(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体を処理する処理プラントを構成する複数の機器と、これらの機器の間を接続する配管との接続関係を、各々の前記機器に対応するノードと、各々の前記配管に対応するエッジとの連結関係を示すグラフによって表現したプラントモデルを作成する工程と、
前記プラントモデルについて、クラスタ分けされるクラスタの数、または、各クラスタに含まれるノードに設定された重みの加算値である粒度の範囲の少なくとも一方であるクラスタ分け条件を設定する工程と、
前記クラスタ分け条件を満たし、モジュラリティがより大きくなるクラスタ間のエッジを探索することにより、前記プラントモデルのクラスタ分けを実施する工程と、を含む処理をコンピュータによって実行させることを特徴とするクラスタリング方法。
前記プラントモデルを作成する工程では、前記エッジに対し、各々、対応する前記配管の単位長さあたりのコストが大きいものほど、大きな重みで重み付けしたプラントモデルを作成することを特徴とする請求項1に記載のクラスタリング方法。
前記プラントモデルを作成する工程では、前記ノードに対し、各々、対応する前記機器の専有面積が大きいものほど、または前記機器に対して予め設定された評価値が高いものほど、大きな重みで重み付けしたプラントモデルを作成することを特徴とする請求項1に記載のクラスタリング方法。
前記プラントモデルを作成する工程では、前記配管の単位長さあたりのコストが大きいものほど、当該配管が接続されている2つの機器に対応する2つノード間を連結する重み無しエッジの数を増やしたプラントモデルを作成することを特徴とする請求項4に記載のクラスタリング方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本例のクラスタリング方法が適用されるプラントモデルに対応する処理プラント1の構成を模式的に示した平面図である。
本技術を適用可能な処理プラント1としては、既述の天然ガスプラント、石油精製プラント、化学プラントなどを例示できる。これらの処理プラント1は、気体、液体、流動性を有する粉粒体などの流体の処理を行う多数の機器31を備えている。処理プラント1に設けられる機器31の例としては、蒸留塔や反応塔などの各種処理塔、気液分離が行われる受槽や熱交換器といった静機器、ポンプやコンプレッサーなどの動機器を例示することができる。処理プラント1に設けられる機器31は、流体が流れる配管4を介して互いに接続される。なお、
図1においては配管4の図示を省略してある。
【0013】
予め設定された敷地10内に処理プラント1を建設するにあたり、多数の機器31を無秩序に配置してしまうと、機器31同士を接続する配管4が長くなり、配管材の総使用量やコストが増大してしまう。また、メンテナンス管理や安全管理などの観点においても、予め設定した考え方に基づき秩序立てて機器31の配置を行うことが望ましい。
【0014】
このため、多数の機器31が設けられる処理プラント1においては、流体を処理する順序や、機器31同士の関連性に応じて機器31をグループ分け(以下「機器グループ3」という)し、共通の機器グループ3に含まれる機器31を共通の区画領域30内にまとめて配置する場合がある。
図1にはこのように構成された機器グループ3が記載されている
本例において、機器グループ3には、少なくとも1つの機器31が含まれる。
【0015】
機器グループ3が複数の機器31を含んでいる場合、共通の機器グループ3に含まれる機器31同士を接続する配管4は、これらの機器グループ3が配置されている共通の区画領域30内に配置される。
一方、互いに異なる機器グループ3に含まれる機器31同士を接続する配管4は、例えばパイプラック2を通るように配置される。パイプラック2は配管4を支持する架構構造物である。なお、異なる機器グループ3に含まれる機器31同士を接続する配管4がパイプラック2を通ることは必須ではない。例えば区画領域30が隣り合って配置された機器グループ3に含まれる機器31間にて、パイプラック2を通らない配管4により、これらの機器31を接続してもよい。
【0016】
図1に示すように、処理プラント1に設けられる多数の機器31を複数の機器グループ3にグループ分け、各機器グループ3に含まれる機器31を共通の区画領域30内に配置することにより、例えば互いに関連する機器31同士を近接した位置に配置することができる。この結果、多数の機器31を無秩序に配置する場合と比較して、機器31同士を接続する配管4が長くなりすぎることを抑え、配管材の総使用量を抑制することができる。
