(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ゼラチン、可塑剤、並びにメルカプト基を有する化合物としてシステイン、グルタチオン、及びシステアミンから選ばれる少なくとも一種を含有するカプセル皮膜組成物であって、
前記カプセル皮膜組成物中において、前記メルカプト基を有する化合物が、ゼラチン100gに対し、0.15mmol以上且つ35mmol以下配合されているカプセル皮膜組成物。
前記メルカプト基を有する化合物は、システイン、グルタチオン、及びシステアミンから選ばれる少なくとも一種を含む天然素材が用いられる請求項1に記載のカプセル皮膜組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のカプセル皮膜組成物を具体化した実施形態を説明する。本実施形態のカプセル皮膜組成物の主成分であるゼラチンは、牛、豚、魚、鳥等を由来とするコラーゲンの加熱分解物であり、造膜性及びゲル化性を有した類い希な物質である。すなわちゼラチンは、例えば40重量%程度の高濃度の水溶液であっても流動性に優れるため、成型性、例えばカプセル成型性及び造膜性に優れている。従って、ゼラチンを皮膜基材とするカプセルは、その内容物を好適に保護することができる。またゼラチンは、温度に応じて可逆的にゾルゲル転移するゲル化性を有しているため、そのゾルゲル転移を利用してカプセルを容易に成型することができる。ゼラチンは、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、ペプチドゼラチン等のいずれも使用することができる。これらのゼラチンの具体例のうち、1種のみを単独で使用してもよいし、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。ゼラチンの含有量は、成型性及び強度の向上の観点から適宜設定可能であるが、カプセル皮膜組成物の水以外の固形分中において、ゼラチンの含有量の下限は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。30質量%以上とすることにより、強度をより向上させることができる。ゼラチンの含有量の上限は、固形分中において、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%以下とすることにより、成型性をより向上させることができる。
【0011】
可塑剤は、カプセル皮膜組成物によって得られるカプセルの柔軟性をより向上させるために配合される。可塑剤としては、例えば多価アルコール、糖類等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば糖アルコール、グリセリン類、及びグリコール類が挙げられる。糖アルコールの具体例としては、例えばエリトリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、シクリトール、アルジトール、還元水飴等が挙げられる。グリセリン類の具体例としては、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。グリコール類の具体例としては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、イソペンチルジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。糖類の具体例としては、例えばグルコース、フルクトース、スクロース等が挙げられる。これらの可塑剤の具体例のうち、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中で、強度の向上の観点から、グリセリンが好ましく適用される。
【0012】
可塑剤の含有量は、成型性及び柔軟性の向上の観点から適宜設定可能であるが、固形分中における可塑剤の含有量の下限は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。含有量の下限を10質量%以上とすることにより、柔軟性をより向上させることができる。固形分中における可塑剤の含有量の上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。含有量の上限を50質量%以下とすることにより、成型性をより向上させることができる。
【0013】
また、ゼラチン100質量部に対する可塑剤の含有量の下限は、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。含有量の下限を20質量部以上とすることにより、柔軟性をより向上させることができる。また、ゼラチン100質量部に対する可塑剤の含有量の上限は、好ましくは65質量部以下、より好ましくは55質量部以下である。含有量の下限を65質量部以下とすることにより、成型性をより向上させることができる。
【0014】
メルカプト基を有する化合物は、カプセル皮膜成分と内包成分の反応を抑制し、カプセルの崩壊性を向上させるために配合される。メルカプト基を有する化合物の具体例としては、例えばシステイン、グルタチオン、システアミン、コエンザイムA、それらの誘導体等が挙げられる。コエンザイムAの誘導体の具体例としては、例えばアセチルCoA、スクシニルCoA等が挙げられる。これらのメルカプト基を有する化合物の具体例のうち、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でカプセル皮膜組成物の崩壊遅延を抑制する効果が高く、入手が容易である観点からシステイン、及びグルタチオンが好ましく適用される。
