(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
図18は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。作業機1としては、バックホー以外のコンパクトトラックローダ(CTL)やスキッドステアローダ(SSL)などの建設機械、又はトラクタやコンバインなどの農業機械であってもよい。
【0012】
先ず、
図16〜
図18を用いて、作業機1の全体構成を説明する。
図18に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、作業装置4とを備えている。機体2上にはキャビン5が搭載されている。キャビン5の室内には運転席6が設けられている。
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座した運転者(オペレータ)の前側(
図18の矢印A1方向)を前方、運転者の後側(
図18の矢印A2方向)を後方、運転者の左側(
図18の手前側)を左方、運転者の右側(
図18の奥側)を右方として説明する。
【0013】
また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって機体2の幅方向の中心から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0014】
図18に示すように、走行装置3は、左側に設けられた走行体3Lと、右側に設けられた走行体3Rとを有する。走行体3L及び走行体3Rは、クローラ式の走行装置である。走行体3L、3Rには、走行モータが支持されている。走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。ドーザ装置7は、ドーザシリンダを伸縮することにより昇降(ブレードを上げ下げ)させることができる。
【0015】
機体2は、走行装置3上に旋回ベアリング8を介して縦軸(上下の方向に延伸する軸心)回りに旋回自在に支持されている。機体2は、油圧モータ(油圧アクチュエータ)からなる旋回モータによって旋回駆動される。機体2は、縦軸回りに旋回する旋回基板9と、ウエイト10とを有している。旋回基板9は、鋼板等から形成されており、旋回ベアリング8に連結されている。ウエイト10は、機体2の後部に設けられている。旋回基板9は、該旋回基板9上に固着された補強部材や支持部材等と共に旋回フレームを構成しており、該旋回フレームの側方及び前方は旋回カバー21によって覆われている。また、旋回フレームの後方は、ウエイト10によって覆われている。
【0016】
機体2の後部には、原動機E1が搭載されている。原動機E1は、ディーゼルエンジン
である。なお、原動機E1は、電動モータであってもよいし、ディーゼルエンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
ボンネット11によって覆われていて当該ボンネット11の内側に形成されたエンジンルームE2には、排出ガス浄化装置31、油圧ポンプP1が設けられている。また、エンジンルームE2には、旋回基板9に立設された支持フレーム12が設けられている。この支持フレーム12にボンネット11が支持されている。ボンネット11は、エンジンルームE2を開閉する開閉カバー11aを有する。開閉カバー11aは、支持フレーム12にヒンジ部材11bを介して上下に揺動可能に支持されている。
図16に示すように、開閉カバー11aは、符号X1で示す位置がエンジンルームE2を閉じる閉じ位置であり、この閉じ位置X1から符号X2で示す開き位置に上方に揺動させることで、エンジンルームE2を開放する。
【0017】
図16に示すように、旋回基板9上であって、キャビン5の右側方には、ラジエータR1、オイルクーラO1、作動油タンクT1、バッテリB1、コントロールバルブV1等が配置されている。ラジエータR1、オイルクーラO1、作動油タンクT1、バッテリB1及びコントロールバルブV1は、側部カバー22によって覆われている。側部カバー22は、上部に開閉可能なフード23を有する。
【0018】
即ち、機体2には、原動機E1、油圧ポンプP1、排出ガス浄化装置31、ラジエータR1、オイルクーラO1、作動油タンクT1、バッテリB1及びコントロールバルブV1等の駆動機器が設けられ、これらの駆動機器は、ボンネット11、側部カバー22等のカバー装置により囲まれている。なお、機体2に設けた駆動機器は、上述した例に限定されない。
【0019】
図16、
図17に示すように、機体2は、機体幅方向の中央のやや右寄りの前部に支持ブラケット13を有している。
図18に示すように、支持ブラケット13には、スイングブラケット14が、縦軸回りに揺動自在に取り付けられている。スイングブラケット14には、作業装置4が取り付けられている。
作業装置4は、ブーム15と、アーム16と、バケット(作業具)17とを有している。ブーム15の基部は、スイングブラケット14に横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回動自在に枢着されている。これによって、ブーム15が上下に揺動自在とされている。アーム16は、ブーム15の先端側に横軸回りに回動自在に枢着されている。これによって、アーム16が前後或いは上下に揺動自在とされている。バケット17は、アーム16の先端側にスクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。作業機1は、バケット17に代えて或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(予備アタッチメント)を装着することが可能である。他の作業具(予備アタッチメント)としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が例示できる。
【0020】
スイングブラケット14は、機体2内に備えられたスイングシリンダの伸縮によって揺動自在とされている。ブーム15は、ブームシリンダC3の伸縮によって揺動自在とされている。アーム16は、アームシリンダC4の伸縮によって揺動自在とされている。バケット17は、バケットシリンダ(作業具シリンダ)C5の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作自在とされている。ドーザシリンダ、スイングシリンダ、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダC5は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0021】
次に、操縦部について説明する。
図16に示すように、作業機1には、運転席6を含む操縦部24が設けられている。この実施形態では、キャビン5に囲まれた空間、即ち、キャビン5内に操縦部24が設けられている。
操縦部24は、運転席6の周囲の部位であって、運転席6に着座したオペレータが作業機1に装備された機械、装置、器具、部材等(例えば、原動機E1、機体2、走行装置3、作業装置4等)の操作に関係する装置、部材等が集まった部位を含む。
【0022】
操縦部24は、運転席6の左側に設けられた操縦装置19Lと、運転席6の右側に設け
られた操縦装置19Rとを有する。操縦装置19Lは、例えば、機体2とアーム16とを操作する。操縦装置19Rは、例えば、ブーム15とバケット17とを操作する。また、操縦部24は、運転席6の右側に配置されたドーザ操作部材25を有する。ドーザ操作部材25は、ドーザ装置7を操作する部材である。
【0023】
また、操縦部24は、運転席6の前方に設けられた走行操作部材54L,54R、スイング操作部材56及びSP操作部材57を有する。走行操作部材54Lは、走行体3Lを操作する部材である。この走行操作部材54Lは、レバーとペダルとを有し、レバー及びペダルのどちらでも走行体3Lを操作可能である。走行操作部材54Rは、走行体3Rを操作する部材である。この走行操作部材54Rもレバーとペダルとを有し、レバー及びペダルのどちらでも走行体3Rを操作可能である。スイング操作部材56は、スイングブラケット14を操作する部材である。SP操作部材57は、バケット17の代わりに装着される油圧アタッチメントを操作する部材である。
