部(図示省略)と、底面に設けられた照明手段6及び撮影部7と、を備えている。被接続部(図示省略)は、筐体41に一体に設けられて、多数の接続端子を有する略直方体形状の電気接続部から成る。
【0026】
図4に示すように、筐体41の底面には、照明用レンズ65と、撮像レンズ系71とを露出した状態に配置するための設置孔41aを有するカバーパネル41bが設けられている。
図4〜
図7に示すように、これらの図に示す例では照明手段6は筐体41に対して固定して設けられている。
【0027】
筐体41の底面は、カバーパネル41bを外すと、
図5に示すように、中央部に配置された撮影部7の撮像レンズ系71と、撮像レンズ系71の前後左右の周囲に配置されて4つの発光素子61〜64をそれぞれ覆った照明用レンズ65(照明手段6)と、が現れるように組み付けられている。
【0028】
さらに、筐体41の底面は、照明手段6を外すと、
図6に示すように、撮像レンズ系71が、前記した
図5の撮像レンズ系71よりも大きく現れる。つまり、撮像レンズ系71は、被写体S側から見て、撮像レンズ系71の前方に配置された4つの発光素子61〜64(照明手段6)が撮像レンズ系71と重なるように配置されている(
図9参照)。また、
図9及び
図10(b)に示すように、4つの発光素子61〜64を備えて成る照明手段6は、撮像素子72への撮像光路R1を遮らない範囲で、中央部側に近づけて配置されている。
【0029】
<操作パネル部>
図3または
図7に示す操作パネル部42は、照明手段6または撮影部7を操作するための複数のタッチスイッチ(図示省略)を有する液晶パネル部である。
図7に示す操作パネル部42は、回路基板80の制御部8(
図2参照)に電気的に接続されて、タッチスイッチ(図示省略)の操作信号が制御部8に入力されて、照明手段6及び撮影部7を駆動させる。
【0030】
<把持部>
図3及び
図4に示す把持部43は、照明手段6または撮影部7を操作するとき、あるいは、筐体41をアーム3に着脱したり、筐体41の向きを調整したりするときに、持ち手となる部材である。把持部43は、側面視して略L字状(略への字状)に折曲形成した略棒状の部材から成る。このため、把持部43は、アーム3から分離して持ち運びの際の取手として使用することができる。
【0031】
<スイッチ部>
図3に示すように、スイッチ部44は、ピントを被写体S(根管Sa等)に自動的に合わせるためのオートフォーカス用スイッチである。なお、スイッチ部44は、フットスイッチや、把持部43と別体のスイッチであってもよい。
図2に示すように、スイッチ部44は、回路基板80(
図7参照)の制御部8に電気的に接続されて、スイッチ部44の操作信号が制御部8に入力されて、照明手段6及び撮影部7を駆動させる。
【0032】
<照明手段>
図10(b)及び
図11(b)に示すように、照明手段6は、患者の口腔内、被検査歯(歯牙)、根管Sa内等の被写体Sを明るく照らすための照明装置である。
図8(b)に示すように、照明手段6は、照明ケース本体60と、複数(例えば、4つ)の発光素子61〜64と、照明用レンズ65と、光源取付台66と、レール67と、レール取付板部材68と、光源駆動部69a〜69d(
図9参照)と、を備えて構成されている。
【0033】
なお、光源駆動部69a〜69d(
図9参照)は手動式のものであってもよい。また、照明手段6は、光源駆動部69a〜69d(
図9参照)がなくてもよく、
図4〜
図7に示すようにレール67と、レール取付板部材68と、光源駆動部69a〜69d(
図9参照)と、がなくてもよい。そのため、
図4〜
図7に示す照明手段6は、前記したように筐体41に対して固定して配置されていてもよい。以下、照明手段6の一例として、レール67と、レール取付板部材68と、光源駆動部69a〜69d(
図9参照)と、を備えた場合を例に挙げて説明する。
【0034】
図8(b)に示すように、照明ケース本体60は、照明手段6を設けた照明手段設置用筐体である。照明ケース本体60の下面側には、
図8(a)に示すように、窓部60bと、目盛60cと、を有した照明カバー60aが設置されている。窓部60bは、発光素子61〜64を配置した略十字形状の開口部から成る。目盛60cは、発光素子61〜64の前後左右(光軸Ax(
図12(a)、(b)参照))方向の位置を表す表示目盛である。
