特許第6843374号(P6843374)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843374
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】電池電極スラリー作製用混練方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20210308BHJP
   B01F 3/12 20060101ALI20210308BHJP
   B01F 15/06 20060101ALI20210308BHJP
   H01M 4/139 20100101ALN20210308BHJP
【FI】
   H01M4/04 A
   B01F3/12
   B01F15/06 Z
   !H01M4/139
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-78321(P2016-78321)
(22)【出願日】2016年4月8日
(65)【公開番号】特開2017-188397(P2017-188397A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】507317502
【氏名又は名称】エリーパワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】真田 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尋史
(72)【発明者】
【氏名】中田 大作
【審査官】 森 透
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−182485(JP,A)
【文献】 特開2004−247184(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/018771(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/111218(WO,A1)
【文献】 特開平11−120991(JP,A)
【文献】 特開2008−243470(JP,A)
【文献】 特開2012−243470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00−4/62
B01F 3/12
B01F 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダーを含む電池電極スラリーを作製するための材料を付勢して輸送し混練することで、電池電極スラリーを作製する電池電極スラリー作製用混練方法であって、
前記電池電極スラリーの作製用の複数の材料が供給され、供給された複数の材料を混練して連続的に排出する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて排出された材料を輸送する第2のステップと、
前記第2のステップにおいて輸送されている材料の温度を計測する第3のステップと、
前記第3のステップにおける計測結果に基づいて、前記第1のステップにおいて混練されている材料の温度を前記バインダーの硬化温度より低くなるように制御する第4のステップと、
を備えることを特徴とする電池電極スラリー作製用混練方法。
【請求項2】
前記第4のステップでは、前記第3のステップにおける計測結果に基づいて、前記第1のステップにおいて混練するために供給される材料と、前記第1のステップにおいて混練されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を、前記バインダーの硬化温度より低く、かつ、当該材料の粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御することを特徴とする請求項1に記載の電池電極スラリー作製用混練方法。
【請求項3】
バインダーを含む電池電極スラリーを作製するための材料を付勢して輸送し混練することで、電池電極スラリーを作製する電池電極スラリー作製用混練方法であって、
前記電池電極スラリーの作製用の複数の材料が供給され、供給された複数の材料を混練して連続的に排出する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて排出された材料を輸送する第2のステップと、
前記第2のステップにおいて輸送された材料を貯留するとともに、貯留している材料を連続的に排出する第3のステップと、
前記第2のステップにおいて輸送されている材料の温度を計測する第4のステップと、
前記第4のステップにおける計測結果に基づいて、前記第1のステップにおいて混練されている材料の温度を前記バインダーの硬化温度より低くなるように制御する第5のステップと、
を備えることを特徴とする電池電極スラリー作製用混練方法。
【請求項4】
前記第5のステップでは、前記第4のステップにおける計測結果に基づいて、前記第1のステップにおいて混練するために供給される材料と、前記第1のステップにおいて混練されている材料と、前記第2のステップにおいて輸送されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を、前記バインダーの硬化温度より低く、かつ、当該材料の粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御することを特徴とする請求項3に記載の電池電極スラリー作製用混練方法。
【請求項5】
前記第1のステップが行われる空間と、前記第2のステップが行われる空間と、が連通して閉鎖された空間を形成し、
前記空間を減圧または不活性ガスを充満させた状態にする第5のステップを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電池電極スラリー作製用混練方法。
【請求項6】
前記第1のステップが行われる空間と、前記第2のステップが行われる空間と、前記第3のステップが行われる空間と、が連通して閉鎖された空間を形成し、
