(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加熱膨張材を補強部材とガスケットとの間に配置した場合は、加熱膨張材と封着部シールとの間にガスケットが配置されているため、加熱膨張材が膨張した際にガスケットが残存していると、加熱膨張材が板ガラス間に入り込むことを阻害する。このため、ガスケットにひびが発生し、そのひびを通って可燃性ガスがガラス保持溝から流出するおそれがある。
【0006】
また、ガスケットとガラス端部間に加熱膨張材を配置した場合には、防火性の有無でガスケットの種類が異なり、管理が煩雑になるという課題もあった。すなわち、防火性が不要な建具の場合、ガスケットは、ガラス端部に密着される。一方、防火性が必要な建具の場合、ガスケットは、ガラス端部との間に加熱発泡材を収納可能なスペースが必要となる。したがって、ガスケットの構造が異なり、ガスケットの種類が増加して管理が煩雑になる。
【0007】
本発明の目的は、加熱発泡材でガラス間を迅速に塞ぐことができ、ガスケットの種類の増加も防止できる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の建具は、ガラス保持溝を有する框材と、前記ガラス保持溝内に設けられたガスケットと、前記ガスケットに装着された複層ガラスとを備え、前記框材は、前記ガラス保持溝を区画する見込み面部、屋外見付け片部、屋内見付け片部を備え、前記ガスケットは、前記複層ガラスと前記見込み面部との間に配置される底面部と、前記複層ガラスと前記屋外見付け片部との間に配置される屋外面部と、前記複層ガラスと前記屋内見付け片部との間に配置される屋内面部とを有し、前記底面部には、前記ガスケットの長手方向に沿って複数の開口が形成され、前記框材と前記ガスケットとの間には、加熱発泡材が配置され
、前記框材は、前記複層ガラスの外周面に沿って設けられる上框、下框、左右の縦框を備え、前記加熱発泡材は、前記上框および前記左右の縦框では、前記見込み面部および前記底面部の間に配置され、前記下框では、前記見込み面部および前記底面部の間には配置されず、前記屋外見付け片部および前記屋外面部の間と、前記屋内見付け片部および前記屋内面部の間に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、框材のガラス保持溝に設けられたガスケットの底面部に複数の開口を形成しているので、加熱発泡材が発泡して膨張した際に開口からガスケットの内側に入り込み、複層ガラスの外周面を加熱発泡材で覆うことができる。このため、封着部シールから可燃性ガスが発生しても、そのガスをガラス間に封入でき、ガスによる発火を防止できる。また、ガスケットに開口を形成しているので、ガスケットが残存していても、加熱発泡材で封着部シールを確実にかつ迅速に覆うことができる。さらに、框材とガラスとの間を膨張した加熱発泡材が塞ぐため、加熱面から非加熱面への炎の貫通を防止できる。
また、加熱発泡材は、ガスケットと框材との間に配置され、ガスケットと複層ガラスとの間には配置されないため、加熱発泡材の有無によってガスケットの種類を変更する必要が無い。このため、ガスケットの種類の増加を防止でき、部品管理も容易にできる。
【0011】
本発明によれば、上框および左右の縦框では、加熱発泡材を底面部に対向して配置しているので、加熱発泡材が膨張すると底面部の開口から即座に封着部シールを覆うことができる。一方、下框では、加熱発泡材は見込み面部には配置されていないため、ガラス保持溝に流入した雨水などをガラス保持溝の底面(見込み面部)から容易に排水できる。
【0012】
本発明の建具において、前記加熱発泡材は、前記左右の縦框では、前記屋外見付け片部および前記屋外面部の間と、前記屋内見付け片部および前記屋内面部の間にも配置されていることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、縦框では、加熱発泡材は、ガスケットの底面部に対向して配置されるだけでなく、ガスケットの屋外面部および屋内面部にも対向して配置されるため、ガスケットと縦框間に配置される加熱発泡材の体積を大きくできる。このため、縦框で熱反りが生じ、屋外見付け片部や屋内見付け片部と、複層ガラスの屋外面や屋内面との隙間が大きくなった場合でも、その隙間をその部分に配置された加熱発泡材によって迅速に塞ぐことができ、防火性能をさらに向上できる。
【0014】
本発明の建具
