特許第6843373号(P6843373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6843373伝票処理装置、伝票処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843373
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】伝票処理装置、伝票処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20210308BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   G06K7/10 436
   G06K7/10 372
   G06K7/14 013
   G06K7/10 456
   G06K7/10 428
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-163055(P2019-163055)
(22)【出願日】2019年9月6日
(62)【分割の表示】特願2017-180107(P2017-180107)の分割
【原出願日】2017年9月20日
(65)【公開番号】特開2019-220219(P2019-220219A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 文則
(72)【発明者】
【氏名】西谷 耕司
(72)【発明者】
【氏名】村上 大樹
【審査官】 松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−275530(JP,A)
【文献】 特開平08−287181(JP,A)
【文献】 特開平10−307886(JP,A)
【文献】 特開平10−240852(JP,A)
【文献】 特開2013−045203(JP,A)
【文献】 特開2002−133365(JP,A)
【文献】 特開2002−216072(JP,A)
【文献】 特開2010−058974(JP,A)
【文献】 特開2007−133474(JP,A)
【文献】 特表平11−504856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00−7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の伝票を撮影対象にした撮影手段による第1撮影により取得したライブビュー画像に基づいて、当該ライブビュー画像中において前記伝票が占める領域を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記伝票が占める領域が検出された場合に、所定のユーザ操作に応じて前記伝票に付加されているバーコードから識別情報の読み取りを開始する読取手段と、
前記読取手段による前記識別情報の読み取りが成功したと判定された場合に、当該識別情報を前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による第2撮影により静止画像として取得した伝票画像と対応付けて所定の記録手段に記録する一方で、前記読取手段による前記識別情報の読み取りが失敗したと判定された場合には、前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による前記第2撮影により前記伝票画像が取得済みであったとしても前記伝票画像を廃棄する画像記録制御手段と、
を備え、
前記所定の伝票に前記バーコードが付加されている位置情報が、所定のデータベースに予め登録されており、
前記読取手段は、前記位置情報に基づいて前記バーコードが付加されている位置を特定する、
ことを特徴とした伝票処理装置。
【請求項2】
前記画像記録制御手段は、前記読取手段による前記識別情報の読み取りを複数回実施させ、前記識別情報の取得に規定回以上成功したことを条件として、前記識別情報の読み取りが成功したと判定する、
ことを特徴とした請求項1に記載の伝票処理装置。
【請求項3】
前記画像記録制御手段は、前記バーコードに照射された光線の反射光に基づくデコード処理を複数回実施させ、当該デコード処理により規定回以上前記バーコードをデコードすることができたことを条件として、前記識別情報の読み取りが成功したと判定する、
ことを特徴とした請求項1または2に記載の伝票処理装置。
【請求項4】
前記画像記録制御手段は、前記デコード処理により規定回以上前記バーコードをデコードすることができなかった場合に前記識別情報の読み取りに失敗したと判定する、
ことを特徴とした請求項3に記載の伝票処理装置。
【請求項5】
伝票処理装置が実行する伝票処理方法であって、
