特許第6843323号(P6843323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6843323オキサゾリン化合物、架橋剤および樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843323
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】オキサゾリン化合物、架橋剤および樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/14 20060101AFI20210308BHJP
   C08K 5/3477 20060101ALI20210308BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   C07D413/14CSP
   C08K5/3477
   C08L101/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-247503(P2016-247503)
(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-100240(P2018-100240A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】716001577
【氏名又は名称】オイケム合同会社
(72)【発明者】
【氏名】奥本 寛
(72)【発明者】
【氏名】堀 信一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 昌男
【審査官】 高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−22830(JP,A)
【文献】 特表平5−505841(JP,A)
【文献】 特開平2−199169(JP,A)
【文献】 特開2008−169239(JP,A)
【文献】 特開平2−20550(JP,A)
【文献】 INATA, H. et al.,Postcrosslinking of linear polyesters. II. UV-induced crosslinking agents having carboxyl reactive group,Journal of Applied Polymer Science,1988年,Vol.36,pp.1667-1672
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式で表されるオキサゾリン化合物。
【化1】
式中XはC2nで表される直鎖若しくは分枝アルキレン基であって、nが1から10の範囲内である。
【請求項2】
nが2または3である、請求項1記載のオキサゾリン化合物。
【請求項3】
請求項1または2記載のオキサゾリン化合物を含有する架橋剤。
【請求項4】
請求項3記載の架橋剤を含有する樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオキサゾリン化合物に関し、特に新規なトリオキサゾリン化合物に関するものである。また、前記オキサゾリン化合物を用いた架橋剤および樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりコーティング剤、インク、フィルム、(粘)接着剤等において合成樹脂中にカルボキシル基を含むものが多く使用されている。そして、このカルボキシル基と反応し得る架橋剤を添加して特性の改善が行われている。この架橋剤としてエポキシ化合物、メラミン化合物、金属塩、有機金属化合物、アジリジン化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。しかしながら、エポキシ化合物は硬化時に120℃以上の高温に加熱する必要があり、メラミン樹脂ではホルマリンなどアウトガスの問題が払拭できない。金属塩、有機金属化合物では可逆反応のため加水分解もしくは他の要因による化学結合の解離が起こり易く耐薬品性に劣る。アジリジン化合物はモノマーの毒性が問題になり、現在ではあまり使用されない傾向がある。イソシアネート化合物やカルボジイミド化合物は単独では有機物系で架橋密度の差が現われ、耐熱性や耐溶剤性に劣る。オキサゾリン化合物は無触媒で比較的低温(100℃前後)で反応する、混合後も保存安定性が良い、低毒性である、被膜の接着性、耐水性が良い、防食性があるなどの優れた特長を有している。
【0003】
これまでのオキサゾリン化合物の架橋剤としては、分子内にオキサゾリン基を2個有する化合物が多く知られている(特許文献1)。また、3官能以上の化合物としては付加重合性オキサゾリン基含有モノマーを他モノマーと共重合させた高分子重合体が知られている(特許文献2)。しかしながら、これらのオキサゾリン化合物では架橋密度が低く硬度や耐熱性が十分に高いものは得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−126877号公報
【特許文献2】特開2016−188264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり従来のオキサゾリン化合物の反応性、安定性、低毒性、接着性、耐水性、防食性等と共にこれまでにない硬度や耐熱性を付与する、架橋剤として有用である新規なオキサゾリン化合物を得ることを目的とする。とくにカルボキシル基を含有する合成樹脂からなるコーティング剤、インク、フィルム、(粘)接着剤など、幅広い用途の架橋剤として最適なトリオキサゾリン化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明のオキサゾリン化合物は、分子内にオキサゾリン基を3個有する低分子化合物である。本発明者らは架橋剤について検討を行い、分子内にオキサゾリン基を3個有する低分子化合物を合成することができ、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記化学式で表されるオキサゾリン化合物である。
【化1】
式中XはC2nで表される直鎖若しくは分枝アルキレン基であって、nが1から10の範囲内である。
【0008】
本発明の架橋剤は、前記本発明のオキサゾリン化合物を含有する。
【0009】
また、本発明の樹脂組成物は、前記本発明の架橋剤を含有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のオキサゾリン化合物は、低分子化合物で3官能のオキサゾリン基を有している。低分子化合物のため広い範囲の樹脂と相溶性が良好であり、また少量の配合でもカルボキシル基を有する各種樹脂を強固に架橋させることができ、耐熱性の優れたコーティング剤等の樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。本発明のオキサゾリン化合物は、次の一般式で表されるイソシアヌル酸トリオキサゾリン化合物である。
【化2】

式中XはC2nで表される直鎖若しくは分枝アルキレン基であって、nが1から10の範囲内である。式中Xにおいて、nは2(エチレン基)または3(プロピレン基)であることが好ましい。
【0012】
