【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年9月27日、日産自動車株式会社のWEBページ(http://www2.nissan.co.jp/BRAND/TFL/PPC/)に掲載 〔刊行物等〕平成28年9月27日〜30日、日産自動車株式会社グローバル本社ギャラリーに展示
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
施設のサービスを受けようとする顧客を搭載可能で、前記顧客の在・不在を認識可能であり、前記顧客により形成される順番待ち行列の複数の待ち位置に移動及び停止可能な、前記行列の各待ち位置に配置された複数の搭載機を用い、
先頭の待ち位置で待機する顧客が前記行列から離れた場合に、前記行列の先頭から2番目以降の顧客を先頭に向かって移動させるように前記搭載機を制御する順番待ち行列の整列方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1Aは、本発明に係る自動運搬チェア1の実施形態を示す外観側面図、
図1Bは、
図1Aの平面図、
図1Cは、
図1Aの自動運搬チェアの車輪を示す正面図、
図1Dは、
図1Cの側面図、
図1Eは、
図1Aの駆動部による自動運搬チェア1の進行制御を説明する平面模式図である。なお、車輪123の詳細は後述するが、車輪123は、
図1A,
図1B及び
図1Eにおいて簡略化して示し、詳細は
図1C及び
図1Dに示す。また
図2Aは、本発明に係る自動運搬チェアの実施形態を示すブロック図、
図2Bは、本発明に係る自動運搬チェアの他の実施形態を示すブロック図である。
【0010】
本実施形態の自動運搬チェア1は、
図1A,
図1B及び
図2Aに示すように、顧客(人間)を搭載する搭載部11と、搭載部11を含めて自動運搬チェア1を移動及び停止させる駆動部12と、行列Lに沿う第1方向X1にある物体を検出する第1検出部13と、第1方向X1とは異なる第2方向X2にある物体を検出する第2検出部14と、搭載部11に顧客が存在するか否かの在・不在を検出する在席検出部15と、駆動部12を制御する制御部16と、駆動部12,第1検出部13,第2検出部14,在席検出部15及び制御部16に電力を供給するバッテリ18と、を備える。
【0011】
搭載部11は、
図1A及び
図1Bに示すように、平板状に形成され、駆動部12,第1検出部13,第2検出部14,在席検出部15及びバッテリ18を組み付けて支持するベースプレート111と、このベースプレート111上に載置され、顧客が着座可能な着座骨格体112と、を備える。本実施形態では、顧客が着座可能なように着座骨格体112を設けたが、本発明に係る運搬手段は、顧客を座ったまま運搬する以外にも、起立状態で運搬するものも含んでよい。
【0012】
駆動部12は、
図1A及び
図1Bに示すように、バッテリ18からの電力により回動軸122を両方向に回動可能な4つの電動モータ121と、各回動軸122の先端に装着された4つの車輪123と、を備える。本実施形態の自動運搬チェア1においては、略矩形状のベースプレート111の対角線上に回動軸122が配置され、当該ベースプレート111の各頂点の近傍に4つの車輪123が配置されている。なお、詳細な図示は省略したが、4つの車輪123の下半分はベースプレート111に開設された開口部から下側に突出し、地面と接するように設けられている。なお、4つの車輪123の配置は、本実施形態のようにベースプレート111の各頂点の近傍に位置するように配置するほか、ベースプレート111の各辺の中点の近傍に位置するように配置してもよい。
【0013】
本実施形態の車輪123は、いわゆるオムニホイールであり、
図1C及び
図1Dに示すように、回動軸122の先端に固定された略円盤状のハブ124と、当該ハブ124に回動自在に装着された複数の小車輪125とを備える。本実施形態では、ハブ124の両面のそれぞれに、ハブ124の外周に沿って4つずつ、合計8つの小車輪125が設けられている。ハブ124の一方側の4つの小車輪125は、90°の位相をもって円周上に配置され、ハブ124の他方側の4つの小車輪125も90°の位相をもって円周上に配置され、さらに一方側の4つの小車輪125と他方側の4つの小車輪125とは、互いに45°の位相をもって配置されている。また、各小車輪125の外形は、
図1Cの正面図に示すように洋酒樽形状に形成されている。これらの構成により、8つの小車輪の最外周を結ぶ線が略円形になり、また一方側の小車輪125の間に他方側の小車輪125が位置するので、車輪123が、
