(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、まな板や包丁に機能水を吐出させることが可能な機能水吐出装置を備えているシステムキッチンであって、水切りカゴに食器やまな板など背の高い収納物を収納した際に、機能水吐出装置がこれらの収納の邪魔となることがないシステムキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、シンクと、水を吐出可能な水栓装置と、載置部に載置されることで前記シンク内に設置可能な水切りカゴと、上方からみて前記シンク内まで突出しており、除菌機能を有する機能水を前記シンク内に設置された前記水切りカゴへ吐出可能な機能水吐出部を有する機能水吐出装置と、前記機能水吐出装置が設置される設置部と、を備え、前記設置部は、前記載置部に設けられており、前記機能水吐出装置は、前記設置部から略垂直方向を軸に少なくとも一定角度以上回転可能であ
るととともに、一定時間経過後に自動で機能水を霧状に吐出する定期吐出モードを備えており、前記水切りカゴは、前記シンク内において、前記シンクの上方まで突出している前記機能水吐出装置の下方に設置可能であり、
前記載置部に前記水切りカゴを設置した状態で前記水切りカゴに向けて前記定期吐出モードによる定期吐出が実行可能であって、前記シンクの上方まで突出している前記機能水吐出装置における前記載置部からの高さは、
前記載置部に前記水切りカゴを設置した状態における前記水切りカゴの底部から前記載置部までの高さより、大きく、且つ、前記シンクの上方まで突出している前記水栓装置における前記載置部からの高さよりも小さ
く、且つ、前記載置部に前記水切りカゴを設置した状態における前記水切りカゴの底部から前記載置部までの高さの2倍の長さより小さいことを特徴とするシステムキッチンである。
【0007】
このシステムキッチンによれば、水切りカゴがシンク内においてシンク内まで突出している機能水吐出装置の下方に設置されている際に、水切りカゴへ背の高い収納物を収納しようとした場合であっても、機能水吐出装置を設置部から略垂直方向を軸に回転させることで、機能水吐出装置が背の高い収納物の収納の邪魔となってしまうことを防ぐことができる。また、機能水吐出装置を設置部から略垂直方向を軸に回転させることができるため、使用者の好みの位置で、機能水吐出装置を吐出させることができる。
また、出願人は、一般的に、水切りカゴの底部には、水切りカゴの底部から載置部までの高さの2倍の長さより小さい背の高さを有する収納物しか載置、即ち収納されないことに着目した。なぜなら、皿など一般的に水切りカゴの底部に載置して収納される収納物は、水切りカゴの側面に寄りかかるように設置されるため、水切りカゴの底部に、水切りカゴの底部から載置部までの高さ(長さ)より大きい背の高さを有する収納物を載置、即ち収納してしまうと、収納物の寄りかかりにより、水切りカゴがひっくり返ってしまう可能性が高いからである。
そこで、このシステムキッチンによれば、シンク内まで突出している機能水吐出装置における載置部からの高さを水切りカゴの底部から載置部までの高さより大きいものとしたことにより、水切りカゴに背の高い収納物の収納されているときに機能水吐出装置を設置部から略垂直方向を軸に回転させてしまい収納物と機能水吐出装置とが衝突してしまうことで収納物ごと水切りカゴがひっくり返ってしまうことを、抑制できる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記機能水吐出装置は、前記設置部から略垂直に立設されている基端部と、前記機能水吐出部を有し、前記基端部から略水平方向に延設された延設部と、を有することを特徴とするシステムキッチンである。
【0009】
このシステムキッチンによれば、機能水吐出部を有する延設部は、基端部から略水平方向に延設されているため、水切りカゴに収納されている背の高い収納物が、機能水吐出装置の基端部側(シンク外)へ傾いた場合であっても、機能水吐出装置を設置部から略垂直方向を軸に回転させてしまった際に収納物と機能水吐出装置の延設部とが衝突してしまうことを、抑制できる。
