特許第6843338号(P6843338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843338
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】HMTユニット及びHMT構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 47/04 20060101AFI20210308BHJP
   B60K 17/10 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   F16H47/04 C
   B60K17/10 D
   B60K17/10 C
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-241115(P2016-241115)
(22)【出願日】2016年12月13日
(65)【公開番号】特開2018-9692(P2018-9692A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年10月8日
(31)【優先権主張番号】特願2016-133425(P2016-133425)
(32)【優先日】2016年7月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000125853
【氏名又は名称】株式会社 神崎高級工機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】辻 智之
(72)【発明者】
【氏名】稲岡 隆也
(72)【発明者】
【氏名】東泊 良隆
(72)【発明者】
【氏名】笹原 謙悟
【審査官】 小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−068404(JP,A)
【文献】 特開2005−172019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 47/04
B60K 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から入力される回転動力を無段変速して出力するHSTと、前記駆動源からの回転動力及び前記HSTからの回転動力を合成して出力する遊星歯車機構とを備え、前記遊星歯車機構は、前記HSTのモータ軸に作動連結されるサンギヤと、前記サンギヤと噛合する遊星ギヤと、前記遊星ギヤと噛合するインターナルギヤと、前記遊星ギヤを軸線回り回転自在に支持し且つ前記遊星ギヤの前記サンギヤ回りの公転に連動して前記サンギヤの軸線回りに回転するキャリヤとを有しているHMTユニットであって、
前記HST及び前記遊星歯車機構を収容した状態で取付箇所に着脱自在に連結されるハウジングを備え、
前記HSTは、ポンプ軸と、前記ポンプ軸に支持される油圧ポンプと、前記油圧ポンプに流体接続される油圧モータと、前記油圧モータを支持する前記モータ軸と、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータの少なくとも一方の容積を変更する容積変更部材とを有し、
前記ハウジングには、前記ポンプ軸と軸線回りに一体回転する状態で前記駆動源からの回転動力を入力する入力軸と、前記入力軸の回転動力を前記インターナルギヤ及びキャリヤの一方によって形成される定速入力要素に作動伝達する定速伝動部と、前記インターナルギヤ及び前記キャリヤの他方によって形成される出力要素の合成回転動力を外部へ出力する出力軸とが設けられ
前記ハウジングは、第1方向一方側及び他方側がそれぞれ第1及び第2開口とされた中空の周壁と前記周壁の第1方向中間位置に前記周壁の内部空間を第1室及び第2室に仕切る隔壁とを有するハウジング本体と、前記第1開口を閉塞するように前記ハウジング本体に着脱自在に連結される第1蓋部材と、前記第2開口を閉塞するように前記ハウジング本体に着脱自在に連結される第2蓋部材とを有し、
前記第1室に前記油圧ポンプ、前記油圧モータ及び前記容積変更部材が収容され、前記第2室に前記遊星歯車機構が収容され、
前記ポンプ軸は、第1方向に沿い、第1方向一方側が前記第1蓋部材から外方へ延在されて前記入力軸を形成し且つ第1方向他方側が前記第2室に突入した状態で前記第1蓋部材及び前記隔壁によって支持され、
前記モータ軸は、第1方向に沿い且つ第1方向他方側が前記第2室に突入した状態で前記第1蓋部材及び前記隔壁によって支持され、
前記定速伝動部は、前記ポンプ軸から前記定速入力要素に回転動力を作動伝達するように構成され、
前記出力軸は、前記出力要素に作動連結された状態で、第1方向他方側が前記第2蓋部材から外方へ延在されて出力部として作用することを特徴とするHMTユニット。
【請求項2】
前記容積変更部材の操作によって、合成回転動力が逆転方向最高速と正転方向最高速との間で無段変速されることを特徴とする請求項に記載のHMTユニット。
【請求項3】
前記第1蓋部材には、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータを流体接続する一対の作動油路が形成されていることを特徴とする請求項又はに記載のHMTユニット。
【請求項4】
駆動源から入力される回転動力を無段変速して出力するHST、前記駆動源からの回転動力及び前記HSTのモータ軸からサンギヤに作動的に入力される回転動力を合成して出力する遊星歯車機構、並びに、前記HST及び前記遊星歯車機構を収容するハウジングを有するHMTユニットと、
前記ハウジングが着脱自在に連結されるミッションケースを有するトランスミッションとを備え、
前記ハウジングには、前記HSTのポンプ軸に作動連結された入力軸と、前記入力軸を前記遊星歯車機構のインターナルギヤ及びキャリヤの一方によって形成される定速入力要素に作動連結する定速伝動部と、前記インターナルギヤ及び前記キャリヤの他方によって形成される出力要素の合成回転動力を外部へ出力する出力軸とが並置され、
前記ミッションケースには、前記駆動源から回転動力を作動的に入力する駆動軸と、トランスミッション入力軸とが設けられ、
前記ハウジングの前記ミッションケースへの連結によって、前記駆動軸が第1カップリングを介して前記入力軸に、前記出力軸が第2カップリングを介して前記トランスミッション入力軸に、それぞれ連結されることを特徴とするHMT構造。
【請求項5】
前記第1カップリング及び前記第2カップリングは前記ミッションケースに設けられていることを特徴とする請求項に記載のHMT構造。
【請求項6】
前記HSTは、前記ポンプ軸と、前記ポンプ軸に支持される油圧ポンプと、前記油圧ポンプに流体接続される油圧モータと、前記油圧モータを支持する前記モータ軸と、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータの少なくとも一方の容積を変更する容積変更部材とを有し、
前記HST及び前記遊星歯車機構は、前記容積変更部材の操作によって前記モータ軸の回転速度が変速されることにより、前記出力軸から出力される合成回転動力が逆転方向最高速と正転方向最高速との間で無段変速されるように、設定されていることを特徴とする請求項又はに記載のHMT構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静油圧式無段変速機構(HST)及び遊星歯車機構を有する静油圧・機械式無段変速ユニット(HMTユニット)に関する。
【背景技術】
【0002】
初速ゼロから無段変速発進を可能としつつ伝動効率の可及的な向上を目的として、コンバインやトラクタ等の作業車輌の走行系伝動経路にHST及び遊星歯車機構を組み合わせてなるHMTが用いられている。
