(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の上流側案内部材のうちの、前記搬送方向における下流側に位置する部分に固定され、当該複数の上流側案内部材を連結するとともに、前記下流側案内部材に固定される第1の固定部材と、
前記複数の下流側案内部材のうちの、前記搬送方向における上流側に位置する部分に固定され、当該複数の下流側案内部材を連結するとともに、前記上流側案内部材に固定される第2の固定部材と、
をさらに備え、
前記第1の固定部材および前記第2の固定部材を介して前記上流側案内部材が前記下流側案内部材に固定されることで、当該上流側案内部材の長手方向における複数箇所が、前記下流側案内部に固定され、
前記第1の固定部材および前記第2の固定部材を介して前記下流側案内部材が前記上流側案内部材に固定されることで、当該下流側案内部材の長手方向における複数箇所が、前記上流側案内部に固定される請求項1に記載の案内装置。
缶蓋として用いられる円盤状部材に駆動力を与えて当該円盤状部材を搬送する搬送装置と、当該搬送装置により搬送される当該円盤状部材の案内を行う案内装置と、を備え、当該案内装置が、請求項1乃至3の何れかに記載の案内装置を含んで構成された円盤状部材移動装置。
缶蓋として用いられる円盤状部材に駆動力を与えて当該円盤状部材を搬送する搬送装置と、当該搬送装置により搬送される当該円盤状部材の案内を行う案内装置と、当該円盤状部材に対して予め定められた処理を行う処理装置と、を備え、当該案内装置が、請求項1乃至3の何れかに記載の案内装置を含んで構成された缶蓋製造システム。
缶蓋として用いられる円盤状部材に駆動力を与えて当該円盤状部材を搬送する搬送装置と、当該搬送装置により搬送される当該円盤状部材の案内を行う案内装置と、飲料が充填された缶本体の開口部に対して当該円盤状部材を取り付ける取り付け装置と、を備え、当該案内装置が、請求項1乃至3の何れかに記載の案内装置を含んで構成された飲料缶製造システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る缶蓋製造システム1を示した図である。
本実施形態の缶蓋製造システム1には、ロール状の基材から、延びた状態の基材を送り出す送り出し装置10が設けられている。また、缶蓋製造システム1には、基材に対して予め定められた処理を行う第1プレス装置20、シール剤塗布装置30、第2プレス装置40が設けられている。
【0011】
第1プレス装置20は、送り出し装置10により送り出された基材に対して、打ち抜き加工および粗成形加工を行い、外周縁にフランジを有した円盤状の部材(以下、「円盤状部材」と称する)を形成する。その後、本実施形態では、この円盤状部材の外周部に対して、カール加工(縁曲げ加工)を行う(不図示)。
【0012】
次いで、本実施形態では、処理装置の一例としてのシール剤塗布装置30が、この円盤状部材の一方の面に、シール剤を塗布する。
その後、本実施形態では、第2プレス装置40にて、シール剤が塗布された円盤状部材に対して金型を押し当てて、飲み口の形成(開口用の溝(スコア)の形成)を行う。また、第2プレス装置40では、開口用のタブの取り付けを行う。
第2プレス装置40による処理が終わると、タブが取り付けられた缶蓋が完成する。完成した缶蓋は、検査装置50を経て、梱包装置60へ搬送される。
【0013】
〔円盤状部材移動装置の全体構成〕
さらに、本実施形態の缶蓋製造システム1には、各装置の間に、円盤状部材を移動させる移動装置100(円盤状部材移動装置の一例)が設けられている。
符号1Aで示す移動装置100には、円盤状部材に駆動力を与えて円盤状部材を下流側へ搬送する搬送装置110、搬送装置110により搬送される円盤状部材の案内を行う案内装置120が設けられている。
【0014】
案内装置120は、案内装置本体部130と、案内装置本体部130よりも下流側に位置する伸縮部140とにより構成されている。
案内装置本体部130には、円盤状部材の搬送経路に沿った丸棒状の案内部材131であって円盤状部材の搬送経路の周りに配置された案内部材131が設けられている。案内装置本体部130では、この案内部材131により円盤状部材の案内が行われる。
【0015】
伸縮部140は、下流側に位置するシール剤塗布装置30と案内装置本体部130との間に配置され、シール剤塗布装置30と案内装置本体部130とを接続する。
なお、符号1Aで示す移動装置100以外の移動装置100でも、同様に、搬送装置110、案内装置120が設けられている。
【0016】
〔缶蓋、缶本体等の詳細〕
本実施形態の缶蓋製造システム1では、飲料用の缶本体(不図示)に取り付けられる缶蓋が製造される。製造された缶蓋は、飲料が充填された後の缶本体(不図示)に対して取り付けられる。より具体的には、製造された缶蓋は、円筒状の缶本体の開口部であって、この開口部を通じて飲料が充填された後の缶本体の開口部に対して取り付けられる。これにより、飲料が充填された飲料缶が完成する。
【0017】
ここで、本実施形態の缶蓋製造システム1にて製造される缶蓋としては、例えば、金属製の缶蓋を挙げることができる。より具体的には、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された缶蓋を挙げることができる。
また、本実施形態の缶蓋製造システム1では、缶蓋に開口が形成された後も缶蓋からタブが分離しない、いわゆるステイオンタブ(SOT)の缶蓋が形成される。
