(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記エリアの地表温度が閾値未満である場合、前記運搬対象の離脱のために前記航空機をホバリングさせた状態で前記運搬対象を降下させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
前記制御部は、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記エリアにおいて離脱される前記運搬対象の受け取り側での受取準備ができたことを確認した後に、前記運搬対象の離脱のために前記航空機をホバリングさせた状態で前記運搬対象を降下させることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
前記制御部は、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記エリアにおいて離脱される前記運搬対象の受け取り側での受取準備ができたことを確認した後に、前記運搬対象の離脱のために前記航空機を着陸させることを特徴とする請求項1または3に記載の制御装置。
前記制御部は、前記運搬対象の受け取り側へ確認通知を行い、前記受け取り側から準備完了を示す応答を受信することにより、前記受け取り側での受取準備ができたことを確認することを特徴とする請求項6または7に記載の制御装置。
前記制御部は、前記航空機に備えられるカメラにより撮像された画像から前記運搬対象の受け取り側を認識することにより、前記受け取り側での受取準備ができたことを確認することを特徴とする請求項6または7に記載の制御装置。
前記制御部は、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記運搬対象の離脱のために前記エリアとは異なるエリアへ前記航空機を移動させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
前記エリア内の複数の地点の地表温度の分布に基づいて、前記地表温度が閾値未満である地点を前記運搬対象が離脱される地点として選定する選定部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、航空機から運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度が高い場合、運搬対象に好ましくない影響を与える可能性があった。また、航空機が運搬対象を運搬するかどうかにかかわらず、地表温度が高いエリアに航空機が着陸する場合、航空機自体にも好ましくない影響を与える可能性があった。
【0005】
そこで、地表温度によって運搬対象または航空機に好ましくない影響が与えられることを防ぐことが可能な制御装置及び制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、運搬対象を運搬する航空機であって飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行う制御装置において、
前記航空機が飛行中に上空から前記センサにより計測された地表温度であって、前記運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度を取得する取得部と、前記エリアの地表温度に応じて、前記運搬対象の離脱に関する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする。これにより、運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度によって運搬対象に好ましくない影響が与えられることを防ぐことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、前記制御部は、前記エリアの地表温度が閾値未満である場合、前記運搬対象の離脱のために前記航空機をホバリングさせた状態で前記運搬対象を降下させることを特徴とする。これにより、地表温度が閾値未満であるエリアにおいて、より迅速に運搬対象を離脱させることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、前記制御部は、前記エリアの地表温度が閾値未満である場合、前記運搬対象の離脱のために前記航空機を着陸させることを特徴とする。これにより、地表温度が閾値未満であるエリアにおいて、より適切に運搬対象を離脱させることができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
運搬対象を運搬する航空機であって飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行う制御装置において、前記センサにより計測された地表温度であって、前記運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度を取得する取得部と、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記地表温度を低下させるための制御を行い、前記地表温度が閾値未満になったことを確認した後に、前記運搬対象の離脱のために前記航空機をホバリングさせた状態で前記運搬対象を降下させる
制御部と、を備えることを特徴とする。これにより、運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度が閾値以上であっても、当該地表温度を閾値未満に低下させた後に、より迅速に運搬対象を離脱させることができる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、
運搬対象を運搬する航空機であって飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行う制御装置において、前記センサにより計測された地表温度であって、前記運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度を取得する取得部と、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記地表温度を低下させるための制御を行い、前記地表温度が閾値未満になったことを確認した後に、前記運搬対象の離脱のために前記航空機を着陸させる
制御部と、を備えることを特徴とする。これにより、運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度が閾値以上であっても、当該地表温度を閾値未満に低下させた後に、より適切に運搬対象を離脱させることができる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載の制御装置において、前記制御部は、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記エリアにおいて離脱される前記運搬対象の受け取り側での受取準備ができたことを確認した後に、前記運搬対象の離脱のために前記航空機をホバリングさせた状態で前記運搬対象を降下させることを特徴とする。これにより、運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度が閾値以上であっても、当該エリアにおいて、より迅速に運搬対象を離脱して受け取り側に受け渡すことができる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1または3に記載の制御装置において、前記制御部は、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記エリアにおいて離脱される前記運搬対象の受け取り側での受取準備ができたことを確認した後に、前記運搬対象の離脱のために前記航空機を着陸させることを特徴とする。