前記空間を減圧または不活性ガスを充満させた状態にする第6のステップを備えることを特徴とする請求項3または4に記載の電池電極スラリー作製用混練方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池電極スラリー作製用混練方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の材料を混練してスラリーを得る方法として、バッチ混練が一般的である。バッチ混練とは、スラリーの作製に必要な複数の材料を全て大釜に投入し、これら複数の材料が均一に混ざるまで混練を行うことである。
【0003】
ただ、バッチ混練では、複数の材料を一度にまとめて投入してから均一に混ぜるため、混練時間を長くとる必要がある。また、大釜の取り替えや、混練用のブレードや大釜内部の掻きとり作業といった清掃作業を、人手で行う必要がある。さらに、上述の清掃作業は、大釜を取り替えるたびに必要である。以上より、バッチ混練は、スラリーの作製過程における工数増加の原因になっていた。
【0004】
また、バッチ混練では、大釜に複数の材料を全て投入してから、スラリーが得られるまでに、時間がかかってしまう。このため、ある程度の量のスラリーを短時間で得るためには、1度のバッチ混練で得られるスラリー量を増加させる必要があり、大釜を大きくする必要がある。したがって、装置の小型化が困難であった。
【0005】
また、バッチ混練では、大釜の取り替えや清掃作業といった人手で行う必要のある工程が上述のように存在するため、スラリーの作製工程の完全自動化が困難であった。
【0006】
さらに、バッチ混練では、作製するスラリー量の自由度が低く、スラリーが不足しないよう多めに作製するなどによって、大量に得られたスラリーを使用するまでのタイムラグが問題になることがあった。
【0007】
そこで、複数の材料を粗混練する予備混練部と、予備混練部で粗混練された材料を本混練する本混練部と、を備え、予備混練部で粗混練された材料を、モーノポンプにより本混練部に供給する混練装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−33924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
二次電池の電池電極(例えば正極)を構成する電極板(例えば正極板)を形成する際、必要な材料を混練して得られた電池電極スラリーを金属シート(例えば正極であればアルミシート)上に塗布し、乾燥させることで、電極板を形成する。この電池電極スラリーには、バインダーが含まれている。バインダーは、電極活物質間を結合させることや、電極活物質と金属シートとを結合させるために、用いられる。混練処理により電池電極スラリーの温度が変動すると、バインダーが硬化するなどの変化が電池電極スラリーに起こり、電池電極スラリーとしての品質が安定しなくなる。特許文献1に示されている混練装置は、混練処理による電池電極スラリーの温度の変動を考慮していないため、電池電極スラリーの品質が安定しないおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電池電極スラリーの品質を安定に保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0012】
(1) 本発明は、バインダーを含む電池電極スラリー(例えば、後述の正極スラリーに相当)を作製するための材料を付勢して輸送し混練することで、電池電極スラリーを作製する電池電極スラリー作製用混練方法であって、前記電池電極スラリーの作製用の複数の材料(例えば、後述のバインダー、正極活物質、および導電助剤に相当)が供給され、供給された複数の材料を混練して連続的に排出する第1のステップと、前記第1のステップにおいて排出された材料を輸送する第2のステップと、前記第1のステップにおいて混練されている材料と、前記第2のステップにおいて輸送されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を計測する第3のステップと、前記第3のステップにおける計測結果に基づいて、前記第1のステップにおいて混練するために供給される材料と、前記第1のステップにおいて混練されている材料と、前記第2のステップにおいて輸送されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を前記バインダーの硬化温度より低くなるように制御する第4のステップと、を備えることを特徴とする電池電極スラリー作製用混練方法を提案している。
【0013】
この発明によれば、第1のステップにより、供給された複数の材料を混練し、第2のステップにより、第1のステップにおいて混練された材料を輸送することとした。このため、第1のステップおよび第2のステップにより、複数の材料の混練を行いつつ、これら複数の材料の受け入れと、混練した材料の移送と、を行うことができる。すなわち、第1のステップおよび第2のステップにより、混練済みの材料を移送することと、新たに供給される複数の材料を混練することと、を並行して行うことができる。したがって、第2のステップを行う構成の後段への材料の供給を連続的に行うことができる。
【0014】
また、上述のように第2のステップを行う構成の後段への材料の供給を連続的に行うことができるので、従来のように大釜を取り替える必要がなくなり、本発明における電池電極スラリーの温度管理を容易に行うことができる。
【0015】
また、上述のように第2のステップを行う構成の後段への材料の供給を連続的に行うことができるので、大量の材料を一度に混練する必要がない。このため、大量の電池電極スラリーが一度に作製されることがなくなるので、電池電極スラリーの温度が、一度に作製された大量の電池電極スラリーの中でばらついてしまうのを抑制することができる。したがって、品質の安定した電池電極スラリーの作製を実現することができる。
【0016】
また、第1のステップでは、エネルギーを印加しながら材料を混ぜていくため、材料の温度が上昇する。この材料の温度の上昇があまりに大きくなると、材料中に含まれるバインダーが、硬化してしまう可能性がある。材料が硬化してしまうと、所望の品質を有する電池電極スラリーができないだけでなく、電池電極スラリー作製用混練方法を実施する装置の内部に電池電極スラリーが詰まってしまい、電池電極スラリー作製用混練方法を実施する装置の故障を招く可能性もある。
