(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843341
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】半田付け評価方法およびその装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20210308BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20210308BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20210308BHJP
B23K 31/02 20060101ALI20210308BHJP
B23K 3/06 20060101ALI20210308BHJP
B23K 101/42 20060101ALN20210308BHJP
【FI】
H05K3/34 512A
H05K3/34 507N
H05K1/18 B
B23K1/00 330E
B23K1/00 A
B23K31/02 310F
B23K3/06 E
B23K101:42
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-207423(P2016-207423)
(22)【出願日】2016年10月23日
(65)【公開番号】特開2018-67698(P2018-67698A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】314000280
【氏名又は名称】株式会社アンド
(72)【発明者】
【氏名】海老澤 満男
【審査官】
ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−156896(JP,A)
【文献】
実開昭61−041461(JP,U)
【文献】
特開平05−060711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H05K 3/34
B23K 1/00
B23K 3/06
B23K 31/02
B23K 101/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田付け基板を貫通するスルーホールを有するランドと、前記スルーホール内に溶融半田を供給する鏝先と、前記スルーホールの前記基板の裏面側の半田溶融熱を前記基板の表面側に伝える伝熱体とを備え、前記伝熱体の温度を検出して半田付けの評価を行うことを特徴とする半田付け評価方法。
【請求項2】
前記伝熱体は、前記スルーホール内に挿入される電気部品の端子または前記ランドとすくなくともどちらかと溶融半田が供給される前には非接触状態に配置され、前記溶融半田によって伝熱されることを特徴とする請求項1記載の半田付け評価方法。
【請求項3】
前記伝熱体は、前記端子と一体に形成された分岐端子からなることを特徴とする請求項2記載の半田付け評価方法。
【請求項4】
前記伝熱体は、前記基板を貫通する部分において前記基板と少なくとも一部に間隙を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半田付け評価方法。
【請求項5】
前記伝熱体は、前記基板の裏面側の前記ランドを延長して構成したこと特徴とする請求項1記載の半田付け評価方法。
【請求項6】
前記伝熱体は、前記ランドを分離させるように構成し、前記溶融半田でランドが繋がることにより伝熱することを特徴とする請求項5記載の半田付け評価方法。
【請求項7】
前記スルーホール内に挿入される電気部品の端子は、前記端子の軸と直角方向に広げた拡大部を前記基板の裏面側の位置に備えたことを特徴とする請求項5から6のいずれか1項に記載の半田付け評価方法。
【請求項8】
前記伝熱体は、前記基板の表面側において前記鏝先の半径より離れて配置されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半田付け評価方法。
【請求項9】
半田付け基板を貫通するスルーホールを有するランドと、前記スルーホール内に溶融半田を供給する鏝先と、前記スルーホールの前記基板の裏面側の半田溶融熱を前記基板の表面側に伝える伝熱体と、前記伝熱体の温度を検出する温度検出手段とを備え、前記温度検出手段により半田付けの評価を行うことを特徴とする半田付け装置。
【請求項10】