所定の伝票を撮影対象にした撮影手段による第1撮影により取得したライブビュー画像に基づいて、当該ライブビュー画像中において前記伝票が占める領域を検出する検出ステップと、
前記検出ステップで前記伝票が占める領域が検出された場合に、所定のユーザ操作に応じて前記伝票に付加されているバーコードからの識別情報の読取手段による読み取りを開始させる読取制御ステップと、
前記読取制御ステップでの前記読取手段による前記識別情報の読み取りが成功したと判定された場合に、当該識別情報を前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による第2撮影により静止画像として取得した伝票画像と対応付けて所定の記録手段に記録する一方で、前記読取制御ステップでの前記読取手段による前記識別情報の読み取りが失敗したと判定された場合には、前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による前記第2撮影により前記伝票画像が取得済みであったとしても前記伝票画像を廃棄する画像記録制御ステップと、
を有し、
前記所定の伝票に前記バーコードが付加されている位置情報が、所定のデータベースに予め登録されており、
前記読取制御ステップでは、前記位置情報に基づいて前記バーコードが付加されている位置を特定する、
ことを特徴とした伝票処理方法。
【請求項6】
伝票処理装置のコンピュータを、
所定の伝票を撮影対象にした撮影手段による第1撮影により取得したライブビュー画像に基づいて、当該ライブビュー画像中において前記伝票が占める領域を検出する検出手段、
前記検出手段により前記伝票が占める領域が検出された場合に、所定のユーザ操作に応じて前記伝票に付加されているバーコードからの識別情報の読取手段による読み取りを開始させる読取制御手段、
前記読取手段による前記識別情報の読み取りが成功したと判定された場合に、当該識別情報を前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による第2撮影により静止画像として取得した伝票画像と対応付けて所定の記録手段に記録する一方で、前記読取手段による前記識別情報の読み取りが失敗したと判定された場合には、前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による前記第2撮影により前記伝票画像が取得済みであったとしても前記伝票画像を廃棄する画像記録制御手段、
として機能させ、
前記所定の伝票に前記バーコードが付加されている位置情報が、所定のデータベースに予め登録されており、
前記読取手段は、前記位置情報に基づいて前記バーコードが付加されている位置を特定する、
ことを特徴としたプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝票処理装置、伝票処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務用のデータ収集端末装置としてハンディーターミナルが知られている。ハンディーターミナルには、バーコードスキャナとカメラを備え、各種伝票から、伝票に印刷されているバーコードの識別情報とカメラによって撮像された伝票の画像情報を取得するものがある。
【0003】
従来、伝票に印刷されているバーコードの識別情報と伝票の画像情報を対応付けてデータ管理する場合には、まず、バーコードスキャナでバーコードを読み取ることで識別情報を取得し、その後、カメラによって伝票を撮像することで、識別情報と画像情報を対応付けて保存する管理方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−349114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の管理方法では、バーコードの読み取りを行った後に、撮像を行うという2つのアクションを必要とするため、単にバーコードの識別情報を取得する場合と比較して余分な時間と労力を浪費し、例えば多量の伝票を処理する場合にはそれが甚だしいという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、伝票から識別情報と画像情報とを取得する伝票処理作業の作業性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る伝票処理装置にあっては、所定の伝票を撮影対象にした撮影手段による第1撮影により取得したライブビュー画像に基づいて、当該ライブビュー画像中において前記伝票が占める領域を検出する検出手段と、前記検出手段により前記伝票が占める領域が検出された場合に、所定のユーザ操作に応じて前記伝票に付加されているバーコードから識別情報の読み取りを開始する読取手段と、前記読取手段による前記識別情報の読み取りが成功したと判定された場合に、当該識別情報を前