これにより、運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度が閾値以上であっても、当該エリアにおいて、より適切に運搬対象を離脱して受け取り側に受け渡すことができる。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の制御装置において、前記制御部は、前記運搬対象の受け取り側へ確認通知を行い、前記受け取り側から準備完了を示す応答を受信することにより、前記受け取り側で受取準備ができたことを確認することを特徴とする。これにより、受け取り側で運搬対象の受取準備ができたことを、より確実に確認することができる。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項6または7に記載の制御装置において、前記制御部は、前記航空機に備えられるカメラにより撮像された画像から前記運搬対象の受け取り側を認識することにより、前記受け取り側で受取準備ができたことを確認することを特徴とする。これにより、受け取り側で運搬対象の受取準備ができたことを、より迅速に確認することができる。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、前記制御部は、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記運搬対象の離脱のために前記エリアとは異なるエリアへ前記航空機を移動させることを特徴とする。これにより、運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度が閾値以上であっても、異なるエリアへ移動させて適切な対応を図ることができる。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の制御装置において、前記エリア内の複数の地点の地表温度の分布に基づいて、前記地表温度が閾値未満である地点を前記運搬対象が離脱される地点として選定する選定部を更に備えることを特徴とする。これにより、運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度に応じた適切な地点で運搬対象を離脱させることができる。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項2乃至11の何れか一項に記載の制御装置において、前記閾値は、前記運搬対象の種別に応じて設定されることを特徴とする。これにより、運搬対象の種別と当該運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度とに応じて適切な対応を図ることができる。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の制御装置において、前記航空機は、異なる種別の複数の運搬対象を運搬し、前記選定部は、前記エリア内の複数の地点の地表温度の分布に基づいて、それぞれの前記運搬対象毎に、前記地表温度が閾値未満である地点を前記運搬対象が離脱される地点として選定することを特徴とする。これにより、複数の運搬対象のそれぞれの種別と各運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度とに応じた適切な地点で運搬対象を離脱させることができる。
【0019】
請求項14に記載の発明は、運搬対象を運搬する航空機であって飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行うシステムにより実行される制御方法において、
前記航空機が飛行中に上空から前記センサにより計測された地表温度であって、前記運搬対象が離脱されるエリアの地表温度を取得するステップと、前記エリアの地表温度に応じて、前記運搬対象の離脱に関する制御を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行う制御装置において、
前記航空機が飛行中に上空から前記センサにより計測された地表温度であって、前記航空機が着陸する予定のエリアの地表温度を取得する取得部と、前記エリアの地表温度に応じて、前記航空機の着陸に関する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする。これにより、航空機が着陸する予定のエリアの地表温度によって航空機に好ましくない影響が与えられることを防ぐことができる。
請求項16に記載の発明は、運搬対象を運搬する航空機であって飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行うシステムにより実行される制御方法において、前記センサにより計測された地表温度であって、前記運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度を取得するステップと、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記地表温度を低下させるための制御を行い、前記地表温度が閾値未満になったことを確認した後に、前記運搬対象の離脱のために前記航空機をホバリングさせた状態で前記運搬対象を降下させるステップと、を含むことを特徴とする。請求項17に記載の発明は、運搬対象を運搬する航空機であって飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行うシステムにより実行される制御方法において、前記センサにより計測された地表温度であって、前記運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度を取得するステップと、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記地表温度を低下させるための制御を行い、前記地表温度が閾値未満になったことを確認した後に、前記運搬対象の離脱のために前記航空機を着陸させるステップと、を含むことを特徴とする。請求項18に記載の発明は、飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行うシステムにより実行される制御方法において、前記航空機が飛行中に上空から前記センサにより計測された地表温度であって、前記航空機が着陸する予定のエリアの地表温度を取得するステップと、前記エリアの地表温度に応じて、前記航空機の着陸に関する制御を行うステップと、を含むことを特徴とする。請求項19に記載の発明は、飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行う制御装置において、前記センサにより計測された地表温度であって、前記航空機が着陸する予定のエリアの地表温度を取得する取得部と、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記地表温度を低下させるための制御を行い、前記地表温度が閾値未満になったことを確認した後に、前記航空機を着陸させる制御部と、を備えることを特徴とする。請求項20に記載の発明は、飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行うシステムにより実行される制御方法において、前記センサにより計測された地表温度であって、前記航空機が着陸する予定のエリアの地表温度を取得するステップと、前記エリアの地表温度が閾値以上である場合、前記地表温度を低下させるための制御を行い、前記地表温度が閾値未満になったことを確認した後に、前記航空機を着陸させるステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度によって運搬対象または航空機に好ましくない影響が与えられることを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、飛行システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0024】