【0024】
また、操縦部24は、キーシリンダ(イグニッションキーシリンダ)62、スイッチ類及びランプ類が設けられた操縦ボックス26を有する。また、操縦部24は、運転席6の左側方に設けられたアンロードレバー27を有する。アンロードレバー27は、下げられた状態では、オペレータの降車を妨げる位置にある。オペレータが作業機1から降車する際にアンロードレバー27を引き上げることにより、アンロードレバー27と共に測定装置19Lが上方に揺動し、降車及び乗車するための通路が確保される。アンロードレバー27を引き上げた状態では、作業装置4の油圧アクチュエータに作動油が供給されない。
【0025】
また、操縦部24は、運転席6の周囲に設けられたメータ及びモニタ等であって、作業機1に関する様々な情報(作業機1の動作状態)を表示する表示装置29を有する。表示装置29は、操縦装置19Rの前方に設けられている。
図3に示すように、表示装置29は、液晶パネル112と、LED表示部113と、第2手動スイッチ(手動スイッチ)58とを有する。
【0026】
液晶パネル112は、液晶表示によって文字や図形を自由に表示できると共に、表示する文字や図形を自在に変更することが可能である。例えば、液晶パネル112の左側には、燃料の残量を棒グラフ状のゲージで示す燃料計が表示されており、ゲージの長さ、つまり棒グラフの長さが燃料の残量に対応している。また、液晶パネルの右側には、冷却水の水温をゲージで示す水温計が表示されており、現在の水温を示すカーソルが水温に応じて上下に移動する。
【0027】
また、液晶パネル112の中央部には、後述するDPF再生に関する注意を喚起する文字情報や、現在DPF再生が行われていることを表すアイコン112aが表示される。液晶パネル112に表示される情報の種類や、図形や文字などの表示形態の選択は任意である。
LED表示部113は、制御装置46(エンジン制御装置32及び再生制御装置33)に接続されたセンサ等で検出された検出情報を、LED素子の点灯、消灯、点滅によって表示する。詳しくは、LED表示部113として、何らかの警告が発せられていることを示す警告LED表示部113a、エンジン油圧の警告を示す油圧LED表示部113b、バッテリの充電状態の警告を示すバッテリLED表示部113c、速度警告を示す速度LED表示部113d、排気温度の警告を示す排気LED表示部などである。これらLED表示部113は、点灯、消灯、点滅だけでなく、点灯時間、消灯時間、点滅間隔、点灯時の明るさを変更することによっても自由に表示の形態を変えることができる。
【0028】
図1に示すように、作業機1は、排出ガス浄化装置31を備えている。排出ガス浄化装置31は、原動機E1から排出される排出ガスを浄化して外部環境へ排出する装置である。排出ガス浄化装置31は、フィルタ41を有している。フィルタ41は、排出ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集するフィルタであって、ディーゼルパーティキュレートフィルタ(DPF)である。DPF41は、例えば、セラミック製又は金属製で断面がハニカム構造となるように形成されている。
【0029】
図1及び
図17に示すように、DPF41は、ボンネット11内の原動機E1の上方に配置されている。DPF41の排気側には、排気音を低減するマフラ40及び排出ガスを
ボンネット11外部に導く排気管28が接続されている。DPF41を通った排出ガスは、マフラ40、排気管28を通ってボンネット11の上方に排出される。DPF41は、排出ガスの流路である排気マニホールド30を介して原動機E1の排気ポート36に接続されている。原動機E1は、複数のシリンダ(気筒)を有する多気筒エンジンである場合が多いが、
図1では、そのうちの1つのシリンダ34の構成を示している。
【0030】
排気ポート36は、燃焼ガス(燃料を燃焼した後のガス)をシリンダ34から排出するための開口である。また、シリンダ34には、吸気ポート35が形成されている。吸気ポート35は、シリンダ34内に空気を導入するための開口である。吸気ポート35には、シリンダ34内に導入される空気の流路である吸気マニホールド39が接続されている。また、シリンダ34には、吸気ポート35を開閉するための吸気バルブ37と、排気ポート36を開閉するための排気バルブ38とが設けられている。
【0031】
排気ポート36から排出された排出ガスは、DPF41によってPMが捕集された後、排出ガス浄化装置31からマフラ40へ向けて排出される。DPF41は、捕集して堆積したPMの堆積量(PM堆積量)が多くなると目詰まりを起こす。そこで、PM堆積量が多くなり過ぎないように適宜PMを燃焼させて、DPF41をクリーニングしなくてはならない。DPF41に堆積したPMを燃焼させることを「DPF再生(フィルタ再生)」という。DPF再生は、DPF41の温度を所定温度以上に上昇させることで堆積したPMを燃焼させてガス化し、排出ガスとともに環境中に排出することで行われる。DPF再生は、例えば、燃料のポスト噴射によって行われる。ポスト噴射とは燃焼後のガスに燃料を噴射することによって、DPF13の温度上昇を促進する動作である。なお、DPF再生は、例えば、原動機E1の吸気スロットルが絞られること(吸気スロットルの絞り)によって排気温度を上昇させてPMを燃焼させることで行われるようにしてもよい。また、排出ガス浄化装置31は、このDPF41の他に、図示しないが、PM中の燃料及び燃焼ガス中の窒素酸化物を酸化するための酸化触媒などを有していてもよい。
【0032】
作業機1(排出ガス浄化装置31)は、DPF再生として「自動再生」及び「手動再生」を行うことが可能である。また、作業機1(排出ガス浄化装置31)は、「自動再生」及び「手動再生」とは別に、「補助再生」を行うことが可能である。
DPF再生について
図2を参照して説明する。
図2は、稼動時間(経過時間)に対するPM堆積量の変化の一例を表すグラフであり、横軸は、稼動時間を示し、縦軸は、PM堆積量を示している。
図2は、原動機E1の始動直後から、PM堆積量が徐々に増加した場合を想定している。
【0033】
図2において、第1堆積量閾値は、DPF再生が必要か否かを区別する境目となる閾値である(例えば、PM堆積量がDPF41容量の40%程度)。PM堆積量が第1堆積量閾値未満のレベル(レベル0)は、DPF再生が不要なレベルである。
PM堆積量が第1堆積量閾値以上であると、自動的にPMを燃焼させるDPF再生である自動再生が行われる。即ち、自動再生は、PM堆積量が第1堆積量閾値以上で且つ第1堆積量閾値よりも大きい第2堆積量閾値未満のレベル(レベル1)で行われる。自動再生は、自動的に行われるDPF再生であり、オペレータの意思とは関係なくポスト噴射やスロットル絞り等が自動的に行われ、排気温度が上昇する。
【0034】
PM堆積量が第2堆積量閾値以上であると、作業機1を操縦するオペレータの意思により、PMを燃焼させるDPF再生(手動再生)が可能である。第2堆積量閾値は、オペレータに対して手動再生を行うことを許可するか否かを区別する閾値である(例えば、PM堆積量がDPF41容量の60%程度)。即ち、手動再生は、オペレータの意志によって行われる再生動作であって、PM堆積量が第2堆積量閾値以上のレベル(レベル2)で行うことができるDPF再生である。
【0035】
手動再生では、ポスト噴射やスロットル絞り等により排気温度を上昇させる処理が行われる。それ故、手動再生は、所定の条件下で行われる。言い換えると、所定の条件を満たさないと、手動再生は行えない。所定の条件は、少なくとも、作業機1が駐車していることである。作業機1が駐車していることが確認できる条件は、例えば、走行操作部材が中立であること、原動機E1がアイドリング状態であること、作業機1に駐車ブレーキが装