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による第2撮影により静止画像として取得した伝票画像と対応付けて所定の記録手段に記録する一方で、前記読取手段による前記識別情報の読み取りが失敗したと判定された場合には、前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による前記第2撮影により前記伝票画像が取得済みであったとしても前記伝票画像を廃棄する画像記録制御手段と、を備え、前記所定の伝票に前記バーコードが付加されている位置情報が、所定のデータベースに予め登録されており、前記読取手段は、前記位置情報に基づいて前記バーコードが付加されている位置を特定する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る伝票処理方法にあっては、伝票処理装置が実行する伝票処理方法であって、所定の伝票を撮影対象にした撮影手段による第1撮影により取得したライブビュー画像に基づいて、当該ライブビュー画像中において前記伝票が占める領域を検出する検出ステップと、前記検出ステップで前記伝票が占める領域が検出された場合に、所定のユーザ操作に応じて前記伝票に付加されているバーコードから識別情報読取手段による読み取りを開始させる読取制御ステップと、前記読取制御ステップでの前記読取手段による前記識別情報の読み取りが成功したと判定された場合に、当該識別情報を前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による第2撮影により静止画像として取得した伝票画像と対応付けて所定の記録手段に記録する一方で、前記読取制御ステップでの前記読取手段による前記識別情報の読み取りが失敗したと判定された場合には、前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による前記第2撮影により前記伝票画像が取得済みであったとしても前記伝票画像を廃棄する画像記録制御ステップと、を有し、前記所定の伝票に前記バーコードが付加されている位置情報が、所定のデータベースに予め登録されており、前記読取制御ステップでは、前記位置情報に基づいて前記バーコードが付加されている位置を特定する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るプログラムにあっては、伝票処理装置のコンピュータを、所定の伝票を撮影対象にした撮影手段による第1撮影により取得したライブビュー画像に基づいて、当該ライブビュー画像中において前記伝票が占める領域を検出する検出手段、前記検出手段により前記伝票が占める領域が検出された場合に、所定のユーザ操作に応じて前記伝票に付加されているバーコードから識別情報読取手段による読み取りを開始させる読取制御手段、前記読取手段による前記識別情報の読み取りが成功したと判定された場合に、当該識別情報を前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による第2撮影により静止画像として取得した伝票画像と対応付けて所定の記録手段に記録する一方で、前記読取手段による前記識別情報の読み取りが失敗したと判定された場合には、前記所定のユーザ操作に応じて開始される前記撮影手段による前記第2撮影により前記伝票画像が取得済みであったとしても前記伝票画像を廃棄する画像記録制御手段、として機能させ、前記所定の伝票に前記バーコードが付加されている位置情報が、所定のデータベースに予め登録されており、前記読取手段は、前記位置情報に基づいて前記バーコードが付加されている位置を特定する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、伝票から識別情報と画像情報とを取得する伝票処理作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るハンディーターミナルの一実施形態を示した正面図である。
図2】ハンディーターミナルの側面図である。
図3】ハンディーターミナルの裏面側を示した斜視図である。
図4】バーコードの読み取り時におけるレーザー光の光跡とカメラの撮影範囲との関係を示す図である。
図5】ハンディーターミナルの電気的構成の概略を示すブロック図である。
図6】伝票データを示す概念図である。
図7】伝票撮影モードでの処理を示すフローチャートである。
図8】ライブビュー画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1図3は、本発明の伝票処理装置の一実施形態に係るハンディーターミナルを示す図である。
【0013】
このハンディーターミナルは、バーコードが設けられている各種の伝票や物品等の対象物を撮影する撮影機能を備えたものであって、図1図3に示すように、機器ケース1を備えている。この機器ケース1は、上部ケース2と下部ケース3とで構成されている。上部ケース2には、ディスプレイ4と入力部5とが設けられている。下部ケース3には、読取装置6と電池蓋7とが設けられている。