【0017】
一方で既述のように、多数の機器グループ3を含む処理プラント1においては、これらの機器グループ3を敷地10内に配置するにあたって、どのようなグループ分けすることすることが好ましいのか、必ずしも自明ではない。
そこで本例においては、上述の処理プラント1に対応するプラントモデルを作成し、コンピュータによって当該プラントモデルを複数のクラスタにクラスタ分け(クラスタリング)する計算を実行する。本例において、プラントモデルのクラスタリングとは、処理プラント1に含まれる機器31のグループ分けに対応する処理である。
【0018】
処理プラント1のプラントモデルを作成するにあたっては、処理プラント1の設計を行う際に作成するプロセスフロー図(PFD;Process Flow Diagram)のデータを活用することができる。PFDには、処理プラント1を構成する配管4を介した機器31同士の接続関係が記載されている。
【0019】
例えば
図2は、PFDを簡略化して表現した、処理プラント1のプロセスフローの一部である。
図2には、前段側の蒸留塔311aの塔頂から流出した気体をオーバーヘッドクーラー312aにて冷却、液化し、レシーバー313aに溜まった液体の一部を送液ポンプ314により後段側の蒸留塔311bへと送液するプロセスが記載されている。
【0020】
本例のクラスタリング方法は、処理プラント1を構成する複数の機器31と、これらの機器31の間を接続する配管4との接続関係を、ノード51とエッジ52との連結関係を示すグラフによって表現したプラントモデルを作成する。
図3に示すように、プラントモデルにおいて、処理プラント1を構成する機器31は互いに識別可能なノード51に対応付けられ、機器31間を接続する配管4は、これらのノード51に連結されたエッジ52に対応付けられる。また後述するように、配管4の分岐点40をノード51(分岐ノード512)によって表現してもよい。
【0021】
PFDがコンピュータによって処理可能なデータとなっている場合には、このPFDのデータに含まれている機器31と配管4との接続関係を読み取ってプラントモデルを作成することができる。プラントモデルは、エッジ52を介したノード51の連結関係を示す隣接行列や隣接リストのデータとしてコンピュータにより処理される。
プラントモデルの作成は、PFDを利用してコンピュータにより自動的に実行する手法に限定されるものではない。例えば、クラスタリングを実行するコンピュータに対して手入力によりプラントモデルを表現するデータを入力してもよい。
【0022】
ノード51とエッジ52とによって連結関係が表現されたプラントモデルは、所定のアルゴリズムを用いてコンピュータにより複数のクラスタに分けることができる。
グラフ表現されたネットワーク(本例ではプラントモデル)をクラスタ分けするアルゴリズムとしては、評価関数(後述のモジュラリティなど)を用いないGirvan-Newmanアルゴリズムや、評価関数を用いるNewmanアルゴリズムを例示することができる。
【0023】
図4A〜
図4Dは、Girvan-Newmanアルゴリズムを用いたクラスタ分けの手順を示している。
Girvan-Newmanアルゴリズムにおいては、ネットワークに含まれるすべてのノード51のペアについて、最短経路を特定し、当該最短経路のエッジ52をカウントする。
図4Aにハッチを付して示すノード51のペアにおいては太線で示すエッジ52が最短経路を構成している。そして、各エッジ52にカウント値「+1」を付す(カウント値を付す工程)。一方、
図4Bにハッチを付して示すノード51のペアにおいては2つの最短経路が存在する。この場合は、通常のカウント値を最短経路数で分けた値「+0.5」が各エッジ52のカウント値となる。
【0024】
こうして、ネットワークに含まれるすべてのノード51のペアについて、同様の処理を行い、各エッジ52のカウント値を加算していく。
この結果、ネットワークを構成する各エッジ52のカウント値が
図4Cに示す値となったとする。この場合、最もカウント値が大きい太線で示したエッジ52を切断して得られた新たなネットワークについて、
図4A、
図4Bを用いて説明した例と同様の処理を行う(
