(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相互に対向する開口を有する枠と、前記相互に対向する開口を塞ぐように前記枠に張られた網状部材と、前記枠と前記網状部材とで包囲され、粒径が前記網状部材の網目よりも大きな複数の粉末粒子で構成された非蒸発型ゲッター粉末材料とを備え、前記粉末粒子がほぼ球形で前記網目に対して大きさが揃った合金からなる複数の非蒸発型ゲッターと、
複数の前記非蒸発型ゲッターの前記粉末材料を活性化するヒータと、
を有することを特徴とする非蒸発型ゲッターポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
以下の説明では、非蒸発型ゲッター(Non-Evaporable Getter)をNEGと表記し、非蒸発型ゲッター粉体をNEG粉体と表記し、非蒸発型ゲッターポンプをNEGポンプと表記する。
【0022】
(予備的事項)
本発明の実施の形態を説明する前に、本発明に関連する予備的事項について説明する。
【0023】
本願出願人は、NEG粉体(NEG粉末材料)を固めないでそのまま用いても、NEG粉体の飛散を防ぐことができ、かつ取り扱い易い形態のNEGやNEGポンプを発明した(特許文献3)。
【0024】
特許文献3の実施形態に記載したNEG粉末材料は、大きさが揃い、角の無い粉末粒子からなるNEG粉体を使用することを想定している。しかし、以下の理由で、当初からそのようなNEG粉体を入手できなかったため、NEG合金を機械的に粉砕して作製した粉体に手を加え、粉末粒子の大きさを選別したり角を丸くしたりして使用していた。
【0025】
当時、NEG粉体を用いたNEG製品としてNEG粉体をピル状やリボン状に固めたものが知られているのみであり、NEG粉体をそのまま用いたNEG製品は皆無であった。そのNEG粉体としては、粉体粒子表面に突起物が多く、かつ粒子の大きさの不揃いのものが好適に使用されていた。大きさが揃い、角の無い球形の粉末粒子からなる粉体は、バインダ無しで固めることが難しいため使用できなかった。
【0026】
なお、NEG粉体をそのまま用いたNEGは、特許文献的(特許文献1と特許文献2)に知られているだけで、しかもNEG粉体としてインゴットを粉末に粉砕したものが用いられている(特許文献1の段落0020、特許文献2の段落0019)。
【0027】
ピル状やリボン状のNEGのためのNEG粉体は、次のようにNEG合金を機械的に粉砕して得られる。例えば、ジルコニウム70%と、バナジウム24.6%と、鉄5.4%の3元合金の場合、真空中、又はアルゴン雰囲気中で、まず高周波炉を用いて合金のインゴットを作製する。次いで、インゴットをアルゴン雰囲気中で金属粉砕機にかけて数μm〜数百μmの粉末に粉砕する。これにより、ピル状やリボン状に圧縮で固めるのに適した形状のNEG粉末が得られる。
【0028】
ところで、当初から大きさが揃い、角の無いほぼ球形の粉末粒子が得られる技術としてアトマイズ法が以前から知られている(特許文献4、特許文献5、非特許文献1、非特許文献2)が、上述の理由から、大きさが揃い、角の無いほぼ球形のNEG粉末粒子は必要とされず、そのためNEG粉体を作製するのに適用した例は知られていない。
【0029】
以上の観点から、本願発明者は、NEG粉体をそのまま用いたNEGとNEGポンプを提供するため、アトマイズ法によりNEG粉末材料を作製し、それを使用することを考えた。
【0030】
以下に、NEG粉末材料をアトマイズ法により作製し、NEGとNEGポンプに使用した本願発明の実施形態について説明する。
【0031】
(第1実施形態)
最初に、
図2と
図3を参照して、NEG粉末材料の製造装置101を説明し、その後、
図1〜
図3を参照して、NEG粉末材料の製造方法を説明する。
【0032】
(第1実施形態に係るNEG粉末材料の製造装置)
図2は、
図1の浮上式アトマイズ法に用いる製造装置101の全体の構成を示す模式図であり、
図3は、
図2の製造装置101のうち、浮上式溶融炉を示す斜視図である。
【0033】
浮上式アトマイズ法を用いたのは、合金が溶融炉に接触しないため、溶融した合金に溶融炉からの不純物が混入するのを抑制できるという理由からである。
【0034】
図2において、符号1は、NEG合金を磁気浮上させながら溶融し、NEG合金の溶湯を噴霧する浮上式溶融炉である。
【0035】
浮上式溶融炉1の底部には、アトマイズチャンバ2が接続され、浮上式溶融炉1の底部のアトマイズノズル15からNEG合金の溶湯がアトマイズチャンバ2内に噴霧されて、NEG合金の粉末粒子7が生成される。
【0036】
さらに、アトマイズチャンバ2の下流には導管3が接続され、アトマイズチャンバ2内で生成された粉末粒子7が導管3によって下流に導かれ、さらに、下流で導管3に接続された粉末回収容器5に回収される。