【0010】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記機能水吐出装置は、一定時間経過後に自動で機能水を吐出する定期吐出モードを備えており、機能水吐出装置が前記設置部から略垂直方向を軸に回転する回転可能範囲は、前記機能水吐出部がシンク内の上方に位置している範囲であることを特徴とするシステムキッチンである。
【0011】
このシステムキッチンによれば、機能水吐出装置は、一定時間経過後に自動で機能水を吐出する定期吐出モードを備えているため、定期的に機能水によってシンク内もしくは機能水吐出装置の下方に設置された水切りカゴを殺菌できる。
また、機能水吐出装置が設置部から略垂直方向を軸に回転する回転可能範囲は、機能水吐出部がシンク内の上方に位置している範囲としたため、定期吐出モードによって定期的に機能水を吐出する場合であっても、必ずシンク内に機能水が吐出されることなるため、定期吐出モードによって誤ってシンク外に除菌水を吐出してしまい、シンク外が濡れてしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、まな板や包丁に機能水を吐出させることが可能な機能水吐出装置を備えているシステムキッチンであって、水切りカゴに食器やまな板など背の高い収納物を収納した際に、機能水吐出装置がこれらの収納の邪魔となることがないシステムキッチンを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態にかかるシステムキッチンを表す模式的正面図である。
図2は、
図1のシステムキッチンのシンク周りを表す模式的斜視図である。
図3は、
図1のシステムキッチンのシンク周りを表す模式的断面図である。
図4は、
図1のシステムキッチンのシンク周りを表す模式的上面図である。
なお、
図2(a)は、水切りカゴが設置されていない
図1のシステムキッチンのシンク周りを表す模式的斜視図であり、
図2(b)は、水切りカゴが設置された
図1のシステムキッチンのシンク周りを表す模式的斜視図である。
また、
図3(a)は、水切りカゴが設置されていない
図1のシステムキッチンのシンク周りを表す模式的断面図であり、
図3(b)は、水切りカゴが設置された
図1のシステムキッチンのシンク周りを表す模式的断面図である。
また、
図4(a)は、水切りカゴが設置されていない
図1のシステムキッチンのシンク周りを表す模式的上面図であり、
図4(b)は、水切りカゴが設置された
図1のシステムキッチンのシンク周りを表す模式的上面図である。
また、
図5は、水切りカゴが設置された
図1のシステムキッチンのシンク周りを表す模式的断面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態にかかるシステムキッチン100は、ウォールキャビネット110と、レンジフード装置120と、電解水吐出装置(機能水吐出装置)130と、電解水生成部140(
図6参照)と、水栓装置150と、フロアキャビネット160と、カウンター170と、コンロ部180と、シンク190(
図2参照)と、デッキ部(設置部)1と、を備える。ウォールキャビネット110は、例えば電解水吐出装置(機能水吐出装置)130、水栓装置150、シンク190の上に設けられている。レンジフード装置120は、ウォールキャビネット110と左右に並んで設けられており、コンロ部180の上に設けられている。ウォールキャビネット110及びフロアキャビネット160は、それぞれ内部に収納空間を有しており、例えば木製である。カウンター170は、例えば樹脂製である。シンク190は、例えばステンレス鋼(SUS)製である。水栓装置150は、水を吐出可能である。デッキ部1には、電解水吐出装置130及び水栓装置150が設置されている。
【0017】
なお、本願明細書において、「上」、「下」、「右」および「左」という記載は、システムキッチン100の前でシステムキッチン100を見た人を基準とした上、下、右および左をそれぞれいう。また、本願明細書においては、システムキッチン100から、システムキッチン100の前に居る人へ向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。
【0018】
