(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態の設計支援装置、設計支援方法、及び設計支援プログラムについて、
図1〜
図18を参照して説明する。
図1は、本実施形態の設計支援装置1の機能的構成を示す説明図である。設計支援装置1は、設計者が設計品の設計を行う際に、当該設計品の設計を支援する装置である。本実施形態の設計支援装置1は、
図1に示すサーバ装置2によって実現されている。具体的には、サーバ装置2は、CPU等を具備するコンピュータによって構成され、メモリ等の記憶媒体に記憶された設計支援プログラムを実行する。
【0028】
図1に示すように、サーバ装置2は、インターネット等のネットワーク3に接続されており、ネットワーク3には設計者が設計を行う設計者端末4が接続されている。この設計者端末4は、
図1においては1台のみ図示しているが、現実には多数存在している。サーバ装置2は、基準モデル記憶部22、型番記憶部23及び設計品モデル記憶部24を含む記憶部21を備えている。本実施形態における記憶部21が、本発明における記憶部に対応する。
【0029】
基準モデル記憶部22には、部品種類に応じて階層化された複数の標準部品のデータであって、各標準部品の標準形状を示す基準モデルが記憶されている。型番記憶部23には、基準モデルに関連づけられた標準部品の型番を示す型番のデータが記憶されている。
【0030】
設計品モデル記憶部24には、複数の部品を組み合わせて設計された設計品が複数記憶されている。この設計品モデル記憶部24では、予め多くの設計品モデルを制作し、テンプレート集とすることで、設計者の負担の軽減を実現している。また、記憶部21には、基準モデル記憶部22、型番記憶部23及び設計品モデル記憶部24に記憶されていないカタログ掲載情報も記憶されている。
【0031】
また、サーバ装置2は、設計者端末4によって部品を変更する変更指示があった際に、当該変更指示を受け付ける受付処理を実行する受付部25を備えている。また、サーバ装置2は、変更指示による変更後の部品に対応する標準部品を検索する検索処理を実行する検索部26を備えている。本実施形態における受付部25及び検索部26がそれぞれ、本発明における受付部及び検索部に対応する。また、本実施形態における受付部25による受付処理及び検索部26による検索処理がそれぞれ、本発明における受付ステップ及び検索ステップに対応する。
【0032】
また、サーバ装置2は、変更指示が、部品に対する特定の変更を指示する特定変更指示に該当するか否かを判定する判定処理を実行する判定部27を備えている。さらに、サーバ装置2は、設計者端末4のディスプレイ41に表示されるモデル等の表示内容を制御する表示制御処理を実行する表示制御部28を備えている。本実施形態における判定部27及び表示制御部28がそれぞれ、本発明における判定部及び表示制御部に対応する。また、本実施形態における判定部27による判定処理及び表示制御部28による表示制御処理がそれぞれ、本発明における判定ステップ及び表示制御ステップに対応する。
【0033】
表示制御部28は、所定条件下で変更前の部品の表示モデルを変更後の部品に対応する標準部品の基準モデルに置換するモデル置換処理と、変更前の部品の型番を変更後の部品に対応する標準部品の型番に置換する型番置換処理とを選択的に行う。
【0034】
設計者端末4は、一般的なパーソナルコンピュータによって構成され、ディスプレイ41と、キーボード42と、マウス43と、コンピュータ本体44とを備えている。本実施形態におけるディスプレイ41が、本発明における表示装置に対応する。コンピュータ本体44は、CPU、メモリ、ハードディスク等から構成されている。
【0035】
次に、本実施形態における設計支援処理について、
図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態における設計支援処理を示すフローチャートである。サーバ装置2の受付部25は、設計者端末4のキーボード42又はマウス43を介してディスプレイ41に表示されている設計品のモデルを構成する複数の部品のうちの少なくとも1つの部品を変更する変更指示を受け付ける。
【0036】
受付部25が変更指示を受け付けると、サーバ装置2は、
図2のフローチャートで示される設計支援処理を開始する。まず、判定部27は、受付部25により受け付けられた変更指示が部品に対する特定の変更を指示する特定変更指示に該当するか否かを判定する(STEP1)。
【0037】
本実施形態において、部品に対する特定の変更は、モデルを置換する必要がないと予め設定された変更である。特定の変更としては、例えば、部品固有の動作(伸縮、摺動、回転等)による形状の変更、部品のタイプ変更、部品のサイズ変更、部品の材質変更、他の部品への取付部分の変更等が挙げられる。さらに、各特定変更指示に対して、型番置換を伴う変更指示、すなわち、型番を置換する必要がある変更指示であるか否かが予め設定されている。
【0038】
判定部27は、変更指示が特定変更指示に該当すると判定した場合(STEP1;YES)、当該特定変更指示が型番置換を伴う変更指示であるか否かをさらに判定する(STEP2)。判定部27により特定変更指示が型番置換を伴う変更指示であると判定された場合(STEP2;YES)、検索部26は、記憶部21を参照して、変更指示による変更後の部品に対応する標準部品の検索処理を行い、対応する標準部品が存在するか否かを判断する(STEP3)。
【0039】
検索部26により対応する標準部品が存在しないと判断された場合(STEP3;NO)、表示制御部28は、対応する標準部品が存在しない旨を報知する画面を設計者端末4に表示させる報知情報を送信する報知処理を行い(STEP7)、サーバ装置2は本処理を終了する。設計者端末4は、サーバ装置2から受信した報知情報に基づいて、対応する標準部品が存在しない旨を報知する画面をディスプレイ41に表示する。
【0040】
一方、検索部26により対応する標準部品が存在すると判断された場合(STEP3;YES)、表示制御部28は、検索部26の検索結果に基づいて型番置換処理を実行する(STEP4)。具体的には、表示制御部28は、変更前の部品の型番を変更後の部品に対応する標準部品の型番に置換する型番置換処理を実行し、置換された型番を設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する。
【0041】
STEP4の型番置換処理が完了した場合、又はSTEP2において特定変更指示が型番置換を伴う変更指示ではないと判定された場合(STEP2;NO)、表示制御部28は、変更前の部品の表示モデルを変更後の部品に対応する標準部品の基準モデルに置換するモデル置換処理を実行せず、部品の表示モデルの変更処理を実行する(STEP5)。具体的には、表示制御部28は、変更前の部品の表示モデルに特定変更指示に対応する変更を行い、変更された表示モデルを設計者端末4のディスプレイ41に表示させる表示制御情報を生成する。そして、表示制御部28は、生成した表示制御情報を設計者端末4に送信する表示処理を行い(STEP6)、サーバ装置2は本処理を終了する。設計者端末4は、サーバ装置2から受信した表示制御情報に基づいて、ディスプレイ41の表示内容を変更する。
【0042】
上述のSTEP1において変更指示が特定変更指示に該当しないと判定された場合(STEP1;NO)について説明する。この場合、検索部26は、上述のSTEP3と同様の検索処理を実行する(STEP8)。検索部26により対応する標準部品が存在しないと判断された場合(STEP8;NO)、サーバ装置2は上述の報知処理(STEP7)に移行する。
【0043】
一方、検索部26により対応する標準部品が存在すると判断された場合(STEP8;YES)、表示制御部28は、検索部26の検索結果に基づいてモデル置換処理を実行する(STEP9)。具体的には、表示制御部28は、変更前の部品の表示モデルを変更後の部品に対応する標準部品の基準モデルに置換するモデル置換処理を実行し、置換された基準モデルを設計者端末4のディスプレイ41に表示させる表示制御情報を生成する。そして、表示制御部28は、上述のSTEP4と同様の型番置換処理を実行し(STEP10)、サーバ装置2は上述の表示処理(STEP6)に移行する。
【0044】
本実施形態における設計支援装置1によれば、不要なモデル置換処理が行われるのを防止できるため、変更後の各部品間の関連づけが維持され、設計者の労力を軽減させることができる。
【0045】
(実施例1)
次に、本実施形態における設計支援装置1の実施例について以下説明する。実施例1は、部品変更の対象がばねである場合の例である。まず、本実施例におけるばねの基準モデルを入手(インポート)するための製品選択画面について、
図3を参照して説明する。
図3は、製品(部品)を選択するための製品選択画面を示す説明図である。
【0046】
設計者は、この製品選択画面45から設計に用いる部品を選択する。この製品選択画面45は、設計支援プログラムの起動時に表示される。また、製品選択画面45は、後述する入力画面50のモデル検索画面51に表示されている「モデル検索画面」の表示をクリックすることにより表示させることもできる。
【0047】
具体的には、まず、設計者は、
図3(A)に示すように、ディスプレイ41上において製品(部品)を選択するための製品選択画面45を表示させる。製品選択画面45においては、設計者端末4のマウス43の動きを示すポインタ46が表示される。
【0048】
設計者が引っ張りばねを選択する場合を例にすると、部品選択画面では、
図3(A)に示すように、「ばね」に関する製品がカテゴリ毎に分かれて表示される。設計者は、このカテゴリの一覧から、ポインタ46によって「ばね」のカテゴリを選択する。