【0037】
また、粉末回収容器5には導管4が接続されており、粉末回収容器5内に溜まった、噴霧に用いたArガスを下流の排気管6に導く。このようにして、Arガスは排気される。
【0038】
次に、
図3を参照して浮上式溶融炉1について詳しく説明する。
【0039】
浮上式溶融炉1は、円筒状の上部構造体11aと、上部構造体11aの下部に接続された漏斗形の筒状の上側中間構造体11bと、上側中間構造体11bの下部に接続された円筒状の下側中間構造体11cと、下側中間構造体11cに接続されたドーナツ状の下部構造体11dとを有する。
【0040】
下側中間構造体11cの中心部には、上側中間構造体11bの漏斗形の流路12aと繋がる溶湯の流路12bと、流路12bの幅より狭くなった出湯口12cとが設けられている。流路12bと出湯口12cとは溶湯のノズルとなる。
【0041】
さらに、出湯口12cの下には、出湯口12cからでた溶湯が最初にアトマイズチャンバ2内に噴出するための、出湯口12cより大きい直径のアトマイズノズルとなる空洞15が設けられている。
【0042】
その空洞15は、ドーナツ状の下部構造体11dの中央部の貫通穴につながっている。
【0043】
また、出湯口12cの周りには、空洞15に向かって開く4つのガス噴射口13a,13b,13cが設けられている。なお、手前のガス噴出口13bの向こう側にも一つのガス噴出口があるが、
図4では省略されている。以下の説明でも、当該ガス噴出口は省略している。
【0044】
4つのガス噴射口13a,13b,13cは、それぞれ、空洞15の周囲の下側中間構造体11cの内部に形成された4つのガス流路14a,14b,14cと、下部構造体11dの内部に放射状に形成されたガス流路14a,14b,14cとを通り、下部構造体11dの外側側面に設けられたガス導入口に繋がっている。なお、手前のガス流路14bの向こう側にも一つのガス流路があるが、
図4では省略されている。以下の説明でも、当該ガス流路は省略している。
【0045】
4つのガス噴射口13a,13b,13cとそれぞれ繋がるガス流路14a,14b,14cの部分は、ガス噴射口13a,13b,13cから噴出されるガスが空洞15の中心軸に向かうように斜め方向にガス噴射口13a,13b,13cに接続されている。
【0046】
また、上部構造体11aの外側周囲には、コイル16が設けられている。コイル16に高周波電流を流すことにより、NEG合金18を誘導加熱して、NEG合金18の先端を誘導加熱により溶融させる。
【0047】
また、中間構造体11b、11cの外側周囲には、別のコイル17が設けられており、NEG合金18をローレンツ斥力により浮揚させる。
【0048】
(第1実施形態のNEG粉体の製造方法)
図2及び
図3の製造装置101を用いた第1実施形態のNEG粉体の製造方法について、
図1のフローチャートを参照して説明する。
【0049】
最初に、
図1に示すように、NEG粉体の原料であるNEG合金のインゴット18を作製する(S1)。
【0050】
詳しくは、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、鉄(Fe)とを混合して溶融し、整形しながら固めて、先のとがった円柱状のNEG合金のインゴット18を作製する。NEG合金の組成がZr70%、V24.6%、Fe5.4%の割合になるように、ZrとVとFeの量を調整する。例えば、Zrを5kg、Vを1.76kg、Feを0.39kgとする。
【0051】
次いで、
図3の浮上式溶融炉1のコイル16、17に電流を流し、さらに、4つのガス噴射口13a,13b,13cからアルゴンガス(アトマイズガス)を噴射させておく。所望の粒子の大きさを得るため、アルゴンガスは、圧力を5kgf/cm
2(0.5MPa/cm
2)に、流量を2〜5Nm
3/minに設定する。
【0052】
次に、NEG合金のインゴット18を浮上式溶融炉1に収容し、浮上させる。これにより、インゴット18を融点以上に加熱し、溶融する(S2)。
【0053】
溶融した合金は、出湯口12cから流れ出るとともに、アルゴンガスの噴射により、少量ずつ粉粒化される(S3)。
【0054】
このとき、分離した個々の粉粒は表面張力の作用により、ほぼ球形の粉末粒子7となる。また、一定の流量、圧力でアルゴンガスが噴射されているため、分離した個々の粉粒の分量は相互に大きく変動しない。したがって、形と大きさが揃った粉末粒子7を作製することができる。
図4(a)は、ガスアトマイズ法により作製された粉末粒子7の写真を描き写した図である。
【0055】
このようにしてアトマイズ(粉粒化)され、生成された粉末粒子7は、
図2の製造装置101の粉末回収容器5に導かれ、回収される。
【0056】
(第1実施形態のNEGポンプの排気性能の調査)
