特許第6843443号(P6843443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843443
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】構造物用組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/34 20060101AFI20210308BHJP
   B29C 43/22 20060101ALI20210308BHJP
   B29C 48/305 20190101ALI20210308BHJP
   B29C 48/34 20190101ALI20210308BHJP
   B29C 70/12 20060101ALI20210308BHJP
   B29C 70/50 20060101ALI20210308BHJP
   B29K 27/06 20060101ALN20210308BHJP
   B29K 105/12 20060101ALN20210308BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20210308BHJP
【FI】
   B29C43/34
   B29C43/22
   B29C48/305
   B29C48/34
   B29C70/12
   B29C70/50
   B29K27:06
   B29K105:12
   B29L7:00
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-545130(P2018-545130)
(86)(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公表番号】特表2018-533514(P2018-533514A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(86)【国際出願番号】US2016062451
(87)【国際公開番号】WO2017087623
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】62/256,513
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518169738
【氏名又は名称】マーハイグ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリーン ゲリー イー.
(72)【発明者】
【氏名】クローンベルク ジェームス ダブリュー.
【審査官】 今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−276625(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/095079(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/015635(WO,A1)
【文献】 特開平09−203159(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0080980(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/34
B29C 43/22
B29C 48/305
B29C 48/34
B29C 70/12
B29C 70/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物用複合材を作成するための方法であって、
(a)第1のキャリアを提供するステップと、
(b)前記第1のキャリアの上に充填剤を分配するステップと、
(c)前記充填剤の上に前記第1のキャリアと化学的に結合する結合剤を被着するステップと、
(d)前記第1のキャリア、前記充填剤及び前記結合剤の上に布地である第2のキャリアを被着するステップと、
(e)前記第1のキャリア、前記充填剤、前記結合剤及び前記第2のキャリアを加熱するステップと、
(f)前記第1のキャリア、前記充填剤、前記結合剤及び前記第2のキャリアをともにプレスするステップであって、前記結合剤は液化して前記充填剤及び前記第2のキャリアに浸透し、かつ前記第1のキャリア、前記充填剤及び前記結合剤が冷却するにつれて前記結合剤は前記充填剤及び前記第2のキャリアと物理的に結合して補剛層を形成するステップと、
(g)前記補剛層を強度を提供する形状に形成するステップと、
(h)クロスヘッドダイを通じて前記補剛層の上にポリマーを押し出すステップであって、前記ポリマーは前記補剛層を被覆し、前記ポリマーは前記補剛層と化学的に結合し、かつ、前記クロスヘッドダイは前記ポリマーに対して前記補剛層を配置して前記ポリマーを強化するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記結合剤は液体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結合剤は粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(a)前記補剛層を複数のストリップに切断するステップと、
(b)前記ポリマーを押し出す前に前記複数のストリップを分離するステップと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記構造物用複合材は、中立軸を有し、