【0003】
また、HSTにおける容積変更部材の操作に応じて、遊星歯車機構から出力される合成回転動力の回転方向を正逆切換可能とされたHMTも提案されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
合成回転動力の回転方向が正逆切換可能とされたHMTは、走行系伝動経路に前後進切換機構を備えること無く、前記容積変更部材の操作によって車輌の前後進走行を可能とすることができる点において有用である。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載のHMTにおいては、遊星歯車機構が副変速機構と共にミッションケース内に収容される一方で、HSTは前記ミッションケースの外壁面に連結されている。
【0006】
斯かる構成においては、遊星歯車機構をミッションケース内に組み込み且つHSTをミッションケースに装着させてからでないと、HMTの出力調整作業を行うことができず、調整作業を含む組立作業効率が悪いという問題がある。
【0007】
特に、前記特許文献1に記載のHMTは、合成回転動力の回転方向が正逆切換可能とされており、このような構成においては、HSTにおける可動斜板等の容積変更部材の調整作業、及び、遊星歯車機構のギヤの噛み合いの調整作業を厳格に行う必要がある。
【0008】
詳しくは、前記特許文献1に記載のHMTは、HSTの容積変更部材としてポンプ側可動斜板及びモータ側可動斜板を有しており、前記モータ側可動斜板を第1傾転位置に位置させた状態において、前記ポンプ側可動斜板を逆転方向最大傾転位置から中立位置を介して正転方向最大傾転位置へ揺動させることで合成回転動力がゼロから前進方向最高速へ無段変速し、且つ、前記ポンプ側可動斜板を逆転方向最大傾転位置に位置させた状態で、前記モータ側可動斜板を第1傾転位置から当該第1傾転位置よりも中立位置に近い第2傾転位置へ揺動させることで合成回転動力がゼロから逆転方向最高速へ無段変速するように構成されている。
【0009】
このようなHMTは、HSTが中立状態でない所定の出力状態において、HMTの合成回転動力がゼロとなるように、HST及び遊星歯車機構の組立作業及び調整作業を厳格に行う必要がある。
【0010】
しかしながら、前記特許文献1に記載のHMTにおいては、前述の通り、ミッションケース内に遊星歯車機構を組み付け且つ前記ミッションケースにHSTを装着させてからでないと、出力調整作業を行うことができず、かかる調整作業が厄介なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4988111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、HST及び遊星歯車機構を有するHMTユニットであって、副変速機構等を含むトランスミッション等の取付箇所に実際に組み付けること無く、HST及び遊星歯車機構の組み付け作業及び出力調整作業を行えるHMTユニットの提供を目的とする。
【0013】
また、本発明は、HST及び遊星歯車機構を有するHMTユニットと、前記HMTユニットが着脱可能に連結されるトランスミッションとを備えたHMT構造であって、前記HMTユニットを前記トランスミッションに実際に組み付けること無く、HST及び遊星歯車機構の組み付け作業及び出力調整作業を行えるHMT構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記目的を達成する為に、駆動源から入力される回転動力を無段変速して出力するHSTと、前記駆動源からの回転動力及び前記HSTからの回転動力を合成して出力する遊星歯車機構とを備え、前記遊星歯車機構は、前記HSTのモータ軸に作動連結されるサンギヤと、前記サンギヤと噛合する遊星ギヤと、前記遊星ギヤと噛合するインターナルギヤと、前記遊星ギヤを軸線回り回転自在に支持し且つ前記遊星ギヤの前記サンギヤ回りの公転に連動して前記サンギヤの軸線回りに回転するキャリヤとを有しているHMTユニットであって、前記HST及び前記遊星歯車機構を収容した状態で取付箇所に着脱自在に連結されるハウジングを備え、前記HSTは、ポンプ軸と、前記ポンプ軸に支持される油圧ポンプと、前記油圧ポンプに流体接続される油圧モータと、前記油圧モータを支持する前記モータ軸と、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータの少なくとも一方の容積を変更する容積変更部材とを有し、前記ハウジングには、前記ポンプ軸と軸線回りに一体回転する状態で前記駆動源からの回転動力を入力する入力軸と、前記入力軸の回転動力を前記インターナルギヤ及びキャリヤの一方によって形成される定速入力要素に作動伝達する定速伝動部と、前記インターナルギヤ及び前記キャリヤの他方によって形成される出力要素の合成回転動力を外部へ出力する出力軸とが設けられ、前記ハウジングは、第1方向一方側及び他方側がそれぞれ第1及び第2開口とされた中空の周壁と前記周壁の第1方向中間位置に前記周壁の内部空間を第1室及び第2室に仕切る隔壁とを有するハウジング本体と、前記第1開口を閉塞するように前記ハウジング本体に着脱自在に連結される第1蓋部材と、前記第2開口を閉塞するように前記ハウジング本体に着脱自在に連結される第2蓋部材とを有し、前記第1室に前記油圧ポンプ、前記油圧モータ及び前記容積変更部材が収容され、前記第2室に前記遊星歯車機構が収容され、前記ポンプ軸は、第1方向に沿い、第1方向一方側が前記第1蓋部材から外方へ延在されて前記入力軸を形成し且つ第1方向他方側が前記第2室に突入した状態で前記第1蓋部材及び前記隔壁によって支持され、前記モータ軸は、第1方向に沿い且つ第1方向他方側が前記第2室に突入した状態で前記第1蓋部材及び前記隔壁によって支持され、前記定速伝動部は、前記ポンプ軸から前記定速入力要素に回転動力を作動伝達するように構成され、前記出力軸は、前記出力要素に作動連結された状態で、第1方向他方側が前記第2蓋部材から外方へ延在されて出力部として作用するHMTユニットを提供する。
【0015】
例えば、前記容積変更部材の操作によって、合成回転動力が逆転方向最高速と正転方向最高速との間で無段変速されるように構成される。
【0016】
好ましくは、前記第1蓋部材には、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータを流体接続する一対の作動油路が形成される。
【0017】
また、本発明は、駆動源から入力される回転動力を無段変速して出力するHST、前記駆動源からの回転動力及び前記HSTのモータ軸からサンギヤに作動的に入力される回転動力を合成して出力する遊星歯車機構、並びに、前記HST及び前記遊星歯車機構を収容するハウジングを有するHMTユニットと、前記ハウジングが着脱自在に連結されるミッションケースを有するトランスミッションとを備え、前記ハウジングには、前記HSTのポンプ軸に作動連結された入力軸と、前記入力軸を前記遊星歯車機構のインターナルギヤ及びキャリヤの一方によって形成される定速入力要素に作動連結する定速伝動部と、前記インターナルギヤ及び前記キャリヤの他方によって形成される出力要素の合成回転動力を外部へ出力する出力軸とが設けられ、前記ミッションケースには、前記駆動源から回転動力を作動的に入力する駆動軸と、トランスミッション入力軸とが設けられ、前記ハウジングの前記ミッションケースへの連結によって、前記駆動軸が第1カップリングを介して前記入力軸に、前記出力軸が第2カップリングを介して前記トランスミッション入力軸に、それぞれ連結されるHMT構造を提供する。
【0018】