図4D)。
なお、
図4C、
図4Dの各図に付した数値は、説明の便宜上、仮想的に記載したものであり、実際にGirvan-Newmanアルゴリズムを実行して得られた値ではない。
【0025】
図4Dに示すネットワークにおいて、最もカウント値が大きい太線で示したエッジ52を切断すると、クラスタ1、2の2つのクラスタが得られることになる。言い替えると、
図4A〜
図4Dを用いて説明した処理は、クラスタ間のエッジの探索を行っていることになる。
【0026】
本例においては、上述のネットワークがプラントモデルに相当する。プラントモデルを複数のクラスタに分けたら、共通のクラスタに含まれるノード51に対応付けられた機器31が、共通の機器グループ3に含まれるようにグループ分けを行う。
【0027】
アルゴリズムによるクラスタ分けの結果を評価する指標としてモジュラリティが知られている。モジュラリティは下記の式によって定義される。
【数1】
ここでエッジ52に重み付けがされていない場合、e
iiは、すべてのエッジ52の本数に対する、クラスタiに含まれる各ノード51に連結されているエッジ52の本数の合計値の割合である。e
ijは、すべてのエッジ52の本数に対する、クラスタiとクラスタjとを連結するエッジ52の本数の割合である。またa
iは、すべてのエッジ52の本数に対する、クラスタiと他のクラスタとを連結するエッジ52の本数の割合である。
また、エッジ52が重み付けされている場合は上記説明中の「エッジ52の本数」が「エッジ52の重み」に読み替えられる。
【0028】
モジュラリティQの値は、0〜1の間で変化し、1に近づくほど良好なクラスタ分けがされていると評価される。ここで「良好なクラスタ分け」とは、同一のクラスタに属するノード51同士を接続するエッジ52が多く、異なるクラスタに属するノード51同士を接続するエッジ52が少なくなるようにクラスタ分けがされている状態を指す。
【0029】
既述のGirvan-Newmanアルゴリズムは、モジュラリティQを直接、評価関数に用いてクラスタ分けを行う手法ではない。一方で、モジュラリティQは、Girvan-Newmanアルゴリズムによるクラスタ分けの妥当性を定量的に評価するために提案された指標である。そして、Girvan-Newmanアルゴリズムに基づいてクラスタ分けを実行することにより、モジュラリティQがより大きくなるクラスタ間のエッジ52の探索が行われる。
【0030】
また、Newmanアルゴリズムは、モジュラリティQを評価関数の変化量を評価関数として、1つのノードから次第にクラスタを大きくしながら、クラスタ分けを行っていく手法である。既述のプラントモデルは、Newmanアルゴリズムを用いた場合でもクラスタ分けを行うことができる。
【0031】
以上に説明したように、Girvan-Newmanアルゴリズムをはじめとして、グラフ表現されたネットワークをクラスタ分けする手法は種々のものが提案されている。一方で従来、流体の処理を行う処理プラント1をグラフにより表現したプラントモデルについてクラスタ分けを実施し、処理プラント1を構成する機器31のグループ分けに用いる発想は無かった。
このとき、プラントモデルを作成するにあたっては、処理プラント1に特有の特徴をグラフで表現できることが好ましい。以下、
図5〜
図7を参照して個別の特徴とその表現手法について例示する。
【0032】
図5は配管4のコストを勘案したプラントモデルの作成例を示している。
処理プラント1において、機器31同士を接続する配管4は、配管径、肉厚、配管材料の組み合わせが種々異なっており、これらの相違は配管4の単位長さ当たりのコストに反映される。
この場合において、単位長さ当たりのコストが大きい配管4が境界となり、当該配管4に接続された機器31が別々の機器グループ3に分かれてしまうと、高コストの配管4の配管長が増大してしまうおそれがある。
【0033】
そこで、
図5(a)に示すように、単位長さあたりのコストが大きい配管4ほど、対応するエッジ52に対して大きな重みを重み付けしたプラントモデルを作成してもよい。同図において「単価1〜3」は、配管4の単位長さ当たりのコストの相対的な大きさを示している。
【0034】