前記ストリップは、前記構造物用複合材の中立軸から離れて反対側に配置される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記充填剤は、繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記充填剤は、合成繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記充填剤は、鉱物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維は、無水石膏ウィスカである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーは、ポリ塩化ビニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のキャリア及び前記第2のキャリアの少なくとも一方は、ポリエチレンテレフタレートから作成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のキャリア及び前記第2のキャリアの少なくとも一方は、高密度ポリエチレンから作成される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記充填剤に接着剤を被着させる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
構造物用複合材を作成するための方法であって、
(a)布地である第1のキャリアを提供するステップと、
(b)前記第1のキャリアの上に熱可塑性樹脂である第2のキャリアを被着するステップと、
)前記第のキャリアの上に充填剤を分散するステップと、
)前記充填剤の上に結合剤を分散するステップと、
(e)前記第1のキャリア、前記結合剤、前記充填剤及び前記第2のキャリアを加熱して、前記第1のキャリア及び前記結合剤を液化するステップと、
(f)前記第1のキャリア、前記第2のキャリア、前記充填剤及び前記結合剤をプレスするステップであって、前記第2のキャリア及び前記結合剤液化して前記第1のキャリア及び前記充填剤に浸透し、前記第1のキャリア、前記結合剤、前記充填剤及び前記第2のキャリアが冷却するにつれて前記第1のキャリア及び前記充填剤は機械的に結合して補剛層を形成するステップと、
(g)ポリマーを強化するために、クロスヘッドダイを通じて前記補剛層の上に前記ポリマーを押し出して前記補剛層を配置するステップであって、前記ポリマーは前記補剛層と化学的に結合して、層間剥離に耐える構造物用複合体を形成するステップと、を含む、方法。
【請求項15】
前記補剛層が冷却するにつれて前記補剛層を成形して前記構造物用複合材の剛性を増加させるステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記補剛層の少なくとも1つの側で前記補剛層を型打ちするステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記補剛層内に穴を形成するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記補剛層は、前記クロスヘッドダイにより形されて、前記ポリマーを構造物用複合体として強化する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリマー複合材に関する。より詳細には、本開示は、強化ポリマー複合材に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッド、梁、敷板、フレーム部材、トリムピース、および柵のような構造物用部材を必要とする多くの用途において、ポリマー材料が木材に取って代わっている。窓枠およびシャッタは、中空ビニルプロファイルから作成されている。インテリアモールディング、および、より最近では網戸が、発泡ポリ塩化ビニルから作成されている。
【0003】
プラスチックは、コストがより低いこと、および、保守管理が楽であることを含め、木材にまさる利点を有するが、剛性を増大させるための二次強化として、木材または金属インサートのような他の材料を組み込まなければ、木材の本来の強度を有しないことが多い。これらのタイプの二次強化を加えることによって、材料のコストおよび労力が増大し、必要とされる追加のタイプの材料のために、複雑度がもたらされる。
【0004】
構造物用複合材が既知である。例えば、米国特許第4910067号明細書は、一方の側に熱可塑性層を有し、他方の側に繊維性材料の層を有する発泡体コアを備える構造物用複合材料を開示している。発泡体は、繊維性材料と接触して硬化する液体樹脂から形成され、液体樹脂は繊維性材料に浸透し、これに接着して、繊維強化構造になる。複合材を製造するための工程も、この引用文献において教示されている。
【0005】
米国特許第5700555号明細書は、両方とも共押し出しによって形成される、全体的にプラスチックから作成される第1のゾーンと、プラスチックに加えて10%〜55%の天然繊維から作成される第2のゾーンとを備える複合材製品を教示している。繊維含有ゾーンは、木目を模倣するためのエンボス加工を含み、天然木の外観をシミュレートするために塗料または染料を受け入れるのに十分に多孔性である。
【0006】
米国特許第5738935号明細書および米国特許第5858522号明細書は、互いに、および、上述した米国特許第5700555号明細書に関連しており、天然繊維と熱可塑性物質との複合材を調製するための工程および当該工程からもたらされる製品を開示している。工程は、混合物を形成するために、天然繊維と熱可塑性物質とを、多孔性補助剤および界面剤を用いてブレンダ内で混合するステップと、加熱された押し出し機に混合物を加えるステップと、混合物を複合材として押し出すステップと、複合材を真空キャリブレーション装置内で、所望のプロファイルに成形するステップとを含む。この工程は、いくつかの用途(例えば、窓、ドアおよび羽目板)のために、第2の熱可塑性物質を天然繊維/熱可塑性物質複合材へと共押し出しするステップをさらに含む。
【0007】
欧州特許第0599404号明細書は、連続繊維によって強化された熱可塑性物質複合材を調製するための工程を開示している。工程は、(a)繊維束によって構成される連続フィラメントをボビンから解くステップと、(b)本質的には、連続フィラメントを個々の連続繊維にばらすことによって、連続フィラメントを開繊するステップと、(c)開繊したフィラメントを、連続的に振動させられているタンクに収容された熱可塑性ポリマー粉末によって構成される固定床に浸漬し、通過させるステップと、(d)フィラメントを再構成し、フィラメントの周囲に熱可塑性ポリマーの柔軟な保護シースを構成するステップとを含む。
【0008】
欧州特許第0653290号明細書は、加熱したファイバーマットコアの少なくとも1つの表面を融解した第1の熱可塑性樹脂で被覆し、その後、そのファイバーマットコアを押し出しゾーンに通して、このゾーンにおいて、融解した第2の熱可塑性樹脂をファイバーマットコアの少なくともひとつの表面上に押し出すことによって、少なくともひとつの表面の樹脂濃度が高い熱可塑性の繊維強化成形品を連続的に製造する工程を開示している。その後、ファイバーマットコアおよび熱可塑性樹脂は成形されて完成品とされる。開示されている連続工程は、屋根用タイル、自動車用外部パネル、住宅用羽目板などのような成形された完成品を提供する。
【0009】
米国特許第5565056号明細書は、高分子化合物の融解した第1のウェブおよび第2のウェブを、離間した型開口を通じて押し出し、ランダムに配向されたガラス短繊維からなるマットを、第1のウェブと第2のウェブとの間に位置決めし、ウェブとマットとをともにプレスし、結果もたらされる建築用パネルを冷却することによって作成される、ガラス繊維強化建築用パネルを開示している。
【0010】
欧州特許第0747213号明細書は、おがくず、木粉、または経木によって充填されたポリプロピレンからなる第1の層と、圧縮および同時の部分的な融着によって第1の層の1つの面に接合される熱可塑性繊維材料から少なくとも部分的に構成される少なくとも1つの追加の層とを備えるパネルを開示している。この追加の層は、繊維パターンおよび構造を保持する。
【0011】
米国特許第6607798号明細書は、熱可塑性樹脂からなる中空状中芯が、熱可塑性樹脂によって互いに接合されている補強用長繊維を含有する中間層によって一体化されている、繊維強化中空状中芯複合中空構造体を開示している。当該構造体はその後、熱可塑性樹脂からなる外層によって被覆される。
【0012】
米国特許第9079380号明細書は、その後好都合な長さに切断することができる連続したストリップを形成する、ポリ塩化ビニル(PVC)の、複合材料との共押し出しを開示している。PVCは、背面上の取り付けフランジおよび換気スタンドオフのみを形成し、正面のすべての部品は、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との複合材から形成される。
【0013】
構造物用レベルの剛性および低い製造コストを有するポリマー組成物が、特に、これが以前使用された材料をリサイクルすることによって天然資源を節約する場合に有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4910067号明細書
【特許文献2】米国特許第5700555号明細書
【特許文献3】米国特許第5738935号明細書
【特許文献4】米国特許第5858522号明細書
【特許文献5】欧州特許第0599404号明細書
【特許文献6】欧州特許第0653290号明細書
【特許文献7】米国特許第5565056号明細書
【特許文献8】欧州特許第0747213号明細書
【特許文献9】米国特許第6607798号明細書
【発明の概要】
【0015】
主にポリマー材料から構成されるが、良好に接合された不均質な複合材をもたらす連続した製造工程において少なくとも1つの強化する補剛層を組み込んでいる構造物用複合材が、本明細書において開示される。したがって、結果もたらされる複合材の外観およびその耐久性は、ポリマー材料の利点を保持し、構造物用途のために、低い製造コストで強化複合材の強度を提供する。
【0016】
本発明の方法は、複合材が、その特定の用途のために必要な剛性を有するように、プロファイルの内部または上の1つまたは複数の補剛層の位置および組成を計画することによって設計されているポリマープロファイルを形成するために使用することができる。加えて、方法および材料は、補剛層が、短繊維を含む、容易に入手可能なリサイクル材料から作成することができるため、複合材の製造コストを低くすることができるようなものであり、強度を損なわず、構造物用複合材の外観に悪影響を与えない。
【0017】
構造物用複合材を作成するための開示されている方法は、マットを形成するために、充填剤をキャリアへと分散させるステップを含む。結合材も、マットへと分散されてもよい。キャリア上のマットはその後、加熱およびプレスされて、キャリア、および、使用される場合は結合材を液化させ、マット全体を通じて浸透させ、それによって、補剛層を形成する。補剛層は、3つの寸法を有するプロファイルに成形することによって、または、ポリマー層との複合作用を促進するために、穴またはパンチ穴を用いてその表面を改質することによって、さらに改質することができる。ポリマー層はその後、完成製品を作成するために、補剛層の上に押し出される。ポリマーは、キャリアと化学的に適合性があり、すなわち、ポリマーとキャリアとの間に、層間剥離に耐える化学結合が形成される。
【0018】
結合剤もまた、キャリアと化学的に結合し、マットと機械的に、かつ好ましくはまた化学的にも結合し、押し出しポリマープロファイルと化学的に結合するように選択される。層の結合は、強度を負荷し、層間剥離を回避する。充填剤がキャリアにより良好に接着するようにするために、キャリアに接着剤を被着させることができる。
【0019】
本開示の特徴は、プレスおよび加熱ステップが、少なくとも一対の加熱されたジャケットローラを使用して行われ、第2の対の加熱されたジャケットローラが使用されるとき、マットの充填剤全体を通じた液化結合剤の流れを増大させるために、後続の対のローラは、第1の対よりも、ともに近くに離間され得ることである。第2の対のローラはまた、マットが冷却する前にマットを伸張させるために、第1の対よりも速く回転され得る。マットを伸張させることによって、繊維が整列するのを助けることができ、より強固な補剛層をもたらすことができる。
【0020】
本開示の別の特徴は、リサイクルされた短炭素繊維または炭素繊維リボン、短繊維ガラス繊維、廃棄石膏由来の無水石膏繊維、木綿、絹および合成品を含む繊維製品廃棄物またはリサイクルされた布製品由来の繊維、廃木材、紙、厚紙または竹由来のセルロース繊維、金属ワイヤまたは他の金属繊維、または上記の任意の組み合わせ、ならびに、フライアッシュ、ゼオライトおよびポゾランのような通常は廃棄される鉱物成分を使用することである。繊維は長いものである必要はなく、マットの幅よりも短いなど、短いものであってもよい。