【0049】
上記操作によって「ばね」のカテゴリが選択されると、
図3(B)に示すように、そのカテゴリ内の製品が一覧表示される。設計者は、このカテゴリ内の製品から、「引っ張りばね」の製品を選択する。
【0050】
上記操作によって「引っ張りばね」が選択されると、
図3(C)に示すように、その製品におけるシリーズの一覧が表示される。設計者は、この一覧の中から、設計に必要な製品を選択する。例えば、引っ張りばねの場合、「極軽荷重、軽荷重、軽中荷重、中荷重」、「中重荷重、重荷重」、「フリー指定」、及び「フック組込み」の4つのシリーズが設けられている。
【0051】
上記操作によって、設計に必要な製品が選択されると、
図3(D)に示すように、その製品の仕様が表示される。このため、設計者は、自己が選択した製品が、設計に必要な製品であるか否かをこの画面で確認することができる。選択した製品が、設計者の目的の製品であった場合は、
図3(D)において「アセンブリにインポート」のボタンをポインタ46で選択する。
【0052】
そして、設計者は、製品選択画面45から入手した複数の部品のモデルを組み合わせて設計品の設計を行う。
図4は、実施例1の設計支援装置において、設計者端末4のディスプレイ41に表示される編集画面47と入力画面50を示す。
図4において、編集画面47には、設計者が設計する設計品60のモデルが表示されている。
【0053】
ここで、
図4における編集画面47について説明する。
図4における編集画面47には、設計品60の一例である移動ユニットのモデルが表示されている。
図4に示すように、設計品60のモデルは、基板61、レール62、スライダ63、プレート64、固定側ポスト65、移動側ポスト66、及びコイルスプリング67のモデルにより構成されている。
【0054】
設計品60は、基板61上にレール62とスライダ63とを有するリニアガイドを装着し、スライダ63にプレート64を固定した移動ユニットである。レール62は、基板61の表面に固定されている。また、基板61には固定側ポスト65が固定されており、プレート64には移動側ポスト66が固定されている。そして、固定側ポスト65と移動側ポスト66の間にコイルスプリング67が装着される構造となっている。
【0055】
設計者は、編集画面47において、CADソフトウェアの合致拘束などの機能を利用して、入手した部品同士の関連づけを設定する。例えば、設計者は、コイルスプリング67と固定側ポスト65との間に関連づけの設定を行う。同様に、設計者は、コイルスプリング67と移動側ポスト66との間に関連づけの設定を行う。
【0056】
次に、入力画面50について、
図5を参照して説明する。
図5は、
図4の入力画面50の詳細を示す説明図である。実施例1において、入力画面50は、
図4に示すように、ディスプレイ41の左側に表示される。詳細には、
図5に示すように、入力画面50の上側には、部品の型番を入力可能なモデル検索画面51が設けられている。モデル検索画面51の下方には、選択された部品(実施例1ではコイルスプリング67)のファイル名や商品名、或いはカタログのPDFファイルを表示させるボタン等が表示された部品情報画面52が設けられている。
【0057】
部品情報画面52の下方には、選択された部品の仕様に関する情報を示す部品仕様画面53が設けられている。実施例1において、部品仕様画面53には、コイルスプリング67のタイプ531、材質532及びフック対向角533が表示される。なお、この部品仕様画面53は、切り替えタブによって、価格/納期画面(図示省略)に切り換えることができる。
【0058】
タイプ531には、コイルスプリング67の荷重タイプが選択可能なプルダウンメニューが表示される。材質532には、コイルスプリング67の材質を示す記号が選択可能なプルダウンメニューが表示される。フック対向角533には、コイルスプリング67の両端に形成されるフックの対向角(180°/90°)が選択可能な選択ボタンが表示される。
【0059】
また、部品仕様画面53の下方には、選択された部品の外形に関する情報を示す部品外形画面54が設けられている。実施例1において、部品外形画面54には、コイルスプリング67の外形
図541、外径D542及び自由長L543が表示される。外形
図541には、カタログに掲載されているコイルスプリング67の外形図が表示される。外形
図541は、入力を受け付けないように構成されている。外形D542には、コイルスプリング67の外径の値が入力可能なボックスが表示される。自由長L543には、コイルスプリング67の自由長Lの値が入力可能なボックスが表示される。
【0060】
部品外形画面54の下方には、選択された部品のカタログ掲載情報を示すカタログ情報画面55が設けられている。実施例1において、カタログ情報画面55には、コイルスプリング67の線径、フック内径、許容たわみ量、許容荷重、ばね定数及び初張力が表示される。このカタログ情報画面55には、選択された部品のカタログ値が表示されるため、設計者は選択された部品について、電子カタログや冊子のカタログを参照することなく必要な情報を得ることができる。なお、カタログ情報画面55は、入力を受け付けないように構成されている。
【0061】
カタログ情報画面55の下方には、選択された部品の使用状態及び表示形式を設定する使用・表示設定画面56が設けられている。実施例1において、使用・表示設定画面56には、自由長561、セット長563、許容たわみ量565、及び表示形式を選択する選択ボタン567が表示される。
【0062】
自由長561には、部品外形画面54の自由長L543によって入力された値が表示される。自由長561の下方には、コイルスプリング67が自由長の状態の際の張力562がN(ニュートン)とKgf(重力キログラム)で表示される。自由長561及び張力562は、入力を受け付けないように構成されている。
【0063】
張力562の下方には、コイルスプリング67の変形量を示す値を入力するセット長563が表示される。このセット長563には、コイルスプリング67の自由長から許容たわみ長までの間の値が入力可能なボックスが表示される。セット長563の下方には、入力されたセット長におけるコイルスプリングの張力564がサーバ装置2により自動で計算されて表示される。張力564は、入力を受け付けないように構成されている。
【0064】
張力564の下方には、許容たわみ量565が表示される。ここで表示される許容たわみ量は、タイプ531や材質532によって決定される。許容たわみ量565の下方にも、許容たわみ量の状態におけるコイルスプリングの張力566が表示される。許容たわみ量565及び張力566は、入力を受け付けないように構成されている。
【0065】
コイルスプリングの張力566の下方には、選択ボタン567が表示される。選択ボタン567には、表示形式をスパイラル、ハイブリッド及びソリッドのいずれにするかを選択可能な選択ボタンが表示される。表示形式をスパイラルにすると、編集画面47上に表示されるコイルスプリング67のモデルが、そのままスプリングの形状として表示される。表示形式をハイブリッドにすると、コイルスプリングの両端の一部がスプリング形状で表され、中間部が円柱のモデルとして表示される。表示形式をソリッドにすると、コイルスプリング67が円柱のモデルとして表示される。ハイブリッドやソリッドの形式を選択すると、スパイラルの形式を選択した場合に比べ、設計品60をデータとして保存した際に、ファイルサイズを小さくすることができる。
【0066】
使用・表示設定画面56の下方には、型番、単価、出荷日、価格詳細ボタンが表示される商品情報表示画面57が設けられている。この商品情報表示画面57の下方には、モデルに反映ボタン58及び型番付き保存ボタン59が設けられている。
【0067】
実施例1においては、入力画面50におけるタイプ531、材質532、フック対向角533、外径D542、自由長L543及びセット長563の変更指示が特定変更指示、すなわち、モデルを置換する必要がないと予め設定された変更の指示に対応する。これら特定変更指示のうち、タイプ531、材質532、フック対向角533、外径D542及び自由長L543の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示であると予め設定されており、セット長563の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示ではないと予め設定されている。
【0068】
次に、実施例1の設計支援装置1を用いて設計品60を設計する際の設計支援処理について、
図6を参照して説明する。
図6は、設計品である移動ユニットの動きを示す説明図である。
【0069】
設計品60の設計にあたり、まず、設計者は、設計に必要な部品のモデルの入手を行う。具体的には、設計者は、設計支援プログラムを起動して上述した製品選択画面45(
図3参照)を表示させ、所望の部品を選択して部品の基準モデルを入手する。例えば、設計者がコイルスプリングを選択した場合、コイルスプリング67の基準モデルが編集画面47に表示される。
【0070】
そして、設計者は、編集画面47において、CADソフトウェアの合致拘束などの機能を利用して、入手した部品同士の関連づけを設定する。例えば、
図6(A)に示すように、設計者は、コイルスプリング67と固定側ポスト65との間に関連づけの設定を行う。同様に、設計者は、コイルスプリング67と移動側ポスト66との間に関連づけの設定を行う。
【0071】
ここで、
図6(A)に示す設計品60を含む編集画面47及び入力画面50が表示されているときに、設計者がセット長563に所望のセット長を入力し、反映ボタン58をクリックして変更指示を行う場合について説明する。この場合、サーバ装置2の受付部25は、当該セット長の変更指示を受け付ける。そして、判定部27は、セット長の変更指示が特定変更指示であると判定する(