図5(a)〜(c)に示す第1実施形態に係るNEG21及びこれを備えたNEGポンプ26を製作し、排気性能を調査した。
【0057】
NEG21は、メッシュ(網状部材)23を張ったドーナツ状の容器(収納部)に
図4(a)に示すNEG粉末材料を収納したものである。
【0058】
円筒状のステンレス製の外枠22aと内枠22bの相互の中心軸を一致させて外枠22aの内側に内枠22bを置き、外枠22aと内枠22bとをつなぐ支持部材22cにより外枠22aと内枠22bとを相互に支持する。支持部材22cは、外枠22aと内枠22bとの間の幅を有し、収納部を上下に仕切るドーナツ状の板でもよいし、車輪のスポークのように外枠22aと内枠22bの間を繋ぎ4か所に十字の形で配置された棒状の部材でもよい。
【0059】
そして、外枠22aと内枠22bの間の相互に対向する開口を塞ぐようにメッシュ23を張り、容器を作製した。外枠22aの外径は32mm、内径は30mmとし、内枠22bの外径は8mm、内径は6mm、軸方向の長さは4mmとした。ステンレス製のメッシュ23は平織りで、目開き寸法は41μmとした。
【0060】
NEG粉末材料は、
図2の製造装置で作製したNEG粉末材料を篩にかけ、粒径100μm以上200μm以下の粉末粒子7を選別して取得した。
【0061】
そして、NEG21は、容器に選別したNEG粉末材料7又は7aを一容器あたり約5.5g入れて構成した。
【0062】
NEGポンプ26は、このNEG21の内枠22bの穴にヒータ(シースヒータ)25を備えた円筒状の支持軸24を挿入して5個のNEG21を支持軸24で保持し、構成した。
【0063】
比較のために、
図5(a)〜(c)と同じようにして第1比較例のNEG31及びこれを備えたNEGポンプ36を作製した。
【0064】
NEG31は、メッシュ(網状部材)33を張ったドーナツ状の容器に
図4(b)に示すNEG粉末材料を収納したものである。
【0065】
NEG31の容器はNEG21の容器と同じものを用い、外枠32aと内枠32bと支持部材32cとメッシュ33とで構成される。NEG粉末材料は、機械的粉砕により作製した粉末材料を篩にかけて、粒径が50μm〜180μmに分布する粉末粒子38を選別したものを用いた。
【0066】
NEG31は、本発明のNEG21に合わせて一容器あたり約5.5gのNEG粉末材料38を入れて構成した。NEGポンプ36は、NEG31の内枠32bの穴にヒータ(シースヒータ)35を備えた円筒状の支持軸34を挿入して10個のNEG31を支持軸34で保持し、構成した。
【0067】
さらに、第2比較例として、
図6(b)のNEG41及び
図6(a)のNEGポンプ44を作製した。
【0068】
そのNEG41は、
図6(b)に示すように、機械的粉砕により作製した粒径が数μm〜300μmに分布する粉末材料を全て混ぜ合わせ、圧縮して直径10mm、厚さ3mmのピル状に成形し、作製した。
【0069】
そして、真空フランジ45内に、
図6(a)に示すように、ヒータ43と複数のNEG41とを配置し、NEGポンプ44とした。
【0070】
真空フランジ45は外径114mmのコンフラットフランジの規格品CF114を使用した。
【0071】
複数のNEG41は、籠42の中に収納し、配置する。すなわち、10メッシュで目開き寸法が2.5mmの扁平な籠42を、真空フランジ45の内壁に沿うように円筒形に整形して配置し、その籠42の中にNEG41を一層当たり15個並べ、かつそれを7層に積層した。すなわち、使用したゲッター材料は、NEG41が総計105個で約97.7gである。
【0072】
また、NEG41の収納部が円筒形に配置された籠42の中心軸に沿ってヒータ43を配置した。なお、
図6(a)中、符号43aは、らせん状に成形した電熱線で、43b、43cは、電熱線43aに電力を印加する一対の端子である。真空フランジ45の底部の仕切り壁に端子43b、43cが固定され、外部に引き出されている。
【0073】
図7は、NEGポンプの排気性能を調査するための測定システムの構成を表す模式図である。
【0074】
このシステムでは、第1チャンバ51と第2チャンバ52とが、オリフィス板53を介して接続されている。
【0075】
第1チャンバ51には、排気性能を調査するNEGポンプ55が接続される。また、第2チャンバ52には、メインバルブ59aを介してターボ分子ポンプ(TMP)58aとダイアフラムポンプ58bが直列に接続されている。さらに、第2チャンバ52には四重極型質量分析計56が接続されている。
【0076】
測定を始めるため、メインバルブ59aを開き、ターボ分子ポンプ58aとダイアフラムポンプ58bとを作動させて第1チャンバ51と第2チャンバ52の排気を開始する。
次いで、真空装置の脱ガスのためのベーキングを行う。
【0077】