【0021】
本開示のまた別の特徴は、キャリア、使用される場合は結合材、および、それらの上に押し出されるポリマーがまた、キャリアおよび結合材についてはポリエチレンテレフタレートまたは高密度ポリエチレン、および、押し出しポリマーについてはポリ塩化ビニルのような、リサイクルされた材料から作成することもできることである。これらの材料は、それらの間に化学結合を形成する傾向にあるという点で、化学的に適合性がある。
【0022】
本開示の別の特徴は、補剛層が、複数のタイプの繊維、少なくとも1つのキャリアおよび2つ以上の充填剤層を備えることができるということである。
【0023】
本開示のまた別の特徴は、キャリアがコンベヤ上に回転しているときにキャリア上に振り落とすことによって、繊維を分散させることができることであり、結果もたらされるランダムな配向は、キャリアの横方向において、および、その長さに平行に、ほぼ等しい強度をもたらす。
【0024】
本開示のまた別の特徴は、作成されている製品の設計されている構成に従って、1つまたは複数の補剛層がクロスヘッドダイを通じて引かれるときに、ポリマーを1つまたは複数の補剛層の上に押し出すことができることである。
【0025】
本開示のさらに別の特徴は、補剛層が、押し出しポリマーマトリクス内の1つまたは複数の三次元プロファイルへと形成される、適切に離間されている1つまたは複数の平坦な層、または、構造物用レベルのせん断および曲げ強度を提供しながら製造するのに好都合であり得るような、これらの組み合わせのいずれかを含むことができることである。
【0026】
これらのおよび他の特徴ならびにそれらの利点は、図面を添付されている詳細な説明を慎重に読むことから、ポリマー押し出しの技術分野の熟練者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の構造物用複合材を作成するための装置の概略図である。
図2】本発明の構造物用複合材を作成するための方法の流れ図である。
図3A】剛性および曲げ強度を増強するための強化構成および位置の例を示す図である。
図3B】剛性および曲げ強度を増強するための強化構成および位置の例を示す図である。
図3C】剛性および曲げ強度を増強するための強化構成および位置の例を示す図である。
図3D】剛性および曲げ強度を増強するための強化構成および位置の例を示す図である。
図3E】剛性および曲げ強度を増強するための強化構成および位置の例を示す図である。
図3F】剛性および曲げ強度を増強するための強化構成および位置の例を示す図である。
図3G】剛性および曲げ強度を増強するための強化構成および位置の例を示す図である。
図3H】剛性および曲げ強度を増強するための強化構成および位置の例を示す図である。
図4】本発明の方法および装置に従って作成される、構造物用複合材製品の一例、すなわち、ドア枠を示す図である。
図5】その剛性および曲げ強度の保守的な予測をもたらす、図4のドア枠を例として使用した、構造物用複合材製品内の強化の分布を分析するための単純な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に記載の構造物用複合材は、建築基準法要件が適用されるものを含む幅広い用途において木材の代用として使用されることを可能にする圧縮強度および剛性の両方を有する物質からなる不均質な組成物である。加えて、本発明の構造物用複合材は、アルミニウムのような、木材よりも高い強度弾性を有する他の材料の代用とすることができる。不均質という用語は、構成物質の少なくとも一部が、構造物用複合材内で、均質に分散されている構成物質よりも集中していることを意味する。本発明の組成物は、その外形およびその構成要素の選択ならびにそれらの位置および形状を、その組成物が置かれるべき特定のタスクに必要な強度および剛性を満たすように選択することができるという意図をもって設計することができる。単純な例として、本発明の構造物用複合材は、Iビームのフランジと同様に、強化が中立軸から離間されて、断面に垂直な一方または両方の軸において強度および剛性を増大させることを可能にするように計画することができる。そのような構造物用複合材は、耐荷重性であるように計画することができるため、組成物は、本明細書においては構造物用複合材としても参照される。
【0029】
ここで図1および図2を参照すると、本発明の組成物は、完成した構造物用複合材の剛性を増大させる少なくとも1つの補剛層を有する。補剛層は、補剛層が一方の側にあり、ポリマーが他方の側にあり、それゆえ、補剛層が外部から見えるように、ポリマーを補剛層の上に押し出すことによって、または、ポリマーが補剛層を部分的にまたは完全に包囲するように、この場合、補剛層は外部から見えない場合がある、ポリマーを押し出すことによってのいずれかで、ポリマー押し出しに組み込まれる。
【0030】
補剛層は、第1のキャリア10を含む。本明細書において使用される場合、キャリアという用語は、連続製造工程の部分として使用するために圧延することができるように、例えば、スプールまたはコア14に巻くことができる、柔軟な材料の連続シートである布地またはフィルムを意味する。キャリア10は、高密度ポリエチレン(HDPE)もしくはポリエチレンテレフタレート(PET)、または、改質ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)のような、選択されるポリマーと化学的もしくは機械的に結合する他の材料から作成することができ、これは、低融点のような、本発明の方法において有用な特性を有する。本発明の組成物中のHDPEの密度は、0.93g/cmから0.97g/cmまたは970kg/mに及ぶことができる。
【0031】
布地がキャリア10として使用される場合、布地は、織物または不織であってもよく、本明細書において説明されるように、補剛層の他の構成物質を堆積し、機械的に結合するための表面としての役割を果たすことが可能であり、また、ポリマーおよび結合剤と化学的に結合することもできる。
【0032】