【0035】
図10(b)に示すように、照明手段6は、撮影部7から被写体Sまでの撮影距離L1が300mm〜500mmのとき、被写体Sの周辺での照度が7500Lx以上となるように設定されている。照明手段6は、被写体S側から見て撮像レンズ系71の前方の撮像レンズ系71と重なるように配置されて、撮像レンズ系71の光軸6aの中心に近づけて配置されている。また、照明手段6は、撮像素子72への撮像光路R1を遮らない範囲に近づけて配置して、画像にレンズフード等が移り込んで黒くなるケラレが生じないように配置されている。このため、照明手段6は、根管Saの深部まで照明手段6の光を届けて、根管Sa内を明るく照明可能になっている。
【0036】
図9に示すように、照明手段6は、撮像レンズ系71の受光面(センサ受光エリア71a)の縦横比(受光面の縦方向の長さL4と、受光面の横方向の長さL5との比)と、撮影部7により撮影された画像を表示する表示部5(
図1参照)の表示サイズの縦横比と、が略同一になるように配置されている。
【0037】
図8(b)及び
図9に示すように、発光素子61〜64は、被写体Sを照射する4つのLEDから成る。発光素子61〜64は、下面視して前後左右に配置された光源取付台66に実装されている。複数の発光素子61〜64の少なくとも一つは、380nm〜500nmのピーク波長を持つ発光体から成る。例えば、左右の位置にある発光素子61,62は、ピーク波長が405nmの青色発光ダイオードから成る。前後の位置にある発光素子63,64は、25,000Lxの白色発光ダイオードから成る。その発光素子61〜64の光軸6aは、
図10(b)及び
図11(b)に示すように、その光軸6aが根管Saの開口Sbを通過し鋭角θ1で交差可能に配置されて、根管Saの内を明るく照明することを可能にしている。鋭角θ1は、例えば、上下方向については4度〜11度、左右方向については5度〜13度であり、好ましくは、上下方向は5.6度〜9.6度、左右方向は6.6度〜11.6度である。
また、複数の発光素子61〜64(照明手段6)の少なくとも2つは、照明光が照射面で交差するように配置されている。つまり、発光素子61〜64は、
図10(b)、
図11(b)及び
図12(a)、(b)に示すように、照明用レンズ65を含むもの(一体タイプのもの)であっても、照明用レンズ65が別体のものでもよい。
【0038】
なお、発光素子61〜64の種類、構造、形状等は、特に限定されない。発光素子61〜64は、チップタイプ、レンズ一体タイプ等のLEDであってもよい。
【0039】
図8(a)、(b)及び
図9に示すように、照明用レンズ65は、4つの発光素子61〜64をそれぞれ覆う透明レンズ部材である。照明用レンズ65は、発光素子61〜64の下側に配置されて、光源取付台66に固定されている。4つの照明用レンズ65は、4つの発光素子61〜64から発せられた光が1点に交わるように配置されている。
【0040】
図9に示すように、光源取付台66は、4つの発光素子61〜64をそれぞれ実装したプレートである。光源取付台66は、レール67に進退自在に設置され、光源駆動部69a〜69dによってセンサ受光エリア71aの方向に進退するように配置されている。
【0041】
図8(b)に示すように、レール67は、各光源取付台66の移動を案内するガイド部材である。レール67は、下面視して中央部周辺(センサ受光エリア71a)から前後左右方向に延設されている。それぞれのレール67は、それぞれのレール取付板部材68に対して平行に配置されている。
【0042】
図8(b)に示すレール取付板部材68は、各レール67を載設した板部材である。レール取付板部材68は、照明ケース本体60に水平に取り付けられている。
【0043】
図9に示すように、光源駆動部69a〜69dは、発光素子61〜64を4つの発光素子61〜64の中心部の方向(前後左右方向)にそれぞれ進退させて配置位置を変更するための駆動装置である。光源駆動部69a〜69dは、電動モータ、リニアモータ等の駆動源で駆動される電動駆動装置であっても、手動で作動する手動装置でもどちらでもよい。以下、光源駆動部69a〜69dの一例として、電動駆動装置の場合を説明する。
【0044】
