特許第6843422号(P6843422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843422
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20210308BHJP
   A23G 9/04 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   A23L2/00 A
   A23G9/04
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-183641(P2016-183641)
(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公開番号】特開2018-46759(P2018-46759A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000118615
【氏名又は名称】伊那食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 昌敬
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 志帆
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−027305(JP,A)
【文献】 特開2009−296996(JP,A)
【文献】 特開2015−198620(JP,A)
【文献】 特開2016−111957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00
A23G 9/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍後に解凍しながらシャーベット状として飲用する飲料であって、
アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムのいずれか1以上の安定剤グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム及びタマリンドガムのいずれか1以上の多糖類とを含有し、前記安定剤の含有量が0.01重量%〜0.4重量%であり、糖度が30以下であり、且つ、カルシウムイオン濃度が10mg/100g以下であり、冷凍前の糖度と、冷凍後解凍して得られる解凍液の糖度との差を、前記冷凍前の糖度で除したものを糖度変化率とした場合、前記糖度変化率が40%以下であることを特徴とする飲料。
【請求項2】
前記多糖類の含有量が前記安定剤に対して0.01重量%〜50重量%であることを特徴とする請求項記載の飲料。
【請求項3】
B型粘度計を用いて測定温度10℃、回転数60rpm、1号ローターで測定した冷凍前における粘度が3mPa・s〜50mPa・sであることを特徴とする請求項1又は2記載の飲料。
【請求項4】
前記冷凍前の糖度が15未満である場合の前記糖度変化率が40%以下であり、前記冷凍前の糖度が15以上30以下である場合の前記糖度変化率が30%以下であることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍後に解凍しながらシャーベット状として飲用する飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、夏期における気温上昇が激しいことにより、飲料の需要が増加している。冷やした飲料を保冷容器に入れて冷たさを維持しながら飲用する例や、ペットボトルやパウチ等の容器に充填された飲料を冷凍し、常温で経時的に解凍しながらシャーベット状の飲料として飲用する例が知られている。
【0003】
しかし、一般に市販されている飲料を冷凍すると、氷晶が均一に発達せず、中心部ほど純水に近い氷ができるため均質なシャーベット状にならず、糖などの溶解物が分離して周辺部の糖度が高くなってしまう。このような飲料は、糖度の高い部分から溶解するため、解凍直後の解凍液は味が濃く、次第に解凍液の糖度が低下して味が薄くなってしまうという問題があり、飲用初めと終わりで甘さの変化が感じられない(糖度が等しい)シャーベット状飲料が望まれていた。
【0004】
このような問題を解決するために、種々の提案がなされている。例えば特許文献1には、澱粉糖を含有し、糖類のDE値、飲料の可溶性固形分及び飲料の粘度を規定したシャーベット状飲料が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−11835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の飲料は、飲用した際に糊状感が感じられのど越しが好ましくなく、一部が解凍した際に糖などの溶解物の分離が起きてしまい、冷凍部分と解凍液との甘みの差が感じられてしまう。