【0017】
そこで、第3のステップにより、第1のステップにおいて混練されている材料と、第2のステップにおいて輸送されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を計測することとした。また、第4のステップにより、第3のステップにおける計測結果に基づいて、第1のステップにおいて混練するために供給される材料と、第1のステップにおいて混練されている材料と、第2のステップにおいて輸送されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度をバインダーの硬化温度より低くなるように制御することとした。このため、材料の温度がバインダーの硬化温度以上になってしまうのを防止することができるので、電池電極スラリー作製用混練方法を実施する装置の故障を防止することができるとともに、電池電極スラリーの品質を安定させることができる。
【0018】
(2) 本発明は、(1)の電池電極スラリー作製用混練方法について、前記第4のステップでは、前記第3のステップにおける計測結果に基づいて、前記第1のステップにおいて混練するために供給される材料と、前記第1のステップにおいて混練されている材料と、前記第2のステップにおいて輸送されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を、前記バインダーの硬化温度より低く、かつ、当該材料の粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御することを特徴とする電池電極スラリー作製用混練方法を提案している。
【0019】
ここで、極端に温度が下がった場合などにおいては、材料の粘度が高くなり、第1のステップにおいて通常と同じエネルギーを材料に対して印加しても、材料にかかるせん断力や摩擦力などが大きく変わってしまうので、所望の品質を有する電池電極スラリーを得られない可能性がある。そこで、この発明によれば、(1)の電池電極スラリー作製用混練方法において、第1のステップにおいて混練するために供給される材料と、第1のステップにおいて混練されている材料と、第2のステップにおいて輸送されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を、バインダーの硬化温度より低く、かつ、材料の粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御することとした。このため、温度上昇に伴う材料の硬化だけでなく、温度低下に伴う材料の粘度の上昇も、抑制することができるので、電池電極スラリーの品質をより的確に向上させることができる。
【0020】
(3) 本発明は、バインダーを含む電池電極スラリー(例えば、後述の正極スラリーに相当)を作製するための材料を付勢して輸送し混練することで、電池電極スラリーを作製する電池電極スラリー作製用混練方法であって、前記電池電極スラリーの作製用の複数の材料(例えば、後述のバインダー、正極活物質、および導電助剤に相当)が供給され、供給された複数の材料を混練して連続的に排出する第1のステップと、前記第1のステップにおいて排出された材料を輸送する第2のステップと、前記第2のステップにおいて輸送された材料を貯留するとともに、貯留している材料を連続的に排出する第3のステップと、前記第1のステップにおいて混練されている材料と、前記第2のステップにおいて輸送されている材料と、前記第3のステップにおいて貯留されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を計測する第4のステップと、前記第4のステップにおける計測結果に基づいて、前記第1のステップにおいて混練するために供給される材料と、前記第1のステップにおいて混練されている材料と、前記第2のステップにおいて輸送されている材料と、前記第3のステップにおいて貯留されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を前記バインダーの硬化温度より低くなるように制御する第5のステップと、を備えることを特徴とする電池電極スラリー作製用混練方法を提案している。
【0021】
この発明によれば、第3のステップにより、第2のステップにおいて輸送された材料を貯留するとともに、貯留している材料を連続的に排出することとした。このため、第1のステップにおいて混練されて連続的に排出された材料は、第3のステップにおいて貯留される。したがって、第1のステップにおいて混練された材料は、第3のステップにおいて貯留されている間に混ざり合うので、第3のステップを行う構成の後段に供給された時点での材料の品質のばらつきは、第1のステップを行う構成から排出された時点での材料の品質のばらつきと比べて、小さくなる。よって、(1)の電池電極スラリー作製用混練方法が奏することのできる上述の効果に加えて、電池電極スラリーの品質をさらに安定させることができるという効果も奏することができる。
【0022】
(4) 本発明は、(3)の電池電極スラリー作製用混練方法について、前記第5のステップでは、前記第4のステップにおける計測結果に基づいて、前記第1のステップにおいて混練するために供給される材料と、前記第1のステップにおいて混練されている材料と、前記第2のステップにおいて輸送されている材料と、前記第3のステップにおいて貯留されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を、前記バインダーの硬化温度より低く、かつ、当該材料の粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御することを特徴とする電池電極スラリー作製用混練方法を提案している。
【0023】
この発明によれば、(3)の電池電極スラリー作製用混練方法において、第1のステップにおいて混練するために供給される材料と、第1のステップにおいて混練されている材料と、第2のステップにおいて輸送されている材料と、第3のステップにおいて貯留されている材料と、のうち少なくともいずれか1つの温度を、バインダーの硬化温度より低く、かつ、材料の粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御することとした。このため、温度上昇に伴う材料の硬化だけでなく、温度低下に伴う材料の粘度の上昇も、抑制することができるので、電池電極スラリーの品質をより的確に安定させることができる。