図2のSTEP1;YES)と共に、セット長の変更指示は型番置換を伴う変更指示ではないと判定する(
図2のSTEP2;NO)。
【0072】
表示制御部28は、モデル置換処理を実行せずに、セット長の変更指示に対応する変更を施す変更処理を実行する(
図2のSTEP5)。具体的には、表示制御部28は、コイルスプリング67の表示モデルの長さが変更指示のセット長となるように表示モデルを変形する。また、表示制御部28は、コイルスプリング67の変形にあわせて、移動側ポスト66、プレート64及びスライダ63の表示位置を変更する。
【0073】
さらに、表示制御部28は、コイルスプリング67と固定側ポスト65との間の関連づけ、及びコイルスプリング67と移動側ポスト66との間の関連づけを維持する。そして、表示制御部28は、変更された表示モデルを設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する。
【0074】
表示制御部28が表示制御情報を設計者端末4に送信する表示処理を行うと(
図2のSTEP6)、設計者端末4は、当該表示制御情報に基づいて、
図6(B)に示すように、ディスプレイ41の編集画面47中のコイルスプリング67の表示モデルを変更すると共に周囲のモデルの表示位置を変更する。
【0075】
この場合、コイルスプリング67と固定側ポスト65との間の関連づけ、及びコイルスプリング67と移動側ポスト66との間の関連づけは維持される。なお、型番置換処理が実行されていないため、入力画面50の商品情報表示画面57におけるコイルスプリング67の型番表示「ABC3−10」は、そのまま維持される。
【0076】
次に、
図6(A)に示す設計品60を含む編集画面47及び入力画面50が表示されているときに、設計者がタイプ531に所望のタイプを入力し、反映ボタン58をクリックして部品の変更指示を行う場合について説明する。この場合、サーバ装置2の受付部25は、当該タイプの変更指示を受け付ける。そして、判定部27は、タイプの変更指示が特定変更指示であると判定する(
図2のSTEP1;YES)と共に、タイプの変更指示が型番置換を伴う変更指示であると判定する(
図2のSTEP2;YES)。
【0077】
検索部26は、タイプの変更指示による変更後の部品に対応する標準部品を検索し(
図2のSTEP3)、表示制御部28は、タイプの変更後のコイルスプリング67に対応する標準部品の型番を設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する型番置換処理を行う(
図2のSTEP4)。
【0078】
表示制御部28は、モデル置換処理を実行せずに、タイプの変更指示に対応する変更を施す変更処理を実行する(
図2のSTEP5)。具体的には、表示制御部28は、コイルスプリング67の表示モデルのタイプが変更指示のタイプとなるように表示モデルを変更する。また、表示制御部28は、コイルスプリング67と固定側ポスト65との間の関連づけ、及びコイルスプリング67と移動側ポスト66との間の関連づけを維持する。そして、表示制御部28は、変更された表示モデルを設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する。
【0079】
表示制御部28が表示制御情報を設計者端末4に送信する表示処理を行うと(
図2のSTEP6)、設計者端末4は、当該表示制御情報に基づいて、ディスプレイ41の編集画面47中の設計品60のモデルの表示を変更する。この場合、コイルスプリング67と固定側ポスト65との間の関連づけ、及びコイルスプリング67と移動側ポスト66との間の関連づけは維持される。また、設計者端末4は、入力画面50の商品情報表示画面57におけるコイルスプリング67の型番表示を置換する。
【0080】
なお、サーバ装置2は、変更指示が材質532、フック対向角533、外径D542及び自由長L543のうちのいずれかの変更指示の場合、タイプ531の変更指示と同様の処理を実行する。
【0081】
次に、
図6(A)に示す設計品60を含む編集画面47及び入力画面50が表示されているときに、設計者がモデル検索画面51の「モデル検索画面」ボタンをクリックし、上述の製品選択画面45でコイルスプリング67のシリーズの変更指示を行う場合について説明する。この場合、サーバ装置2の受付部25は、当該シリーズの変更指示を受け付ける。製品選択画面45によるシリーズの変更は、モデルを置換する必要がないと予め設定された変更すなわち特定の変更ではないため、判定部27は、当該シリーズの変更指示が特定変更指示ではないと判定する(
図2のSTEP1;NO)。
【0082】
検索部26は、シリーズの変更指示による変更後の部品に対応する標準部品を検索する(
図2のSTEP8)。そして、表示制御部28は、シリーズの変更後のコイルスプリング67に対応する標準部品の基準モデルを設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成するモデル置換処理を行う(
図2のSTEP9)。また、表示制御部28は、シリーズの変更後のコイルスプリング67に対応する標準部品の型番を設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する(
図2のSTEP10)。
【0083】
表示制御部28が表示制御情報を設計者端末4に送信する表示処理を行うと(
図2のSTEP6)、設計者端末4は、当該表示制御情報に基づいて、
図6(C)に示すように、ディスプレイ41の編集画面47中の設計品60のコイルスプリング67の表示モデルを、シリーズ変更後のコイルスプリング67の基準モデルに置換する。
【0084】
この場合、コイルスプリング67と固定側ポスト65との間の関連づけ、及びコイルスプリング67と移動側ポスト66との間の関連づけは解除される。また、設計者端末4は、入力画面50の商品情報表示画面57におけるコイルスプリング67の型番表示「ABC3−10」を「XYZ5−15」に置換する。
【0085】
このように、実施例1においては、設計品60の部品の一つであるコイルスプリング67について、シリーズの変更指示の場合は従来と同様にモデル置換処理が行われるが、コイルスプリング67のセット長等の特定変更指示であれば、モデル置換処理を行うことなく、編集画面47に表示された部品の表示モデルの形状が変更される。
【0086】
したがって、変更指示が特定変更指示と判定された場合、コイルスプリング67の両端部分と、固定側ポスト65及び移動側ポスト66との関連づけは解除されないため、設計者は不要な関連づけ解除による関連づけのやり直し等の不要な手間を省くことができる。
【0087】
なお、設計者は、設計者端末4に搭載されているCADソフトウェアを用いて設計品60を最初から設計することができる。また、設計者は、図示しない設計品選択画面を表示させ、設計品モデル記憶部24に記憶された数多くの設計品のテンプレート集から、自己が設計する設計品60に近い構成のものを選択して利用することもできる。
【0088】
(実施例1の第1変形例)
次に、実施例1の第1変形例について、
図7及び
図8を参照して説明する。この第1変形例においては、ばねとして圧縮型のコイルスプリング67aが用いられる。
図7は、圧縮型のコイルスプリング67aの変更指示を行う入力画面50aを示す説明図である。
図8は、編集画面47(
図4参照)に表示される圧縮型のコイルスプリング67aのモデルの変形を示す説明図である。
【0089】
図7に示す入力画面50aにおいて、
図5に示す入力画面50と異なるところは、部品仕様画面53aにおいて、許容たわみ量535が設けられており、タイプ531が設けられていない点である。第1変形例において、許容たわみ量535には、コイルスプリング67aの許容たわみ量の設定式が選択可能なプルダウンメニューが表示される。また、
図7に示す部品外形画面54aにおいて、
図5に示す部品外形画面54と異なるところは、外形
図541の内部が圧縮型のコイルスプリング67aの形状となっている点である。
【0090】
その他、
図7に示す使用・表示設定画面56aが、
図5に示す使用・表示設定画面56と異なっている。圧縮型のコイルスプリング67aには、密着長568という項目が設けられている。密着長568には、コイルスプリング67aが密着状態になったときの長さが表示される。密着長568は、入力を受け付けないように構成されている。また、表示形式の選択ボタン567は、スパイラルとソリッドの2種類になっているが、
図5と同様にハイブリッドを設けてもよい。上記の他、
図7に示す入力画面50aと、
図5に示す入力画面50において、構成が概ね共通する部分については、
図4における符号の後に「a」を付し、構成が共通する部分については共通の符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【0091】
実施例1の第1変形例においては、入力画面50aにおける材質532、許容たわみ量535、外径D542、自由長L543及びセット長563の変更指示が特定変更指示に対応する。これら特定変更指示のうち、材質532、許容たわみ量535、外径D542及び自由長L543の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示であると予め設定されており、セット長563の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示ではないと予め設定されている。
【0092】
ここで、