[
1.飛行システムSの構成及び動作概要]
先ず、
図1を参照して、無人で飛行可能な航空機を所定の目的のために飛行させる飛行システムSの構成及び動作概要について説明する。所定の目的の例として、例えば、運搬、測量、撮影、点検、監視等が挙げられるが、以下の実施形態では、運搬対象を運搬する目的のために無人航空機を飛行させる場合を例にとるものとする。
図1は、飛行システムSの概要構成例を示す図である。
図1に示すように、飛行システムSは、大気中(空中)を飛行する無人航空機(以下、「UAV(Unmanned Aerial Vehicle)」と称する)1、運航管理システム(以下、「UTMS(UAV Traffic Management System)」と称する)2、及びポート管理システム(以下、「PMS(Port Management System)」と称する)3を含んで構成される。UAV1、UTMS2、及びPMS3は、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能になっている。通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、移動体通信ネットワーク及びその無線基地局等から構成される。なお、
図1の例では、1つのUAV1を示すが実際には複数存在してよい。UTMS2とPMS3とは、1つの管理システムとして構成されてもよい。
【0025】
UAV1は、運搬対象を所定のエリアへ運搬するために、地上からオペレータによる遠隔操縦に従って飛行、または自律的に飛行することが可能になっている。ここで、所定のエリアとは、例えばUAV1の平面サイズ以上の広さ(例えば、数十cm
2〜数十m
2程度の広さ)を有し、運搬対象がUAV1から離脱される予定のエリア(以下、「離脱予定エリア」と称する)である。離脱予定エリアには、例えば建物の屋上、公園や学校の校庭、空き地等の他、災害発生時等の非常時における避難所を含むエリア等が該当する。離脱予定エリア内には、UAV1の離着陸用として整備された離着陸施設(以下、「ポート」と称する)が設置されている場合もある。運搬対象の例として、物品、人、動物等が挙げられるが、以下の実施形態では、物品を例にとるものとする。物品の例として、商品、宅配物、避難物資、救援物資等が挙げられるが、UAV1が運搬できる貨物であればどのような物であってもよい。なお、UAV1は、種別の異なる複数の物品を一度に運搬する場合もある。UAV1は、ドローン、またはマルチコプタとも呼ばれる。UAV1は、GCS(Ground Control Station)により管理される。GCSは、例えば、アプリケーションとして通信ネットワークNWに接続可能な操縦端末に搭載される。この場合、オペレータは、例えば、操縦端末を操作してUAV1を遠隔操縦する人である。或いは、GCSは、サーバ等により構成されてもよい。この場合、オペレータは、例えば、GCSの管理者、またはサーバが備えるコントローラである。
【0026】
UTMS2は、制御サーバCSを含む1以上のサーバ等を備えて構成される。制御サーバCSは、制御装置の一例である。UTMS2は、UAV1の運航を管理する。UAV1の運航管理には、UAV1の運航計画の管理、UAV1の飛行状況の管理、及びUAV1の制御が含まれる。UAV1の運航計画とは、UAV1の出発地点(飛行開始地点)から離脱予定エリア(ポートを含む場合もある)までの飛行経路(予定経路)等を含む飛行計画である。飛行経路は、例えば、その経路上の緯度及び経度で表され、飛行高度を含んでもよい。UAV1の飛行状況の管理は、UAV1の航空機情報に基づいて行われる。UAV1の航空機情報には、少なくともUAV1の位置情報が含まれる。UAV1の位置情報は、UAV1の現在位置を示す。UAV1の現在位置とは、飛行中のUAV1の飛行位置である。UAV1の航空機情報には、UAV1の速度情報等が含まれてもよい。速度情報は、UAV1の飛行速度を示す。
【0027】
PMS3は、1または複数のサーバ等により構成される。PMS3は、例えば、離脱予定エリア内に設置されたポートを管理する。ポートの管理は、ポートの位置情報及びポートの予約情報等に基づいて行われる。ここで、ポートの位置情報は、ポートの設置位置を示す。ポートの予約情報には、ポートを予約したUAV1の機体ID、及び到着予定時刻の情報等が含まれる。UAV1の機体IDは、UAV1を識別する識別情報である。ポートは、UAV1により運搬(例えば、配送)される物品の受け渡しに利用される。例えば、ポートに着陸したUAV1から物品が離脱されることで当該物品が受け取り側(例えば、人またはUGV(Unmanned Ground Vehicle))に受け渡される。或いは、ポートの上空でホバリングするUAV1から物品がリールやウィンチ等により降下して地面に到達したとき、または地面から数mの高さに到達したときに離脱されることで当該物品が受け取り側に受け渡される。なお、ポートの上空でホバリングするUAV1から物品が投下される(つまり、上空で離脱される)ことで当該物品が受け取り側に受け渡される場合もある。
【0028】
ところで、ポートにおいてUAV1から離脱された物品は、直ちに当該物品の受け取り側へ受け渡されず、ポート上に例えば数十分程度放置される場合がある。ポートは、一般に、平らで硬く上空からの見通しが良い地面(例えば、コンクリートの地面)に設けられるため、多くの直射日光を受けやすく、その表面が高温になりやすい(例えば、炎天下ではポートの表面温度が60℃を上回る場合もある)。したがって、物品がポート上に放置されると、その種別(特に、冷蔵または冷凍食品、生鮮食品など)によっては、物品の品質が急激に低下するなど、物品に好ましくない影響を与える可能性が高い。このことは、地面の属性(例えば、コンクリート、土、芝生等)にもよるがポート以外の場所に物品が放置される場合も同様である。本実施形態では、物品の離脱予定エリアの地表温度に応じて、物品の離脱に関する制御が行われるようになっている。物品の離脱に関する制御は、UAV1により行われてもよいし、制御サーバCSにより行われてもよいし、UAV1と制御サーバCSとが連携して行われてもよい。なお、ポートには、ポート上を冷却する冷却装置が備えられる場合もある。この場合、冷却装置は、UAV1またはサーバCSからの駆動制御指令にしたがって駆動するように構成されるとよい。ポートに冷却装置が備えられているか否かの情報はPMS3により管理されるとよい。
【0029】
[
1−1.UAV1の構成及び機能概要]
次に、
図2を参照してUAV1の構成及び機能概要について説明する。
図2は、UAV1の概要構成例を示す図である。
図2に示すように、UAV1は、駆動部11、測位部12、無線通信部13、撮像部14、温度センサ15、及び制御部16等を備える。制御部16は、制御装置の一例である。なお、図示しないが、UAV1は、水平回転翼であるロータ(プロペラ)、各種センサ、運搬される物品を保持し離脱させることが可能な物品保持機構、及びUAV1の各部へ電力を供給するバッテリ等を備える。物品保持機構は複数の物品のそれぞれを保持し離脱させることが可能に構成されてもよい。物品保持機構は、制御部16により制御されて物品を離脱させる(例えば物品を把持するアームをモータ駆動により開放する等)ことが可能である。また、UAV1は、ワイヤの繰り出しが可能なリールやウインチを含み、ワイヤの先に物品が接続されていてもよい。この場合、物品保持機構は、物品とワイヤの間を接続する部分に存在して物品と共に降下する機構であってもよいし、降下せず物品をワイヤと共に離脱させる(例えばワイヤを切断する)機構であってもよい。また、UAV1は、離脱予定エリア内の地面を冷却するための液体(例えば、水)を投下(散水)するための散水機構を備えてもよい。散水機構には、水を蓄えるタンク、及び水を投下するスプリンクラー等が備えられる。また、UAV1の飛行制御に用いられる各種センサには、気圧センサ、3軸加速度センサ、及び地磁気センサ等が含まれる。各種センサにより検出された検出情報は、制御部16へ出力される。