前記鏝先は、筒形状の加熱可能であり中央部分に軸方向に延びた半田孔を備え、前記半田孔に一定量の半田片を供給することを特徴とする請求項9記載の半田付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田片を加熱溶融する半田付けの検査を行う半田付け評価方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種機器において電気部品を実装した電子回路が搭載されている。電子回路の形成工程においては、リード線を基板上の配線パターン(ランド)に接合する処理等のため、半田鏝を用いた半田付けが実施される。また半田付けの工程を機械的に実現させるため、鏝先の部分を備えた半田処理装置が利用されている。
このような半田処理装置は、例えば加熱された鏝先内に半田片(糸半田を切断したもの)を供給し、鏝先の熱を用いて半田片を加熱溶融することにより、下方へ溶融した半田を供給するように構成される。これにより、下方に配置しておいた基板に対する半田付け工程が実現可能である。
しかしながら、半田付け条件や半田材料あるいは基板のバラツキによって半田接合が十分でない場合があり、半田付けの信頼性を保証する検査が必要となっている。特にスルーホールに部品の端子を挿入して半田付けを行う場合、スルーホール内に半田が充填され、かつ基板の裏側に半田が盛り上がるバックフィレットの形成が求められている。
【0003】
特許文献1に記載されている技術は、筒内部で半田を溶融させる半田鏝の筒外部の温度を検出して半田の溶融が適切に行われていることを判別するものである。
特許文献2に記載されている技術は、溶融した半田の温度を放射温度計で計測し、その温度波形から半田接合部の良否判定を行うものである。
このバックフィレットの検査は、従来行われている電気的導通検査やカメラを用いた外観検査では判別が困難であり、自動での検査を実施することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−059923号公報
【特許文献2】特開2013−251488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、筒の外部から温度を検出しているため溶融半田の温度を正確に計測できず、半田の良否判定の精度が低いという欠点があり、またバックフィレットの形成の判別は困難であった。
特許文献2に記載されている技術は、基板表面のスルーホールの中心付近の半田の温度計測を行っており、半田付けされる端子には電気部品が取りつけられているので、基板の裏面から温度測定あるいは外観検査によりバックフィレットの良否を判別することがで困難であった。
本発明は上述した課題に鑑み、半田付け基板の表面からバックフィレットなどの半田付け良否の判別方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半田付けの評価方法は、半田付け基板を貫通するスルーホールを有するランドに溶融半田を流入する半田鏝と、スルーホール基板の裏面側の半田溶融熱を基板の表面側に伝える伝熱体とを備え、伝熱体の温度を検出して半田付けが正常に行われたことを判定するものである。
【0007】
また上記方法として具体的には、伝熱体はスルーホール内に挿入された端子と分岐された計測用端子からなり、この計測用端子の温度を計測することにより、半田付けの良否を判定するものである。
また上記方法として具体的には、伝熱体をランドを延長して設け、このランドの温度を測定することにより、半田付けの良否を判定するものである。
【0008】
また上記方法として具体的には、端子にその円周方向に広げた拡大部を備え、この拡大部によって伝熱を促進して温度を計測し、半田付けの良否を判定するものである。
また上記方法として具体的には、伝熱体は、スルーホールより半径方法に離れた位置に備えられ、この伝熱体の温度を計測することにより、半田付けの良否を判定するものである。
また、本発明に係る半田評価方法は、半田付け基板を貫通するスルーホールを有するランドと、スルーホール内に溶融半田を供給する半田鏝と、前記ランドの外周部の温度を検出するものである。
【0009】
