(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第4反射面と前記第1発光層の発光中心との光学距離をL14、前記第5反射面と前記第1発光層の発光中心との光学距離をL15としたとき、L14およびL15は以下の式(17)〜(20)を満たす
請求項7に記載の発光装置。
2L14/λ14+a4/(2π)=m4+1/2・・・・・(17)
2L15/λ15+a5/(2π)=m5+1/2・・・・・(18)
λ1−150<λ14<λ1+150・・・・・(19)
λ1−150<λ15<λ1+150・・・・・(20)
ただし、m4、m5:整数
λ1、λ14およびλ15の単位:nm
a4:第1発光層から出射された各波長の光が第4反射面で反射する際の位相変化
a5:第1発光層から出射された各波長の光が第5反射面で反射する際の位相変化
前記第4反射面と前記第2発光層の発光中心との光学距離をL24、前記第5反射面と前記第2発光層の発光中心との光学距離をL25としたとき、L24およびL25は以下の式(21)〜(24)を満たす
請求項7または請求項8に記載の発光装置。
2L24/λ24+c4/(2π)=n4・・・・・(21)
2L25/λ25+c5/(2π)=n5・・・・・(22)
λ2−150<λ24<λ2+150・・・・・(23)
λ2−150<λ25<λ2+150・・・・・(24)
ただし、n4、n5:整数
λ2、λ24およびλ25の単位:nm
c4:第2発光層から出射された各波長の光が第4反射面で反射する際の位相変化
c5:第2発光層から出射された各波長の光が第5反射面で反射する際の位相変化
更に、前記第2反射面と前記第4反射面との間、前記第4反射面と前記第5反射面との間および、前記第5反射面を間にして前記第4反射面に対向する位置の少なくともいずれか1つに第6反射面を有する
請求項7ないし請求項9のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施の形態について図面を参照して以下の順に詳細に説明する。
1.第1の実施の形態(第2反射面近傍に第3反射面を有する発光装置)
2.変形例1(第3反射面で光を強め合うように反射する例)
3.変形例2(下面発光型の発光装置の例)
4.第2の実施の形態(第3反射面に加えて第4反射面および第5反射面を有する発光装置)
5.変形例3(第6反射面を有する発光装置の例)
6.適用例1(表示装置および電子機器の例)
7.適用例2(照明装置の例)
【0011】
<第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る発光装置(発光装置1)の要部の断面構成を表している。この発光装置1は基板11上に、赤色有機EL素子10R、緑色有機EL素子10Gおよび青色有機EL素子10Bを有している。赤色有機EL素子10R、緑色有機EL素子10Gおよび青色有機EL素子10Bは、基板11の互いに異なる領域(平面視で重ならない領域)に配置されている。
【0012】
赤色有機EL素子10Rは、基板11上に第1電極12、赤色発光層131R(第1発光層)を含む赤色有機層13R、第1透明層14R、第2電極15Rおよび第2透明層16Rをこの順に有している。緑色有機EL素子10Gは、基板11上に第1電極12、緑色発光層131Gを含む緑色有機層13G、第1透明層14G、第2電極15Gおよび第2透明層16Gをこの順に有している。青色有機EL素子10Bは、基板11上に第1電極12、青色発光層131B(第2発光層)を含む青色有機層13B、第1透明層14B、第2電極15Bおよび第2透明層16Bをこの順に有している。
【0013】
赤色有機EL素子10Rは、赤色発光層131Rで発生した赤色波長域の光(赤色光LR)を、第2透明層16R側から出射するようになっている。緑色有機EL素子10Gは、緑色発光層131Gで発生した緑色波長域の光(緑色光LG)を、第2透明層16G側から出射するようになっている。青色有機EL素子10Bは、青色発光層131Bで発生した青色波長域の光(青色光LB)を、第2透明層16B側から出射するようになっている。発光装置1は、赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bから出射された光を第1電極12と、第2透明層16R,16G,16Bとの間で、多重反射させて、光を取り出すように構成されている。即ち、発光装置1は、共振器構造を有する上面発光型の発光装置である。
【0014】
基板11は、赤色有機EL素子10R,緑色有機EL素子10G,青色有機EL素子10Bを支持するための板状部材であり、例えば透明ガラス基板または半導体基板等により構成されている。基板11を可撓性基板(フレキシブル基板)により構成するようにしてもよい。
【0015】
第1電極12は、アノード電極であるとともに、反射層としての機能も有している。第1電極12は、例えば、赤色発光素子領域11R、緑色発光素子領域11Gおよび青色発光素子領域11Bに共通して設けられている。第1電極12には、例えばアルミニウム(Al)およびその合金,白金(Pt),金(Au),クロム(Cr),またはタングステン(W)等の光反射性材料を用いることができる。第1電極12は、透明導電材料と、光反射性材料とを積層させて構成するようにしてもよい。第1電極12の厚みは、100nm〜300nmの範囲であることが好ましい。
【0016】
赤色有機層13Rは、例えば第1電極12に近い位置から、正孔注入層、正孔輸送層、赤色発光層131R、電子輸送層および電子注入層をこの順に有している。緑色有機層13Gは、例えば第1電極12に近い位置から、正孔注入層、正孔輸送層、緑色発光層131G、電子輸送層および電子注入層をこの順に有している。青色有機層13Bは、例えば第1電極12に近い位置から、正孔注入層、正孔輸送層、青色発光層131B、電子輸送層および電子注入層をこの順に有している。
【0017】
正孔注入層は、リークを防止するための層であり、例えばヘキサアザトリフェニレン(HAT)等により構成されている。正孔注入層の厚みは、例えば1nm〜20nmである。正孔輸送層は、例えばα−NPD〔N,N'-di(1-naphthyl)-N,N'-diphenyl-〔1,1'-biphenyl 〕-4,4'-diamine 〕により構成されている。正孔輸送層の厚みは、例えば15nm〜100nmである。
【0018】
赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131Bは、正孔と電子との結合により、所定の色の光を発するように構成されており、例えば、5nm〜50nmの厚みを有している。赤色発光層131Rは、赤色波長域の光を発するものであり、例えば、ピロメテンホウ素錯体がドーピングされたルブレンにより構成されている。このとき、ルブレンはホスト材料として用いられている。緑色発光層131Gは、緑色波長域の光を発するものであり、例えばAlq3(トリスキノリノールアルミニウム錯体)により構成されている。青色発光層131Bは、青色波長域の光を発するものであり、例えば、ジアミノクリセン誘導体がドーピングされたADN(9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)により構成されている。このとき、ADNは、ホスト材料として、正孔輸送層上に例えば厚み20nmで蒸着され、ジアミノクリセン誘導体は、ドーパント材料として、相対膜厚比で5%ドーピングされる。
【0019】
電子輸送層は、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)により構成されている。電子輸送層の厚みは、例えば15nm〜200nmである。電子注入層は、例えばフッ化リチウム(LiF)により構成されている。電子注入層の厚みは、例えば15nm〜270nmである。
【0020】
第1透明層14R,14G,14Bは、例えば、赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bと、第2電極15R,15G,15Bとの間に設けられている。第1透明層14R,14G,14Bは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)および、インジウムと亜鉛との酸化物(IZO)などの光透過性導電材料により構成されている。この第1透明層14R,14G,14Bが、第2電極15R,15G,15Bとともに電極として機能してもよい。
【0021】