備されている場合は、該駐車ブレーキが制動(ロック)状態とされていること等である。
【0036】
さて、補助再生は、上述した手動再生とは異なるDPF再生であって、PM堆積量が第1堆積量閾値以上である場合に実行されるDPF再生である。この補助再生は、PM堆積量が第1堆積量閾値以上で且つ第2堆積量閾値未満のレベルであるレベル1で且つ手動で行うことができるDPF再生である。上記の手動再生は、作業機1を操縦するオペレータが行う(作業機1の使用の途中で駐車させて行う)DPF再生であるのに対し、この補助再生は、オペレータ以外の者(例えば、レンタル会社等の作業機1の管理者)が作業機1の使用後或いは使用前に簡易なメンテナンスのためのDPF再生を行うことを目的として設けられたものである。この補助再生においても、エンジン回転数が強制的に高められ、且つ上述した所定の条件下で行われる。
【0037】
自動再生、手動再生及び補助再生は、例えば、DPF再生を所定時間行うことにより終了する。このDPF再生の動作時間は、PM堆積量又はPMの燃焼量によって変動するようにしてもよい。なお、堆積量閾値として、第2堆積量閾値よりも大きい値の複数の堆積量閾値を設けてもよい。この複数の堆積量閾値は、例えば、手動再生を強く要求する閾値や、整備工場による保守作業を要求する閾値等である。
【0038】
上述した手動再生は、操縦部24に設置した手動スイッチ、即ち、
図3に示すように、表示装置29に設けられたON/OFFに切り換え可能な第2手動スイッチ58をONことにより実行することができる。第2手動スイッチ58は、LED等のランプを有していて、第2手動スイッチ58に設けたランプは点灯、消灯、点滅が可能である。例えば、第2手動スイッチ58のランプは、PM堆積量がレベル0及びレベル1である場合は消灯しており、PM堆積量がレベル2になると点滅して、オペレータに手動再生が必要であることを促す。第2手動スイッチ58のランプが点滅している状態で当該第2手動スイッチ58をONすると、後述する第2指令信号が再生制御装置33に送られ、当該ランプは点滅から点灯に切り換わる。手動再生が終了してPM堆積量がレベル2未満になると、第2手動スイッチ58のランプは消灯する。
【0039】
また、補助再生は、第2手動スイッチ58とは異なり、操縦部24とは異なる位置に設置した手動スイッチ、即ち、
図17示すように、ON/OFFに切り換え可能な第1手動スイッチ55をONにすることにより実行することができる。
第1手動スイッチ55は、例えば、押しボタン式、シーソ型のスイッチ等であり、1回の操作でON/OFFが切換可能である。第1手動スイッチ55が押しボタン式の場合は、1回押すとONに保持され、ONの状態から再度押すとOFFに切り換えられる。また、第1手動スイッチ55がシーソ式の場合は、ONに対応する箇所を押すとONに保持され、OFFに対応する箇所を押すとOFFに保持される。つまり、第1手動スイッチ55は、1回の操作によってON/OFFの切換が可能である。
【0040】
なお、上述した実施形態では、第1手動スイッチ55は、1回の操作によってON/OFFの切換が可能であるが、少なくとも2回以上の操作によってOFFからONに切り換わる(補助再生の指令を行っていない状態から補助再生の指令をする)スイッチであってもよい。例えば、第1手動スイッチ55は、スライド式と押しボタン式とを組み合わせ、スライド操作及び押し操作が行われた場合にOFFからONになるスイッチであってもよい。或いは、第1手動スイッチ55は、押し操作を少なくとも2回以上行った場合に、OFFからONになる押しボタン式のスイッチであってもよいし、ロータリ等の回転操作(回動操作)と押しボタン式とを組み合わせ、回動操作及び押し操作が行われた場合にOFFからONになるスイッチであってもよく、少なくとも2回以上の操作で作動するスイッチの方式は、限定されない。
【0041】
また、第1手動スイッチ55は、LED等のランプを有していてもよい。この場合、第1手動スイッチ55に設けたランプは点灯、消灯、点滅が可能である。
第1手動スイッチ55を設ける場所としては、運転席6に着座したオペレータには見えない位置や、降車した状態で操作される位置が考えられる。例えば、第1手動スイッチ55は、上述したボンネット11、側部カバー22、フード23、旋回カバー等のカバー装置の内部に設けられる。この実施形態では、
図17に示すように、第1手動スイッチ55
は、ボンネット11内に設けられる。即ち、第1手動スイッチ55は、ボンネット11内の支持フレーム12に取付けられている。第1手動スイッチ55をボンネット11内に設ける場合、ボンネット11内であればどこでもよいが、開閉カバー11aを開けた状態でアクセスしやすい所(例えば、ボンネット11内であって開閉カバー11aの近傍位置)に設けるのが好ましい。第1手動スイッチ55は、ボンネット11の内部以外の部位に設けられてもよい。
【0042】
なお、第1手動スイッチ55を側部カバー22の内部に設ける場合も、第1手動スイッチ55は、アクセスしやすい所(例えば、側部カバー22内のフード23の近傍位置)に設けるのが好ましい。また、この場合、第1手動スイッチ55は、機体外方側(図例では、右側)寄りに設けるのがよい。
また、
図18に示すように、第1手動スイッチ55は、旋回カバー21の内部に設けられていてもよい。例えば、第1手動スイッチ55を、旋回カバー21の側部に設けられた開閉蓋57の内方に設けてもよい。開閉蓋57は、旋回カバー21に設けられた開口を開閉可能に塞ぐ蓋であって、機体2内部の機器を点検するための点検用開口を塞ぐ蓋や、機体2内部に設けた工具収納部に対して工具を出し入れするための開口を塞ぐ蓋などである。
【0043】
また、第1手動スイッチ55は、キャビン5を構成する筒状の支柱の内部に設け、支柱の外面(キャビン5の室外側の面)に開閉自在な蓋を設け、蓋を開放することによってキャビン5の外側(キャビン5の室外側)からアクセスできるようにしてもよい。なお、蓋を閉鎖した状態では、第1手動スイッチ55が視認できず、操作することもできない。言い換えれば、操縦部24とは異なる位置であるキャビン5の支柱の内部(支柱に囲まれた空間)に第1手動スイッチ55を設けてもよい。
【0044】
なお、表示装置29又は操縦部24に許可スイッチ59、再生ランプ60を設けてもよい。許可スイッチ59は、ON/OFFに切り換え可能なスイッチである。許可スイッチ59は、LED等のランプを有しており、当該ランプは、点灯と消灯とが可能である。再生ランプ60は、DPF再生が行われていない場合は消灯し、自動再生、手動再生、補助再生のいずれかが行われている場合は点灯する。
【0045】
さて、
図1に示すように、排出ガス浄化装置31は、第1圧力センサ42と、第2圧力センサ43と、差圧センサ44とを有している。第1圧力センサ42は、DPF41の入口側(排出ガスが入る側)には、DPF41の入口付近の排気圧力を検出する。第2圧力センサ43は、DPF41の出口側(排出ガスが排出される側)には、出口付近の排気圧力を検出する。第1圧力センサ42及び第2圧力センサ43は、例えば圧電素子などで構成される圧力センサである。第1圧力センサ42及び第2圧力センサ43は、差圧センサ44に接続されている。
【0046】
差圧センサ44は、第1圧力センサ42が検出した排気圧力と、第2圧力センサ43が検出した排気圧力とから、DPF41の入口側と出口側での排気圧力の差(差圧)を検出する。DPF41にPMの堆積がなく目詰まりがない場合、DPF41による圧力損失は非常に小さいので、第1圧力センサ42と第2圧力センサ43が検出した排気圧力の差はわずかであり、差圧センサ44が検出する差圧も小さな値となる。しかし、DPF41にPMが堆積し目詰まりの程度が大きくなってくると、DPF41による圧力損失が大きくなるので差圧センサ44が検出する差圧も大きくなる。この差圧の大きさは、DPF41の目詰まりの程度に対応するので、差圧の大きさを、DPF41の目詰まりの程度、すなわちDPF41におけるPM堆積量に換算することができる。したがって、第1圧力センサ42、第2圧力センサ43及び差圧センサ44によってPM堆積量を演算することができる。
