【実施例】
【0044】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。実施例における物性の測定は、次の装置を用いて行った。
【0045】
(1)銀の含有率
銀の含有率は、熱重量測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製 SDTQ600)を用い、熱重量/示差熱分析(TG/DTA)を行うことにより求めた。(2)粘度
粘度は、回転粘度計(ブルックフィールド社製 DV2T)を用いて測定した。
(3)印刷適性
グラビアオフセット装置(エムティーテック社製)を用いて線幅50μmの配線を印刷し、ブランケット上の転写残りと、印刷された配線の形状とを観察した。
(4)形状観察
印刷された配線の形状は、レーザー顕微鏡(オリンパス社製 LEXT OLS4500)を用いて観察した。
【0046】
(
サンプル1)
n−ヘキシルアミン5.78g、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン3.89g、オレイン酸0.251g、及び樹脂としてのルブリゾール社のSOLSPERSE8000(「SOLSPERSE」は登録商標)1.9gを容器に入れ、溶液を40℃で15分間撹拌した。樹脂は、アミン化合物と脂肪酸との混合液に溶解した。次に、容器にシュウ酸銀7.6gを加えて撹拌を続けた。シュウ酸銀を加えて15分後に溶液がゲル状に変化したので、加熱温度を110℃に上げ、さらに加熱及び撹拌を行った。すると溶液が茶色に変化して気泡を
発生し、その後、光沢のある青紫色に変化した。気泡の発生が止まったことを確認した後、加熱及び撹拌を停止し、常温まで溶液を冷却した。次に、溶液に50mlのメタノールを加えて撹拌した後、2000rpmで5分間、溶液を遠心分離して上澄み液を捨てる操作を3回繰り返した。最後の上澄み液を捨てた後、沈殿物を取り出した。この沈殿物を温度23℃、湿度30%の大気中で24時間以上乾燥させた。その結果、粘度の高いペースト状の銀ナノ粒子分散体(銀ペースト)を得た。銀ナノ粒子分散体における銀の含有率は92.2重量%であった。
サンプル1の銀ナノ粒子のTEM像を
図1に示す。銀ナノ粒子は10nm〜20nmの粒子径を有していた。銀の重量濃度が82%になるように、銀ナノ粒子分散体をテトラデカンで希釈し、粘度が約1Pa・sの銀ナノ粒子インクを得た。
【0047】
(
サンプル2)
SOLSPERSE8000の代わりに、樹脂として、ルブリゾール社のSOLSPERSE16000を1.9g
用いたことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。銀ナノ粒子分散体における銀の含有率は90.3重量%であった。銀の重量濃度が82%になるように、銀ナノ粒子分散体をテトラデカンで希釈し、粘度が約1Pa・sの銀ナノ粒子インクを得た。
【0048】
(
サンプル3)
SOLSPERSE8000の代わりに、樹脂として、東京化成工業社のポリビニルピロリドン(K
−30)を1.9g用いたことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。
サンプル3の銀ナノ粒子のTEM像を
図2に示す。銀ナノ粒子は10nm〜20nmの粒子径を有していた。銀ナノ粒子分散体をトルエン又はテトラデカンで希釈した。トルエン及びテトラデカンのいずれにも銀ナノ粒子を均一に分散させることができた。
【0049】
なお、銀ナノ粒子インクにおいて、沈殿物を確認できない程度に銀ナノ粒子が溶媒に溶けていること、及び、銀ナノ粒子の二次凝集が起こっていないことを目視にて確認できた場合に、銀ナノ粒子が溶媒に均一に分散しているものと判断した。
【0050】
(
サンプル4)
SOLSPERSE8000の代わりに、樹脂として、アルドリッチ社のポリビニルフェノールを1
.9g用いたことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。
サンプル4の銀ナノ粒子のTEM像を
図3に示す。銀ナノ粒子は10nm〜20nmの粒子径を有していた。銀ナノ粒子分散体をトルエン又はテトラデカンで希釈した。トルエン及びテトラデカンのいずれにも銀ナノ粒子を均一に分散させることができた。
【0051】
(
サンプル5)
SOLSPERSE8000の代わりに、樹脂として、アルドリッチ社のポリスチレンを1.9g用
いたことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。
サンプル5の銀ナノ粒子のTEM像を
図4に示す。銀ナノ粒子は10nm〜20nmの粒子径を有していた。銀ナノ粒子分散体をトルエン又はテトラデカンで希釈した。トルエン及びテトラデカンのいずれにも銀ナノ粒子を均一に分散させることができた。
【0052】
(
サンプル6)