例えば、前記第1カップリング及び前記第2カップリングは前記ミッションケースに設けられる。
これに代えて、前記第1カップリング及び前記第2カップリングの一方又は双方を前記ハウジングに設けることができる。
【0019】
前記HSTは、前記ポンプ軸と、前記ポンプ軸に支持される油圧ポンプと、前記油圧ポンプに流体接続される油圧モータと、前記油圧モータを支持する前記モータ軸と、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータの少なくとも一方の容積を変更する容積変更部材とを有するものとされ、好ましくは、前記HST及び前記遊星歯車機構は、前記容積変更部材の操作によって前記モータ軸の回転速度が変速されることにより、前記出力軸から出力される合成回転動力が逆転方向最高速と正転方向最高速との間で無段変速されるように、設定される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るHMTユニットによれば、サンギヤがモータ軸に作動連結された状態でHST及び遊星歯車機構を収容し、これらを収容した状態のままで取付箇所に着脱自在に連結されるハウジングを備え、
前記HSTは、ポンプ軸と、前記ポンプ軸に支持される油圧ポンプと、前記油圧ポンプに流体接続される油圧モータと、前記油圧モータを支持する前記モータ軸と、前記油圧ポンプ及び前記油圧モータの少なくとも一方の容積を変更する容積変更部材とを有し、前記ハウジングには、前記ポンプ軸と軸線回りに一体回転する状態で前記駆動源からの回転動力を入力する入力軸と、前記入力軸の回転動力を遊星歯車機構のインターナルギヤ及びキャリヤの一方によって形成される定速入力要素に作動伝達する定速伝動部と、前記インターナルギヤ及び前記キャリヤの他方によって形成される出力要素の合成回転動力を外部へ出力する出力軸とが設けられ、前記ハウジングは、第1方向一方側及び他方側がそれぞれ第1及び第2開口とされた中空の周壁と前記周壁の第1方向中間位置に前記周壁の内部空間を第1室及び第2室に仕切る隔壁とを有するハウジング本体と、前記第1開口を閉塞するように前記ハウジング本体に着脱自在に連結される第1蓋部材と、前記第2開口を閉塞するように前記ハウジング本体に着脱自在に連結される第2蓋部材とを有し、前記第1室に前記油圧ポンプ、前記油圧モータ及び前記容積変更部材が収容され、前記第2室に前記遊星歯車機構が収容され、前記ポンプ軸は、第1方向に沿い、第1方向一方側が前記第1蓋部材から外方へ延在されて前記入力軸を形成し且つ第1方向他方側が前記第2室に突入した状態で前記第1蓋部材及び前記隔壁によって支持され、前記モータ軸は、第1方向に沿い且つ第1方向他方側が前記第2室に突入した状態で前記第1蓋部材及び前記隔壁によって支持され、前記定速伝動部は、前記ポンプ軸から前記定速入力要素に回転動力を作動伝達するように構成され、前記出力軸は、前記出力要素に作動連結された状態で、第1方向他方側が前記第2蓋部材から外方へ延在されて出力部として作用するので、前記HST及び前記遊星歯車機構をトランスミッション等の取付箇所に実際に装着させること無く、前記HST及び前記遊星歯車機構の組み付け作業及び出力調整作業を行うことができ、これらの作業効率を向上させることができる。
【0021】
また、本発明に係るHMT構造によれば、サンギヤがモータ軸に作動連結された状態でHST及び遊星歯車機構がハウジングに収容されているHMTユニットと、前記ハウジングが着脱可能に連結されるミッションケースを有するトランスミッションとを備え、前記ハウジングには、前記HSTのポンプ軸に作動連結された入力軸と、前記入力軸を遊星歯車機構のインターナルギヤ及びキャリヤの一方によって形成される定速入力要素に作動連結する定速伝動部と、前記インターナルギヤ及び前記キャリヤの他方によって形成される出力要素の合成回転動力を外部へ出力する出力軸とが設けられ、前記ミッションケースには、駆動源から回転動力を作動的に入力する駆動軸とトランスミッション入力軸とが設けられ、前記ハウジングの前記ミッションケースへの連結によって、前記駆動軸が第1カップリングを介して前記入力軸に、前記出力軸が第2カップリングを介して前記トランスミッション入力軸に、それぞれ連結されるので、前記HST及び前記遊星歯車機構を有するHSTユニットを前記トランスミッションに実際に装着させること無く、前記HST及び前記遊星歯車機構の組み付け作業及び出力調整作業を行うことができ、これらの作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係るHMTユニットがトランスミッションに装着された状態を示す斜視図である。
図2図2は、前記実施の形態1に係るHMTユニット及び前記トランスミッションの展開断面図である。
図3図3は、前記HMTユニットを前記トランスミッションから分離させた状態の分解展開断面図である。
図4図4は、図3におけるIV-IV線に沿った前記HMTユニットの断面図である。
図5図5は、前記HMTユニットにおける遊星ギヤ機構の拡大断面図である。
図6図6は、図5におけるVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、図6におけるVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、前記遊星歯車機構の分解断面図である。
図9図9は、本発明の実施の形態2に係るHMTユニットがトランスミッションに装着された状態の展開断面図である。
図10図10は、前記実施の形態2に係るHMTユニットを前記トランスミッションから分離させた状態の分解展開断面図である。
図11図11は、前記実施の形態2に係るHMTユニットにおける遊星ギヤ機構の拡大断面図である。
図12図12は、前記実施の形態2に係るHMTユニットが変形例に係るトランスミッションに装着された状態を示す斜視図である。
図13図13は、図12の展開断面図である。
図14図14は、図13の分解展開断面図である。
図15図15(a)は、図13及び図14の部分拡大展開断面図である。図15(b)は、図15(a)の変形例の部分拡大展開断面図である。図15(c)は、図15(a)の他の変形例の部分拡大展開断面図である。
図16図16は、前記実施の形態2の変形例に係るHMTユニットを前記トランスミッションから分離させた状態の分解展開断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施の形態1
以下、本発明に係るHMTユニットの一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に、それぞれ、本実施の形態に係るHMTユニット1がトランスミッション500に装着された状態の斜視図及び展開断面図を示す。
また、図3に、前記HMTユニット1を前記トランスミッション500から分離させた状態の分解展開断面図を、図4に、図3におけるIV-IV線に沿った前記HMTユニット1の断面図を示す。
【0024】
図1図4に示すように、前記HMTユニット1は、駆動源(図示せず)から入力される回転動力を無段変速して出力するHST10と、前記駆動源からの回転動力及び前記HST10からの回転動力を合成して出力する遊星歯車機構100と、前記HST10及び前記遊星歯車機構100を収容した状態で取付箇所(図示の例においては前記トランスミッション500)に着脱自在に連結されるハウジング200とを備えている。
【0025】