充填剤18が、キャリア10に分散される。充填剤18は、人工および天然の繊維、有機物質、ならびに鉱物を含むことができる。繊維が充填剤18として使用される場合、それらは、リサイクルされた短炭素繊維または炭素繊維リボン、廃棄繊維ガラス繊維、廃棄石膏由来の無水石膏繊維、木綿、絹および合成品を含む繊維製品廃棄物またはリサイクルされた布製品由来の繊維、廃木材、紙、厚紙または竹由来のセルロース繊維、金属ワイヤまたは他の金属繊維、または上記の任意の組み合わせであってもよい。ゼオライト、ポゾラン、および石炭燃焼から廃棄物であるフライアッシュのような鉱物も、充填剤として使用されてもよく、補剛層の特性を改変する他の物質が、製造工程を促進し、または、単純にかさを増す。ポリマーはポリ塩化ビニルであってもよい。
【0033】
繊維が充填剤18として使用される場合、繊維は任意の長さであってもよい。短炭素繊維および繊維ガラス繊維が良好に作用し、特に、それらが他の製造作業由来の廃棄物である場合、ほとんどの用途について長繊維よりもコスト効率的であり得る。同様に、無水石膏ウィスカを、多くの産業工程の廃棄物である石膏から経済的に作成することができ、これは非常に強固であり、特にポリビニルアルコールおよびグルタルアルデヒドによって前処理される場合、ポリ塩化ビニル(PVC)に化学的に結合する。長繊維と短繊維との混合物も、充填剤18として使用することができる。一態様において、充填剤18は、第1のキャリア10を端から端までほぼ充填し、キャリア10と同じくらいに長い層を形成する。
【0034】
充填剤18の材料の分散は、第1のキャリア10が圧延されているときに充填剤18を第1のキャリア10上に振り落とすまたは拡散させることなどによって、第1のキャリア10のほとんどにわたる材料の分布を生成する任意の方法によって達成することができる。例えば、一定量の充填剤18を、ホッパ22内に配置することができる。充填剤18がホッパ22の底部へと降下するにつれて、ローラ26は、最も下の充填剤を、前方に通される充填剤18の量を制御するブレード30を越えて移動させる。その後、充填剤はブラシローラ34上に落下する。ブラシローラ34は、第1のキャリア10が動くときに、充填剤18を第1のキャリア10上に払い落とす。
【0035】
第1のキャリア10上の充填剤18のマット38の確立を支援するために、充填剤18が分散する前に、接着剤40を第1のキャリア10に被着させることができる。充填剤18が分散される前に、ホッパ42内の接着剤40を、ノズル46を通じてキャリア10上に噴霧することができる。おそらくは一連のホッパ22を使用して、マット38が層状に構築される場合、所望の深さおよび均一性まで充填剤層を形成するために、追加の接着剤噴霧を行うことができる。
【0036】
マット38を形成するために使用することができる充填剤18の量は、その機械的特性、および利用可能な1つまたは複数の充填剤の選択、ならびに、それらの特性および価格を含む、複合材製品の目的に依存する。したがって、第1のキャリア10上に分散される充填剤18の量は、少なくとも1センチメートルの厚さを有することができる。
【0037】
第1のキャリア10上のマット38に、結合剤50を被着させることができる。結合剤50は、液体、または、加熱されると液体を形成する粉末の形態であってもよい。結合剤50は、堆積された充填剤18によって形成されるマット38の表面上の間隙および空間に落下するように、マット38上に分散される。結合剤50は、ホッパ54からの噴霧、振り落とし、滴下、または吹き付けのような、その分布に適した任意の様式において被着させることができる。結合剤50は、HDPEまたはPET(PETGもしくはPETE)のような、第1のキャリア10と適合性があるように選択される材料であってもよく、霧状、液体、粉末、または粉砕されたリサイクルPETGのような粒子の形態であってもよい。
【0038】
第2のキャリア58を、第2のコア48からマット38の上に被着させることができる。第2のキャリア58は、HDPEまたはPET(PETGもしくはPETE)のような、第1のキャリア10と同じ材料から作成されてもよい。第1のキャリア10および充填剤18、ならびに任意選択的に結合剤50および接着剤40は組み合わさって、補剛層62を形成する。
【0039】
補剛層62は、加熱されたジャケットローラ60、64に通され、ジャケットローラは、熱および圧力を加えて、第1のキャリア10、結合剤50、および第2のキャリア58を軟化および液化し、それによって、それらはマット38の充填剤18全体を通じて流れる。ジャケットローラ60、64が、加熱とプレスの両方を行うために使用されてもよく、または、最初に赤外線ヒータのような別個の手段によって加熱が行われ、その後、プレスが行われてもよい。2セット以上のジャケットローラ60、64が使用されてもよい。ジャケットローラ60、64は、キャリア10を有するマット38が、ジャケットローラの間の通るときに段階的に圧縮されるように、離間され得る。ジャケットローラ64は、結合剤50を、マット38全体を通じて注入し、それによって、結合剤50がマット38内に浸透して第1のキャリア10および第2のキャリア58と結合するようにするために、増分的により大きい圧力を加えるために、ジャケットローラ60よりもともに近くに離間され得る。
【0040】
任意選択的に、ジャケットローラ60、64の連続したセットが、連続的により速い速度で回転することができ、それによって、依然として冷却しながら補剛層62が伸張し、それによって、特に短繊維である場合に、木材の繊維と同様に伸長方向において充填剤18の繊維が部分的に整列し、したがって、長繊維によって達成可能であるものと同等のより大きい強度が、層62に付与される。
【0041】
結合剤50は充填剤18に結合し、第1のキャリア10および第2のキャリア58の材料の選択に応じて、第1のキャリア10および第2のキャリア58に機械的または化学的に結合することができる。第1のキャリア10および第2のキャリア58がPET(PETGもしくはPETE)またはHDPEのフィルムである場合、この同じ材料から作成される結合剤50が、これと化学的に結合する。キャリア10が布地である場合、結合剤は布地の糸および繊維の間に浸透するため、結合は、機械的であり得る。
【0042】
