(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トンネルの坑口の側壁に設置された非常用設備の上方に取り付ける取付部と、前記非常用設備の正面側の路側帯に向けて上方から収束させた赤外線を照射する赤外線照射器とを備え、
前記赤外線照射器は、前記非常用設備の前記トンネルの奥行き方向における中央位置よりも前記トンネルの奥側に向けて前記赤外線を照射する赤外線融雪装置。
【背景技術】
【0002】
高速道路等のトンネル内の路側帯には、車両の入り口側となる坑口周辺、及びトンネル内の所定の箇所に非常用電話、消火器、給水栓その他の非常用設備が設置されており、非常時に運転者や消防隊の利用に供することで、事故等の発生を未然に乃至は小規模に抑止するようにしている。
【0003】
ところで、寒冷、降雪地域では、トンネルの坑口周辺に吹き込んだ雪が、又は除雪車による除雪作業の度に持ち込まれた雪が、坑口周辺に設置された非常用設備を一部埋めるように堆雪して、非常時に非常用設備が速やかに乃至は全く使用できないといった状態になる虞があり、非常用としての役割が確保され難いものとなっている。
【0004】
すなわち、路面への積雪時には除雪車による除雪作業が頻繁に行われるが、除雪車は、一般的には、片流れ型プラウ(除雪板)で進行方向に対して左側に雪を掻き分ける構造を持つもの、または除雪板や回転羽根で掻き取った雪を道路の左側に投げ飛ばすシュータ構造を持つものが知られている。除雪車による除雪作業度に、トンネル坑口手前の路面上の積雪が、除雪車の進行に従って掻き集められてトンネル内に持ち込まれ、その坑口周辺でトンネル内の左壁に堆雪されていき結果、坑口の非常用設備が部分的に埋もれるといった問題を生じる。
【0005】
特許文献1には、赤外線を照射して路面に積もった雪や氷を融雪し、同時に路面上方に発生した霧を消霧するようにした装置が提案されている。また、特許文献2には、料金所に立設された筒状の車両検知装器の下部に赤外線を遠隔的に照射し、加温熱で検知面の凍結を防止して、車両の誤検知を防止するようにした装置が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、支柱に取り付けた赤外線照射器の1つを反射板を介して路面上方空間に向け、他の1つを他の反射板を介して路面に向けた構造に関するものであり、トンネル内の側壁の特定設置物に関連して加熱を行うものではない。特許文献2は、伝熱乃至は熱対流を利用して検知面の凍結を溶解させるもので、トンネル側壁の特定の設置物に関連して加熱を行うものではない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、トンネル坑口周辺に設置された非常用設備の正面側に堆積した雪を効果的に融雪する赤外線融雪装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る赤外線融雪装置は、トンネルの坑口の側壁に設置された非常用設備の上部に配置され、前記非常用設備の正面側の路側帯に向けて上方から赤外線を照射する赤外線照射器を備えたものである。本発明によれば、トンネル坑口に吹き込まれたり、除雪車による除雪作業の度に持ち込まれて、非常用設備を覆うよう堆積された雪が、上方からの赤外線の照射によって効果的に融雪されることで、非常用設備の前面が消雪される。従って、トンネル坑口に堆雪があっても、非常用設備については、これを速やかな利用に供することが可能となる。
【0010】
また、前記赤外線照射器は、前記非常用設備の前記トンネルの奥行き方向に対する中心位置よりも前記トンネルの奥側に向けて前記赤外線を照射するものである。この構成によれば、吹き込み雪及び除雪車による除雪作業の度の持ち込み雪がトンネル奥側の融雪斜面に相対的に多めに堆積する傾向に対しても、トンネル奥側の融雪斜面側をより多めに融雪することで、非常用設備の前面全体が均一に融雪される。
【0011】
また、前記赤外線照射器は、取り付け位置が前記トンネルの奥側にずらして設置されているものである。この構成によれば、取り付け位置をずらすのみであるので、取り付け構造、作業が容易となる。
【0012】
また、前記赤外線照射器は、赤外線の照射方向がトンネル奥側に向くように、傾けて取り付けられているものである。この構成によれば、赤外線照射方向を傾けるのみで対応可能となる。
【0013】