光源駆動部69a〜69dは、電動モータ691と、雄ねじ部材962と、雌ねじ部材963と、を備えて構成されている。光源駆動部69a〜69dは、例えば、前後左右の四カ所に設けられている。なお、光源駆動部69a〜69dは、四カ所に限らず、前後二カ所であってもよい。
【0045】
電動モータ691は、光源取付台66に載置された発光素子61〜64を進退させる駆動源である。
雄ねじ部材962は、電動モータ691によって回転駆動される部材である。雄ねじ部材962は、レール67に沿って平行に延設されている。
雌ねじ部材963は、雄ねじ部材962が螺合されて、レール67に沿って進退する部材である。雌ねじ部材963は、発光素子61〜64を載設した光源取付台66に固定されて、光源取付台66を進退駆動させる。
【0046】
<撮影部>
図2に示すように、撮影部7は、患者の口腔内の被写体Sを撮影する撮影装置部である。撮影部7は、撮像レンズ系71と、撮像レンズ系71により結像された光学像が入射される撮像素子72と、照明手段6の配置を変更するための駆動部73と、を備えて構成されている。
図10(b)に示すように、撮影部7は、オートフォーカス機能を有している。発光素子61〜64の光軸6aが鋭角(θ1)で交差した交差部6bは、オートフォーカス機能により撮像レンズ系71の合焦位置の範囲内にあるように配置される。
【0047】
撮影部7の焦点は、固定焦点である。その場合、固定焦点は、発光素子61〜64の光軸6aの角度が鋭角θ1で交差した交差部6bの近傍にある。
【0048】
撮像レンズ系71は、複数のレンズによって構成されて、照明手段6よりも上方(撮像素子72)側の位置に配置されている。
撮像素子72は、CMOS、CCD等の受像センサから成る。
【0049】
駆動部73は、
図12(a)に示すように、撮影部7が撮影する画像の拡大率を小さくするときに、照射角度θ2aを大きくなるように、発光素子61〜64を駆動させる照射角度調整装置である。また、駆動部73は、
図12(b)に示すように、撮影部7が撮影する画像の拡大率を大きくするときに、照射角度θ2bを小さくなるように、発光素子61〜64を駆動させる。
【0050】
図12(a)、(b)に示すように、駆動部73は、固定部73aと、照明手段傾動部73bと、電動モータ73cと、を備えて構成されている。
固定部73aは、光源取付台66に固定された板状部材である。固定部73aの撮影部7の光軸Ax側端部には、電動モータ73cが設置されている。
【0051】
照明手段傾動部73bは、電動モータ73cによって電動モータ73cの駆動軸を中心として傾動して、照射角度θ2a,θ2bの角度を変更させる板状部材である。照明手段傾動部73bは、基端側(撮影部7の光軸Ax側)が電動モータ73cの駆動軸に回動可能に連結されて、下面に発光素子61〜64が実装されている。
【0052】
電動モータ73cは、照明手段傾動部73bと固定部73aとを回動自在に連結した基端部を中心として照明手段傾動部73bを傾動させるための駆動源である。電動モータ73cは、
図2に示すように、照射角度制御手段84に電気的に接続されて、操作パネル部42またはスイッチ部44を操作することで、駆動する。
【0053】
<制御部>
図2に示すように、制御部8は、表示制御手段81と、拡大率変更手段82と、駆動制御手段83と、照射角度制御手段84と、を備えて構成されている。制御部8を構成する電気回路は、
図7に示す筐体41内に設置された回路基板80に設けられている。
【0054】
<表示制御手段>
図2に示す表示制御手段81は、表示部5に撮影画像を表示するための制御を行う制御装置である。表示制御手段81は、照明手段6が撮像素子72への撮像光路R1を遮るときに、照明手段6を表示しないように撮像レンズ系71の移動、及び、撮像素子72から得られた撮像データに対する画像処理の実行の少なくとも一方を行い、表示部5に撮影画像を表示させる。
【0055】
<拡大率変更手段>
拡大率変更手段82は、撮影部7が撮像する画像の拡大率を変更する拡大率変更装置である。拡大率変更手段82は、撮像レンズ系71の移動、及び、撮像素子72から得られた撮像データに対する拡大する等の画像処理の実行の少なくとも一方を行うことで、拡大率を変更する。駆動部73は、その拡大率に基づいて動作されるように構成されている。
【0056】
<駆動制御手段>