【0024】
(5) 本発明は、(1)または(2)の電池電極スラリー作製用混練方法について、前記第1のステップが行われる空間と、前記第2のステップが行われる空間と、が連通して閉鎖された空間を形成し、前記空間を減圧または不活性ガスを充満させた状態にする第5のステップを備えることを特徴とする電池電極スラリー作製用混練方法を提案している。
【0025】
この発明によれば、(1)または(2)の電池電極スラリー作製用混練方法において、第1のステップが行われる空間と、第2のステップが行われる空間と、が連通して閉鎖された空間を形成することとした。また、この空間を、減圧または不活性ガスを充満させた状態にすることとした。このため、第1のステップが行われる空間に材料が投入されてから、第2のステップが行われる空間から電池電極スラリーが排出されるまでの間において、材料や電池電極スラリーが大気にさらされてしまうのを抑制することができる。したがって、電池電極スラリーの品質をさらに安定させることができる。
【0026】
(6) 本発明は、(3)または(4)の電池電極スラリー作製用混練方法について、前記第1のステップが行われる空間と、前記第2のステップが行われる空間と、前記第3のステップが行われる空間と、が連通して閉鎖された空間を形成し、前記空間を減圧または不活性ガスを充満させた状態にする第6のステップを備えることを特徴とする電池電極スラリー作製用混練方法を提案している。
【0027】
この発明によれば、(3)または(4)の電池電極スラリー作製用混練方法において、第1のステップが行われる空間と、第2のステップが行われる空間と、第3のステップが行われる空間と、が連通して閉鎖された空間を形成することとした。また、この空間を、減圧または不活性ガスを充満させた状態にすることとした。このため、第1のステップが行われる空間に材料が投入されてから、第3のステップが行われる空間から電池電極スラリーが排出されるまでの間において、材料や電池電極スラリーが大気にさらされてしまうのを抑制することができる。したがって、電池電極スラリーの品質をさらに安定させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、電池電極スラリーの品質を安定に保ちつつ、電池電極スラリーを連続的かつ短時間に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態に係る電池電極スラリー作製用混練装置の概略を示す構成図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る電池電極スラリー作製用混練装置の概略を示す構成図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る電池電極スラリー作製用混練装置が備えるタンクの概略を示す断面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る電池電極スラリー作製用混練装置の概略を示す構成図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る混練部を複数並列に設けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて、詳細に説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0031】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電池電極スラリー作製用混練方法を実現可能な電池電極スラリー作製用混練装置1の概略を示す構成図である。電池電極スラリー作製用混練装置1は、複数の材料としてバインダー、正極活物質、および導電助剤(導電助材)を混練して、リチウムイオン二次電池の正極に用いられる正極スラリーを作製する正極スラリー作製用混練装置である。
【0032】
バインダーは、バインダー供給部11に収容される。バインダー供給部11には、配管21が連通しており、バインダー供給部11は、配管21にバインダーを連続的に供給する。配管21には、混練部14が連通しているとともに、モーノポンプ51が設けられている。モーノポンプ51は、配管21に供給されたバインダーを混練部14に向って付勢する。
【0033】
なお、上述の連続的とは、本実施形態では、時間的に途切れることなく(とめどなく)という意味である。このため、配管21にバインダーを連続的に供給するとは、時間的に途切れることなく(とめどなく)配管21にバインダーを供給するということである。
【0034】
また、バインダーとしては、有機溶剤に溶かして用いるポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの有機溶剤系(非水系)のバインダーを使用することができる。また、水系バインダーとして、水に分散可能であるスチレン・ブタジエンゴム(SBR)や、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステルや、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸や、SBRと併用されるだけでなく近年バインダーとしても注目されているカルボキシメチルセルロース(CMC)などの水系ポリマーや、アルギン酸化合物などを使用することもできる。また、これらを複数種類混合したものを使用することもできる。
【0035】
さらに、バインダーは、溶剤に溶解または分散させて使用することもできる。溶剤としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、トルエン、水などを使用することができ、これらを複数種類混合したものを使用することもできる。これらは、使用する増粘材や活物質の種類および特性に応じて、適宜選択して使用することができる。
【0036】