また、本発明の半田付け装置は、半田付け基板を貫通するスルーホールを有するランドと、スルーホール内に溶融半田を供給する鏝先と、スルーホール基板の裏面側の半田溶融熱を前記基板の表面側に伝える伝熱体と、伝熱体の温度を検出する温度検出手段とを備え、温度検出手段により半田付けの良否の評価を行うものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る半田付け評価方法によれば、スルーホールから基板の裏面に供給された溶融半田の熱を、伝熱体によって基板表面側に伝達させ、基板表面側からその温度を計測することにより半田付けの評価を行うことができ、半田付け時に半田付けの良否を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例にかかる半田付け装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示す半田付け装置のII−II線で切断した断面図である。
【
図3】本発明の半田付け評価方法を示す実施例1の構成を示す図であり、(a)は断面図であり、(b)は(a)のA矢視図である。
【
図4】同実施例1の測定用端子を示す斜視図である。
【
図5】同実施例1の半田付け状態を示す断面図であり、(a)は半田付けが良好な場合を示す図であり、(b)は半田付けが不良の場合を示す図である。
【
図6】本発明の半田付け評価方法を示す実施例2の構成を示す図であり、(a)は断面図であり、(b)は(a)の要部のB矢視図である。
【
図7】同実施例2の測定用端子を示す斜視図である。
【
図8】同実施例2の半田付け状態を示す断面図である。
【
図9】同実施例2の他の測定用端子を示す実施例である。
【
図10】本発明の半田付け評価方法の実施例3の構成を示す図であり、(a)は断面図であり、(b)は(a)の要部のC矢視図である。
【
図11】同実施例3の半田付けの状態を示す断面図であり、(a)は半田付けの正常な場合を示す図であり、(b)は半田付けの不良な状態を示す図である。
【
図12】同実施例3の他のランド形状を示す実施例である。
【
図13】不完全な半田付けの状態を示す説明図である。
【
図14】本発明の半田付け評価方法の実施例4の構成を示す図であり、(a)は半田付けの良好な場合の断面図、(b)は要部のD矢視図である。
【
図15】同実施例4の端子形状を示す斜視図である。
【
図16】同実施例5の半田付けの不良の場合の断面図である。
【
図17】同実施例5の正常な半田付け状態を示す図で、(a)は断面図、(b)は(a)の要部のE矢視図である。
【
図18】同実施例5の不良の半田付け状態を示す図で、(a)は断面図、(b)は(a)の要部のE矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、実施例1から図面を参照しながら以下に説明する。なお、本発明の内容はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0013】
図1は本発明の実施例1にかかる半田付け評価方法における半田付け装置の斜視図であり、
図2は
図1に示す半田付け装置AのII−II線で切断した断面図である。なお、
図1では、筐体及び支持部1の一部を切断し、半田付け装置Aの内部を表示するようにしている。
【0014】
図1および
図2に示すように半田付け装置Aは、上方から糸半田Wを供給し、下部に設けられた鏝先5を利用して、鏝先5の下方に配置される配線基板Bdと、電気部品Epとを半田付けする装置である。なお、糸半田Wは、管状の半田層の内部にフラックス層が設けられた構造となっている。従って糸半田Wを切断して生成される半田片も、同様に、管状の半田層の内部にフラックス層が設けられた構造となる。半田付け装置Aは、支持部1、カッターユニット2、駆動機構3、ヒーターユニット4、鏝先5及び半田送り機構6を備えている。ヒーターユニット4と鏝先5とを組み合わせたものが、半田鏝部を構成している。
支持部1は、立設された平板状の壁体11を備えている。なお、以下の説明では、便宜上、
図1に示すように、壁体11に沿う水平方向をX方向、壁体11と垂直な水平方向をY方向、壁体11に沿う鉛直方向をZ方向(上下方向)とする。例えば、
図1に示すように、壁体11はZX平面を有している。
【0015】
半田付け装置Aは、治具Gjに取り付けられた配線基板Bdと、配線基板Bdに配置された電気部品Epの端子Pとに溶融半田を供給し、接続固定を行う。半田付けを行うとき、治具GjをX方向及びY方向に移動させ配線基板BdのランドLdとの位置決めを行う。また、そして、半田付け装置AはZ方向に移動可能であり、位置決め後Z方向に移動することで、鏝先5の先端をランドLdに接触させることができる。
支持部1は、壁体11のZ方向の下端部より上方にずれた位置に設けられた保持部12と、壁体11のZ方向の辺縁部(下部)に固定された摺動ガイド13と、壁体11のZ方向の端部(下端部)に設けられたヒーターユニット固定部14とを備えている。
【0016】
