(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843746
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】レーザ加工機のための加工ヘッドおよびレーザ加工機
(51)【国際特許分類】
B23K 26/064 20140101AFI20210308BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20210308BHJP
【FI】
B23K26/064 Z
B23K26/38 A
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-521191(P2017-521191)
(86)(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公表番号】特表2017-534463(P2017-534463A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】IB2015058071
(87)【国際公開番号】WO2016063215
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年10月15日
(31)【優先権主張番号】14189586.2
(32)【優先日】2014年10月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラタイ トーマス
【審査官】
奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−172082(JP,A)
【文献】
特開2012−237796(JP,A)
【文献】
特開昭61−077726(JP,A)
【文献】
特開昭60−203901(JP,A)
【文献】
特開2014−139997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源(3)とのインターフェースと、合焦光学系(11)と、を備える、レーザ加工機のための加工ヘッドであって、作用レーザビーム(6)の少なくとも単一の偏向のための偏向組立体(9,10)が、前記インターフェースと前記合焦光学系(11)との間に配置され、前記作用レーザビーム(6)の発散をパワーに応じて変更する受動光学要素の形態で設計され、
前記偏向組立体(9,10)が、本質的に一定の曲率を有する偏向鏡(9)からなり、
前記偏向組立体(9,10)の前記偏向鏡(9)が、前記作用レーザビーム(6)に面する基板の前側に複数の誘電体層が付着される前記基板によって形成され、前記誘電体層のシステムは、200から900nmの範囲内の波長の光、および、1300nmを上回る波長の光を透過させる伝送特性を有し、
誘電体層のシステムは、角度に応じて反射率が変化し、誘電体層のシステムは、作用レーザビーム(6)の入射角(A)が20°と70°の間の角度範囲にあり、発散角Δが2°と20°の間にある場合に、前記作用レーザビーム(6)を最大反射するように最適化されており、
前記レーザ光源(3)と前記偏向組立体(9,10)との間には、レンズが配されない、
ことを特徴とする加工ヘッド(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の加工ヘッドであって、平面偏向鏡(9)によって特徴づけられる加工ヘッド。
【請求項3】
請求項1に記載の加工ヘッドであって、前記偏向鏡(9)が、応力のないマウンティング(10)内に保持されることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の加工ヘッドであって、Δが、3°から7°の間にある、ことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の加工ヘッドであって、前記偏向組立体(9,10)の前記基板が、くさび形で実現されることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の加工ヘッドであって、応力補償平衡化コーティングが、前記基板の後側に付着され、前記平衡化コーティングは、前記基板の前側のコーティングと同じ特性を有するコーティング、前記前側のものと同一のコーティング、反射防止特性を有するコーティング、および純ガラスコーティングを含む群の少なくとも1つのコーティングであることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の加工ヘッドであって、硫化亜鉛レンズまたはサファイヤレンズのための前記基板が、好ましくは、シリカガラスからなり、シリカガラスレンズの前記基板が、好ましくはサファイヤからなることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の加工ヘッドであって、前記基板を通して伝送された、または前記基板内に反射されたビームを監視するためのデバイスが、提供されることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載の加工ヘッドであって、保護窓、および/または適用可能な場合、調整可能なダイアフラム(8)が、前記偏向組立体(9,10)の上流のビーム路(7)内に配置されることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の加工ヘッドであって、前記偏向組立体(9,10)が、プロセス光を通すことを特徴とする加工ヘッド。
【請求項11】
請求項10に記載の加工ヘッドであって、プロセス光監視装置(12)が、前記合焦光学系(11)の反対に位置する前記偏向組立体(9,10)側に配置されることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項12】
請求項11に記載の加工ヘッドであって、
別の光学システムが、前記偏向組立体(9,10)の前記偏向鏡と前記プロセス光監視装置(12)との間で使用されることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の加工ヘッドであって、ビーム成形光学要素が、前記合焦光学系(11)の下流または上流で使用されることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の加工ヘッドであって、前記合焦光学系(11)が、1つだけの撮像レンズを備えることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の加工ヘッド(1)によって特徴づけられるレーザ加工機。
【請求項16】
請求項15に記載のレーザ加工機であって、前記レーザ光源(3)が、光導波路(2)を用いることによって前記加工ヘッド(1)に連結されることを特徴とするレーザ加工機。
【請求項17】
請求項15または16に記載のレーザ加工機であって、前記加工ヘッド(1)が、ファイバ結合された、またはファイバベースのレーザ光源(3)に連結されることを特徴とするレーザ加工機。
【請求項18】
請求項15から17のいずれか1項に記載のレーザ加工機であって、前記レーザ光源(3)が、近赤外範囲内で作動し、500Wを超える平均出力パワーを有することを特徴とするレーザ加工機。
【請求項19】
請求項15から18のいずれか1項に記載のレーザ加工機であって、これが、レーザ切断機として実現され、前記加工ヘッド(1)が、レーザ切断ヘッドとして実現されることを特徴とするレーザ加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる、レーザ加工機、特にレーザ切断機のための加工ヘッド、ならびに請求項
18のプリアンブルによる、そのようなヘッドを備えたレーザ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなレーザ加工機が、たとえば金属加工に使用されるとき、これらは、高パワー範囲で作動され、この高パワー範囲は、たとえば欧州特許第0515983 A1号による医療レーザシステムが作動されるパワー範囲をかなり上回る。これらのレーザはそれぞれ、低いまたは中程度のパワー範囲内で作動し、光学要素の熱応力により500Wを超える出力パワーを有するレーザ源に生じる問題を克服する必要はない。
【0003】
レーザ加工機、特にレーザ切断機の重要な要素は、レーザビーム源、レーザビーム誘導、および切断ノズルを含む加工ヘッド(合焦光学系)である。レーザビーム源を退出したビームは、近赤外範囲で作動するレーザ(Nd:YAGレーザ、ファイバレーザ、ディスクレーザ、直接ダイオードレーザ)を使用するときは光導波路を用いることによって、またCO2レーザを使用するときは偏向鏡を用いることによって、加工地点にある合焦光学系まで誘導され得る。合焦光学系は、レーザビームを合焦し、それによって切断プロセスに必要とされる強度を生成する。