第1透明層14R,14G,14Bは、例えば、酸化亜鉛(ZnO)および酸化チタン(TiO)等の金属酸化物により構成されていてもよい。酸化亜鉛(ZnO)および酸化チタン(TiO)等の高抵抗材料により構成された第1透明層14R,14G,14B(高抵抗層)を設けることにより、例えば、異物に起因した第1電極12と第2電極15R,15G,15Bとの短絡の発生が抑えられる。即ち、滅点の発生が抑えられる。第1透明層14R,14G,14Bは、積層構造を有していてもよい(例えば、後述の
図3の第1透明層14RA,14RB)。第1透明層14R,14G,14Bの光学膜厚は、例えば30nm〜450nmである。
【0022】
赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bを間にして第1電極12と対向する第2電極15R,15G,15Bは、光透過性導電材料により構成されている。第2電極15R,15G,15Bは、その厚みが5nm以上であることが好ましく、例えば、マグネシウム(Mg),銀(Ag)またはこれらの合金により構成されている。このような高い反射率を有する第2電極15R,15G,15Bを設けることにより、共振器構造の効果が高まり、光取出効率を向上させることができる。これにより、消費電力を抑え、また、赤色有機EL素子10R,緑色有機EL素子10G,青色有機EL素子10Bの寿命を延ばすこともできる。更に、十分な厚みの第2電極15R,15G,15Bを設けることにより、薄い第2電極15R,15G,15Bに起因した画品位不良の発生を抑えることができる(後述)。
【0023】
第2透明層16R,16G,16Bは、第2電極15R,15G,15Bよりも光取り出し側に設けられており、第2電極15R,15G,15Bを間にして赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bに対向している。この第2透明層16R,16G,16Bには、例えば光透過性導電材料または光透過性誘電体材料を用いることができる。光透過性導電材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide)および、インジウムと亜鉛との酸化物(IZO)等が挙げられる。光透過性誘電体材料としては、例えば酸化シリコン(SiO
2),シリコンオキシナイトライド(SiON)または窒化シリコン(SiN)等が挙げられる。第2透明層16R,16G,16Bは、第2電極15R,15G,15Bとともに電極として機能してもよく、あるいは、パッシベーション膜として機能してもよい。第2透明層16R,16G,16Bには、MgFまたはNaFなどの低屈折率材料を用いることも可能である。
【0024】
第2透明層16R,16G,16Bの上層には、1μm以上の層が設けられていることが好ましい。この1μm以上の層は、例えば透明導電材料、透明絶縁材料、樹脂材料またはガラス等により構成されている。空気により構成することも可能である。このような層を設けることにより、第1電極12と第2透明層16R,16G,16Bとの間で構成される共振器構造への外部からの干渉を防ぐことができる。
【0025】
図2Aは赤色有機EL素子10R、
図2Bは青色有機EL素子10B、
図2Cは緑色有機EL素子10Gの共振器構造を各々表している。
【0026】
赤色有機EL素子10Rは、基板11側から、第1反射面S1R、第3反射面S3R、および第2反射面S2Rをこの順に有している(
図2A)。赤色有機EL素子10Rでは、第2反射面S2R側から光(赤色光LR)が取り出されるようになっている。第1反射面S1Rと第3反射面S3Rとの間には、赤色発光層131Rの発光中心ORが設けられている。例えば、第1電極12は、第1反射面S1Rを間にして赤色発光層131Rに対向している。第1透明層14Rは、例えば、赤色発光層131R(発光中心OR)と第2反射面S2Rとの間に設けられている。
【0027】
青色有機EL素子10Bは、基板11側から、第1反射面S1B、第3反射面S3Bおよび第2反射面S2Bをこの順に有している(
図2B)。青色有機EL素子10Bでは、第2反射面S2B側から光(青色光LB)が取り出されるようになっている。第1反射面S1Bと第3反射面S3Bとの間には、発光中心OBが設けられている。例えば、第1電極12は、第1反射面S1Bを間にして青色発光層131Bに対向している。第1透明層14Bは、青色発光層131B(発光中心OB)と第2反射面S2Bとの間に設けられている。
【0028】
緑色有機EL素子10Gは、基板11側から、第1反射面S1G、第3反射面S3Gおよび第2反射面S2Gをこの順に有している(
図2C)。緑色有機EL素子10Gでは、第2反射面S2G側から光(緑色光LG)が取り出されるようになっている。第1反射面S1Gと第3反射面S3Gとの間には、発光中心OGが設けられている。例えば、第1電極12は、第1反射面S1Gを間にして
緑色発光層131Gに対向している。第1透明層14Gは、緑色発光層131G(発光中心OG)と第2反射面S2BGの間に設けられている。
【0029】
第1反射面S1Rは、例えば第1電極12と赤色有機層13Rとの界面である。第1反射面S1Bは、例えば第1電極12と青色有機層13Bとの界面である。第1反射面S1Gは、例えば第1電極12と緑色有機層13Gとの界面である。第1反射面S1R,S1B,S1Gは、第1電極12の構成材料と赤色有機層13R,青色有機層13B,緑色有機層13Gの構成材料との屈折率の界面により形成されている。例えば第1電極12を構成するアルミニウム(Al)の屈折率は0.73、消衰係数は5.91であり、赤色有機層13R,青色有機層13Bの屈折率は1.75である。第1反射面S1Rは、発光中心ORから光学距離L11の位置に配置されている。第1反射面S1Bは、発光中心OBから光学距離L21の位置に配置されている。第1反射面S1Gは、発光中心OGから光学距離L31の位置に配置されている。
【0030】
光学距離L11,L21,L31は、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λ1の光,青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λ2の光,緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λ3の光を、第1反射面S1R,S1B,S1Gと、発光中心OR,OB,OGとの間における干渉によって強め合うように設定されている。
【0031】
具体的には、光学距離L11,L21,L31は、以下の式(1)〜(4),(25),(26)を満たすように構成されている。光学距離L11は例えば125nmであり、光学距離L21は例えば88nmであり、光学距離L31は例えば101nmである。
【0032】
2L11/λ11+a1/(2π)=m1(ただし、m1≧0)・・・・・(1)
λ1−150<λ11<λ1+80・・・・・(2)
2L21/λ21+c1/(2π)=n1(ただし、n1≧0)・・・・・(3)
λ2−150<λ21<λ2+80・・・・・(4)
2L31/λ31+b1/(2π)=p1(ただし、p1≧0)・・・・・(25)
λ3−150<λ31<λ3+80・・・・・(26)
ただし、m1、n1、p1:整数
λ1、λ2、λ3、λ11、λ21およびλ31の単位:nm
a1:赤色発光層131Rから出射された各波長の光が第1反射面S1Rで反射する際の位相変化
c1:青色発光層131Bから出射された各波長の光が第1反射面S1Bで反射する際の位相変化
b1:緑色発光層131Gから出射された各波長の光が第1反射面S1Gで反射する際の位相変化
【0033】
上記a1,c1,b1は、第1電極12の構成材料の複素屈折率N=n0-jk(n0:屈折率、k:消衰係数)のn0、kと、赤色有機層13R,青色有機層13B,緑色有機層13Gの屈折率とを用いて計算することができる(例えば、Principles of Optics, Max Born and Emil Wolf, 1974 (PERGAMON PRESS)などを参照)。各構成材料の屈折率は、分光エリプソメトリー測定装置を用いて測定することができる。
【0034】
m1、n1、p1の値が大きいといわゆるマイクロキャビティ(微小共振器)効果が得られないため、m1=0、n1=0、p1=0であることが好ましい。例えば、光学距離L11は、以下の式(27),(28)を共に満たしている。
【0035】
2L11/λ11+a1/(2π)=0・・・・・(27)
λ1−150=450<λ11=600<λ1+80=680・・・・・(28)
【0036】