【0014】
機器ケース1は、上部ケース2のディスプレイ4側およびこれに対応する下部ケース3の読取装置6側に位置する先端部側(図1では上辺部側)が前後方向(図1では上下方向)に長い長方形状の本体部1aに形成され、上部ケース2の入力部5側およびこれに対応する下部ケース3の電池蓋7側に位置する手前部側(図1では下辺部側)が前後方向に長い長方形状の握り部1bに形成されている。また、機器ケース1は、握り部1bの幅が本体部1aの幅よりも狭く、全体がほぼ羽子板形状に形成されている。
【0015】
図1に示すように、入力部5は、テンキー、演算キー、カーソルキー、決定キー、電源キーなどの各種のキー5aを備え、これらが握り部1b側に位置する上部ケース2に配列されている。入力部5の上辺部には、センタートリガーキー5bが設けられる一方、機器ケース1の両側面にはサイドトリガーキー5cがそれぞれ設けられている。
【0016】
読取装置6は、ディスプレイ4の裏面側に対応する下部ケース3の下面(図3では上面)に設けられたユニットケース10の内部に設けられているスキャナとカメラとから構成され、ユニットケース10には、スキャナに対応する読取窓部11とカメラに対応する撮影窓部12とが設けられている。
【0017】
読取装置6のスキャナは、読取窓部11を介して対象物にレーザー光を照射し、その照射位置を所定方向に往復移動させる間に、その反射光を受光することによりバーコードを読み取りコードデータを取得する一般的なものである。また、読取装置6のカメラは、撮影窓部12を介して撮像素子により対象物を撮像するものであり、カメラにより撮像された対象物等の画像はディスプレイ4に表示される。
【0018】
ここで、ハンディーターミナルにおいては、図2に示すように、読取装置6におけるレーザー光の照射方向S1とカメラの撮影方向S2とは同一方向に設定されており、バーコードの読み取り時に往復移動するレーザー光の光跡がカメラの撮影範囲を所定の位置で横切るよう構成されている。
【0019】
図4は、バーコードの読み取り時におけるレーザー光Lの光跡Tとカメラの撮影範囲100との関係を示す図である。本実施形態においてカメラの撮影範囲100は長方形であるとともに、レーザー光Lの移動方向は左右方向であり、その光跡Tは撮影範囲100の中央よりやや下方に位置して撮影範囲100を横断する。また、光跡Tの横断位置N、つまり撮影範囲100における上下方向の位置は一定である。
【0020】
また、レーザー光の照射方向S1とカメラの撮影方向S2とは、機器ケース1の下面つまり下部ケース3の下面に対して所定角度θの傾きを確保されており、ユーザ(作業者)がバーコードの読み取り作業及び対象物の撮影作業を行う際には、それらの作業をディスプレイ4を見ながら容易に行えるように構成されている。なお、所定角度θは下部ケース3の先端側(図2では上辺側)に向けて40°〜80°の角度範囲、好ましくは60°の角度で傾いていることが望ましい。
【0021】
一方、図5は、ハンディーターミナルの電気的構成の概略を示すブロック図である。ハンディーターミナルは、CPU(Central Processing Unit)21と、CPU21に接続されたRAM(Random
Access Memory)22と、主記憶部23、記憶部24、キー入力部25、表示部26、スキャナ部27、カメラ部28、通信部29、時計部30から構成されている。
【0022】
主記憶部23は、ハンディーターミナルに内蔵されたフラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリにより構成される。主記憶部23には、制御プログラム、ユーザに設定されたハンディーターミナルの動作等に関する各種の設定情報等が記憶される。また、ハンディーターミナルは複数種の伝票に対応可能であり、主記憶部23には、ユーザにより予め設定された複数種類の伝票に関する情報(以下、伝票情報)が制御プログラムと共に予め記憶されている。伝票情報には、伝票の形状(縦横比)、実寸法、バーコードの記載位置、バーコードの種類が含まれる。
【0023】
CPU21は、主記憶部23から制御プログラムを読み出してRAM22に展開し、展開した制御プログラムに基づきハンディーターミナルの動作を制御する。その際、RAM22は作業のメモリとして使用され、必要に応じて画像データを含む各種データが一時記憶される。
【0024】
キー入力部25は、各種のキー5a(テンキー、演算キー、カーソルキー、決定キー、電源キーなど)、及びセンタートリガーキー5b、サイドトリガーキー5cを含み、それらに対する操作の有無を検出し、それらの操作情報をCPU21へ供給する。表示部26は、ディスプレイ4及びその駆動回路から構成される。ディスプレイ4は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、ELD(Electro Luminescent Display)である。