【0047】
また、排出ガス浄化装置31は、測定装置(温度センサ)45を有している。温度センサ45は、原動機E1とDPF41とをつなぐ排気マニホールド30に設けられ、且つ、原動機E1から排出されてDPF41へ向かう燃焼ガスの温度(排気温度)を検出する。温度センサ45は、例えばサーミスタなどから構成されている。
排出ガス浄化装置31は、再生制御装置33を有している。再生制御装置33には、差
圧センサ44及び温度センサ45が接続されている。再生制御装置33には、差圧センサ44によって検出した差圧及び温度センサ45で検出した排気温度が入力される。再生制御装置33には、原動機E1を制御するエンジン制御装置32が接続されている。言い換えれば、作業機1は、再生制御装置33とエンジン制御装置32とを含む制御装置46が設けられている。また、再生制御装置33には、表示装置29及び第1手動スイッチ55が接続されている。即ち、再生制御装置33は、第1手動スイッチ55及び第2手動スイッチ58からの指令信号を取得する。
【0048】
エンジン制御装置32は、CPU等から構成され、原動機E1や動力伝達系の各所に設置したセンサから情報を得て、原動機E1の状態に応じた最適な燃料噴射量や噴射時期、点火時期、アイドル回転数などを演算して原動機E1等に制御指令を出すものである。例えば、運転席6の周囲に設けたアクセルを操作すれば(アクセル操作を行うことによって)、エンジン制御装置32がアクセルの操作量(開度)を検出して燃料噴射量などを増加させる。このようにして、原動機E1のエンジン回転数を上昇させることができる。
【0049】
エンジン制御装置32に情報を提供するセンサとしては、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ、排出ガス浄化装置31の差圧を検出する差圧センサ44、排気温度を検出する温度センサ45、吸入空気量を検出するためのエアフロメータ、原動機E1の回転数(エンジン回転数)を検出するための回転センサ、冷却水の水温を検出するための水温センサ、バルブの開度を検出するためのスロットルポジションセンサなどがある。これら以外にも、クランク位置を検出するためのカムポジションセンサ、吸入空気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサなどがある。
【0050】
図1に示すように、再生制御装置33は、CPU等から構成され、DPF再生に関する制御を行う。再生制御装置33は、再生制御部47と、堆積量取得部50と、報知部51と、計時部56とを有する。再生制御部47、堆積量取得部50、報知部51及び計時部56は、電気・電子部品、当該再生制御装置33に格納されたプログラム等から構成されている。
【0051】
再生制御部47は、DPF(フィルタ)41で捕集したPMの燃焼の制御を行う。堆積量取得部50は、PM堆積量を取得するもので、差圧センサ44によって検出した差圧を取得することで、PM堆積量を取得する。例えば、堆積量取得部50は、差圧センサ44で検出した差圧、温度センサ45で検出した排気温度、冷却水の水温、吸入空気中の酸素濃度、燃料の噴射量などの情報を得て、PM堆積量を算出し取得する。この実施形態では、差圧センサ44の差圧をPM堆積量に換算しているが、これに代え、堆積量取得部50は差圧センサ44以外のセンサ等によってPM堆積量を取得してもよく上述した実施形態に限定されない。報知部51は、補助再生が可能であることを外部等に報知する。計時部56は、タイマ等から構成されていて、経過時間を計測する。再生制御装置33は、第1手動スイッチ55及び第2手動スイッチ58からの指令信号を取得する。
【0052】
再生制御部47は、第1再生制御部52と、第2再生制御部53と、第3再生制御部54とを有する。第1再生制御部52、第2再生制御部53及び第3再生制御部54は、電気・電子部品、当該再生制御部47のプログラム等から構成されている。
第1再生制御部52は、堆積量取得部50が取得したPM堆積量が第1堆積量閾値以上になったことを受けて自動再生を行う指令信号(第1指令信号)をエンジン制御装置32に出力する。エンジン制御装置32は、第1再生制御部52からの第1指令信号を受けて、原動機E1に対してポスト噴射等の指令をして、ポスト噴射等によって排ガスの温度(排気温度)を、例えば、PM燃焼する温度、600℃以上に上昇させる。即ち、第1再生制御部52は、フィルタ41で捕集したPM堆積量が第1堆積量閾値以上である場合に自動再生を行う。
【0053】
第2再生制御部53は、第2手動スイッチ58(手動スイッチ)からの指令を受けて手動再生を行う指令信号(第2指令信号)をエンジン制御装置32に出力する。エンジン制御装置32は、第2再生制御部53からの第2指令信号を受けて、原動機E1に対してポスト噴射等の指令をして、ポスト噴射等によって排ガスの温度(排気温度)を600℃以上に上昇させる。即ち、第2再生制御部53は、PM堆積量が第2堆積量閾値以上(レベ
ル2)である場合に第2手動スイッチ58(手動スイッチ)の指令によってPMを燃焼する手動再生を行う。
【0054】
第3再生制御部54は、第1手動スイッチ55(手動スイッチ)からの指令を受けて補助再生を行う指令信号(第3指令信号)をエンジン制御装置32に出力する。エンジン制御装置32は、第2再生制御部53からの第3指令信号を受けて、原動機E1に対してポスト噴射等の指令をして、ポスト噴射等によって排ガスの温度(排気温度)を600℃以上に上昇させる。即ち、第3再生制御部54は、PM堆積量が第1堆積量閾値以上第2堆積量閾値未満である場合に第1手動スイッチ55(手動スイッチ)の指令によってPMを燃焼する補助再生を行う。
【0055】
報知部51は、第1再生制御部52による自動再生が終了してからの時間経過が時間閾値以上で且つPM堆積量が第1堆積量閾値以上第2堆積量閾値未満であることを報知する報知信号を、第1手動スイッチ55、ランプ類、液晶パネル112等に出力する。報知部51は、例えば、補助再生が可能である場合には、第1手動スイッチ55に報知信号を出力して、当該第1手動スイッチ55のランプを点滅させる。この場合、例えば、第1手動スイッチ55を操作する(ONすると)、第1手動スイッチのランプは点滅から点灯に変わり、補助再生が終了すると、第1手動スイッチのランプは消灯する。
【0056】
計時部54は、少なくとも、DPF再生に関係する時間を計測可能であって、自動再生が終了した時点からの経過時間、自動再生や手動再生や補助再生が行われている時間、等を計測可能である。
次に、DPF再生の制御の流れを、
図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
図4に示すように、再生制御装置33は、PM堆積量が第1堆積量閾値以上であるか否かを判断する(S1)。再生制御装置33は、PM堆積量が第1堆積量閾値以上である場合(S1:Yes)は、S2に進み、S2において、PM堆積量が第2堆積量閾値以上であるか否かを判断する。
【0057】
再生制御装置33は、PM堆積量が第2堆積量閾値未満であると判断すると(S2:No)、自動再生の条件が揃っているか否かを判断する(S3:自動再生条件判断)。自動再生の条件は、エンジン回転数、水温、DPF41の入口の排気温度、出口の排気温度等である。再生制御装置33は、例えば、エンジン回転数が所定回転数rpm以上(A1rpm以上)、水温が所定温度以上(A2℃以上)、DPF41の入口の排気温度が所定温度以上(A3℃以上)、DPF41の出口の排気温度が所定温度以上(A4℃以上)である場合に、自動再生の条件が揃っていると判断する(S3、Yes)。自動再生の条件であるエンジン回転数、水温、DPF41の入口の排気温度、DPF41の出口の排気温度は予め再生制御装置33に設定されている。
【0058】