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、飲用した際に糊状感がなくあっさりとしたのど越しが得られ、且つ一部が解凍した際に冷凍部分と解凍液との甘みの差が感じられない飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムのいずれか1以上の安定剤を含み、糖度が30以下であり、且つ、カルシウムイオン濃度が10mg/100g以下である飲料とすることによって、糊状感がなくあっさりとしたのど越しが得られ、且つ一部が解凍した際に冷凍部分と解凍液との甘みの差が感じられなくなることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明に係る飲料は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムのいずれか1以上の安定剤を含み、糖度が30以下であり、且つ、カルシウムイオン濃度が10mg/100g以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、飲用した際に糊状感がなくあっさりとしたのど越しが得られ、且つ一部が解凍した際に冷凍部分と解凍液との甘みの差が感じられない飲料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る飲料は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムのいずれか1以上の安定剤を含有する。これらのうち1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用して用いてもよい。
【0012】
本発明に係る飲料に使用される上記安定剤の含有量は、飲料全体を100重量%とした場合、好ましくは0.01重量%〜0.4重量%であり、より好ましくは0.02重量%〜0.3重量%である。含有量が0.01重量%より少ないと、飲料を冷凍した際に溶解物が分離してしまい均質なシャーベット状にならず、0.4重量%より多いと糊状感が出てしまいのど越しが悪くなってしまうため好ましくない。
【0013】
本発明に係る飲料に使用されるアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムは、冷水及び熱水に容易に溶解し、溶解速度が速いことを特徴とする。また、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムは、飲料に含まれる微量のカルシウムイオンと反応してアルギン酸カルシウムとなり、微細なエッグボックス構造を作る。これにより、ゲル化しない程度にマトリックスを作り、糖などの溶解物の流動を妨げることで、冷凍時に溶解物が分離せず均質なシャーベット状となり、解凍しても経時的に解凍液の糖度が変化することを防ぐことができる。
【0014】
また、本発明に係る飲料は、安定剤として、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムの代わりにキサンタンガム、グアーガム、タラガムなどの他の水溶性多糖類を用いた飲料に比べ、飲料の粘度が同程度であっても、飲用した際に糊状感を感じにくくなる。また、本発明に係る飲料は、安定剤として上記水溶性多糖類を用いた飲料と比較してチキソトロピー性が弱いという特徴を有する。
【0015】
さらに、本発明に係る飲料は、安定剤として、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムの代わりにアラビアガム、ペクチン、大豆多糖類などの他の水溶性多糖類を用いた飲料に比べ、適度な粘度を有するため、飲料の流動性を妨げ、糖などの溶解物の分離を防ぐことができる。
【0016】
本発明に係る飲料は、糖度が30以下に調整されている。飲料の糖度が30より大きくなると、冷凍時及び解凍時に溶解物が分離しやすくなり、飲用する際に甘みやのど越しの変化が感じられてしまう。
【0017】
本発明に係る飲料は、糖度が30以下となるように、糖が含有されている。糖として、一般に公知の糖を使用することができ、例えば、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、高果糖液糖等の異性化糖、ぶどう糖、果糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、グラニュー糖、砂糖、水あめ等が挙げられる。これらの糖のうち、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
本発明に係る飲料に含まれるカルシウムイオンは、キレート剤で封鎖されていない状態のカルシウムイオンである。カルシウムイオン源として、例えば、カルシウムイオンを含有する水道水、天然水、ミネラルウォーター等を使用することができる。また、イオン交換水や蒸留水等に塩化カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の水溶性のカルシウム塩を添加した水を使用することもできる。
【0019】
本発明に係る飲料におけるカルシウムイオン濃度は、10mg/100g以下に調整されている。カルシウムイオン濃度が上記範囲より大きくなると、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムとカルシウムイオンとが強く反応することにより飲料がゲル化または増粘してしまい、好ましいのど越しが得られない。
【0020】
また、本発明に係る飲料は、安定剤として、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムと多糖類とを併用することができる。このような多糖類として、例えばローカストビーンガム、タラガム、グアーガム、タマリンドガム、キサンタンガム等が挙げられる。このように、他の多糖類を併用することで、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムとの相乗効果が得られ、冷凍時に溶解物がより分離しにくくなり、解凍しながら飲む際に甘みの変化が感じられなくなる。