図1Cの矢印R方向に回転したときに、滑らかに地面に接し、ガタガタすることを抑制する。なお、車輪123の構成は図示する実施形態にのみ限定されず、たとえば小車輪125を一方側と他方側にそれぞれ3つずつ120°間隔で等配に配置し、一方側の3つの小車輪125と他方側の3つの小車輪125を互いに60°の位相をもって配置してもよい。
【0014】
このように構成された車輪123は、
図1Cに示すように回動軸122の回動方向、たとえばR方向に回動する場合には、8つの小車輪125が順次地面に接し、回動軸122に直角方向に動いている限り小車輪125はハブ124に対して回転しない状態で地面に接する。これに対して、
図1Dに示すように、車輪123が回動軸122の軸方向に力を受けた場合には、地面に接している小車輪125がハブ124に対して自由に回転することから、当該地面に接している小車輪の回転により、地面と摩擦摺動することなく円滑に動くことができる。
【0015】
図1Eは、駆動部12による自動運搬チェア1の進行制御を説明する平面模式図であり、4つの電動モータをそれぞれ121a〜121d,4つの車輪をそれぞれ123a〜123dとして以下に説明する。まず、ベースプレート111を
図1Eの矢印Y方向に移動させたい場合には、各車輪123a〜123dが白抜き矢印にて示す方向に、同一の回転速度で回転するように、制御部16が電動モータ121a〜121dを制御する。すなわち、車輪123aは、電動モータ121aから車輪123aに向かって見た際に右方向に回転し、車輪123bは、電動モータ121bから車輪123bに向かって見た際に左方向に回転するように制御する。この2つの車輪123a,123bの回転により各車輪123a,123bはそれぞれ矢印にて示す方向に推進力が発生するが、各車輪123a,123bのそれぞれに設けられた小車輪の自由回転によって、矢印にて示す2つの推進力が合成され、その結果、ベースプレート111には矢印Y方向の推進力が作用する。
【0016】
同様に、車輪123cは、電動モータ121cから車輪123cに向かって見た際に右方向に回転し、車輪123dは、電動モータ121dから車輪123dに向かって見た際に左方向に回転するように制御する。この2つの車輪123c,123dの回転により各車輪123c,123dはそれぞれ矢印にて示す方向に推進力が発生するが、各車輪123c,123dのそれぞれに設けられた小車輪の自由回転によって地面との摩擦が軽減されつつ、矢印にて示す2つの推進力が合成され、その結果、ベースプレート111には矢印Y方向の推進力が作用する。
【0017】
このように、ベースプレート111を含む搭載部11を矢印Y方向に移動させたい場合、制御部16は、直線上に配置された一対の車輪123aと123dを同じ推進方向に同じ回転速度で回転させるとともに、同じく直線上に配置された一対の車輪123bと123cを同じ推進方向であって他方の対の車輪123aと123dの推進を打ち消す推進方向に同じ回転速度で回転させる。これにより、いわゆる4輪駆動によってベースプレート111を含む搭載部11が印Y方向に移動することになる。ちなみに、車輪123aと123b又は車輪123cと123dを
図1Eに示す方向に同じ回転速度で回転制御する2輪駆動により、ベースプレート111を含む搭載部11を矢印Y方向に移動させてもよい。
【0018】
また、
図1Eに示す矢印Y方向以外の、−Y方向に搭載部11を移動させたい場合には、各車輪123a〜123dをそれぞれ逆方向に回転制御し、Y方向に対して直角方向に搭載部11を移動させたい場合には、
図1Eを90°回転させた状態での車輪123a〜123dの回転方向に制御すればよい。さらに、順番待ち行列Lが
折れ曲がっている場合など、搭載部11をその場で回転させたいときには、たとえば、全ての車輪123a〜123dを同じ方向に回転制御させればよい。また、順番待ち行列Lが直線のみではなく曲線を含んでいる場合など、搭載部11を曲線状に移動させたいときには、たとえば各車輪123a〜123dの回転方向を
図1Eに示す状態としつつ、車輪123a,123cの回転速度を車輪123b,123dの回転速度より大きくすれば、矢印Y方向に旋回しながら移動することになる。こうした方向転換機能による移動制御においても、4輪駆動又は前輪若しくは後輪による2輪駆動のいずれであってもよい。
【0019】
図1A,
図1B及び
図2Aに戻り、第1検出部13は、ベースプレート111の側部(