図2に示す駆動制御手段83は、駆動部73を自動制御して照明手段6の発光素子61〜64の配置位置を変更する駆動制御装置である。駆動制御手段83は、光源駆動部69a,69b,69c,69dにそれぞれ電気的に接続されている。
【0057】
照射角度制御手段84は、
図10(b)及び
図11(b)に示す照明手段6の照射角度θ2の角度を制御するための照射角度制御装置である。照射角度制御手段84は、拡大率変更手段82で変更した撮影部7で撮像する画像の拡大率に基づいて制御することで、照明光を根管Saの方向に向けて照射して、根管Sa内の深部を視認し易くすることができる(
図2参照)。
【0058】
≪作用≫
次に、
図14及び
図15を主に
図1〜
図15を参照しながら本実施形態に係る医療用診療装置100の作用を説明する。
【0059】
図1に示す撮影装置4は、歯科診療の際に、アーム3の先端に取り付けて使用する。歯科診療する際には、まず、第1〜第3アーム31,32,33を回動させて、撮影装置4の向きを被写体Sである根管Saの位置の方向に合わせる。
【0060】
次に、
図14を主に参照して、マニュアルズームがない場合における照明手段6の配置を自動的に変更する場合について説明する。
まず、
図2に示す操作パネル部42またはスイッチ部44を操作して、拡大率変更手段82を所望の拡大率に設定する。拡大率に設定操作を行った場合(ステップS1のYes)、制御部8は、設定された拡大率に対する照明手段6の位置情報を取得する(ステップS2)。拡大率の設定操作がない場合(ステップS1のNo)、制御部8は、その設定操作が行われたか継続して監視する。
【0061】
ステップS2で、拡大率に対する照明手段6の位置情報を取得した場合、照射角度制御手段84は、光源駆動部69a〜69d(電動モータ691)を駆動させて発光素子61〜64を前後左右方向に移動させて、発光素子61〜64(照明手段6)の間隔W1を調整することで、発光素子61〜64の配置変更を行う。これにより、発光素子61〜64は、
図9に示すように、対向する2組の発光素子61,62間または発光素子63,64間の距離L2(対向する発光素子61〜64の間隔W1)が調整されて、距離L2に応じて照明手段6の照射角度θ2が変更される。
【0062】
次に、
図15を主に参照して、マニュアルズームがある場合における照明手段6の配置を自動的に変更する場合について説明する。
まず、
図2に示す操作パネル部42またはスイッチ部44を操作して、拡大率変更手段82を所望の拡大率に設定する。そして、拡大率に設定操作が行われた場合(ステップS11のYes)は、ステップS12に進む。拡大率の設定操作がない場合(ステップS1のNo)、制御部8は、その設定操作が行われたか継続して監視する。
【0063】
制御部8は、設定された拡大率に対する照明手段6の配置情報を取得する。ステップS12で、拡大率に対する照明手段6の配置情報を取得した場合(ステップS12のYes)、照射角度制御手段84は、光源駆動部69a〜69d(電動モータ691)を駆動させて発光素子61〜64を前後左右方向に移動させて、発光素子61〜64(照明手段6)の間隔W1を調整することで、発光素子61〜64の配置変更を行う(ステップS16)。これにより、発光素子61〜64は、
図9に示すように、対向する2組の発光素子61,62間または発光素子63,64間の距離L2(対向する発光素子61〜64の間隔W1)が調整されて、距離L2に応じて照明手段6の照射角度θ2が変更される(ステップS16)。照射角度θ2が変更された場合は、終了する。
【0064】
ステップS12で照明手段6の配置情報がない場合(ステップS12のNo)は、ステップS16と同様に、照明手段6の配置変更を行って、光軸6aの角度θ1及び照射角度θ2を変更させる(ステップS13)。そして、ステップS14に進む。
【0065】
次に、設定された拡大率に対する照明手段6の配置情報を新たに登録する(ステップS14)。その登録が行われる場合(ステップS14のYes)は、配置情報の登録を行い(ステップS15)、終了する。また、前記登録が行われない場合(ステップS14のNo)は、配置情報の登録を行わずに終了する。
このようにして、照明手段6は、制御部8によって制御される。
【0066】
このように、本発明は、
図2または