図7における使用・表示設定画面56aにおいて、受付部25がセット長563の値の変更指示を受け付けると、判定部27は、このセット長563の変更指示が特定変更指示であると判定する(
図2のSTEP1;YES)と共に、当該変更指示は型番置換を伴う指示ではないと判定する(
図2のSTEP2;NO)。そして、表示制御部28は、コイルスプリング67aの形状の変更処理のみを行い(
図2のSTEP5)、変更された表示モデルを設計者端末4に表示させる表示制御情報を設計者端末4に送信する。(
図2のSTEP6)。
【0093】
例えば、
図8(A)に示す表示状態において、設計者が短いセット長の値を入力すると、サーバ装置2によって上記と同様の処理が行われ、
図8(B)に示すように、コイルスプリング67aの長さが短くなった状態のモデルが設計者端末4のディスプレイ41に表示される。
【0094】
このセット長563の値の変更は、特定変更指示であり、型番置換処理を行わないものであるため、コイルスプリング67aの長さ(セット長)が変更されても、符号57で示す型番表示には変更がない。したがって、このコイルスプリング67aを含む設計品(図示省略)において、コイルスプリング67aのセット長を変更した場合であっても、モデル置換処理が行われないので、設計者は円滑に設計作業を進めることができる。
【0095】
なお、第1変形例において、受付部25が材質532、許容たわみ量535、外径D542及び自由長L543のうちのいずれかの変更指示を受け付けた場合には(
図2のSTEP1;YES、STEP2;YES)、サーバ装置2は、
図2のSTEP3に移行し、上述のコイルスプリング67の場合と同様の処理を実行する。また、受付部25がコイルスプリング67aのシリーズ変更指示のような特定変更指示ではない変更指示を受け付けた場合には(
図2のSTEP1;NO)、サーバ装置2は、
図2のSTEP8に移行し、上述のコイルスプリング67の場合と同様の処理を実行する。
【0096】
(実施例1の第2変形例)
次に、実施例1の第2変形例について、
図9及び
図10を参照して説明する。この第2変形例においては、ばねとして異形線圧縮ばねであるコイルスプリング67bが用いられる。
図9は、異形線圧縮ばね型のコイルスプリング67bの変更指示を行う入力画面50bを示す説明図である。
図10は、編集画面47(
図4参照)に表示される異形線圧縮ばね型のコイルスプリング67bのモデルの変形を示す説明図である。
【0097】
図9に示す入力画面50bにおいて、
図7に示す入力画面50aと異なるところは、部品仕様画面53bにおいて、
図7の部品仕様画面53aの表示のうち、材質532のみが設けられており、許容たわみ量535が設けられていない点である。また、
図9に示す部品外形画面54bにおいて、
図7に示す部品外形画面54aと異なるところは、外形
図541の内部が異形線圧縮ばね型のコイルスプリング67bの形状となっている点である。
【0098】
その他、
図9に示す使用・表示設定画面56bにおいては、
図7に示す使用・表示設定画面56aと比較して、密着長568という項目が設けられていない点が異なっている。上記の他、
図9に示す入力画面50bと、
図4に示す入力画面50及び
図7に示す入力画面50aにおいて、構成が概ね共通する部分については、
図4における符号の後に「b」を付し、構成が共通する部分については共通の符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【0099】
実施例1の第2変形例においては、入力画面50bにおける材質532、外径D542、自由長L543及びセット長563の変更指示が特定変更指示に対応する。これら特定変更指示のうち、材質532、外径D542及び自由長L543の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示であると予め設定されており、セット長563の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示ではないと予め設定されている。
【0100】
ここで、
図9における使用・表示設定画面56bにおいて、受付部25がセット長563の値の変更指示を受け付けると、判定部27は、このセット長563の変更指示が特定変更指示であると判定する(
図2のSTEP1;YES)と共に、当該変更指示が型番置換を伴う指示ではないと判定する(
図2のSTEP2;NO)。そして、表示制御部28は、コイルスプリング67bの形状の変更処理のみを行い(
図2のSTEP5)、変更された表示モデルを設計者端末4に表示させる表示制御情報を設計者端末4に送信する(
図2のSTEP6)。
【0101】
例えば、
図10(A)に示す表示状態において、設計者が短いセット長の値を入力すると、サーバ装置2によって上記と同様の処理が行われ、
図10(B)に示すように、コイルスプリング67bの長さが短くなった状態のモデルが設計者端末4のディスプレイ41に表示される。
【0102】
このセット長563の値の変更は、特定変更指示であり、型番置換処理を行わないものであるため、コイルスプリング67bの長さ(セット長)が変更されても、符号57で示す型番表示には変更がない。したがって、このコイルスプリング67bを含む設計品(図示省略)において、コイルスプリング67bのセット長を変更した場合であっても、モデル置換処理が行われないので、設計者は円滑に設計作業を進めることができる。
【0103】
なお、第2変形例において、受付部25が材質532、外径D542及び自由長L543のうちのいずれかの変更指示を受け付けた場合には(
図2のSTEP1;YES、STEP2;YES)、サーバ装置2は、
図2のSTEP3に移行し、上述のコイルスプリング67の場合と同様の処理を実行する。また、受付部25がコイルスプリング67bのシリーズ変更指示のような特定変更指示ではない変更指示を受け付けた場合には(
図2のSTEP1;NO)、サーバ装置2は、
図2のSTEP8に移行し、上述のコイルスプリング67の場合と同様の処理を実行する。
【0104】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2は、部品変更の対象がケーブルキャリアである場合の例である。ケーブルキャリアは、後述するように、複数のリンク部材が連結され、当該リンク部材の内部にケーブルを収納し、当該リンク部材の両端部にブラケットが設けられ、所定のストロークで往復運動されるものである。
【0105】
実施例2における設計支援装置1aについて、
図11及び
図12を参照して説明する。
図11は、実施例2の設計支援装置1aにおいて、設計者端末4のディスプレイ41に表示される編集画面79と入力画面70を示す説明図である。
図12は、
図11の入力画面70の詳細を示す説明である。
【0106】
実施例2の設計支援装置1aは、
図11に示すように、機器から延びるケーブル90を保護するケーブルキャリア86を設計するための入力画面70を設計者端末4に表示させる。このケーブルキャリア86は、複数のリンク部材89を含む複数の部材が連結されて形成され、内部にケーブル90を収納するものである。
【0107】
この実施例2の設計支援装置1aは、機能的構成としては、
図1に示す設計支援装置1と同様の構成を備えており、基本的な構成は実施例1の設計支援装置1とほぼ同様であるが、主に入力画面70が実施例1の入力画面50と異なっている。
【0108】
実施例2における入力画面70は、
図11に示すように、設計者端末4のディスプレイ41の左側に表示される。詳細には、
図12に示すように、入力画面70の上側には、部品の型番を入力可能なモデル検索画面71が設けられている。モデル検索画面71の下方には、選択された部品(実施例2ではケーブルキャリア86)のファイル名や商品名、或いはカタログのPDFファイルを表示させるボタン等が表示された部品情報画面72が設けられている。
【0109】
部品情報画面72の下方には、選択された部品の仕様に関する情報を示す部品仕様画面73が設けられている。実施例2において、部品仕様画面73には、ケーブルキャリア86の本体材質731、種類732、カバー種類733、ケーブル挿入面734、タイプ735及びNo736が表示される。この部品仕様画面73も、切り替えタブによって、価格/納期画面(図示省略)に切り換えることができる。
【0110】
本体材質731には、後述するケーブルキャリア86のリンク部材89の材質が表示される。種類732には、リンク部材89の形状の種類(角形又は丸型等)が表示される。カバー種類733には、スリットタイプか否かが表示される。本体材質731、種類732及びカバー種類733は、入力を受け付けないように構成されている。
【0111】
ケーブル挿入面734には、ケーブルの挿入方法(外周側押込/内周側押込)が選択可能なプルダウンメニューが表示される。タイプ735には、部品の種類を示す記号が選択可能なプルダウンメニューが表示される。No736は、リンク部材89の形状に関連するパラメータが選択可能なプルダウンメニューが表示される。
【0112】
部品仕様画面73の下方には、選択された部品の外形に関する情報を示す部品外形画面74が設けられている。実施例2において、部品外形画面74には、ケーブルキャリア86の外形
図741、内側高さA742、内側幅C743、屈曲半径R744、リンクピッチP745及びリンク数746が表示される。
【0113】
外形
図741には、カタログに掲載されているケーブルキャリア86の外形図が表示される。内側高さA742には、タイプ735で規定されるリンク部材89の内部の高さが表示される。外形
図741及び内側高さA742は、入力を受け付けないように構成されている。
【0114】