図2〜5に示すように、シンク190は、シンク190内の水を外部の排水管へ排出するための排水口6を有している。デッキ部1は、シンク190内の後方側に設けられている。また、シンク190は、シンク190内におけるデッキ部1と対向する位置に、係止部2を有している。デッキ部1のシンク190における底面からの高さは、係止部2のシンク190における底面からの高さと、同一である。本発明の実施の形態において、載置部200は、デッキ部1及び係止部2を指す。
【0019】
システムキッチン100は、載置部200、即ちデッキ部1及び係止部2に載置されることで、シンク190内に設置可能な水切りカゴ210を備えている。水切りカゴ210は、例えばSUS製である。水切りカゴ210の前後の上端には、引っ掛け部4が設けられており、この引っ掛け部4が載置部200、即ちデッキ部1及び係止部2に引っ掛かり、載置されることで、水切りカゴ210がシンク190の底面に接することなく、シンク190内に設置される。
【0020】
載置部200であるデッキ部1及び係止部2は、それぞれシンク190の左右方向に亘って設けられている。このことより、水切りカゴ210は、シンク190内の左右方向において移動可能となっている。また、電解水吐出装置130及び水栓装置150は、水切りカゴ210のシンク190内の左右方向における移動の阻害にならないように、デッキ部1の奥側に設置されている。より詳述すると、水切りカゴ210のシンク190内の左右方向における移動の際に、引っ掛け部4が電解水吐出装置130及び水栓装置150に当接しないように、デッキ部1の前端と電解水吐出装置130及び水栓装置150との間が、一定距離で離れている。
【0021】
電解水吐出装置130は、操作部131と、電解水吐水部(機能水吐出部)132と、照射部133(
図7参照)と、を有する。例えば使用者が操作部131を押圧操作すると、電解水吐出装置130は、電解水吐水部132から、除菌作用を有する電解水(機能水)161を霧状に吐出(噴霧)する。霧状の電解水161の粒径は、例えば約10マイクロメートル(μm)以上、1000μm未満程度である。
【0022】
電解水生成部140は、電磁弁(図示せず)と電解水吐出装置130との間に設けられ、除菌作用を有する電解水161を生成する。電磁弁は、例えばシンク190の下に設けられている。例えば、
図6に表したように、電解水生成部140は、陽極151と、陰極152と、を内部に有し、制御部(図示せず)から出力された通電の制御信号により、陽極151と、陰極152と、の間の空間(流路)を流れる水道水を電気分解することができる。水道水は、塩化物イオンを含んでいる。塩化物イオンは、例えば食塩(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl
2)などとして含まれている。
【0023】
そこで、電圧が陽極151と陰極152との間に供給されると、式(1)に表した反応が陰極152において生ずる。
H
++e
− → 1/2H
2↑ ・・・(1)
【0024】
一方で、電圧が陽極151と陰極152との間に供給されると、式(2)および式(3)に表した反応が陽極151において生ずる。
2OH
− → 2e
−+H
2O+1/2O
2↑ ・・・(2)
Cl
− → e
−+1/2Cl
2 ・・・(3)
【0025】
式(3)において発生した塩素は気泡としては存在しにくく、ほとんどの塩素は水に溶解する。そのため、式(3)において発生した塩素については、式(4)に表した反応が生ずる。このようにして、塩化物イオンを電気分解することにより次亜塩素酸(HClO)が生成される。その結果、電解水生成部140において電気分解された水は、次亜塩素酸を含む液に変化する。
Cl
2+H
2O → HClO+H
++Cl
− ・・・(4)
【0026】
次亜塩素酸は、除菌成分として機能する。次亜塩素酸を含む液は、例えばシンク190やシンク190の有する排水口6、排水口6の内部、水切りカゴ210、布巾、包丁、まな板などに付着している細菌を除菌することができる。
【0027】
なお、本実施形態の電解水生成部140は、次亜塩素酸を含む液を生成することには限定されない。電解水生成部140は、水を電気分解することにより除菌作用を有する電解水を生成できればよい。
【0028】