正極活物質は、正極材供給部12に収容される。正極材供給部12には、配管22が連通しており、正極材供給部12は、配管22に正極活物質を連続的に供給する。配管22には、混練部14が連通しているとともに、重量計53が設けられている。重量計53は、正極材供給部12から混練部14に向かって配管22の内部を流通した正極活物質の重量を計測して、配管22に供給された正極活物質の瞬時供給量を測定し、測定結果を制御部32に送信する。正極材供給部12には、投入された正極活物質を配管22に供給するフィーダー(図示省略)が設けられており、制御部32は、瞬時供給量の変動の有無の確認と、積算供給量の管理と、を行うとともに、重量計53から送信された測定結果に基づいて供給量を決定し、決定した供給量を正極材供給部12のフィーダーに送信する。正極材供給部12のフィーダーは、制御部32から送信された供給量に基づいて、正極活物質を配管22に連続的に供給する。配管22は、鉛直方向に延伸しており、混練部14は、配管22の下端に連通している。このため、配管22に供給された正極活物質は、重力により自由落下して連続的に混練部14に供給されることになる。
【0037】
なお、正極活物質としては、一般式LiMO(Mは、Ni、Co、Fe、Mn、Si、Alの中から選ばれる1種以上の元素であり、xは0<x<1.5を満たすものとする)などの層状構造・スピネル構造を有する物質や、一般式LiAPO(Aは、Ti、Zn、Mg、Co、Mnの中から選ばれる1種以上の金属元素であり、xは0<x≦1.2を満たすものとする)などのオリビン型構造を有する物質などを使用することができる。特に、オリビン型リン酸鉄リチウムを有する物質である、一般式LiFe(1−y)PO(ただし、xは0<x≦1を満たし、yは0<y≦1を満たし、AはTi、Zn、Mg、Co、Mnの中から選ばれる一種の金属元素であるものとする)で表わされるリチウムリン酸金属化合物を使用することが望ましい。また、リチウムリン酸金属化合物の表面にカーボンが被覆された粒子、または、この粒子の凝集体を使用することもできる。
【0038】
導電助剤は、導電助剤供給部13に収容される。導電助剤供給部13には、配管23が連通しており、導電助剤供給部13は、配管23に導電助剤を連続的に供給する。配管23には、混練部14が連通しているとともに、重量計54が設けられている。重量計54は、導電助剤供給部13から混練部14に向かって配管23の内部を流通した導電助剤の重量を計測して、配管23に供給された導電助剤の瞬時供給量を測定し、測定結果を制御部32に送信する。導電助剤供給部13には、投入された導電助剤を配管23に供給するフィーダー(図示省略)が設けられており、制御部32は、瞬時供給量の変動の有無の確認と、積算供給量の管理と、を行うとともに、重量計54から送信された測定結果に基づいて供給量を決定し、決定した供給量を導電助剤供給部13のフィーダーに送信する。導電助剤供給部13のフィーダーは、制御部32から送信された供給量に基づいて、導電助剤を配管23に連続的に供給する。配管23は、鉛直方向に延伸しており、混練部14は、配管23の下端に連通している。このため、配管23に供給された導電助剤は、重力により自由落下して連続的に混練部14に供給されることになる。
【0039】
なお、導電助剤としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンブラックなどのカーボン粉体を使用することができる。また、これらを複数種類混合したものを使用することもできる。
【0040】
以上より、混練部14には、モーノポンプ51により付勢されたバインダーが適切な分量で連続的に供給されるとともに、重力により自由落下して正極活物質および導電助剤がそれぞれ適切な分量で連続的に供給されることになる。
【0041】
混練部14は、連続的に供給されるバインダー、正極活物質、および導電助剤を、逐次、混練して正極スラリーとして連続的に排出する。混練部14には、配管24およびフィルタ18を介してコーター19が連通しており、混練部14から連続的に排出された正極スラリーは、モーノポンプ51からバインダーへの付勢力と、混練部14からの吐出力と、により、配管24およびフィルタ18を介してコーター19に連続的に供給される。
【0042】
以上によれば、混練部14は、バインダー、正極活物質、および導電助剤の混練を行いつつ、これら材料の連続的な受け入れと、コーター19への正極スラリーの連続的な供給と、を行う。すなわち、混練部14は、正極スラリーをコーター19へ連続的に供給することと、新たに供給された材料を連続的に混練することと、を並行して行う。
【0043】
なお、正極スラリーの温度が低下し過ぎると、正極スラリーの粘度が高くなり過ぎてしまう。一方、正極スラリーの温度が上昇し過ぎると、フィブリル化(硬化)や分離といった変質がバインダーに発生してしまう。
【0044】
そこで、図1に示すように、配管24には、温度センサ61が設けられている。温度センサ61は、混練部14から排出された正極スラリーの温度を計測し、計測結果を温度制御部71に送信する。
【0045】
温度制御部71は、温度センサ61により計測された正極スラリーの温度に応じて、混練部14で混練されている材料の温度を、バインダーの硬化温度より低く、かつ、正極スラリーの粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御する。具体的には、温度制御部71は、混練部14を取り囲む温度制御用ジャケットを含んで構成される。温度制御用ジャケットは冷却水や温水が循環可能になっており、冷却水あるいは温水を温度制御用ジャケット内に流すことで混練部14を冷却あるいは加熱して、混練部14内の正極スラリーの温度を所望の温度に整えることができる。
【0046】
なお、混練部14からコーター19まで距離が長いと、配管24の長さが長くなり、配管24の内部を流れる正極スラリーの温度が変化しやすくなる場合がある。そこで、この場合には、冷却用のジャケットや加熱用のジャケットを配管24に取り付けて、配管24の内部を流れる正極スラリーの温度を、バインダーの硬化温度より低く、かつ、正極スラリーの粘度が所定の許容値を超える温度よりも高くすることが好ましい。
【0047】
フィルタ18は、混練部14からコーター19に向かって配管24の内部を流通する正極スラリーに含まれる不純物を除去する。フィルタ18により除去される不純物としては、気泡や、未分散の凝集塊などがある。
【0048】