図1Bの右側)に搭載され、後述する行列Lに沿う第1方向X1にある物体、具体的には隣の自動運搬チェア1、先頭指標Mt又はチェア指標Mcを検出する。また、第2検出部14は、ベースプレート111の他方の側部(
図1Bの左側)に搭載され、第1方向X1とは異なる第2方向X2にある物体、具体的には最後尾指標Meを検出する。これら第1検出部13及び第2検出部14は、いずれもカラー画像が取得できるとともに距離が計測できるCCDカメラ(RGB & DEPTH CAMERA)で構成されている。これら第1検出部13及び第2検出部14により取得された情報信号は、制御部16に出力される。
【0020】
在席検出部15は、ベースプレート111と、着座骨格体112の4本の脚部との間に介装された荷重センサで構成され、在席検出部15により取得された情報信号は制御部16に出力される。そして制御部16は、在席検出部15からの情報信号、すなわち搭載部11に作用した荷重により、搭載部11に顧客が存在するか否かの在・不在を判断する。たとえば、子供を含めた顧客の最低体重を25kgとすると、在席検出部15にて検出された荷重が25kg以上であれば顧客が在席していると判断し、25kg未満であれば顧客が不在であると判断する。なお、在席検出部15は、ベースプレート111と、着座骨格体112の4本の脚部との間に介装するほか、座席シートに面圧センサなどの荷重センサを設けたり、座席シートに光電スイッチを設けたりしてもよい。
【0021】
バッテリ18は、ベースプレート111上に搭載され、駆動部12,第1検出部13,第2検出部14,在席検出部15及び制御部16に電力を供給する。バッテリ18は、リチウムイオン電池その他の二次電池で構成されている。
【0022】
制御部16は、第1検出部13,第2検出部14及び在席検出部15のそれぞれにて検出された情報信号を入力し、駆動部12の4つの電動モータ121への電力供給量(電流又は電圧)を制御し、その結果、搭載部11を含む自動運搬チェア1の移動および停止を制御する。詳細な制御の具体例は後述する。なお、制御部16は、自動運搬チェア1に搭載するほか、
図2Bに示すように、自動運搬チェア1とは別の場所(たとえば店舗などの施設やサーバ施設)に設置し、自動運搬チェア1には制御部16との情報信号の送受信を行う送受信部17を設けてもよい。この場合には、外部に設置した制御部16から自動運搬チェア1が遠隔操作されることになる。
【0023】
図1Bに示すように、第2検出部14の上面など、同図に示す左側の中央部には、周囲の色彩と識別可能な色彩又は特異な形状のチェア指標Mcが装着されている。このチェア指標Mcは、
図4Aに示す行列Lの先頭の待ち位置P1にいた自動運搬チェア1が最後尾の待ち位置Peに戻る際の位置認識の指標となるものである。
【0024】
次に、上述した自動運搬チェア1を用いた順番待ち行列の整列方法の実施形態について説明する。
図3Aは、本発明に係る順番待ち行列の運搬システムの実施形態にて実行される制御フローを示すフローチャート、
図3Bは、
図3AのステップS1の制御切替フラグの制御フローを示すフローチャートである。また、
図4A〜
図4Fは、本発明に係る順番待ち行列の整列方法の実施形態を示す模式平面図である。
【0025】
まず本実施形態では、
図4Aに示すように、施設Fの入口の近傍の通路に、施設Fに沿って直線状の順番待ち行列Lができるものとし、便宜的に4名(顧客はA,B、C,D,E…のアルファベットで示す。)の待機者を搭載する自動運搬チェア1が順番待ち行列Lに沿って配置されているものとする。また、順番待ち行列Lの待ち位置のうち先頭待ち位置をP1、2番目の待ち位置をP2、3番目の待ち位置をP3、最後尾の待ち位置をPeとする。そして、先頭の待ち位置P1のさらに先頭側には、第1検出部13により認識可能な先頭指標Mtが置かれ、最後尾の待ち位置Peの近傍には第2検出部14により認識可能な最後尾指標Meが置かれている。
【0026】
ちなみに、順番待ちの顧客数が5名以上であっても以下に説明する整列方法はそのまま適用でき、さらに順番待ち行列Lが直線のみではなく曲線又は折れ曲がっていても上述した自動運搬チェア1の方向転換機能により対応することができるので、それらの説明はここでは省略する。
【0027】
図3A及び
図3Bに示す制御フローは、たとえば数msec間隔で制御部16により実行される。
図3AのステップS1では、制御部16は、制御切替フラグが0か否かを判断する。この制御切替フラグについては、