【0030】
駆動部11は、モータ及び回転軸等を備える。駆動部11は、制御部16から出力された制御信号に従って駆動するモータ及び回転軸等により複数のロータを回転させる。測位部12は、電波受信機及び高度センサ等を備える。測位部12は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星から発信された電波を電波受信機により受信し、当該電波に基づいてUAV1の水平方向の現在位置(緯度及び経度)を検出する。UAV1の現在位置は、飛行中のUAV1の飛行位置である。なお、UAV1の水平方向の現在位置は、撮像部14により撮像された画像データや上記無線基地局から発信された電波に基づいて補正されてもよい。さらに、測位部12は、高度センサによりUAV1の垂直方向の現在位置(高度)を検出してもよい。測位部12により検出された現在位置を示す位置情報は、制御部16へ出力される。
【0031】
無線通信部13は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。撮像部14は、カメラ等を備える。カメラは、UAV1の飛行制御に用いられる。撮像部14は、カメラの画角に収まる範囲内の実空間を連続的に撮像する。撮像部14により撮像された画像データは、制御部16へ出力される。温度センサ15は、UAV1の飛行中に上空から地表温度を計測可能なセンサであり、例えば赤外線サーモグラフィを備える。温度センサ15により計測された地表温度を示す地表温度分布データは、制御部16へ出力される。
【0032】
制御部16は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び不揮発性メモリ等を備える。制御部16は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶された制御プログラムに従ってUAV1の各種制御を実行する。各種制御には、離陸制御、飛行制御、及び着陸制御が含まれる。飛行制御及び着陸制御においては、測位部12から取得された位置情報、撮像部14から取得された画像データ、各種センサから取得された検出情報、及び飛行計画を示す飛行計画情報が用いられて、ロータの回転数の制御、UAV1の位置、姿勢及び進行方向の制御が行われる。ここで、飛行計画情報は、例えばGCSまたはUTMS2から取得される。飛行計画情報には、離脱予定エリアの位置情報が含まれる。制御部16は、離脱予定エリアの位置情報に従ってUAV1を当該離脱予定エリアへ遠隔操縦または自律的に飛行させることができる。なお、UAV1の自律的な飛行は、当該UAV1に備えられる制御部16が飛行制御を行うことによる自律飛行に限定されるものではなく、当該UAV1の自律的な飛行には、例えば飛行システムS全体として飛行制御を行うことによる自律飛行も含まれる。
【0033】
さらに、制御部16は、例えば離脱予定エリアに到達したときに、温度センサ15に離脱予定エリアの地表温度を計測させ、当該計測された、離脱予定エリアの地表温度(地表温度分布データ)を温度センサ15から取得する。なお、地表温度分布データにおいて離脱予定エリア内の各地点の地表温度には、当該各地点の緯度及び緯度が対応付けられるとよい。そして、制御部16は、離脱予定エリアの地表温度に応じて、物品の離脱に関する制御を行うことで、物品の離脱に関する後続の処理を異ならせる。例えば、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満である場合、制御部16は、物品の離脱のためにUAV1をホバリングさせた状態で物品をリールやウィンチ等により当該離脱予定エリア内に降下させる。これにより、地表温度が閾値未満である離脱予定エリアにおいて、より迅速に物品を離脱させることができる。ここで、ホバリングさせた状態とは、UAV1が空中で完全に静止した状態に限定されず、UAV1が多少の移動(つまり、水平方向、垂直方向、または斜め方向に移動)が発生してもよい(つまり、UAV1が着陸せず空中に浮いていればよい)。或いは、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満である場合、制御部16は、物品の離脱のためにUAV1を離脱予定エリア内に着陸させてもよい。これにより、地表温度が閾値未満である離脱予定エリアにおいて、より適切(安全)に物品を離脱させることができる。なお、閾値は、物品の種別に応じて設定されるとよい。
【0034】
一方、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上である場合、制御部16は、当該離脱予定エリアの地表温度を低下させるための制御を行い、当該地表温度が閾値未満になったことを確認してもよい。ここで、離脱予定エリアの地表温度を低下させるための制御として、制御部16は、例えば、UAV1の散水機構を駆動させて水を投下(散水)させる。もし、物品が離脱予定エリア内のポート上で離脱するか、或いはUAV1が当該ポート上に着陸する場合において、当該ポートに冷却装置が備えられる場合、制御部16は、駆動制御指令を冷却装置に送信することで当該冷却装置を駆動させて当該ポートを冷却してもよい。そして、制御部16は、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満になったことを確認した後に、物品の離脱のためにUAV1をホバリングさせた状態で物品を当該離脱予定エリア内に降下させるか、或いは、UAV1を着陸させる。これにより、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上であっても、当該地表温度を閾値未満に低下させた後に物品を離脱させることができる。
【0035】
また、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上である場合、制御部16は、物品の離脱のために当該離脱予定エリアとは異なるエリアへUAV1を移動させてもよい。かかる移動の目的は、(i)異なるエリア(別のポート等)で物品を離脱させて当該物品の受け取り側へ受け渡すため、(ii)地表温度が低下するまで異なるエリアに着陸して待機するため、(iii)物品の受け取り側への受け渡しを断念して異なるエリア(出発地点であってもよいし他の場所でもよい)で回収するため、等であってもよい。これにより、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上であっても、UAV1を異なるエリアへ移動させて適切な対応を図ることができる。
【0036】