式(27)を満たす第1反射面S1Rは、0次の干渉の位置に設けられているので、広い波長帯域にわたって、高い透過率を示す。このため、式(28)に示したように、λ11を中心波長λ1から大きくずらすことも可能である。光学距離L21,L31についても同様である。
【0037】
第2反射面S2Rは、発光中心OR(赤色発光層131R)を間にして第1反射面S1Rに対向している。この第2反射面S2Rは、例えば、反射性を有する第2電極15Rにより形成されている。第2反射面S2Bは、発光中心OB(青色発光層131B)を間にして第1反射面S1Bに対向している。この第2反射面S2Bは、例えば、反射性を有する第2電極15Bにより形成されている。第2反射面S2Gは、発光中心OG(緑色発光層131G)を間にして第1反射面S1Gに対向している。この第2反射面S2Gは、例えば、反射性を有する第2電極15Gにより形成されている。第2反射面S2R,S2B,S2Gは、第1透明層14R,14B,14Gと、第2電極15R
,15B,15Gとの界面により構成されていてもよい。第2反射面S2Rは、発光中心ORから光学距離L12の位置に配置されている。第2反射面S2Bは、発光中心OBから光学距離L22の位置に配置されている。第2反射面S2Gは、発光中心OGから光学距離L32の位置に配置されている。
【0038】
光学距離L12,L22,L32は、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λ1の光,青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λ2の光,緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λ3の光を、第2反射面S2R,S2B,S2Gと、発光中心OR,OB,OGとの間における干渉によって強め合うように設定されている。
【0039】
具体的には、光学距離L12,L22,L32は、以下の式(5)〜(8),(29),(30)を満たすように構成されている。光学距離L12は例えば390nmであり、光学距離L22は例えば243nmであり、光学距離L32は例えば320nmである。
【0040】
2L12/λ12+a2/(2π)=m2・・・・・(5)
λ1−80<λ12<λ1+80・・・・・(6)
2L22/λ22+c2/(2π)=n2・・・・・(7)
λ2−80<λ22<λ2+80・・・・・(8)
2L32/λ32+b2/(2π)=p2・・・・・(29)
λ3−80<λ32<λ3+80・・・・・(30)
ただし、m2、n2、p2:整数
λ1、λ2、λ3、λ12、λ22、およびλ32の単位:nm
a2:赤色発光層131Rから出射された各波長の光が第2反射面S2Rで反射する際の位相変化
c2:青色発光層131Bから出射された各波長の光が第2反射面S2Bで反射する際の位相変化
b2:緑色発光層131Gから出射された各波長の光が第2反射面S2Gで反射する際の位相変化
【0041】
上記a2,c2,b2は、a1,c1,b1と同様の方法で求めることができる。
【0042】
m2、n2、p2の値が大きいといわゆるマイクロキャビティ(微小共振器)効果が得られないため、m2=1、n2=1、p2=1であることが好ましい。
【0043】
第2反射面S2Rに対向する第3反射面S3Rは、例えば、赤色有機層13Rと第2反射面S2Rとの間(第2反射面S2Rよりも発光中心ORに近い位置)に設けられている。第2反射面S2Bに対向する第3反射面S3Bは、例えば、青色有機層13Bと第2反射面S2Bとの間(第2反射面S2Bよりも発光中心OBに近い位置)に設けられている。第2反射面S2Gに対向する第3反射面S3Gは、例えば、緑色有機層13Gと第2反射面S2Gとの間(第2反射面S2Gよりも発光中心OGに近い位置)に設けられている。
【0044】
このような第3反射面S3R,S3B,S3Gは、互いに屈折率の異なる高屈折率層と低屈折率層との界面であり、例えば、赤色有機層13R,青色有機層13B,緑色有機層13G(低屈折率層)と第1透明層14R,14B,14G(高屈折率層)との界面である。例えば赤色有機層13R,青色有機層13B,緑色有機層13Gの屈折率は1.8であり、透明導電材料からなる第1透明層14R,14B,14Gの屈折率は2.0である。第3反射面S3Rは、発光中心ORから光学距離L13の位置に配置されている。第3反射面S3Bは、発光中心OBから光学距離L23の位置に配置されている。第3反射面S3Gは、発光中心OGから光学距離L33の位置に配置されている。
【0045】
本実施の形態では、これらの第3反射面S3R,S3B,S3Gが各々、第2反射面S2R,S2B,S2Gから(λ1)/4以内,(λ2)/4以内,(λ3)/4以内の距離の位置に配置されている。即ち、第3反射面S3R,S3B,S3Gが以下の式(31)〜(33)を満たす。式(31)〜(33)の(λ1)/4,(λ2)/4,(λ3)/4は、例えば50nm〜60nmである。(λ1)/4,(λ2)/4,(λ3)/4は、90nmよりも小さいことが好ましい。
【0046】
|L12−L13|≦(λ1)/4・・・・・(31)
|L22−L23|≦(λ2)/4・・・・・(32)
|L32−L33|≦(λ3)/4・・・・・(33)
λ1、λ2およびλ3の単位:nm
【0047】
これにより、赤色発光層131Rから出射される光(発光スペクトルの中心波長λ1の光)、青色発光層131Bから出射される光(発光スペクトルの中心波長λ2の光)および緑色発光層131Gから出射される光(発光スペクトルの中心波長λ3の光)の第3反射面S3R,S3B,S3Gでの反射が、同様の傾向を示す。第3反射面S3R,S3B,S3Gを第2反射面S2R,S2B,S2Gの近傍に配置することにより、距離による位相ずれの影響が小さくなるためである。第3反射面S3R,S3B,S3Gは、各々、第2反射面S2R,S2B,S2Gから(λ1)/8以内,(λ2)/8以内,(λ3)/8以内の距離の位置に配置されていることがより好ましい。
【0048】
光学距離L13,L23,L33は、例えば、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λ1の光,青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λ2の光,緑色発光層131Gの発光スペクトルの
中心波長λ3の光を、第3反射面S3R,S3B,S3Gと、発光中心OR,OB,OGとの間における干渉によって弱め合うように設定されている。
【0049】
具体的には、光学距離L13,L23,L33は、以下の式(9)〜(12),(34),(35)を満たすように構成されている。光学距離L13は例えば343nmであり、光学距離L23は例えば196nmであり、光学距離L33は例えば273nmである。
【0050】
2L13/λ13+a3/(2π)=m3+1/2・・・・・(9)
λ1−150<λ13<λ1+150・・・・・(10)
2L23/λ23+c3/(2π)=n3+1/2・・・・・(11)
λ2−150<λ23<λ2+150・・・・・(12)
2L33/λ33+b3/(2π)=p3+1/2・・・・・(34)
λ3−150<λ33<λ3+150・・・・・(35)
ただし、m3、n3、p3:整数
λ1、λ2、λ3、λ13、λ23およびλ33の単位:nm
a3:赤色発光層131Rから出射された各波長の光が第3反射面S3Rで反射する際の位相変化
c3:青色発光層131Bから出射された各波長の光が第3反射面S3Bで反射する際の位相変化
b3:緑色発光層131Gから出射された各波長の光が第3反射面S3Gで反射する際の位相変化
【0051】
上記a3,c3,b3は、a1,c1,b1と同様の方法で求めることができる。
【0052】
詳細は後述するが、このように発光装置1では、第3反射面S3R,S3B,S3Gにより、赤色発光層131R、緑色発光層131G,青色発光層131B各々から出射される光の共振が一様に弱められるので、視野角特性を向上させることが可能となる。
【0053】
図3は、積層構造(第1透明層14RA,14RB)の第1透明層14Rを有する赤色有機EL素子10Rの構成を表している。例えば、赤色有機層13R側から、第1透明層14RAおよび第1透明層14RBの順に配置されており、第1透明層14RAの屈折率と第1透明層14RBの屈折率とが異なっている。このような赤色有機EL素子10Rでは、第3反射面S3Rが、第1透明層14RAと第1透明層14RBとの界面であってもよい。図示は省略するが、青色有機EL素子10Bおよび緑色有機EL素子10Gの第3反射面S3B,S3Gが、同様に、各々積層構造を有する第1透明層14B,14Gの界面であってもよい。