カッターユニット2は、半田送り機構6によって送られた糸半田Wを所定長さの半田片Wh(
図2)に切断するものである。カッターユニット2は、摺動ガイド13に固定されたカッター下刃22(固定刃部)と、カッター下刃22の上部に配置され、X方向に摺動可能に配置されたカッター上刃21(可動刃部)と、カッター上刃21に設けられ、カッター上刃21の摺動方向と交差する方向(Z方向)に摺動するプッシャーピン23(半田押部)とを備えている。
【0017】
図2に示すように、カッター上刃21は、半田送り機構6にて送られた糸半田Wが挿入される貫通孔である上刃孔211と、プッシャーピン23のロッド部231が挿入された貫通孔であるピン孔212とを備えている。上刃孔211の下端の辺縁部は切刃状に形成されている。カッター下刃22は、上刃孔211を貫通した糸半田Wが挿入される貫通孔である下刃孔221を備えている。下刃孔221の上端の辺縁部は切刃状に形成されている。上刃孔211と下刃孔221とは、糸半田Wが挿入されている状態で、糸半田Wと交差する方向にずれることで、互いの切刃によって糸半田Wが切断される。 プッシャーピン23は半田押部であり、カッター上刃21とカッター下刃22で切断されて下刃孔221に残った半田片Whを下方に押すものである。
【0018】
図1、
図2に示すように、駆動機構3は、保持部12に保持されたエアーシリンダー31と、保持部12に設けられた貫通孔を貫通し、エアーシリンダー31によってZ方向に摺動駆動されるピストンロッド32と、保持部12とカッター下刃22との両方に支持され、Z方向に延びる円柱状のガイド軸35を備えている。そして、駆動機構3は、ガイド軸35にZ方向に摺動可能に支持されたカム部材33と、カム部材33に設けられた後述のピン332が係合するカム溝340を有するスライダー部34とを備えている。
【0019】
図2に示すように、ヒーターユニット4は、半田片Whを加熱し、溶融させるための加熱装置であり、壁体22の下端部に設けられたヒーターユニット固定部14に固定されている。ヒーターユニット4は、電気を通すことで発熱するヒーター41と、ヒーター41を取り付けるためのヒーターブロック42とを備えている。ヒーター41は円筒形状のヒーターブロック42の外周面に巻き回されている。
鏝先5は、上下方向に伸びた円筒形状の加熱可能な部材であり、中央部分に軸方向に延びる半田孔51を備えている。鏝先5は、ヒーターブロック42の凹部421に挿入され、図示を省略した部材によって抜け止めがなされている。また、鏝先5の半田孔51は、ヒーターブロック42の半田供給孔421と連通しており、半田供給孔421から半田片Whが送られる。
鏝先5は、ヒーター41からの熱が伝達されており、その熱で半田片Whを溶融させる。
【0020】
図1、
図2に示すように、半田送り機構6は、糸半田Wを供給するものであり、糸半田Wを送る一対の送りローラ(61a、61b)と、送られた糸半田Wをカッター上刃21の上刃孔211にガイドするガイド管62とを備えている。一対の送りローラ(61a、61b)は、支持部1に取り付けられており、糸半田Wを挟むとともに、回転することで糸半田Wを下方に送る。ガイド管62は、弾性変形可能な管体であり、上端は、送りローラ61の糸半田Wが送り出される部分に近接して配置されている。
【0021】
また、ガイド管62の下端は、カッター上刃21の上刃孔211と連通するように設けられている。なお、ガイド管62の下端はカッター上刃21の摺動に追従して移動するものであり、ガイド管62はカッター上刃21が摺動する範囲で過剰に引っ張られたり、突っ張ったりしないように設けられている。各送りローラ(61a、61b)は回転角度(回転数)によって、送り出した糸半田の長さを決定している。
【0022】
半田付け装置Aで半田付けを行う場合、半田付け装置A全体をロボットなどの駆動装置により下降させ、鏝先5の先端を半田付けを行う配線基板BdのランドLdに接触させ、鏝先5で、ランドLd及び電気部品Epの端子Pを囲む。このとき、鏝先5には、ヒーター41からの熱が伝達されており、鏝先5が接触することでランドLd及び電気部品Epの端子Pは、半田付けに適した温度に加温(プレヒート)される。
【0023】
次に、半田付け装置Aの動作について説明する。
図2に示すように、ヒータ41で鏝先5を加熱した後、半田送り機構6で糸半田Wを設定された長さで送り、シリンダー31によって、カム部材33を介して上刃21をスライドさせ、糸半田Wを切断し、切断された半田片Whは鏝先5の半田孔51の中を通過し、端子Pに当接し鏝先5から受熱し溶融する。