【0018】
また、本実施形態の缶蓋製造システム1にて製造された缶蓋の取付け先となる缶本体としては、金属製の缶本体が一例として挙げられる。
より具体的には、アルミニウムやアルミニウム合金に対してドローアンドアイアニング(DI)成形を施すことにより製造した缶本体が一例として挙げられる。また、その他に、缶本体としては、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の2ピース缶が一例として挙げられる。
また、缶本体に充填される飲料としては、ビール・チューハイ等のアルコール系飲料または清涼飲料(非アルコール系飲料)が一例として挙げられる。
【0019】
〔搬送装置110の説明〕
図2は、移動装置100に設けられた搬送装置110を上方から眺めた場合の図である。
搬送装置110は、円盤状部材300に駆動力を与えて円盤状部材300を下流側に向けて搬送する。
具体的には、搬送装置110には、円盤状部材300に駆動力を与えて円盤状部材300の搬送を行う駆動力供給装置111が設けられている。駆動力供給装置111には、円盤状部材300の搬送経路の両脇に位置し循環移動を行うベルト部材112が設けられている。
【0020】
本実施形態では、駆動力供給装置111に円盤状部材300が達すると、円盤状部材300の両脇から、ベルト部材112が接触する。これにより、円盤状部材300に対して駆動力(推進力)が与えられて、円盤状部材300が下流側へ搬送される。
なお、移動装置100(搬送装置110および案内装置120)では、円盤状部材300は、厚み方向に積層された状態でこの厚み方向へ搬送される。
【0021】
〔伸縮部140の説明〕
図3は、案内装置120の伸縮部140を示した斜視図である。
なお、
図3では、円盤状部材300を一枚のみ表示しているが、実際には、
図2にて示したとおり、円盤状部材300は、厚み方向に積層された状態でこの厚み方向へ搬送される。また、
図3では、円盤状部材300の搬送方向下流側から伸縮部140を眺めた場合の状態を示している。
【0022】
また、
図4(A)、(B)、(C)は、伸縮部140の断面図である。
具体的には、
図4(A)は、
図3のIVA−IVA線における伸縮部140の断面図であり、
図4(B)は、
図3のIVB−IVB線における伸縮部140の断面図であり、
図4(C)は、
図3のIVC−IVC線における伸縮部140の断面図である。
【0023】
図3に示すように、伸縮部140には、円盤状部材300の案内を行う上流側案内部400、および、円盤状部材300の案内を行う下流側案内部500が設けられている。
上流側案内部400は、案内装置本体部130(
図1参照)により案内されてきた円盤状部材300の案内を行う。下流側案内部500は、上流側案内部400により案内されて搬送されてきた円盤状部材300の案内を行う。
【0024】
本実施形態では、円盤状部材300の搬送方向(以下、単に「搬送方向」と称する)において、上流側案内部400の設置領域と下流側案内部500の設置領域とが部分的に重なっている。
付言すると、本実施形態では、上流側案内部400が円盤状部材300の案内を行う案内領域GAと、下流側案内部500が円盤状部材300の案内を行う案内領域GBとが、搬送方向において部分的に重なっている。
【0025】
より具体的には、本実施形態では、上流側案内部400による案内領域であって搬送方向における案内領域GAと、下流側案内部500による案内領域であって搬送方向における案内領域GBとが、搬送方向において部分的に重なっている。
なお、本明細書では、以下、上流側案内部400が円盤状部材300の案内を行う案内領域GAと下流側案内部500が円盤状部材300の案内を行う案内領域GBとが重なっている部分を、「重なり部分GE」と称する。
【0026】
言い換えると、本実施形態では、円盤状部材300の搬送経路の脇に、上流側案内部400および下流側案内部500の両者が位置する部分が存在する。
これにより、本実施形態では、上流側案内部400による円盤状部材300の案内が行われている最中に下流側案内部500による円盤状部材300の案内が開始される。
言い換えると、本実施形態では、重なり部分GEにて、円盤状部材300は、上流側案内部400および下流側案内部500の両方により案内される。
【0027】
上流側案内部400には、丸棒状の複数の上流側案内部材410が設けられている。
この複数の上流側案内部材410は、搬送される円盤状部材300の搬送経路に沿って配置されている。
また、この複数の上流側案内部材410は、
図4(A)にも示すように、円盤状部材300の搬送経路の周りに配置されている。
【0028】
さらに、複数の上流側案内部材410は、
図4(A)に示すように、搬送される円盤状部材300の周方向における位置が互いに異なるように配置されている。より具体的には、複数の上流側案内部材410は、円盤状部材300の搬送経路の周りの位置する一つの円(仮想円)420の上に載るように配置されている。
本実施形態では、複数設けられたこの上流側案内部材410の内側(複数設けられた上流側案内部材410が載っている円420の中心部側)を、円盤状部材300が通過する。
【0029】
また、
図3に示すように、下流側案内部500にも、丸棒状の複数の下流側案内部材510が設けられている。
この複数の下流側案内部材510も、