【0054】
図4は、第2電極15Rと第2透明層16Rとの間に第1透明層14Rを有する赤色有機EL素子10Rの構成を表している。第3反射面S3Rは、例えば、第1透明層14Rと第2透明層16Rとの界面である。このように、第3反射面S3Rが、第2反射面S2Rを間にして赤色有機層13Rに対向する位置(第2反射面S2Rよりも発光中心ORから遠い位置)に配置されていてもよい。図示は省略するが、青色有機EL素子10Bおよび緑色有機EL素子10Gの第3反射面S3B,S3Gが、同様に、第2反射面S2B,S2Gを間にして青色有機層13B,緑色有機層13Gに対向する位置(第2反射面S2B,S2Gよりも発光中心OB,OGから遠い位置)に配置されていてもよい。
【0055】
このような発光装置1は、基板11上に、第1電極12、有機層(赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13B)、第1透明層14R,14G,14B、第2電極15R,15G,15Bおよび第2透明層16R,16G,16Bをこの順に形成することにより製造することができる。赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bは、蒸着法によって形成してもよく、あるいは印刷によって形成するようにしてもよい。換言すれば、赤色有機層13R,緑色有機層13G,青色有機層13Bは印刷層であってもよい。第1透明層14R,14G,14Bおよび第2透明層16R,16G,16Bはそれぞれ共通層であり、赤色有機EL素子10R、緑色有機EL素子10Gおよび青色有機EL素子10Bにおいて、それぞれ同一の構成材料および同一の厚みで形成されていてもよい。第2電極15R,15G,15Bが、赤色有機EL素子10R、緑色有機EL素子10Gおよび青色有機EL素子10Bに共通して設けられていてもよい。
【0056】
[作用、効果]
上記のような発光装置1では、赤色有機EL素子10R,緑色有機EL素子10G,青色有機EL素子10Bの各発光層(赤色発光層131R,緑色発光層131G,青色発光層131B)に第1電極12と第2電極15R,15G,15Bを通じて駆動電流が注入されると、各発光層において正孔と電子とが再結合して励起子を生じ、発光が起こる。
【0057】
図5に示したように、赤色有機EL素子10Rでは、赤色発光層131Rから出射された光が、第1反射面S1Rと第2反射面S2Rとの間で多重反射され、第2透明層16R側から取り出される。赤色有機EL素子10Rでは、赤色光LRが取り出される。同様に、緑色有機EL素子10Gでは、緑色光LGが取り出され、青色有機EL素子10Bでは、青色光LBが取り出される。これら赤色光LR,緑色光LGおよび青色光LBの加法混色により、様々な色が表現される。
【0058】
本実施の形態の発光装置1では、第2反射面S2R,S2B,S2Gの近傍に第3反射面S3R,S3B,S3Gが設けられているので、赤色発光層131R、青色発光層131Bおよび緑色発光層131Gから出射された光の第3反射面S3R,S3B,S3Gでの反射を一様に制御することができる。以下、これについて比較例を用いて説明する。
【0059】
図6は、比較例1に係る発光装置(発光装置100)に設けられた赤色有機EL素子(赤色有機EL素子100R)の構成を表している。この赤色有機EL素子100Rには、第1反射面S1Rおよび第2反射面S2Rが設けられている。赤色有機EL素子100Rは、第3反射面(
図2Aの第3反射面S3R)を有していない。発光装置100の緑色有機EL素子および青色有機EL素子は、赤色有機EL素子100Rと同様に、第3反射面を有していない。
【0060】
このような赤色有機EL素子100R等を有する発光装置では、例えば、所望の波長の光が共振するように、第1反射面S1Rと第2反射面S2Rの間の膜厚を設定し、これにより発光効率を高めることが考え得る(例えば特許文献1参照)。また、有機層(赤色有機層13R等)の膜厚を制御することにより、三原色(赤色、緑色、青色)の減衰のバランスをコントロールし、白色の色度点の視野角特性を高めることが考え得る(例えば特許文献2参照)。
【0061】
しかし、このような赤色有機EL素子100Rの共振器構造は、取り出される光のスペクトルに対して、半値幅の狭い干渉フィルタとして機能するので、光取出面を斜め方向から見た場合には、光の波長が大きくシフトする。このため、視野角によって発光強度の低下および色度ずれ等が生じ、視野角依存性が高くなってしまう。
【0062】
特に、第2反射面S2Rの反射率を上げると、視野角依存性がより高くなり、画品位が大きく低下する。例えば、第2電極15Rの厚みを大きくすると、第2反射面S2Rの反射率が上がる。一方、第2電極15Rは、第2反射面S2Rとしての光学的な機能とともに、カソードとしての電気的な機能を有している。このため、第2電極15Rの厚みを小さくすると、電気的な機能が十分に果たせないおそれがある。例えば、第2電極15Rは、赤色有機EL素子100Rが設けられた領域(素子領域)から、その周囲まで広い領域にわたって延在し、周囲の領域で接地電位GNDに接続されている。このような第2電極15Rでは、素子領域と周囲の領域との間で抵抗が変化しやすい。この第2電極15Rの抵抗の差に起因して、例えばクローストーク等が発生し、画品位が低下しやすくなる。
【0063】
第2電極15Rの電気的な機能を補う方法としては、例えば、第2電極15Rに透明導電膜を重ねる方法(裏打ち)および素子領域内に接地電位GNDとのコンタクト部分を設ける方法等が考え得る。第2電極15Rに透明導電膜を重ねる方法では、例えば1μm程度の厚みの透明導電膜が必要となる。この大きな厚みの透明導電膜を真空成膜装置で形成すると、生産性が低下するおそれがある。また、この方法では透明導電膜の大きな厚みに起因して、光取り出し効率が低下する。即ち、赤色有機EL素子100Rの消費電力が増大し、赤色有機EL素子100Rの寿命が短くなる。素子領域内に接地電位GNDとのコンタクト部分を設ける方法は、製造工程を考慮すると実現困難である。また、コンタクト部分によって、発光領域が狭まるので、赤色有機EL素子100Rの寿命が短くなりやすい。
【0064】
これに対して、発光装置1では、第2反射面S2R,S2B,S2Gの近傍に第3反射面S3R,S3B,S3Gを設けるようにしたので、第3反射面S3R,S3B,S3Gでは、赤色発光層131R、青色発光層131Bおよび緑色発光層131G各々から出射された光が、互いに同様の傾向で反射する。具体的には、赤色発光層131Rから出射される光、青色発光層131Bから出射される光および緑色発光層131Gから出射される光が、第3反射面S3R,S3B,S3Gと発光中心OR,OB,OGとの間における干渉によって弱められる。
【0065】
図7Aは、発光装置1の分光透過率を、発光装置100の分光透過率とともに表したものである。
図7Bは、
図7Aに示された各色の光のピークの透過率を1として規格化したものである。
図7A,
図7Bでは、発光装置1の分光透過率が破線で表され、発光装置100の分光透過率が実線で表されている。第3反射面S3R,S3B,S3Gを設けることにより、発光装置1では、発光装置100に比べて、赤色有機EL素子10R、青色有機EL素子10Bおよび緑色有機EL素子10Gの共振効果が一様に弱まっていることがわかる(
図7A)。また、発光装置1では、発光装置100に比べて赤色光LR、青色光LBおよび緑色光LGのスペクトルのピークの半値幅が大きくなっている(
図7B)。したがって、視野角に起因した輝度の変化および色度ずれの発生が抑えられる。
【0066】
このため、発光装置1では、第2電極15R,15B,15Gの厚みを大きくしても、発光装置100に比べて、視野角特性の大きな低下が抑えられる。つまり、第2電極15R,15B,15Gの電気的な機能が十分に維持されるので、高い画品位が維持される。また、消費電力の増大が抑えられ、寿命期間が維持される。
【0067】
このように、発光装置1では、第2反射面S2R,S2B,S2Gの近傍に第3反射面S3R,S3B,S3Gを設けるようにしたので、第3反射面S3R,S3B,S3Gでの光(赤色光LR、青色光LBおよび緑色光LG)の反射を広範囲の波長(例えば、波長λ1〜λ3)にわたって一様に制御することができる。例えば、第3反射面S3R,S3B,S3Gで赤色有機EL素子10R、青色有機EL素子10Bおよび緑色有機EL素子10Gの共振効果を一様に弱めることにより、第2電極15R,15B,15Gの厚みを十分に維持するとともに、視野角特性の低下を抑えることができる。
【0068】