内側幅C743には、タイプ735及びNo736で規定されるリンク部材89の内部の幅が表示される。屈曲半径R744には、タイプ735、No736及び後述するユーザ定義高さ754に基づいてサーバ装置2により自動で選定されたケーブルキャリア86の屈曲半径のカタログ値が表示される。内側幅C743及び屈曲半径R744は、入力を受け付けないように構成されている。
【0115】
リンクピッチP745は、タイプ735で規定されるリンク部材89のピッチが表示される。リングピッチP745は、入力を受け付けないように構成されている。リンク数746には、ケーブルキャリア86を構成するリンク部材89の個数が入力可能なボックスが表示される。
【0116】
部品外形画面74の下方には、選択された部品の取付状態を設定する取付設定画面75が設けられている。実施例2において、取付設定画面75には、移動側ブラケット88の取付方向751、固定側ブラケット87の取付方向752、屈曲半径R753及びユーザ定義高さH754(ブラケット間の高さ)が表示される。移動側ブラケット88の取付方向751には、移動側ブラケット88の取付方向(外周取付/内周取付)が選択可能な選択ボタンが表示される。固定側ブラケット87の取付方向752には、固定側ブラケット87の取付方向(外周取付/内周取付)が選択可能な選択ボタンが表示される。
【0117】
屈曲半径R753には、上述の屈曲半径R744と異なり、ユーザ定義高さH754に基づいてサーバ装置2により自動で計算された値が表示される。ユーザ定義高さH754には、ブラケット間の高さ、すなわち、固定側ブラケット87の取付面と移動側ブラケット88の取付面との距離が入力可能なボックスが表示される。
【0118】
取付設定画面75の下方には、実施例1と同様に、商品情報表示画面57が設けられており、その下方にはモデルに反映ボタン58及び型番付き保存ボタン59が設けられている。
【0119】
実施例2においては、入力画面70におけるケーブル挿入面734、タイプ735、No736、リンク数746、移動側ブラケット88の取付方向751、固定側ブラケット87の取付方向752及びユーザ定義高さH754の変更指示が特定変更指示に対応する。
【0120】
これら特定変更指示のうち、ケーブル挿入面734、タイプ735、No736及びリンク数746の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示であると予め設定されている。一方で、移動側ブラケット88の取付方向751、固定側ブラケット87の取付方向752及びユーザ定義高さH754の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示ではないと予め設定されている。
【0121】
ここで、
図11を参照して編集画面79について説明する。
図11における編集画面79には、設計品80の一例である移動ステージのモデルが表示されている。
図11に示すように、設計品80のモデルは、基板81、直動アクチュエータ82、移動プレート84、回転ステージ85、ケーブルキャリア86、及びケーブル90のモデルにより構成されている。
【0122】
設計品80は、基板81の上に固定された直動アクチュエータ82と、直動アクチュエータ82のスライダ83の上に固定された移動プレート84と、移動プレート84の上に固定され回転運動を行う回転ステージ85とが組み合わされた移動ステージである。また、基板81と移動プレート84に亘って、ケーブルキャリア86が取り付けられている。
【0123】
ケーブルキャリア86は、基板81に設けられた貫通穴81aの近傍に固定される固定側ブラケット87と、移動プレート84に固定される移動側ブラケット88と、これらのブラケットの間に連結される複数のリンク部材89とを備えている。また、リンク部材89には、ケーブル90を挿入するためのスリット91が設けられている。
【0124】
次に、実施例2の設計支援装置1aを用いて設計品80を設計する際の具体例について、
図13及び
図14を用いて説明する。
図13は、実施例2における部品としてのケーブルキャリア86の形状を示す説明図である。
図14は、ケーブルキャリア86の動きを示す説明図である。
【0125】
設計品80の設計にあたり、まず、設計者は、実施例1と同様に、製品選択画面45(
図3参照)を用いて、設計に必要な部品のモデルの入手を行う。例えば、設計者がケーブルキャリアを選択した場合、ケーブルキャリア86の基準モデルが編集画面79に表示される。
【0126】
そして、設計者は、編集画面79において、CADソフトウェアの合致拘束などの機能を利用して、入手した部品同士の関連づけを設定する。例えば、
図11に示すように、設計者は、ケーブルキャリア86の固定側ブラケット87と基板81との間に関連づけの設定を行う。同様に、設計者は、ケーブルキャリア86の移動側ブラケット88と移動プレート84との間に関連づけの設定を行う。
【0127】
実施例2において、
図13(A)及び
図14(A)に示すケーブルキャリア86は、
図11に示すケーブルキャリア86、すなわち、固定側ブラケット87と基板81との間の関連づけ及び移動側ブラケット88と移動プレート84との間の関連づけが設定されたケーブルキャリア86に対応する。
【0128】
図13(A)に示すように、ケーブル挿入面734が「外周側押込」に設定されている。また、ケーブルキャリア86の移動側ブラケット88の取付方向751が「内周取付」に設定され、ケーブルキャリア86の固定側ブラケット87の取付方向752が「外周取付」に設定されている。なお、リンク数746は、12に設定されているものとする。
【0129】
また、
図13(A)に示すように、リンク部材89のモデルにおいて、固定側ブラケット87に連結されているリンク部材89は通常の形状のモデルで表示されるが、他のリンク部材89は連続した形のモデルで表示されている。当該表示により、リンク部材89のモデルの表示をシンプルなものとすることができ、編集画面79上でモデルを見やすくすると共に、表示処理負担の軽減を図っている。なお、通常の形状のモデルで表示するリンク部材の数や位置は、これに限らない。例えば、移動側ブラケットに連結されているリンク部材89も通常の形状のモデルで表示されてもよい。また、リンク部材89すべてが連続した形のモデルで表示されてもよい。
【0130】
ここで、
図13(A)に示すケーブルキャリア86を備える設計品80を含む編集画面79及び入力画面70が表示されているときに、設計者がケーブル挿入面734を「外周側押込」から「内周側押込」に変更する入力を行い、反映ボタン58をクリックして部品の変更指示を行う場合について説明する。この場合、サーバ装置2の受付部25は、ケーブル挿入面の変更指示を受け付ける。そして、判定部27は、ケーブル挿入面の変更指示が特定変更指示であると判定する(
図2のSTEP1;YES)と共に、ケーブル挿入面の変更指示が型番置換を伴う変更指示であると判定する(
図2のSTEP2;YES)。
【0131】
検索部26は、ケーブル挿入面の変更指示による変更後の部品に対応する標準部品を検索し(
図2のSTEP3)、表示制御部28は、ケーブル挿入面の変更後のケーブルキャリア86に対応する標準部品の型番を設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する型番置換処理を行う(
図2のSTEP4)。
【0132】
そして、表示制御部28は、モデル置換処理を実行せずに、ケーブル挿入面の変更指示に対応する変更を施す変更処理を実行する(
図2のSTEP5)。具体的には、表示制御部28は、ケーブルキャリア86のスリット91の位置が内側になるように表示モデルを変更する。また、表示制御部28は、固定側ブラケット87と基板81との間の関連づけ、及び移動側ブラケット88と移動プレート84との間の関連づけを維持する。そして、表示制御部28は、変更された表示モデルを設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する。
【0133】
表示制御部28が表示制御情報を設計者端末4に送信する表示処理を行うと(
図2のSTEP6)、設計者端末4は、当該表示制御情報に基づいて、
図13(B)に示すように、ディスプレイ41の編集画面79中のケーブルキャリア86のモデルの表示を変更する。この場合、固定側ブラケット87と基板81との間の関連づけ、及び移動側ブラケット88と移動プレート84との間の関連づけは維持される。また、設計者端末4は、入力画面70の商品情報表示画面57におけるケーブルキャリア86の型番表示「SE123G」を「SZ123G」に置換する。
【0134】
なお、サーバ装置2は、変更指示がタイプ735、No736及びリンク数746のうちのいずれかの変更指示の場合、ケーブル挿入面734の変更指示と同様の処理を実行する。
【0135】
次に、
図13(A)に示すケーブルキャリア86を備える設計品80を含む編集画面79及び入力画面70が表示されているときに、設計者が固定側ブラケット87の取付方向752を「外周取付」から「内周取付」に変更する入力を行い、モデルに反映ボタン58をクリックして変更指示を行う場合について説明する。この場合、サーバ装置2の受付部25は、固定側ブラケット87の取付方向の変更指示を受け付ける。そして、判定部27は、固定側ブラケット87の取付方向の変更指示が特定変更指示であると判定する(
図2のSTEP1;YES)と共に、当該取付方向の変更指示は型番置換を伴う変更指示ではないと判定する(
図2のSTEP2;NO)。
【0136】
そして、表示制御部28は、モデル置換処理を実行せずに、固定側ブラケット87の取付方向の変更指示に対応する変更を施す変更処理を実行する(
図2のSTEP5)。具体的には、表示制御部28は、固定側ブラケット87の取付面の向きが内周側取付に対応するように表示モデルを変形する。