また、前記非常用設備の正面側の前記路側帯に堆雪する量を遠隔的に検出する積雪計を備え、前記積雪計は、前記非常用設備の正面側の前記路側帯の真上位置からずらした位置に設けられているものである。この構成によれば、積雪計を非常用設備の正面側の真上から離れた位置に設置できるため、設置箇所の自由度が増す。
【0014】
また、前記非常用設備の正面側の路肩面に敷設された、黒色表面を有する反射材を備え、前記堆雪センサは、前記反射材の黒色表面を光学的に検出するものである。この構成によれば、誤検知が効果的に防止される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、トンネルの坑口付近に設置される非常用設備に対する融雪を効果的に行う。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】トンネル坑口周辺に設置された赤外線融雪装置の適用例を示す図で、(a)は車両走行路から路側帯側を見た図、(b)はトンネルの一部の横断面図である。
【
図2】赤外線融雪装置の一実施形態を示す構造図で、(a)は取付具の構造図、(b)は取付具に支持された状態の赤外線融雪装置の斜視図、(c)は横断面図である。
【
図3】
図2の赤外線融雪装置の構成図で、(a)は側壁への取り付けを説明する分解図、(b)は赤外線融雪装置から放射される赤外線の放射特性の一例を示す図である。
【
図4】赤外線融雪装置の取付状態の他の例を示す図で、(a)は赤外線融雪装置を斜めに配置した取付図、(b)はトンネル奥側の赤外線融雪装置のみを斜めに配置した取付図である。
【
図5】積雪計の配置図で、(a)は平面図、(b)は車両走行路から路側帯側を見た図である。
【
図6】融雪動作を実行するため機能構成の一例を示す構成図である。
【
図7】融雪処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】トンネル坑口周辺に設置された赤外線融雪装置の取付状態の他の適用例を示す図で、(a)は車両走行路から路側帯側を見た図、(b)はトンネルの一部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、トンネル坑口周辺に設置された赤外線融雪装置の適用例を示す図で、(a)は車両走行路から路側帯側を見た図、(b)はトンネルの一部の横断面図である。
図1において、トンネル10内には、車両用走行路21、及び車両用走行路21とトンネル側壁11との間に歩道等として使用される嵩高の路側帯22が形成されている。トンネル10の入り口(車両進入側車線)側の坑口から所定距離だけ入った箇所には、トンネル側壁11に直方体形状の凹部12が穿設されている。凹部12は、路側帯22から上部に向けて形成されており、そこに非常用設備の一例としての非常用電話ボックス30が嵌め込まれている。トンネル10の非常用設備に関しては、「道路トンネル非常用施設設備基準」によって坑口付近の所定位置、及びトンネル10内の所定距離間隔毎に設置箇所が個々に規定されている。
図1に示す非常用電話ボックス30は坑口付近に設置されたものである。非常用電話ボックス30は、一般的な電話ボックスと近似したサイズを有しており、正面側の扉を開いて内部に入ることで、電話器を利用できるようになっている。
【0018】
降雪時乃至は積雪時には、トンネル10内の坑口周辺となる路側帯22には外部から吹き込んでくる雪や、前述した除雪車による除雪作業の度に持ち込まれる雪が堆積して、(融雪前の)堆雪40のように非常用電話ボックス30の前面側を覆い、氷結状態となるなどして、非常用電話ボックス30の扉が凍結によって開きにくくなって、非常時に速やかな電話機の使用を妨げる虞がある。
【0019】
図1において、非常用電話ボックス30の上部には赤外線を放射する赤外線融雪装置(以下、ヒータという)50が、1個を含む所定個数、ここでは2個が並んで設置されている。放射領域IRは、ヒータ50から放射される赤外線によって融雪作用を有効に発揮し得る角度範囲を略示している。なお、ヒータ50の構造の詳細は、
図2及び
図3で後述する。
【0020】
2個のヒータ50は、車両用走行路21に沿った方向に所定寸法だけ離間して設置されている。2個のヒータ50は、非常用電話ボックス30の幅方向(車両用走行路21に沿った方向)の中央線O(