図4(B)に示すように、円盤状部材300の搬送経路の周りに配置されている。さらに、この複数の下流側案内部材510も、
図4(B)に示すように、搬送されるこの円盤状部材300の周方向における位置が互いに異なるように配置されている。
【0030】
また、
図4(B)に示すように、この複数の下流側案内部材510も、円盤状部材300の搬送経路の周りの位置する一つの円(仮想円)520の上に載るように配置されている。そして、本実施形態では、複数設けられたこの下流側案内部材510の内側を、円盤状部材300が通過する。
【0031】
上流側案内部材410および下流側案内部材510は、防錆、耐傷付き性、耐摩耗性、滑性、強度等が良好であれば良く、例えば、ステンレスにより形成される。
なお、上流側案内部材410および下流側案内部材510は、ステンレスに限らず、他の材質で形成してもよい。また、上流側案内部材410および下流側案内部材510は、円柱状の基材の表面を、この基材の材質以外の材質で構成された部材で被覆した構成としてもよい。
【0032】
図4(C)は、
図3のIVC−IVC線における断面図である。
言い換えると、
図4(C)は、円盤状部材300の搬送方向に対して直交する面であって、上流側案内部400および下流側案内部500の両者を通る面における断面図である。言い換えると、
図4(C)は、円盤状部材300の搬送方向に対して直交する面であって、重なり部分GEを通る面における断面図である。
【0033】
本実施形態では、上記のとおり、上流側案内部400が円盤状部材300の案内を行う案内領域GAと、下流側案内部500が円盤状部材300の案内を行う案内領域GBとが、重なり部分GEにて重なっている。
より具体的には、本実施形態では、上流側案内部400を構成する上流側案内部材410の各々の間に、下流側案内部500を構成する下流側案内部材510が入り込んでいる。
これにより、上流側案内部400による案内領域GAと、下流側案内部500による案内領域GBとが重なるようになる。
【0034】
この場合、
図4(C)に示すように、重なり部分GEでは、上流側案内部材410および下流側案内部材510の両者が現れるようになる。
図4(C)に示すように、重なり部分GEでは、複数の上流側案内部材410および複数の下流側案内部材510は、同一の円(仮想円)620の上に載っている。また、この同一の円620の周方向において、上流側案内部材410と下流側案内部材510とは交互に配置されている。
さらに、本実施形態では、
図4(C)に示すように、搬送される円盤状部材300の周方向において(円620の周方向において)、上流側案内部材410の各々の位置と、下流側案内部材510の各々の位置とが異なっている。
【0035】
さらに、本実施形態では、
図4(A)、
図4(C)に示すように、6本の上流側案内部材410が設けられている。
上流側案内部材410の各々が載っている円420(
図4(A)参照)の中心CAに、その中心部が位置する正六角形(不図示)を想定した場合に、上流側案内部材410は、この正六角形の各頂部に位置するように配置されている。言い換えると、上流側案内部材410は、円盤状部材300の周方向において60°おきに配置されている。
【0036】
同様に、下流側案内部材510についても、
図4(B)、
図4(C)に示すように、6本設けられている。また、下流側案内部材510についても、下流側案内部材510の各々が載っている円520(
図4(B)参照)の中心CBに、その中心部が位置する正六角形(不図示)の各頂部に位置するように配置されている。
【0037】
さらに、
図4(B)に示すように、下流側案内部材510は、円盤状部材300の周方向において60°おきに配置されている。
さらに、本実施形態では、
図4(C)に示すように、上流側案内部材410と下流側案内部材510は、円盤状部材300の周方向において、30°おきに配置されている。
【0038】
なお、上流側案内部材410、下流側案内部材510の各々の数は、特に制限されない。但し、上流側案内部材410、下流側案内部材510の各々の数は、円盤状部材300が落下しない数とする必要がある。上流側案内部材410、下流側案内部材510の各々の好ましい設置数は、4〜6本である。
【0039】
上流側案内部材410、下流側案内部材510が多すぎると、上流側案内部材410、下流側案内部材510から円盤状部材300に作用する抗力が大きくなり、円盤状部材300が移動しにくくなる。
また、上流側案内部材410、下流側案内部材510が多すぎると、移動装置100のコストが増大してしまう。
【0040】
本実施形態では、上流側案内部材410と、搬送される円盤状部材300との間に位置する間隙(複数の上流側案内部材410に対する内接円と円盤状部材300の直径との差)は、円盤状部材300がよどみなく搬送される大きさに設定されている。
同様に、下流側案内部材510と、搬送される円盤状部材300との間に位置する間隙(複数の下流側案内部材510に対する内接円と円盤状部材300の直径との差)も、円盤状部材300がよどみなく搬送される大きさに設定されている。
【0041】
ここで、間隙が小さすぎると、円盤状部材300の詰まりや、円盤状部材300の外周縁に傷が生じやすくなる。