次いで、NEGを450℃で30分間熱処理してNEGの活性化を行い、その後室温の環境に放置する。
【0078】
第1チャンバ51と第2チャンバ52の圧力P1、P2が約10
−9Paに達したら、メインバルブ59aを閉じる。
【0079】
その状態から、第2チャンバ52に接続されたリークバルブ59bを緩めてガスボンベ54から試料ガス(H
2、CO、N
2のいずれか)を導入した。
【0080】
第2チャンバ52に接続された第2真空計57bで第2チャンバ52内の圧力P2を測定し、第1チャンバ51に接続された第1真空計57aで第1チャンバ51内の圧力P1を測定した。圧力P1、P2の測定は、適当な時間間隔で、順次、複数回行う。
【0081】
そして、導管のコンダクタンスをCとし、試料ガスを導入する直前の第2チャンバ52と第1チャンバ51の圧力をそれぞれP2b、P1bとしたときの計算式S
1=C[(P2−P2b)/(P1−P1b)−1]から、P1に対するNEGポンプ55の排気速度S
1を求めてグラフにした。
【0082】
また、到達真空度P2b、P1bを差し引かないNEGポンプ55の実効排気速度S
2を計算式S
2=C(P2/P1−1)から求め、P1に対してグラフにした。
【0083】
図8(a)、(b)、(c)は、それぞれ、
図7の測定システムを用い、NEGポンプ55として、本実施形態のNEGポンプ26、第1比較例のNEGポンプ36、及び第2比較例のNEGポンプ44をそれぞれ装着して、それぞれのポンプの排気性能を調査した結果を表すグラフである。
【0084】
グラフは、それぞれ、縦軸がリニアスケールで表した排気速度(L/s)を示し、横軸が対数スケールで表した圧力P1(Pa)を示す。
【0085】
NEGポンプ26、36において、それぞれ、3種の試料ガスH
2,N
2,COについて排気性能を調査し、また、NEGポンプ44において、2種の試料ガスH
2,N
2について排気性能を調査した。
【0086】
図8(a)、(b)、(c)において、○印は水素に対する排気速度S
1(H
2)であり、●印は水素に対する排気速度S
2(H
2)である。△印は窒素に対する排気速度S
1(N
2)であり、▲印は窒素に対する排気速度S
2(N
2)である。□印は一酸化炭素に対する排気速度S
1(CO)であり、■印は一酸化炭素に対する排気速度S
2(CO)である。なお、
図8(a)、(b)において、圧力の高い方で白抜きの印と黒で塗り潰した同じ形状の印が重なっている部分があり、その部分は黒で塗り潰した印で代表して示している。
【0087】
ガスアトマイズ法で作製した粉末材料を用いた場合(
図8(a))と、機械的に粉砕した粉砕粉を用いた場合(
図8(b))とを比較すると、H
2に対する排気速度の大きさとCOに対する排気速度の大きさとが逆転している。すなわち、ガスアトマイズ法で作製した粉末材料を用いた場合に、COに対する排気速度がH
2に対する排気速度よりも大きくなった。
【0088】
さらに、調査結果を分かり易くするため、3種のNEGポンプごとに、それぞれ、各試料ガス(N
2,H
2,CO)についてNEGの1グラムあたりの排気速度S
2(L/s・gr)の最大値を比較した。その結果を表1に示す。なお、ピル形状のNEGポンプでは、COについては調査していない。
【0090】
表1の結果から、アトマイズ粉末をそのまま用いたNEGでは、粉砕粉を固めてピル状にしたNEGと比較すると、H
2、N
2に対する排気速度がおよそ2倍になっている。
【0091】
また、アトマイズ粉末では粉砕粉と比べてN
2に対する排気速度が1.44倍も向上し、COに対する排気速度が1.33倍も向上している。
【0092】
(第2実施形態)
ところで、第1実施形態で作製したNEG粉末粒子の表面に水素分子や水分子が吸着すると、解離して粉末内部に拡散し、発熱するため、粉末が発火する恐れがある。
【0093】
したがって、解離を抑制することで発熱が抑制され、実用性がさらに高まるので、その方法について説明する。
【0094】
その方法は、NEG粉末粒子の表面に水素分子や水分子が吸着しないようにするため、アトマイズ法により作製した粉末粒子の表面を、当該表面に吸着させた窒素分子で覆う方法である。
【0095】
最初に、
図11を参照して、窒素分子で覆われたNEG粉末粒子の製造装置について説明し、その後、
図9〜
図13を参照して、窒素分子で覆われたNEG粉末粒子の製造方法とその活性化方法について説明する。
【0096】
(第2実施形態に係るNEG粉体の製造装置)
図11は、第2実施形態に係る窒素分子で覆われたNEG粉末粒子で構成されたNEG粉体(NEG粉末材料)の製造方法に用いられる製造装置である。
【0097】
図11の製造装置では、
図2の製造装置に対して、粉末回収容器5に粉末材料7を回収した後に、アルゴンガス(アトマイズガス)を窒素ガスで置換する構造が付け加えられている。