図10(b)に示すように、被写体Sに向けて照明光を照射する照明手段6と、被写体Sを撮影するための撮影部7と、少なくとも撮影部7を制御するための制御部8と、を備えた医療用光学撮影装置4であって、撮影部7は、撮像レンズ系71と、撮像レンズ系71により結像された光学像が入射される撮像素子72と、を備え、照明手段6は、被写体S側から見て撮像レンズ系71の前方に、かつ、撮像レンズ系71と重なるように配置される。
【0067】
これにより、医療用光学撮影装置4は、照明手段6が被写体S側から見て撮像レンズ系71の前方の撮像レンズ系71と重なるように配置されていることで、照明手段6を撮像レンズ系71の光軸6aの中心に近づけることができる。このため、照明手段6は、光を細く深い穴から成る根管Saの深部まで届けて、根管Sa内を明るく照明することができるので、診療の効率を向上させて、治療し易くすることができる。
また、例えば、照明手段6は、撮影部7の撮像素子72への光路を避けるように、撮像レンズ系71の受光面(センサ受光エリア71a)の縦横比で配置することで、周辺照明で同軸照明に近い照明構造にすることができる。また、照明手段6は、ミラー等の高価な部品を削減することができるため、コストダウンを医療用光学撮影装置4のコストダウンを図ることができる。
よって、本発明は、小型で根管深部まで照明することができる安価な医療用光学撮影装置を提供することができる。
【0068】
また、
図9、
図10(b)あるいは
図11(b)に示すように、照明手段6は、被写体Sを照射する複数の発光素子61〜64で構成され、被写体Sは、根管Saであり、発光素子61〜64の光軸6aは、その光軸6aが根管Saの開口Sbを通過した先において、鋭角θ1で交差可能に配置される。
【0069】
これにより、
図11(b)に示す本発明の照明手段6は、根管Sa内に発光素子61〜64の光軸6aが比較例の光軸600a(
図11(a)参照)の角度θ10よりも鋭角θ1で交差するように、発光素子61〜64の間隔W1を、比較例の発光素子610,620(
図11(a)参照)間隔W10よりも短くして近づけている。このため、本発明の照明手段6は、根管Saの開口Sbから光軸6aの交差部6bまでの距離L6を、比較例の根管Saの開口Sbから光軸6aの交差部6bまでの距離L60よりも長くすることができるので、根管Saの内部、根管Saの内壁の奥深く撮影することが可能である。その結果、本発明の照明手段6は、さらに、根管Sa内を明るく照明することができるので、根管Saを容易に視認できるようにすることができる。
【0070】
また、
図10(b)に示すように、撮影部7は、オートフォーカス機能を有し、鋭角θ1で交差した交差部6bは、オートフォーカス機能により撮像レンズ系71の合焦位置の範囲内にあるように配置されている。
【0071】
これにより、撮影部7は、被写界深度の範囲に交差部6bを設けることで、焦点位置について明瞭な根管Saの画像を得ることができる。
【0072】
また、
図3に示すように、照明手段6又は/及び撮影部7(
図4参照)を操作するための把持部43をさらに備え、把持部43は、オートフォーカス機能を実行するためのスイッチ部44を有する。
【0073】
これにより、照明手段6又は/及び撮影部7(
図4参照)を操作するための把持部43は、オートフォーカス機能を実行するためのスイッチ部44を有しているので、医療用光学撮影装置4を撮影対象に移動させながら、操作をできるため、使用者の利便性を向上させることができる。また、照明手段6の操作又は/及び撮影部7(
図4参照)の操作を感覚的な操作で行うことが可能となる。
【0074】
また、
図11(a)、(b)に示すように、撮影部7の焦点は、固定焦点であり、固定焦点は、鋭角θ1で交差した交差部6bの近傍にある。
【0075】
これにより、撮影部7は、固定焦点の場合についても、明瞭な根管Saの画像を得ることができる。
【0076】
また、
図9に示す複数の発光素子61〜64のうちの一つは、ピーク波長が380nm〜500nmの光を発する。
【0077】
これにより、照明手段6の発光素子61〜64は、白色LEDだけでなく、青色LEDも含まれているので、プラークやレジン等の蛍光画像を取得することができる。また、照明手段6は、光源をLEDにすることにより、撮影装置4全体の小型化を図ることができると共に、低出力の光源で高光量を得ることができる。
【0078】
また、
図10(b)及び