は、ガラス保持溝を有する框材と、前記ガラス保持溝内に設けられたガスケットと、前記ガスケットに装着された複層ガラスとを備え、前記框材は、前記ガラス保持溝を区画する見込み面部、屋外見付け片部、屋内見付け片部を備え、前記ガスケットは、前記複層ガラスと前記見込み面部との間に配置される底面部と、前記複層ガラスと前記屋外見付け片部との間に配置される屋外面部と、前記複層ガラスと前記屋内見付け片部との間に配置される屋内面部とを有し、前記底面部には、前記ガスケットの長手方向に沿って複数の開口が形成され、前記框材と前記ガスケットとの間には、加熱発泡材が配置され、前記加熱発泡材は、テープ状に形成されて前記框材の長手方向に沿って前記框材に接着され、前記ガスケットの前記底面部に形成される開口は、前記ガスケットの長手方向に沿った一対の長辺と、前記一対の長辺に直交する一対の短辺とで区画される角穴であること
を特徴とする。
【0015】
本発明によれば、加熱発泡材は長尺なテープ状に形成されるため、各框材の長手方向に沿って容易に接着することができる。特に、テープ状の加熱発泡材に、予め接着層(粘着層)を形成しておけば、容易に接着できる。
また、ガスケットの底面部に形成される開口を角穴とし、さらにガスケットの長手方向つまり框材の長手方向に沿った一対の長辺と、長辺に直交する一対の短辺とで形成したので、テープ状の加熱発泡材を底面部に対向して配置した場合に、前記開口と平面的に重なる面積を大きくでき、加熱発泡材が膨張した際に、多くの加熱発泡材を開口から複層ガラスの外周面側に膨張させることができ、封着部シールの表面を確実に被覆できる。
【0016】
本発明の建具
は、ガラス保持溝を有する框材と、前記ガラス保持溝内に設けられたガスケットと、前記ガスケットに装着された複層ガラスとを備え、前記框材は、前記ガラス保持溝を区画する見込み面部、屋外見付け片部、屋内見付け片部を備え、前記ガスケットは、前記複層ガラスと前記見込み面部との間に配置される底面部と、前記複層ガラスと前記屋外見付け片部との間に配置される屋外面部と、前記複層ガラスと前記屋内見付け片部との間に配置される屋内面部とを有し、前記底面部には、前記ガスケットの長手方向に沿って複数の開口が形成され、前記框材と前記ガスケットとの間には、加熱発泡材が配置され、前記ガスケットの前記底面部は、前記開口が形成された薄肉部と、前記薄肉部と前記屋外面部とを連結する屋外厚肉部と、前記薄肉部と前記屋内面部とを連結する屋内厚肉部とを備えて構成され、前記屋外厚肉部は、前記複層ガラスの屋外ガラスの外周面に当接し、前記屋内厚肉部は、前記複層ガラスの屋内ガラスの外周面に当接し、前記複層ガラスにおいて、前記屋外ガラスおよび前記屋内ガラス間に設けられた封着部シールは、前記薄肉部と、前記屋外厚肉部と、前記屋内厚肉部とで区画された凹部に面して設けられていること
を特徴とする。
【0017】
本発明によれば、ガスケットの底面部において、複層ガラスの封着部シールに面する凹部を形成したので、膨張した加熱発泡材が前記開口から凹部内に広がって封着部シールを覆うことができる。このため、開口の面積が小さくても、凹部を設けることでより広い範囲で加熱発泡材を膨張させることができ、封着部シールの表面全体をより確実に被覆できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の建具によれば、加熱発泡材でガラス間を迅速に塞ぐことができ、ガスケットの種類の増加も防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の引違い窓1は、
図1〜
図3に示すように、建物躯体の開口部に設けられる窓枠2と、窓枠2で囲まれた内部に左右方向に引き違い可能に配置された外障子3Aおよび内障子3Bとを備えている。
窓枠2は、アルミ製の押出形材によって形成された上枠21、下枠22および左右の縦枠23、24を枠組みして構成されている。
図2に示すように、上枠21には、上レール25,26が形成されており、下枠22には、下レール27,28が形成されている。
【0021】
外障子3Aおよび内障子3Bは、アルミ製の押出形材によって形成された上框31と、下框32と、戸先側の縦框33と、召合せ側の縦框34と、複層ガラス50とを框組みして構成されている。本実施形態では、上框31、下框32、縦框33、34は、複層ガラス50を保持するガラス保持溝40を有する框材であり、外障子3A、内障子3Bが框材、ガスケット70、複層ガラス50を備える建具である。
【0022】
なお、