なお、自動再生の条件として、許可スイッチ59のON/OFFを入れてもよい。許可スイッチ59がONである場合には、自動再生が許可され、OFFである場合には自動再生が許可されない。この場合、自動再生条件判断S3では、許可スイッチ59がONであるときに、自動再生の条件が揃ったと判断する。また、上述した自動再生の条件は、一例であり、上述した数値や項目(エンジン回転数、水温、DPF41の入口の排気温度、出口の排気温度、許可スイッチ59のON/OFF)は限定されない。
【0059】
自動再生の条件が揃っている場合(S3、Yes)は、PM堆積量が第1堆積量閾値以上で且つ第2堆積量閾値未満(レベル1)であるので、第1再生制御部52によって自動再生が行われる。このとき、再生ランプ60が点灯する(S5)。
再生制御装置33は、自動再生が終了したか否かを判断する(S6)。自動再生が終了すると(S6:Yes)、再生ランプ60が消灯する(S7)。なお、自動再生が終了すると計時部56は、自動再生が終了してからの経過時間を計測する。
【0060】
一方、自動再生の条件が揃っていない場合(S3、No)は、再生制御装置33は、PM堆積量が第1堆積量閾値以上で且つ第2堆積量閾値未満(レベル1)であるか否かを判断する(S8)。PM堆積量が第1堆積量閾値未満(レベル0)又は第2堆積量閾値以上(レベル2)であるとS1に戻る(S8:No)。PM堆積量がレベル1であると判断されると(S8:Yes)、再生制御装置33は、計時部56が計時した経過時間(自動再
生が終了してから経過した時間)が時間閾値以上か否かを判断する(S9)。再生制御装置33は、経過時間が時間閾値未満であると(S8:No)、リターンし、次には進まない。このとき、第1手動スイッチ55を操作しても補助再生は行われない。即ち、自動再生が終了してから所定時間が経過しないと、補助再生は行われない。これは、頻繁にDPF再生を繰り返すとオイルダイリューション(ポスト噴射に伴って原動機E1のシリンダ内壁面に付着した燃料がオイルパン内に落ちてエンジンオイルに混入することによるエンジンオイルの希釈化)を起こすことを防止している。
【0061】
自動再生が終了してから所定時間が経過すると(S9:Yes)、即ち、PM堆積量がレベル1であると判断されると(S9:Yes)、PM堆積量がレベル1であることを報知部51が報知する(S10)。これにより、自動再生が終了してから所定時間が経過しており且つPM堆積量がレベル1であること、即ち、補助再生が可能であることをオペレータに知らせる。
【0062】
報知部51が補助再生可能であることを報知している状態で、再生制御装置33は、第1手動スイッチ55を操作したが否か(第1手動スイッチ55がOFFからONに切り換えられたか否か)を判断する(S11)。第1手動スイッチ55がOFFである場合はS1に戻る(S11:No)。第1手動スイッチ55がONである場合は(S11:Yes)、第1手動スイッチ55から再生制御部47に指令信号が送られ、第3再生制御部54によって補助再生が行われる(S12)。補助再生が行われている間は、再生ランプ60が点灯する。例えば、第3再生制御部54は、PM堆積量が第1堆積量閾値未満、即ち、レベル0となった時点で補助再生を終了する。第3再生制御部54は、補助再生が終了すると(S13)、再生ランプ60が消灯すると共に第3再生制御部54がエンジン制御装置32に停止信号を出力し、エンジン制御装置32を介して原動機E1の駆動を停止する(S14)。
【0063】
一方で、再生制御装置33は、PM堆積量が第2堆積量閾値以上(レベル2)であると判断すると(S2:Yes)、第2手動スイッチ58を点滅させる(S15)。第2手動スイッチ58が操作されたか否か(第2手動スイッチ55がOFFからONに切り換えられたか否か)が判断される(S16)。
第2手動スイッチ58が操作されないと、リターンして、次には進まない(S16:No)。第2手動スイッチ58がONである場合は(S16:Yes)、第2手動スイッチ58から指令信号が再生制御部47に送られ、第2再生制御部53によって手動再生が行われる(S17)。また、手動再生は、所定の条件を満たしている場合に許可され、所定の条件を満たしてしない場合には、手動再生は行われない。手動再生が行われているときには、第2手動スイッチ58が点灯すると共に再生ランプ60が点灯する(S18)。手動再生が終了すると、第2手動スイッチ58及び再生ランプ60は消灯する。なお、上述した実施形態では、レベル1である場合に自動再生を行っているが、レベル2である場合に自動再生を行ってもよい。
【0064】
以上の流れにより、自動再生、手動再生、補助再生を行うことができる。特に、自動再生及び手動再生は、作業機1を駆動している状況下(作業機1の作業装置4により作業を行っている状況等)、即ち、作業機1をユーザ等に貸出中にDPF再生を行うことができる。
一方、貸し出した作業機1が返却されたとき、作業機1を貸し出す前に、第1手動スイッチ55をレンタル会社の管理者等が押すことにより、補助再生を実行することができる。補助再生を行えば、PM堆積量がレベル0の状態で作業機1を貸し出すことができる。また、PM堆積量がレベル0の状態で作業機1を保管することができる。つまり、従来の作業機1では、PM堆積量がレベル1以上で作業機1をレンタル会社に返却された場合は、次のユーザに貸し出す前にPM堆積量をレベル0の状態で貸し出すことができなかったが、補助再生を実行することにより、PM堆積量がレベル0の状態で貸し出すことができる。
【0065】
次に、
図5及び
図6を参照して第1手動スイッチ55の変形例について説明する。
図5に示すように、変形例では、第1手動スイッチ55は、操縦部24に設けられてい
る場合を示している。第1手動スイッチ55は、操縦部24の表示装置29に設けられている。また、第1手動スイッチ55は、開閉可能なカバー(覆い部材)61によって覆われている。このカバー61は、不透明な材料で形成され、カバー61を閉鎖した状態では、オペレータは第1手動スイッチ55を視認することができず、
図6に示すように、カバー61を開放することによりオペレータは第1手動スイッチ55を視認することができる。
図5及び
図6では、カバー61は開閉可能であって且つ第1手動スイッチ55を隠す目隠し部材である。
【0066】
なお、カバー(覆い部材)61は、透明又は半透明の材料で形成して、オペレータはカバー61を閉鎖した状態では視認できるものの、カバー61を開放しない限り操作できないようにしてもよい。即ち、第1手動スイッチ55は、上述したように、運転席6が着座したオペレータが操作するためのスイッチではないため、第1手動スイッチ55の全体を外から覆うカバー61を設けて、当該第1手動スイッチ55の操作の制限を設けている。この変形例において、カバー61付き第1手動スイッチ55は、操縦部24であればどこに設けられてもよい。
【0067】
以上によれば、作業機1は、手動スイッチと、原動機E1から排出された排出ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集するフィルタ41と、フィルタ41で捕集した粒子状物質の堆積量が第1堆積量閾値以上である場合に自動的に粒子状物質を燃焼する自動再生を行う第1再生制御部52と、堆積量が第1堆積量閾値より大きい第2堆積量閾値以上である場合に手動スイッチの指令によって粒子状物質を燃焼する手動再生を行う第2再生制御部53と、堆積量が第1堆積量閾値以上第2堆積量閾値未満である場合に手動スイッチの指令によって粒子状物質を燃焼する補助再生を行う第3再生制御部54と、を備える。これによれば、PM堆積量が第1堆積量閾値以上で第2堆積量閾値未満である場合に手動操作によってPMを燃焼する補助再生を行うことができる。
【0068】
また、第3再生制御部54は、第1再生制御部52による自動再生が終了してからの経過時間が時間閾値以上である場合に、補助再生を行う。これによれば、短時間でフィルタ再生(DPF再生)を繰り返すことを抑制することができ、延いてはオイルダイリューションを防止することができる。