図3Bに示すように設定される。すなわち、ステップS21にて、自動運搬チェア1の自機が、順番待ち行列Lの先頭待ち位置P1を経験済みであるか否かを判断し、経験済みである場合は、ステップS22に進む。ステップS22では、自動運搬チェア1の自機が、順番待ち行列Lの先頭待ち位置P1において顧客が離席したことを経験済みであるか否かを判断し、離席を経験済みである場合はステップS23に進む。ステップS23では制御切替フラグを1に設定し、ステップS24に進む。つまり、顧客を運搬してきた自動運搬チェア1が先頭の待ち位置P1まで到着し、ここで顧客が離席(不在)した場合には、当該自動運搬チェア1を最後尾の待ち位置Peに戻すために、制御切替フラグを1に設定する。
【0028】
ステップS24では、先ほどの自動運搬チェア1が最後尾の待ち位置Peに復帰したか否かを判断し、最後尾に復帰済みである場合はステップS25へ進んで制御切替フラグを0に設定する。その他、ステップS21において先頭の待ち位置P1を経験していない場合、ステップ22において先頭の待ち位置P1で顧客の離席を経験していない場合、ステップS24において最後尾の待ち位置Peに復帰していない場合には、ステップS21に戻り、再度ステップS21以降の処理を繰り返す。
【0029】
図3AのステップS1に戻り、制御部16は、制御切替フラグが0か否かを判断する。
図3Bを参照して説明したとおり、制御切替フラグは、顧客を運搬してきた自動運搬チェア1が先頭の待ち位置P1まで到着し、ここで顧客が離席(不在)した場合に、当該自動運搬チェア1を最後尾の待ち位置Peに戻すための制御フラグであるから、制御フラグが0である場合、その自動運搬チェア1は未だ先頭の待ち位置P1に到着していない、順番待ち行列Lの途中にある自動運搬チェア1であることになる。そのため、ステップS1において、制御切替フラグが0である場合はステップS2〜S4に進み、基本制御を実行する。
【0030】
ステップS2では、第1検出部13を用いて順番待ち行列Lの前方の障害物、つまり前方の自動運搬チェア1又は先頭指標Mtとの距離を計測し、計測された距離が予め設定された距離D0より大きいか否かを判断する。この所定距離D0は順番待ち行列Lにおける隣り合う自動運搬チェア1間の距離であるから、たとえば20cmである。ステップS2において、計測された距離が予め設定された距離D0より大きい場合はステップS3へ進み、駆動部12の電動モータ121を制御し、自動運搬チェア1を順番待ち行列Lの先頭方向へ移動させる。ステップS2において、計測された距離が予め設定された距離D0以下になった場合はステップS4へ進み、駆動部12の電動モータ121を停止する。これにより、前方の自動運搬チェア1が順番待ち行列Lの先頭方向へ移動し、前方の自動運搬チェア1との距離が所定距離D0より大きくなると、その自動運搬チェア1は、ステップS1→S2→S3→S1→S2の処理を実行し、ステップS2において前方の自動運搬チェア1との距離が所定距離D0に到達するまで、順番待ち行列Lの先頭方向へ移動することになる。以上が基本制御であり、
図4A〜
図4Eの模式平面図に示す顧客B,C及びDが着席している3つの自動運搬チェア1がこの基本制御を実行することになり、
図4Cの状態で基本制御のステップS3(移動)が実行され、
図4Eの状態で基本制御のステップS4(停止)が実行されている。
【0031】
これに対して、ステップS1において制御切替フラグが0ではない、すなわち1である場合はステップS5以降に進み、特別制御を実行する。この特別制御は、
図4A〜
図4Eの模式平面図に示す顧客Aが着席している先頭の自動運搬チェア1が実行することになり、
図4Aの状態から顧客が離席した
図4Bの状態で特別制御のステップS6(
図4Cに示す通路側への移動)、ステップS8(
図4Dに示す最後尾指標に向かう移動)及びステップS10(
図4Fに示す施設側への移動)が実行され、
図4Gの状態で特別制御のステップS11(停止)が実行される。以下、
図3Aのフローチャートに沿って
図4A〜
図4Gの動作を説明する。
【0032】
ステップS5において、制御切替フラグが1であるから、制御対象となる自動運搬チェア1は、先頭の待ち位置P1にあって顧客Aが離席して施設に入場した場合の当該自動運搬チェア1である。当該自動運搬チェア1の制御部16は、第2検出部14を用いて最後尾指標Meを認識する。第2検出部14の撮像範囲の中心に最後尾指標Meが認識できない場合は、ステップS6に進み、駆動部12の電動モータ121を制御して当該自動運搬チェア1を順番待ち行列Lから離脱させるべく、
図4A及び
図4Bに示すように通路側に移動させる。この移動制御は、ステップS6→S1→S5→S6と、第2検出部14の撮像範囲の中心に最後尾指標Meを認識するまで実行される。したがって、