図1〜3に示すように、引違い窓1の上下方向をY軸とし、外障子3A、内障子3Bのスライド移動方向をX軸とし、X軸およびY軸に直交する方向をZ軸とすると、窓枠2(上枠21、下枠22、縦枠23、24)や、外障子3A、内障子3Bの見込み方向は、Z軸方向つまり引違い窓1の屋内外方向(奥行き方向)である。また、上枠21、下枠22、上框31、下框32の見付け方向は、Y軸方向つまり上下方向であり、縦枠23、24、縦框33、34の見付け方向は、X軸方向つまり外障子3A、内障子3Bの移動方向(左右方向)である。
【0023】
上框31は、
図2に示すように、ガラス保持溝40を区画する見込み面部311と、屋外見付け片部312と、屋内見付け片部313とを備える。
見込み面部311は、上框31の見込み方向(Z軸方向)に沿って形成され、高さ位置が異なる第1見込み面部311Aと、第2見込み面部311Bとで構成されている。屋外見付け片部312は、見込み面部311の屋外側端縁から下方(見付け方向)に延長され、屋内見付け片部313は、見込み面部311の屋内側端縁から下方に延長されている。
【0024】
下框32は、ガラス保持溝40を区画する見込み面部321と、屋外見付け片部322と、屋内見付け片部323とを備える。
見込み面部321は、下框32の見込み方向(Z軸方向)に沿って形成されている。屋外見付け片部322は、見込み面部321の屋外側端縁から上方に延長され、屋内見付け片部323は、見込み面部321の屋内側端縁から上方に延長されている。
【0025】
縦框33、34は、
図3に示すように、ガラス保持溝40を区画する見込み面部331、341と、屋外見付け片部332、342と、屋内見付け片部333、343とを備える。
見込み面部331、341は、縦框33、34の見込み方向(Z軸方向)に沿って形成されている。屋外見付け片部332、342は、見込み面部331、341の屋外側端縁から見付け方向(X軸方向)に沿って延長され、屋内見付け片部333、343は、見込み面部331、341の屋内側端縁から見付け方向(X軸方向)に沿って延長されている。
【0026】
[補強材]
外障子3Aの下框32には、
図2、6に示すように、屋外見付け片部322と見込み面部321とに沿って配置された断面L字状の補強材35が配置されている。
外障子3Aの縦框34には、
図3、5に示すように、屋外見付け片部342、見込み面部341、屋内見付け片部343に沿って配置された断面コ字状の補強材36が配置されている。補強材36は、屋外見付け片部342、屋内見付け片部343の折返し部分に差し込まれて、屋外見付け片部342、屋内見付け片部343の口開きを防止する。
補強材35、36は、スチールやアルミ製のピース材(短尺材)であり、下框32や縦框34の長手方向に沿って間隔をあけて複数個配置され、下框32や縦框34に図示略のネジで固定されている。なお、他の框に補強材を設けてもよく、補強材の有無は、各框の構造や、各框に加わる力などを考慮して設定すれば良い。
【0027】
[加熱発泡材]
図2に示すように、上框31には、3枚の加熱発泡材511、512、513が接着されている。加熱発泡材511〜513は、熱膨張性黒鉛などを含んで構成された長尺のテープ材であり、火災時などに温度が所定温度(例えば150〜200度程度)以上になると、発泡して約10〜40倍程度に膨張し、遮炎材として機能するものである。また、加熱発泡材511〜513は、裏面側に接着層(粘着層)が積層されており、剥離紙で保護されている。このため、剥離紙を剥がすだけで上框31に容易に接着できるものである。以下で説明する他の加熱発泡材514〜518も同じテープ材である。
加熱発泡材511〜513は、上框31の長手方向(X軸方向)に沿って接着されている。加熱発泡材511は、第1見込み面部311Aの下面に接着され、加熱発泡材512は、第2見込み面部311Bの下面に接着されている。加熱発泡材513は、外障子3Aの屋内見付け片部313や、内障子3Bの屋外見付け片部312の各内面において、第1見込み面部311A側の上端部分に接着されている。
【0028】
下框32には、2枚の加熱発泡材514、515が接着されている。加熱発泡材514、515は、下框32の長手方向(X軸方向)に沿って接着されている。加熱発泡材514は、屋外見付け片部322の内面において、見込み面部321側の下端部に接着されている。加熱発泡材515は、屋内見付け片部323の内面において、見込み面部321側の下端部に接着されている。
【0029】
図3に示すように、縦框33、34には、3枚の加熱発泡材516、517、518が接着されている。加熱発泡材516〜518は、長尺のテープ状に形成され、縦框33、34の長手方向(Y軸方向)に沿って接着されている。