また、間隙が大きすぎると、円盤状部材300が斜めになったり、円盤状部材300の詰まりが生じやすくなったりする。また、間隙が大きすぎると、互いに隣接する上流側案内部材410間の間隙や、互いに隣接する下流側案内部材510間の間隙を通って円盤状部材300が落下するおそれがある。
【0042】
また、本実施形態では、
図4(A)にて示す円425の直径、
図4(B)にて示す円525の直径、および、
図4(C)にて示す円625の直径が、互いに等しくなっている。
言い換えると、複数の上流側案内部材410に対する内接円の直径と、複数の下流側案内部材510に対する内接円の直径とが、互いに等しくなっている。
【0043】
付言すると、本実施形態では、上流側案内部材410と円盤状部材300との間に形成される間隙と、下流側案内部材510と円盤状部材300との間に形成される間隙とが等しくなっている。
これにより、間隙が等しくない場合に比べ、円盤状部材300が下流側案内部材510などに引っ掛かるなどの不具合が起きにくくなる。
【0044】
図3を再び参照し、伸縮部140についてさらに説明する。
上流側案内部400には、円環状(フランジ状)の第1の固定部材430が設けられている。第1の固定部材430は、複数設けられた上流側案内部材410のうちの、搬送方向における下流側に位置する部分に固定されている。より具体的には、第1の固定部材430は、複数設けられた上流側案内部材410の下流側の端部に固定されている。
【0045】
また、下流側案内部500にも、円環状(フランジ状)の第2の固定部材530が設けられている。第2の固定部材530は、複数設けられた下流側案内部材510のうちの、搬送方向における上流側に位置する部分に固定されている。より具体的には、第2の固定部材530は、複数設けられた下流側案内部材510の上流側の端部に固定されている。
ここで、第1の固定部材430は、複数の上流側案内部材410を連結する部材であり、第2の固定部材530は、複数の下流側案内部材510を連結する部材である。
【0046】
また、上流側案内部400には、上流側被固定部材440が設けられ、下流側案内部500には、下流側被固定部材540が設けられている。
上流側被固定部材440は、円環状(フランジ状)に形成されている。また、上流側被固定部材440は、複数の上流側案内部材410の上流側の端部に固定されている。
上流側被固定部材440は、複数の上流側案内部材410の上流側の端部を連結する機能を有する。また、上流側被固定部材440は、案内装置本体部130(
図1参照)に対して固定され、案内装置本体部130に対する伸縮部140の位置決めを行う。
【0047】
また、下流側被固定部材540も、円環状(フランジ状)に形成されている。下流側被固定部材540は、複数の下流側案内部材510の下流側の端部に固定されている。
下流側被固定部材540は、複数の下流側案内部材510を連結する機能を有する。また、下流側被固定部材540は、下流側被固定部材540よりも下流側に位置する固定箇所に対して固定される。具体的には、下流側被固定部材540は、シール剤塗布装置30(
図1参照)に対して固定される。
【0048】
上流側被固定部材440および下流側被固定部材540の各々は、円環状に形成され、外周縁68の内側に、厚み方向に沿って形成された貫通孔80が複数形成されている。本実施形態では、この貫通孔80に対してボルトなどの棒状の締結部材が通される。
そして、上流側被固定部材440は、この締結部材が用いられて、案内装置本体部130に固定される。また、下流側被固定部材540は、この締結部材が用いられて、シール剤塗布装置30に対して固定される。
【0049】
ここで、本実施形態では、下流側被固定部材540に形成された貫通孔80は、長穴形状で形成されている。より具体的には、下流側被固定部材540に形成された貫通孔80は、下流側被固定部材540の周方向に沿って延びる長穴形状で形成されている。
このように貫通孔80を、長穴形状で形成すると、貫通孔80を丸穴で形成する場合に比べ、固定箇所への下流側被固定部材540の固定を行いやすくなる。
【0050】
より具体的には、貫通孔80を丸穴で形成してしまうと、固定箇所に形成されたボルト穴等と貫通孔80とがずれている場合に、固定箇所への下流側被固定部材540の固定を行いにくくなる。これに対し、貫通孔80が長穴で形成されていると、固定箇所への下流側被固定部材540の固定を行いやすくなる。
なお、本実施形態では、下流側被固定部材540に形成された貫通孔80を長穴形状としたが、上流側被固定部材440に形成された貫通孔80を長穴形状としてもよい。また、上流側被固定部材440、下流側被固定部材540の両者において、貫通孔80を長穴形状としてもよい。
【0051】
また、
図4(A)に示すように、上流側被固定部材440では、上流側被固定部材440の径方向において、貫通孔80よりも内側に、上流側案内部材410を固定するための固定用孔81が設けられている。
本実施形態では、この固定用孔81に上流側案内部材410の端部を入れて溶接処理を行うことで、上流側被固定部材440に対する上流側案内部材410の固定を行う。
また、
図4(A)に示すように、上流側被固定部材440には、上流側被固定部材440の径方向における中央部に、円盤状部材300を通過させるための通過用貫通孔83が形成されている。
【0052】
また、下流側被固定部材540でも同様であり、下流側被固定部材540では、