【0025】
スキャナ部27は、前述した読取装置6に収容されたレーザースキャナモジュール等であり、レーザー光を発光するレーザーダイオードと、レーザー光を反射するとともに、所定の角度内で回動することにより物品表面のバーコードを走査する可動ミラー、物品表面の乱反射光を受光する受光素子を備えている。スキャナ部27には、レーザーダイオードの発光を制御するレーザー制御回路、可動ミラーを駆動するミラー駆動回路、受光素子が出力するアナログ信号を処理しA/D変換するアナログ信号処理回路、処理後のデジタル信号からコードデータをデコードし、そのコードデータをCPU21へ供給するデコード回路が含まれる。
【0026】
カメラ部28は、前述した読取装置6に収容されたデジタルカメラモジュール等であり、フォーカスレンズを含む撮影レンズを介して被写体を撮像する撮像素子等から構成される。撮像素子は例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Meta1 0xide Semiconductor)型である。
【0027】
図示しないが、カメラ部28には、撮像素子を駆動する駆動回路と、撮像素子から読み出される撮像信号を処理し、ホワイトバランスや明るさ調整等の各種の信号処理を行い画像データとしてCPU21へ供給する画像処理回路と、撮影レンズを駆動しフォーカス調整を行うことによりAF(Auto Focus)機能を実現するAF駆動回路が含まれる。
【0028】
記憶部24は、例えばハンディーターミナルに着脱自在な各種のメモリカード、及びメモリカードへのデータの入出力を可能とするカードインターフェイスにより構成される。記憶部24には、スキャナ部27により取得されたコードデータ、すなわち伝票に固有の識別情報と、カメラ部28により取得された画像データとが関連付けられ他の情報と共に図6に示した伝票データ50として記憶される。
【0029】
図6は、記憶部24に記憶される伝票データ50を示す概念図である。伝票データ50は、伝票管理ID51、コードデータ52、画像データ53、撮影日時54の各データから構成される。ここで伝票管理ID51は、伝票データ50の管理に使用される識別情報であり、撮影日時54は画像データ53の取得日時である。
【0030】
通信部29は、必要に応じて有線又は無線通信によって外部の情報機器との間で通信を行い、記憶部24に記憶(保存)されている伝票データ50を外部の情報機器に送信する。外部の情報機器は、例えば物品の入出庫や在庫などの管理業務に使用されるコンピュータやデータ管理サーバである。
【0031】
時計部30は、カレンダー機能を備えたリアルタイムクロックであり、現在の年月日時を計時し、それを時刻情報としてCPU21に出力する。
【0032】
次に、ユーザがハンディーターミナルを用いて伝票から識別情報と画像情報とを取得する際におけるハンディーターミナルの動作を具体的に説明する。図7は、電源投入に伴いCPU21が主記憶部23に記憶されている制御プログラムに従い実行する伝票撮影モードでの処理を示したフローチャートである。
【0033】
伝票撮影モードにおいてCPU21は、処理対象として予め指定されている伝票に関する伝票情報を主記憶部23から読み出す(ステップS1)。さらにCPU21は、ライブビュー表示、すなわちカメラ部28による所定のフレームレート(例えば30fps)での画像の取り込み、及び取り込んだ画像(以下、ライブビュー画像)のディスプレイ4での表示を開始する(ステップS2)。その間、カメラ部28ではAF機能によるフォーカス調整が行われる。
【0034】
以後、CPU21は、逐次取り込んだフレーム毎(数フレーム毎でもよい。)のライブビュー画像から伝票に該当する領域(以下、伝票領域)を認識する(ステップS3)。伝票領域の認識は、例えばライブビュー画像に対してエッジ検出や直線認識を行い、認識した複数の直線に沿って区画される複数の矩形領域を検出し、その中で面積が最大の矩形領域を伝票領域として特定することにより行う。なお、伝票領域の特定には色情報を使用することもできる。
【0035】
CPU21は、伝票領域が認識できると(ステップS4:YES)、ライブビュー画像の所定位置に、OSD(On Screen Display)機能によってガイド枠を重畳して表示する(ステップS5)。図8(a)は、対象の伝票301が存在するライブビュー画像201にガイド枠Fが表示された状態のライブビュー画像201の一例を示す図である。ガイド枠Fは、伝票301の撮影に際して確保すべきライブビュー画像201における伝票301の大きさと位置とをユーザに示すものである。
【0036】