図5(a)に記載のプラントモデルでは、重み付きエッジ52を扱うことが可能で、重みの小さいものほどクラスタ間のエッジ52として選択され易いアルゴリズムを用いてクラスタリングを行う。これにより、単位長さ当たりのコストが大きい配管4に接続された機器31が異なる機器グループ3に分かれ難くなるようにすることができる。このようなアルゴリズムの例としてはスペクトラル・クラスタリングなどを例示できる。
なお、上述の例とは反対に、単位長さ当たりのコストに反比例する値をエッジ52に付す重みとし、重みの大きいものほどクラスタ間のエッジ52として選択され易いアルゴリズムを用いてクラスタリングを行う手法を採用することを否定するものではない。
【0035】
また、既述のGirvan-Newmanアルゴリズムを用いる場合には、
図5(b)に示すように、単位長さあたりのコストが大きい配管4ほど、当該配管4が接続されている機器31に対応するノード51間を連結するエッジ52の数を増やしたプラントモデルを作成してもよい。
【0036】
図5(b)に記載のプラントモデルでは、既述のGirvan-Newmanアルゴリズムを用いたとき、単位長さあたりのコストが大きい配管4に対応する最短経路が複数形成されるので、エッジ52のカウント値が小さくなる。この結果、単位長さ当たりのコストが大きい配管4に接続された機器31が異なる機器グループ3に分かれるグループ分けが行われにくくなるようにすることができる。
【0037】
次いで
図6は機器31の占有面積や評価値を勘案したプラントモデルの作成例を示している。
処理プラント1において、占有面積の大きな機器31は、区画領域30の中に配置可能な他の機器31の数も少なくなる傾向がある。また、占有面積が大きくない場合であっても、安全距離の確保や重量制限などの観点である機器31が配置される区画領域30に、他の機器31を多く配置できない場合もある。
【0038】
そこで、
図6(a)に示すように、機器31の専有面積が大きいものほど、または機器31に対して予め設定された評価値(既述の安全距離の確保や重量制限、その他、共通の機器グループ3に含まれる機器31の数を低減するための指標)が高いものほど、大きな重みで重み付けしたプラントモデルを作成してもよい。同図において機器31内に付した数値「1、3」は、機器31の占有面積や評価値に応じて付された重みを示している。
【0039】
このとき、より大きな重みが付されたノード51が含まれるペアの最短経路上のエッジ52は、エッジ52の重みがより大きくなるように評価される。
図6(a)に記載の例において、最短経路に破線を併記したノード51のペアに着目すると、これらのノード51には、各々「1」及び「3」の重みが付されている。そこで、当該最短経路に含まれる各エッジ52には、「1×3=+3」の重みが付され、当該重みがカウント値としてカウントされる。
一方、同図中、最短経路に一点鎖線を併記したノード51のペアに着目すると、これらのノード51には、いずれも「1」の重みが付されている。そこで、当該最短経路に含まれる各エッジ52には、「1×1=+1」の重みが付され、当該重みがカウント値としてカウントされる。
【0040】
図6(a)に記載のプラントモデルによれば、重み付きノード51を扱うことが可能で、重みの大きいものほどクラスタ間のエッジ52として選択され易いアルゴリズムを用いる。これにより、専有面積が大きい機器31や評価値の高い機器31と共通の機器グループ3に他の機器31がグループ分けされ難くすることができる。
【0041】
また、既述のGirvan-Newmanアルゴリズムを用いる場合には、
図6(b)に示すように、機器31の占有面積が大きいものほど、または評価値が高いものほど、当該機器31に対応する一のノード51に対して1つのエッジ52を介して連結され、且つ、前記一のノード51以外のノード51には連結されていないノード51であるダミーノード511の接続数を増やすことによって表現されるプラントモデルを作成してもよい。
【0042】
図6(b)に記載のプラントモデルによれば、既述のGirvan-Newmanアルゴリズムを用いたとき、同図中に破線で併記した最短経路上のエッジ52は、ダミーノード511を設けた数に応じて複数回、重複してカウントされるものを含む。一方、同図中に一転鎖線で併記した最短経路上のエッジ52については、ダミーノード511の影響を受けず、重複したカウントは行われない。
【0043】