また、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上であっても、制御部16は、当該離脱予定エリアにおいて離脱される物品の受け取り側での受取準備ができたことを確認した後に、当該物品の離脱のためにUAV1をホバリングさせた状態でUAV1を降下させるか、或いは、UAV1を着陸させてもよい。これにより、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上であっても、当該離脱予定エリアにおいて物品を離脱して受け取り側に受け渡す(つまり、地面に物品を置かずに受け渡す)ことができる。ここで、受け取り側での受取準備ができたことの確認は、例えば、制御部16が撮像部14により撮像された画像データから物品の受け取り側を認識することにより行われる。これにより、受け取り側で物品の受取準備ができたことを、より迅速に確認することができる。より具体的には、制御部16は、予め登録された人の顔画像データと、撮像部14により撮像された人の顔画像データとを照合し、顔の一致度が閾値以上である場合に物品の受け取り側を認識(認証)する。或いは、制御部16は、予め登録されたUGVのマーク画像データと、撮像部14により撮像されたUGVのマーク(つまり、UGVの表面に付されたマーク)画像データとを照合し、マークの一致度が閾値以上である場合に物品の受け取り側を認識(認証)してもよい。
【0037】
なお、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満であるか否かまたは閾値以上であるか否かの判定(確認)は、制御部16により行われてもよいし、制御サーバCSにより行われてもよい。後者の場合、制御部16は、離脱予定エリアの地表温度を示す地表温度分布データを、UAV1の機体ID及び航空機情報とともに、無線通信部13を介して制御サーバCSへ送信する。そして、制御部16は、制御サーバCSまたはGCSからの離脱制御指令に応じて、物品の離脱のためにUAV1をホバリングさせた状態で物品を降下させるか、或いは、UAV1を着陸させる。或いは、制御部16は、制御サーバCSまたはGCSからの移動制御指令に応じて、当該離脱予定エリアとは異なるエリアへUAV1を移動させてもよい。
【0038】
ところで、離脱予定エリアの地表温度の分布は一定であるとは限らない。つまり、離脱予定エリア内のある部分の地表温度と、当該離脱予定エリア内の他の部分の地表温度が異なる場合が想定される。このことは、離脱予定エリアが広いほど顕著になる。したがって、離脱予定エリアの地表温度の分布が一定でない場合、例えば、離脱予定エリア内の地表温度の最小値が閾値未満であるか否かが判定されるとよい。別の例として、離脱予定エリア内の複数の地点の地表温度の分布に基づいて、地表温度が閾値未満である地点を、物品が離脱される地点(以下、「離脱地点」と称する)として選定してもよい。これにより、離脱予定エリアの地表温度に応じた適切な離脱地点で物品を離脱させることができる。
【0039】
物品の離脱地点の広さは、例えば物品の平面サイズ(換言すると、物品の接地面の面積)程度の広さ、またはUAV1の平面サイズ以上の広さであるとよい。物品の離脱地点の選定は、制御部16により行われてもよいし、制御サーバCSにより行われてもよい。後者の場合、制御サーバCSまたはGCSからの離脱制御指令に物品の離脱地点の位置情報が示される。そして、制御部16は、当該離脱制御指令に応じて、UAV1をホバリングさせた状態で離脱制御指令に示される離脱地点に物品を降下させるか、或いはUAV1を当該離脱地点に着陸させる。これにより、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上であると判定される頻度が低下するので、UAV1または制御サーバCSの負荷を低減することができ、また、UAV1の電力消費量を低減することができる。
【0040】
[
1−2.制御サーバCSの構成及び機能概要]
次に、
図3及び
図4を参照して制御サーバCSの構成及び機能概要について説明する。
図3は、制御サーバCSの概要構成例を示す図である。
図3に示すように、制御サーバCSは、通信部21、記憶部22、制御部23等を備える。通信部21は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ等を備える。記憶部22には、UAV1が飛行可能なエリアの地図データが記憶される。地図データには、UAV1が飛行可能なエリアにおける各地点の位置情報(例えば、緯度及び経度)が含まれる。
【0041】
また、記憶部22には、物品の管理情報が物品毎に区別されて記憶される。物品の管理情報には、例えば、物品の物品ID、物品の種別、物品の離脱予定エリアの位置情報、物品を運搬するUAV1の機体ID、及び物品の受け取り側の情報が含まれる。ここで、物品IDは、物品を識別する識別情報である。物品の受け取り側の情報には、離脱予定エリアで物品を受け取るユーザのメールアドレス、当該ユーザのユーザID等が含まれる。ユーザIDは、ユーザを識別する識別情報である。或いは、物品の受け取り側の情報には、離脱予定エリアで物品を受け取るUGVにアクセスするための通信用アドレス(例えば、IPアドレス)、当該UGVを利用するユーザのメールアドレス、当該ユーザのユーザID等が含まれる。物品の受け取り側の情報には、物品を受け取るユーザの顔画像データ、または物品を受け取るUGVのマーク画像データが含まれてもよい。
【0042】
制御部23は、プロセッサであるCPU、ROM、RAM、及び不揮発性メモリ等を備える。
図4は、制御部23における機能ブロック例を示す図である。制御部23は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、
図4に示すように、地表温度取得部23a、離脱地点選定部23b、及び航空機制御部23c等として機能する。地表温度取得部23aは、取得部の一例である。離脱地点選定部23bは、選定部の一例である。
【0043】
地表温度取得部23aは、UAV1の温度センサ15により計測された、離脱予定エリアの地表温度を、UAV1の機体IDとともに、当該UAV1から例えば所定時間間隔で取得する。離脱地点選定部23bは、離脱予定エリア内の複数の地点の地表温度の分布に基づいて、地表温度が閾値未満である地点を物品の離脱地点として選定し、当該離脱地点の位置情報を取得する。ここで、閾値は、物品の種別に応じて設定されるとよい。なお、UAV1が異なる種別の複数の物品を運搬する場合、地表温度取得部23aは、離脱予定エリア内の複数の地点の地表温度の分布に基づいて、それぞれの物品毎に地表温度が閾値(例えば、物品の種別に応じて設定された閾値)未満である地点を、それぞれの物品の離脱地点として選定し、それぞれの離脱地点の位置情報を取得する。これにより、複数の物品のそれぞれの種別と各物品の離脱予定エリアの地表温度とに応じた適切な離脱地点で物品を離脱させることができる。
【0044】
図5は、離脱予定エリア内の複数の地点の地表温度の分布を示す図である。
図5の例では、表面温度が13℃〜17℃の部分エリアAr1、表面温度が18℃〜22℃の部分エリアAr2、表面温度が23℃〜27℃の部分エリアAr3、及び表面温度が28℃〜32℃の部分エリアAr4が示されている。例えば、物品の種別に応じて設定された閾値が18℃である場合、地表温度が閾値18℃未満である部分エリアAr1内の地点Pxが当該物品の離脱地点として選定される。
【0045】
航空機制御部23cは、離脱予定エリアの地表温度に応じて、物品の離脱に関する制御を行うことで、物品の離脱に関する後続の処理を異ならせる。例えば、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満である場合、航空機制御部23cは、物品の離脱のためにUAV1をホバリングさせた状態で物品を当該離脱予定エリア内に降下させる離脱制御指令をUAV1(またはGCSを介してUAV1)へ送信する。或いは、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満である場合、航空機制御部23cは、物品の離脱のためにUAV1を離脱予定エリア内に着陸させる離脱制御指令をUAV1へ送信する。なお、離脱地点選定部23bにより物品の離脱地点が選定された場合、航空機制御部23cは、UAV1をホバリングさせた状態で物品を当該離脱地点に降下させる離脱制御指令をUAV1へ送信するか、或いは、UAV1を当該離脱地点に着陸させる離脱制御指令をUAV1へ送信する。