本発明のオキサゾリン化合物を架橋剤として配合することができるカルボキシル基を有する合成樹脂としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂ではポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、AS樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、PEK、PEEK、液晶プラスチック等を挙げることができる。また熱硬化性樹脂では、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。なかでも(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が好ましい。
【0013】
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂は特に限定されず、例えばカルボキシル基を含むラジカル重合性不飽和モノマーとその他のエチレン性不飽和モノマーを共重合させることによって得られる(メタ)アクリル樹脂等を挙げることができる。
【0014】
カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和モノマーとして、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等を挙げることができる。その他のエチレン性不飽和モノマーは例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n―ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステルを主モノマーとして挙げることができる。その他の共重合可能なモノマーとしてスチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド等のN−置換(メタ)アクリルモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;エチレン、プロピレン等のαオレフィンモノマー等を挙げることができる。また、重合は有機溶剤中での溶液重合や水中でのエマルジョン重合、懸濁重合などにより合成される。
【0015】
カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は多価アルコール、多価カルボン酸等を原料としてエステル結合形成反応により得られるもので、アルキド樹脂も含むものである。
【0016】
多価アルコールは、1分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物である。多価アルコールとしては例えば、4官能原料のペンタエリスリトールや、トリメチロールプロパン及びヘキサントリオール等のトリオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、等のジオールを挙げることができる。多価カルボン酸は、1分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物である。多価カルボン酸としては例えば、フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸及びテトラヒドロフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリメリット酸等のトリカルボン酸等を挙げることができる。
【0017】
カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物と、例えば、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等の各種ポリオール成分を含むジオールとの反応により得られる樹脂であり、ウレタン結合を有する樹脂を挙げることができる。上記ウレタン樹脂の中でもカルボキシル基を含有する樹脂が好適に用いられ、当該カルボキシル基の導入は、原料由来の水酸基の一部又は全部を酸無水物等によってカルボキシル基に変性したものや、1分子中に水酸基とカルボキシル基とを有する化合物をジオール成分として用いる場合等が挙げられる。カルボキシル基を有するジオールとしては例えば、ジメチロールプロピオン酸等を好適なものとして挙げることができる。ジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、等を挙げることができる。
【0018】
カルボキシル基含有エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応によって得られる樹脂骨格を有する樹脂等を挙げることができる。上記エポキシ樹脂の中でもカルボキシル基を含有する樹脂が好適に用いられ、当該カルボキシル基の導入方法としては、原料に由来する水酸基の一部又は全部を酸無水物によってカルボキシル基に変性したものや、分子内にカルボキシル基とを有する化合物を原料成分として用いる場合が挙げられる。上記ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、Fが挙げられる。またこれらを適当な鎖延長剤を用いて鎖延長したもの等を挙げることができる。
【0019】
また、本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、その他の架橋剤を併用するものであってもよい。その他の架橋剤は特に限定されず、例えば、本発明に係わるオキサゾリン系化合物以外のオキサゾリン系化合物、金属塩、有機金属化合物、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアジリジン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、不飽和化合物等を挙げることができ、また複数の架橋剤を併用することもできる。
【0020】
本発明のオキサゾリン化合物の、架橋剤としての配合量としては、樹脂100重量部に対して3〜30重量部加えることが好ましい。また硬化樹脂の耐熱性の観点からより好ましくは5〜30重量部が好ましい。また密着性の観点を加味すると、5〜20重量部が最も好ましい。
【0021】
本発明のオキサゾリン化合物は、架橋剤として、コーティング剤、インク、フィルム、接着剤など、合成樹脂が使用される幅広い用途に好適に適用することができる。これらを塗工する基材としては、特に制限はないが、ガラス、金属板、木板、プラスチック材料、紙などが挙げられる。
【実施例】
【0022】
以下実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得るものである。
【0023】
[合成例1]
(エステル体の合成)
【化3】
200mLの2ツ口フラスコに1,3,5トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート(CIC酸)(6g,17.4mmol)を秤りとり、オルトギ酸メチル(22g,208mmol)、p−トルエンスルホン酸(100mg,0.58mmol)、メタノール(20mL)を加え、80℃で5時間攪拌した。反応混合物を減圧下、オルトギ酸メチル、メタノールを留去し、エステル体(CIC酸トリメチルエステル)を得た。
【0024】
エステル体の機器分析値:
HNMR(400MHz,CDCl)δ4.11(t,J=7.5Hz,6H),3.61(s,9H),2.59(t,J=7.5Hz,6H).