SOLSPERSE8000の代わりに、樹脂として、アルドリッチ社のメラミン樹脂を1.9g用
いたことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。
サンプル6の銀ナノ粒子のTEM像を
図5に示す。銀ナノ粒子は10nm〜20nmの粒子径を有していた。銀ナノ粒子分散体をトルエン又はテトラデカンで希釈した。トルエン及びテトラデカンのいずれにも銀ナノ粒子を均一に分散させることができた。
【0053】
(
サンプル7)
SOLSPERSE8000の代わりに、関東化学社のSpan85(「Span」は登録商標)を
1.9g用いたことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。銀ナノ粒子分散体における銀の含有率は93.0重量%であった。銀の重量濃度が82%になるように、銀ナノ粒子分散体をテトラデカンで希釈し、粘度が約1Pa・sの銀ナノ粒子インクを得た。
【0054】
(
サンプル8)
N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンの代わりに、N,N−ジブチルエチレンジアミンを4.42g用いたことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。銀ナノ粒子分散体をテトラデカンで希釈し、粘度が約1Pa・sの銀ナノ粒子インクを得た。
【0055】
(
サンプル9)
N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンを使用しなかったことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。
サンプル9の銀ナノ粒子のTEM像を
図6に示す。銀ナノ粒子は10nm〜20nmの粒子径を有していた。銀ナノ粒子分散体をテトラデカンで希釈し、粘度が約1Pa・sの銀ナノ粒子インクを得た。
【0056】
(
サンプル10)
n−ヘキシルアミンを使用しなかったことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。
サンプル10の銀ナノ粒子のTEM像を
図7に示す。銀ナノ粒子は10nm〜20nmの粒子径を有していた。銀ナノ粒子分散体をテトラデカンで希釈し、粘度が約1Pa・sの銀ナノ粒子インクを得た。
【0057】
(
サンプル11)
n−ヘキシルアミンを使用せず、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパンの代わりにN,N−ジブチルエチレンジアミンを4.42g用いたことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。
サンプル11の銀ナノ粒子のTEM像を
図8に示す。銀ナノ粒子は10nm〜20nmの粒子径を有していた。銀ナノ粒子分散体をテトラデカンで希釈し、粘度が約1Pa・sの銀ナノ粒子インクを得た。
【0058】
(
サンプル12)
オレイン酸を使用しなかったことを除き、
サンプル1と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。
サンプル12の銀ナノ粒子のTEM像を
図9に示す。銀ナノ粒子は10nm〜30nmの粒子径を有していた。銀ナノ粒子分散体をテトラデカンで希釈し、粘度が約1Pa・sの銀ナノ粒子インクを得た。
【0059】
(
サンプル13)
オレイン酸を使用しなかったことを除き、
サンプル8と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。銀ナノ粒子分散体をテトラデカンで希釈し、粘度が約1Pa・sの銀ナノ粒子インクを得た。
【0060】
(
サンプル14)
オレイン酸を使用しなかったことを除き、
サンプル9と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。
サンプル14の銀ナノ粒子のTEM像を
図10に示す。銀ナノ粒子は10nm〜20nmの粒子径を有していた。銀ナノ粒子分散体をトルエン又はテトラデカンで希釈した。トルエン及びテトラデカンのいずれにも銀ナノ粒子を均一に分
散させることができた。
【0061】
(
サンプル15)
オレイン酸を使用しなかったことを除き、
サンプル10と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。
サンプル15の銀ナノ粒子のTEM像を
図11に示す。銀ナノ粒子は10nm〜20nmの粒子径を有していた。銀ナノ粒子分散体をトルエン又はテトラデカンで希釈した。トルエン及びテトラデカンのいずれにも銀ナノ粒子を均一に分散させることができた。
【0062】
(
サンプル16)
オレイン酸を使用しなかったことを除き、