【0004】
CO2レーザを備えたシステムは、ほとんどが、固定式レーザビーム源、反射鏡、および加工ヘッド内の合焦光学系からなる。反射望遠鏡は、加工スペース全体に、わずかな発散または収束しか有さない事実上平行ビームを確保する。したがって、合焦光学系上のビーム直径は、同一であり、またはほぼ同一であり、結果として等価のF値および強度を焦点にもたらす。対応するレーザ加工ヘッドは、好ましくはこの平行ビームを、通常は可変の曲率を有する偏向鏡を用いることによって90°偏向させ、それにより、合焦光学系の下流の焦点の位置を変更することができる。米国特許第5493095A号によれば、カンチレバー式合焦光学系もまた、焦点位置を変更し、それによって平行レーザビームのわずかな発散または収束を補正することができる。
【0005】
共振器(レーザビーム源)と合焦光学系との間のビーム誘導は、適用可能な場合、水冷却式である偏向鏡を用いることによって実現される。偏向鏡は、金またはモリブデンでコーティングされ、単結晶シリコンまたは純銅からなる。対照的に、(Nd:YAGレーザ、ファイバレーザ、ディスクレーザ)約1μmの波長範囲のレーザ放射は、可撓性の光ファイバケーブルを用いることによって損失無く長い距離にわたって加工ヘッドまで誘導され得る。
【0006】
偏向鏡は、さまざまな目的のためにレーザ機において使用される。たとえば、独国特許第202004007511 U1号は、パワー測定の目的で、部分的に反射する偏向鏡を利用してレーザ放射の小さい部分を切り離すことを開示している。しかし、作用レーザビームは、見かけ上変化しない発散で偏向鏡を通り抜ける。切り離された小さい部分は、次いで、湾曲した偏向鏡を用いることによって検出器上に反射される。部分的に反射性の偏向鏡は、レーザ放射のほとんどを伝送するように最適化され、この目的のために反射防止コーティングを特徴として有する。
【0007】
他方、独国特許第102009047105 A1号は、レーザビームが発散しながらそこから退出するファイバ出口面を有する光ファイバを特徴として有する撮像光学系、ならびに反射性合焦光学系を開示している。開示された撮像光学系は、発散レーザビームの画像を焦点内に形成する。反射性合焦光学系は、単一の反射性合焦鏡要素からなり、その鏡表面は、ファイバ出口面の二地点間画像を焦点内に形成するように設計される。
【0008】
方向に依存しない切断品質を達成するために、直線偏光されたレーザビームは、位相シフト偏向鏡を用いることによってCO2レーザ共振器の下流で円形に偏光される。使用される偏向鏡は、多層コーティングを有し、その機能は、1/4波長板に対応する。切断ギャップ内のレーザ放射の偏光依存性吸収は、方向依存性の縁品質および切断効率をもたらす。近赤外範囲内のレーザ源のレーザ放射は、通常、経時的に少なくとも平均して無偏光である。
【0009】
近赤外レーザ源の加工ヘッド内の合焦光学系は、通常、シリカガラスからなり、一方でCO2レーザの合焦光学系は、単結晶セレン化亜鉛、または銅の軸外放物面鏡からなる。ビームは、合焦させる形でいわゆる切断ノズルを通り抜け、この場合前記切断ノズルは、通常、銅からなり、吹き出しガスまたはプロセスガスを加工点に向ける。
【0010】
しかし、結合されたレーザビームの高い平行度は、レーザ源とレーザ加工ヘッドとの間の光ファイバ内では、中心部と被覆部分との間の異なる反射角度によって解消され、それにより、光ファイバを退出した光は、通常、たとえばCO2レーザよりもかなり大きく発散する。この発散を低減するために、独国特許第4324848号は、光伝播方向と称される光ファイバの下流に光学システム(好ましくは平行レンズ)を提供することを提案しており、この場合前記光学システムは、光ファイバを退出する光ビームを平行化する。
【0011】
したがって、このような平行ビームは、発散または収束をわずかしか有さない。現代の加工ヘッドでは、鏡偏向は、通常、ビームが上記で説明した形で平行になるまで実現されない。わずかな角度偏差は、対応する偏向光学系の
誘電体コーティングの比較的簡単な設計を可能にする。
【0012】
発散ビームの偏向は、基本的により難しく、それにより、この方法は、従来では加工ヘッドに適用されていなかった。たとえば、極端な収差が伝送方向に作り出され、プロセスゾーンまたはノズル領域それぞれの十分な画像形成をかなり複雑にする。加えて、発散ビームによって引き起こされるより広い角度範囲が、鏡コーティングを設計する上で考慮される必要がある。