ガイド枠Fにより示される大きさは、伝票301を撮影した画像において伝票301部分に所定の解像度(画素サイズ)を確保しうる最小の大きさである。ガイド枠Fにより示される位置は、伝票301のバーコード302の読み取りに適する位置であり、バーコードの読み取り時におけるレーザー光Lの光跡Tの位置(図4参照)に応じた位置である。なお、ステップS5の処理に際して、ガイド枠Fの形状と大きさと表示位置は、カメラ部28における撮像素子の有効画素数、又は記録画像の画素数が選択できる構成においては、その時点で設定されている画素数と、処理対象の伝票に設定されている伝票情報、すなわち伝票の形状(縦横比)、実寸法、バーコードの記載位置に基づき決定される。
【0037】
そして、ライブビュー画像201にガイド枠Fを表示した後、CPU21は、トリガーキー(センタートリガーキー5b又はサイドトリガーキー5c)がオン状態となったか否か、すなわちユーザによってトリガーキーが押された否かを逐次確認する(ステップS6)。その間、ユーザは、ライブビュー画像201における伝票301の大きさと位置とガイド枠Fに従い調整することとなる。
【0038】
やがてユーザによりトリガーキーが押下されると(ステップS6:YES)、それに応答してCPU21は、カメラ部28に撮影を指示し、カメラ部28に記録用の画像の取得に向けた撮像動作、すなわち撮影動作を行わせ(ステップS7)、カメラ部28により取得された撮影画像のデータをRAM22に一時記憶する(ステップS8)。この際には、時計部30を介して、現在の時刻情報を所得し、撮影画像のデータに対応付けて一時記憶させておく。
【0039】
引き続き、CPU21は、処理開始当初は「0」にセットされているバーコードの読み取り動作回数のカウント値nをインクリメントした後(ステップS9)、スキャナ部27にバーコードの読み取りを指示し、スキャナ部27においてレーザー光の照射、照射したレーザー光によるバーコードの走査、コードデータのデコードからなる一連の読み取り動作を行わせる(ステップS10)。
【0040】
なお、図8(b)は、スキャナ部27によってバーコードの読み取り動作が開始された直後におけるライブビュー画像201の一例を示した図である。読み取り動作中のライブビュー画像201にはレーザー光の光跡Tが写し出される。
【0041】
スキャナ部27においてコードデータが取得できると(ステップS11:YES)、CPU21は、取得されたコードデータをRAM22に一時記憶するとともに(ステップS12)、処理開始当初は「0」にセットされているコードデータの取得成功回数のカウント値Sをインクリメントする(ステップS12)。しかる後、CPU21は、バーコードの読み取り動作回数が10回(n=10)に達する以前は(ステップS13:NO)、ステップS9の処理に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0042】
また、CPU21は、スキャナ部27においてコードデータが取得できないときには(ステップS11:NO)、バーコードの読み取り動作回数が10回に達する以前は(ステップS13:NO)、直ちにステップS9の処理に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0043】
やがてバーコードの読み取り動作回数が10回(n=10)に達すると(ステップS13:YES)、CPU21は、コードデータの取得成功回数が3回以上であるか否かを確認する(ステップS14:YES)。
【0044】
そして、CPU21は、コードデータの取得成功回数が3回以上であれば(ステップS15:YES)、バーコードの読み取りに成功したと最終的に判断し、RAM22に一時記憶されている撮影画像データとコードデータとを関係付けて記憶部24に記憶する(ステップS16)。すなわち撮影画像データとコードデータとを他のデータと共に新たな伝票データ50として記憶部24に記憶する。しかる後、CPU21は、データ(コードデータと撮影画像データ)の取得が完了した旨をディスプレイ4に表示し(ステップS17)、これにより1回の読み取り動作を終了する。
【0045】
一方、コードデータの取得成功回数が3回に未満である場合(ステップS15:NO)、CPU21は、バーコードの読み取りに失敗したと最終的に判断し、データ(コードデータと撮影画像データ)の取得が不能である旨をディスプレイ4に表示する(ステップS18)。また、RAM22に一時記憶された撮影画像を削除する(ステップS19)。CPU21は、これによりユーザに対してデータ取得作業のやり直し等を促すととともに、ステップS3の処理に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
【0046】