図3に示すように、下流側被固定部材540の径方向において、貫通孔80よりも内側に、下流側案内部材510を固定するための固定用孔81が設けられている。本実施形態では、この固定用孔81に下流側案内部材510の端部を入れて溶接処理を行うことで、下流側被固定部材540に対する下流側案内部材510の固定を行う。
また、下流側被固定部材540にも、下流側被固定部材540の径方向における中央部に、円盤状部材300を通過させるための通過用貫通孔83が形成されている。
【0053】
また、
図3に示すように、本実施形態では、第1の固定部材430および第2の固定部材530の各々にも、貫通孔95が形成されている。
この貫通孔95は、複数形成されるとともに、第1の固定部材430および第2の固定部材530の周方向に沿って且つ予め定められた一定の間隔で(等間隔で)並んで配置されている。
【0054】
ここで、第1の固定部材430および第2の固定部材530の各々に形成された貫通孔95は、上流側案内部400および下流側案内部500の一方の案内部が他方の案内部に対して進退(詳細は後述)する際の進退方向に沿って形成されている。
また、第1の固定部材430および第2の固定部材530の各々においても、径方向における中央部に、円盤状部材300を通過させるための通過用貫通孔83が形成されている。
【0055】
図3に示すように、本実施形態では、複数の上流側案内部材410の各々は、第2の固定部材530の貫通孔95に通され、複数の下流側案内部材510の各々は、第1の固定部材430の貫通孔95に通されている。
【0056】
より具体的には、上流側案内部材410は、第2の固定部材530に形成された複数の貫通孔95のうち、一つおきに位置する貫通孔95に通されている。
さらに、本実施形態では、第2の固定部材530に形成された複数の貫通孔95のうち、上流側案内部材410が通された貫通孔95の間に位置する貫通孔95に対して、下流側案内部材510の端部(上流側の端部)が入れられている。
【0057】
付言すると、本実施形態では、第2の固定部材530には、上流側案内部材410の設置数と下流側案内部材510の設置数との合計値と同数の貫通孔95が形成されている。
そして、本実施形態では、この貫通孔95の一部に、上流側案内部材410が通され、この貫通孔95の他の一部に、下流側案内部材510の端部が入れられている。
より具体的には、第2の固定部材530には、12個の貫通孔95が形成されている。そして、6個の貫通孔95に対して上流側案内部材410が通されており、他の6個の貫通孔95に、下流側案内部材510の端部が入れられている。
【0058】
また、下流側案内部材510は、第1の固定部材430に形成された複数の貫通孔95のうち、一つおきに位置する貫通孔95に通されている。
さらに、本実施形態では、第1の固定部材430に形成された複数の貫通孔95のうち、下流側案内部材510が通された貫通孔95の間に位置する貫通孔95に対して、上流側案内部材410の端部(下流側の端部)が入れられている。
【0059】
付言すると、本実施形態では、第1の固定部材430には、上流側案内部材410の設置数と下流側案内部材510の設置数との合計値と同数の貫通孔95が形成されており、この貫通孔95の一部に、下流側案内部材510が通され、この貫通孔95の他の一部に、上流側案内部材410の端部が入れられている。
より具体的には、第1の固定部材430には、12個の貫通孔95が形成されている。そして、6個の貫通孔95に対して下流側案内部材510が通されており、他の6個の貫通孔95に上流側案内部材410の端部が入れられている。
【0060】
また、
図3に示すように、第1の固定部材430および第2の固定部材530の各々では、貫通孔95の各々に対応したねじ用貫通孔98が形成されている。
このねじ用貫通孔98の内周面98Aには、螺旋状の雌ねじが形成されている。また、ねじ用貫通孔98は、第1の固定部材430および第2の固定部材530の各々の外周面92から通過用貫通孔83に向かって形成されている。
【0061】
本実施形態では、第1の固定部材430に対する上流側案内部材410(の下流側端部410A)の固定は、ねじ用貫通孔98(符号3Aで示すねじ用貫通孔98)にねじを取り付けるとともに、このねじの先端を上流側案内部材410に対して押し付けることで行う。
また、第2の固定部材530に対する下流側案内部材510(の上流側端部510A)の固定は、ねじ用貫通孔98(符号3Bで示すねじ用貫通孔98)にねじを取り付けるとともに、このねじの先端を下流側案内部材510に押し付けることで行う。
【0062】
さらに、本実施形態では、第1の固定部材430のねじ用貫通孔98(符号3Cで示すねじ用貫通孔98)にねじを取り付けるとともに、このねじの先端を下流側案内部材510に押し付けることで、下流側案内部500に対する上流側案内部400の固定を行う。
また、本実施形態では、第2の固定部材530のねじ用貫通孔98(符号3Dで示すねじ用貫通孔98)にねじを取り付けるとともに、このねじの先端を上流側案内部材410に押し付けることで、上流側案内部400に対する下流側案内部500の固定を行う。
【0063】
なお、第1の固定部材430、第2の固定部材530、上流側被固定部材440、および、下流側被固定部材540は、防錆、耐傷付き性、耐摩耗性、滑性、強度等が良好であれば良く、ステンレスで形成することが好ましい。なお、ステンレスに限らず、他の材質で形成してもよい。また、第1の固定部材430、第2の固定部材530、上流側被固定部材440、および、下流側被固定部材540は、円環状部材の表面を、この円環状部材の材質以外の材質で被覆した構成としてもよい。