コーター19は、フィルタ18により不純物の除去された正極スラリーを、集電体に塗布する。集電体としては、金属箔のように電気伝導性を有するものであれば使用することができ、材質や形状や大きさには特に制限がない。好ましくは、アルミニウム箔または銅箔を使用することが望ましい。
【0049】
なお、バインダー供給部11、正極材供給部12、および導電助剤供給部13のそれぞれを初端とし、コーター19を終端とし、これらが連通して形成される空間は、密閉されており、この空間には空間制御部31が連通している。空間制御部31は、上述の空間を、減圧または不活性ガスを充満させた状態にする。不活性ガスとしては、例えば窒素を使用することができる。
【0050】
以上の電池電極スラリー作製用混練方法は、以下の効果を奏することができる。
【0051】
本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法は、混練部14に、バインダー供給部11および配管21によりバインダーを供給し、正極材供給部12および配管22により正極活物質を供給し、導電助剤供給部13および配管23により導電助剤を供給し、混練部14により、供給された複数の材料を混練し、配管24により、混練された正極スラリーをコーター19に供給する。このため、混練部14は、複数の材料の混練を行いつつ、これら複数の材料の受け入れと、混練した材料のコーター19への供給と、を行うことができる。すなわち、混練部14は、混練済みの材料をコーター19へ供給することと、新たに供給される複数の材料を混練することと、を並行して行うことができる。したがって、コーター19への材料の供給を連続的に行うことができる。
【0052】
また、本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法は、上述のようにコーター19への正極スラリーの供給を連続的に行うことができるので、従来のように大釜を取り替える必要がなくなるので、電池電極スラリー作製用混練装置1における正極スラリーの温度管理を容易に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法は、上述のようにコーター19への正極スラリーの供給を連続的に行うことができるので、大量の材料を一度に混練する必要がない。このため、大量の正極スラリーが一度に作製されることがなくなるので、正極スラリーの温度が、一度に作製された大量の正極スラリーの中でばらついてしまうのを抑制することができる。したがって、品質の安定した正極スラリーの作製を実現することができる。
【0054】
また、本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法は、温度センサ61により、混練部14から排出された正極スラリーの温度を計測し、温度制御部71により、混練部14で混練されている材料の温度を、バインダーの硬化温度より低くなるように制御する。このため、正極スラリーの温度がバインダーの硬化温度以上になってしまうのを防止することができる。したがって、電池電極スラリー作製用混練装置1の故障を防止することができるとともに、正極スラリーの品質をさらに安定させることができる。
【0055】
また、本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法は、温度制御部71により、混練部14で混練されている材料の温度を、バインダーの硬化温度より低く、かつ、正極スラリーの粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御する。このため、温度上昇に伴う正極スラリーの硬化と、温度低下に伴う正極スラリーの粘度の上昇と、を抑制することができるので、正極スラリーの品質をさらに安定させることができる。
【0056】
また、本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法は、モーノポンプ51により、配管21により輸送されるバインダーを付勢するとともに、混練部14から正極スラリーを排出する。このため、モーノポンプ51による付勢力や、混練部14からの吐出力により、電池電極スラリー作製用混練装置1に設けられた各構成における材料や排出物が、電池電極スラリー作製用混練装置1内を移送されることになる。したがって、正極スラリーの作製に人手は不要であり、混練の工程全体を自動化することができる。
【0057】
また、本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法では、混練部14は、連続的に供給されるバインダー、正極活物質、および導電助剤を、逐次、混練して正極スラリーとして連続的に排出する。さらに、混練部14の単位時間当たりの処理量は、混練部14に供給される複数の材料の単位時間当たりの総量に等しいものとする。このため、混練部14に供給される複数の材料の単位時間当たりの総量と、混練部14が排出する正極スラリーの単位時間当たりの総量とは、等しくなる。したがって、混練部14に供給された複数の材料を、配管21から23でも混練部14でも滞留させることなく、コーター19へ連続的に移送することができる。
【0058】
また、本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法では、バインダー供給部11、正極材供給部12、および導電助剤供給部13のそれぞれを初端とし、コーター19を終端とし、これらが連通して形成される空間は、密閉されている。このため、バインダー供給部11、正極材供給部12、および導電助剤供給部13に各材料が投入されてから、コーター19により正極スラリーが集電体に塗布されるまでの間において、これら材料や正極スラリーが大気にさらされてしまうのを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法では、上述の密閉されている空間に、空間制御部31が連通している。このため、この空間を、減圧させた状態にしたり、不活性ガスを充満させた状態にしたりすることができる。したがって、この空間内部で、材料や正極スラリーが大気にさらされてしまうのを抑制することができる。したがって、正極スラリーの品質をさらに安定させることができる。