【0021】
多糖類の含有量は、本発明に係る安定剤に対して0.01重量%〜50重量%が好ましい。多糖類の含有量が0.01重量%より少ないと、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム及びアルギン酸アンモニウムとの相乗効果が得られず、50重量%より多いと飲料の粘度が高くなり、本発明に係る安定剤による効果を阻害してしまい、食感が悪くなってしまう。
【0022】
本発明に係る飲料の冷凍前の粘度は、B型粘度計を用いて測定温度10℃、回転数60rpm、1号ローターで測定した場合において、3mPa・s〜50mPa・sであることが好ましく、5mPa・s〜30mPa・sであることがさらに好ましい。飲料の冷凍前の粘度が50mPa・sより高いと飲料の粘性が高すぎてのど越しが悪くなり、3mPa・sより小さいと冷凍時に溶解物が分離しやすくなり、冷凍前の飲料の糖度と解凍液の糖度の差が大きくなってしまう。
【0023】
本発明に係る飲料において、冷凍前の飲料の糖度と、冷凍後に25℃で解凍した場合の解凍直後の解凍液の糖度とを比較したときの糖度変化率(%)は、下記の式(1)で求められる。なお、冷凍前の糖度−解凍液の糖度の値は絶対値である。
【0024】
【数1】
【0025】
本発明に係る飲料は、冷凍前の糖度が15未満の場合は、糖度変化率が40%以下となり、冷凍前の糖度が15以上30以下の場合は、糖度変化率が30%以下となる。
【0026】
このように、本発明に係る飲料は、冷凍前の糖度と、冷凍後解凍した際の解凍液の糖度の差が小さく、糖度変化率が小さいため、冷凍前の飲料や冷凍後の解凍液いずれにおいても甘みの変化を感じることなく飲用することができる。
【0027】
本発明に係る飲料は、上記の成分以外に、本発明の効果を阻害しない程度にビタミン、酸味料、pH調整剤、高甘味度甘味料、果汁、香料、色素等を含有してもよい。
【0028】
酸味料としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、及びリン酸等が挙げられる。また、pH調整剤としては、例えばクエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0029】
本発明に係る飲料のpHは、本発明の効果を阻害しない範囲で任意に変更することができる。
【0030】
また、本発明に係る飲料は、緑茶やウーロン茶、紅茶、コーヒー、アルコール等を添加してもよく、これらの添加により飲料として、風味の向上などの付加価値を高めることができる。
【0031】
本発明に係る飲料は、例えばペットボトルやパウチ、ビン、缶等の各種容器に充填させることができる。容器に充填した飲料は、常温、冷蔵、冷凍のいずれの温度においても流通可能であり、流通過程において凍結溶解が繰り返される場合においても品質が安定している。更に、例えば、冷凍してシャーベット状となった飲料の一部を飲んだ後に、室温に放置され残部が液体状に融解した場合にも、残部をそのまま液体状の飲料として、または、再度冷凍してシャーベット状として品質、食感を維持した状態で飲用可能である。
【実施例】
【0032】
次に、本発明に係る飲料の実施例について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0033】
実施例1〜22及び比較例1〜13に係る飲料に用いられた安定剤及び多糖類は、以下の通りである。
アルギン酸ナトリウム(1):イナゲル(登録商標)GS−80(伊那食品工業株式会社製)
アルギン酸ナトリウム(2):I−1(株式会社キミカ製)
アルギン酸カリウム:イナゲル(登録商標)GS−200(伊那食品工業株式会社製)
アルギン酸アンモニウム:イナゲル(登録商標)GS−300(伊那食品工業株式会社製)
ローカストビーンガム:イナゲル(登録商標)L−85(伊那食品工業株式会社製)
タラガム:イナゲル(登録商標)タラガムP(伊那食品工業株式会社製)
グアーガム:イナゲル(登録商標)GR−15(伊那食品工業株式会社製)
タマリンドガム:イナゲル(登録商標)V−250(伊那食品工業株式会社製)
キサンタンガム:イナゲル(登録商標)V−10T(伊那食品工業株式会社製)
アラビアガム:アラビアガムA(伊那食品工業株式会社製)
LMペクチン:イナゲル(登録商標)JP−20(伊那食品工業株式会社製)
【0034】
なお、以下において、%表示は特に規定がない限り重量%を示す。
【0035】
実験例1(アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、及びアルギン酸アンモニウムの効果)
表1及び2に示した配合量に従い、実施例1〜4及び比較例1〜8に係る飲料を作製した。具体的には、各成分の合計が5kgになるように、水道水に各成分を分散、溶解し、108℃で超高温加熱処理(UHT処理)した後(MPHE/THE,パワーポイント・インターナショナル株式会社製)、50℃に冷却し500mlのペットボトルに充填後、5℃に冷却した。さらにこれを−20℃で凍結した後、25℃で解凍して、解凍開始から90分後及び180分後に生じた解凍液の糖度を測定した。なお、冷凍前の飲料の糖度は、いずれも10であった。
【0036】
冷凍前の飲料の粘度、冷凍前の飲料及び解凍液の糖度、及び飲料中のカルシウム濃度を下記の方法により測定した。また、冷凍前の飲料の糖度及び解凍液の糖度の値から、下記のように糖度変化率を求めた。さらに、解凍開始から180分後の飲料の食感について評価を行った。測定結果及び評価結果を表3に示す。
【0037】
(評価方法)