【0064】
ここで、本実施形態では、上流側案内部400および下流側案内部500の一方の案内部が他方の案内部に対して進退可能な構成となっており、この進退により、伸縮部140の全長が変化する。
より具体的には、本実施形態では、下流側案内部材510、第2の固定部材530、下流側被固定部材540が一体となってユニット化されている。
そして、例えば、このユニット化された部分を、上流側案内部400側へ移動させることで、伸縮部140が縮む。また、逆に、このユニット化された部分を、上流側案内部400側から離れる方向へ移動させることで、伸縮部140が伸長する。
【0065】
同様に、上流側案内部材410、第1の固定部材430、上流側被固定部材440が一体となってユニット化されており、このユニット化された部分を、下流側案内部500側へ移動させることで、伸縮部140が縮む。
また、逆に、このユニット化された部分を、下流側案内部500側から離れる方向へ移動させることで、伸縮部140が伸長する。
【0066】
付言すると、本実施形態では、ユニット化された部分を2個設け、さらに、この2個のユニット化された部分を、搬送方向においてその一部が重なるように配置し、さらに、円盤状部材300の周方向において互いにずらした状態で配置している。
そして、本実施形態では、一方のユニット化された部分を他方のユニット化された部分に対して進退させると、伸縮部140が縮み、あるいは、伸縮部140が伸長する。
【0067】
図5は、伸縮部140が縮んだ後の伸縮部140の状態を示した図である。
伸縮部140が縮むと、上流側被固定部材440と下流側被固定部材540とが互いに近づくようになる。これにより、伸縮部140の全長が小さくなる。
なお、伸縮部140が縮むと、第1の固定部材430と第2の固定部材530との間に位置する重なり部分GEの長さ(第1の固定部材430と第2の固定部材530との離間距離)は、大きくなる。
【0068】
図6は、伸縮部140が伸長した後の伸縮部140の状態を示した図である。
伸縮部140が伸長すると、上流側被固定部材440と下流側被固定部材540とが互いに離れるようになる。これにより、本実施形態では、伸縮部140の全長が大きくなる。
また、伸縮部140が伸長すると、第1の固定部材430と第2の固定部材530との間に位置する重なり部分GEの長さ(第1の固定部材430と第2の固定部材530との離間距離)は、小さくなる。
なお、本実施形態では、伸縮部140の状態に関わらず(伸縮部140が伸長状態、縮んだ状態の何れの状態にあるかに関わらず)、上流側案内部材410、下流側案内部材510と円盤状部材300との間の間隙(クリアランス)は、一定となっている。
【0069】
ここで、本実施形態では、
図1にて示したとおり、各種の処理装置の間に、移動装置100を設置し、処理装置間にて、円盤状部材300を移動させる。
ここで、工場等にて、移動装置100や処理装置を設置するにあたっては、各装置の寸法公差や、設置誤差などに起因して、移動装置100の全長が必要以上に大きくなったり、移動装置100の全長が必要長さよりも小さくなったりする。
【0070】
このように、移動装置100の全長が大きくなったり小さくなったりすると、移動装置100や処理装置の設置に手間を要する。
具体的には、移動装置100の全長が大きくなると、移動装置100を構成する部材の切断や研磨などを行う必要が生じて手間を要する。また、移動装置100の全長が小さくなると、例えば、一旦組み上げた移動装置100の末端部分を取り外し、より長い末端部分を製作したうえで、この長い末端部分を取り付ける必要が生じる。
【0071】
これに対し、本実施形態の構成では、移動装置100の全長が必要以上に大きくなったり、小さくなったりした場合には、伸縮部140を伸長させ、あるいは、伸縮部140を縮める。
より具体的には、上流側案内部400および下流側案内部500の少なくとも一方の案内部を、円盤状部材300の搬送方向に沿って移動させる。
これにより、本実施形態では、より簡易に、移動装置100の全長を変えられるようになる。
【0072】
なお、移動装置100の全長を変えた後、本実施形態では、第1の固定部材430(
図3参照)を下流側案内部材510に固定し、また、第2の固定部材530を上流側案内部材410に固定する。
具体的には、第1の固定部材430のねじ用貫通孔98(
図3にて符号3Cで示すねじ用貫通孔98)の各々にねじを取り付けることで、第1の固定部材430を、複数設けられた下流側案内部材510の各々に固定する。
また、第2の固定部材530のねじ用貫通孔98(
図3にて符号3Dで示すねじ用貫通孔98)の各々にねじを取り付けることで、第2の固定部材530を、複数設けられた上流側案内部材410の各々に固定する。
【0073】
ここで、本実施形態では、このように、第1の固定部材430が下流側案内部材510の各々に固定され、第2の固定部材530が上流側案内部材410の各々に固定される。
この結果、本実施形態では、複数設けられた下流側案内部材510の各々の長手方向における複数箇所が、上流側案内部400に固定される。また、複数設けられた上流側案内部材410の各々の長手方向における複数箇所が、下流側案内部500に固定される。
【0074】