加熱発泡材516は、見込み面部331、341に接着されている。加熱発泡材517は、屋外見付け片部332、342の内面において、見込み面部331、341側の端部に接着されている。加熱発泡材518は、屋内見付け片部333、343の内面において、見込み面部331、341側の端部に接着されている。
【0030】
[ガスケット]
各框31〜34のガラス保持溝40には、複層ガラス50に装着されたガスケット(グレージングチャンネル)70が挿入されている。ガスケット70は、
図4にも示すように、底面部71と、屋外面部72と、屋内面部73とを備えた硬質樹脂部74と、屋外面部72および屋内面部73の上端部に設けた軟質樹脂部75とを備えている。軟質樹脂部75は、硬質樹脂部74に比べて硬度が低く、複層ガラス50に当接して水密性、気密性を向上できるものであればよい。
底面部71は、薄肉部711と、薄肉部711の屋外側に設けられて薄肉部711と屋外面部72とを連結する屋外厚肉部712と、薄肉部711の屋内側に設けられて薄肉部711と屋内面部73とを連結する屋内厚肉部713とを備えている。屋外厚肉部712、屋内厚肉部713の複層ガラス50側の表面は、薄肉部711の表面よりも複層ガラス50に近づくように形成されている。これにより、薄肉部711と、屋外厚肉部712と、屋内厚肉部713とで囲まれる凹部76が形成されている。
【0031】
薄肉部711には、開口77が形成されている。開口77は、ガスケット70の長手方向に沿った一対の長辺771と、長辺771に直交する一対の短辺772とで区画される角穴である。
短辺772の幅寸法(Z軸方向の寸法)W1は、例えば、底面部71の幅寸法Wの1/2以上、2/3以下程度に設定されている。
長辺771の長さ寸法L1は、例えば、幅寸法W1の4〜5倍程度に設定されている。また、各開口77間の寸法L2は、例えば、長さ寸法L1の1/10以上、1/15以下程度に設定されている。
底面部71における開口77の面積比は、約40%以上、70%以下程度に設定することが好ましく、開口77の面積は、ガスケット70の剛性、強度を確保できる範囲で、できるだけ大きくすればよい。本実施形態では、底面部71、屋外面部72、屋内面部73は、硬質樹脂部74で構成されているので、底面部71における開口77の面積比が約40%以上であっても、底面部71が捻れたりすることもなく、必要な強度を確保できる。
【0032】
[複層ガラス]
複層ガラス50は、
図2,3に示すように、屋外側に配置された屋外ガラス51と、屋内側に配置された屋内ガラス52と、屋外ガラス51および屋内ガラス52間に配置されたスペーサー53および封着部シール54を備えている。
屋外ガラス51は、網入りガラスからなる防火ガラスで構成され、屋内ガラス52は、LOW−Eガラス等の板ガラスで構成されている。なお、屋外ガラス51を板ガラスで構成し、屋内ガラス52を防火ガラスで構成してもよいし、屋外ガラス51および屋内ガラス52を防火ガラスで構成してもよい。なお、防火ガラスとしては、網入りガラスに限定されず、耐熱強化ガラス等の各種の防火ガラスを用いることができる。
【0033】
スペーサー53は、屋外ガラス51および屋内ガラス52間の間隔を維持するものであり、公知のものを用いることができる。スペーサー53は、屋外ガラス51および屋内ガラス52の外周面よりも内側に配置されている。複層ガラス50は、屋外ガラス51、屋内ガラス52間においてスペーサー53で区画される中空部に、乾燥空気やアルゴンガスを封入したり、中空部を真空状態にしてユニット化することで、断熱性能を向上している。
【0034】
封着部シール54は、スペーサー53の外周側において、屋外ガラス51および屋内ガラス52の各外周端部間に形成される空間に充填されている。封着部シール54は、各ガラス51,52を強固に接着固定でき、中空部の水密性、気密性を確保できる材質であればよく、シリコン系やポリサルファイド系等の接着剤を利用できる。
【0035】
なお、複層ガラス50としては、屋外ガラス51、屋内ガラス52の2枚のガラスを備えるものに限定されず、屋外ガラス51、屋内ガラス52に加えて、各ガラス51,52間に配置される1枚以上の中間ガラスを備えるものでもよい。
複層ガラス50の外周面とは、屋外ガラス51、屋内ガラス52の外周面(屋外厚肉部712、屋内厚肉部713に対向する面)と、封着部シール54の露出面(外周面)とを含むものである。
【0036】