【0013】
独国実用新案第202012102794 U1号によれば、特に1μmレーザ放射用のファイバベースレーザのシステムにおいて測定されるビームは、たとえば、ファイバ先端部を退出するビームまたは加工光学系によって収束されたビームと同じように発散する。この独国実用新案では、さらに、発散ビームから部分的ビームを切り離すために、傾斜したコーティングされない平行板を使用することは、この平行板上の入射角度が光ビーム内で変動し、それにより、フルネル式による反射率は一定ではなく、ビームの偏光方向に依存するため、問題であると述べられている。この場合、この角度依存の低減は、小さい入射角度を両方の平行板上に維持することによって達成される。
【0014】
反射の角度依存の問題を回避するために、最初に、平行化対物レンズまたは少なくとも1つのレンズを用いることによって、部分的ビームが平行板の適切なコーティングを用いることによって偏向される前にビームを平行化することも考えられる。これに関連して、たとえば、独国特許第202004007511号は、特別な反射防止コーティングを説明しており、このコーティングは、残留反射率が小さい角度範囲にわたってできるだけ小さく変動し、両方の偏光方向の反射率が、それと同時にできるだけ等しくなるようにして実現されなければならないと説明している。この目的のために、いくつかの薄い
誘電体層が基板上に付着される。
【0015】
偏光のさまざまな状態における反射相違を低減するために、適切なコーティングを備えた部分的に反射する偏向鏡の境界表面を提供することが従来技術から知られている。たとえば、これらの境界表面には、特別な反射防止コーティングが設けられ、このコーティングは、残留反射率が小さい角度範囲にわたってできるだけ小さく変動し、両方の偏光方向の反射率が、それと同時にできるだけ等しくなるようにして実現されなければならない。いくつかの薄い
誘電体層が、この目的のために基板上に付着される必要がある。これは、たとえば独国特許第202004007511号において提案されている方法である。この公報に開示された偏向鏡のコーティングのための層システムは、6つの個々の層からなり、この層の厚さは、厳しく観察される必要がある。生産関連の公差がこの場合発生し、したがって、特に経年、湿度などによって薄い層の変化をもたらし得ることが悪い意味で知られている長期的状態下でも反射の所望の一貫性を確保することは非常に難しいことが、当業者にはまったく明白である。別の問題は、このコーティングが、板の両側に付着される必要があり、板の前側および後側によって反射された放射の部分が、互いに干渉する可能性があり、それによって測定された強度の変動をもたらし得るという点において見い出され得る。
【0016】
ファイバ誘導されたレーザのビームは、ファイバ出口点においてCO2レーザのビームよりさらに大きく発散する。したがって、最初に加工ヘッド内で発散ビームを平行化することが試みられている。その結果、偏向は、合焦光学系の上流の平行化されたビーム路内で実施される。
【0017】
ビームが、対物レンズまたはレンズを用いることによって最初に平行化される、または部分的ビームが切り離される前に別の形で投影される場合、他の問題が生じる。放射がレンズを通り抜けるとき、放射のごく小さい部分が、その材料によってレンズのコーティング内に吸収される。レーザ源のビームパワー(パワー依存性)および耐用年数(熱化時間)が増大するにつれて、光学システムの加熱もまた増大し、それにより、焦点位置の変化(いわゆる焦点シフト)および焦点外形の変化(いわゆる収差)が発生する。これらの効果は、熱レンズと称され、使用される材料およびそのコーティングに依存する。
【0018】
ファイバ誘導されたレーザのビームは、ファイバ出口点においてCO2レーザのビームよりさらに多く発散する。したがって、最初に加工ヘッド内で発散作用ビームを平行化することが試みられている。その結果、偏向は、平行レンズの下流および合焦光学系の上流で実施される。独国特許第102010011253 A1号の
図1は、レーザ加工ヘッド、特にレーザ加工機またはレーザ加工システムにおいて使用されるタイプのレーザ加工ヘッドの極めて概略的な図を示す。この場合、レーザ加工機から到達する作用レーザビームは、偏向組立体を用いることによってレーザ加工ヘッドのハウジングを通って工作物上に投影される。
【0019】
対応するレーザ加工ヘッドは、好ましくは、この平行化されたレーザビームを、通常は可変の曲率を有する偏向鏡を用いることによって90°偏向させ、それにより、合焦光学系の下流の焦点の位置を変更することができる。