【0015】
メルカプト基を有する化合物の配合形態としては、特に限定されず、例えばメルカプト基を有する化合物を含有する天然素材を配合してもよく、かかる天然素材から抽出処理して得られた抽出物(エキス)、精製品等を適用してもよい。また、生化学品、化学合成品、市販品等から得られたメルカプト基を有する化合物そのものを配合してもよい。システインを多く含有する天然素材としては、赤唐辛子、ニンニク、タマネギ、ブロッコリー、芽キャベツ、オーツ麦、小麦胚芽、システインの含有量を増加させた酵母又は植物体等が挙げられる。グルタチオンを多く含有する天然素材としては、例えばホウレンソウ、キャベツ、カボチャ、レバー、マダラ、グルタチオンの含有量を増加させた酵母又は植物体等が挙げられる。
【0016】
カプセル皮膜組成物中におけるメルカプト基を有する化合物の含有量の下限は、ゼラチン100gに対し、0.15mmol以上、好ましくは0.4mmol以上、より好ましくは0.8mmol以上である。ゼラチン100gに対し、0.15mmol以上配合することにより、カプセル皮膜成分と内包成分との反応を抑制し、カプセルの崩壊性の低下をより抑制することができる。
【0017】
カプセル皮膜組成物中におけるメルカプト基を有する化合物の含有量の上限は、適宜設定されるが、ゼラチン100gに対し、好ましくは35mmol以下、より好ましくは25mmol以下である。ゼラチン100gに対し、35mmol以下配合することにより、カプセル皮膜組成物のシート成型性又はカプセルの製造時の成型性の低下を抑制することができる。
【0018】
本実施形態のカプセル皮膜組成物は、製造時に水を適量添加してもよい。製造時の水の添加量は、固形成分の比率、種類、粘度、混合性、製造装置、及び皮膜の乾燥効率等を考慮して適宜設定される。カプセル皮膜組成物の固形分100質量部に対する水の添加量の下限は、好ましくは30質量部以上、より好ましくは45質量部以上、さらに好ましくは60質量部以上である。一方、水の添加量の上限は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。
【0019】
次に、本実施形態のカプセル皮膜組成物の作用及び製造方法について記載する。
本実施形態のカプセル皮膜組成物の製造方法は、まず上記各種原料を配合し、所定温度(好ましくは加熱条件)で均一に混練することにより原料混合液(調合液)を得る工程が行われる。次に、公知の製造装置を用いてシート状に成型し、乾燥する工程を経ることにより製造することができる。
【0020】
さらに、本実施形態のカプセル皮膜組成物を用いたカプセルの製造方法は、公知の方法を適宜採用することができる。また、カプセル皮膜組成物は、ソフトカプセル用皮膜に限らずハードカプセル用皮膜及びシームレスカプセル用皮膜等に適用してもよい。例えば、本実施形態のカプセル皮膜組成物をソフトカプセルに適用する場合、ソフトカプセル皮膜調合液を製造する工程、及びソフトカプセル皮膜調合液をシート状に成型するとともに、充填成分を内包する工程からなる。充填成分の内包工程は、例えば、生産効率の高く、比較的多くの量の内容物を内包することができる打ち抜き法を採用することができる。打ち抜き法は、前記ソフトカプセル皮膜調合液からゲル状シートを作成し、金型でカプセル形状に打ち抜くことによって製造する方法である。より具体的には内容物を充填しながらソフトカプセルを成型するロータリーダイ法を挙げることができる。尚、ロータリーダイ法は、ゲル状シートが二つの円筒型成型ダイロールの回転によって打ち抜かれ、同時にポンプにより内溶液が充填される成型方法であって、カプセルの継ぎ目がダイロールの圧力・熱によって圧着されて密閉される方法である。ロータリーダイ法は、公知の装置、例えばロータリーダイ式カプセル充填機により実施することができる。
【0021】
本実施形態のカプセル皮膜組成物が適用される分野は、特に限定されず、飲食品、医薬品、化粧品等の各分野において好ましく適用することができる。また、カプセル皮膜組成物に内包されるカプセル充填成分が液体であっても粉末状等の固体であってもよい。また、カプセルに充填(内包)される内容物としては、特に限定されず健康食品、特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメント等の食品成分、特定の効能・効果の発揮を目的とする医薬品成分等、化粧品成分等の種々の有効成分が挙げられる。
【0022】