以上のように、本実施の形態の発光装置1では、第2反射面S2R,S2B,S2Gの近傍に第3反射面S3R,S3B,S3Gを設けるようにしたので、広範囲の波長(例えば、波長λ1〜λ3)の光(赤色光LR、青色光LBおよび緑色光LG)の共振状態を制御することが可能となる。例えば、第3反射面S3R,S3B,S3Gで赤色有機EL素子10R、青色有機EL素子10Bおよび緑色有機EL素子10Gの共振効果を一様に弱めることができる。これにより、発光装置1では、第2電極15R,15B,15Gの厚みを十分に維持するとともに、視野角特性の低下を抑えることが可能となる。
【0069】
以下、本実施の形態の変形例および他の実施の形態について説明するが、以降の説明において上記実施の形態と同一構成部分については同一符号を付してその説明は適宜省略する。
【0070】
<変形例1>
発光装置1では、第3反射面S3R,S3B,S3Gで赤色有機EL素子10R、青色有機EL素子10Bおよび緑色有機EL素子10Gの共振効果を一様に強めるようにしてもよい。
【0071】
第3反射面S3R,S3B,S3Gは、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、互いに屈折率の異なる高屈折率層と低屈折率層との界面であり、例えば、有機層13R,13B,13G(高屈折率層)と、第1透明層14R,14B,14G(低屈折率層)との界面である(
図2A〜
図2C参照)。有機層13R,13B,13の屈折率は、例えば2.0であり、第1透明層14R,14B,14Gの屈折率は、例えば1.8である。第2反射面S2R,S2B,S2Gの近傍に第3反射面S3R,S3B,S3Gが配置されているとき、例えば、低屈折率層と高屈折率層との積層順を変えることにより、第3反射面S3R,S3B,S3Gでの共振効果を変化させることができる。
【0072】
このとき、光学距離L13,L23,L33(
図2A〜
図2C)は、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λ1の光,青色発光層131Bの発光スペクトルの中心波長λ2の光,緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λ3の光を、第3反射面S3R,S3B,S3Gと、発光中心OR,OB,OGとの間における干渉によって強め合うように設定されている。
【0073】
具体的には、光学距離L13,L23,L33は、以下の式(13)〜(16),(36),(37)を満たすように構成されている。
【0074】
2L13/λ13+a3/(2π)=m3・・・・・(13)
λ1−150<λ13<λ1+150・・・・・(14)
2L23/λ23+c3/(2π)=n3・・・・・(15)
λ2−150<λ23<λ2+150・・・・・(16)
2L33/λ33+b3/(2π)=p3・・・・・(36)
λ3−150<λ33<λ3+150・・・・・(37)
ただし、m3、n3、p3:整数
λ1、λ2、λ3、λ13、λ23およびλ33の単位:nm
a3:赤色発光層131Rから出射された各波長の光が第3反射面S3Rで反射する際の位相変化
c3:青色発光層131Bから出射された各波長の光が第3反射面S3Bで反射する際の位相変化
b3:緑色発光層131Gから出射された各波長の光が第3反射面S3Gで反射する際の位相変化
【0075】
上記a3,c3,b3は、a1,c1,b1と同様の方法で求めることができる。
【0076】
図8は、変形例1に係る発光装置1の分光透過率を、発光装置100の分光透過率とともに表したものである。
図8では、発光装置1の分光透過率が破線で表され、発光装置100の分光透過率が実線で表されている。第3反射面S3R,S3B,S3Gを設けることにより、発光装置1では、発光装置100に比べて、赤色有機EL素子10R、青色有機EL素子10Bおよび緑色有機EL素子10Gの共振効果が一様に強まっていることがわかる。
【0077】
このように変形例1に係る発光装置1では、第3反射面S3R,S3B,S3Gにより、赤色発光層131R、緑色発光層131G,青色発光層131B各々から出射される光の共振が一様に強められるので、光取り出し効率が向上する。したがって、消費電力が抑えられ、寿命期間を延ばすことが可能となる。
【0078】
<変形例2>
図9は、上記第1の実施の形態の変形例2に係る発光装置(発光装置1A)の断面構成を模式的に表したものである。この発光装置1Aに設けられた赤色有機EL素子(赤色有機EL素子10RA)は、基板11上に、第2透明層16R、第2電極15R、第1透明層14R、赤色有機層13Rおよび第1電極12をこの順に有している。換言すれば、赤色有機EL素子10RAには、基板11側から、第2反射面S2R、第3反射面S3Rおよび第1反射面S1Rがこの順に設けられている。発光装置1Aの緑色有機EL素子および青色有機EL素子も、赤色有機EL素子10RAと同様の構成を有している。即ち、発光装置1Aは、下面発光型の発光装置であり、基板11側から光を取り出すように構成されている。
【0079】
<第2の実施の形態>
図10は、第2の実施の形態に係る発光装置(発光装置5)の断面構成を模式的に表したものである。この発光装置5は、赤色有機EL素子(赤色有機EL素子50R)、緑色有機EL素子(緑色有機EL素子50G)および青色有機EL素子(青色有機EL素子50B)を有している。この赤色有機EL素子50R、緑色有機EL素子50Gおよび青色有機EL素子50Bは、第2透明層16R,16G,16B上に、第3透明層(第3透明層17R,17G,17B)および第4透明層(第4透明層18R,18G,18B)をこの順に有している。発光装置5では、第4透明層18R,18G,18B側から各色の光(赤色光LR,緑色光LG,青色光LB)が取り出される。この点を除き、発光装置5は上記第1の実施の形態の発光装置1と同様の構成を有し、その作用および効果も同様である。
【0080】
図11Aは赤色有機EL素子50R、
図11Bは青色有機EL素子50B、
図11Cは緑色有機EL素子50Gの共振器構造を各々表している。
【0081】
赤色有機EL素子50Rは、基板11側から、第1反射面S1R、第3反射面S3R、第2反射面S2R、第4反射面S4Rおよび第5反射面S5Rをこの順に有している(
図11A)。第3透明層17Rおよび第4透明層18Rは、第2反射面S2Rを間にして赤色有機層13Rに対向している。第3透明層17Rおよび第4透明層18Rは、第2反射面S2Rよりも、より発光中心ORから遠い位置に配置されている。
【0082】
青色有機EL素子50Bは、基板11側から、第1反射面S1B、第3反射面S3B、第2反射面S2B、第4反射面S4Bおよび第5反射面S5Bをこの順に有している(
図11B)。第3透明層17Bおよび第4透明層18Bは、第2反射面S2Bを間にして青色有機層13Bに対向している。第3透明層17Bおよび第4透明層18Bは、第2反射面S2Bよりも、より発光中心OBから遠い位置に配置されている。
【0083】
緑色有機EL素子50Gは、基板11側から、第1反射面S1G、第3反射面S3G、第2反射面S2G、第4反射面S4Gおよび第5反射面S5Gをこの順に有している(
図11C)。第3透明層17Gおよび第4透明層18Gは、第2反射面S2Gを間にして緑色有機層13Gに対向している。第3透明層17Gおよび第4透明層18Gは、第2反射面S2Gよりも、より発光中心OGから遠い位置に配置されている。
【0084】
赤色有機EL素子50R、青色有機EL素子50Bおよび緑色有機EL素子50Gは、上記第1の実施の形態で説明した第1反射面S1R,S1B,S1G〜第3反射面S3R,S3B,S3Gに加えて、第4反射面S4R,S4B,S4Gおよび第5反射面S5R,S5B,S5Gを有している。
【0085】
第4反射面S4Rは、第2反射面S2Rと第5反射面S5Rとの間に設けられ、例えば、第2透明層16Rと第3透明層17Rとの界面である。第4反射面S4Bは、第2反射面S2Bと第5反射面S5Bとの間に設けられ、例えば、第2透明層16Bと第3透明層17Bとの界面である。第4反射面S4Gは、第2反射面S2Gと第5反射面S5Gとの間に設けられ、例えば、第2透明層16Gと第3透明層17Gとの界面である。第4反射面S4R,S4B,S4Gは、第2透明層16R,16B,16Gの構成材料と第3透明層17R,17B,17Gの構成材料との屈折率差により形成されている。例えば、第2透明層16R,16B,16Gを構成する窒化シリコン(SiN)の屈折率は1.95であり、第3透明層17R,17B,17Gを構成する酸窒化シリコン(SiON)の屈折率は1.65である。第2透明層16R,16B,16Gは、屈折率2.0のIZOにより構成するようにしてもよい。
【0086】
第4反射面S4Rは、発光中心ORから光学距離L14の位置に配置されている。第4反射面S4Bは、発光中心OBから光学距離L24の位置に配置されている。第4反射面S4Gは、発光中心OGから光学距離L34の位置に配置されている。第4反射面S4R,S4B,S4Gは、第2反射面S2R,S2B,S2Gから光学距離で450nm以下の位置に配置されていることが好ましい。第2反射面S2R,S2B,S2Gと第4反射面S4R,S4B,S4Gとの距離が大きいと共振器構造による効果が得られないためである。
【0087】
第5反射面S5Rは、第4反射面S4Rを間にして第2反射面S2Rに対向している。この第5反射面S5Rは、例えば、第3透明層17Rと第4透明層18Rとの界面である。第5反射面S5Bは、第4反射面S4Bを間にして第2反射面S2Bに対向している。この第5反射面S5Bは、例えば、第3透明層17Bと第4透明層18Bとの界面である。第5反射面S5Gは、第4反射面S4Gを間にして第2反射面S2Gに対向している。この第5反射面S5Gは、例えば、第3透明層17Gと第4透明層18Gとの界面である。第5反射面S5R,S5B,S5Gは、第3透明層17R,17B,17Gの構成材料と第4透明層18R,18B,18Gの構成材料との屈折率差により形成されている。第3透明層17R,17B,17Gを構成する酸窒化シリコン(SiON)の屈折率は1.65であり、第4透明層18R,18B,18Gを構成する窒化シリコン(SiN)の屈折率は1.95である。
【0088】
第5反射面S5Rは、発光中心ORから光学距離L15の位置に配置されている。第5反射面S5Bは、発光中心OBから光学距離L25の位置に配置されている。第5反射面S5Gは、発光中心OGから光学距離L35の位置に配置されている。第5反射面S5R,S5B,S5Gは、第2反射面S2R,S2B,S2Gから光学距離で380nm以下の位置に配置されていることが好ましい。第2反射面S2R,S2B,S2Gと第5反射面S5R,S5B,S5Gとの距離が大きいと共振器構造による効果が得られないためである。
【0089】
第4反射面S4R,S4B,S4Gおよび第5反射面S5R,S5B,S5Gは、例えば厚み5nm以上の金属薄膜を積層させて形成するようにしてもよい。
【0090】
本実施の形態の発光装置5では、光学距離L14が、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λ1の光を、第4反射面S4Rと発光中心ORとの間における干渉によって弱め合うように設定されるとともに、光学距離L24,L34は、青色発光層131B,緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λ2,λ3の光を、第4反射面S4B,S4Gと発光中心OB,OGとの間における干渉によって強め合うように設定されている。
【0091】
また、光学距離L15が、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λ1の光を、第5反射面S5Rと発光中心ORとの間における干渉によって弱め合うように設定されるとともに、光学距離L25,L35は、青色発光層131B,緑色発光層131Gの発光スペクトルの中心波長λ2,λ3の光を、第5反射面S5B,S5Gと発光中心OB,OGとの間における干渉によって強め合うように設定されている。
【0092】
具体的には、光学距離L14,L24,L34,L15,L25,L35は、以下の式(17)〜(24),(38)〜(41)を満たすように構成されている。
【0093】
2L14/λ14+a4/(2π)=m4+1/2・・・・・(17)
2L15/λ15+a5/(2π)=m5+1/2・・・・・(18)
λ1−150<λ14<λ1+150・・・・・(19)
λ1−150<λ15<λ1+150・・・・・(20)
2L24/λ24+c4/(2π)=n4・・・・・(21)
2L25/λ25+c5/(2π)=n5・・・・・(22)
λ2−150<λ24<λ2+150・・・・・(23)
λ2−150<λ25<λ2+150・・・・・(24)
2L34/λ34+b4/(2π)=p4・・・・・(38)
2L35/λ35+b5/(2π)=p5・・・・・(39)
λ3−150<λ34<λ3+150・・・・・(40)
λ3−150<λ35<λ3+150・・・・・(41)
ただし、m4、m5、n4、n5、p4、p5:整数
λ1、λ2、λ3、λ14、λ15、λ24、λ25、λ34およびλ35の単位:nm
a4:赤色発光層131Rから出射された各波長の光が第4反射面S4Rで反射する際の位相変化
a5:赤色発光層131Rから出射された各波長の光が第5反射面S5Rで反射する際の位相変化
c4:青色発光層131Bから出射された各波長の光が第4反射面S4Bで反射する際の位相変化
c5:青色発光層131Bから出射された各波長の光が第5反射面S5Bで反射する際の位相変化
b4:緑色発光層131Gから出射された各波長の光が第4反射面S4Gで反射する際の位相変化
b5:緑色発光層131Gから出射された各波長の光が第5反射面S5Gで反射する際の位相変化
【0094】
上記a4,c4,b4,a5,c5,b5は、a1,c1,b1と同様の方法で求めることができる。
【0095】
このように発光装置5では、第4反射面S4R,S4B,S4Gおよび第5反射面S5R,S5B,S5Gでの反射条件を、赤色有機EL素子50Rと青色有機EL素子50B,緑色有機EL素子50Gとで異ならせることができるので、発光素子(赤色有機EL素子50R,青色有機EL素子50B,緑色有機EL素子50G)毎に、発光状態を調整することができる。詳細は後述するが、これにより、視野角特性を向上させることができる。
【0096】
図12に示したように、赤色有機EL素子50Rでは、赤色発光層131Rから出射された光は、第1反射面S1Rと第5反射面S5Rとの間で多重反射され、第4透明層18R側から赤色光LRが取り出される。青色有機EL素子50Bおよび緑色有機EL素子50Gでも、同様の多重反射により、青色光LB,緑色光LGが取り出される。
【0097】
上記のように、共振器構造を有する発光装置では角度依存性が大きくなりやすい。特に、各発光層から出射される光のスペクトルによって、屈折率の波長分散が生じる場合には角度依存性を改善することが困難となる。屈折率の波長分散では、構成材料の屈折率が各波長によって異なるため、赤色有機EL素子,緑色有機EL素子,青色有機EL素子間で、共振器構造の効果に差異が生じる。例えば、赤色有機EL素子では、取り出される赤色光のピークが急峻になり過ぎ、青色有機EL素子では、取り出される青色光のピークがなだらかになり過ぎる。このように、素子毎に共振器構造の効果が大きく異なると、輝度および色相の角度依存性が大きくなる。
【0098】
また、第2電極の厚みが大きくなると、素子間における共振器構造の効果の差がより大きくなりやすい。これは、第2電極の構成材料の屈折率および消衰係数が、第2電極の光学特性に大きな影響を及ぼしており、屈折率および消衰係数には波長依存性が存在するためである。
【0099】
本実施の形態の発光装置5では、赤色発光層131Rで発生した光に対して、第4反射面S4Rおよび第5反射面S5Rが及ぼす影響と、青色発光層131B,緑色発光層131Gで発生した光に対して第4反射面S4B,S4Gおよび第5反射面S5B,S5Gが及ぼす影響とが互いに異なっている。具体的には、赤色発光層131Rで発生した光および青色発光層131B,緑色発光層131Gで発生した光は以下のようになる。
【0100】
赤色発光層131Rで発生した光は、赤色発光層131Rの発光中心ORと第4反射面S4Rおよび第5反射面S5Rとの間における干渉によって弱められる。一方、青色発光層131B,緑色発光層131Gで発生した光は、青色発光層131B,緑色発光層131Gの発光中心OB,OGと第4反射面S4B,S4Gおよび第5反射面S5B,S5Gとの間における干渉によって強められる。
【0101】
これにより、赤色有機EL素子50Rでは、ピーク近傍がなだらかなスペクトルを有する赤色光LRが取り出され、青色有機EL素子50B,緑色有機EL素子50Gでは、急峻なピークのスペクトルを有する青色光LB,緑色光LGが取り出される。したがって、赤色有機EL素子50Rの共振器構造の効果と、青色有機EL素子50B,緑色有機EL素子50Gの共振器構造の効果との違いが小さくなり、輝度および色相の角度依存性が小さくなる。
【0102】
図13は、比較例1,2に係る発光装置100,500の視野角特性とともに、発光装置5の視野角特性を表したものである。