本明細書において、化学結合とは、2つの異なる材料の原子または分子の間に化学結合が形成されることを意味する。機械的結合、または、複合作用は、流体材料が固体材料の周りを流れ、冷却されると、固体材料を冷却された材料のマトリクス内に取り込むことを意味するために使用される。
【0043】
補剛層62は、上述したように、バッチ工程または連続押し出し工程において作成されてもよい。
【0044】
第1のキャリア10および第2のキャリア58、ならびに結合剤50が冷却されると、補剛層62はクロスヘッドダイ66へと前方に動き、そこで、1つまたは複数のポリマー層72、76がその上に押し出されて構造物用複合材68が形成される。ポリマー層72、76は、発泡剤とともに、または、発泡剤を伴わずに押し出されるポリ塩化ビニルであってもよい。
【0045】
複数の補剛層62を形成すること、または、1つの補剛層62を形成してこれをより狭いストリップに切断することのいずれかによって、2つ以上の補剛層62が構造物用複合材68内に含まれてもよい。補剛層62は、(作成されたままの)薄い平坦な層として使用されてもよく、または、所望に応じて、多次元剛性を提供するために第3の寸法を有するように変形されてもよい。補剛層62は、同じ補剛層62が一体として使用される場合に、または、さらには、補剛層62から切り出されるストリップがより近接して配置されている場合よりも大きい曲げ強度を付与するために、好ましくは、対またはグループ内で離間される2つ以上のストリップまたは部分に切断することができる。
【0046】
補剛層62は、補剛層62とポリマー層72、76との間に機械的結合を提供するためにクロスヘッドダイ66を通じて引かれる前に改質することができる。両方とも、そうでなければ補剛層62によって画定される平面の外側に補剛層62の部分を押しやる、補剛層62内の穴またはパンチ穴を形成することによって、ポリマーは、補剛層62によって画定される平面内へと、かつ、平面にわたって流れ、それによって、補剛層62とポリマー層72、76との間の相互係止を増大することができる。これらの改質は、補剛層62が通される追加のローラ、ダイ、パンチプレスまたはカッタによって行うことができる。
【0047】
構造物用複合材68が押し出された後、構造物用複合材は、ソー、レーザ、ウォータージェット、または他の切断デバイスによって所望の長さに切断される。
【0048】
構造物用複合材を作成するための方法が、図2に概略的に示されている。方法は、プラスチックフィルムまたは布地から作成することができる第1のキャリア10を圧延するステップを含む。充填剤18が第1のキャリア10上に分散されて、マット38が形成される。充填剤18を含む材料を、第1のキャリア10上の適所に保持するために、第1のキャリア10に接着剤40を被着させることができる。マット38上に、結合剤50も分散させることができる。
【0049】
マット38が形成されると、マットは、第1のキャリア10、および、使用される場合は結合剤50が充填剤18へと流れるようにそれらを融解させるために、加熱を受ける。液化された第1のキャリア10および結合剤50が充填剤18へと流れるように強制するために、マット38がプレスされる。これら2つのステップは、マット38の加熱とプレスの両方を行う、加熱されたジャケットローラ60、64の対を使用して同時に行うことができる。その上、ジャケットローラ64が先行するジャケットローラ60よりもわずかに速く回転するようにされている場合、加熱されたジャケットローラ60、64は、マット38を伸張させることができる。結合剤50が固化している間にマット38を伸張させることは、剛性を改善するために充填剤18を整列させるのに役立つ。ジャケットヒータローラ64の増分的な速度は、適度な量の実験によって決定することができる。
【0050】
その後、完成した補剛層62を、2つ以上の方向における剛性を提供するプロファイルを有するように、形成することができる。プロファイルという用語は、補剛層が、U字状、W字状、またはL字状など、第3の次元においても延伸するように、二次元層から屈曲または成形されることを意味する。完成した補剛層62はまた、複数の異なる方向において全体的な剛性を改善するように位置決めされるストリップまたはセグメントに切断することもできる。ストリップは、ポリマーを添加する前に、複合材構造物用要素の中立軸から離して外方に離間され得る。ポリマーを補剛層62のストリップの周りに押し出すために、クロスヘッドダイを使用することができる。
【0051】
ここで図3A図3Hを参照すると、1つまたは複数の補剛層を複合材製品内に分散させることができるいくつかの代表的な方法が示されている。単純にするために、各構造物用複合材は、単純な矩形断面として示されており、その中で、1つまたは複数の補剛層がポリマー内に示されている。技術解析における慣例により、外部負荷が、下向きの矢印によって示されている。
【0052】
図3Aに示す例において、補剛層80は、概して、相対的に薄い完成した複合材製品84の上面と底面との間に平行にかつその中ほどに延在する。補剛層80の剛性を増大させるために、補剛層は、穴88を開けられ、穴88を通じて、ポリマー92が、補剛層80がポリマー92のマトリクス内に組み込まれるときに生じる結合効果である複合作用によって、それ自体を補剛層80に固定するために流れることができる。
【0053】
図3Bに示す例において、単一の補剛層96が、概して、相対的に物完成した複合材製品100の上面と底面との間に平行にかつその中ほどに延在する。補剛層96の剛性を増大させるために、補剛層は、図示されているように1つの側または2つの側から、同じく補剛層96とポリマー108のマトリクスとの間に複合作用をもたらす窪み104を有するように、型打ちされ得る。
【0054】
図3Cは、本開示の一態様による、ポリマーマトリクス120内での補剛層112、116の単純で効率の高い強化分散を示す。補剛層112、116は、水平方向において、互いに平行に、かつ負荷の方向に対して垂直に設置され、複合材製品124の断面内でその方向において離間される。その結果は、上部および底部にある厚い水平フランジが、一般的により薄い垂直な鋼製ウェブによって分離されている鋼製Iビームのように挙動する。上から荷重されると、Iビームの上側フランジ、すなわち補剛層112は、ビームの断面に垂直な圧縮下に置かれ、一方で、下側フランジ、すなわち補剛層116は張力下に置かれる。補剛層112、116の幅に沿った各点が同様の張力または圧縮を受けるため、破壊が発生するまでに、幅全体が、ほぼ、複合材製品124の組成物の破壊応力まで荷重され得る。