サンプル11と同様の方法で銀ナノ粒子を合成し、銀ナノ粒子分散体を得た。銀ナノ粒子分散体をトルエン又はテトラデカンで希釈した。トルエン及びテトラデカンのいずれにも銀ナノ粒子を均一に分散させることができた。
【0063】
サンプル1〜16の結果から、アミン化合物と銀塩との混合物を錯体化させ、加熱分解によって銀ナノ粒子を合成可能であることが確認できた。また、
サンプル8〜16の結果から、(i)アミン化合物、銀塩及び樹脂を含む混合物、(ii)アミン化合物、銀塩、樹
脂及び脂肪酸を含む混合物、(iii)銀塩、樹脂及び脂肪酸の混合物のいずれかから銀錯
体を形成でき、銀錯体を加熱分解することで銀ナノ粒子を合成できることが確認できた。
【0064】
(
サンプル17)
樹脂を使用せずに銀ナノ粒子インクを製造した。具体的には、n−ヘキシルアミン5.78g、n−ドデシルアミン4.77g、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン3.89g、オレイン酸0.251gを容器に入れ、溶液を40℃で15分間撹拌した。次に、容器にシュウ酸銀7.6gを加えて40℃で撹拌を続けた。シュウ酸銀を加えて約20分後に溶液がゲル状に変化したので、加熱温度を110℃に上げ、さらに加熱及び撹拌を行った。すると溶液が茶色に変色して気泡を発生し、その後、光沢のある青色に変化した。気泡の発生が止まったことを確認した後、加熱及び撹拌を停止し、常温まで溶液を冷却した。次に、溶液に50mlのメタノールを加えて撹拌した後、2000rpmで5分間、溶液を遠心分離して上澄み液を捨てる操作を3回繰り返した。最後の上澄み液を捨てた後、沈殿物をベルジャーにて3分間真空乾燥させた。得られた沈殿物は、銀ナノ粒子が凝集したケーキ状の塊(銀ペースト)であった。この沈殿物における銀の含有率は93.4重量%であった。
【0065】
銀の重量濃度が82%になるように、銀ペーストを徐々にテトラデカンで希釈したところ、粘度が急激に下降し、グラビアオフセット印刷に適した粘度に調整することができなかった。
【0066】
(
サンプル18)
溶媒(テトラデカン)に樹脂(SOLSPERSE8000)を飽和するまで溶解させることによっ
て溶媒と樹脂との混合液を調製した。銀の重量濃度が82%になるように、この混合液を
サンプル17で合成した銀ペーストに加えて十分に混合したところ、粘度が約400mPa・sまで降下した。
【0067】
[電極性能]
サンプル1の銀ナノ粒子インクを用いてスピンコート法でガラス基板上に薄膜を形成した。薄膜を所定の温度で焼成した後、薄膜の体積抵抗率を測定した。結果を表1に示す。250℃以上の焼成温度で50μΩ・cm未満の抵抗率を達成できた。
【0068】
【表1】
【0069】
[各種溶媒に対する銀ナノ粒子の分散性]
サンプル1の銀ナノ粒子を各種の溶媒に分散させ、その分散性を確認した。具体的には、イソホロン、テトラデカン、メチルエチルケトン、ドデカン、n−オクタン、メシチレン、p−シメン、キシレン、テトラリン、1−デカノール、1−オクタノール、1−ブタノール及び流動パラフィンのそれぞれに
サンプル1の銀ナノ粒子を分散させた。これらの溶媒に対する
サンプル1の銀ナノ粒子の分散性は良好であった。イソホロン、テトラデカン、テトラリン、1−デカノール、流動パラフィンなどの比較的沸点が高い溶媒を用いた銀ナノ粒子インクは、グラビアオフセット印刷を実施することが可能であった。
【0070】
[グラビアオフセット印刷]
サンプル1、
サンプル2及び
サンプル7の銀ナノ粒子インクをグラビアオフセット印刷に用いて印刷テストを行った。いずれの場合も、版幅50μmに対し、45〜48μmの線幅の配線を形成することができた。
サンプル1の銀ナノ粒子インクを用いて形成した配線をレーザー顕微鏡で観察した結果を
図12に示す。また、
サンプル2及び
サンプル7の銀ナノ粒子インクを用いてもグラビアオフセット印刷を実施することが可能であった。
【0071】
[インクジェット印刷]
ガラス基板上にテフロン(三井・デュポンフルオロケミカル社製 AF1600)(「テフロン」は登録商標)の薄膜をスピンコート法で形成した。薄膜の表面を酸素プラズマ処理によって親液化した。一方、銀の重量濃度が30%となるように、
サンプル1の銀ナノ粒子インクをテトラデカンで希釈し、低粘度の銀ナノ粒子インクを得た。この銀ナノ粒子インクを用いて、インクジェット装置(富士フイルム・ダイマティックス社製、マテリアルプリンターDMP−2831)にて、インクジェット印刷による成膜試験を行った。10ピコリットル用インクカートリッジに銀ナノ粒子インクを充填した。親液化されたテフロン薄膜を有するガラス基板上にインクジェット装置で配線を描画した。配線のレーザー顕微鏡写真を
図13に示す。
図14は、レーザー顕微鏡で計測した配線の断面プロファイルを示している。
サンプル1の銀ナノ粒子インクを用い、インクジェット印刷によって幅30μmの配線を描画することができた。