1.冷凍前の飲料の粘度
B型粘度計(芝浦システム株式会社製、ビスメトロン、VS−A、測定温度10℃、ローター回転数60rpm、使用ローター:1号)を用いて、冷凍前の飲料の粘度を測定した。
【0038】
2.冷凍前の飲料の糖度と解凍液の糖度との比較
糖度計(PAL−1、株式会社アタゴ製)を用いて冷凍前の飲料の糖度を測定した。また、冷凍後に25℃で解凍して90分経過後及び180分経過後の解凍液の糖度を測定し、冷凍前の飲料の糖度と比較して、下記の式(1)により糖度変化率(%)を求めた。
【0039】
糖度変化率(%)=(冷凍前の糖度−解凍液の糖度/冷凍前の糖度)×100・・・(1)
【0040】
3.飲料中のカルシウム濃度
ICP発光分光分析装置(ICPE−9000、株式会社島津製作所製)を用いて冷凍前の飲料におけるカルシウムイオン濃度を測定した。
【0041】
4.食感
解凍開始から180分後の飲料をパネラー10名が試飲し、のど越し、及び冷凍部分と解凍液部分との甘みの差について、それぞれ下記A〜Cの三段階で評価した。
[のど越し]
A:糊状感がなくすっきりした飲み口であり、のど越し良く飲用できる。
B:Aに比べ糊状感があるものの、問題なく飲用できる。
C:糊状感があり、のど越しが悪い。
[甘みの差(冷凍部分と解凍液部分)]
A:冷凍部分と解凍液部分との甘みの差を感じることなく、美味しく飲用できる。
B:冷凍部分と解凍液部分との甘みの差を若干感じ、Aより劣るが美味しく飲用できる。
C:解凍液部分に比べ冷凍部分の甘さが足りず、美味しく飲用できない。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
以上のように、実施例1〜4に係る飲料は、冷凍前及び解凍後の糖度変化率が小さく、のど越しが良く、甘みの差を感じることなく美味しく飲用することができた。
【0046】
実験例2(アルギン酸ナトリウム添加量)
表4及び5に示した配合量に従い、実施例5〜9及び比較例9に係る飲料を作製した。具体的には、各成分の合計が5kgになるように、水道水に各成分を分散、溶解し108℃でUHT処理後(MPHE/THE,パワーポイント・インターナショナル株式会社製)、50℃に冷却し500mlのペットボトルに充填後、5℃に冷却した。さらにこれを−20℃で凍結した後、25℃で解凍し90分後、180分後に生じた解凍液の糖度を測定した。なお、冷凍前の飲料の糖度はいずれも15であった。実験例1と同様に評価を行った結果を表6に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
以上のように、実施例5〜9に係る飲料は、冷凍前及び解凍後の糖度変化率が小さく、のど越しが良く、甘みの差を感じることなく美味しく飲用することができた。
【0051】
実験例3(カルシウムイオン量)
表7及び8に示した配合量に従い、実施例10〜12及び比較例10〜11に係る飲料を作製した。具体的には、各成分の合計が5kgになるように、水道水に各成分を分散、溶解し108℃でUHT処理後(MPHE/THE,パワーポイント・インターナショナル株式会社製)、50℃に冷却し500mlのペットボトルに充填後、5℃に冷却した。さらにこれを−20℃で凍結した後、25℃で解凍し90分後、180分後に生じた解凍液の糖度を測定した。なお、冷凍前の飲料の糖度はいずれも20であった。実験例1と同様に評価を行った結果を表9に示す。
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】
【0054】
【表9】
【0055】
以上のように、実施例10〜12に係る飲料は、冷凍前及び解凍後の糖度変化率が小さく、のど越しが良く、甘みの差を感じることなく美味しく飲用することができた。
【0056】
実験例4(糖の添加量)
表10及び11に示した配合量に従い、実施例13〜16及び比較例12〜13に係る飲料を作製した。具体的には、各成分の合計が5kgになるように、水道水に各成分を分散、溶解し108℃でUHT処理後(MPHE/THE,パワーポイント・インターナショナル株式会社製)、50℃に冷却し500mlのペットボトルに充填後、5℃に冷却した。さらにこれを−20℃で凍結した後、25℃で解凍し90分後、180分後に生じた解凍液の糖度を測定した。なお、冷凍前の飲料の糖度はいずれも20であった。実験例1と同様に評価を行った結果を表12に示す。
【0057】
【表10】
【0058】
【表11】
【0059】
【表12】
【0060】
以上のように、実施例13〜16に係る飲料は、冷凍前及び解凍後の糖度変化率が小さく、のど越しが良く、甘みの差を感じることなく美味しく飲用することができた。
【0061】
実験例5(アルギン酸ナトリウムに多糖類を添加)
表13及び14に示した配合量に従い、実施例17〜22に係る飲料を作製した。具体的には、各成分の合計が5kgになるように、水道水に各成分を分散、溶解し108℃でUHT処理後(MPHE/THE,パワーポイント・インターナショナル株式会社製)、50℃に冷却し500mlのペットボトルに充填後、5℃に冷却した。さらにこれを−20℃で凍結した後、25℃で解凍し90分後、180分後に生じた解凍液の糖度を測定した。なお、冷凍前の飲料の糖度はいずれも14であった。実験例1と同様に評価を行った結果を表15に示す。
【0062】
【表13】
【0063】
【表14】
【0064】
【表15】
【0065】
以上のように、実施例17〜22に係る飲料は、冷凍前及び解凍後の糖度変化率が特に小さく、のど越しが良く、甘みの差を感じることなく美味しく飲用することができた。