【0137】
さらに、表示制御部28は、固定側ブラケット87と基板81との間の関連づけ、及び移動側ブラケット88と移動プレート84との間の関連づけを維持する。そして、表示制御部28は、変更された表示モデルを設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する。
【0138】
表示制御部28が表示制御情報を設計者端末4に送信する表示処理を行うと(
図2のSTEP6)、設計者端末4は、当該表示制御情報に基づいて、
図13(C)に示すように、ディスプレイ41の編集画面79中のケーブルキャリア86の表示モデルを変更する。
【0139】
この場合、固定側ブラケット87と基板81との間の関連づけ、及び移動側ブラケット88と移動プレート84との間の関連づけは維持される。なお、型番置換処理が実行されていないため、入力画面70の商品情報表示画面57におけるケーブルキャリア86の型番表示「SE123G」は、そのまま維持される。
【0140】
なお、変更指示が移動側ブラケット88の取付方向751の変更指示の場合も、固定側ブラケット87の取付方向752の変更指示の場合と同様である。例えば、
図13(C)に示すケーブルキャリア86を備える設計品80を含む編集画面79及び入力画面70が表示されているときに、設計者が移動側ブラケット88の取付方向751を「内周取付」から「外周取付」に変更する入力を行い、反映ボタン58をクリックして変更指示を行うと、サーバ装置2は、上述した固定側ブラケット87の取付方向752と同様の処理を実行する。
【0141】
そして、設計者端末4は、
図13(D)に示すように、ディスプレイ41の編集画面79中のケーブルキャリア86の表示モデルを変更する。この場合、固定側ブラケット87と基板81との間の関連づけ、及び移動側ブラケット88と移動プレート84との間の関連づけは維持される。なお、型番置換処理が実行されていないため、入力画面70の商品情報表示画面57におけるケーブルキャリア86の型番表示「SE123G」は、そのまま維持される。
【0142】
また、サーバ装置2は、変更指示がユーザ定義高さH754の変更指示の場合においても、固定側ブラケット87の取付方向752の変更指示と同様の処理を実行する。
【0143】
次に、ストローク内でのケーブルキャリア86の位置変更について説明する。実施例2において、
図14(A)〜(C)に示すように、ケーブルキャリア86は、ストロークS内で移動可能に構成されている。ストロークSは、タイプ735、リンク数746及びユーザ定義高さH754に基づいて、サーバ装置2によって自動で計算される。ストロークSの範囲は、編集画面79において、ケーブルキャリア86に対応づけて表示される。
【0144】
図14(A)は、移動側ブラケット88が移動プレート84のストロークSのほぼ中央に位置している状態を示す。
図14(B)は、移動側ブラケット88がストロークSの先端(
図14におけるストロークSの右端)に位置している状態を示す。
図14(C)は、移動側ブラケット88がストロークSの後端(
図14におけるストロークSの左端)に位置している状態を示す。本実施例において、設計者は、移動側ブラケット88をマウス43等でドラッグし、ストロークS内で移動側ブラケット88を移動させる。
【0145】
ストロークS内でのケーブルキャリア86の位置の変更指示は、特定変更指示に対応する。また、ストロークS内でのケーブルキャリア86の位置の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示ではないと予め設定されている。そのため、受付部25がストロークS内でのケーブルキャリア86の位置の変更指示を受け付けると、サーバ装置2は、固定側ブラケット87の取付方向752の変更指示と同様の処理を実行する。
【0146】
この場合、表示制御部28は、固定側ブラケット87と基板81との間の関連づけ、及び移動側ブラケット88と移動プレート84との間の関連づけを維持し、移動側ブラケット88の移動にあわせて移動プレート84及び回転ステージ85の表示位置を変更する。また、
図14に示すように、入力画面70の商品情報表示画面57におけるケーブルキャリア86の型番表示「SE123G」は、そのまま維持される。
【0147】
なお、受付部25がケーブルキャリア86のシリーズ変更指示のような特定変更指示ではない変更指示を受け付けた場合には(
図2のSTEP1;NO)、サーバ装置2は、
図2のSTEP8に移行し、上述の実施例1と同様の処理を実行する。
【0148】
このように、実施例2においても、変更指示が特定変更指示の場合は、モデル置換処理が行われないので、変更前に行われた部品同士の関連づけが解除されることがない。よって、設計者の意に反するモデルの変更が防止されるので、設計者の設計時の労力を低減させることができる。また、不要な型番置換も行われない。
【0149】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について説明する。実施例3は、部品変更の対象が2つのプーリに掛け渡されるベルトである場合の例である。
【0150】
本発明の実施例3における設計支援装置1bについて、
図15〜
図17を参照して説明する。
図15は、実施例3の設計支援装置1bにおいて、設計者端末4のディスプレイ41に表示される編集画面100と入力画面110を示す説明図である。
図16は、
図15の入力画面110の詳細を示す説明である。
図17(A)〜(C)は、実施例3における部品としてのベルトの形状を示す説明図である。
【0151】
実施例3の設計支援装置1bは、
図15に示すように、第1プーリ132及び第2プーリ133に掛け渡されたベルト131を設計するための入力画面110を設計者端末4に表示させる。
【0152】
この実施例3の設計支援装置1bは、機能的構成としては、
図1に示す設計支援装置1と同様の構成を備えており、基本的な構成は実施例1の設計支援装置1とほぼ同様であるが、主に入力画面110が実施例1の入力画面50と異なっている。
【0153】
実施例3における入力画面110は、
図15に示すように、設計者端末4のディスプレイ41の左側に表示される。詳細には、
図16に示すように、入力画面110の上側には、ベルト材質111、ベルト形種類112、及び外形
図113が表示される。ベルト材質111には、「クロロプレンゴム」、「ポリウレタン」等のベルト131に用いられる材質が選択可能なプルダウンメニューが表示される。ベルト形種類112には、カタログに掲載されている「丸歯形スーパートルク」、「歯無しベルト」等のベルト形状の種類が表示される。外形
図113には、カタログに掲載されているベルト131の外形図が表示される。ベルト形種類112及び外形
図113は、入力を受け付けないように構成されている。
【0154】
外形
図113の下方には、ベルト種類114、ベルト幅115、軸間距離(ねらい値)116、及び軸間距離117が表示される。ベルト種類114には、カタログに掲載されているベルトの種類が選択可能なプルダウンメニューが表示される。ベルト幅115には、カタログに掲載されているベルトの幅が選択可能なプルダウンメニューが表示される。軸間距離(ねらい値)116には、設計品130の設計に当たって必要とされる軸間距離の値が入力可能なボックスが表示される。軸間距離117は、後述するプーリ1P.D.118、プーリ2P.D.119及びベルト周長124に基づいてサーバ装置2により自動で計算された軸間距離が表示される。軸間距離117は、入力を受け付けないように構成されている。
【0155】
軸間距離117の下方には、プーリ1P.D.118、プーリ2P.D.119、プーリ1歯数120、プーリ2歯数121、及びプーリ速比122が表示される。プーリ1P.D.118には、カタログに掲載されている第1プーリ132のピッチ円直径が選択可能なプルダウンメニューが表示される。プーリ2P.D.119には、カタログに掲載されている第2プーリ133のピッチ円直径が選択可能なプルダウンメニューが表示される。
【0156】
プーリ1歯数120には、カタログに掲載されている、プーリ1P.D.118に対応する歯数が表示される。プーリ2歯数121には、カタログに掲載されている、プーリ2P.D.119に対応する歯数が表示される。プーリ速比122は、プーリ1P.D.118及びプーリ2P.D.119に基づいてサーバ装置2により自動で計算されたプーリ速比が表示される。プーリ1歯数120、プーリ2歯数121、及びプーリ速比122は、入力を受け付けないように構成されている。
【0157】
プーリ速比122の下方には、必要ベルト周長123、ベルト周長124、Pitch〜PLD125が表示される。必要ベルト周長123には、軸間距離(ねらい値)116、プーリ1P.D.118及びプーリ2P.D.119に基づいてサーバ装置2により自動で計算されたベルト周長が表示される。ベルト周長124には、カタログに掲載されているベルト周長が選択可能なプルダウンメニューが表示される。Pitch〜PLD125には、カタログに掲載されている、内側に歯のついたベルト131のピッチや各部の寸法が表示される。必要ベルト周長123及びPitch〜PLD125は、入力を受け付けないように構成されている。
【0158】
Pitch〜PLD125の下方には、表示形式126が表示される。表示形式126には、「歯形状あり」、「歯形状なし」等のベルト131のモデルの表示形式が選択可能なプルダウンメニューが表示される。表示形式126の下方には、実施例1と同様に、商品情報表示画面57が設けられており、その下方にはモデルに反映ボタン58及び型番付き保存ボタン59が設けられている。
【0159】