また、第3再生制御部54は、第1再生制御部52による自動再生が終了してからの経過時間が時間閾値以上になった後に手動スイッチの指令を取得した場合に、補助再生を行う。これによれば、不意に補助再生が始まるのを防止することができる。即ち、自動再生が終了した後に手動スイッチを操作し、その後、経過時間が時間閾値以上になった場合に補助再生が始まると、不意に補助再生が始まることとなるが、この不意の補助再生を防止することができる。
【0069】
また、第1再生制御部52による自動再生が終了してからの経過時間が時間閾値以上で且つ堆積量が第1堆積量閾値以上第2堆積量閾値未満であることを報知する報知部51を備えている。これによれば、補助再生が可能であることを外部に知らせることができる。
また、手動スイッチは、補助再生の指令を行う第1手動スイッチ55と、手動再生の指令を行う第2手動スイッチ58とを含んでいる。これによれば、補助再生を行うスイッチと、手動再生を行うスイッチとをわけることにより、補助再生と手動再生とを容易に区別することができる。
【0070】
また、第3再生制御部54は、補助再生の終了後に原動機E1の駆動を停止する。これによれば、補助再生の終了後に原動機E1の駆動が自動的に停止するので、補助再生の終了後に原動機E1を停止させる必要がなく、至便である。
また、作業機1は、操縦部24とは異なる位置に設けられ且つ粒子状物質の燃焼を指令する第1手動スイッチ55を備えている。これによれば、レンタル会社等の作業機1の管理者等が、手動操作によって作業機1を貸し出す前にDPF再生を行うことができる。また、作業機1を操縦するオペレータに第1手動スイッチ55を操作されるのを防止することができる。
【0071】
また、第1手動スイッチ55は、ボンネット11等のカバー装置内に配置されている。これによれば、第1手動スイッチ55を操縦中にオペレータが操作することを防止するこ
とができ、レンタル会社等の作業機1の管理者のみがDPF再生を行うことができる。
また、作業機1は、操縦部24に設けられ且つ再生制御部47に粒子状物質の燃焼を指令する第2手動スイッチ58を備えている。また、再生制御部47は、フィルタ41で捕集した粒子状物質の堆積量が第1堆積量閾値以上である場合に粒子状物質を燃焼する補助再生と、フィルタ41で捕集した粒子状物質の堆積量が第2堆積量閾値以上である場合に粒子状物質を燃焼する手動再生とを行い、第1手動スイッチ55は補助再生を再生制御部47に指令するスイッチであり、第2手動スイッチ58は手動再生を再生制御部47に指令するスイッチである。これによれば、作業機1を操縦するオペレータは第2手動スイッチ58によってDPF再生を実行し、レンタル会社等の管理者は第1手動スイッチ58によってDPF再生を実行することができる。
【0072】
また、第1手動スイッチ55は、開閉可能な覆い部材(カバー61)で覆われている。また、覆い部材は、第1手動スイッチ55を隠す目隠し部材で構成されている。これによれば、レンタル会社等の作業機1の管理者等が、手動操作によって作業機1を貸し出す前にDPF再生を行うことができる。また、作業機1を操縦するオペレータに第1手動スイッチ55を操作されるのを防止することができる。
[第2実施形態]
図7〜
図10は、第2実施形態を示している。上述した第1実施形態では、第1手動スイッチ55を作業機に設けることにより、補助再生を実行できるようにしていたが、第2実施形態は、少なくとも作業機のレンタルを管理するレンタル管理情報が作業機に入力された場合に、補助再生を実行する実施形態である。第2実施形態では、第1実施形態と同様の部分は説明を省略し異なる点を説明する。また、第2実施形態では、第1手動スイッチ55(補助再生スイッチ)が作業機1に設けられていないものとして説明を進める。
【0073】
図7は、作業機1のレンタルシステム116を示している。
図7に示すように、レンタルシステムは、作業機1のレンタル状況を管理するサーバ117を有する。サーバ117は、ディーラや製造会社などの販売者から作業機1をレンタル用途で購入又は借用している作業機1のレンタル会社に設置されている。レンタル会社は、作業機1が保管された店舗120(保管場所)を有する。店舗120には、サーバ117に接続可能な店舗端末121が設置されている。店舗端末121は、パーソナルコンピュータである。
【0074】
サーバ117には、ユーザ端末122、123がネットワークN1を介して接続可能である。ユーザ端末122はユーザが所持可能な携帯端末である。携帯端末は、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPC等で構成されている。また、ユーザ端末123はユーザが自宅等に設置したパーソナルコンピュータ等である。
【0075】
サーバ117は、予約処理部118と、送信部119とを有する。予約処理部118及び送信部119は、サーバ117に設けられた電気・電子部品、当該サーバ117に格納されたプログラム等から構成されている。予約処理部118は、ユーザ端末122、123からネットワークN1を介して送信された予約要求を処理する。即ち、予約処理部118は、ユーザ端末122、123等からサーバ117へ送信された希望レンタル機種及び希望レンタル期間に従い、空いている作業機1を選定する。
【0076】
送信部119は、選定された作業機1を予約することをユーザが了承すると、レンタル予約に関する情報(レンタル情報)を、ネットワークNを介して店舗端末121に送信する。また、 送信部119は、レンタル情報を、ネットワークNを介してユーザ端末122、123等に送信する。送信部119から送信されたレンタル情報は、店舗端末121、ユーザ端末122、123にそれぞれ記憶される。レンタル情報とは、例えば、作業機のレンタル期間(貸出日、返却日、店舗情報、ユーザ情報、機械情報)である。店舗情報は、店舗を特定するための情報であって、店舗名、店舗管理番号、店舗住所等である。ユーザ情報とは、ユーザを特定する情報であって、貸出者(予約者)の氏名、性別、年齢、住所、電話番号、メールアドレス等である。機械情報は、機械を特定する情報であって、作業機に割り当てられた機種、型式、管理番号、製造番号等である。
【0077】
さて、作業機は、様々なユーザにレンタルされるため、当該作業機は、盗難防止装置(
始動牽制装置)が組み込まれている。
図8に示すように、盗難防止装置は、キー(イグニッションキー)128A、128Bと、アンテナ127を有するキーシリンダ62と、始動制御部126とを有している。
キー(管理キー)128Aは、レンタル会社等が管理して店舗に保管されるキーであって、管理専用のキーである。管理キー128Aは、レンタル会社が保有する複数の作業機1を、ユーザではなくレンタル会社が作動させるために使用されるキーである。管理キー128Aは、例えば、作業機の貸し出し前、又は、作業機の返却後にレンタル会社の管理者がメンテナンス等で作業機1を作動させる際に使用するキーである。
【0078】
キー(ユーザキー)128Bは、レンタル会社から作業機をレンタルしたユーザが所持するキーであって、ユーザ専用のキーである。ユーザキー128Bは、1つの特定の作業機1に対して使用でき、該特定の作業機1以外には使用できない。管理キー128A及びユーザキー128Bには、それぞれトランスポンダチップ129A,129Bが埋め込まれている。各トランスポンダチップ129A,129Bのそれぞれに第1始動情報が記憶されている。例えば、管理キーの第1始動情報は「9670」であり、ユーザキーの第1始動情報は「1020」であり、管理キーの第1始動情報と、ユーザキーの第1始動情報とは異なっている。なお、説明の便宜上、以下の説明では、管理キー128A及びユーザキー128Bのそれぞれのことを単に、キー128A、128Bということがある。
【0079】
始動制御部126は、エンジン制御装置32に設けられた電気・電子部品、当該エンジン制御装置32に格納されたプログラム等から構成されている。始動制御部126は、キー128A、128Bに記憶された第1始動情報と、当該エンジン制御装置32に格納された第2始動情報との照合が成立した場合に、キー128A、128Bによる原動機E1の始動を許可する。エンジン制御装置32は、始動制御部126による原動機E1の始動の許可(始動許可)が下りると、原動機E1の点火装置を点火すると共に、燃料噴射装置から燃料を噴射させて原動機E1を始動する。なお、始動制御部126は、キー128A、128Bの第1始動情報と第2始動情報との照合が成立しない場合、キー128A、128Bによる原動機E1の始動を許可しない。