【0098】
すなわち、アトマイズチャンバ2と粉末回収容器5とをつなぐ導管3に第1開閉バルブ8aが設けられており、導管3を開閉できるようになっている。
【0099】
また、粉末回収容器5には窒素ガスを供給するガスボンベ10が、第2開閉バルブ8bを介して接続されており、第2開閉バルブ8bにより、粉末回収容器5とガスボンベ10をつなぐ導管9を開閉できるようになっている。
【0100】
また、粉末回収容器5と排気管6とをつなぐ導管4にも第3開閉バルブ8cが設けられており、導管4を開閉できるようになっている。
【0101】
(第2実施形態に係るNEG粉体の製造方法)
図9は、第2実施形態の窒素分子で覆われた複数のNEG粉末粒子を作製する工程を示すフローチャートであり、
図12は、
図11の製造装置で作製され、窒素分子で覆われたNEG粉末粒子7aを示す断面図である。
【0102】
第2実施形態のNEG粉体の製造方法では、
図1に示す工程(S1〜S3)と同じ工程を経てNEG粉体7を作製する(S3)。S1〜S3の工程は、第1開閉バルブ8aと第3開閉バルブ8cとを開き、第2開閉バルブ8bを閉じて行われる。
【0103】
このようにしてアトマイズされ、生成された粉末粒子7は、
図3の製造装置101の粉末回収容器5に導かれ、回収される。このとき、粉末回収容器5内はアルゴンガスで満たされ、また、粉末回収容器5内のNEG粉末の温度はNEG合金の溶融時の残留熱により100〜200℃になっている。
【0104】
次いで、第1開閉バルブ8aによりアトマイズチャンバ52と粉末回収容器5とをつなぐ導管3を閉じる。
【0105】
次いで、第2開閉バルブ8bにより粉末回収容器5とガスボンベ10をつなぐ導管9を開くとともに、第3開閉バルブ8cにより粉末回収容器5と排気管6とをつなぐ導管4も開く。
【0106】
これによって、窒素ガスが粉末回収容器5内に供給されて、粉末回収容器5内のアルゴンガスを窒素ガスに置換する(S4)。余った窒素ガスは導管4を経由して排気管6に導かれ、排気される。
【0107】
窒素ガスは、純度4N〜5Nのものを用い、圧力0.1〜0.2MPaで粉末回収容器5内に導入する。
【0108】
アルゴン原子は粉末粒子7の表面に化学吸着しないので、粉末粒子7の周囲のアルゴンガスを容易に吹き払うことができる。代わりに、粉末粒子7の周囲には、窒素分子が充満する。
【0109】
そして、
図12に示すように、窒素分子が個々のNEG粉末粒子7の表面に化学吸着し、表面を隈なく覆うまで、かつ、粉末粒子7aの周囲の温度が室温になるまで、窒素ガスの置換を続ける。
【0110】
このようにして、個々の粉末粒子7aの表面は窒素分子で隈なく覆われる(S5)。したがって、大気中に出しても粉末粒子7の表面に水素や水分子が付着するのを防止することができる。
【0111】
一方で、上記のようにして作製された粉末材料は、個々の粉末粒子7aの表面が窒素ガスで覆われているため、ゲッター作用は十分でない。したがって、熱処理により粉末粒子7aの表面から窒素分子が取り除かれ粉末粒子7が活性化してから、NEGとして使用に供されることになる。
【0112】
次に、
図10、
図13を参照して、作製されたNEG粉体を活性化する方法について説明する。
【0113】
図10は、第1実施形態のNEG粉体を活性化する工程を示すフローチャートであり、
図13は、NEG粉体を活性化した後の一粉末粒子を示す断面図である。
【0114】
まず、
図9のようにして作製され、個々の粉末粒子7aの表面が窒素分子で覆われたNEG粉体を準備する(S11)。
【0115】
次いで、そのNEG粉体を、例えば、
図5(b)に示すような、メッシュ23を張ったドーナツ状の容器に収容し、NEG21を作製する。
【0116】
さらに、
図5(a)のように、シースヒータ25を容れた金属製の管(支持軸)24をNEG21の中央部の穴22bに挿入して複数のNEG21を支持する。このようにしてNEGポンプ26を作製する。
【0117】
次いで、例えば、内部からの放出ガスが少ないベリリウム銅など金属材料で
図6(a)で示されるようなケーシング容器を準備し、ケーシング容器にNEGポンプ26を収容し、ケーシング容器の内部を外気から遮断できるようにする。
【0118】
なお、
図5(a)において、符号27は、ケーシング容器の一部を構成する真空フランジで、外径70mmのコンフラットフランジの規格品CF70である。この真空フランジにNEGポンプ26を支持する。
【0119】
そして、NEGポンプ26を収容したケーシング容器を、排気しようとする装置に装着する。その後、ターボ分子ポンプなどで、排気しようとする装置内を減圧する。
【0120】