内容物の具体例としては、特に限定されないが、例えばポリフェノール類、不飽和脂肪酸、それらの成分を含む天然素材等が好ましく適用される。ポリフェノール類としては、フラボノイド、フェノール酸等が挙げられる。不飽和脂肪酸の具体例としては、α−リノレン酸、ステアリドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等のω3脂肪酸の多価不飽和脂肪酸、リノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸等のω6脂肪酸の多価不飽和脂肪酸、ω9脂肪酸の一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸等が挙げられる。天然素材の具体例としては、例えば野菜、果実、種子等の植物、プラセンタ、肝臓等の動物、酵母、乳酸菌、スピルリナ等の微生物、プロポリス、ローヤルゼリー等の養蜂産物、及びそれらのエキス成分、各種発酵食品、魚油等が挙げられる。これらの素材は、特にカプセル皮膜組成物を構成する成分と反応しやすく、カプセルの水に対する崩壊性を経時的に低下させていた。本実施形態のカプセル皮膜組成物は、メルカプト基を有する化合物を含有するため、ポリフェノール類や不飽和脂肪酸と、カプセル皮膜組成物を構成する成分との反応を抑制することができる。それにより、カプセル皮膜の崩壊性を低下させることなく、ポリフェノール類又は不飽和脂肪酸をカプセルに充填し、保存することができる。
【0023】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態のカプセル皮膜組成物は、ゼラチン、可塑剤、及びメルカプト基を有する化合物を含有する。したがって、カプセルの水に対する崩壊性を向上させることができる。
【0024】
従来より、カプセル皮膜組成物は、内容物中の成分と反応して架橋構造となり、水に対する崩壊性が経時的に低下するという問題があった。例えば、内容物としてポリフェノール含有素材や不飽和脂肪酸を内包する場合、皮膜の崩壊遅延は特に顕著であった。内容物としてポリフェノール含有素材や不飽和脂肪酸が適用された場合であっても、カプセルの水に対する崩壊性を向上させることができる。
【0025】
(2)本実施形態のカプセル皮膜組成物は、メルカプト基を有する化合物を、ゼラチン100gに対し、0.15mmol以上配合する。したがって、カプセルの水に対する崩壊性の低下抑制作用を効果的に発揮することができる。
【0026】
(3)本実施形態のカプセル皮膜組成物は、メルカプト基を有する化合物の配合量が、ゼラチン100gに対し、35mmol以下の場合、カプセル皮膜組成物をシート状に成型する際の製膜性、又はカプセル形状に成型する際の成型性の低下を抑制できる。より具体的には、カプセル皮膜組成物を調合する際の調合液の粘度上昇を抑制することができる。
【0027】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・成型又は内容物が充填されたカプセルは、瓶詰め包装、PTP包装、パウチ等の包装形態で包装されて保存してもよい。
【0028】
・カプセル皮膜組成物の膜厚は、カプセルの目的・用途等に応じ適宜設定される。例えば前記カプセル皮膜組成物の膜厚は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.4mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上である。一方、前記カプセル皮膜組成物の膜厚は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下である。前記カプセル皮膜組成物の膜厚をかかる範囲に規定することにより、成型性及び強度保持をより向上させることができる。
【0029】
・カプセル皮膜組成物により成型されるカプセルの形状は特に限定されないが、断面形状又は外形が、例えば、楕円型、長楕円型、球型、しずく型、涙型、及び三角型が挙げられる。
【0030】
・カプセル皮膜組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、通常カプセル皮膜組成物の製造に用いられるその他の公知の添加剤を適宜配合してもよい。
【実施例】
【0031】
以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例13は、参考例13に置き換えるものとする。
<試験例1:カプセル皮膜組成物の崩壊性試験>
(カプセル皮膜組成物の製造)
表1,2に示す各成分を含有する、カプセル皮膜組成物をそれぞれ調製した。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量部である。表1中の酵母エキスの含有量は、表2に示される原料そのものの配合量を示す。
【0032】
具体的には、まず、水(熱湯)に表1に示されるゼラチン以外の原料を入れ、必要に応じて70℃ウォーターバスで溶解させながら、良く撹拌した。次に、ゼラチンを加え、撹拌したのち、80℃まで加熱して、溶解させた後、脱泡を行うことにより、粘稠なソフトカプセル皮膜調合液を調製した。次に、コントロールコーター(井元製作所社製)を用いた皮膜成型工程により、ソフトカプセル皮膜調合液を厚さ1.0mmのシート状に成型し、皮膜水分が約10質量%になるまで静置乾燥させることにより、シート状のカプセル皮膜組成物を製造した。シートを1cm四方にカットすることにより各例の試験片を得た。
【0033】
(崩壊性試験)
まず、シャーレにビルベリーエキス高配合のソフトカプセル内容液(植物油43.4質量%、乳化剤とミツロウの混合物8.4質量%、ビルベリーエキス末48.2質量%:合計100質量%)を入れ、そこに各試験片を浸し、50℃の恒温槽で保管した。次に、4日後又は7日後に各試験片を取り出し、表面の薬液を拭き取った。次に、ビーカー内に70℃の温水と試験片を入れ、スターラーで900rpmで7分間撹拌した。
【0034】