実施例3においては、入力画面110におけるベルト種類114、ベルト幅115、プーリ1P.D.118、プーリ2P.D.119、ベルト周長124、及び表示形式126の変更指示が特定変更指示に対応する。なお、ベルト材質111及び軸間距離(ねらい値)116の変更指示があっても、ベルト131のモデルの表示はそのまま維持される。
【0160】
これら特定変更指示のうち、ベルト種類114、ベルト幅115、及びベルト周長124の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示であると予め設定されている。一方、プーリ1P.D.118、プーリ2P.D.119、表示形式126の変更指示に対しては型番置換を伴う変更指示ではないと予め設定されている。
【0161】
ここで、
図15を参照して編集画面100について説明する。
図15における編集画面100には、設計品130の一例であるベルト駆動型アクチュエータのモデルが表示されている。
図15に示すように、設計品130のモデルは、ベルト131、第1プーリ132、第2プーリ133、直動アクチュエータ134、駆動用モータ135、及び基板136のモデルにより構成されている。
【0162】
設計品130は、直動アクチュエータ134及び駆動用モータ135が基盤136の上に固定されたベルト駆動型アクチュエータである。直動アクチュエータ134には、回転部材である第1プーリ132が装着されている。駆動用モータ135には、回転部材である第2プーリ133が装着されている。
【0163】
第1プーリ132及び第2プーリ133には、伝達部材であるベルト131が掛け渡されている。このような構成により、駆動用モータ135の駆動力は、第2プーリ133、ベルト131及び第1プーリ132を介して直動アクチュエータ134に伝達される。
【0164】
次に、実施例3の設計支援装置1bを用いて設計品130を設計する際の具体例について、
図15〜
図17を用いて説明する。設計品130の設計にあたり、設計者は、実施例1と同様に、製品選択画面45(
図3参照)を用いて、設計に必要な部品のモデルの入手を行う。例えば、設計者がベルトを選択した場合、ベルト131の基準モデルが編集画面100に表示される。
【0165】
そして、設計者は、編集画面100において、CADソフトウェアの合致拘束などの機能を利用して、入手した部品同士の関連づけを設定する。例えば、
図15に示すように、設計者は、ベルト131と、第1プーリ132及び第2プーリ133との間に関連づけの設定を行う。
【0166】
実施例3において、
図17(A)に示すベルト131は、
図15に示すベルト131、すなわち、第1プーリ132及び第2プーリ133との間の関連づけが設定されたベルト131に対応する。
【0167】
図17(A)に示すベルト131のベルト幅は4mm、プーリ1P.D.118及びプーリ2P.D.119は9mm、ベルト周長124は100mmに設定されているものとする。また、軸間距離117は、プーリ1P.D.118、プーリ2P.D.119及びベルト周長124に基づいてサーバ装置2により自動で計算された36mmが設定されている。また、ベルト131の型番は「HT100−4」である。
【0168】
ここで、
図17(A)に示すベルト131を備える設計品130を含む編集画面100及び入力画面110が表示されているときに、設計者がベルト131のプーリ2P.D.119を9mmから18mmに変更する入力を行い、反映ボタン58をクリックして部品の変更指示を行う場合について説明する。この場合、サーバ装置2の受付部25は、プーリ2P.D.119の変更指示を受け付ける。そして、判定部27は、プーリ2P.D.119の変更指示が特定変更指示であると判定する(
図2のSTEP1;YES)と共に、プーリ2P.D.119の変更指示が型番置換を伴う変更指示ではないと判定する(
図2のSTEP2;NO)。
【0169】
そして、表示制御部28は、モデル置換処理を実行せずに、プーリ2P.D.119の変更指示に対応する変更を施す変更処理を実行する(
図2のSTEP5)。具体的には、表示制御部28は、プーリ2P.D.119が18mmになるように表示モデルを変形する。このとき、表示制御部28は、ベルト131と、第1プーリ132及び第2プーリ133との間の関連づけを維持する。
【0170】
プーリ2P.D.119の変更にあわせて、軸間距離117は、プーリ1P.D.118、変更後のプーリ2P.D.119及びベルト周長124に基づいてサーバ装置2により自動で計算された29mmに変更される。表示制御部28は、ベルト131と、第1プーリ132及び第2プーリ133との間の関連づけを維持し、軸間距離117の変更にあわせて第1プーリ132及び直動アクチュエータ134の表示位置を変更する。そして、表示制御部28は、変更された表示モデルを設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する。
【0171】
表示制御部28が表示制御情報を設計者端末4に送信する表示処理を行うと(
図2のSTEP6)、設計者端末4は、当該表示制御情報に基づいて、
図17(B)に示すように、ディスプレイ41の編集画面100中のベルト131の表示モデルを変更する。また、設計者端末4は、当該表示制御情報に基づいて、第1プーリ132及び直動アクチュエータ134の表示位置を変更する。
【0172】
この場合、ベルト131と、第1プーリ132及び第2プーリ133との間の関連づけは維持される。ただし、プーリ2P.D.119の変更指示はベルト131に対するものであるため、第2プーリ133の表示モデルの径はそのまま維持される。したがって、プーリ2P.D.119の変更指示の前後において、第2プーリ133に対する径の変更指示が必要となる。また、型番置換処理が実行されていないため、入力画面110の商品情報表示画面57におけるベルト131の型番表示「HT100−4」は、そのまま維持される。
【0173】
なお、サーバ装置2は、変更指示がプーリ1P.D.118及び表示形式126のうちのいずれかの変更指示の場合、プーリ2P.D.119の変更指示と同様の処理を実行する。
【0174】
次に、
図17(B)に示すベルト131を備える設計品130を含む編集画面100及び入力画面110が表示されているときに、ベルト131のベルト幅115を4mmから6mmに変更し、ベルト周長124を100mmから130mmに変更する入力を行い、反映ボタン58をクリックして部品の変更指示を行う場合について説明する。この場合、サーバ装置2の受付部25は、当該変更指示を受け付ける。そして、判定部27は、ベルト幅115及びベルト周長124の変更指示が特定変更指示であると判定する(
図2のSTEP1;YES)と共に、当該変更が型番置換を伴う変更指示であると判定する(
図2のSTEP2;YES)。
【0175】
検索部26は、ベルト幅115及びベルト周長124の変更に対応する標準部品を検索し(
図2のSTEP3)、表示制御部28は、変更後のベルト131に対応する標準部品の型番を設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する型番置換処理を行う(
図2のSTEP4)。
【0176】
そして、表示制御部28は、モデル置換処理を実行せずに、当該変更指示に対応する変更を施す変更処理を実行する(
図2のSTEP5)。具体的には、表示制御部28は、例えばベルト幅115が4mmから6mmとなるように表示モデルを変更する。また、表示制御部28は、ベルト周長124が100mmから130mmとなるように表示モデルを変更する。このとき、表示制御部28は、ベルト131と、第1プーリ132及び第2プーリ133との間の関連づけを維持する。
【0177】
ベルト周長124の変更にあわせて、軸間距離117は、プーリ1P.D.118、プーリ2P.D.119及び変更後のベルト周長124に基づいてサーバ装置2により自動で計算された44mmに変更される。表示制御部28は、ベルト131と、第1プーリ132及び第2プーリ133との間の関連づけを維持し、軸間距離117の変更にあわせて第1プーリ132及び直動アクチュエータ134の表示位置を変更する。そして、表示制御部28は、変更された表示モデルを設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する。
【0178】
表示制御部28が表示制御情報を設計者端末4に送信する表示処理を行うと(
図2のSTEP6)、設計者端末4は、当該表示制御情報に基づいて、
図17(C)に示すように、ディスプレイ41の編集画面100中のベルト131のモデルの表示を変更する。また、設計者端末4は、当該表示制御情報に基づいて、第1プーリ132及び直動アクチュエータ134の表示位置を変更する。
【0179】
この場合、ベルト131と、第1プーリ132及び第2プーリ133との間の関連づけは維持される。また、設計者端末4は、入力画面110の商品情報表示画面57におけるベルト131の型番表示を「HT100−4」から「HT130−6」に置換する。
【0180】
なお、サーバ装置2は、変更指示がベルト種類114の変更指示の場合、ベルト幅115及びベルト周長124の変更指示と同様の処理を実行する。
【0181】
(実施例3の変形例)
次に、実施例3の変形例について、
図18を参照して説明する。第3実施例の変形例においては、サーバ装置2は、ベルトとプーリの共通設計部分であるプーリ径の変更指示がベルト及びプーリの一方(例えばプーリ)に対して行われた場合に、一方(例えばプーリ)の表示モデルの変更とともに他方(例えばベルト)の表示モデルの変更も行う連動変更を実行する。
図18(A)及び(B)は、実施例3の変形例におけるベルト131と第1プーリ132との連動変更を示す説明図である。
【0182】