このようにして、さらに高真空に減圧する環境が整った後に、NEG21の支持軸24に容れたヒータ25に電力を加えて、例えば450℃〜500℃に昇温させ、所定の時間、保持する(S12)。これにより、ヒータ25の周囲のNEG粉末材料が加熱されて、
図13に示すように粉末粒子7の表面から窒素分子が取り除かれ、十分なゲッター作用が回復する(S13)。
【0121】
(第3実施形態に係る非蒸発型ゲッターと非蒸発型ゲッターポンプ)
次に、第3実施形態に係る非蒸発型ゲッター(NEG)と非蒸発型ゲッターポンプ(NEGポンプ)について、種々の形態を説明する。
【0122】
(第1例のNEGとNEGポンプ)
上記した
図5(b)は第1例のNEG21を示す。詳しい説明はすでに行ったので、省略する。
【0123】
また、上記した
図5(a)は第1例のNEGポンプ26を示す。これについても詳しい説明はすでに行ったので、省略する。
【0124】
(第2例及び第3例のNEGと第2例のNEGポンプ)
図14(a)、(b)は第2例のNEG61を示す。
【0125】
第2例のNEG61は、円筒状の容器64の筒内にNEG粉末材料7又は7aが収納されたものである。容器64は、相互に対向する開口を有する円筒状の枠62と、相互に対向する開口を塞ぐように張られた金網(網状部材)63とで構成される。
【0126】
なお、
図14(a)、(b)中、符号65は容器内に粉末材料を入れるための雌ネジを兼ねた穴で、66は穴65を塞ぐ雄ネジである。
【0127】
図15は、作製途中の第3例のNEG69を示す。
図16に作製されたNEG69を示す。
【0128】
第3例のNEG69は、中心軸の周りに円筒形にNEGの収納部が配置された籠(粉末材料の収納部又は容器)68に第2例のNEG61が複数収納されたものである。
【0129】
籠68は、直径の異なる2つの円筒形の金網68a、68bを、中心軸を一致させて置き、さらに2つの円筒形の金網68a、68bで挟まれた空間の底部に別の金網68cを張ったものである。その空間が第2例のNEG61の収納部となる。なお、2つの円筒形の金網68a、68bで挟まれた空間の最上部にさらに別の金網を張って、収納したNEG61が籠68から飛び出さないようにしてもよい。
【0130】
図16は第2例のNEGポンプ70を示す。
【0131】
第2例のNEGポンプ70は、第3例のNEG69の円筒の中心軸に一致させてヒータ71の電熱線71aが配置されたものである。
【0132】
すなわち、ヒータ71の電熱線71aがフランジ72の中央部に固定され、電熱線71aを発熱させる電力を供給する端子71b、71cがフランジ72の外に引き出される。そして、電熱線71aの周囲のフランジ72上に第3例のNEG69が置かれる。
【0133】
(第4例のNEGと第3例のNEGポンプ)
図17は第4例のNEG80を示す。
【0134】
第4例のNEG80では、枠82は、同じ大きさの輪状の上枠82aと輪状の下枠82bとが間隔を空けて配置され、その上枠82aと下枠82bとを支柱82cと82dとで支えた構成を有する。
【0135】
その枠82は、上枠82aと下枠82bの間に、相互に対向する内側の開口と外側の開口とを有する。そして、相互に対向する開口を塞ぐように枠82の内側と外側から金網(網状部材)83が張られて、枠82と金網83とで囲まれた粉末材料の収納部(容器)81が構成される。粉末材料の収納部81は円筒状に配置される。
【0136】
なお、
図17中、符号84a、84bは収納部81に粉末材料を入れる雌ネジを兼ねた穴であり、85a、85bは穴84a、84bを塞ぐ雄ネジである。
【0137】
第3例のNEGポンプについては図示していないが、
図17のNEG80の円筒の中心軸の位置にヒータが配置されたものである。
【0138】
(第5例及び第6例のNEGと第4例のNEGポンプ)
図18は第5例のNEG90を示し、
図19は第6例のNEG90aを示す。
【0139】
第5例のNEG90は、
図18に示すように、四角い筒状の枠91の相互に対向する開口部を塞ぐように金網(網状部材)92が張られて、枠91と金網92とで囲まれた粉末材料の収納部(容器)93を構成する。なお、
図18中、符号94は収納部93に粉末材料を入れる雌ネジを兼ねた穴であり、95は穴94を塞ぐ雄ネジである。
【0140】
第6例のNEG90aは、
図19に示すように、枠91の両側部に2つずつ円筒状の連結部材96a〜96dが取り付けられ、複数のNEG90aを相互に連結できるようにしている。
【0141】
図20は第4例のNEGポンプ100を示す上面図である。
図19は、複数のNEG90aを相互に連結する方法を具体的に示す斜視図である。
【0142】
図19に示すように、2つのNEG90aを連結部材96aと96bが連結部材96cと96dに重なるように隣接させ、ヒータ99を備えた連結軸97を連結部材96a〜96dの円筒内に挿入することで、相互に連結する。これにより、2つのNEG90aが連結部材96a〜96dを介して連結軸97の周りに回動自在に連結される。なお、