【0024】
次に本発明の半田付けの評価方法に関してて述べる。従来、スルーホールを有する基板へのはんだ付けは、
図19に示す構成であった。スルーホールThとランドLdを有する配線基板Bdに端子Pを有する電気部品Epを半田付けするものである。
図19(a)は半田付けが良好に行われた場合であり、溶融した半田WhがスルーホールThを通過して基板Bdの裏面(下側)まで供給された場合であり、(b)は基板Bdの裏面側まで半田Whが供給されていない場合である。
図19(b)の状態では電気的には導通しているが、機械的な強度が不十分であり、温度の上下サイクルや振動に繰り返し晒されると、電気部品Epが離脱することがある。しかしながら半田付け当初においては電気部品Epの端子Pと配線基板BdのランドLdとは電気的には導通しており、導通テストでは異常は発見されない。また配線基板Bdの裏側は電気部品Epがあるため外観検査を行うことは困難である。
【0025】
本発明の実施例1の配線基板Bdを
図3に示す。
図3(b)は(a)のA矢視図である。
図3において、配線基板Bdを貫通するスルーホールThを有するランドLdが、配線基板Bdの両面に設けられている。この基板Bdの裏面側にはL字型の伝熱体Dtが設けられ、伝熱体Dtの一方は、ランドLdの近傍に、また半田付け時にスルーホールTh内に挿入される端子Tdの近傍に配置され、他方は基板Bdを挿入口Ksを貫通して端部は基板Bdの表面側に露出する。
図4は伝熱体Dtの形状を示す斜視図である。Ztは絶縁体である。
【0026】
次に半田付け時の状態について述べる。
図5(a)は半田付けが正常に行われた例をを示しており、トップフィレットFtとバックフィレットFbが形成されており、
図5(b)は半田付けの異常な状態を示しとバックフィレットが形成されていない。図(a)では、バックフィレットFbにより溶融半田Whの熱が伝熱体Dtに伝達され、基板Bdの表面側に位置する伝熱体Dtの上部の温度が上昇する。この温度を温度検出手段である放射温度計Hoで検出する。溶融半田Whからの伝熱体Dtへの伝熱は、溶融半田Whからの伝熱のみならず、バックフィレットFbが形成されることにより、ランドLdや端子Tdから溶融半田Whを介して行われるので、温度上昇を高くすることができる。半田付けの良否の判定は、伝熱体Dtの温度値や温度変化度合あるいは半田片の溶融からの伝熱体Dtの温度変化の時間に対する変化特性から判断することができる。検出温度が高いあるいは温度の変化速度が大きい場合には正常に半田付けが行われたと判定する。伝熱体Dtが配線基板Bdを貫通する部分では、伝熱体Dtと挿入口Ksとの間に一部あるいは全部に隙間を設けることにより、バックフィレットFb以外の伝熱を低減することができるので、検出精度が向上する。
【0027】
図5(b)においては、バックフィレットFbが形成されないので、溶融半田Whの下部から伝熱体Dtへの熱伝達量が少なく、伝熱体Dtの温度が低い、あるいは時間に対する温度変化度合が小さい。この場合には半田付けが正常に行われなかったと判定し、警報を行ったり、半田付け作業の停止を行う。
温度計は、放射温度計のみならず熱電対温度計や測温抵抗体を利用したものや、あるいは温度によって色彩が変化するものでも良い。また、上記の温度計は半田付け装置Aと一体的にロボットなどで駆動し、その位置を半田付け箇所の移動と同期させても良い。
【0028】
図6は本発明の実施例2を示したもので、(a)は配線基板Bdの断面図であり、(b)はそのB矢視図である。実施例1との相違点は、
図6(a)に示すようにスルーホールThに挿入する端子Tdを分岐させて伝熱体部Dt1を形成している点にある。
図7は端子Dt1の斜視図である。
図8は半田付けが正常に行われたときの状態を示し、バックフィレットFbが形成されたことにより溶融半田Whの熱が伝熱体部Dt1へ熱伝達し、その温度を放射温度計Hoで検出する。
図9は端子Tdの伝熱体部Dt1への分岐部を細くして伝熱を抑制する熱抵抗Ntを設け、端子Tdからの伝熱を少なくして伝熱体部Dt1への伝熱を溶融半田Whからの熱を主体として行わせて、バックフィレットFbの検出精度を高めたものである。
【0029】
図10は本発明の実施例3を示したもので、(a)は配線基板Bdの断面図であり、(b)はそのC矢視図である。実施例1との相違点は、伝熱体をランドで構成した点にある。スルーホールThの周囲に第1ランドLd1を構成し、溝Mzを介してその外周にさらに第2ランドLd2を配置し、測定用パターンPsによって第3ランドLd3と連通する。第1ランドLd1、第2ランドLd2、第3ランドLd3および測定パターンPsはいずれも半田濡れ性の良い材質で構成され、溝Mzは半田非濡れ性の材料で構成されている。