【0025】
(アミド体の合成)
【化4】
得られたCIC酸トリメチルエステルを100mLの2ツ口フラスコに入れて分留装置をつけ、エタノールアミン(4.25g,69.6mmol)を加え、130℃で2時間攪拌した。反応混合物を90℃まで、放冷し、減圧下(ダイヤフラムポンプ)で過剰のエタノールアミンを留去してCIC酸アミドアルコールを得た。反応混合物は精製せずに次の反応に用いた。
【0026】
(環化)
【化5】
CIC酸アミドアルコールが入った前記の100mLの2ツ口フラスコに、DMF(5mL)を加えて、溶解した。氷水浴下、塩化チオニル(9.32g,78.3mmol)を滴下した。滴下後、室温にて30分間攪拌した。反応混合物を水(100mL)に加え、不溶物を取り除いた。ろ液を48%NaOH水溶液で中和し、析出した固体を濾過し、水(50mL×2回)で洗いオキサゾリンA5.4g(白色固体、収率74%)を得た。
【0027】
オキサゾリンAの機器分析値:
HNMR(400MHz,CDCl)δ4.23(t,J=6.5Hz,6H),3.62−3.54(m,12H),2.56(t,J=6.5Hz,6H).
【0028】
[合成例2]
(エステル体の合成)
200mLの2ツ口フラスコに1,3,5トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレート(C3−CIC酸)(3g,7.74mmol)を秤りとり、オルトギ酸メチル(3.29g,31.0mmol)、p−トルエンスルホン酸(13mg,0.08mmol)、メタノール(10mL)を加え、80℃で5時間攪拌した。反応混合物を減圧下、オルトギ酸メチル、メタノールを留去し、エステル体(C3−CIC酸トリメチルエステル)を得た。
【0029】
エステル体の機器分析値:
HNMR(400MHz,CDCl)δ3.94(t,J=7.0Hz,6H),3.66(s,9H),2.39(t,J=7.4Hz,6H),1.98(tt,J=7.4,7.0Hz,6H).
【0030】
(アミド体の合成)
得られたC3−CIC酸トリメチルエステルを100mLの2ツ口フラスコに入れて分留装置をつけ、エタノールアミン(1.89g,31.0mmol)を加え、130℃で4時間攪拌した。反応混合物を90℃まで、放冷し、減圧下(ダイヤフラムポンプ)で過剰のエタノールアミンを留去して、C3−CIC酸アミドアルコールを得た。反応混合物は精製せずに次の反応に用いた。
【0031】
(環化)
C3−CIC酸アミドアルコールが入った前記の100mLの2ツ口フラスコに、DMF(10mL)を加えて、溶解した。氷水浴下、塩化チオニル(4.20g,35.3mmol)を滴下した。滴下後、室温にて30分間攪拌した。反応混合物を水(100mL)に加え、析出した固体を濾過した。析出した固体を2%炭酸カリウム水溶液に懸濁させて、濾過し、水で洗い、下記構造式のオキサゾリンB2.01g(白色固体、収率56%)を得た。
【化6】
【0032】
オキサゾリンBの機器分析値:
HNMR(400MHz,CDCl)δ3.98(t,J=6.4Hz,6H),3.63−3.55(m,12H),2.30(t,J=7.1Hz,6H),2.04(tt,J=7.1,6.4Hz,6H).