上述の構成に基づいてGirvan-Newmanアルゴリズムを実行すると、占有面積が大きい機器グループ3や評価値の高い機器グループ3を含む最短経路のエッジ52のカウント値が大きくなる。この結果、専有面積が大きい機器31や評価値の高い機器31と共通の機器グループ3に他の機器31が含まれ難くなるようにすることができる。上記の手法によれば、各機器グループ3の区画領域30の面積あるいは機器グループ3に含まれる機器31の評価値の総和のばらつきを低減できる。
【0044】
次に
図7は、配管4の分岐を表現するプラントモデルの作成例を示している。既述の
図2や
図7(a)に示すように、処理プラント1に設けられる配管4には、分岐点40を介して2本以上の配管4に分岐しているものがある。一方、一般的なネットワークを表すグラフにおいてエッジ52を分岐させる表現は用いられない。
【0045】
そこで
図7(b)に示すように、分岐点40に対応して分岐ノード512を設け、当該分岐ノード512と、分岐されている配管4を介して接続される機器31に対応するノード51とを、エッジ52を介して連結することにより、分岐している分岐点40を表現したプラントモデルを作成してもよい。
この場合、クラスタ分けを行うためのアルゴリズムには、
図4A、
図4Bを用いて説明したGirvan-Newmanアルゴリズムのように、最短経路に含まれるエッジをカウントする手順が含まれているとする。このとき、分岐ノード512は、最短経路を構成する2つのノード51として選択されないように取り扱われる。
図7(b)に記載のプラントモデルによれば、従来のグラフでは表現することが困難な配管4の分岐点40を表現することができる。
【0046】
以上、
図3、
図5〜
図7を用いて説明した手法に基づき、処理プラント1に対応するプラントモデルの作成が行われる(プラントモデルを作成する工程)。ここで、作成したプラントモデルのクラスタ分けを実行する前に、クラスタ分け条件の設定を行う(クラスタ分け条件を設定する工程)。クラスタ分け条件は、コンピュータによりプラントモデルのクラスタリングを実行する際に設定される制約条件である。
【0047】
クラスタ分け条件としては、クラスタ分けされるクラスタの数、または、各クラスタに含まれるノードに設定された重みの加算値である粒度の範囲の少なくとも一方が設定される。
クラスタの数は、プラントモデルをいくつに分けるかを設定する制約条件である。クラスタの数をクラスタ分け条件として設定すると、当該設定された数だけクラスタが形成され、且つ、モジュラリティQがより大きくなるように、クラスタ間のエッジを探索する処理が実行される。
【0048】
粒度とは、例えば各機器グループ3に含まれる機器31の数や、各機器グループ3に含まれる機器31の占有面積の合計など、機器グループ3の特性が所定の範囲内の値に揃うように、クラスタに対して設定される制約条件である。
粒度は、各クラスタに含まれるノード51に対して予め設定されていた重みを加算することにより算出することができる。例えば、機器グループ3に含まれる機器31の数を所定の範囲内の数に揃える場合は、各ノード51に対して重み「1」を設定する。一方、各機器グループ3に含まれる機器31の占有面積の合計を所定の範囲内の値に揃える場合は、各ノード51に対して、対応する機器31の占有面積に応じた重みを設定する。これらの重みは、
図6(a)、
図7(b)に示すように、プラントモデル作成の際に設定してもよい。なお、探索結果が得られにくくなる可能性もあるが、クラスタ分け条件としてクラスタ分けされるクラスタの数とクラスタの粒度の範囲との双方を設定することも可能である。
【0049】
プラントモデルの作成、クラスタ分け条件の設定が完了したら、コンピュータを用いてプラントモデルのクラスタ分けを実施する(クラスタ分けを実施する工程)。例えば後述の実施例においては、専用に開発したツールを用いてプラントモデルのクラスタ分けを実行した。また当該工程は、例えば、Python(Python Software Foundationの米国登録商標)のライブラリであるNetworkXに提供されているGirvan-Newman法やその他のクラスタリングアルゴリズムのプログラムなどを利用して実行してもよい。
この結果、
図3に示すプラントモデルのクラスタ分けが行われる。このクラスタ分けの結果に基づき、例えば
図8に示すように処理プラント1を構成する各機器31を、複数の機器グループ3にグループ分けすることができる。
【0050】
なお、