図13(b)に示すように、照明手段6は、撮像素子72への撮像光路R1を遮らない範囲に近づけて配置されている。
【0079】
これにより、照明手段6は、撮像光路R1内に照明手段6を配置しないようしているので、画像にレンズフード等が移り込んで黒くなるケラレが生じないようにすることができる。
【0080】
また、
図2に示すように、制御部8は、表示部5に撮影画像を表示するための表示制御手段81を有し、表示制御手段81は、照明手段6が撮像素子72への撮像光路R1(
図10(b)参照)を遮るときに、照明手段6を表示しないように撮像レンズ系71の移動、及び、撮像素子72から得られた撮像データに対する画像処理の実行の少なくとも一方を行い、表示部5に撮影画像を表示する。
【0081】
これにより、制御部8は、撮像光路R1内に照明手段6を配置することで、さらに、照明手段6を光軸6aの中心に近づけることができる。このため、ケラレが生じていない画像の部分を、画像処理により表示部5に表示することができるので、医療用診療装置100を使用している術者に、最良の術野情報を提供することができる。
つまり、
図13(a)に示すように、画角度範囲A100が広角な広角撮影時の画角と、照明手段600との位置状態の場合は、照明手段600が撮像光路R1(
図10(b)参照)内に配置された低倍率の状態になっているで、ケラレが生じる。これに対して本発明は、撮像レンズ系71の位置を望遠状態(高倍率の状態)の広角範囲Aを小さい状態にするなどして、照明手段6が撮像素子72の撮像光路R1を遮らない範囲に近づけて配置されている。このため、照明手段6によるケラレが生じるのを防止することができる。
例えば、撮像レンズ系71(主にズームレンズ)の位置情報を読み取り、撮像レンズをケラレが生じる位置にならないようにすることで、ケラレの発生を解消することが可能である。また、例えば、照明手段6が画角の範囲内にあった場合であっても、ケラレが生じない範囲の画像を表示させるように画像処理を行うことで、ケラレが生じない画像を表示することができる。
【0082】
また、
図10(b)に示すように、照明手段6は、撮影部7から被写体Sまでの撮影距離L1が300mm〜500mmのとき、被写体Sの周辺での照度が7500Lx以上になる。
【0083】
これにより、照明手段6は、撮影距離L1の範囲内において、照明手段6の光量が一定以上になるようにすることで、術者が必要とする根管Saの深さ(例えば、10mm)まで、光を明るく照射することができる。
【0084】
また、
図9に示すように、照明手段6は、撮像レンズ系71の受光面(センサ受光エリア71a)の縦横比と、撮影部7により撮影された画像を表示部5に表示する表示サイズの縦横比と、が略同一になるように配置される。
【0085】
これにより、表示部5の画面比率と、撮像レンズ系71の受光面(センサ受光エリア71a)の縦横比は、およそ同一になるように設定されているので、不要な画像処理を減らすことができる。
【0086】
また、
図2に示すように、制御部8は、撮影部7が撮像する画像の拡大率を変更する拡大率変更手段82を備え、撮影部7は、照明手段6の配置を変更するための駆動部73を有し、拡大率変更手段82は、撮像レンズ系71の移動、及び、撮像素子72から得られた撮像データに対する画像処理の実行の少なくとも一方を行うことで、拡大率を変更し、駆動部73は、拡大率に基づいて動作される。
【0087】
これにより、撮影部7が撮像する画像の拡大率が変更になった場合には、受光エリアが小さくなることから、光軸方向に照明手段6を移動させ、根管Saの深部に照明光を届くようにすることができる。この場合、駆動部73は、拡大率に基づいて動作するものであればよく、例えば、手動式のものでも、自動式のものでもよい。なお、画像の拡大率が小さい場合は、受光エリアが大きくなる。
【0088】
また、
図2に示すように、制御部8は、駆動部73を制御する駆動制御手段83を有する。
【0089】
これにより、駆動制御手段83は、駆動部73を自動で制御することにより、照明手段6の発光素子61〜64の配置変更を容易に行うことができる。
【0090】
また、
図2に示すように、制御部8は、照明手段6の照射角度θ2(
図10(b)、
図11(b)参照)を制御するための照射角度制御手段84を有し、照射角度制御手段84は、拡大率に基づいて制御する。
【0091】