より具体的には、下流側案内部材510については、第2の固定部材530が設けられている部分にて上流側案内部400(上流側案内部材410)に固定され、また、第1の固定部材430が設けられている部分にて、上流側案内部400(上流側案内部材410)に固定される。
言い換えると、下流側案内部材510は、第1の固定部材430が設けられている箇所、第2の固定部材530が設けられている箇所の2か所にて、上流側案内部400に固定される。
【0075】
より具体的には、下流側案内部材510は、
図3にて符号3X、符号3Yで示す2箇所にて、上流側案内部400(上流側案内部材410)に固定される。
付言すると、本実施形態では、搬送方向における設置位置が互いに異なる第1の固定部材430および第2の固定部材530を介して、下流側案内部材510が上流側案内部材410に固定される。これにより、下流側案内部材510の各々の長手方向における複数箇所が、上流側案内部400に固定される。
【0076】
また、上流側案内部材410については、第1の固定部材430が設けられている部分にて下流側案内部500(下流側案内部材510)に固定され、また、第2の固定部材530が設けられている部分にて下流側案内部500(下流側案内部材510)に固定される。
【0077】
言い換えると、上流側案内部材410は、第1の固定部材430が設けられている箇所、第2の固定部材530が設けられている箇所の2か所にて、下流側案内部500に固定される。
より具体的には、上流側案内部材410は、
図3にて符号3X、符号3Yで示す2箇所にて、下流側案内部500(下流側案内部材510)に固定される。
【0078】
付言すると、本実施形態では、搬送方向における設置位置が互いに異なる第1の固定部材430および第2の固定部材530を介して、上流側案内部材410が下流側案内部材510に固定される。
これにより、複数の上流側案内部材410の各々の長手方向における複数箇所が、下流側案内部500に固定される。
【0079】
〔カバー部材の取り付け〕
本実施形態では、伸縮部140の伸縮が完了し、上記ねじを用いて、上流側案内部400と下流側案内部500とを相互に固定した後に、上流側案内部材410および下流側案内部材510の各々に、樹脂材料により構成されたカバー部材89を取り付ける。
なお、案内装置本体部130(
図1参照)に設けられた案内部材131にも、同様にカバー部材89を取り付ける。
【0080】
図7は、
図3のVII−VII線におけるに断面図であって、カバー部材89を取り付けた後の断面図を示している。言い換えると、
図7は、上流側案内部材410のうち、上流側被固定部材440と第2の固定部材530との間に位置する部分にカバー部材89を取り付けた後の状態を示している。
本実施形態では、矢印7Aで示すように、上流側案内部材410の各々に、樹脂材料により構成され断面がC字状のカバー部材89を取り付ける。これにより、上流側案内部材410が円盤状部材300に直接接触する場合に比べ、円盤状部材300に傷がつきにくくなる。
【0081】
なお、カバー部材89は、その他に、重なり部分GEに位置する、上流側案内部材410および下流側案内部材510にも取り付けられる。
また、カバー部材89は、下流側案内部材510のうちの、第1の固定部材430と下流側被固定部材540との間に位置する部分(
図3にて符号3Hで示す部分)にも取り付けられる。
【0082】
図8は、
図4(B)のVIII−VIII線における伸縮部140の断面図である。
なお、この
図8では、伸縮部140の長手方向の全域における断面の状態を表示している。また、この
図8では、
図4(B)のVIII−VIII線の上には本来存在しない上流側案内部材410も併せて表示している。また、
図8では、カバー部材89も表示している。
【0083】
本実施形態では、
図8に示すように、上流側被固定部材440、下流側被固定部材540、第1の固定部材430、第2の固定部材530の各々が有する内周面79に対してテーパ(傾斜)が付されている。
具体的には、上流側被固定部材440、下流側被固定部材540、第1の固定部材430、第2の固定部材530の各々では、内周面79の直径が一定ではなく、円盤状部材300の搬送方向上流側に向かうに従い内周面79の径が大きくなる。
【0084】
言い換えると、上流側被固定部材440、下流側被固定部材540、第1の固定部材430、第2の固定部材530の各々では、内周面79に、搬送方向上流側に向かうに従い内周面79の径を大きくするテーパが付されている。
これにより、本実施形態では、テーパが付されていない場合に比較して、上流側被固定部材440、下流側被固定部材540、第1の固定部材430、第2の固定部材530の各々を円盤状部材300が通過しやすくなる。
【0085】
さらに、本実施形態では、
図8の符号8Aで示すように、カバー部材89の表面の方が、内周面79の上流側端部79Aよりも円盤状部材300の搬送経路の中心側に位置している。
より具体的には、上流側端部79Aと、この上流側端部79Aの上流側に位置するカバー部材89の表面とを比較した場合に、カバー部材89の表面の方が、上流側端部79Aよりも円盤状部材300の搬送経路の中心側に位置している。
これにより、上流側端部79Aの方が、カバー部材89の表面よりも、搬送経路の中心側に位置している場合に比べ、上流側端部79Aへの円盤状部材300の引っ掛かりが起きにくくなり、円盤状部材300が円滑に搬送される。