電解水生成部140に供給された水は、電解水生成部140において電解水161として生成され、電解水吐出装置130の電解水吐水部132からシンク190に吐出される。
【0029】
電解水吐出装置130は、デッキ部1から略垂直に立設されている基端部8と、基端部8の上端から略水平方向に延設された延設部10と、を有する。延設部10は、電解水吐水部132を有する。なお、本発明において、「略水平方向」とは、水平方向と比べた傾きの大きさが3度以内のもの、と定義する。延設部10の端部は、シンク190の上方まで突出している。
【0030】
図4に示すように、電解水吐出装置130は、デッキ部1から略垂直方向を軸に角度Aだけ回転可能である。角度Aは、例えば90度である。なお、本発明において、「略垂直方向」とは、垂直方向と比べた傾きの大きさが3度以内のもの、と定義する。電解水吐出装置130が回転することで、水切りカゴ210が、シンク190内において、シンク190内まで突出している電解水吐出装置130である延設部10の端部の下方に設置される状態となる。なお、電解水吐出装置130を回転させずとも、水切りカゴ210をシンク190内の左右方向において移動させれば、水切りカゴ210が、シンク190内において、シンク190内まで突出している電解水吐出装置130である延設部10の端部の下方に設置される状態となる。電解水吐出装置130がデッキ部1から略垂直方向を軸に回転する回転可能範囲は、電解水吐水部132がシンク190内の上方に位置している範囲である。この際、シンク190に着水する電解水161の着水範囲は、
図4の通りである。このように、電解水吐出装置130がデッキ部1から略垂直方向を軸に回転する回転可能範囲内において、電解水161の着水範囲は、シンク190内に限定される。
【0031】
図3及び5に示すように、シンク190の上方まで突出している電解水吐出装置130におけるデッキ部1からの高さD1は、水切りカゴ210の底部(水切りカゴ210において皿やコップなどの収納物が載置される下面)からデッキ部1までの長さD2より、大きい。D1は、例えば200ミリメートル(mm)である。D2は、例えば150mmである。一般的に、水切りカゴ210の底部には、水切りカゴ210の底部から載置部200までの高さの2倍の長さより小さい背の高さを有する収納物しか載置、即ち収納されない。なぜなら、皿など水切りカゴ210の底部に載置して収納される収納物は、水切りカゴ210の側面に寄りかかるように設置される(
図3(b)参照)ため、水切りカゴ210の底部に、水切りカゴの底部から載置部200までの高さの2倍の長さより大きい背の高さを有する収納物を載置、即ち収納してしまうと、収納物の寄りかかりにより、水切りカゴ210がひっくり返ってしまう可能性が高いからである。したがって、水切りカゴ210の底部から水切りカゴ210の底部に載置して収納された収納物の上端までの高さ(長さ)は、D2の2倍より小さい。
【0032】
本発明の実施の形態におけるシステムキッチン100によれば、水切りカゴ210がシンク190内においてシンク190内まで突出している電解水吐出装置130の下方に設置されている際に、水切りカゴ210に背の高い収納物を収納しようとした場合であっても、電解水吐出装置130をデッキ部1から略垂直方向を軸に回転されることで、電解水吐出装置130が背の高い収納物の収納の邪魔となってしまうことを防ぐことができる。
また、この際、シンク190内まで突出している電解水吐出装置130におけるデッキ部1からの高さを水切りカゴ210の底部からデッキ部1までの高さ(長さ)より大きいもの、即ち、シンク190内まで突出している電解水吐出装置130における水切りカゴ210の底部からの高さを水切りカゴ210の底部(水切りカゴ210において皿やコップなどの収納物が載置される下面)からデッキ部1までの長さの2倍以上の大きさとしたことにより、水切りカゴ210に背の高い収納物の収納されているときに電解水吐出装置130をデッキ部1から略垂直方向を軸に回転させてしまい収納物と電解水吐出装置130とが衝突してしまうことで収納物ごと水切りカゴ210がひっくり返ってしまうことを、抑制できる。
【0033】