【0055】
図3Dは、別の単純な分散を示しており、ここでは、複数の補剛部材128、132、136が、垂直方向において、荷重の方向に平行に設置されている。ポリマー138内の各補剛部材128、132、136の縁部しか、破壊応力近くまで荷重され得ず、一方で中心により近い部分が受ける加重はより少ないため、この構成は幾何学的形状の利点が少ないが、多くの事例において依然として有用であり得る。
【0056】
図3Eの例は、破壊までに様々な方向からの加重に耐えることが可能な箱状の複合材製品156を形成する、垂直と水平とが組み合わさった補剛層140、144、148、152を示している。
【0057】
図3Fは、複合材製品162内の単一の補剛層158を示している。補剛層158は、垂直ウェブ174によって接合されている上部強化面166および底部強化面170を含む三次元形状に折り畳まれている。いくつかの事例において、製造業者が、切り離すのではなく、単一の補剛層158をこのように変形させることが好都合である場合がある。
【0058】
図3Gおよび図3Hは、図3Fに示す構成よりも大きい水平対称性を有する三次元プロファイルへと単一の補剛層178、178’を折り畳む代替的な方法を示す。加えて、繊維含有強化は一般的に、十分に支持されない場合に潰れる傾向にある圧縮下よりも、張力下においてより強固であるため、これらのプロファイルは、圧縮を受けるために上部により多くの補剛材料を配置し、一方で、張力を受けるために底部に配置される量はより少ない。機械技術者は、鋼で作製されると、わずかな変更でUNI−STRUT(Atkore Internationalの商標)および同様の鋼製フレームシステムのチャネル構造物を形成するため、特に図3Gに示す分散を認め得る。
【0059】
ここで図4を参照すると、本発明の方法を使用して形成され、元々はより広い補剛層から分離されている可能性がある狭いストリップを各々が含む複数の補剛層182、184、186、188、190、192、および194を組み込んでいる、ドア枠のための複合材製品180が示されている。補剛層182、184、186、188、および190、ならびに、補剛層192および194の離間は、主に水平方向における剛性を提供し、一方、補剛層192、194、ならびに、補剛層182,190および184、186、188の離間は、垂直方向における剛性を提供する。補剛層182、184、186、188、180、192、および194は、図示されているように平坦である必要はなく、湾曲していてもよく、または、所与の用途に必要とされるせん断および曲げ強度を提供しながら製造するのに好都合であり得るような任意の他の形状に形成されてもよい。
【0060】
本開示の態様を使用して作成される製品の剛性および曲げ強度を推定するための単純な方法が存在し、そのため、1つまたは複数の補剛層の任意の分散を推定することができ、最適な構成を選択することができる。方法は、ビームの曲げを計算するための技術教本、特にE.P.Popov,Mechanics of Materials,Second Edition,(c)1976 by Prentice−Hall,Incに見られることが多いものに基づくが、ここでは便宜上、単純化されている。単純化は、安全率をより大きくするために剛性および強度をわずかに過小評価する傾向にある、保守的なものである。
【0061】
例示を目的として、図4に示す構造物用部材の断面を、図5に再び示す。荷重は上から来ると仮定され、この方向における剛性および曲げ強度が推定される。任意の他の方向からの力への抵抗における剛性および曲げ強度については、断面は単純に、力の方向を再び上に置くように回転され得る。
【0062】
最初に、断面が、実際のサイズ、または、その何らかの好都合な整数分の1(1/2、1/5など)もしくは整数倍(2、5など)のいずれかにおいて、方眼紙、またはより好ましくは、CADのような設計アプリケーションを作動させているコンピュータ画面のいずれかにおいて描画される。これは例えば、図5Aに示すように写真または図面をトレースし、その後、スケールを調整することによって行うことができる。
【0063】
その後、包囲しているポリマーが図面から「取り除かれる」(言い換えれば、保守的に、ポリマーが寄与し得る強度または剛性は一切信用されない)。図面上の任意の場所、ただし、最も好都合には、図5Bに示すように底部に、ゼロ軸200が描画される。
【0064】
各補剛層(ここでは182〜194)の幅Wおよびそのゼロ軸からの距離Yが測定され、実際の(スケーリングされていない)インチ単位で表現され、補剛層が水平に向いているかまたは垂直に向いているかを示す「h」または「v」とともに、表形式で、例えば、スプレッドシートに記録される。こうするのは、その二者は解析の後の段階において別様に処理されるためである。スプレッドシートの使用において、「h」は便宜上「0」に置き換えられ、「v」は「1」に置き換えられる。
【0065】
各層について、WおよびYはともに乗算される。幅は合計もされ、WおよびYの積が合計され、その後、積の合計が幅の合計によって除算されて、ゼロ軸200の上の中立軸216の位置が求められる。
Y’=Σ(W*Y)/ΣW
これは、図5Cの右側の表に示すとおりである。
【0066】
この例について、中立軸216は、ゼロ軸の0.482インチ上に位置する。その後、中立軸216を表す線が、図面に加えられる。各補剛層の中立軸からの距離Y−Y’が求められ、2乗され、その後、幅によって乗算される。
(Y−Y’)*W
【0067】
この式は、全体的な剛性および曲げ強度に対する、各層の相対寄与分を表す。
【0068】