図19中、符号98は、セラミックからなる連結軸97の軸部材である。
【0143】
以上のように、第3実施形態に係るNEGとNEGポンプによれば、アトマイズ法で作製されたNEG粉末材料を固めないでそのまま使用している。
【0144】
アトマイズ法により、当初からほぼ球形で、大きさが揃った粉末粒子を作製することができる。
【0145】
したがって、金網を張ったNEGの容器に収納するために粒子の大きさを選別することが容易になる。
【0146】
また、当初から形状がほぼ球形となるので、角を取って形を揃える手間を省くことができる。さらに、NEG粉末粒子の相互接触による更なる微粉化を抑制できるためNEG粉末材料がNEGの容器から漏出するのをより一層抑制できる。
【0147】
また、上述の排気性能の調査によれば、水素に対してのみならず、窒素や一酸化炭素に対してもさらに排気性能の向上を図ることができる。
【0148】
以上、実施の形態によりこの発明を詳細に説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の上記実施の形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【0149】
例えば、上述の実施形態では、アトマイズ法により作製された粉末粒子の表面を窒素分子で覆うようにしているが、機械的な粉砕により作製された粉末粒子の表面を窒素分子で覆うようにしてもよい。
【0150】
このようであるが、アトマイズ法により作製された粉末粒子の場合、アトマイズ時の温度が高温であり、粉末回収容器5に回収された後も高温が継続するので、窒素分子による粉末粒子の表面保護は、特に、有効である。さらに、アトマイズの工程に引き続き、連続して窒素分子による粉末粒子の表面保護を行うことができるため、余計な気体分子も付着せず、簡便に工程を行うことができる。
【0151】
また、上記の実施形態では、対向する開口を塞ぐようにメッシュを張ったドーナツ状の容器に粉末材料を収納したNEG21、31と、ヒータ25、35を備えた支持軸24、34で複数のNEG21、31を支持したNEGポンプ26、36とを開示しているが、これに限られない。
【0152】
枠と、外部気体が流通できるメッシュ(網状部材)とを備え、粉末材料を収納することができる容器を有するNEGや、そのNEGとNEGを活性化するヒータとを備えたNEGポンプであれば、形態を問わない。用途に応じた様々な形態が本発明の範囲に含まれる。
【0153】
また、浮上式ガスアトマイズ法を用いているが、他のアトマイズ法も適用可能である。例えば、インゴットを浮上させずに溶融しアトマイズガスを用いてアトマイズする方法や、遠心アトマイズ法や、レーザー熱源を用いた反応性ガスアトマイズ法など種々のアトマイズ法を適用できる。
【0154】
遠心アトマイズ法には、例えば、プラズマ回転電極法(PREP: Plasma Rotating Electrode Process)があり、それは不活性ガス雰囲気中(ArまたはHe)でプラズマ電極を陰極に、円柱状の試料を陽極にそれぞれ接続して、高速モータにより試料を高速で回転させ、両極間のプラズマアーク熱で試料を溶触しながら、回転により遠心力を印加して粉粒化させる方法である。
【0155】
遠心アトマイズ法を用いた場合、粉体を作製した後、回収した粉体を窒素ガスに曝して、各粉末粒子の表面を該表面に吸着した窒素分子で覆ってもよい。或いは、必要であれば、粉体を回収した後に加熱して粉末粒子の表面から余計なガス分子を除き、その後に、粉体を窒素ガスに曝して各粉末粒子の表面を該表面に吸着した窒素分子で覆ってもよい。
【0156】
また、実施形態では、NEG合金の材料としてZrとVとFeとを混合したものを用いたが、これに限られない。ZrとVとFeとにほかの金属を添加したものを用いてもよい。さらに、他のNEG合金の材料にも適用できる。
【0157】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0158】
(付記1)非蒸発型ゲッター合金からなる複数の粉末粒子で構成され、複数の前記粉末粒子はほぼ球形で大きさが揃った非蒸発型ゲッター粉末材料。
【0159】
(付記2)非蒸発型ゲッター合金はジルコニウム(Zr)とバナジウム(V)と鉄(Fe)とを含む合金であることを特徴とする付記1に記載の非蒸発型ゲッター粉末材料。
【0160】
(付記3)個々の前記粉末粒子の表面が、前記表面に吸着した窒素分子で覆われたことを特徴とする付記1又は2に記載の非蒸発型ゲッター粉末材料。
【0161】
(付記4)非蒸発型ゲッター合金を溶融する工程と、
溶融した前記合金にガスを吹き付けて、又は遠心力を印加して、前記合金からなる複数の粉末粒子を作製する工程と、