また、本発明の実施の形態におけるシステムキッチン100によれば、電解水吐水部132を有する延設部10は、基端部8から略水平方向に延設されている。このように、延設部10はデッキ部1から略垂直に延びた基端部8から略水平方向に延設されていることにより、延設部10の載置部であるデッキ部1からの高さは、どの位置においてもほぼ一定(長さD1、即ち200mm)である。なお、本発明の実施の形態において、「延設部10の載置部であるデッキ部1からの高さは、どの位置においてもほぼ一定」とは、延設部10の載置部であるデッキ部1からの高さのそれぞれの位置における最大差分が、10mm以内であること、と定義する。仮に、電解水吐水部132を有する延設部10が、基端部8から上方へ傾斜するように延設されているものであったとすると、水切りカゴ210に収納されている背の高い収納物が電解水吐出装置130の基端部8側(シンク190外)へ傾いた場合には、電解水吐出装置130をデッキ部1から略垂直方向を軸に回転させてしまった際に、収納物が延設部10の先端には当たらずとも、基端部8近傍の延設部10に衝突してしまう可能性がある。一方で、本発明の実施の形態のシステムキッチン100によれば、上述した通り、延設部10はデッキ部1から略垂直に延びた基端部8から略水平方向に延設されていることにより、延設部10の載置部であるデッキ部1からの高さは、どの位置においてもほぼ一定(長さD1、即ち200mm)であるため、水切りカゴ210に収納されている背の高い収納物が電解水吐出装置130の基端部8側(シンク190外)へ傾いた場合であっても、電解水吐出装置130をデッキ部1から略垂直方向を軸に回転させてしまった際に、収納物と電解水吐出装置130の延設部10とが衝突してしまうことを、抑制できる。
【0034】
電解水吐出装置130は、一定時間、例えば8時間経過後に自動で電解水161を吐出する定期吐出モードを備えている。この制御は、上述した制御部で行われる。制御部は、タイマー機能を有しており、8時間経過するごとに、電解水吐出装置130へ、電解水吐水部132から電解水161を10秒間吐出させる指令を送信する。その結果、電解水吐出装置130は、電解水吐水部132から電解水161を10秒間、シンク190内へ吐出させる。このように、電解水吐出装置130は、一定時間経過する毎に電解水161をシンク190内へ吐出させるため、使用者が長時間電解水吐出装置130を使用(操作)していない場合であっても、シンク190もしくは電解水吐出装置130の下方に設置された水切りカゴ210を定期的に除菌(殺菌)させることができる。なお、本発明における「定期吐出モード」はそれに限らず、使用者が電解水吐出装置130を使用してから一定時間(例えば8時間)経過後に自動で電解水161を吐出するモードも含まれる。
【0035】
上述したように、本発明の実施の形態におけるシステムキッチン100によれば、電解水吐出装置130は、一定時間経過後に自動で電解水161を吐出する定期吐出モードを備えているため、定期的に電解水161によってシンク190内もしくは電解水吐出装置130の下方に設置された水切りカゴ210を殺菌できる。
また、電解水吐出装置130がデッキ部1から略垂直方向を軸に回転する回転可能範囲は、電解水吐水部132がシンク190内の上方に位置している範囲としたため、定期吐出モードによって定期的に電解水161を吐出する場合であっても、必ずシンク190内に電解水161が吐出されることなるため、定期吐出モードによって誤ってシンク190外に電解水161を吐出してしまい、シンク190外が濡れてしまうことを抑制できる。
【0036】
図7は、
図1のシステムキッチンにおいて、使用者がまな板をシンク上方へ把持している状態を表す模式的断面図である。
図8は、
図1のシステムキッチンにおいて、まな板へ電解水が吐出されている状態を表す模式的断面図である。
図9は、
図8において、まな板に電解水が着水している状態を表す模式図である。
【0037】
図7に示すように、照射部133は、電解水吐出装置130と一体的に設けられている。照射部133は、電解水吐水部132から後方に離れた位置に設けられている。照射部133と電解水吐水部132との間の距離は、例えば10mmである。
【0038】