以上のように本実施形態においては、ユーザがトリガーキー(センタートリガーキー5b又はサイドトリガーキー5c)を一度押せば、それに応答してバーコードの読み取り動作と伝票の撮影動作とが実施される。したがって、伝票301に印刷されているバーコード302の識別情報(コードデータ)と伝票301の画像情報(撮影画像データ)を関係付けてデータ管理する場合には、それに要する伝票処理の作業性を向上させることができる。特に多量の伝票を処理する場合にはその効果が大である。
【0047】
また、バーコードの読み取りについては、スキャナ部27に読み取り動作を複数回(上記の例では10回)実施させ、コードデータの取得に規定回以上(上記の例では3回以上)成功したことを条件として、撮影画像データをコードデータ関係付けて記憶部24に記憶するようにした。これにより、例えば伝票のバーコード部分に凹凸があったり、汚れがあったりすることに起因しレーザー光の照射角度の僅かな違いによって読み取りに成功したり、失敗したりするような場合であっても、より確実にコードデータを取得することができる。その結果、伝票処理の作業性をより一層向上させることができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、トリガーキーの操作に応答し、伝票の撮影動作を実施した後、バーコードの読み取り動作を実施したが、双方の動作は同一タイミングで並行して行うようにしてもよい。その場合、例えばカメラ部28の撮影動作中における撮像素子の露光期間に限定してスキャナ部27におけるレーザー光の照射を一時的に停止させることにより、撮影画像におけるレーザー光の光跡の写り込みが防止できる。
【0049】
以上、本発明の実施形態、及びその変形例について説明したが、これらは本発明の作用効果が得られる範囲内であれば適宜変更が可能であり、変更後の実施形態も特許請求の範囲に記載された発明、及びその発明と均等の発明の範囲に含まれる。以下に、本出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
伝票に光線を照射し、前記伝票に設けられたバーコードから識別情報を読み取る読み取り手段と、
前記伝票を撮影する撮影手段と、
使用者からの情報取得指示に応答し、前記読み取り手段による前記識別情報の読み取りと、前記撮影手段による前記伝票の撮影とを実施する情報取得制御手段と、
前記識別情報の取得に成功したことを条件に前記成功したタイミングに基づいて、前記伝票の撮影画像を、取得された識別情報と関係付けて所定の記録手段に記録する記録制御手段と
を備えたことを特徴とする伝票処理装置。
(付記2)
前記情報取得制御手段は、使用者からの情報取得指示に応答し、前記読み取り手段による前記識別情報の読み取りを複数回実施させ、
前記記録制御手段は、前記読み取り手段による前記識別情報の取得に規定回以上成功したことを条件として、前記伝票の撮影画像を、取得された識別情報と関係付けて所定の記録手段に記録する
ことを特徴とする付記1記載の伝票処理装置。
(付記3)
前記撮影手段における撮影方向と前記光線の照射方向と同一方向に設定されたことを特徴とする付記1又は2記載の伝票処理装置。
(付記4)
伝票に光線を照射し、前記伝票に設けられたバーコードから識別情報を読み取る読み取り手段と、前記伝票を撮影する撮影手段とを備えた伝票処理装置における伝票処理方法であって、
使用者からの情報取得指示に応答し、前記読み取り手段による前記識別情報の読み取りと、前記撮影手段による前記伝票の撮影とを実施する工程と、
前記識別情報の取得に成功したことを条件に前記成功したタイミングに基づいて、前記伝票の撮影画像を、取得された識別情報と関係付けて所定の記録手段に記録する工程と
を含むことを特徴とする伝票処理方法。
(付記5)
伝票に光線を照射し、前記伝票に設けられたバーコードから識別情報を読み取る読み取り手段と、前記伝票を撮影する撮影手段とを備えた伝票処理装置が有するコンピュータを、
使用者からの情報取得指示に応答し、前記読み取り手段による前記識別情報の読み取りと、前記撮影手段による前記伝票の撮影とを実施する情報取得制御手段と、
前記識別情報の取得に成功したことを条件に前記成功したタイミングに基づいて、前記伝票の撮影画像を、取得された識別情報と関係付けて所定の記録手段に記録する記録制御手段と
して機能させることを特徴するプログラム。
【符号の説明】
【0050】
4 ディスプレイ
5b センタートリガーキー
5c サイドトリガーキー
11 読取窓部
12 撮影窓部
21 CPU
22 RAM
23 主記憶部
24 記憶部
25 キー入力部
26 表示部
27 スキャナ部
28 カメラ部
50 伝票データ
100 撮影範囲
201 ライブビュー画像
301 伝票
302 バーコード
F ガイド枠
L レーザー光
T 光跡
S1 照射方向
S2 撮影方向

図1
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図8