図18(A)に示すベルト131のベルト幅は10mm、プーリ1P.D.118及びプーリ2P.D.119は40mm、ベルト周長124は475mmに設定されているものとする。また、軸間距離117は、プーリ1P.D.118、プーリ2P.D.119及びベルト周長124に基づいてサーバ装置2により自動で計算された175mmが設定されている。また、ベルト131の型番は「HT475−4」である。
【0183】
図18(A)に示す第1プーリ132および第2プーリ133の歯数はそれぞれ25に設定されているものとする。また、第1プーリ132および第2プーリ133のP.D.は、当該歯数に対応してそれぞれ40mmに設定されているものとする。ベルト131のプーリ1P.D.118と第1プーリ132のP.D.とは、共通設計部分として関連づけされている。同様に、ベルト131のプーリ2P.D.119と第2プーリ133のP.D.とは、共通設計部分として関連づけされている。
【0184】
ここで、
図18(A)のモデルが設計者端末4に表示されている状態において、受付部25が第1プーリ132の歯数を50に変更する変更指示を受け付けると、判定部27は、当該変更指示が第1プーリ132の特定変更指示であると判定する(
図2のSTEP1;YES)と共に、当該変更指示は型番置換を伴う指示であると判定する(
図2のSTEP2;YES)。
【0185】
検索部26は、変更後の歯数を有する第1プーリ132に対応する標準部品を検索し(
図2のSTEP3)、表示制御部28は、第1プーリ132に対して、上述した型番置換処理を行う(
図2のSTEP4)。また、サーバ装置2は、記憶部21のカタログ掲載情報を参照して、第1プーリ132のP.D.の値を、変更後の歯数に対応する80mmに変更する。
【0186】
また、判定部27は、当該変更指示を、ベルト131と第1プーリ132の共通設計部分であるP.D.の変更指示と認識し、ベルト131のプーリ1P.D.118の変更指示であると判定する。そして、判定部27は、ベルト131のプーリ1P.D.118の変更指示がベルト131の特定変更指示であると判定する(
図2のSTEP1;YES)と共に、当該変更指示は型番置換を伴う指示ではないと判定する(
図2のSTEP2;NO)。
【0187】
表示制御部28は、モデル置換処理を実行せずに、ベルト131および第1プーリ132の形状の変更処理を行う(
図2のSTEP5)。また、プーリ1P.D.118の変更にあわせて、ベルト131の軸間距離117は、変更後のプーリ1P.D.118、プーリ2P.D.119及びベルト周長124に基づいてサーバ装置2により自動で計算された143mmに変更される。そして、表示制御部28は、変更された表示モデルを設計者端末4に表示させる表示制御情報を生成する。
【0188】
表示制御部28が表示制御情報を設計者端末4に送信する表示処理を行うと(
図2のSTEP6)、設計者端末4は、当該表示制御情報に基づいて、
図18(B) に示すように、ディスプレイ41の編集画面100中のベルト131、第1プーリ132および第2プーリ133の表示モデルを変更する。この場合、ベルト131と、第1プーリ132及び第2プーリ133との間の関連づけは維持される。また、ベルト131に対して型番置換処理が実行されていないため、入力画面110の商品情報表示画面57におけるベルト131の型番表示「HT475−4」は、そのまま維持される。
【0189】
なお、サーバ装置2は、変更指示が第2プーリ133の歯数の変更指示の場合、第1プーリ132の歯数の変更指示と同様に、ベルト131と第2プーリ133とを連動して変更する処理を実行する。また、サーバ装置2は、変更指示がベルト131のプーリ1P.D.118またはプーリ2P.D.119の変更指示の場合も、ベルト131と、第1プーリ132または第2プーリ133とを連動して変更する処理を実行する。
【0190】
このように、実施例3においても、変更指示が特定変更指示の場合は、モデル置換処理が行われないので、変更前に行われた部品同士の関連づけが解除されることがない。よって、設計者の意に反するモデルの変更が防止されるので、設計者の設計時の労力を低減させることができる。また、不要な型番置換も行われない。
【0191】
なお、上述の実施形態においては、サーバ装置2によって設計支援装置を実現したが、これに限らない。例えば、サーバ装置2の受付部25、検索部26、判定部27及び表示制御部28の一部を設計者端末4に具備させ、サーバ装置2及び設計者端末4の双方によって設計支援装置を実現してもよい。また、サーバ装置2の受付部25、検索部26、判定部27及び表示制御部28のすべてを設計者端末4に具備させ、設計者端末4によって設計支援装置を実現してもよい。
【0192】
また、上述の実施形態においては、設計支援処理に必要な情報を記憶した記憶部21を設計支援装置(サーバ装置2)内に設けたが、これに限らず、記憶部21を有するデータベースを設計支援装置の外部に設置し、設計支援装置(サーバ装置2)がネットワーク3を介して当該データベースの記憶部21の情報を利用できるように構成してもよい。
【0193】
また、上述の実施形態においては、特定変更指示として、型番置換を伴う変更指示と型番置換を伴わない変更指示の双方が設定されたが、これに限らず、特定変更指示として型番置換を伴う変更指示のみ設定してもよい。この場合、
図2のSTEP2の処理を省略することができる。また、反対に、特定変更指示として型番置換を伴わない変更指示のみ設定してもよい。この場合、
図2のSTEP2〜STEP4の処理を省略することができる。
【0194】
また、上述の実施例1(第1変形例及び第2変形例を含む)においては、コイルスプリングの変形量を示すセット長、コイルスプリングの許容たわみ量、コイルスプリングの外径、コイルスプリングの自由長、コイルスプリングのタイプ、及びコイルスプリングの材質についての変更指示を特定変更指示として設定したが、これに限らず、これら変更指示のうち少なくとも1つの指示を特定変更指示として設定してもよい。
【0195】
同様に、上述の実施例2においては、ストローク内でのケーブルキャリアの位置、リンク部材におけるケーブルが挿入される面であるケーブル挿入面の位置、リンク部材のタイプ、リンク部材の形状、リンク部材のリンク数、ブラケットの取付方向、及びブラケット間の高さについての変更指示を特定変更指示としたが、これに限らず、これら変更指示のうち少なくとも1つの指示を特定変更指示として設定してもよい。
【0196】
同様に、上述の実施例3においては、ベルト種類114、ベルト幅115、プーリ1P.D.118、プーリ2P.D.119、ベルト周長124、及び表示形式126についての変更指示を特定変更指示としたが、これに限らず、これら変更指示のうち少なくとも1つの指示を特定変更指示として設定してもよい。
【0197】
また、実施例3においては、軸間距離(ねらい値)116が変更されると、入力画面110の必要ベルト周長123がサーバ装置2により計算されて変更するが、ベルト周長124は変更されず、ベルト131のモデルの表示はそのまま維持されるようにしているが、これに限らない。軸間距離(ねらい値)116が変更された際に、サーバ装置2は、計算値に最も適合するベルト周長124を自動で設定し、設定したベルト周長124に対応するようにベルト131のモデルを変更してもよい。この場合、軸間距離(ねらい値)116は、型番置換を伴う変更指示に対応する。
【0198】
また、実施例3においては、ベルト材質111が変更されてもベルト131のモデルの表示はそのまま維持されるようにしているが、これに限らない。サーバ装置2の記憶部21にはベルト材質ごとに色又は模様が予め設定されており、ベルト材質111が変更された際に、サーバ装置2がベルト131のモデルの色又は模様を変更後のベルト材質に対応するものに変更するようにしてもよい。この場合、ベルト材質111は、型番置換を伴う変更指示に対応する。
【0199】
また、実施例3においては、伝達部材としてベルト131を例にして説明しているが、これに限らず、チェーン等の環状の伝達部材であってもよい。また、実施例3では、回転部材を第1プーリ132及び第2プーリ133としているが、これに限らず、スプロケット等であってもよい。
【0200】
また、実施例3の変形例においては、連動変更処理を行う部品の組み合わせとしてベルトとプーリの組み合わせを例にして説明しているが、これに限らず、シャフトとベアリングの組み合わせなど、共通設計部分を有する第1部品と第2部品の組み合わせであればよい。
【0201】
この場合、サーバ装置2の判定部27は、第1部品に対する共通設計部分の変更指示を、第1部品および第2部品に対する特定変更指示として判定する。そして、サーバ装置2の表示制御部28は、第1部品に対する共通設計部分の変更指示が受け付けられた場合、モデル置換処理を実行せず、変更前の第1部品の表示モデルに共通設計部分の変更指示に対応する変更を行うとともに、変更前の第2部品の表示モデルに共通設計部分の変更指示に対応する変更を行い、変更された第1部品の表示モデル及び第2部品の表示モデルを設計者端末4のディスプレイ41に表示させる。また、判定部27は、第2部品に対する共通設計部分の変更指示についても、第1部品および第2部品に対する特定変更指示として判定し、表示制御部28は同様の処理を実行する。
【0202】
また、上述の実施形態においては、特定変更指示となる部品として、コイルスプリング、ケーブルキャリア及びベルトを例にして説明したが、これに限らず、可動部分を有する部品、変形等を伴う部品等の他の部品にも本実施形態の構成を適用することができる。この場合、部品固有の動作による形状、部品のタイプ、部品のサイズ、部品の材質及び他の部品への取付部分についての変更指示のうちの少なくとも1つの指示を特定変更指示として設定することができる。