【0046】
一方、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上である場合、航空機制御部23cは、当該離脱予定エリアの地表温度を低下させるための制御を行い、当該地表温度が閾値未満になったことを確認してもよい。ここで、離脱予定エリアの地表温度を低下させるための制御として、航空機制御部23cは、例えば、UAV1の散水機構を駆動させる駆動制御指令をUAV1へ送信するか、或いは、離脱予定エリア内のポートの冷却装置を駆動させる駆動制御指令を冷却装置に送信する。そして、航空機制御部23cは、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満になったことを確認した後に、物品の離脱のためにUAV1をホバリングさせた状態で物品を当該離脱予定エリア内に降下させる離脱制御指令をUAV1へ送信するか、或いは、UAV1を着陸させる離脱制御指令をUAV1へ送信する。また、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上である場合、航空機制御部23cは、物品の離脱のために当該離脱予定エリアとは異なるエリアへUAV1を移動させる移動制御指令をUAV1へ送信してもよい。
【0047】
また、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上である場合であっても、航空機制御部23cは、当該離脱予定エリアにおいて離脱される物品の受け取り側での受取準備ができたかを確認した後に、当該物品の離脱のためにUAV1をホバリングさせた状態でUAV1を降下させる離脱制御指令をUAV1へ送信するか、或いはUAV1を着陸させる離脱制御指令をUAV1へ送信してもよい。ここで、物品の受け取り側での受取準備ができたかの確認は、例えば、航空機制御部23cが物品の受け取り側へ確認通知を行い、当該受け取り側から準備完了を示す応答を受信することにより行われる。これにより、受け取り側で物品の受取準備ができたことを、より確実に確認することができる。
【0048】
より具体的には、物品の受け取り側がユーザ(人)である場合、離脱予定エリアで物品を受け取るユーザのメールアドレス宛に確認通知(メール)が送信されることで当該ユーザが所持する携帯端末により受信される。そして、当該確認通知(メール)を携帯端末で確認したユーザの操作に応じて携帯端末から準備完了を示す応答(メール)が受信されることにより、当該受け取り側で受取準備ができたことが確認される。一方、物品の受け取り側がUGVである場合、離脱予定エリアで物品を受け取るUGVの通信用アドレス宛に確認通知が送信されることで当該UGVにより受信される。そして、離脱予定エリア内に入ったUGVから準備完了を示す応答が受信されることにより、当該受け取り側で受取準備ができたことが確認される。
【0049】
[
2.飛行システムSの動作]
次に、飛行システムSの動作について、実施例1と実施例2に分けて説明する。なお、以下に説明する飛行システムSの動作では、制御サーバCSが飛行中のUAV1から、そのUAV1の機体ID及び航空機情報を定期的に取得しているものとする。
【0050】
(実施例1)
先ず、
図6を参照して、飛行システムSの動作の実施例1について説明する。実施例1は、UAV1が1つの物品を運搬する場合の実施例である。
図6は、実施例1において制御サーバCSの制御部23により実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図6に示す処理は、UAV1の制御部16により行われてもよい。
図6に示す処理は、物品を運搬するUAV1が当該物品の離脱予定エリアに到着したときに開始される。離脱予定エリアへの到着判断は、例えば、UAV1の位置情報と離脱予定エリアの位置情報とに基づき、UAV1の現在位置が離脱予定エリア内に入ったか、またはUAV1の現在位置が離脱予定エリアの近傍範囲(例えば、離脱予定エリアの中心から半径数百mの範囲)内に入ったか否かが判定されることにより行われる。かかる判定は、制御部23により行われる。なお、離脱予定エリアへの到着判断がUAV1により行われてもよい。この場合、UAV1は、離脱予定エリア内に入った、またはUAV1の現在位置が離脱予定エリアの近傍範囲内に入ったと判定すると、到着通知メッセージをUAV1の機体IDとともに制御サーバCSへ送信する。
【0051】
図6に示す処理が開始されると、制御部23は、離脱予定エリアの温度計測指示をUAV1へ送信する。これにより、UAV1の温度センサ15により計測された、離脱予定エリアの地表温度を示す地表温度分布データを、UAV1の機体IDとともにUAV1から取得する(ステップS1)。次いで、制御部23は、ステップS1で取得された機体IDに基づいて、UAV1により運搬されている物品(物品ID)を記憶部22から特定する(ステップS2)。
【0052】
次いで、制御部23は、ステップS1で取得された地表温度分布データに基づいて、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS3)。ここで、閾値は、ステップS2で特定された物品の種別に応じて異なるように設定されるとよい。例えば、冷蔵または冷凍食品、生鮮食品などのように、温度が高いことにより品質が急激に低下(劣化)する可能性が高い物品の場合、その閾値は低く設定される。一方、衣服等のように、温度が高いことにより品質が低下する可能性が低い物品の場合、その閾値は高く設定されてもよい。これにより、物品の種別と当該物品の離脱予定エリアの地表温度とに応じて適切な対応を図ることができる。制御部23は、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満でない(つまり、閾値以上である)と判定した場合(ステップS3:NO)、ステップS4へ進む。一方、制御部23は、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満であると判定した場合(ステップS3:YES)、ステップS13へ進む。
【0053】
ステップS4では、制御部23は、離脱予定エリアの地表温度を低下させるか否かを判定する。例えば、制御部23は、UAV1に散水機構が備えられている場合、離脱予定エリアの地表温度を低下させると判定する。UAV1に散水機構が備えられている否かの情報は、当該UAV1から取得される。或いは、制御部23は、離脱予定エリア内のポートの冷却装置が備えられている場合、離脱予定エリアの地表温度を低下させると判定する。離脱予定エリア内のポートの冷却装置が備えられているか否かの情報は、当該ポートを管理するPMS3から取得される。制御部23は、離脱予定エリアの地表温度を低下させると判定した場合(ステップS4:YES)、ステップS5へ進む。一方、制御部23は、離脱予定エリアの地表温度を低下させないと判定した場合(ステップS4:NO)、ステップS9へ進む。
【0054】
ステップS5では、制御部23は、離脱予定エリアの地表温度を低下させるための制御処理を実行する。この制御処理では、上述したように、UAV1の散水機構を駆動させる駆動制御指令がUAV1に送信されるか、或いは、離脱予定エリア内のポートの冷却装置を駆動させる駆動制御指令が冷却装置に送信される。次いで、制御部23は、離脱予定エリアの温度計測指示をUAV1へ送信することで、UAV1の温度センサ15により再計測された、当該離脱予定エリアの地表温度を示す地表温度分布データをUAV1から再取得する(ステップS6)。
【0055】