図1(a)参照)に対して、左右対称位置ではなく、下記の事情を考慮して、トンネル奥側に所定寸法だけずらして配置されている。すなわち、雪の吹き込み、及び雪の持ち込みを想定せず、2個のヒータ50を中央線Oに対して左右対称となる位置に設けた場合には、非常用電話ボックス30の前面側が略左右均等に消雪(解氷含む)し、その両側に融雪面を示す融雪斜面41,42が見られる。
【0021】
一方、トンネル10の入り口側の坑口周辺は、雪の吹き込みや除雪車による除雪作業の度の雪の持ち込みがあり、実際には、これらの影響を考慮する必要がある。そこで、本出願人は、あるトンネル現場において赤外線照射による融雪の観測及び実験を行ったところ、吹き込み雪及び除雪車による持ち込み雪が、融雪中の融雪斜面41と42の上面のうち、トンネル坑口を臨む側、すなわちトンネル奥側の融雪斜面42に、より多くの雪が堆積していく傾向にあるとの知見を見いだした。そして、融雪斜面42側によって非常用電話ボックス30の前面側が覆われて、結果的に非常用電話ボックス30の扉が開きにくくなっていた。
【0022】
そこで、ヒータ50の配置を、
図1(a)に示すように、中央線O(
図1(a)参照)に対してトンネル10奥側に所定寸法だけずらして配置した。すなわち、赤外線量(熱量)を融雪斜面42側に相対的に多く照射することで、融雪斜面42側に多めに堆積する持ち込み(吹き込み含む)分を効果的に融雪し、融雪斜面41と同等になるようにすることで、非常用電話ボックス30の前面全体を消雪するようにした。トンネル10の奥側にずらす寸法は、堆雪状況、風速、温度(気温)等に依存するが、非常用電話ボックスの幅が1m程度とした場合、数cm〜数十cmが好ましい。
【0023】
図2は、ヒータ50の構造図で、(a)は取付具の構造図、(b)は取付具に支持された状態のヒータ50の斜視図、(c)は横断面図である。
図3は、ヒータ50の構成図で、(a)は側壁への取り付けを説明する分解図、(b)は赤外線の放射特性の一例を示す図である
ヒータ50の取付具51は、例えばステンレス等の金具で板状に構成され、長尺方向の両側を直角に同一方向に折り曲げて断面コ字状に形成したものである。取付具51の両側部にヒータ本体52が取り付けられている。
【0024】
ヒータ本体52は、例えば長手方向の断面が台形で、1面が開口している筐体521の内側に、赤外線を発生する管状のハロゲンランプ522を備えている。なお、図では示されていないが、ヒータ本体52の長手方向両側には、ハロゲンランプ522の両端の電極部を支持し、かつ電気的な接続をするための構造が設けられている。ヒータ本体52に設けられるハロゲンランプ522の個数は、対象となる融雪環境に必要な放射量に対応して設定可能であり、本実施形態では、1本当り2KWのハロゲンランプ522を2本並設したタイプ(4KW)を採用している。なお、ハロゲンランプ522のワット(W)数と本数とは、適用される環境地等に応じて選択可能であり、例えば1KWを4本直並列状に配置して4KWとする態様でもよい。ヒータ本体52は、ハロゲンランプ522から放射された赤外線を筐体521の開口部から指向角度内に効率的に照射するために、断面が略U字型で、開口部が筐体521の開口部とほぼ一致するように配置された反射板523を備えている。また、筐体521の内側における管方向の両端部には、開口側に傾斜した側面反射板(図略)を備えており、この傾斜した側面反射板に向かう赤外線を前方(開口側)に反射させるようにしている。さらに、筐体521の開口部には、ハロゲンランプ522を保護する格子状の防護網524が張られている。
【0025】
ハロゲンランプ522は、石英ガラスで作られたバルブ内のほぼ中央部にタングステンを材料とするフィラメントが配置され、ハロゲンガスと、アルゴンや窒素などの不活性ガスとが封入されている。また、ハロゲンランプ522は、管の表面に、赤外放射材料、例えば、黒色の遠赤外線放射セラミックスがコーティングされている。
【0026】
取付具51の両側部には、略中央の中心孔511と、その円周上で所定長を有する円弧孔512が穿設されている。一方、ヒータ本体52の裏面には、取付具51の両側部の間隔と一致した連結板53が立設されている。連結板53には中心の孔531と、その周囲に等半径上に複数個の孔532が穿設されている。中心孔511と孔531とが一致した状態で支持軸が通されていると共に、取付具51に対して、ヒータ本体52を所要角度だけ回動させた姿勢で円弧孔512と対面する孔532とをボルトで締結することで、角度調整された状態でヒータ本体52が取付具51に固定される。なお、ヒータ本体52の反射板523の曲面は、赤外線の放射領域IR(照射角度)は所定角度、例えば30°(