【0020】
ビームスプリッタが、レーザ加工ヘッドのハウジング内の作用レーザビームのための通過領域内に配置され、それにより、カメラの(光学軸を備えて示された)監視ビーム路が、作用レーザビームのビーム路から切り離される。合焦光学系および光学バンドパスフィルタが、カメラの上流の監視ビーム路内に配置される。独国特許第102010011253 A1号の
図1に示された例示的な実施形態では、カメラの監視ビーム路は、ビームスプリッタを用いることによって工作物の作用領域に向けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
偏向デバイスはまた、通常、加工ヘッドの寸法および重量を増大させる、対応して作り込まれたデバイスを用いることによって冷却される必要がある。現代の加工ヘッドでは、伝送されたレーザ放射または散乱放射に露出される偏向デバイスの部分を冷却することが好ましい。しかし、冷却デバイスはまた、光学システムの温度制御にも使用され得る。本発明は、したがって、上記で説明した知られている構造の欠点を解消し、特に、ファイバ誘導される、またはファイバベースのレーザ源に対する調整または光学系位置決め努力を最小限にしてコンパクトな設計を実現するという目的に基づく。これは、必要とされる場合、少しだけのレンズを備えた、したがって収差がわずかしかない簡単な光学システムを用いることによって達成され得る。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的は、独立請求項1の特徴および独立請求項
18の特徴によって達成される。有利な改良は、図および従属請求項において開示される。
【0023】
本発明によれば、レーザ加工機のための加工ヘッドには、レーザ光源とのインターフェースと、合焦光学系とが設けられ、前記インターフェースは、好ましくは、作用レーザビームのための光導波路を結合するように設計される。この文脈では、近赤外範囲で作動する、ファイバ結合される
、またはファイバベースのレーザ源を使用することが好ましい。本発明は、特に、500Wを超える平均出力パワーを有する近赤外範囲内のレーザ源を対象とする。レーザ光を通すすべての光学システム(特に合焦光学系および潜在的なガラスガード)は、好ましくは、十分な伝熱性(>10W/(m*K))を有する材料から作製される。冷却システム(たとえば水冷却システム)は、好ましくは、十分な伝熱性を有する光学材料に使用される
。
【0024】
本発明によれば、そのような加工ヘッドは、作用レーザビームの少なくとも単一偏向のための偏向組立体が、インターフェースと合焦光学系との間に配置され、パワーに応じて作用レーザビームの発散を変更する受動光学要素の形態で設計されることを特徴とする。パワー依存性は、頻繁に、ただし限定的ではないが、光学要素の局所的加熱によって特に引き起こされる温度誘発効果の形で現れる。しかし、直接的には温度依存性ではない効果も、この場合発生する。
【0025】
たとえば、熱レンズは、パワー依存性であるが、直接的には温度依存性ではない。放射によって透過されるレンズは、したがって、加熱され、熱レンズを作り出す温度勾配を局所的にのみ生成し得る。しかし、熱レンズを作り出す機構も存在する。すべての機構は、主にパワー依存性である。たとえば、材料の選定により、変形形態も生じる。たとえば、材料がサファイヤに変更された場合、パワー依存性熱レンズもまた変化する。サファイヤおよび硫化亜鉛などの材料は、十分な伝熱性を有し、好ましくは冷却されなければならない。シリカガラスは、生成される熱が放射方向にほとんど送られないため、冷却を必要としない。
【0026】
その結果、インターフェースと偏向組立体との間のビーム路は、作用レーザビームの発散を変更する光学要素、すなわち具体的には、意図的にまたは目的に合わせて規定された形で発散に影響を与えるように設計された要素がない状態にされる。しかし、光学要素は、作用レーザビームの発散に非意図的および/またはランダムに不確かな程度で影響を与える可能性がある。たとえば、ガラスガードは、熱効果によって発散に影響を与え得るが、この副作用は、本発明では考慮されない。
【0027】
500Wを超える高いレーザ出力パワーにおいて、十分な伝熱性を有する光学材料の冷却された合焦光学系と、その上流の発散ビーム内に配置された偏向鏡との組み合わせにより、この光学システムがこれらの出力パワーにおいて、数秒内の最少の焦点シフトを伴って安定した熱状態に到達し、したがって高いプロセス信頼性を確保するという利点がもたらされる。