次いで、制御部23は、ステップS5で再取得された地表温度分布データに基づいて、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS7)。制御部23は、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満でないと判定した場合(ステップS7:NO)、ステップS8へ進む。一方、制御部23は、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満であると判定した場合(ステップS7:YES)、ステップS13へ進む。
【0056】
ステップS8では、制御部23は、ステップS5の処理から所定時間(例えば、5分〜10分)が経過したか否かを判定する。制御部23は、ステップS5の処理から所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS8:NO)、ステップS6に戻り、上記処理を繰り返す。一方、制御部23は、ステップS5の処理から所定時間が経過したと判定した場合(ステップS8:YES)、ステップS12へ進む。
【0057】
ステップS9では、制御部23は、ステップS2で特定された物品の受け取り側の確認処理を実行する。この確認処理では、上述したように、当該物品の受け取り側へ確認通知がなされる。例えば、物品の受け取り側が離脱予定エリアで物品を受け取るユーザである場合、当該ユーザのメールアドレス宛に確認通知メールが送信される。これにより、ユーザは携帯端末により受信された確認通知メールの内容を確認することになる。かかる確認通知メールには、UAV1が運搬している物品の受け取り期限及び受け取り位置を含む情報(「今からX分(受け取り期限)以内にY(受け取り位置)まで物品Aを受け取りに来てください」という情報)が記述されるとよい。
【0058】
ここで、物品の受け取り期限Xは、離脱予定エリアの表面温度に応じて異なるように設定されてもよい。例えば、表面温度が高いほど受け取り期限が短く設定される。或いは、物品の受け取り期限Xは、物品の種別に応じて異なるように設定されてもよい。例えば、冷蔵または冷凍食品、生鮮食品などのように、温度が高いことにより品質が急激に低下する可能性が高い物品の場合、受け取り期限は短く設定される。また、物品の受け取り位置Yは、ユーザの携帯端末において離脱予定エリアを示す地図上に表示されるとよい。ユーザによる確認通知メールの確認後、当該ユーザの操作に応じて準備完了を示す応答メールが携帯端末から制御サーバCSへ送信される。
【0059】
なお、ステップS9において、制御部23は、離脱予定エリアの上空からUAV1の撮像部14により撮像された画像データ(人の顔画像データ、またはUGVのマーク画像データ)を取得し、当該取得した画像データと、物品の受け取り側の情報に含まれる画像データ(人の顔画像データ、またはUGVのマーク画像データ)とを照合(顔認証、またはマーク認証)してもよい。
【0060】
次いで、制御部23は、離脱予定エリアにおいて離脱される物品の受け取り側での受取準備ができた否かを判定する(ステップS10)。例えば、制御部23は、ステップS9における確認通知に応じて、物品の受け取り側から準備完了を示す応答を受信した場合、または画像データを用いた照合(顔認証、またはマーク認証)が成功した場合、当該受け取り側での受取準備ができたと判定する。制御部23は、物品の受け取り側での受取準備ができたと判定した場合(ステップS10:YES)、ステップS13へ進む。一方、制御部23は、物品の受け取り側での受取準備ができていないと判定した場合(ステップS10:NO)、ステップS11へ進む。
【0061】
ステップS11では、制御部23は、ステップS9の処理から所定時間(例えば、20分〜30分)が経過したか否かを判定する。制御部23は、ステップS9の処理から所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS11:NO)、ステップS10に戻り、上記処理を繰り返す。一方、制御部23は、ステップS9の処理から所定時間が経過したと判定した場合(ステップS11:YES)、ステップS12へ進む。
【0062】
ステップS12では、制御部23は、UAV1を移動させるための制御処理を実行し、
図6に示す処理を終了する。この制御処理では、上述したように、物品の離脱のために離脱予定エリアとは異なるエリアへUAV1を移動させる移動制御指令がUAV1へ送信される。これにより、UAV1は、例えば異なるエリアへ移動し離脱予定エリアの地表温度が低下するまで当該異なるエリア(例えば、別のポート等)に着陸して待機する。或いは、UAV1は、異なるエリアで物品を離脱させて当該物品の受け取り側へ受け渡す。なお、UAV1は、物品の受け取り側への受け渡しを断念して異なるエリアへ移動して物品を回収させてもよい。
【0063】
ステップS13では、制御部23は、物品の離脱のための制御処理を実行し、
図6に示す処理を終了する。この制御処理では、上述したように、物品の離脱のためにUAV1をホバリングさせた状態で物品を離脱予定エリア内に降下させる離脱制御指令がUAV1に送信されるか、或いは、UAV1を離脱予定エリア内に着陸させる離脱制御指令がUAV1に送信される。これにより、離脱予定エリア内でホバリングするUAV1から物品がリールやウィンチ等により降下して例えば地面に到達したときに離脱されることで当該物品が受け取り側に受け渡される。或いは、離脱予定エリア内に着陸したUAV1から物品が離脱されることで当該物品が受け取り側に受け渡される。こうして物品が離脱された後、UAV1は帰還する。
【0064】
(実施例2)
次に、
図7を参照して、飛行システムSの動作の実施例2について説明する。実施例2は、UAV1が複数の物品を運搬する場合の実施例である。
図7は、実施例2において制御サーバCSの制御部23により実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図7に示す処理は、UAV1の制御部16により行われてもよい。
図7に示す処理は、
図6に示す処理と同様、物品を運搬するUAV1が当該物品の離脱予定エリアに到着したときに開始される。
図7に示すステップS21及びS22の処理は、
図6に示すステップS1及びS2の処理と同様である。
【0065】
ステップS23では、制御部23は、ステップS21で取得された地表温度分布データに基づいて、離脱予定エリア内の複数の地点のうち地表温度が閾値未満の地点があるか否かを判定する。ここで、閾値は、実施例1と同様、ステップS22で特定された物品の種別に応じて異なるように設定されるとよい。制御部23は、離脱予定エリア内の複数の地点のうち地表温度が閾値未満の地点がないと判定した場合(ステップS23:YES)、ステップS24へ進む。一方、制御部23は、離脱予定エリア内の複数の地点のうち地表温度が閾値未満の地点があると判定した場合(ステップS23:YES)、ステップS34へ進む。
【0066】
ステップS24では、制御部23は、
図6に示すステップS4と同様、離脱予定エリアの地表温度を低下させるか否かを判定する。制御部23は、離脱予定エリアの地表温度を低下させると判定した場合(ステップS24:YES)、ステップS25へ進む。一方、制御部23は、離脱予定エリアの地表温度を低下させないと判定した場合(ステップS24:NO)、ステップS29へ進む。
【0067】
ステップS25では、制御部23は、
図6に示すステップS5と同様、離脱予定エリアの地表温度を低下させるための制御処理を実行する。次いで、制御部23は、
図6に示すステップS6と同様、離脱予定エリアの温度計測指示をUAV1へ送信することで、当該離脱予定エリアの地表温度を示す地表温度分布データをUAV1から再取得する(ステップS26)。
【0068】