図3(b)参照)となるように形状設計されている。
【0027】
また、
図3(a)に示すように、ヒータ本体52を取り付けるトンネル10内の側壁11には、所要サイズの取付板54がアンカーボルト541からなる締結具で取り付けられている。取付板54には、アンカーボルト541に取付具51の孔を通してナット締めすることで固設されている。なお、ヒータ50側のトンネル側壁11への取り付けのための構造は、前記以外の公知の方法が採用可能であり、取付部の殆どの構造をトンネル側壁11側に備え、ヒータ本体52に係合部のみ設けたような態様も採用可能である。
【0028】
図4は、ヒータ50の取付状態の他の例を示す図で、(a)はヒータ50を斜めに配置した取付図、(b)はトンネル10奥側のヒータ50のみを斜めに配置した取付図である。
図1では、2個のヒータ50をトンネル10の奥側にずらして設置し、非常用電話ボックス30の前面を略均一に融雪するようにしたが、
図4(a)は、2個のヒータ50を中央線Oに対して左右対称となる位置に設置すると共に、それぞれを垂直方向Vに対して、トンネル奥側に所定の傾斜角度φ1で傾けたものである。各ヒータ50を傾斜角度θで傾けることで、吹き込み雪及び持ち込み雪に対して融雪斜面42側をより融雪することができ、非常用電話ボックス30の前面全体をより均一に融雪することが可能となる。1個のヒータ50の場合でも傾斜させることで同様の効果が期待できる。
【0029】
また、
図4(b)では、2個のヒータ50を中央線Oに対して左右対称となる位置に設置すると共に、トンネル10入り口側のヒータ50のみを垂直方向Vに対して、トンネル10奥側に所定の傾斜角度φ2で傾けたものである。トンネル10入り口側のヒータ50のみを傾斜角度φ2に傾けることで、トンネル奥側のヒータ50の放射範囲IRとの重なり範囲が、中央線Oよりもトンネル10奥側において広くなり、熱量が大きくなるので、吹き込み雪及び持ち込み雪の多い融雪斜面42側をより融雪することができる。従って、非常用電話ボックス30の前面全体をより均一に融雪することが可能となる。また、ヒータ50を、例えば3個直列に配置した態様で、トンネル入り口側の2個を、あるいは中央の1個を傾斜させることで同様な効果が期待できる。また、2個の場合も含め、トンネル奥側となるヒータ50の取り付け高さ位置を、トンネル入り口側のヒータ50に比して相対的に低くするようにしてもよい。
【0030】
図5は、積雪計の配置を示す図で、(a)は平面図、(b)は車両走行路21から路側帯22側を見た図である。ヒータ50の配置は、
図1と同様である。積雪計71は、例えば赤外線ビーム(なお、混信防止のためヒータ50が放射する赤外線とは異なる波長帯を使用)を検知用の信号として送信する送信部と、反射物から反射してきた赤外線を検知信号として受信することで検知対象の有無を検知する受信部とを備えたものである。積雪計71は、測定部位に積雪があると、積雪面からの反射を受信することで積雪有りを検出する一方、検知部位がコンクリート乃至はアスファルトからなる路側帯22の場合には、消雪状態でも、反射レベルの低下が十分ではなく、「未消雪」と誤検知される可能性がある。そこで、本実施形態では、かかる誤検知を防止するべく、積雪計71の検知信号の送信方向を斜め上方から、直接反射を受信しない程度の角度θ、例えば15度で非常用電話ボックス30の前面部に向けて送信するようにしている。なお、積雪計71を非常用電話ボックス30の前面の真上から離れた適宜の位置に設置可能となることから、取り付けの自由度が増し、作業性も高まる。
【0031】
さらに、この部位に表面が黒色系のマット状、シート状あるいは薄層状の板材を反射抑制材711として敷設することで、消雪によって黒色面が露出した状態で赤外線の反射を抑制し、消雪状態を確実に検知するようにしている。なお、反射抑制材711は、黒色表面を有するものに限定されず、赤外線の反射を抑制する色、材料又は表面処理された物が採用可能である。また、積雪計71は、反射抑制材711の真上に設置する態様でもよい。さらに、積雪計71としては赤外線ビームを使用するものの他、光、電波、超音波等の伝搬信号の伝搬時間差を利用するものや、CCD等の撮像手段を利用したものが採用可能である。
【0032】