図8には処理プラント1の一部のプロセスフローに含まれる機器31をグループ分けした結果を示しているが、実際には処理プラント1全体のプラントモデルを作成してクラスタ分けを行った結果に基づいて機器グループ3のグループ分けを行ってよい。
この結果、
図1に模式的に示すように、例えば処理プラント1を構成するすべての機器31についてのグループ分けが行われる。このグループ分けの結果に基づいて、機器グループ3(区画領域30)内における機器31の配置や敷地10内における機器グループ3の配置位置の検討を進めることが可能となる。この結果、例えば敷地10内における機器グループ3の配置位置の調整により、配管4の総使用量(総コスト)が少ない配置を探索することも可能となる。
【0051】
本実施の形態のクラスタリング方法によれば以下の効果がある。処理プラント1の機器31と配管4とをノード51とエッジ52とからなるグラフで表現したプラントモデルを作成し、予め設定した条件下でモジュラリティが大きくなるようにプラントモデルのクラスタ分けを探索する。この結果、評価基準(モジュラリティ)による定量的な評価が可能となり、処理プラント1を構成する機器31のグループ分けを合理的に実施することができる。
【0052】
ここで、機器31のグループ分けは、プラントモデルのクラスタ分けの結果と完全に一致させることを必須とするものではない。処理プラント1の設計、建設に携わる技術者の視点でクラスタ分けの結果を確認し、実態にそぐわない機器グループ3に含まれている機器31や、別の機器グループ3に含めた方がよい機器31は、対象の機器31が含まれる機器グループ3を変更してもよい。
【実施例】
【0053】
(シミュレーション)
A.シミュレーション条件
処理プラント1の一例として、設計、機器31の配置が完了している天然ガス液化プラント(LNGプラント)について、PFDからプラントモデルを作成した。しかる後、クラスタ分け条件としてクラスタの数を「7」と設定し、専用に開発したツールを用いてGirvan-Newmanアルゴリズムによりプラントモデルのクラスタ分けを実行した。
LNGプラントを構成する機器31の数(プラントモデルのノード51の数)は87基である。また、
図5(a)、(b)、
図6(a)、(b)、
図7(a)、(b)を用いて説明したプラントモデルの各種調整は行わなかった。
【0054】
B.シミュレーション結果
図9は、プラントモデルの元となったLNGプラントを構成する機器31の区画領域30内における配置位置を示している。また、
図10は、クラスタ分けが実施されたプロセスモデルを示している。なお、
図10には、
図9中の「その他」の機器は含まれていない。
【0055】
図10のプラントモデルについてクラスタ分けを行ったところ、
図10中に付したA〜Gの符号によって識別されるクラスタに分けられた。
図9においては、このクラスタ分けの結果に基づき、機器31のグループ分けを行い、それぞれの機器グループ3に含まれる機器31に共通のハッチを付してある。
【0056】
図9中のハッチの凡例に併記したように、符号Aのクラスタには、水銀除去処理に係る機器と酸性ガス除去処理(AGRU:Acid Gas Recovery Unit)の一部の機器が含まれ、符号BのクラスタにはAGRUの残りの機器が含まれるようにクラスタ分けが実施された。また、MR(Mixed Refrigerant、混合冷媒)、C3(プロパン)冷媒、N
2(窒素)冷媒の各冷媒系統は、各々異なるクラスタにクラスタ分けされた(符号E、G、F)。その他のクラスタについてもLNGプラントにて実施される処理の内容に応じたクラスタ分けがされている。
【0057】
図10に示すプラントモデルには、各機器31の機能や天然ガスの処理の内容に係る情報は何ら与えられていない。それにも関わらず、配管4を介した機器31の接続関係に係る情報のみによって、LNGプラントに含まれるプロセスの種類や機器31の機能に応じた自然なグループ分けをすることができた。
【解決手段】クラスタリング方法は、処理プラント1を構成する複数の機器31と配管4との接続関係を、ノード51とエッジ52との連結関係を示すグラフによって表現したプラントモデルを作成する工程と、プラントモデルについてクラスタ分け条件を設定する工程と、コンピュータにより、クラスタ分け条件を満たし、モジュラリティがより大きくなるクラスタ間のエッジを探索することにより、プラントモデルのクラスタ分けを実施する工程と、を含む。