【0060】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る電池電極スラリー作製用混練方法を実現可能な電池電極スラリー作製用混練装置1Aの概略を示す構成図である。電池電極スラリー作製用混練装置1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る電池電極スラリー作製用混練装置1とは、タンク41、配管28、およびモーノポンプ58を備える点が異なる。なお、電池電極スラリー作製用混練装置1Aにおいて、電池電極スラリー作製用混練装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
タンク41は、混練部14に連通する配管24と連通している。このタンク41は、配管24を介して混練部14から連続的に供給される正極スラリーを貯留する。
【0062】
タンク41には、配管28が連通しており、タンク41は、貯留している正極スラリーを配管28に連続的に供給する。配管28には、コーター19が連通しているとともに、モーノポンプ58およびフィルタ18が設けられている。タンク41は、貯留している正極スラリーを配管28に連続的に供給し、モーノポンプ58は、配管28に供給された正極をコーター19に向って付勢する。タンク41の構成の一例を、図3を用いて以下に説明する。
【0063】
図3は、タンク41の概略を示す断面図である。タンク41は、モーター411、攪拌部412、およびケース413を備える。攪拌部412は、いわゆるアンカー型攪拌翼であり、回転軸4121および攪拌翼4122を備える。回転軸4121は、回転軸4121の長手方向の中心線を回転軸として、モーター411により回転駆動され、回転軸4121が回転すると、攪拌翼4122も回転する。タンク41は、モーター411を駆動して攪拌翼4122を回転させることで、貯留している正極スラリーを攪拌する。なお、正極スラリーは、タンク41の側面に設けられた搬入口(図示省略)からタンク41の内壁をつたってタンク41内に入る。これは、タンク41の上方から入ることによって、正極スラリーに気泡が含まれてしまうのを避けるためである。また、タンク41に貯留されている正極スラリーは、タンク41の底面に設けられた排出口(図示省略)から排出される。
【0064】
本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法によれば、第1実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0065】
混練部14には、バインダー供給部11、正極材供給部12、および導電助剤供給部13のそれぞれからバインダー、正極活物質、および導電助剤が予め定められた配合比で供給されてはくる。しかし、フィーダーのタイミング、計量誤差、搬送に基づく影響(搬送速度、搬送タイミング、搬送量など)などにより、僅かではあるが、混練部14で混練されて連続的に排出される正極スラリーの品質にばらつきが生じてしまうことがある。しかし、電池電極スラリー作製用混練装置1Aは、混練部14とコーター19との間にタンク41を備える。このため、混練部14で混練されて連続的に排出される正極スラリーは、タンク41で貯留された後に、コーター19に供給される。したがって、混練部14で混練された正極スラリーは、タンク41で貯留されている間に混ざり合うので、コーター19に供給された時点での正極スラリーの品質のばらつきは、混練部14から排出された時点での正極スラリーの品質のばらつきと比べて、小さくなる。よって、正極スラリーの品質を安定させることができる。
【0066】
また、本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法では、タンク41に、貯留している正極スラリーを攪拌する攪拌部412が設けられている。このため、混練部14で混練された正極スラリーは、タンク41で貯留されている間にさらに混ざり合うので、混練により分散させた、正極スラリーを構成する材料が分離してしまうことなく、正極スラリーを複数の材料が混練された状態に維持することができ、正極スラリーの品質をさらに均一にすることができる。
【0067】
また、本実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法では、混練部14とコーター19との間にタンク41が設けられているので、混練部14の処理量と、コーター19の処理量と、が異なっていても、タンク41をいわゆるバッファとして利用することができ、コーター19の処理量に等しい量の正極スラリーをコーター19に供給することができる。具体的には、混練部14の処理量が、コーター19の処理量よりも少ない場合、その差分をタンク41に貯留されている正極スラリーで補って、コーター19の処理量に等しい量の正極スラリーをコーター19に供給することができる。また、混練部14の処理量が、コーター19の処理量よりも多い場合、その差分をタンク41に貯留して、コーター19の処理量に等しい量の正極スラリーをコーター19に供給することができる。このため、混練部14により混練された正極スラリーを連続的にコーター19に供給しつつ、作製する正極スラリーの目標量や、清掃といったメンテナンス状況などに応じて、適宜、混練部14とコーター19とを独立して駆動させることができる。
【0068】
なお、温度制御部71は、温度センサ61により計測された正極スラリーの温度に応じて、タンク41に貯留されている正極スラリーの温度を、バインダーの硬化温度より低く、かつ、正極スラリーの粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御することとしてもよい。この場合、例えば冷却用のジャケットや加熱用のジャケットを、タンク41に取り付ければよい。
【0069】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【0070】
例えば、上述の各実施形態では、混練部14の1つの混練部が設けられている場合について説明した。しかし、2つ以上の混練部が直列に接続されていてもよい。
【0071】
また、上述の各実施形態では、正極スラリーを例を説明したが、本発明は、これに限らず、例えば負極スラリーに対して適用することもできる。