図6は、融雪動作を実行するため機能構成の一例を示す構成図である。ヒータ50は制御盤60に内装された制御部61等によって融雪動作が制御される。制御盤61は、
図1に示すようにトンネル10の坑口内に設けてもよいし、坑口外適所に設けてもよい。制御部61は、好ましくはマイクロプロセッサから構成され、記憶部64に格納された制御プログラムを実行することで、ヒータ制御部611及びタイマ612として機能する。ヒータ制御部611は、積雪計71等の検出結果、タイマ612の時間情報を参照しながら、制御プログラムに従って、電源部62に対してヒータ50へ供給する電力のオン、オフ制御を行う。タイマ612は、本実施例では、2種類のタイマ機能を実行するもので、1つは、「手動」時にヒータ50の電源オフを失念した場合を考慮して、オンから所定時間後に自動的にオフにする、省電用の消し忘れ防止タイマとして機能し、他の1つは、「自動」時に融雪によって消雪したと判断した後、所定時間だけオンを継続させる積雪遅延タイマとして機能する。
【0033】
操作部63はマニュアルによって操作可能な図略のスイッチで、スイッチの切替で融雪動作に対する「手動」と「自動」との切替が可能になっている。なお、温度計72は気温を計測するもので、計測結果は必要に応じて利用される。また、図では示していないが風速計を備え、この情報を作用する態様としてもよい。
【0034】
図7は、融雪処理の一例を示すフローチャートである。メイン電源が投入されるとまず、操作部63であるスイッチの状態が判断される(ステップS11)。「手動」と判断されると、運転がオンされたか否かが判断される(ステップS13)。運転がオンされていなければ、ステップS11に戻る。一方、運転がオンされたのであれば、ヒータ50が作動(オン)される(ステップS15)。次いで、消し忘れ防止タイマの作動が開始される(ステップS17)。続いて、消し忘れ防止タイマが設定時間をタイムアップしたか否かが判断され(ステップS19)、タイムアップしたと判断されると、ヒータ50が停止され(ステップS21)、続いて、消し忘れ防止タイマがリセットされて(ステップS23)、ステップS11に戻る。本フローチャートは、制御盤60の電源がオフにされるなどして終了する。
【0035】
一方、ステップS11で、「自動」と判断されると、運転がオンされたか否かが判断される(ステップS25)。運転がオンされていなければ、ステップS11に戻り、運転がオンされたのであれば、次に、積雪計71の結果を参照して、積雪の有無が判断される(ステップS27)。積雪有りと判断されまで待機した後に、ヒータ50がオンされて、融雪動作が開始される(ステップS29)。次いで、積雪計71の結果を参照しつつ、融雪動作によって、消雪、すなわち積雪無しに至ったか否かが判断される(ステップS31)。ステップS31によって、消雪までヒータ50による融雪処理が継続される。
【0036】
一方、消雪と判断されると(ステップS31でYes)、積雪遅延タイマの作動が開始される(ステップS33)。この後、積雪遅延タイマが設定時間をタイムアップしたか否かが判断され(ステップS35)、タイムアップしたと判断されると、ヒータ50が停止され(ステップS37)、続いて、積雪遅延タイマがリセットされて(ステップS39)、ステップS27に戻る。ステップS27では、例えば除雪車による雪の持ち込み等によって積雪有りになると、同様な融雪処理が繰り返されることになる。なお、積雪遅延タイマに設定される時間は、消雪状態をより確実にするためのヒータオン時間を持たせたもので、予め設定された時間でもよいし、例えば温度計72(や風速計)の結果を参照して変動可能に設定する態様としてもよい。また、スイッチの切替が制御部61で検知された場合には、ステップS11に戻るようにしている。
【0037】
図8は、トンネル坑口周辺に設置された赤外線融雪装置の取付状態の他の適用例を示す図で、(a)は車両走行路から路側帯側を見た図、(b)はトンネルの一部の横断面図である。
図8では、非常用設備として消火器や消火栓の消火設備ボックス31への適用例を示している。ヒータ50は、
図1の場合と同様、消火設備ボックス31の中央線Oに対してトンネル10の奥側にすらして設置されており、これによって、吹き込み雪や除雪毎の持ち込み雪に対しても消火設備ボックス31の前面を消雪し、設備の確実な利用を確保するようにしている。
図8の場合にも、
図4及び
図5の態様が採用可能である。