図7に示すように、モニター試験の結果によれば、使用者は、まな板を上下方向においてシンク190の上端部と略同一の高さになるよう持ち上げて電解水161を着水させるものである。使用者は、まな板を上下方向においてシンク190の上端部と略同一の高さに把持した状態で、まな板を前後・左右(例えば
図8の矢印方向)に動かして、電解水161を着水させる。一般的に、電解水161は無色透明であり、まな板は白色のものが多い。このような場合において、特に、電解水161の噴霧範囲(着水範囲)は直接視認しにくい。
なお、本発明の実施の形態において、「シンク190の上端部と略同一の高さ」および「上下方向においてシンク190の上端部と略同一の位置」とは、シンク190の上端部より3センチメートル上方の位置より低く、シンク190の上端部より3センチメートル下方の位置より高い範囲である、と定義する。
【0039】
図8に示すように、照射部133は、電解水吐水部132から吐出されている電解水161に対して、後方から光を照射する。光は、下方および前方に向かって照射されるため、電解水161およびシンク190の上端部と略同一の高さに位置しているまな板を照らすこととなる。
図9において、上下方向においてシンク190の上端部と略同一の位置における電解水161の噴霧範囲(着水範囲)はS1であり、上下方向においてシンク190の上端部と略同一の位置における照射部133による光の照射範囲はS2である。なお、光の照射範囲S2は、点線で囲まれた範囲である。
【0040】
図9に示すように、照射部133は、上下方向においてシンク190の上端部と略同一の位置における電解水161の噴霧範囲(着水範囲)S1の全体を含めた噴霧範囲(着水範囲)S1の全周近傍に光を照射する。言い換えると、上下方向においてシンク190の上端部と略同一の位置における電解水161の噴霧範囲(着水範囲)S1は、照射部133による光の照射範囲S2より狭い範囲(面積)であり、照射部133による光の照射範囲S2より内側に形成される。
【0041】
噴霧範囲(着水範囲)S1におけるまな板表面においては、光が当たる前に電解水161に光が当たり散乱し、且つ、光が噴霧範囲(着水範囲)S1に着水した電解水161によって形成された水膜に当たり乱反射することにより光が薄く(まな板から反射した光の光量が少なく(照度が小さく))なり、噴霧範囲(着水範囲)S1外で噴霧範囲(着水範囲)S1の全周近傍におけるまな板表面には電解水161が光を遮らないため光が強く(まな板から反射した光の光量が多く(照度が大きく))当たる。光が強く当たる(光が強く反射する)範囲は、S3である。
図9において、光が強く当たる範囲S3は、濃い色で描かれた範囲である。この光が強く当たる範囲S3は、上面視において略中空円形状となる。なお、光が強く当たる範囲S3において、噴霧範囲(着水範囲)S1より前方側の範囲は、噴霧範囲(着水範囲)S1よりも後方側の範囲より光が薄い。なぜなら、光が強く当たる範囲S3における噴霧範囲(着水範囲)S1より前方側の範囲は、照射部133から照射された光が吐出されている噴霧中の電解水161を通過することにより散乱し、照射部133から照射された直後の光より発光強度(照度)が低下した光が、当たることになるからである。
【0042】
このことより、光が強く当たる範囲S3と噴霧範囲(着水範囲)S1との境界L1は、明暗が分かれて視認できるようになる。この境界L1は、噴霧範囲(着水範囲)S1全周に現れることになる。使用者は、例えば、境界L1の端部とまな板の端部を合わせた状態で、まな板を左右および前後に移動させることで、噴霧された電解水161を、無駄なく、まな板に直接着水させやすくなる。
【0043】
以上より、このシステムキッチン100によれば、照射部133は、上下方向においてシンク190の上端部と略同一の高さにおいて、電解水161の噴霧範囲(着水範囲)S1より大きな照射範囲S2で、且つ、この照射範囲S2の内側に(着水範囲)S1が位置するように、光を照射する。このため、シンク190の上端部と略同一の高さにあるまな板に電解水161を噴霧している際に、噴霧範囲(着水範囲)S1におけるまな板表面においては、まな板表面に光が当たる前に電解水161に光が当たり散乱することにより光が薄く(まな板から反射した光の光量が少なく)なり、噴霧範囲(着水範囲)S1外で照射範囲S2の内側におけるまな板表面においては、電解水161が光を遮らないため光が強く(まな板から反射した光の光量が多く)当たる。このことより、まな板に噴霧されている電解水161全周近傍において、噴霧範囲(着水範囲)S1は光が薄く、噴霧範囲(着水範囲)S1外で且つ照射範囲S2内は光が濃いものとなる。