図2及び図4に示すように、前記HST10は、駆動源によって作動的に回転駆動されるポンプ軸20と、前記ポンプ軸20に相対回転不能に支持された油圧ポンプ25と、前記油圧ポンプ25に流体接続されて前記油圧ポンプ25によって油圧的に回転駆動される油圧モータ35と、前記油圧モータ35を相対回転不能に支持するモータ軸30と、前記油圧ポンプ25及び前記油圧モータ35の少なくとも一方の容積を変更させて、前記ポンプ軸20に入力される入力回転速度に対する、前記モータ軸30から出力される出力回転速度の割合(即ち、HSTによる変速比)を無段変化させる容積変更部材40とを有している。
【0026】
本実施の形態においては、前記HST10は、前記容積変更部材40として、前記油圧ポンプ25の容積を変更するポンプ側可動斜板40(P)及び前記油圧モータ35の容積を変更するモータ側可動斜板40(M)を有している。
【0027】
図5に、前記遊星ギヤ機構100の拡大断面図を示す。
又、図6に、図5におけるVI-VI線に沿った断面図を、図7に、図6におけるVII-VII線に沿った断面図を示す。
【0028】
図5等に示すように、前記遊星歯車機構100は、サンギヤ110と、前記サンギヤ110と噛合する遊星ギヤ120と、前記遊星ギヤ120と噛合するインターナルギヤ130と、前記遊星ギヤ120を軸線回り回転自在に支持し且つ前記遊星ギヤ120の前記サンギヤ110回りの公転に連動して前記サンギヤ110の軸線回りに回転するキャリヤ150とを有している。
【0029】
前記遊星歯車機構100においては、前記サンギヤ100、前記キャリヤ150及び前記インターナルギヤ130の遊星3要素のうちの一要素が可変入力要素として作用し、他の一要素が定入力要素として作用し、残りの一要素が合成回転動力出力要素として作用する。
【0030】
本実施の形態においては、前記サンギヤ100が前記モータ軸30に相対回転不能に支持されて可変入力要素として作用し、前記インターナルギヤ130が定速入力要素として作用し、前記キャリヤ150が合成回転動力出力要素として作用する。
【0031】
図5に示すように、本実施の形態においては、前記キャリヤ150は、前記遊星ギヤ120を軸線回り回転自在に支持するキャリヤピン160と、前記遊星ギヤ120の前記サンギヤ110回りの公転と共に前記サンギヤ110の軸線回りに回転するように前記キャリヤピン160の軸線方向一方側の第1端部162(1)及び軸線方向他方側の第2端部162(2)をそれぞれ支持する第1及び第2キャリヤ本体170(1)、170(2)とを有している。
【0032】
前記第1キャリヤ本体170(1)には、前記キャリヤピン160の第1端部162(1)が挿入される第1支持孔172(1)と、前記キャリヤピン160の第1端部162(1)が前記第1支持孔172(1)に挿入された状態で前記キャリヤピン160における軸線方向一方側を向く第1当接面165(1)に係合する第1停止面175(1)とが設けられている。
【0033】
一方、前記第2キャリヤ本体170(2)には、前記キャリヤピン160の第2端部162(2)が挿入される第2支持孔172(2)と、前記キャリヤピン160の第2端部162(2)が前記第2支持孔172(2)に挿入された状態で前記キャリヤピン160における軸線方向他方側を向く第2当接面165(2)に係合する第2停止面175(2)とが設けられている。
【0034】
前記第1及び第2キャリヤ本体170(1)、170(2)は、前記第1端部162(1)が前記第1支持孔172(1)に係入され且つ前記第1当接面165(1)が前記第1停止面175(1)に係合され、前記第2端部162(2)が前記第2支持孔172(2)に係入され且つ前記第2当接面165(2)が前記第2停止面175(2)に係合された状態で、締結部材178を介して互いに対して分離可能に連結されている。
【0035】
斯かる構成の前記遊星歯車機構100によれば、前記キャリヤピン160及び当該キャリヤピン160の抜け止め構造に掛かる負荷を有効に軽減して、耐久性を向上させることができる。
【0036】
即ち、従来の遊星歯車機構においては、キャリヤピンは、軸線方向一方側がキャリヤギヤ等のキャリヤ本体に形成された支持孔に挿入支持された状態で軸線方向他方側において遊星ギヤを支持する片持ち支持状態とされている。
かかる従来構成においては、前記キャリヤピン自体に大きな負荷が掛かる。
【0037】
また、従来の遊星歯車機構においては、前記キャリヤピンの前記支持孔からの抜け出し防止は、前記キャリヤピンに着脱自在に装着される抜け止めピンによって行われるのが一般的であり、前記抜け止めピンには剪断方向に大きな負荷が掛かる。
【0038】
これに対し、本実施の形態においては、前記キャリヤピン160は、第1及び第2端部162(1)、162(2)がそれぞれ前記第1キャリヤ本体170(1)の第1支持孔172(1)及び前記第2キャリヤ本体170(2)の第2支持孔172(2)に挿入された両持ち支持状態において、前記第1及び第2端部162(1)、162(2)の間の中間部で前記遊星ギヤ120を支持している。
従って、前記キャリヤピン160に掛かる負荷を有効に軽減することができる。
【0039】
また、本実施の形態においては、前記第1当接面165(1)が前記第1停止面175(1)に当接することで前記キャリヤピン160の軸線方向一方側への抜け止めが防止され、且つ、前記第2当接面165(2)が前記第2停止面175(2)に当接することで前記キャリヤピン160の軸線方向他方側への抜け止めが防止される。
従って、前記抜け止めピン等の特定部材に過度の負荷を掛けることなく、前記キャリヤピン160の抜け止めを行うことができる。
【0040】
図8に、前記遊星歯車機構100の分解断面図を示す。
本実施の形態においては、図8に示すように、前記第1支持孔172(1)は、前記第2キャリヤ本体170(2)に近接する軸線方向内端側が前記第2キャリヤ本体170(2)との対向面170a(1)に開口し且つ前記第2キャリヤ本体170(2)とは反対側の軸線方向外端側が前記第1キャリヤ本体170(1)の軸線方向厚み内で終焉する孔部173(1)と、前記孔部173(1)の軸線方向外端側から径方向内方へ延びる底面174(1)とを有している。
【0041】
同様に、前記第2支持孔172(2)は、前記第1キャリヤ本体170(1)に近接する軸線方向内端側が前記第1キャリヤ本体170(1)との対向面170a(2)に開口し且つ前記第1キャリヤ本体170(1)とは反対側の軸線方向外端側が前記第2キャリヤ本体170(2)の軸線方向厚み内で終焉する孔部173(2)と、前記孔部173(2)の軸線方向外端側から径方向内方へ延びる底面174(2)とを有している。
【0042】
前記キャリヤピン160の第1端部162(1)は、軸線方向一方側の端面164(1)が前記第1支持孔172(1)の底面174(1)に当接されるように、前記第1支持孔172(1)の孔部173(1)に挿入されており、前記キャリヤピン160の第2端部162(2)は、軸線方向他方側の端面164(2)が前記第2支持孔172(2)の底面174(2)に当接されるように、前記第2支持孔172(2)の孔部173(2)に挿入されている。
【0043】
即ち、本実施の形態においては、前記キャリヤピン160の軸線方向一方側及び他方側の端面164(1)、164(2)が、それぞれ、前記第1及び第2当接面165(1)、165(2)として作用し、前記第1及び第2支持孔172(1)、172(2)の底面174(1)、174(2)が、それぞれ、前記第1及び第2停止面175(1)、175(2)として作用している。
【0044】
前記遊星歯車機構100には下記潤滑油供給構造が設けられている。
図5図8に示すように、前記第1キャリヤ本体170(1)には、前記第1支持孔172(1)の底面174(1)の径方向内端から軸線方向外端側へ延びて前記第1キャリヤ本体170(1)の前記第2キャリヤ本体170(2)とは反対側の裏面170b(1)に開口する第1油孔176(1)が設けられている。