図4Bに示す状態から開始されたステップS6による通路側への移動は、
図4Cに示すように最後尾指標Meが設置された通路側の位置まで実行され、ここで自動運搬チェア1は停止する。
【0033】
図3AのステップS5にて第2検出部14の撮像範囲の中心に最後尾指標Meが認識できたら、ステップS7へ進む。ここでステップS6の実行が行われなくなるから自動運搬チェア1の通路側への移動が停止する。ステップS7では、第2検出部14を用いて最後尾指標Meとの距離を計測し、計測された距離が予め設定された距離D1より大きいか否かを判断する。この所定距離D1は
図4Eに示すように最後尾の待ち位置Peに相当する通路側の位置と最後尾指標との距離であるから、たとえば20cm程度である。計測された距離が予め設定された距離D1より大きい場合は、ステップS8に進み、制御部16は駆動部12の電動モータ121を制御し、自動運搬チェア1を順番待ち行列Lに沿った通路側の最後尾方向へ移動させる。ステップS7において、計測された距離が予め設定された距離D1以下になった場合はステップS9へ進み、ステップS8の最後尾方向への移動を停止する。これにより、自動運搬チェア1が順番待ち行列Lに沿った通路側の最後尾方向へ移動し始め、ステップS6→S1→S5→S6の処理を実行し、ステップS7において自動運搬チェア1と最後尾指標Meとの距離が所定距離D1に到達するまで、最後尾指標Meに向かって移動することになる。この動作を
図4D〜
図4Eに示す。
【0034】
ステップS9では、自動運搬チェア1が
図4Eに示す最後尾指標Meの近傍位置に到達したら、第1検出部13を用い、最後尾の待ち位置Peの隣の待ち位置P3に在席する自動運搬チェア1のチェア指標Mcを認識する。第1検出部13の撮像範囲の中心にチェア指標Mcが認識できない場合は、ステップS10に進み、駆動部12の電動モータ121を制御して当該自動運搬チェア1を順番待ち行列Lに復帰させるべく、
図4F及び
図4Gに示すように施設側に移動させる。この移動制御は、ステップS10→S1→S5→S7→S9→S10と、第1検出部13の撮像範囲の中心にチェア指標Mcを認識するまで実行される。したがって、
図4Eに示す状態から開始されたステップS10による通路側への移動は、
図4Gに示すようにチェア指標Mcが撮像範囲の中心に認識される最後尾の待ち位置Peまで実行され、ここでステップS11の処理により自動運搬チェア1は停止する。
【0035】
以上のとおり、本実施形態の自動運搬チェア1、これを用いた順番待ち行列Lの運搬システム及び順番待ち行列Lの整列方法によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)本実施形態では、自動運搬チェア1及び制御部16により、先頭の待ち位置P1で待機する顧客Aが順番待ち行列Lから離れた場合に、2番目以降の待ち位置P2,P3,Peにある顧客B,C,Dを先頭に向かって移動させるので、いちいち着座位置を変える面倒さや隣の者との距離感を保つ気遣いなどのストレスを払拭することができる。
(2)本実施形態では、自動運搬チェア1及び制御部16により、先頭の待ち位置P1で待機する自動運搬チェア1に顧客Aが不在となった場合に、当該自動運搬チェア1を順番待ち行列Lから離脱させるとともに、2番目以降の待ち位置にある自動運搬チェア1を先頭に向かって移動させるので、いちいち着座位置を変える面倒さがなく、また順番待ち行列の先頭の位置P1も維持することができる。
(3)本実施形態では、自動運搬チェア1及び制御部16により、順番待ち行列Lから離脱した自動運搬チェア1を、順番待ち行列Lの最後尾の待ち位置に移動させるので、順番待ち行列の先頭の待ち位置P1を維持しつつ最後尾の待ち位置Peの自動運搬チェア1も自動的に確保することができる。
(4)本実施形態では、自動運搬チェア1、制御部16、第1検出部13及び第2検出部14により、順番待ち行列Lの先頭の待ち位置P1に対応する位置に配置された先頭指標Mtと、順番待ち行列Lの最後尾の待ち位置Peに対応する位置に配置された最後尾指標Meとを認識するので、順番待ち行列を構成する際に、先頭指標Mtと最後尾指標Meを所望の位置に配置すれば、自動運搬チェア1は、これら先頭指標Mtと最後尾指標Meを目印にして構成される順番待ち行列Lを自動整列させることができる。
【0036】
上記自動運搬チェア1及び制御部16は本発明に係る運搬手段に相当し、上記自動運搬チェア1は本発明に係る搭載機に相当する。