スターラーで7分撹拌後の試験片の不溶物の残渣を目視により観察し、下記の基準により評価した。不溶物が全くない場合を◎、不溶物の残渣が少量(例えば細い糸状の不溶物)認められる場合を○、不溶物の残渣がやや多く(例えば毛糸状の不溶物)認められる場合を△、不溶物が大量(例えば膜状の不溶物)に認められる場合を×とした。結果を表1に示す。
【0035】
(皮膜性状(粘度)の評価)
従来より、調合液の粘度が低下したり、シート作成直後の表面がべたつく場合、ロータリーダイ式カプセル充填機でカプセルを成型した際に、皮膜強度が不足して切れてしまったり、形状が崩れたり、接着強度が弱くなったり、カプセル成型性が低下する場合があった。本実施形態の構成により、ゼラチンの加水分解等により発生すると考えられる調合液の粘度低下を抑制することにより、皮膜表面のべたつきを抑制したり、シート表面の乾燥時間の短縮を図ることができる。
【0036】
皮膜調合液の粘度及びシート状の製膜した直後の表面のべたつきを確認し、下記基準により皮膜性状について評価した。皮膜調合液の粘度が十分であり、シート表面もべたつかない場合を○、皮膜調合液の粘度に低下が見られるが、シート表面はべたつかない場合を△、皮膜調合液の粘度が大幅に低下し、シート表面がべたつく場合を×とした。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
表1の各実施例に示されるように、メルカプト基を有する化合物をカプセル皮膜組成物に添加することにより、崩壊性の向上が確認された。メルカプト基を有する化合物の代わりに、メルカプト基を有する化合物と同様に還元性を示すことが知られているビタミンCを1質量部添加した比較例3は、崩壊性の改善効果は得られなかった。また、皮膜性状の低下が認められた。
【0039】
<試験例2:グルタチオン含有量を変化させた場合の崩壊性及び製膜性試験>
表3に示す各成分を含有する、カプセル皮膜組成物からなる試験片をそれぞれ製造した。試験片の製造方法は、上記試験例1と同様の方法を採用した。各試験片を用い、上記試験例1と同様に崩壊性試験を行った。結果を表3に示す。
【0040】
(製膜性の評価)
厚さ1.0mmのシート状に成型する際の製膜性について、下記の基準に従い評価した。調合液の流動性が良く均一なシートが成型できる場合を○、調合液の流動性が低下していたが、均一なシートが成型できた場合を△、調合液が高粘稠になり、均一なシートが成型できない場合を×とした。結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
表3に示されるように、グルタチオンの含有量が0.098mmol/ゼラチン100gの場合、崩壊性が得られないことが確認された。一方、グルタチオンの含有量が39mmol/ゼラチン100gの場合、崩壊性は得られるが、良好な製膜性が得られないことが確認された。
【0042】
<試験例3:内容物の種類を変化させた場合の崩壊性試験>
試験片を浸すソフトカプセルの内容液の種類を変えて崩壊性試験を行った。表4に示す各成分を含有する、ソフトカプセル内溶液をそれぞれ調製した。なお、表4における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。使用する試験片としては、実施例1及び比較例1のカプセル皮膜組成物から得られた試験片を使用した。その他の試験方法は、試験例1の崩壊性試験と同様に行った。結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
表4に示されるように、内容物がプロポリス抽出物(ポリフェノール含有組成物)、DHA(不飽和脂肪酸)であっても、本実施例のカプセル皮膜組成物を使用することにより崩壊性が改善されることが確認された。
【0044】
<試験例4:カプセルに成型した際の崩壊性試験>
シート状のカプセル皮膜組成物より、カプセルを成型した後、カプセルの崩壊性について評価した。試験例1において作成された実施例1及び比較例1の各カプセル皮膜組成物を使用し、ロータリーダイ法により、ソフトカプセルを製造した。金型として、OVAL−6を使用した。ロータリーダイ式カプセル充填機(三協社製)を用いて、内容物として試験例1で使用したビルベリーエキス高配合のソフトカプセル内容液を300mg内包しながら膜厚1.0mmのソフトカプセルを作製した。作成された各例のソフトカプセルについて、40℃・75%RHの恒温・恒湿槽で保管した。保管前、保管期間2週間、及び1ヶ月間において、それぞれのカプセルについて、下記に示す方法に従いカプセル崩壊性を評価した。
【0045】
(カプセル崩壊性)
日本薬局方第16改正の一般試験法記載の6.09崩壊試験法に準じて行った。但し、試験液としては、水を使用した。崩壊試験機として、富山産業社製NT−20HSを使用した。各例のカプセル剤1粒を試験液(900mL)に投入し、ガラス管内に補助盤を入れて試験を行った。試験時間を測定し、試験開始から120分で崩壊しない場合は「不溶」とした。結果を表5に示す。
【0046】
【表5】
表5に示されるように、実施例1のカプセル皮膜組成物を使用して実際にソフトカプセルに成型した場合においても、崩壊性が改善されることが確認された。
【0047】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)前記メルカプト基を有する化合物を酵母又は酵母エキスとして配合する前記カプセル皮膜組成物。かかる(イ)の構成によれば、入手が容易であり、生体摂取の適用性もより向上させることができる。