【0033】
[製造例1](アクリル樹脂Aの合成)
温度計、攪拌機、還流冷却器,滴下ロートおよびチッソガス導入管を取り付けた0.3Lの4ツ口フラスコにブチルセロソルブ40.0gを仕込んだのち、140℃まで昇温し、メタクリル酸10重量部、2ヒドロキシエチルメタクリレート2重量部、スチレン20重量部、エチルアクリレート20重量部、ブチルアクリレート48重量部、α−メチルスチレン3重量部、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート0.3重量部を5時間かけて滴下し、重合させてアクリル樹脂Aを得た。得られたアクリル樹脂の酸価は65mg/KOHgであった。
【0034】
[製造例2](アクリル樹脂Bの合成)
温度計、攪拌機、還流冷却器,滴下ロートおよびチッソガス導入管を取り付けた0.3Lの4ツ口フラスコにブチルセロソルブ40.0gを仕込んだのち、140℃まで昇温し、メタクリル酸5重量部、2ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、スチレン20重量部、エチルアクリレート20重量部、ブチルアクリレート45重量部、α−メチルスチレン3重量部、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキサノエート0.3重量部を5時間かけて滴下し、重合させてアクリル樹脂Bを得た。得られたアクリル樹脂の酸価は32mg/KOHgであった。
【0035】
[実施例1]
製造例1で得られたアクリル樹脂A20gにオキサゾリンA3gとブチルセロソルブを加えて固形分50%の塗料1を配合した。
【0036】
[実施例2]
製造例1で得られたアクリル樹脂A20gにオキサゾリンA1.5gとブチルセロソルブを加えて固形分50%の塗料2を配合した。
【0037】
[実施例3]
製造例1で得られたアクリル樹脂A20gにオキサゾリンA1.0gとブチルセロソルブを加えて固形分50%の塗料3を配合した。
【0038】
[実施例4]
製造例1で得られたアクリル樹脂A20gにオキサゾリンB1.5gとブチルセロソルブを加えて固形分50%の塗料4を配合した。
【0039】
[実施例5]
製造例2で得られたアクリル樹脂B20gにオキサゾリンA0.5gとメラミン樹脂サイメル325を2gとブチルセロソルブを加えて固形分50%の塗料5を配合した。
【0040】
[比較例1]
実施例1のオキサゾリン化合物の代わりに1,3−ビス(2−オキサゾリンー2−イル)ベンゼン1.5gを使用した他は実施例1と同様に行った。
【0041】
[比較例2]
実施例1のオキサゾリン化合物の代わりにオキサゾリン基含有ポリマー(エポクロスWS−500,株式会社日本触媒製)1.5gを使用した他は実施例1と同様に行った。
【0042】
(試験板の作成)
実施例1〜5および比較例1、2で調製した塗料を、10cm×14cm、厚さ0.26mmのアルミニウム板(A−5052Pテストピース、スタンダードテストピース製)にロールコート法により乾燥後の膜厚さ7μmとなるように塗布し、190℃で10分間加熱処理することで試験板を作成した。
【0043】
(耐水性試験)
得られた試験板をオートクレーブ中にて125℃の熱水中に30分間浸漬したあと、塗膜のブリスター(ふくれ)発生や白化度合いを、下記基準で目視評価した。結果を表1に示す。
Aは、塗膜にブリスター、白化は全く認められない。
Bは、塗膜にブリスター、白化はほとんど認められない。
Cは、塗膜にブリスター、白化の塗面異常が認められる。
Dは、塗膜にブリスター、白化の少なくとも一つの塗面異常が著しい。
【0044】
(鉛筆硬度)
得られた試験板の塗膜についてJIS K 5600−5−4:1999に規定する鉛筆ひっかき試験をおこなった。結果を表1に示す。
【0045】
(密着性試験)
試験板の塗膜についてJIS K 5600−5−6:1999に規定するクロスカットを行い、クロスカット部に(株)ニチバン製セロテープ(登録商標)を貼付し、これを塗板に対して90度の方向に急激に剥離し、塗面の状態を目視にて確認して以下の評価基準にもとづいて評価した。結果を表1に示す。
Aは、塗膜の剥がれが全くない。
Bは、塗膜の剥がれが2割未満である。
Cは、塗膜の剥がれが2割以上8割未満である。
Dは、塗膜の剥がれが8割以上である。
【0046】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上の結果からも明らかなように、本発明の3官能オキサゾリン化合物はカルボキシル基を持つ樹脂に添加することにより、その塗膜性能を向上させることができるものであり、塗料、表面処理剤、コーティング剤、接着剤、シーリング材などに好適に使用することができる。