複層ガラス50の外周面には、前述したガスケット70が装着される。本実施形態では、複層ガラス50の外周面のうち、上面と一方の縦面に沿って配置されるガスケット70と、下面と他方の縦面に沿って配置されるガスケット70との2つのガスケットが装着されている。
ガスケット70の屋外厚肉部712、屋内厚肉部713には、屋外ガラス51、屋内ガラス52の外周面がそれぞれ当接されて位置決めされている。
【0037】
下框32の見込み面部321には、
図2に示すように、複層ガラス50を支持するセッティングブロック56が配置されている。セッティングブロック56は、短尺の直方体状のブロックであり、下框32の長手方向に沿って複数(例えば2個)配置されている。また、外障子3Aの下框32に固定された補強材35は、短尺のピース材であり、セッティングブロック56とは異なる位置に配置されている。
なお、下框32の見込み面部321には、加熱発泡材が配置されないため、セッティングブロック56および補強材35は、見込み面部321に直接載置されている。
【0038】
[ガラス保持溝の防火構造]
火災時の熱で加熱発泡材511〜518が発泡、膨張した場合の防火構造について、
図5、6を参照して説明する。
図5(A)に示すように、縦框34には、ピース材である補強材36が配置されているため、縦框34に設けられた各加熱発泡材516〜518は、補強材36の配置部分では補強材36に接着され、補強材36が配置されていない部分では縦框34に接着されている。
【0039】
火災時の熱で外障子3A、内障子3Bの温度が上昇し、各加熱発泡材516〜518が発泡温度(例えば150〜200℃)に到達すると、各加熱発泡材516〜518が発泡して膨張する。
図5(B)に示すように、加熱発泡材516は、発泡すると、ガスケット70の開口77から凹部76内に膨張し、凹部76に面している封着部シール54の表面を覆って被覆する。
また、加熱発泡材517、518が発泡すると、ガスケット70の屋外面部72、屋内面部73と、屋外見付け片部342、屋内見付け片部343との間で膨張する。このため、軟質樹脂部75が焼失している場合には、加熱発泡材517、518は、屋外見付け片部342、屋内見付け片部343を覆い、複層ガラス50と屋外見付け片部342、屋内見付け片部343との間を塞ぐ。
他の縦框33、34においても、同様に、加熱発泡材516が開口77から凹部76内に膨張して封着部シール54の表面を覆い、加熱発泡材517、518が、複層ガラス50の屋外面や屋内面と、縦框33、34との隙間を塞ぐ。
【0040】
図6に示すように、上框31では、加熱発泡材511〜513が発泡し、主に加熱発泡材511が開口77から凹部76に膨張して封着部シール54の表面を覆い、加熱発泡材512、513が複層ガラス50の屋外面や屋内面と、上框31との隙間を塞ぐ。
下框32では、加熱発泡材514、515が発泡すると、開口77から凹部76に膨張して封着部シール54の表面を覆う。下框32では、見込み面部321には加熱発泡材が設けられておらず、加熱発泡材514、515は、屋外見付け片部322、屋内見付け片部323に設けられているので、互いに対向する加熱発泡材514、515が発泡、膨張して衝突すると、開口77から凹部76内に膨張して封着部シール54の表面を覆う。また、加熱発泡材514、515は、複層ガラス50の屋外面や屋内面と、下框32との隙間も塞ぐ。
以上により、各加熱発泡材511〜518が発泡するため、ガラス保持溝40での防火性能を確保できる。
【0041】
[実施形態による効果]
(1)ガスケット70の底面部71に複数の開口77を形成しているので、特に開口77に対向して配置される加熱発泡材511、512、516や、下框32に設けられた加熱発泡材514、515が発泡、膨張した際に、開口77からガスケット70の内側に入り込み、複層ガラス50の外周面を覆うことができる。このため、封着部シール54から可燃性ガスが発生しても、そのガスをガラス51、52間に封入でき、ガスの流出を防止して流出したガスによる発火も防止できる。
また、ガスケット70に開口77を形成しているので、ガスケット70が残存していても、加熱発泡材511〜518で封着部シール54を確実にかつ迅速に覆うことができる。さらに、各框31〜34と複層ガラス50との間を膨張した加熱発泡材511〜518が塞ぐため、外障子3A、内障子3Bの加熱面(屋外側または屋内側)から非加熱面(屋内側または屋外側)への炎の貫通を防止でき、複層ガラス50の周囲の防火性能を向上できる。
【0042】