【0103】
図14に比較例2に係る発光装置500の模式的な断面構成を表す。
図14には、赤色有機EL素子の断面構成を示すが、青色有機EL素子および緑色有機EL素子も、これと同様の構成を有している。発光装置500は、第1電極12、有機層(赤色有機層13R)、第2電極(第2電極15R)、第3透明層(第3透明層17R)および第4透明層(第4透明層18R)をこの順に有している。発光装置500には、第1反射面(第1反射面S1R)、第2反射面(第2反射面S2R)、第4反射面(第4反射面S4R)および第5反射面(第5反射面S5R)がこの順に設けられている。即ち、発光装置500には、第3反射面(
図11Aの第3反射面S3R等)が設けられていない。
【0104】
図13では、発光装置100の視野角特性に比べて、発光装置5,500の視野角特性が大きく改善されていることが確認できる。発光装置500では、第2電極(第2電極15R)が、例えば厚み11nmの銀(Ag)により構成されている。この第2電極の厚みを例えば13nmにすると、視野角特性が悪化し、視野角60°でΔu’v’が0.010近くになる(図示せず)。一方、発光装置5では、第2電極15R,15B,15Gを厚み13nmの銀(Ag)により構成した場合にも、Δu’v’<0.005となる(
図13)。即ち、より厚い(厚み13nm)第2電極15R,15B,15Gを有する発光装置5でも、厚み11nmの第2電極を有する発光装置500と同程度の視野角特性が確保される。
【0105】
また、発光装置5は、有機層(赤色有機層13R,青色有機層13B,緑色有機層13G)が印刷層である場合に好適である。有機層は、乾燥工程を経ることなどによって、素子毎に厚みの大小が生じやすい。即ち、有機層に膜厚分布が生じやすい。発光装置5では、この膜厚分布に起因した、素子領域毎の共振器構造の効果の違いを調整することができる。
【0106】
以上のように、本実施の形態の発光装置5では、赤色有機EL素子50Rの第4反射面S4Rおよび第5反射面S5Rが、赤色発光層131Rで発生した光を弱め合うように設けられているのに対し、青色有機EL素子50B,緑色有機EL素子50Gの第4反射面S4B,S4Gおよび第5反射面S5B,S5Gが、青色発光層131B,緑色発光層131Gで発生した光を強めあうように設けられている。これにより、素子毎に、共振器構造の効果を調整することができるので、より視野角特性を向上させることが可能となる。また、第2電極15R,15B,15Gの厚み大きくしても、視野角特性の低下が抑えられる。
【0107】
<変形例3>
図15は、上記第2の実施の形態の変形例(変形例3)に係る赤色有機EL素子50Rの断面構成を模式的に表したものである。この赤色有機EL素子50Rは、第1反射面S1R〜第5反射面S5Rに加えて、第6反射面(第6反射面S6R)を有している。赤色有機EL素子50Rは、例えば、第2電極15Rと第2透明層16Rとの間に、第5透明層(第5透明層19R)を有している。
【0108】
第6反射面S6Rは、例えば、第2反射面S2Rと第4反射面S4Rとの間に設けられている。この第6反射面S6Rは、例えば第2電極15Rと第5透明層19Rとの界面であり、第2電極15Rの構成材料と第5透明層19Rの構成材料との屈折率差により形成されている。
【0109】
第6反射面S6Rは、第4反射面S4Rと第5反射面S5Rとの間に設けられていてもよい(図示せず)。あるいは、第6反射面S6Rは、第5反射面S5Rを間にして第4反射面S4Rと対向する位置に設けられていてもよい。このとき、第6反射面S6Rは、第2反射面S2Rから光学距離で1200nm以下の位置に配置されていることが好ましい。第6反射面S6Rは、複数設けられていてもよい。
【0110】
第6反射面S6Rでの反射は、赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λ1に対して弱め合うように構成されていてもよく、あるいは、強め合うように構成されていてもよい。複数の第6反射面S6Rがあるとき、その全てが赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λ1に対して弱め合うように構成されていてもよく、あるいは、強め合うように構成されていてもよい。複数の第6反射面S6Rがあるとき、一部が赤色発光層131Rの発光スペクトルの中心波長λ1に対して弱め合うように構成され、他の一部が強め合うように構成されていてもよい。
【0111】
緑色有機EL素子50Gおよび青色有機EL素子50Bに、第6反射面が設けられていてもよい。
【0112】
第6反射面S6Rを設けることにより、より共振器構造の効果を細かく調整することが可能となる。
【0113】
<適用例1>
上記実施の形態等において説明した発光装置1,1A,5は、例えば表示装置(後述の
図16の表示装置2)に適用することができる。視野角特性の高い発光装置1,1A,5を表示装置に適用することにより、輝度および色相の角度依存性が小さくなり、高画質を実現可能となる。
【0114】
図16は、発光装置1,1A,5が適用される表示装置(表示装置2)の模式的な断面構成を表したものである。表示装置2は、アクティブマトリクス型の表示装置であり、駆動基板71を有している。表示装置2は、この駆動基板71と対向する封止基板72を有し、駆動基板71と封止基板72との間に、赤色有機EL素子10R(または赤色有機EL素子50R),緑色有機EL素子10G(または緑色有機EL素子50G),青色有機EL素子10B(または青色有機EL素子50B)を有している。駆動基板71および封止基板72の外周部が封止剤73により封止されている。表示装置2では、例えば封止基板72側に画像が表示されるようになっている。表示装置2は、白黒表示であってもよく、カラー表示であってもよい。
【0115】
駆動基板71は、画素毎に駆動素子としての薄膜トランジスタを有している。駆動基板71は、薄膜トランジスタとともに、各薄膜トランジスタを駆動するための走査線、電流供給線およびデータ線を有している。各画素の薄膜トランジスタには表示画素毎に対応した表示信号が供給され、この表示信号に応じて画素が駆動され、画像が表示される。
【0116】
表示装置2には、
図17に示したように、カラーフィルタ層74を設けるようにしてもよい。カラーフィルタ層74は、例えば、
封止基板72の一方の面(駆動基板71との対向面)に設けられている。カラーフィルタ層74には、例えば赤色,緑色,青色の各色に対応したカラーフィルタが画素毎に設けられている。
【0117】
図18は、表示装置2の機能ブロック構成を表すものである。
【0118】
表示装置2は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、映像として表示するものであり、上述した有機ELディスプレイの他にも、例えば液晶ディスプレイなどにも適用される。表示装置2は、例えばタイミング制御部21と、信号処理部22と、駆動部23と、表示画素部24とを備えている。
【0119】
タイミング制御部21は、各種のタイミング信号(制御信号)を生成するタイミングジェネレータを有しており、これらの各種のタイミング信号を基に、信号処理部22等の駆動制御を行うものである。信号処理部22は、例えば、外部から入力されたデジタルの映像信号に対して所定の補正を行い、それにより得られた映像信号を駆動部23に出力するものである。駆動部23は、例えば走査線駆動回路および信号線駆動回路などを含んで構成され、各種制御線を介して表示画素部24の各画素を駆動するものである。表示画素部24は、有機EL素子(赤色有機EL素子10R,緑色有機EL素子10G,青色有機EL素子10B等)と、有機EL素子を画素毎に駆動するための画素回路とを含んで構成されている。これらのうち、例えば、駆動部23が駆動基板71により構成されている。
【0120】
(電子機器の例)
表示装置2は、様々なタイプの電子機器に用いることができる。
図19に、電子機器3の機能ブロック構成を示す。電子機器3としては、例えばテレビジョン装置、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレット型PC、携帯電話機、デジタルスチルカメラおよびデジタルビデオカメラ等が挙げられる。
【0121】
電子機器3は、例えば上述の表示装置2と、インターフェース部30とを有している。インターフェース部30は、外部から各種の信号および電源等が入力される入力部である。このインターフェース部30は、また、例えばタッチパネル、キーボードまたは操作ボタン等のユーザインターフェースを含んでいてもよい。