【0086】
さらに、本実施形態では、
図8の符号8Bで示すように、内周面79の下流側端部79Bの方が、カバー部材89の表面よりも円盤状部材300の搬送経路の中心側に位置している。
より具体的には、下流側端部79Bと、この下流側端部79Bの下流側に位置するカバー部材89の表面とを比較した場合に、下流側端部79Bの方が、カバー部材89の表面よりも円盤状部材300の搬送経路の中心側に位置している。
これにより、カバー部材89の表面の方が、下流側端部79Bよりも、搬送経路の中心側に位置している場合に比べ、カバー部材89への円盤状部材300の引っ掛かりが起きにくくなり、円盤状部材300が円滑に搬送される。
【0087】
〔比較例〕
図9は、伸縮部140の比較例を示した図である。なお、この
図9では、伸縮部140を側方から見た場合の状態を示している。
この比較例では、上流側案内部材410および下流側案内部材510が、同軸上に配置されている。また、上流側案内部材410が円筒状に形成され、下流側案内部材510が上流側案内部材410に入り込む構成となっている。この比較例では、下流側案内部材510が上流側案内部材410に出入りすることで、伸縮部140の全長が変化する。
【0088】
ここで、一般に、上流側案内部材410と下流側案内部材510とを同軸上に配置してしまうと、上流側案内部材410と下流側案内部材510とが干渉してしまう。
この比較例では、上流側案内部材410を、中空の円筒状部材とすることで、この干渉を避けている。ところで、このように案内部材を中空にしてしまうと、中実である場合に比べ、強度が低下する。
【0089】
これに対し、本実施形態の構成では、上流側案内部材410と下流側案内部材510とが同軸上に配置されておらず、円盤状部材300の周方向において、上流側案内部材410の設置位置と下流側案内部材510の設置位置とが異なっている。
この場合、上流側案内部材410および下流側案内部材510の両者を中実の部材とすることができ、伸縮部140の強度の低下が起きにくくなる。
【0090】
また、比較例では、上流側案内部材410および下流側案内部材510に対して、図中矢印9Aで示すような回転モーメントが作用した場合に、伸縮部140の変形が生じやすい。より具体的には、伸縮部140の長手方向における中央部あたりにて(上流側案内部材410と下流側案内部材510との接合部あたりにて)、伸縮部140が屈曲するなど、伸縮部140の変形が生じやすい。
付言すると、比較例では、上流側案内部材410および下流側案内部材510の自由端側の端部を、搬送方向と交差する方向へ移動させようとする荷重が伸縮部140に作用した場合に、伸縮部140の変形が生じやすい。
【0091】
これに対し、本実施形態の構成では、上記のとおり、下流側案内部材510の各々の長手方向における複数箇所が、上流側案内部400に対して固定される。また、上流側案内部材410の各々の長手方向における複数箇所が、下流側案内部500に対して固定される。この場合、伸縮部140に対し、搬送方向と交差する方向に作用する荷重が働いたとしても、伸縮部140の変形が生じにくくなる。
【0092】
また、比較例のように、上流側案内部材410が円筒状に形成され、下流側案内部材510が上流側案内部材410に入り込む構成であると、上流側案内部材410と下流側案内部材510との接合部に段差が生じる。
これに対し、本実施形態の構成では、段差の発生を抑制でき、円盤状部材300をより円滑に搬送できる。
【0093】
〔その他の構成〕
上記にて説明した実施形態では、伸縮部140が水平方向に沿って配置されている場合を説明したが、伸縮部140は、鉛直方向や斜め方向(水平方向および鉛直方向に対して交差する方向)に沿うように配置してもよい。
【0094】
また、上記では、上流側案内部材410および下流側案内部材510が直線状に形成された場合を説明したが、上流側案内部材410および下流側案内部500の各々に一定の曲率を付与してもよい。この場合、上流側案内部400および下流側案内部500の少なくとも一方を、この曲率にならう円弧状の搬送経路に沿って移動させることで、伸縮部140の全長を変化させる。
【0095】
また、上記では、缶蓋の製造工程に、移動装置100を設置した場合を説明したが、移動装置100は、飲料缶の製造工程に設置してもよい。
飲料缶の製造工程でも、円盤状部材300(タブを取り付け済みの円盤状部材300(缶蓋として完成している状態の円盤状部材300))を搬送する。この場合も、上記と同様、各装置の寸法公差などに起因して、移動装置100の全長が必要以上に大きくなったり、移動装置100の全長が必要長さよりも小さくなったりする。
【0096】
本実施形態の伸縮部140を設けるようにすれば、飲料缶の製造工程(飲料缶の製造工場)においても、各処理装置の設置をより簡易に行えるようになる。
なお、飲料缶の製造工程では、取り付け装置が設けられており、開口部を通じて飲料が充填された後の缶本体の開口部に対して、円盤状部材300(タブを取り付け済みの円盤状部材300)を取り付ける。
【0097】
より具体的には、缶本体に円盤状部材300を載せたうえで、円盤状部材300の外周縁および缶本体の開口縁の両者に対して曲げ加工を行って、缶本体の開口部に対して、円盤状部材300を取り付ける。付言すると、いわゆる巻き締めによって、缶本体の開口部に、円盤状部材300を取り付ける。これにより、飲料が充填された飲料缶が完成する。