(2)加熱発泡材511〜518は、ガスケット70と框31〜34との間に配置され、ガスケット70と複層ガラス50との間には配置されないため、加熱発泡材511〜518の有無によってガスケット70の種類を変更する必要が無い。このため、ガスケット70の種類の増加を防止でき、部品管理も容易にできる。
【0043】
(3)上框31および左右の縦框33、34では、加熱発泡材511、512、516を底面部71の開口77に対向して配置しているので、加熱発泡材511、512、516が発泡すると即座に開口77から凹部76内に膨張し、封着部シール54を迅速に覆うことができる。一方、下框32では、加熱発泡材514、515は見込み面部321に接着されていないため、下框32内に流入した雨水が見込み面部321上を流れる際の障害にならず、雨水を見込み面部321に形成した排水穴から容易に排水できる。
【0044】
(4)縦框33、34は、ガスケット70の底面部71の開口77に対向して配置される加熱発泡材516だけでなく、ガスケット70の屋外面部72および屋内面部73にも対向して配置される加熱発泡材517、518を備えているので、ガスケット70と縦框33、34間に配置される加熱発泡材516〜518の合計の体積を大きくできる。このため、縦框33、34で熱反りが生じ、屋外見付け片部322や屋内見付け片部323と、複層ガラス50の屋外面や屋内面との隙間が大きくなった場合でも、その隙間を加熱発泡材517,518によって塞ぐことができ、防火性能をさらに向上できる。
【0045】
(5)加熱発泡材511〜518は長尺なテープ状に形成されるため、各框31〜34の長手方向に沿って容易に接着することができる。
また、ガスケット70の底面部71に形成される開口77を角穴とし、ガスケット70の長手方向つまり框31〜34の長手方向に沿った一対の長辺771と、長辺771に直交する一対の短辺772とで開口77を形成したので、テープ状の加熱発泡材511、516を底面部71に対向して配置した場合に、開口77と平面的に重なる面積を大きくできる。このため、加熱発泡材511、516が膨張した際に、多くの加熱発泡材511、516を開口77から複層ガラス50の外周面側に膨張させることができ、封着部シール54の表面を確実に被覆できる。
【0046】
(6)ガスケット70の底面部71に凹部76を形成したので、膨張した加熱発泡材511〜518は開口77から凹部76内で広がって封着部シール54を覆うことができる。このため、開口77の面積が小さくても、凹部76を設けることでより広い範囲で加熱発泡材511〜518を膨張させることができ、封着部シール54の表面全体をより確実に被覆できる。
【0047】
[変形例]
なお、本発明は以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、加熱発泡材511〜518は、框31〜34に接着されるものに限定されず、ガスケット70側に接着してもよい。すなわち、加熱発泡材511〜518は、框31〜34とガスケット70との間に配置されていればよい。
また、各框31〜34における加熱発泡材の数や配置位置は前記実施形態に限定されない。例えば、下框32において、底面部71の開口77に対向する見込み面部321に加熱発泡材を接着してもよい。逆に、上框31や縦框33、34において、見込み面部311、331、341に加熱発泡材を配置せず、屋外見付け片部312、332、342や、屋内見付け片部313、333、343に加熱発泡材を接着してもよい。
【0048】
ガスケット70は前記実施形態で開示された形状、構造のものに限定されない。例えば、凹部76が形成されていないガスケットでもよく、少なくとも底面部71に複数の開口77が形成されていればよい。
また、開口77の形状も角穴に限定されず、楕円形状等でもよく、加熱発泡材511〜518の発泡膨張時に封着部シール54を覆うことができればよい。また、ガスケット70の底面部71の複数の開口77は、必ずしも建具の四辺(上、縦、下)に設けられるガスケット70のすべてが備える必要はなく、建具のいずれか一辺に設けられるガスケット70のみに開口77が設けられていてもよいし、建具の2辺もしくは3辺に設けられるガスケット70に開口77が設けられてもよい。
【0049】
本発明の建具は、引違い窓に限らず、片引き窓、縦すべり出し窓、横すべり出し窓、内倒し窓、外倒し窓、上げ下げ窓、内開き窓、外開き窓、FIX窓等の各種サッシ窓として用いることができる。なお、FIX窓においては、複層ガラスを保持する窓枠が、本発明におけるガラス保持溝40を有する框材に相当する。