【0122】
<適用例2>
上記実施の形態等において説明した発光装置1,1A,5は、例えば照明装置(後述の
図20の照明部410)に適用することができる。発光装置1,1A,5は、卓上用もしくは床置き用の照明装置、または、室内用の照明装置など、あらゆる分野の照明装置の光源に適用することが可能である。
【0123】
図20は、発光装置1,1A,5が適用される室内用の照明装置の外観を表したものである。この照明装置は、例えば、有機EL素子(赤色有機EL素子10R,緑色有機EL素子10G,青色有機EL素子10B等)を含んで構成された照明部410を有している。照明部410は、建造物の天井420に適宜の個数および間隔で配置されている。なお、照明部410は、用途に応じて、天井420に限らず、壁430または床(図示せず)など任意の場所に設置することが可能である。
【0124】
これらの照明装置では、視野角特性の高い発光装置1,1A,5からの光により、照明が行われる。これにより、演色性に優れた照明を実現することができる。
【0125】
以上、実施の形態および適用例を挙げて説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態等で説明した数値、構造、形状、材料および作成方法等は、一例であり、これらと異なるものを用いるようにしてもよい。
【0126】
また、上記第2の実施の形態では、緑色有機EL素子50Gが、青色有機EL素子50Bと同様の共振器構造を有する場合について説明したが、緑色有機EL素子50Gは、赤色有機EL素子50Rと同様の共振器構造を有していてもよい。
【0127】
尚、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0128】
また、本開示は以下のような構成をとることも可能である。
(1)
第1反射面と、
前記第1反射面に対向する第2反射面と、
前記第1反射面と前記第2反射面との間に設けられ、波長λの光を出射する発光層と、
前記第2反射面に対向するとともに、前記第2反射面との距離がλ/4以内の位置に配置された第3反射面と
を備えた発光装置。
(2)
更に、異なる屈折率を有するとともに、互いに積層された低屈折率層および高屈折率層を有し、
前記第3反射面は、前記低屈折率層および前記高屈折率層の界面である
前記(1)に記載の発光装置。
(3)
前記発光層は、
第1発光層と、
前記第1発光層と異なる領域に設けられた第2発光層とを含み、
前記第1反射面と前記第1発光層の発光中心との光学距離をL11、前記第1反射面と前記第2発光層の発光中心との光学距離をL21、前記第2反射面と前記第1発光層の発光中心との光学距離をL12、前記第2反射面と前記第2発光層の発光中心との光学距離をL22、前記第1発光層の発光スペクトルの中心波長をλ1、前記第2発光層の発光スペクトルの中心波長をλ2としたとき、L11、L21、L12およびL22は以下の式(1)〜(8)を満たす
前記(1)または(2)に記載の発光装置。
2L11/λ11+a1/(2π)=m1(ただし、m1≧0)・・・・・(1)
λ1−150<λ11<λ1+80・・・・・(2)
2L21/λ21+c1/(2π)=n1(ただし、n1≧0)・・・・・(3)
λ2−150<λ21<λ2+80・・・・・(4)
2L12/λ12+a2/(2π)=m2・・・・・(5)
λ1−80<λ12<λ1+80・・・・・(6)
2L22/λ22+c2/(2π)=n2・・・・・(7)
λ2−80<λ22<λ2+80・・・・・(8)
ただし、m1、n1、m2、n2:整数
λ1、λ2、λ11、λ21、λ12およびλ22の単位:nm
a1:第1発光層から出射された各波長の光が第1反射面で反射する際の位相変化
c1:第2発光層から出射された各波長の光が第1反射面で反射する際の位相変化
a2:第1発光層から出射された各波長の光が第2反射面で反射する際の位相変化
c2:第2発光層から出射された各波長の光が第2反射面で反射する際の位相変化
(4)
前記第3反射面と前記第1発光層の発光中心との光学距離をL13、前記第3反射面と前記第2発光層の発光中心との光学距離をL23としたとき、L13およびL23は以下の式(9)〜(12)を満たす
前記(3)に記載の発光装置。
2L13/λ13+a3/(2π)=m3+1/2・・・・・(9)
λ1−150<λ13<λ1+150・・・・・(10)
2L23/λ23+c3/(2π)=n3+1/2・・・・・(11)
λ2−150<λ23<λ2+150・・・・・(12)
ただし、m3、n3:整数
λ1、λ2、λ13およびλ23の単位:nm
a3:第1発光層から出射された各波長の光が第3反射面で反射する際の位相変化
c3:第2発光層から出射された各波長の光が第3反射面で反射する際の位相変化
(5)
前記第3反射面と前記第1発光層の発光中心との光学距離をL13、前記第3反射面と前記第2発光層の発光中心との光学距離をL23としたとき、L13およびL23は以下の式(13)〜(16)を満たす
前記(3)に記載の発光装置。
2L13/λ13+a3/(2π)=m3・・・・・(13)
λ1−150<λ13<λ1+150・・・・・(14)
2L23/λ23+c3/(2π)=n3・・・・・(15)
λ2−150<λ23<λ2+150・・・・・(16)
ただし、m3、n3:整数
λ1、λ2、λ13およびλ23の単位:nm
a3:第1発光層から出射された各波長の光が第3反射面で反射する際の位相変化
c3:第2発光層から出射された各波長の光が第3反射面で反射する際の位相変化
(6)
更に、前記第1反射面と前記発光層との間に設けられた第1電極と、
前記発光層を間にして前記第1電極に対向する第2電極とを有する
前記(1)ないし(5)のうちいずれか1つに記載の発光装置。
(7)
更に、基板を含み、
前記基板に近い位置から順に、前記第1電極と、前記発光層と、前記第2電極とが設けられている
前記(6)に記載の発光装置。
(8)
更に、基板を含み、
前記基板に近い位置から順に、前記第2電極と、前記発光層と、前記第1電極とが設けられている
前記(6)に記載の発光装置。
(9)
更に、前記発光層を含む有機層を有する
前記(1)ないし(8)のうちいずれか1つに記載の発光装置。
(10)
前記発光層は印刷層である
前記(9)に記載の発光装置。
(11)
更に、前記有機層と前記第2反射面との間に設けられ、金属酸化物を含む高抵抗層を有し、
前記第3反射面は、前記有機層と前記高抵抗層との界面である
前記(9)または(10)に記載の発光装置。
(12)
更に、前記第2反射面を間にして前記発光層に対向する第4反射面と、
前記第4反射面を間にして前記第2反射面に対向する第5反射面とを有する
前記(3)ないし(5)のうちいずれか1つに記載の発光装置。
(13)
前記第4反射面と前記第1発光層の発光中心との光学距離をL14、前記第5反射面と前記第1発光層の発光中心との光学距離をL15としたとき、L14およびL15は以下の式(17)〜(20)を満たす
前記(12)に記載の発光装置。
2L14/λ14+a4/(2π)=m4+1/2・・・・・(17)
2L15/λ15+a5/(2π)=m5+1/2・・・・・(18)
λ1−150<λ14<λ1+150・・・・・(19)
λ1−150<λ15<λ1+150・・・・・(20)
ただし、m4、m5:整数
λ1、λ14およびλ15の単位:nm
a4:第1発光層から出射された各波長の光が第4反射面で反射する際の位相変化
a5:第1発光層から出射された各波長の光が第5反射面で反射する際の位相変化
(14)
前記第4反射面と前記第2発光層の発光中心との光学距離をL24、前記第5反射面と前記第2発光層の発光中心との光学距離をL25としたとき、L24およびL25は以下の式(21)〜(24)を満たす
前記(12)または(13)に記載の発光装置。
2L24/λ24+c4/(2π)=n4・・・・・(21)
2L25/λ25+c5/(2π)=n5・・・・・(22)
λ2−150<λ24<λ2+150・・・・・(23)
λ2−150<λ25<λ2+150・・・・・(24)
ただし、n4、n5:整数
λ2、λ24およびλ25の単位:nm
c4:第2発光層から出射された各波長の光が第4反射面で反射する際の位相変化
c5:第2発光層から出射された各波長の光が第5反射面で反射する際の位相変化
(15)
更に、前記第2反射面と前記第4反射面との間、前記第4反射面と前記第5反射面との間および、前記第5反射面を間にして前記第4反射面に対向する位置の少なくともいずれか1つに第6反射面を有する
前記(12)ないし(14)のうちいずれか1つに記載の発光装置。