【0045】
同様に、前記第2キャリヤ本体170(2)には、前記第2支持孔172(2)の底面174(2)の径方向内端から軸線方向外端側へ延びて前記第2キャリヤ本体170(2)の前記第1キャリヤ本体170(1)とは反対側の裏面170b(2)に開口する第2油孔176(2)が設けられている。
【0046】
前記第1及び第2油孔176(1)、176(2)を設けることにより、前記ハウジング200のうち前記遊星歯車機構100を収容する部分に貯留される貯留油を、前記キャリヤピン160の第1及び第2端部162(1)、162(2)へ有効に導くことができる。
【0047】
さらに、前記遊星歯車機構100においては、前記キャリヤピン160に、前記第1油孔176(1)に臨むように軸線方向一方側の端面164(1)に開き且つ前記第2油孔176(2)に臨むように軸線方向他方側の端面164(2)に開くと共に、外周面のうち前記遊星ギヤ120を支持する領域にも開く潤滑油孔166が設けられている。
前記潤滑油孔166を設けることにより、前記遊星歯車機構100の全体へ潤滑油を有効に導くことができる。
【0048】
さらに、前記遊星歯車機構100においては、前記遊星歯車機構100の全体への潤滑油の供給をより円滑に行う為に、下記構成が採用されている。
即ち、図5図8に示すように、前記潤滑油孔166は、軸線方向一方側及び他方側の端面164(1)、164(2)に開く軸線方向孔166aと、前記軸線方向孔166aに連通された状態で一端側及び他端側が外周面に開く径方向孔166bとを含んでいる。
【0049】
そして、前記キャリヤピン160は、前記径方向孔166bが前記サンギア110の回転中心を基準とする径方向Rに沿った姿勢で保持されるように、前記第1及び第2キャリヤ本体170(1)、170(2)の少なくとも一方に軸線回り回転不能に固定されている。
【0050】
本実施の形態においては、図5図8に示すように、前記キャリヤピン160には回り止めピン168が径方向に貫通して設けられており、前記第1キャリヤ本体170(1)の内表面(前記第2キャリヤ本体170(2)との対向面170a(1))に形成された保持溝185に前記回り止めピン168が係入されることで、前記径方向孔166bが前記遊星歯車機構の径方向Rに沿った状態で前記キャリヤピン160の軸線回りの自転が防止されている。
【0051】
斯かる構成を備えることにより、前記キャリヤ150の回転動作時に、前記軸線方向孔166aに導入された潤滑油を、前記径方向孔166bを介して前記遊星歯車機構100の全体に径方向に沿って円滑に拡散させることができる。
【0052】
なお、前述の通り、前記キャリヤピン160のスラスト方向への抜け止めは、前記第1当接面165(1)及び前記第1停止面175(1)の係合、並びに、前記第2当接面165(2)及び前記第2停止面175(2)の係合によって行われる為、前記回り止めピン168には、前記キャリヤピン160の抜け止めを行う程の強度は要求されず、前記キャリヤピン160の軸線回りの自転を防止できる程度の強度のみで十分とされる。
【0053】
図2及び図3等に示すように、前記ハウジング200には、前記HST10のポンプ軸20と軸線回り一体回転する状態で前記駆動源からの回転動力を入力する入力軸310と、前記入力軸310の回転動力を前記インターナルギヤ130及びキャリヤ150の一方によって形成される定速入力要素に作動伝達する定速伝動部330と、前記インターナルギヤ130及び前記キャリヤ150の他方によって形成される出力要素の合成回転動力を外部へ出力する出力軸350とが設けられている。
【0054】
斯かる構成の前記HMTユニット1によれば、前記HST10及び前記遊星歯車機構100を車輌に実際に装着させること無く、当該HMTユニット1単体で、前記HST10及び前記遊星歯車機構100の組み付け作業及び調整作業を行うことができる。
【0055】
即ち、HST及び遊星歯車機構を含むHMTにおいては、遊星歯車機構におけるサンギヤ、キャリヤ及びインターナルギヤを含む3要素のうちの第1要素に定速回転動力を入力させ且つ前記3要素のうちの第2要素にHSTから出力される無段可変回転動力を入力させ、前記3要素のうちの第3要素から合成回転動力が出力される。
【0056】
従って、前記HSTの容積変更部材の操作量と前記遊星歯車機構の第3要素から出力される合成回転動力の回転速度とが所望の関係となるように、HST及び遊星歯車機構を正確に組み付け且つ出力調整を厳格に行う必要がある。
【0057】
この点に関し、従来のHMTにおいては、遊星歯車機構は副変速機構を収容するミッションケース内に収容される一方で、HSTは前記遊星歯車機構とは分離された状態で前記ミッションケースの外壁面に連結されている。
【0058】
斯かる従来構成においては、前記遊星歯車機構をミッションケース内に組み込み、さらに、前記HSTをミッションケースに装着させてからでないと、HMTの調整作業を行うことができず、調整作業を含む組立作業効率が悪いという問題がある。
【0059】
これに対し、本実施の形態に係るHMTユニット1によれば、当該HMTユニット1単体で前記HST10及び前記遊星歯車機構100の組み付け作業及び調整作業を行うことができ、これらの作業効率を向上させることができる。
【0060】
HSTの出力操作によって、前記遊星歯車機構100の合成回転動力が正逆切換可能とされる仕様においては、前記調整作業をより厳密に行う必要が有り、本実施の形態に係るHMTユニット1の前記効果、即ち、HMTの組立作業及び調整作業をHMTユニット単体で行えるという効果は、特に有効となる。
【0061】
なお、本実施の形態においては、下記構成によって、HST出力操作による前記遊星歯車機構100の合成回転動力の正逆切換が可能とされている。
【0062】
即ち、本実施の形態においては、前述の通り、前記HST10は、前記容積変更部材40として、前記ポンプ側可動斜板40(P)及び前記モータ側可動斜板40(M)を有している。
【0063】
前記ポンプ側可動斜板40(P)は、ポンプ側揺動軸線回りに、前記モータ軸30を逆転方向最高速状態で回転させる逆転方向最大傾転位置から、前記モータ軸30の回転を停止させる中立位置を挟んで、前記モータ軸30を正転方向最高速状態で回転させる正転方向最大傾転位置の間で傾転されるように構成されている。
【0064】
前記モータ側可動斜板40(M)は、モータ側揺動軸線回りに、第1傾転位置と前記第1傾転位置より中立側に設定された第2傾転位置との間で傾転され得るように構成されている。
【0065】
斯かる構成において、前記ポンプ側可動斜板40(P)の正転方向最大傾転位置及び逆転方向最大傾転位置、前記モータ側可動斜板40(M)の前記第1及び第2傾転位置、並びに、前記遊星歯車機構100のギヤ比は、前記モータ側可動斜板40(M)を第1傾転位置に保持した状態での前記ポンプ側可動斜板40(P)の逆転方向最大傾転位置から正転方向最大傾転位置までの傾転に応じて、前記遊星歯車機構100から出力される合成回転動力の回転速度がゼロから正転方向最高速まで無段階に変速し、且つ、前記ポンプ側可動斜板40(P)を逆転方向最大傾転位置に保持した状態での前記モータ側可動斜板40(M)の第1傾転位置から第2傾転位置までの傾転に応じて、前記遊星歯車機構100の合成回転動力の回転速度がゼロから逆転方向最高速まで無段階に変速するように、設定されており、これにより、前記遊星歯車機構100の合成回転動力が逆転方向最高速と正転方向最高速との間で回転方向切換可能且つ無段変速可能となっている。
【0066】