【0080】
さて、再生制御装置33は、第1再生制御部52、第2再生制御部53、第3再生制御部54を有している。第1再生制御部52及び第2再生制御部53は、第1実施形態と同様である。
図9は、自動再生及び手動再生の制御の流れを図示したフローチャートである。
図9のS1〜S7は、
図4と同様である。
図9のS15〜S18は
図4と同様である。
図9に示すように、第1再生制御部52は、PM堆積量が第1堆積量閾値以上で且つ第2堆積量閾値未満(レベル1)である場合、自動再生を行う(S5)。また、第2再生制御部53は、第2手動スイッチ58がONである場合は(S16:Yes)、手動再生を行う(S17)。
【0081】
第3再生制御部54は、再生制御装置33にレンタル管理情報が入力された場合に、補助再生を行う指令信号(第3指令信号)をエンジン制御装置32に出力することにより、補助再生を実行する。
レンタル管理情報とは、レンタル会社等が管理する情報であって、レンタルが行われる作業機1の貸し出し前、又は、貸出後に作業機1に入力される情報である。言い換えれば、レンタル管理情報とは、ユーザに作業機が貸し出されている間に入力される情報とは区別される情報である。この実施形態では、レンタル管理情報とは、管理キー128Aに格納された第1始動情報であり、キーシリンダ62は、レンタル管理情報を取得可能な取得装置である。したがって、第3再生制御部54は、管理キー128Aがキーシリンダ(取得装置)62に差し込まれ、当該キーシリンダ(取得装置)62が第1始動情報(レンタル管理情報)を取得した場合に、補助再生を行う指令信号(第3指令信号)をエンジン制御装置32に出力する。
【0082】
図10は、補助再生及び盗難防止の制御の流れを図示したフローチャートである。
キーシリンダ62(取得装置)にキー128A、128Bが差し込まれ、アンテナ127がキー128A、128Bに記憶されたキー情報(第1始動情報、第2始動情報)を受
信すると(S21、Yes)、制御装置46(再生制御装置33、エンジン制御装置32)は、S22に進む。詳しくは、キーをキーシリンダ62に差し込んで回転させることにより、アンテナ127がキーに記録されたキー情報を取得情報として受信すると、制御装置46は、S22に進む。
【0083】
制御装置46は、キーシリンダ62が取得したキー情報(取得情報)がキー128Aの第1始動情報であると、レンタル管理情報を取得したと判断する(S22、Yes)。制御装置46(再生制御装置33)は、レンタル管理情報を取得した場合、原動機E1を始動する(S23)。即ち、再生制御装置33の第3再生制御部54は補助再生を準備する第4指令信号をエンジン制御装置32に出力し、エンジン制御装置32は第4指令信号を受けて原動機E1を始動する。また、再生制御装置33の第3再生制御部54は、レンタル管理情報を取得した場合、第2手動スイッチ(手動スイッチ)58を、補助再生を行うスイッチに切り換える(手動スイッチ58を、補助再生を行うスイッチとして機能させる)。即ち、S24の段階で手動スイッチ58がONにされた場合には、再生制御装置33は、手動再生ではなく、補助再生を実行する。
【0084】
即ち、手動スイッチ58が操作されると(S24:Yes)、第3再生制御部54は、PM堆積量がレベル1以上である場合に、第3指令信号をエンジン制御装置32に出力し、補助再生を実行する(S25)。手動スイッチ58が操作されないと(S24:No)、第3再生制御部54は、第3指令信号をエンジン制御装置32に出力せず、補助再生を実行しない。
【0085】
一方、制御装置46は、キーシリンダ62が取得したキー情報がキー128Aの第1始動情報でなく別の情報である場合、例えば、キーシリンダ62が取得したキー情報がキー128Bの第1始動情報である場合(S22、No)、キー128Bの第1始動情報と始動制御部126の第2始動情報とを照合する(S26)。第1始動情報と第2始動情報とが一致すると(S27、Yes)、始動制御部126は、原動機E1を始動する(S28)。この場合、PM堆積量がレベル2となり、手動スイッチ58を操作すると、第2再生制御部53(再生制御部47)によって手動再生が行われる。また、始動制御部126は、第1始動情報と第2始動情報とが一致しない場合(S27:No)、原動機E1を始動しない。
【0086】
以上のようにして、キーシリンダ62(取得装置)がレンタル管理情報を取得し、第3再生制御部54が手動スイッチ58の指令を取得した場合に、補助再生(DPF再生)を行うことができる。また、
図10において、S24の手動スイッチ58を操作したか否かの判断は必ずしも必要ではない。即ち、キーシリンダ62が取得したキー情報がレンタル管理情報である場合に、第3再生制御部54がエンジン制御装置32に対して原動機E1を始動及びポスト噴射等の処理を実行させればよい。言い換えると、キーシリンダ62(取得装置)がレンタル管理情報を取得した場合にDPF再生を行うようになっていればよい。
【0087】
また、管理キー128Aに記憶した第1始動情報は、原動機E1の始動及び補助再生を実行するための兼用化された情報(始動兼レンタル管理情報)であったが、原動機E1の始動するための情報(第1始動情報)と、補助再生を実行するための情報(レンタル管理情報)とを別々に、管理キー128Aに記憶させてもよい。また、管理キー128Aに、第1始動情報は記憶せず、レンタル管理情報のみを記憶させてもよい。
【0088】
さて、上述した実施形態では、管理キー128Aにレンタル管理情報を記憶させておき、キーシリンダ62がレンタル管理情報を取得した場合に補助再生を行っていたが、レンタル管理情報を取得する方法は上述した実施形態以外であってもよい。
図11は、第1変形例を示している。この第1変形例の作業機1では、取得装置は、キーシリンダ62ではなく、管理者等からの入力を受け付ける入力装置131である。入力装置131は、例えば、0〜9までの数値を入力するテンキーである。入力装置131は、入力を受け付ける装置であれば何でもよく、作業機1に設けられ且つ作業機1に関する情報を表示する表示装置29であってもよい。
【0089】
テンキー131は、制御装置46(再生制御装置33)に接続されている。始動制御部
126は、テンキー131が受け付けた取得情報が第1始動情報である場合、テンキー131に入力された第1始動情報と始動制御部126に記憶された第2始動情報とを照合し、一致すると原動機E1を始動し、一致しないと原動機E1を始動しない。
図12は、補助再生及び盗難防止の制御の流れを図示したフローチャートである。
図12のS23〜S28は、
図10と同様であるため説明を省略する。
【0090】
テンキー(取得装置)131に情報(取得情報)が入力されると(S31、Yes)、制御装置46(再生制御装置33、エンジン制御装置32)は、S32に進む。詳しくは、テンキー131に4桁の数字が入力されると、制御装置46は、S32に進む。
制御装置46は、テンキー131が受け付けた取得情報(4桁の数字)がレンタル管理情報であるか否かを判断する(S32)。例えば、再生制御装置33には、予め補助再生を実行するための管理情報(例えば、4桁の数字)が記憶されており、テンキー131が受け付けた取得情報(4桁の数字)と、再生制御装置33に記憶されている管理情報(4桁の数字)とが一致すると、制御装置46は、レンタル情報を取得したと判断する(S32、Yes)。
【0091】
以上のようにして、テンキー(取得装置)131がレンタル管理情報を取得し、第3再生制御部54が手動スイッチ58の指令を取得した場合に、補助再生(DPF再生)を行うことができる。
図13は、第2変形例を示している。この第2変形例の作業機1では、取得装置は、携帯端末134等の管理端末から送信されたレンタル管理情報を受信する通信部132である。