【0072】
また、上述の第1実施形態では、温度センサ61により、混練部14から排出された正極スラリーの温度を計測するものとした。しかし、これに限らず、図4に示すように混練部14で混練されている材料の温度を計測するものとしてもよい。
図4は、温度センサ61を混練部14Aに設けた電池電極スラリー作製用混練装置1Bの概略を示す構成図である。この電池電極スラリー作製用混練装置1Bでは、温度センサ61により、混練部14で混練されている材料の温度を計測し、温度制御部71により、温度センサ61により計測された材料の温度に応じて、混練部14で混練されている材料の温度を、バインダーの硬化温度より低く、かつ、正極スラリーの粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御する。
以上の電池電極スラリー作製用混練装置1Bによる電池電極スラリー作製用混練方法は、第1実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法や、第2実施形態における電池電極スラリー作製用混練方法と、同様の効果を奏することができる。
【0073】
また、上述の第1実施形態では、温度制御部71により、混練部14で混練されている材料の温度を、バインダーの硬化温度より低く、かつ、正極スラリーの粘度が所定の許容値を超える温度よりも高い温度に制御するものとした。しかし、これに限らず、例えば、バインダー供給部11に収容されているバインダーや、配管21の内部を流通するバインダーの温度や、配管24の内部を流通する正極スラリーの温度を、上述のように制御するものとしてもよい。
【0074】
また、上述の第1実施形態では、バインダー供給部11から混練部14へのバインダーの供給を、モーノポンプ51により行うものとした。しかしこれに限らず、例えば、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、デラスコポンプ、ギヤーポンプ、ベーンポンプなどを用いることもできる。また、バインダー供給部11を混練部14よりも高い位置に設け、重力を利用してバインダーに圧力を付勢することで、バインダー供給部11から混練部14へのバインダーの供給を行うものとしてもよい。なお、重力を利用する場合でも、供給する材料の供給量を制御するために、配管21にモーノポンプ51を設けておくことが好ましい。
【0075】
また、上述の第1実施形態では、混練部14は、1つ設けられるものとしたが、これに限らず、例えば図5に示すように、複数(図5では2つ)が並列に設けられるものとしてもよい。この場合、温度センサ61は、図5に示すように、複数の混練部14の後段にまとめて1組だけ設けられ、各混練部14からそれぞれ排出されて合わせられた正極スラリーの温度を温度センサ61にて計測し、この計測結果が送信された温度制御部71によりそれぞれの混練部14内の正極スラリーの温度が整えられる。これによれば、作製する正極スラリーの目標量や、清掃といったメンテナンス状況に応じて、複数の混練部14のそれぞれを独立して駆動させることができる。また、複数の混練部14からの排出物を一括で制御するため、少ないコストでの排出物の温度制御を実現できる。
【0076】
また、上述の第1実施形態では、バインダー供給部11、正極材供給部12、および導電助剤供給部13のそれぞれから、すなわち異なる構成から、バインダー、正極活物質、および導電助剤のそれぞれが供給されるものとした。しかし、これに限らず、バインダー、正極活物質、および導電助剤のそれぞれが、同一の構成から供給されるものとしてもよい。
【0077】
また、上述の第1実施形態では、モーノポンプ51は、配管21に設けられるものとした。しかし、これに限らず、配管24に設けられるものとしてもよく、また、配管21、24のうち複数に設けられるものとしてもよい。配管24に設ける場合には、付勢手段として、圧力などによりスラリーを吸引するようにして付勢する構成を設けることが好ましい。さらに、配管24に設ける場合には、最初の正極スラリーが混練部14から排出されるまで、配管21に設けられたモーノポンプ51によりバインダーを付勢させたり、混練部14にある程度の付勢力を有する構成を設けて材料を付勢させたりすることが好ましい。このように付勢させることで、電池電極スラリー作製用混練装置1内における材料やスラリーの移送をよりスムーズに行うことができる。
【0078】
また、温度制御用ジャケットを用いずに、冷却水や温水を循環可能な空間を混練部14の内部に形成し、この空間内に冷却水や温水を流すようにしてもよい。
【0079】
また、温度制御用ジャケットを用いずに、温度制御部71の制御により、混練部14において材料を混練するローターの回転速度を変える(高温時には回転速度を遅くして発熱を抑え、低温時には回転速度を速めて発熱を促す)ようにして、正極スラリーの温度を所望の温度に整えるようにしてもよい。なお、上述のローターの回転速度を可変にすることによって混練対象の材料群が混練処理を受ける時間にばらつきが生じないように、ローターの回転速度の変更に伴って温度制御部71によりモーノポンプによる付勢力を調整するようにしてもよい。モーノポンプによる付勢力が可変になることから材料の移動速度がばらつく場合は、混練部14の排出側にタンク41のような貯留手段を設けて混練部14から排出される正極スラリーを貯留し、所望の付勢力を与えるようなモーノポンプにより、貯留した正極スラリーを排出するようにすればよい。
【0080】
また、上述の各実施形態では、温度制御用ジャケットに冷却水または温水を流すこととしたが、これに限らず、例えば冷却風や温風を流してもよい。
【0081】
また、上述の各実施形態では、混練部14には、3種類の材料が供給されるものとしたが、これに限らず、例えば2種類の材料や、4種類の材料が供給されるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1、1A、1B;電池電極スラリー作製用混練装置
11;バインダー供給部
12;正極材供給部
13;導電助剤供給部
14;混練部
18;フィルタ
19;コーター
21から24;配管
31;空間制御部
32;制御部
41;タンク
51、58;モーノポンプ
61;温度センサ
71;温度制御部
図1
図2
図3
図4
図5