図5Cの表から明らかであるように、中立軸から最も遠い層は、不相応に寄与し、一方で、中立軸に近い層の寄与分は無視できるほどに小さいものであり得る。本開示のこの特徴は、たとえ短繊維、長繊維と短繊維との混合物、および異なる種類の繊維の混合物を使用するときであっても、より大きい剛性および曲げ強度を達成するように、補剛材料の配置を変更することができるという点において、既知の従来技術にまさる利点を実証している。また、補剛部材は切断することができるため、単一幅の補剛部材が、クロスヘッドダイを通じた単回の押し出しにおいて複数の補剛層を提供することができる。
【0069】
垂直な補剛層についてのみ、それらの強度は中立軸から様々な距離にわたって分散されるため、1つのさらなるステップが必要である。そのような層の幅が3乗され、その後12によって除算される。構造物技術者であれば、これは、保守的に、かつ単純にするために、すべての補剛層がここでは単純な平面として扱われるために、その底項が失われている矩形ビームの慣性モーメントの式I=bh/12であると認識するであろう。垂直な補剛層を表すためにスプレッドシート内で「1」を使用することによって、この追加のステップが呼び出され、一方、水平な補剛層については、「0」によってこのステップが省略される。
【0070】
(Y−Y’)*W項のすべて、および、垂直な層についてはW/12項のみが合計されて、合計慣性モーメントが得られる。
total=Σ(Y−Y’)*W+Σvert/12
【0071】
この結果は、長さの3乗の単位で与えられる。解析されている例について、結果は、0.589立方インチである。慣性モーメントは通常、長さの4乗の次元において表現される。ここでの相違は、補剛層の強度および弾性について、ポンド毎平方インチではなく、ポンド毎インチ幅が使用されていることに起因する。
【0072】
構造物用部材の剛性の保守的な推定値は、Itotalを、ここでもポンド毎インチ幅で表現される、補剛層材料の弾性率Eによって乗算することによって求めることができる。開示されている方法に従って生成されるサンプルについて、Eは約550,000ポンド毎平方インチである。このとき、0.08インチの一般的な厚さは、44,000ポンド毎インチ幅をもたらす。したがって、ちょうど解析されている構造物用部材の剛性は44,000lbf/in*0.589in=25,916inlbfにおいて保守的に推定され、これは、ほとんどの構造計算において通常のEI(I=in単位の慣性モーメント)に置き換わる。
【0073】
例えば、端部において支持されている、中心で荷重されるビームの最大のたわみ(ビーム自体の重量は無視する)は、通常、以下のように計算される。
max=PL/48EI
【0074】
式中、Pはポンド単位の加重であり、Lはインチ単位のビームの長さであり、EおよびIは上記で定義したとおりである。Pを1ポンドとし、Lを96インチとし、EIを25,916inlbfに置き換えることによって、1*64/25,916=0.711インチに等しいたわみvmaxがもたらされ、これは妥当な値である。
【0075】
同様に、ビームの曲げ強度、すなわち、ビームが損傷することなく支持することができる最大曲げモーメントは通常、以下のように求められる。
max=σmax*Itotal/c
【0076】
式中、σmaxはポンド毎平方インチ単位の最大許容応力であり、cは中立軸216から最も離れた負荷保持要素までの距離である。
【0077】
この単純化された手法において、σmaxはポンド毎インチ幅単位の補剛層の引張または圧縮強度である。これは、既知の安全率を提供するために、20%だけ低減されることが望ましい。図5Cに見られるI[subtotal]は、Iに置き換わる。開示されている方法に従って炭素繊維強化PETについて予測されるσmaxは100,000lb/inであり、これは厚さを0.08インチとすると、6400ポンド毎インチ幅になる。図5における例について最も遠い距離Y−Y’は0.438インチである。再びItotal=0.451inを使用すると、6400lbf/in*0.589in/0.438in=8606インチ・ポンドに等しい値Mmaxの許容可能な曲げモーメントがもたらされる。これは、天然木材について予測されるよりも確実に高い、ドア枠のような小型の強化複合材製品にとっては驚くほど高い値であるが、試験されているサンプルの性能に基づけば現実的である。
【0078】
このように、すべての既知の従来技術にまさる、開示されている組成物および方法の利点が明らかにされた。すなわち、可能にされる補剛層の柔軟性は、単純な数学を使用して扱いやすく、スプレッドシートを使用して容易に実施されて、実質的に任意の所望の剛性または曲げ強度を、優れて経済的な材料を用いて達成するために、複合材製品または構造物用部材内の配置が評価および最適化される。この利点は、開示される方法がリサイクルされた材料を用いて実行することができるという事実に照らせばいっそう明らかである。
【0079】
本開示またはその例示的な態様もしくは実施形態(複数可)の要素を紹介するとき、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「前記(said)」は、その要素が1つまたは複数あることを意味するように意図されている。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であるように意図されており、リストされている要素に加えて追加の要素があってもよいことを意味する。本開示が特定の実施形態に関連して説明されているが、これらの実施形態の詳細は、限定として解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0080】
10 キャリア
18 充填剤
22 ホッパ
26 ローラ
30 ブレード
34 ブラシローラ
38 マット
40 接着剤
42 ホッパ
46 ノズル
48 第2のコア
50 結合剤
58 第2のキャリア
60 ジャケットローラ
62 補剛層
64 ジャケットローラ
80 補剛層
84 複合材製品
88 穴
92 ポリマー
96 補剛層
100 複合材製品
104 窪み
108 ポリマー
112 補剛層
116 補剛層
124 複合材製品
138 ポリマー
158 補剛層
162 複合材製品
174 垂直ウェブ
200 ゼロ軸
216 中立軸
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4
図5A
図5B
図5C