【0092】
携帯端末(管理端末)134は、レンタル会社等が管理して店舗に保管される端末であり、レンタル会社の管理者等が所持する。携帯端末134は、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPC等で構成されている。携帯端末134には、様々な情報が入力可能であって、入力した情報(入力情報)を通信部132に送信可能である。
【0093】
通信部132は、再生制御装置33に設けられ、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)等により無線通信を行う装置である。通信部132は、携帯電話通信網により無線通信を行う装置であっても、データ通信網により無線通信を行う装置であってもよい。
通信部132は、携帯端末134から送信されたレンタル管理情報を受信可能である。携帯端末(管理端末)134は、レンタル会社等が管理して店舗に保管される端末であり、レンタル会社の管理者等が所持する。携帯端末134は、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPC等で構成されている。携帯端末134には、様々な情報が入力可能であって、入力した情報(入力情報)を通信部132に送信可能である。
【0094】
図14は、補助再生の制御の流れを図示したフローチャートである。
図14のS23〜S25は、
図10と同様であるため説明を省略する。
携帯端末134に入力された入力情報を通信部(取得装置)132が取得すると(S41)、制御装置46(再生制御装置33)は、S42に進む。詳しくは、携帯端末134に4桁の数字の入力情報が入力された後、当該4桁の数字の入力情報を通信部132が携帯端末134に送信され、当該通信部132が携帯端末134から送信された4桁の数字の入力情報を受信すると、制御装置46は、S32に進む。
【0095】
制御装置46は、通信部132が受信した取得情報(入力情報)がレンタル管理情報であるか否かを判断する(S42、Yes)。例えば、再生制御装置33には、予め補助再生を実行するための管理情報(例えば、4桁の数字)が記憶されており、通信部が受信した取得情報(4桁の数字)と、再生制御装置33に記憶されている管理情報(4桁の数字)とが一致すると、制御装置46は、レンタル情報を取得したと判断する(S42、Yes)。レンタル情報を取得した場合、再生制御装置33の第3再生制御部54は、補助再生を許可する(S43)。補助再生の許可後は、S23〜S25に示すように、手動スイッチ58がONになった時点で補助再生を実行する。なお、補助再生が終了後は、原動機
E1は停止する。一方、レンタル管理情報を取得しなかった場合、再生制御装置33の第3再生制御部54は、補助再生を許可しない(S44)。
【0096】
以上のようにして、通信部(取得装置)132がレンタル管理情報を取得し、第3再生制御部54が手動スイッチ58の指令を取得した場合に、補助再生(DPF再生)を行うことができる。
図15は、第3変形例を示している。この第3変形例では、取得装置は、通信装置136等の管理端末から送信されたレンタル管理情報を受信する通信部132である。
【0097】
通信装置136は、店舗において作業機1を保管する保管場所の周辺に設けられた装置であり、店舗に関する店舗情報(店舗位置、店舗管理番号、店舗住所等)を送信する。なお、通信装置136を保管場所の出入口に設ける場合などは、当該通信装置136の通信距離は数m〜数十mに設定することが好ましい。通信部132は、通信装置136から送信された店舗情報を受信可能である。
【0098】
作業機1が店舗(保管場所)に近づくと、当該作業機1の通信部132は、通信装置136から送信された店舗情報を受信する。制御装置46は、通信部132が受信した取得情報が「店舗情報」である場合、レンタル管理情報であると判断する。レンタル管理情報を受信した場合、再生制御装置33の第3再生制御部54は、補助再生を実行する。例えば、第3再生制御部54は、通信部132がレンタル管理情報を受信後、手動スイッチ58を補助再生を行うスイッチに切り換え、手動スイッチ58がONになった場合に原動機E1の始動及び補助再生を実行する。なお、第3変形例においても、手動スイッチ58を操作しなくても補助再生が行われるようにしてもよい。また、作業機1が店舗にもどってきたことをGPS等の測位衛星システムで検知してもよい。
【0099】
上述した変形例を含む第2実施形態では、手動スイッチ58を手動再生と補助再生とを兼用するスイッチとしていたが、補助再生の専用のスイッチ(補助再生スイッチ)を設けてもよい。即ち、第1実施形態で示した第1手動スイッチ(補助再生スイッチ)55を作業機1に設け、補助再生スイッチ55を、レンタル管理情報を作業機1が取得している状態でONすることにより補助再生を行ってもよい。上述したように、レンタル管理情報を取得し且つスイッチ操作の有無によって補助再生を実行する場合は、補助再生スイッチ55として、作業機1に装備された既存のスイッチを兼用してもよい。例えば、PM堆積量がレベル1であって、駐車していることを満たしたときに、既存のスイッチが補助再生スイッチとして機能させてもよい。また、例えば、ホーンを鳴らすためのホーンスイッチや、ワイパーの作動を指示するためのワイパースイッチなどを補助再生スイッチとして兼用してもよい。
【0100】
以上によれば、レンタルを管理するレンタル管理情報を取得可能な取得装置と、取得装置がレンタル管理情報を取得した場合にフィルタ41で捕集した粒子状物質の燃焼を行う再生制御部47とを備えている。これによれば、取得装置がレンタル管理情報を取得した場合にDPF再生を行うことができるため、フィルタ41を綺麗な状態にして作業機を貸し出す或いは保管することができる。
【0101】
また、作業機1は、手動スイッチ58,55を備え、再生制御部47は、取得装置がレンタル管理情報を取得し且つ手動スイッチ58,55による指令を取得した場合にフィルタ41で捕集した粒子状物質の燃焼を行う。これによれば、レンタル会社の店舗等に作業機1を保管している状態で、管理者等がDPF再生を確実に行うことができる。
また、取得装置130は、入力された情報を受け付ける入力装置131を有し、再生制御部47は、入力装置131が受け付けた取得情報がレンタル管理情報である場合に、フィルタで捕集した粒子状物質の燃焼を行う。これによれば、管理者が入力装置にレンタル管理情報を入力することによって、DPF再生を行うことができる。
【0102】
また、取得装置130は、始動情報を記憶するキー128Aを受け付けるキーシリンダ62を有し、再生制御部47は、キー128Aに記憶された始動情報がレンタル管理情報である場合に、フィルタ41で捕集した粒子状物質の燃焼を行う。これによれば、管理者等が始動情報を記憶するキー128Aをキーシリンダ62に挿入するだけで、簡単にDPF再生を確実に行うことができる。
【0103】
また、取得装置130は、携帯端末から送信された情報を受信する通信部132を有し、再生制御部47は、通信部132が受信した情報がレンタル管理情報である場合に、フィルタ41で捕集した粒子状物質の燃焼を行う。これによれば、管理者等が携帯端末を用いてレンタル管理情報を作業機1(通信部132)に送信するだけで、簡単にDPF再生を行うことができる。
【0104】
作業機1のフィルタ再生システムは、原動機E1から排出された排出ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタ41と、レンタルを管理するレンタル管理情報を取得可能な取得装置と、取得装置がレンタル管理情報を取得した場合にフィルタ41で捕集した粒子状物質の燃焼を行う再生制御部47と、を備えている。これによれば、レンタル会社の店舗等に作業機1を保管している状態で、管理者等がDPF再生を確実に行うことができる。
【0105】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。