これにより、照射角度制御手段84は、照射角度θ2を変更することで、より明るい照明光を根管Saの方向に向けての照射することができるため、根管Sa内を視認し易くすることができる。
【0092】
また、
図9または
図10(b)に示すように、照明手段6は、複数配置されており、複数の照明手段6の少なくとも2つは、照明光が照射面で交差する。
【0093】
これにより、複数の照明手段6は、光軸6aの傾き角度θ1を調整して、照明光を撮影部7の光軸Ax上の所定の位置で交差させることで無影効果(照度の向上)を得ることができる。
【0094】
[第1変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0095】
図16は、本発明の実施形態に係る医療用光学撮影装置の第1変形例を示す図であり、(a)は照明手段の構造を示す概略斜視図、(b)は照明手段の構造を示す概略側面図である。
【0096】
また、前記実施形態の
図9に示す発光素子61〜64を移動させる電動モータ691と、雄ねじ部材692と、雌ねじ部材693とを備えて成る駆動機構は、
図16(a)、(b)に示すような歯車機構を有する照明手段駆動機構9Aであってもよい。
【0097】
照明手段駆動機構9Aは、電動モータ(図示省略)によって駆動される第1歯車91Aと、第2歯車92Aと、第3歯車93Aと、第4歯車94Aと、ねじ部材95Aと、支持部材96Aと、を備えて成る。
【0098】
第1歯車91Aは、左右前後の4つの照明手段駆動機構9Aを囲むように配置されて、左右前後の4つの第2歯車92Aに噛合して駆動させる内歯歯車である。
第2歯車92Aは、第1歯車91Aによって回転駆動される平歯車から成る。
第3歯車93Aは、第2歯車92Aと同軸に設けられて一体に回転するかさ歯車から成る。第2歯車92Aと第3歯車93Aとを連結した軸は、支持部材96Aに回転自在に軸支されている。
【0099】
第4歯車94Aは、第3歯車93Aに噛合して回転されるかさ歯車から成る。
ねじ部材95Aは、基端部が、第4歯車94Aに固定されて一体に回転し、先端部が、光源取付台66に設けられた雌ねじ部材693(
図9参照)に噛合して、光源取付台66を進退させるボールねじから成る。
支持部材96Aは、照明手段駆動機構9Aと、光源取付台66と、を支持する板状部材である。
光源取付台66は、光源取付台支持部材96Aaによって、支持部材96Aに保持されている。
このようにしても、前記実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0100】
[第2変形例]
図17は、本発明の実施形態に係る医療用光学撮影装置4Bの第2変形例を示す図であり、(a)は、拡大率を小さくしたときの照明手段6Bの状態を示す説明図、(b)は、拡大率を大きくしたときの照明手段6Bの状態を示す説明図である。
【0101】
前記実施形態の
図12(a)、(b)に示す照明手段6を傾動させる駆動部73は、
図17(a)、(b)に示すように、照明手段傾動部73Bbの先端部側を押圧する付勢部材73Bdと、付勢部材73Bdに押された照明手段傾動部73Bbの動きを規制する規制部材73Beと、を備えた駆動部73Bであってもよい。
【0102】
この場合、光源取付台66に固定された固定部73Baの光軸Ax側の一端部と、照明手段傾動部73Bbの光軸Ax側の一端部とは、ヒンジ部材73Bcによって連結されている。
付勢部材73Bdは、照明手段傾動部73Bbを照明手段6側に押圧して、照明手段6を実装した照明手段傾動部73Bbを、ヒンジ部材73Bcを中心として傾動させる部材である。付勢部材73Bdは、板ばね、ねじりばね等のばね部材、あるいは、押圧部材から成る。
【0103】
規制部材73Beは、付勢部材73Bdによって照明手段6側に傾動した照明手段傾動部73Bbを所望位置に停止した状態に支持するストッパである。規制部材73Beは、照明手段傾動部73Bbの他端部の照明手段6側に配置されている。
このようにしても、駆動部73Bは、前記実施形態の駆動部73と同様な作用効果が得られる。
【0104】
[第3変形例]
図18は、医療用診療装置100Cの第3変形例を示す斜視図である。
前記実施形態では、医療用診療装置100を歯科用治療ユニット1のアーム3の先端に医療用光学撮影装置4を取り付ける場合を説明したが、