この構成においては、前記ポンプ側可動斜板40(P)が中立位置に位置されて前記HST10の出力(前記モータ軸30の回転速度)がゼロの場合においても、前記遊星歯車機構100の合成回転動力は前進方向所定回転速度を有することになり、且つ、前記ポンプ側可動斜板40(P)が逆転方向最大傾転位置で、前記モータ側可動斜板40(M)が第1傾転位置に位置されて前記HST10が所定出力状態の場合に、前記遊星歯車機構100の合成回転動力がゼロとなって車輌停止状態となる。
【0067】
従って、前記HST10及び前記遊星歯車機構100の組み付け作業及び調整作業をより厳格に行う必要が有り、このような仕様においては、本実施の形態に係るHMTユニット1は特に有用となる。
【0068】
なお、このように、本実施の形態に係る前記HMTユニット1は、出力回転動力の回転方向を正逆切換可能とされている為、前記HMTユニット1が装着される前記トランスミッション500には、前後進切換機構を備える必要は無い。
【0069】
図2等に示すように、前記トランスミッション500は、ミッションケース510と、前記ミッションケース510内に収容された副変速機構530及び差動伝達機構550とを有している。
【0070】
前記副変速機構530は、前記HMTユニット1の出力軸350からの回転動力を多段変速する。
本実施の形態においては、図3に示すように、前記ミッションケース510には第2カップリング530aが備えられており、前記HMTユニット1の前記出力軸350は前記第2カップリング530aを介して前記副変速機構530の駆動軸に連結されている。
即ち、本実施の形態においては、前記副変速装置530の駆動軸が、前記HMTユニット1の前記出力軸350の合成回転動力を前記第2カップリング530aを介して入力するトランスミッション入力軸505として作用している。
前記差動伝達機構550は、前記副変速機構530からの回転動力を左右一対の駆動車軸580a、580bに差動伝達する。
【0071】
前記トランスミッション500は、さらに、前記副変速機構530の従動軸に選択的に制動力を付加し得る駐車ブレーキ機構560と、前記左右一対の駆動車軸580a、580bのそれぞれに対して個別に選択的に制動力を付加し得る左右一対の走行ブレーキ機構570a、570bとを有している。
【0072】
図2及び図3に示すように、本実施の形態においては、前記ハウジング200は、第1方向一方側及び他方側がそれぞれ第1及び第2開口221、222とされた中空の周壁220と前記周壁220の第1方向中間位置に前記周壁220の内部空間を第1室200(1)及び第2室200(2)に仕切る隔壁225とを有するハウジング本体210と、前記第1開口221を閉塞するように前記ハウジング本体210に着脱自在に連結される第1蓋部材230と、前記第2開口222を閉塞するように前記ハウジング本体210に着脱自在に連結される第2蓋部材250とを有している。
【0073】
前記ハウジング200は、前記第1室200(1)に前記油圧ポンプ25、前記油圧モータ35及び前記容積変更部材40を収容し、前記第2室200(2)に前記遊星歯車機構100を収容している。
【0074】
この場合、前記第1蓋部材230には、前記油圧ポンプ25及び前記油圧モータ35を流体接続する一対の作動油路(図示せず)が形成される。
【0075】
本実施の形態においては、図2及び図3に示すように、前記ポンプ軸20及び前記モータ軸30は、第1方向に沿い且つ第1方向他方側が前記第2室200(2)に突入した状態で前記第1蓋部材230及び前記隔壁225によって支持されている。
【0076】
前記入力軸310は、前記ポンプ軸20より第1方向他方側において前記ポンプ軸20と同軸上に配置され且つ前記ポンプ軸20に対して軸線回り相対回転不能とされており、第1方向他方側が前記第2蓋部材250から外方へ延在されて前記駆動源に作動連結される入力部として作用している。
【0077】
本実施の形態においては、図3に示すように、前記入力軸310は、前記ポンプ軸20とは別軸とされており、筒状連結軸315を介して前記ポンプ軸20に着脱自在に連結されている。
【0078】
詳しくは、前記筒状連結軸315は内周面にスプラインを有しており、前記ポンプ軸20及び前記入力軸310の対向端部は外周面に前記筒状連結軸315のスプラインに噛合するスプラインを有している。
【0079】
これに代えて、前記入力軸310及び前記ポンプ軸20を単一軸によって形成することも可能である。
この場合には、前記単一軸は、前記第1室200(1)に位置する部分において前記油圧ポンプ25を支持し、且つ、前記第2室200(2)を貫通して前記第2蓋部材250から外方へ延在される。
【0080】
なお、本実施の形態に係るHMTユニット1は、図1図3に示すように、前記ミッションケース510の車輌幅方向一方側に装着されており、図示しない駆動源からの回転動力は、前記ミッションケース510の車輌幅方向他方側に伝達されている。
【0081】
従って、前記駆動源から前記入力軸310への動力伝達は、前記入力軸310と同軸上に配置された駆動軸320であって、一端側が前記入力軸310に軸線回り相対回転に連結され且つ他端側が前記ミッションケース510の車輌幅方向他方側へ延びる駆動軸320を介して、行われるようになっている。
前記駆動軸320は、前記ミッションケース510に連結される軸ケース515に軸線回り回転自在に内挿支持されており、一端側は前記軸ケース515の外方において入力プーリを支持し、且つ、他端側は第1カップリング320aを介して前記入力軸310に連結されている。
【0082】
前記定速伝動部330は、前記入力軸310から前記定速入力要素に回転動力を作動伝達する入力伝動ギヤ335を有している。
【0083】
本実施の形態においては、前記インターナルギヤ130が前記定速入力要素として作用し、前記サンギヤ110が前記モータ軸に相対回転不能に支持されることで変速入力要素として作用し、前記キャリヤ150が合成回転動力を出力する出力要素として作用している。
【0084】
この場合、前記入力伝動ギヤ335は、前記入力軸310から前記インターナルギヤ130に定速回転動力を作動伝達する。
本実施の形態においては、図3等に示すように、前記入力伝動ギヤ335は、前記第2室200(2)内において前記入力軸310に相対回転不能に支持された第1入力伝動ギヤ335aと、前記第1入力伝動ギヤ335a及び前記インターナルギヤ130に噛合するように中間軸336に支持された第2入力伝動ギヤ335bとを有している。
【0085】
前記出力軸350は、前記出力要素に作動連結された状態で、第1方向他方側が前記第2蓋部材250から外方へ延在されて出力部として作用するように構成されている。
【0086】
本実施の形態においては、図3等に示すように、前記出力軸350は、出力側伝動部370を介して出力要素として作用する前記キャリヤ150に作動連結された状態で、前記遊星歯車機構100の軸線位置から径方向に変位配置されている。
【0087】
前記出力側伝動部370は、前記キャリヤ150と同軸上において前記キャリヤ150に軸線回り相対回転不能に連結される出力側伝動軸371と、前記出力側伝動軸371に相対回転不能に支持された出力側第1伝動ギヤ373と、前記出力側第1伝動ギヤ373に噛合された状態で前記出力軸350のうち前記第2室200(2)に位置する部分に相対回転不能に支持された出力側第2伝動ギヤ375とを有している。
【0088】
本実施の形態においては、前記出力要素から前記出力軸350へは回転動力が増速伝達されるように、前記出力側第2伝動ギヤ375が前記出力側第1伝動ギヤ373より小径とされている。
【0089】
前記出力側伝動軸371は、前記キャリヤ150にスプライン連結を介して着脱自在に連結されている。