次いで、制御部23は、ステップS26で再取得された地表温度分布データに基づいて、離脱予定エリア内の複数の地点のうち地表温度が閾値未満の地点があるか否かを判定する(ステップS27)。制御部23は、離脱予定エリア内の複数の地点のうち地表温度が閾値未満の地点がないと判定した場合(ステップS27:NO)、ステップS28へ進む。一方、制御部23は、離脱予定エリア内の複数の地点のうち地表温度が閾値未満の地点があると判定した場合(ステップS27:YES)、ステップS34へ進む。
【0069】
ステップS28では、制御部23は、ステップS25の処理から所定時間が経過したか否かを判定する。制御部23は、ステップS25の処理から所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS28:NO)、ステップS26に戻り、上記処理を繰り返す。一方、制御部23は、ステップS25の処理から所定時間が経過したと判定した場合(ステップS28:YES)、ステップS33へ進む。
【0070】
ステップS29では、制御部23は、
図6に示すステップS9と同様、ステップS22で特定された物品の受け取り側の確認処理を実行する。次いで、制御部23は、
図6に示すステップS10と同様、離脱予定エリア内の離脱地点において離脱される物品の受け取り側での受取準備ができた否かを判定する(ステップS30)。制御部23は、離脱地点において離脱される物品の受け取り側での受取準備ができていないと判定した場合(ステップS30:NO)、ステップS31へ進む。一方、制御部23は、離脱地点において離脱される物品の受け取り側での受取準備ができたと判定した場合(ステップS30:YES)、ステップS34へ進む。
【0071】
ステップS31では、制御部23は、ステップS29の処理から所定時間が経過したか否かを判定する。制御部23は、ステップS29の処理から所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS31:NO)、ステップS30に戻り、上記処理を繰り返す。一方、制御部23は、ステップS29の処理から所定時間が経過したと判定した場合(ステップS31:YES)、ステップS32へ進む。
【0072】
ステップS32では、制御部23は、UAV1により運搬されている物品のうち、ステップS22で特定されていない物品(未特定の物品)があるか否かを判定する。制御部23は、未物品があると判定した場合(ステップS32:YES)、ステップS22に戻り、未特定の物品を特定し上記処理を繰り返す。一方、制御部23は、特定されていない物品がないと判定した場合(ステップS32:NO)、ステップS33へ進む。ステップS33では、制御部23は、
図6に示すステップS12と同様、UAV1を移動させるための制御処理を実行し、
図7に示す処理を終了する。
【0073】
ステップS34では、制御部23は、離脱予定エリアにおいて地表温度が閾値未満である地点を物品(つまり、ステップS22で特定された物品)の離脱地点として選定する。次いで、制御部23は、物品の離脱のための制御処理を実行する(ステップS35)。この制御処理では、上述したように、物品の離脱のためにUAV1をホバリングさせた状態で物品を離脱地点に降下させる離脱制御指令がUAV1に送信されるか、或いは、UAV1を離脱地点に着陸させる離脱制御指令がUAV1に送信される。これにより、ホバリングするUAV1から物品がリールやウィンチ等により降下して離脱地点に到達したときに離脱されることで当該物品が受け取り側に受け渡される。或いは、離脱地点に着陸したUAV1から物品が離脱されることで当該物品が受け取り側に受け渡される。こうして物品が離脱された後、UAV1は帰還する。
【0074】
次いで、制御部23は、UAV1により運搬されている物品のうち、ステップS22で特定されていない物品(未特定の物品)があるか否かを判定する(ステップS36)。制御部23は、未特定の物品があると判定した場合(ステップS36:YES)、ステップS22に戻り、未特定の物品を特定し上記処理を繰り返す。これにより、離脱予定エリアの地表温度が閾値(物品の種別に応じて設定された閾値)未満である地点が離脱地点として物品毎に選定されることになる。一方、制御部23は、未特定の物品がないと判定した場合(ステップS36:NO)、ステップS37へ進む。
【0075】
ステップS37では、制御部23は、UAV1により運搬されている物品のうち、UAV1から離脱していない物品(未離脱の物品)があるか否かを判定する。制御部23は、未離脱の物品があると判定した場合(ステップS37:YES)、UAV1を移動させるための制御処理を実行し(ステップS33)、
図7に示す処理を終了する。一方、制御部23は、未離脱の物品がないと判定した場合(ステップS37:NO)、
図7に示す処理を終了する。
【0076】
以上説明したように、上記実施形態によれば、UAV1の温度センサ15により計測された、離脱予定エリアの地表温度を取得し、当該離脱予定エリアの地表温度に応じて、物品の離脱に関する制御を行うように構成したので、運搬対象である物品の離脱予定エリアの地表温度によって物品に好ましくない影響が与えられることを防ぐことができる(例えば、物品の品質劣化を抑制することができる)。
【0077】
なお、上記実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。上記実施形態においては、運搬対象として物品を例にとって説明したが、運搬対象が人や動物の場合にも本発明を適用することができる。例えば、離脱予定エリアの地表温度が閾値未満である場合、制御部は人(例えば乗客)の離脱のために航空機(例えば、空飛ぶタクシー)をホバリングさせた状態で人を降下させるか、或いは、人の離脱のために航空機を着陸させる。一方、離脱予定エリアの地表温度が閾値以上である場合、制御部は、人の離脱のために離脱予定エリアとは異なるエリアへ航空機を移動させる。これにより、離脱予定エリアの地表温度によって人に好ましくない影響が与えられることを防ぐことができる。換言すると、人が望まない熱い地面に降ろすことを防ぐことができる。
【0078】
また、本発明は、航空機内に操縦者(パイロット)が存在しなくても飛行することができる有人航空機に対しても適用可能である。また、上記実施形態においては、離脱予定エリアの地表温度に応じて運搬対象の離脱に関する制御を行うように構成したが、航空機(例えば、UAV1)の着陸予定のエリアの地表温度に応じて航空機の着陸に関する制御を行うように構成してもよい。これにより、着陸予定のエリアの地表温度によって航空機に好ましくない影響が与えられることを防ぐことができる。例えば、航空機の着陸予定のエリアの地表温度が閾値未満である場合、制御部16または23は、上記実施形態と同様、当該着陸予定のエリアに航空機を着陸させる。一方、航空機の着陸予定のエリアの地表温度が閾値以上である場合、制御部16または23は、当該地表温度を低下させるための制御を行い、当該地表温度が閾値未満になったことを確認した後に、当該エリアに航空機を着陸させる。着陸予定のエリアの地表温度を低下させるための制御処理は、上記実施形態と同様である。また、着陸予定のエリアの地表温度が閾値以上である場合、制御部16または23は、当該エリアとは異なるエリアへ航空機を移動させてもよい。また、制御部16または23は、航空機の着陸予定のエリア内の複数の地点の地表温度の分布に基づいて、地表温度が閾値未満である地点を航空機が着陸する地点として選定し、当該選定した地点に航空機を着陸させてもよい。
運搬対象を運搬する航空機であって飛行中に地表温度を計測可能なセンサを備える航空機の制御を行う制御装置は、センサにより計測された、運搬対象が離脱される予定のエリアの地表温度を取得する。そして、制御装置は、取得された地表温度に応じて、運搬対象の離脱に関する制御を行う。