図18に示すように、撮影装置4は、撮影装置用のスタンド1Cのアーム3Cの先端に取り付けてもよい。
【0105】
その場合、スタンド1Cは、基部10Cと、基部10Cに立設された支柱2Cと、支柱2Cの上部に軸支されたアーム3Cと、を備えて成る。スタンド1Cの先端側に配置されたアーム3Cの先端には、撮影装置4が交換可能に取り付けられる。スタンド1Cは、撮影装置4を取り付けることが可能である。
【0106】
基部10Cは、複数のキャスタ10Caと、複数のキャスタ10Caを支持する基部本体10Cbと、を備えて構成されている。
キャスタ10Caは、基部本体10Cbの下部の前後左右の4箇所にねじ止められた市販品のストッパ付キャスタから成る。
基部本体10Cbは、例えば、左右一対の横フレームと、一対の横フレームの中央部に架設された縦フレームと、を備えた金属製フレームから成る。
【0107】
支柱2Cは、アーム3Cの基端部を回転可能に支持する柱部材である。支柱2Cは、平面視して略H字形状の基部本体10Cbの中央部に立設されている。支柱2Cは、例えば、電源等と撮影装置4とを電気的に接続するハーネス35を挿通した円筒形状の金属製部材によって形成されている。
【0108】
アーム3Cは、支柱2Cから撮影装置4に延びて配置されて、所定以上の力を移動方向に加えることで、撮影装置4を上下前後左右方向に移動可能に弾性支持する支持力を有するいわゆるバランスアームから成る。アーム3Cは、例えば、支柱2Cの上部に配置された第1アーム31Cと、第1アーム31Cの先端部側に順次に配置された第2アーム32C、第3アーム33C、第4アーム34Cと、第4アーム34Cに配置されて撮影装置4を第4アーム34Cに着脱自在に連結するための着脱部材34と、を備えて成る。アーム3C内(例えば、第1アーム31C及び第2アーム32C)には、基端側が支柱2C内を挿通し、先端側が撮影装置4の筐体41に設けられたコネクタ(図示省略)に接続するためのハーネス35が配線されている。
【0109】
これにより、撮影装置4は、歯科診療の治療や検査や手術等の際に使用されるスタンド1Cのアーム3Cの先端に取り付けて使用することができる。
【0110】
[第4変形例]
前記実施形態では、撮像レンズ系71の位置を望遠状態(高倍率の状態)の広角範囲Aを小さい状態にし、照明手段6が撮像素子72の撮像光路R1を遮らない範囲に近づけることで、照明手段6によるケラレの発生を防止していたがこれに限定されない。
例えば、撮像レンズ系71(主にズームレンズ)の位置情報を読み取り、撮像レンズがケラレを生じる位置にならないようにすることで、ケラレの発生を解消してもよい。
また、照明手段6が画角の範囲内にあった場合であっても、ケラレが生じない範囲の画像を表示させるように画像処理を行うことで、ケラレが生じない画像を表示することができる。
【0111】
[その他の変形例]
実施形態及び第5変形例では、撮影装置4の設置例として、歯科用治療ユニット1(
図1参照)のアーム3の先端部や、スタンド1C(
図18参照)のアーム3Cの先端部に配置した場合を説明したが、それに限定されるものではない。
例えば、撮影装置4は、歯科診療室の天井面に設置した天井面設置タイプのアームや、歯科診療室の床面に設置した床面設置タイプのアームや、歯科診用テーブル等のテーブル上に配置したスタンドタイプのアーム等に取り付けてもよい。
【0112】
また、実施形態では、医療用診療装置100の一例として、光学式カメラ、デジタル式カメラ及びデジタル式顕微鏡等から成る撮影装置4を例に挙げて説明したが、光学式顕微鏡であっても適用可能である。医療用診療装置100は、光学式顕微鏡に使用した場合であっても、照明手段6によって、小型で根管深部まで照明することができる安価な装置を提供することができる。
小型で根管深部まで照明することができる安価な医療用光学撮影装置を提供することを課題とする。医療用光学撮影装置(4)は、被写体に向けて照明光を照射する照明手段(6)と、被写体を撮影するための撮影部(7)と、少なくとも撮影部(7)を制御するための制御部(8)と、を備えている。撮影部(7)は、撮像レンズ系(71)と、撮像レンズ系(71)により結像された光学像が入射される撮像素子(72)と、を備えている。照明手段(6)は、被写体側から見て撮像レンズ系(71)の前方に、かつ、撮像レンズ系(71)と重なるように配置されている。