【0030】
図11は半田付けを行ったときの状態を示すもので、(a)は、半田付けが正常に行われたときの状態を示し、(b)はバックフィレットが形成されなかったときの状態を示す。
図11(a)においてバックフィレットFbが形成されると、溶融半田Whは第1ランドLd1から溝Mzを超えて第2ランドLd2に流れ、さらに測定用パターンPsから第3ランドLd3へと伝わって、第3ランドLd3の温度は上昇する。この温度を放射温度計Hoで計測する。
一方、
図11(b)ではバックフィレットが形成されないので、溶融半田Whの第1ランドLd1から第2ランドLd2への流れが半田非濡れ性の溝Mzで阻止され、第3ランドLd3の温度上昇は小さい。この低い温度を放射温度計Hoが検出することにより、半田付け異常を判定する。
【0031】
図12は、ランドの形状を変形させた実施例であり、第1ランドLd1の凹部Ldoと第3ランドLd3の凸部Ldtとの間で溝Mz1を形成した例である。この場合も上記と同様溝Mz1を半田への非濡れ性の材料で構成することにより、前述と同様の作用を得ることができる。
【0032】
図13は、バックフィレットが形成されてはいるが不十分な半田付けの例を示す。
図13に示す半田付けはバックフィレットFb1が形成され第1ランドLd1をに流れているが、第2ランドLd2まで達しておらず、最良なバックフィレットが形成されていない。
図14は本発明の実施例4を示したもので、実施例3との相違は、端子に拡大部を設けた点にある。
図14は半田付け時の状態を示したもので、バックフィレットFbを形成する近傍に端子Td1の拡大部Kdを設けることにより、溶融半田を第1ランドLd1から第2ランドLd2へ流れやすくして、バックフィレットFbを広がらせて半田付け強度を高める。このとき溶融半田の熱は第3ランドLd3に伝達するので、放射温度計Hoで温度上昇を検出する。
図15(a)に端子Td1の斜視図を示す。
端子Td1の形状として、
図15(b)に示すように端子の軸をずらせた形状や、(c)に示すように一方向に拡大部を形成したもの、あるいは(d)に示すように円周方向に拡大したものも考えられる。
【0033】
実施例1〜4のそれぞれにおいて、配線基板Bdの表面側における伝熱体の位置は、鏝先5が配線基板Bdに接触したときの鏝先先端の外径よりも外側に配置することができる。そのことによって、半田付けの作業中に伝熱体の温度を計測することが可能になり、半田作業中の温度変化を捕らえて半田づけの良否を判定することができる。
【0034】
図16は本発明の実施例5を示したもので、(a)は配線基板Bdの断面図を示し、(b)は(a)の要部のD矢視を示す。(a)図に示す放射温度計HoがランドLdの温度を計測する位置を、(b)に示すようにランドLdの外側Poにする。
図17は正常に半田付けが行われた状態を示すもので、(a)は配線基板Bdの断面図を示し、(b)は(a)の要部のE矢視を示す。トップフィレットFtはランドLd全体広がり、放射温度計HoはトップフィレットFtの温度を検出することになり、溶融半田の高い温度を検出する。
図18は半田付けが正常に行われなかった状態を示すもので、(a)は配線基板Bdの断面図を示し、(b)は(a)の要部のF矢視を示す。半田や配線基板への加熱が十分でない場合あるいはフラックスの供給が不十分な場合には、トップフィレットFtは球形になってランドLd全体より小さくなり、半田がスルーホール内に供給されず、バックフィレットが形成されない。放射温度計HoはトップフィレットFtの外側の温度を検出することになり、比較的低い温度を検出する。温度を検出する位置は、正常な半田付けと不良な半田付けとをあらかじめ行ったうえで配置する。
以上述べたようにランドLdの外周部の温度を検出することにより、半田付けの良否を判定できる。
【0035】
なお、ランドLdや端子Tdはそれぞれ半田濡れ性が良く、熱伝導率の高い材料を選定することにより検出精度が高まる。
また、温度計測を複数行って平均値やデータ処理を行うことによって、さらに判定の精度を高めることも可能である。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
5 鏝先
51 半田孔
A 半田付け装置
Bd 配線基板(基板)
Dt 伝熱体
Dt1 分岐端子
Ho 放射温度計(温度検出手段)
Ks 挿入口
Ld、Ld1、Ld2、Ld3 ランド
Bd 配線基板(基板)
Th スルーホール
Wh 半田片