したがって、シンク190の前方に立っている使用者にも、まな板に着水する電解水161がどこに着水しているかがよくわかるようになる。したがって、まな板を動かすことでまな板全体に直接電解水161を着水させやすくなる。
【0044】
また、このシステムキッチン100によれば、照射部133は、電解水吐水部132より後方に設けられており、上下方向においてシンク190の上端部と略同一の位置における電解水161の噴霧範囲(着水範囲)S1より大きな照射範囲S2で、且つ、この照射範囲S2の内側に(着水範囲)S1が位置するように、後方から光を照射するため、システムキッチン100の前方側に立っている使用者によって最も視認しずらい噴霧範囲(着水範囲)S1の後方側を確実にまな板に着水させやすくしつつ、電解水161の噴霧範囲(着水範囲)S1全体を含めた噴霧範囲(着水範囲)S1の全周近傍を的確に照らすことができる。
【0045】
また、このシステムキッチン100によれば、電解水吐出装置130は、デッキ部1から略垂直方向を軸に少なくとも一定角度以上回転可能であるため、シンク内に水切りカゴ210や食器、鍋などが配置されていても、電解水吐出装置130を回転させることで、まな板に直接電解水161を着水させやすい位置に電解水吐水部132を移動させることができる。
さらにその上で、照射部133が電解水吐出装置130と一体的に設けられているため、電解水吐出装置130の回転に合わせて照射部133も動くことになり、電解水吐出装置130が回転することによって電解水吐水部132の位置が移動した際にも、照射部133は電解水吐水部132から吐出されている電解水161の噴霧範囲(着水範囲)S1より大きな照射範囲S2で且つ噴霧範囲(着水範囲)S1が照射範囲S2の内側に位置するよう光を照射することができる。したがって、まな板に着水する電解水161がどこに着水しているかがよくわかるようになる。したがって、まな板を動かしてまな板全体に直接電解水161を着水させやすくなる。
また、照射部133が電解水吐出装置130と一体的に設けられているため、電解水吐出装置130以外に照射部133を有する装置を別途設ける必要がない。そのため、システムキッチンキッチン100全体をコンパクト化することができ、システムキッチンキッチン100の施工性を向上させることができる。
【0046】
一方で、照射部133が電解水吐出装置130と一体的に設けられていることにより、仮に照射部133が電解水吐水部132の位置と同じ位置に設けられている場合には、照射部133から照射された光は、電解水吐水部132から吐出した直後の電解水161に遮られる。電解水吐水部132から吐出した直後の霧状の電解水161の密度は、電解水吐水部132から離れた位置における霧状の電解水161の密度よりも高い。そのため、照射部133から照射された光は、電解水吐水部132から吐出した直後の電解水161に遮られると、電解水吐水部132よりも下方の所定範囲に存在する電解水161に光を照射しにくい。使用者は、光が照射されている電解水161にまな板を当てようとしてしまうため、この場合であると、電解水吐水部132の近傍であるシンク190上方にまな板を持ってきてしまい、結果、水はねが多く発生してしまう。
これに対して、このシステムキッチンによれば、照射部133が電解水吐水部132から離れた位置に設けられているため、照射部133は、電解水吐水部132よりも下方の所定範囲に存在する電解水161に光を照射しやすく、より下方へまな板を誘導しやすい。したがって、電解水161の水はねを抑制できる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、システムキッチン100および電解水吐出装置130などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや水栓装置150、電解水吐出装置130および排水口6の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。