詳しくは、図5に示すように、前記第2キャリヤ本体170(2)は、前記遊星ギヤ機構100の軸線を基準にして径方向に延び、前記キャリヤピン160の第2端部162(2)を支持する径方向延在部180(2)と、前記径方向延在部180(2)の径方向内端部から軸線方向に延びる中空の筒部185(2)とを有している。
【0090】
前記筒部185(2)の内周面にはスプラインが形成されており、前記出力側伝動軸371の連結端部には外周面に前記スプラインに噛合するスプラインが形成されている。
【0091】
本実施の形態においては、図3図5に示すように、前記ハウジング本体210の前記第2蓋部材250との接合面上に位置するように、前記ハウジング本体210には支持壁255が設けられており、前記第2キャリヤ本体170(2)の筒部185(2)は前記支持壁255に軸受部材256を介して支持されている。
【0092】
前記出力側伝動軸371は、一端側が前記第2キャリヤ本体170(2)の筒部185(2)に内挿され且つ他端側が前記第2蓋部材250に支持されている。
【0093】
なお、前記第1キャリヤ本体170(1)も、前記遊星ギヤ機構100の軸線を基準にして径方向に延び、前記キャリヤピン160の第1端部162(1)を支持する径方向延在部180(1)と、前記径方向延在部180(1)の径方向内端部から軸線方向に延びる中空の筒部185(1)とを有している。
【0094】
前記第1キャリヤ本体170(1)の前記径方向延在部180(1)は、径方向中央に前記筒部185(1)の軸線孔に連通された中央開口を有しており、前記モータ軸30が前記筒部185(1)の軸線孔及び前記径方向延在部180(1)の中央開口を貫通して、前記第1キャリヤ本体170(1)より軸線方向他方側へ到達されている。
そして、前記モータ軸30の軸線方向他方側に前記サンギヤ110がスプライン連結されている。
【0095】
図3等に示すように、前記第2蓋部材250における前記入力軸310を支持する支持孔には軸受部材261及びシール部材262が配設され、前記出力軸350を支持する支持孔にはシール機能付き軸受部材265が配設されており、これにより、前記第2室200(2)が外部に対して液密に区画されている。
図4における符号205は前記第2室200(2)に貯留された油の油面である。
【0096】
図3等に示すように、本実施の形態に係るHMTユニット1は、さらに、前記HST10に作動油を補給する為のチャージポンプユニット80を有している。
【0097】
詳しくは、前記ポンプ軸20の軸線方向一端側が、前記第1蓋部材230から外方へ延在されている。
前記チャージポンプユニット80は、前記ポンプ軸20の外方延在部に支持されたチャージポンプ本体81と、前記チャージポンプ本体81を囲繞するように前記第1蓋部材230に装着されたチャージポンプケース83とを有している。
【0098】
実施の形態2
以下、本発明に係るHMTユニットの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施の形態に係るHMTユニット2がトランスミッション500に装着された状態の展開断面図を示す。
図10に、前記HMTユニット2をトランスミッション500から分離させた状態の分解展開断面図を示す。
また、図11に、前記HMTユニット2における遊星歯車機構100の拡大断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0099】
本実施の形態に係るHMTユニット2は、前記定速伝動部330が定速伝動部430に変更されている点、及び、前記出力軸350が前記遊星歯車機構100と同軸上に配置されている点において、前記実施の形態1に係るHMTユニット1と相違している。
【0100】
図9及び図10に示すように、前記定速伝動部430は、前記入力軸310に相対回転不能に支持され且つ定速入力要素として作用する前記インターナルギヤ130に噛合された入力伝動ギヤ435を有している。
図示の形態においては、前記入力伝動ギヤ435は前記入力軸310に一体形成されている。
【0101】
図9図11に示すように、前記出力軸350は、軸線方向一端側が前記第2キャリヤ本体170(2)の筒部185(2)にスプライン連結され且つ軸線方向他端側が前記第2蓋部材250から外方へ延在されている。
【0102】
なお、本実施の形態においては、図11に示すように、前記第2室200(2)からの貯留油の漏れ出しを防止する為に、前記第2キャリヤ本体170(2)の前記筒部185(2)の軸線孔にシールキャップ270が設けられている。
【0103】
また、前記第2蓋部材250には、前記筒部185(2)が貫通される軸受孔が設けられており、前記軸受孔に前記筒部185(2)を支持する為のシール機能付き軸受部材265が設けられている。
【0104】
なお、前記実施の形態1及び2においては、前記駆動軸320は前記ミッションケース510に連結される前記軸ケース515に収容されているが、前記駆動軸320をミッションケース511に収容させることも可能である。
【0105】
図12及び図13に、それぞれ、前記実施の形態2に係るHMTユニット2が、前記駆動軸320を収容するミッションケース511を備えたトランスミッション501に連結された状態の斜視図及び展開断面図を示す。
また、図14に、図13の分解展開断面図を示す。
なお、図中、前記実施の形態1及び2におけると同一部材には同一符号を付している。
【0106】
図12図14に示す変形例においては、前記トランスミッション501のミッションケース511には、前記駆動源から回転動力を作動的に入力する前記駆動軸320と、前記トランスミッション入力軸505と、前記HMTユニット2のハウジング200の前記ミッションケース511への連結によって前記駆動軸320を前記入力軸310に連結させる前記第1カップリング320aと、前記ハウジング200の前記ミッションケース511への連結によって前記出力軸350を前記トランスミッション入力軸505に連結させる第2カップリング530aとが設けられている。
【0107】
図12図14に示す前記変形例においては、前記HMTユニット2のハウジング200及び前記ミッションケース511の当接部に、前記駆動軸320及び前記入力軸310と同軸上に配置された第1凹凸係合構造と、前記出力軸350及び前記トランスミッション入力軸505と同軸上に配置された第2凹凸係合構造とが設けられており、これにより、前記ハウジング200を前記ミッションケース511に連結させる際において、前記駆動軸320及び前記入力軸310の位置合わせ、並びに、前記出力軸350及び前記トランスミッション入力軸505の位置合わせを確実に行えるようになっている。
【0108】
図15(a)に、図12〜び図14に示す変形例における前記ハウジング200及び前記ミッションケース511の当接部分近傍の拡大分解図を示す。
【0109】
図15(a)に示すように、前記変形例においては、前記HMTユニット2のハウジング200には、前記ミッションケース511に対する当接面に、前記入力軸320と同軸上において前記ミッションケース511の側へ突出した第1凸部291aと、前記出力軸350と同軸上において前記ミッションケース511の側へ突出した第2凸部292aとが設けられている。
【0110】
一方、前記ミッションケース511には、前記HMTユニット2のハウジング200に対する当接面に、前記第1凸部291aが係入可能で、前記第1凸部291aと共に前記第1凹凸係合構造を形成する第1凹部291bと、前記第2凸部292aが係入可能で、前記第2凸部292aと共に前記第2凹凸係合構造を形成する第2凹部292bとが設けられている。
【0111】
前記変形例においては、前記第1及び第2凸部は、それぞれ、前記ハウジング200に着脱自在に装着される第1及び第2凸部形成部材272、273によって形成されている。