を有することを特徴とする非蒸発型ゲッター粉末材料の製造方法。
【0162】
(付記5)前記複数の粉末粒子を作製する工程の後に、各前記粉末粒子の表面に窒素分子を吸着させて各前記粉末粒子の表面を前記窒素分子で覆う工程を有することを特徴とする付記4に記載の非蒸発型ゲッター粉末材料の製造方法。
【0163】
(付記6)非蒸発型ゲッター合金はジルコニウム(Zr)とバナジウム(V)と鉄(Fe)とを含む合金であることを特徴とする付記4又は5に記載の非蒸発型ゲッター粉末材料。
【0164】
(付記7)相互に対向する開口を有する枠と、
前記相互に対向する開口を塞ぐように前記枠に張られた網状部材と、
前記枠と前記網状部材とで包囲され、粒径が前記網状部材の網目よりも大きな複数の粉末粒子で構成された非蒸発型ゲッター粉末材料とを有し、
前記粉末粒子は、ほぼ球形で大きさが揃った非蒸発型ゲッター合金からなることを特徴とする非蒸発型ゲッター。
【0165】
(付記8)個々の前記粉末粒子の表面が、前記表面に吸着した窒素分子で覆われたことを特徴とする付記7に記載の非蒸発型ゲッター。
【0166】
(付記9)前記枠は、相互に対向する開口を有する円筒形の枠であり、前記網状部材は、前記相互に対向する開口を塞ぐように前記枠に張られたことを特徴とする付記7又は8に記載の非蒸発型ゲッター。
【0167】
(付記10)さらに、中心軸の周りに配置された前記非蒸発型ゲッターの収納部となる籠を有し、前記籠に複数の前記非蒸発型ゲッターが収納されたことを特徴とする付記9に記載の非蒸発型ゲッター。
【0168】
(付記11)前記枠が、中心軸を一致させて配置された円筒形の内枠と円筒形の外枠と、前記内枠と前記外枠とをつなぐ支持部材とで構成され、かつ、前記内枠と前記外枠の間に前記相互に対向する開口を有することを特徴とする付記7又は8に記載の非蒸発型ゲッター。
【0169】
(付記12)前記枠が、間隔を空けて配置された輪状の上枠と輪状の下枠と、前記上枠と前記下枠を支える支柱とで構成され、前記上枠と前記下枠の間に相互に対向する内側の開口と外側の開口を有し、前記網状部材は、前記相互に対向する前記開口を塞ぐように前記枠の内側と外側から張られたことを特徴とする付記7又は8に記載の非蒸発型ゲッター。
【0170】
(付記13)相互に対向する開口を有する枠と、前記相互に対向する開口を塞ぐように前記枠に張られた網状部材と、前記枠と前記網状部材とで包囲され、粒径が前記網状部材の網目よりも大きな複数の粉末粒子で構成された非蒸発型ゲッター粉末材料とを備え、前記粉末粒子がほぼ球形で大きさが揃った非蒸発型ゲッター合金からなる複数の非蒸発型ゲッターと、
複数の前記非蒸発型ゲッターの前記粉末材料を活性化するヒータと、
を有することを特徴とする非蒸発型ゲッターポンプ。
【0171】
(付記14)個々の前記粉末粒子の表面が、前記表面に吸着した窒素分子で覆われたことを特徴とする付記13に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0172】
(付記15)前記ヒータの周りに配置された複数の前記非蒸発型ゲッターの収納部となる籠を有し、
複数の前記非蒸発型ゲッターが前記籠に収納されたことを特徴とする付記13又は14に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0173】
(付記16)前記枠が、中心軸を一致させて配置された円筒形の内枠と円筒形の外枠と、前記内枠と前記外枠とをつなぐ支持部材とで構成され、かつ、前記内枠と前記外枠の間に前記相互に対向する開口を有する複数の非蒸発型ゲッターと、
前記ヒータが複数の前記非蒸発型ゲッターの前記内枠の穴に挿入されたことを特徴とする付記13又は14に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0174】
(付記17)前記枠が、間隔を空けて配置された輪状の上枠と輪状の下枠と、前記上枠と前記下枠とを支える支柱とを有し、かつ前記上枠と下枠の間に前記相互に対向する内側の開口と外側の開口とを有し、前記網状部材が前記枠の内側と外側からそれぞれ張られた前記非蒸発型ゲッターと、
前記ヒータが、前記枠の内側に設置されたことを特徴とする付記16に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。
【0175】
(付記18)各前記非蒸発型ゲッターは、四角い前記枠に取り付けられ、他の前記非蒸発型ゲッターを連結する筒形の連結部材を有し、
異なる前記非蒸発型ゲッターの前記連結部材の筒を重ね、相互の前記筒に前記ヒータを備えた連結軸を挿入して、異なる前記非蒸発型ゲッター同士が前記連結軸によって回動可能に支持されたことを特徴とする付記13又は14に記載の非蒸発型ゲッターポンプ。