なお、前記変形例においては、前記第1及び第2凸部形成部材272、273は、それぞれ、前記入力軸310を支持する支持孔に配設された前記シール部材262及び前記出力軸350を支持する支持孔に配設されたシール部材263の抜け止めとしても作用している。
【0112】
このように、前記HMTユニット2のハウジング200及び前記ミッションケース511の当接部に前記第1及び第2凹凸係合構造を設けることにより、前記HMTユニット2のハウジング200を前記ミッションケース511に連結させた際に、前記駆動軸320及び前記入力軸320の位置合わせ、並びに、前記出力軸350及び前記トランスミッション入力軸505の位置合わせを確実に行うことができる。
なお、図15(a)中の符号296、297はシールリングである。
【0113】
図12図14に示す変形例においては、前記第1及び第2凹凸係合構造における第1及び第2凸部291a、292aを前記HMTユニット2のハウジング200に設け、第1及び第2凹部291b、292bを前記ミッションケース511に設けたが、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
【0114】
即ち、図15(b)に示すように、前記ミッションケース511における前記ハウジング200との当接面に第1及び第2凸部291a、292aを設け、前記ハウジング200に第1及び第2凹部291b、292bを設けることも可能である。
【0115】
図15(b)に示す例においては、前記ミッションケース511における前記ハウジング200との当接面に第1及び第2凸部形成部材272B、273Bが装着されており、前記第1及び第2凸部形成部材272B、273Bがそれぞれ前記第1及び第2凸部を形成している。
前記第1及び第2凸部形成部材272B、273Bは、前記ハウジング200及び前記ミッションケース511を連結させた状態において、前記シール部材262、263の抜け止めを行うように構成されている。
なお、図15(b)中の符号276、277は、前記第1及び第2凸部形成部材272B、273Bを前記ミッションケース511に対して位置合わせする為の位置決めピンである。
【0116】
また、前記第1及び第2凸部291a、292aの一方を前記ハウジング200に設けると共に、対応する凹部を前記ミッションケース511に設け、且つ、前記第1及び第2凸部291a、292aの他方を前記ミッションケース511に設けると共に、対応する凹部を前記ハウジング200に設けることも可能である。
【0117】
図15(c)に、前記第1凸部形成部材272を前記ハウジング200に装着することによって前記第1凸部291aを前記ハウジング200に設けると共に、対応する第1凹部291bを前記ミッションケース511に設け、且つ、前記第2凸部形成部材273Bを前記ミッションケース511に装着することによって前記第2凸部292aを前記ミッションケース511に設けると共に、対応する第2凹部292bを前記ハウジング200に設けた変形構成を示す。
【0118】
図15(b)及び(c)に示す構成においても、前記HMTユニット2のハウジング200を前記ミッションケース511に連結させた際に、前記駆動軸320及び前記入力軸310の位置合わせ、並びに、前記出力軸350及び前記トランスミッション入力軸505の位置合わせを確実に行うことができる。
【0119】
なお、図12図14並びに図15(a)〜(c)においては、前記実施の形態2に係るHMTユニット2を前記トランスミッション501に連結させているが、当然ながら、前記実施の形態1に係るHMTユニット1を前記トランスミッション501に連結させることも可能である。
【0120】
本実施の形態においては、前記入力軸310を前記第2蓋部材250から外方へ延在させて前記駆動源からの回転動力を前記第2蓋部材250の側から入力するように構成されているが、これに代えて、前記駆動源からの回転動力を前記第1蓋部材230の側から入力するように構成することも可能である。
【0121】
図16に、前記駆動源からの回転動力を前記第1蓋部材230の側から入力するように変形されたHMTユニット2’の縦断展開図を示す。
なお、図中、前記実施の形態2におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0122】
図16に示すように、前記変形例においては、ポンプ軸20Bは、軸線方向一方側が前記第1蓋部材230から外方へ延在されて前記入力軸を形成し且つ軸線方向他方側が前記第2室200(2)に突入した状態で前記第1蓋部材230及び前記隔壁225によって支持されている。
【0123】
前記モータ軸30は、前記実施の形態2におけると同様に、第1方向に沿い且つ第1方向他方側が前記第2室200(2)に突入した状態で前記第1蓋部材230及び前記隔壁225によって支持されている。
【0124】
前記変形例においては、定速伝動部430Bは、前記ポンプ軸20Bから定速入力要素に回転動力を作動伝達するように構成されている。
【0125】
詳しくは、前記変形例においては、前記定速伝動部430Bは、一端側が前記ポンプ軸20Bのうち前記第2室200(2)に突入された部分にスプライン連結され、且つ、他端側が前記第2蓋部材250に支持された入力伝動軸431Bと、前記入力伝動軸431Bに相対回転不能に支持され且つ前記定速入力要素として作用する前記インターナルギヤ130に噛合された入力伝動ギヤ435Bとを有している。
図示の形態においては、前記入力伝動ギヤ435Bは前記入力伝動軸431Bに一体形成されている。
【0126】
なお、前記駆動源からの回転動力を前記第1蓋部材230の側から入力させる変形構成は、当然ながら、前記実施の形態1に適用することも可能である。
【0127】
また、前記実施の形態1及び2並びに図12図14に示す形態においては、前記入力軸310及び前記出力軸350の連結端部を前記ハウジング200(前記第2蓋部材250)から外方へ延在させた構成としているが、これに代えて、前記入力軸310及び/又は前記出力軸350の連結端部を前記ハウジング200(前記第2蓋部材250)の端面より内側に配置される雌スプラインを備えたカップリング構造とすることも可能である。
【0128】
前記実施の形態1及び2並びに図12図14に示す形態においては、前記第1カップリング320aは前記軸ケース515又は前記ミッションケース511に設けられ、前記第2カップリング530aは前記ミッションケース510、511に設けられているが、前記第1カップリング320a及び前記第2カップリング530aの一方又は双方を前記ハウジング200に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0129】
1、2、2’ HMTユニット
10 HST
20 ポンプ軸
25 油圧ポンプ
30 モータ軸
35 油圧モータ
40(P) ポンプ側容積変更部材
40(M) モータ側容積変更部材
100 遊星歯車機構
110 サンギヤ
120 遊星ギヤ
130 インターナルギヤ
150 キャリヤ
200 ハウジング
200(1) 第1室
200(2) 第2室
210 ハウジング本体
220 周壁
221 第1開口
222 第2開口
225 隔壁
230 第1蓋部材
250 第2蓋部材
310 入力軸
320 駆動軸
320a 第1カップリング
330、430、430B 定速伝動部
350 出力軸
500、501 トランスミッション
505 トランスミッション入力軸
510、511 ミッションケース
530a 第2カップリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16