【0028】
高パワー範囲内の本発明の用途の偏向鏡の熱応力により、この偏向鏡上での発散の変化は、特に、パワー依存式に起こり、したがって通常は、温度依存の形でもある。このようにして、合焦光学系によって引き起こされた焦点シフトは、パワー範囲全体にわたって部分的に、さらに理想的には完全に補償され得る。
【0029】
本発明によれば、加工ヘッドのための非常にコンパクトな設計が、それによって達成可能であり、この場合、カメラベースのプロセス光画像およびプロセス光制御もまた、単一レンズシステムを用いることによって簡単な対策で実現され得る。発散ビーム内の偏向により、開発された加工ヘッドは、数個のレンズ、またはさらには1個だけのレンズに基づいて構築することができ、それにより、必要とされる構造的スペースは、大きく低減される。加工ヘッドの小さい構造サイズおよび関連する重量低減は、ますます高まる機械の動的要求事項を満たすために特に必要とされる。偏向デバイスの下流のコンパクトで軽量の単一レンズ設計のオプションもまた、本発明の加工ヘッドによって高い力学性を達成するために特に有利である。発散ビーム内の偏向はまた、加工ヘッドのすべての機能的範囲、たとえば撮像拡大の調整、プロセス光制御、カメラベースのプロセス光監視、ビーム成形などを実現することも可能にする。
【0030】
偏向組立体は、好ましくは、本質的に一定の曲率を有する偏向鏡、好ましくは平面偏向鏡からなる。この偏向鏡は、好ましくは、
応力のない形で支持内に装着され、特に
支持表面上にミラーを装着するために複数点締結装置または接着剤を用いることによって応力のない形で支持
内に装着される。このようにして、基板は、応力のない形で容易に装着することができるが、この場合基板の拡張または変形もまた、可能である。
【0031】
そのような解決策のために、偏向組立体の偏向鏡が、作用レーザビームに面する基板の前側に複数の
誘電体層が付着される基板によって形成される場合、特に有利である。この場合、
誘電体層システムは、作用レーザビームの入射角度周りで2°から20°の間の角度範囲内で最大反射するように最適化され、この場合作用レーザビームの任意の部分の入射角度は、1°から89°の間にある。好ましい角度範囲は、3°から7°の間である。
【0032】
応力補償平衡化コーティングが、好ましくは、基板の十分な寸法安定性を確保するために基板の後側に付着される。この平衡化コーティングは、基板の前側のコーティングと同じ特性を有することができ、好ましくは、前側のコーティングと同一であることができ、それによって直接的な漏出放射の大きな低減を達成する。しかし、最適なプロセス光およびノズル監視を可能にする反射防止特性を有するコーティング、またはそのように必要とされる場合、純ガラスコーティングを付着することも考えられる。引用したコーティングの任意の組み合わせもまた、可能である。
【0033】
本発明によれば、通常これもまた冷却される、硫化亜鉛レンズまたはサファイヤレンズのための偏向鏡の基板は、シリカガラスからなる。発散に対する同じようなパワー依存性の影響により、レーザビームのための合焦光学系および偏向鏡に適合されるそのような材料選択は、偏向組立体を用いることによって、熱関連効果、特に合焦光学系の焦点シフトを補償する、または少なくとも大きく低減することを可能にする。
【0034】
本発明の別の実施形態は、基板を通して伝送された、または基板内に反射されたビームを監視するためのデバイスを特徴とする。その結果、プロセス監視/制御、それと同時にレーザまたは逆反射監視もまた、この実施形態では最少のスペース要件で実現され得る。
【0035】
保護窓、および/または適用可能な場合ダイアフラムが、好ましくは、偏向組立体の上流のビーム路内に配置され得る。これらの構成要素は、個々に、または組み合わせて、インターフェースの一部を形成することができ、またはこのインターフェースの下流のビーム路内に配置され得る。インターフェースと偏向組立体の正面との間の保護窓は、光学系領域のための汚れ保護として作用する。端面キャップと偏向組立体との間のダイアフラムは、より高い角度比を有する直接レーザ光の調光を可能にする。
【0036】
作用レーザビームの監視を可能にするために、本発明の別の実施形態は、偏向組立体がプロセス光を通過させることを特徴とする。これは、特に、好ましくは200から900nmの間の範囲内の十分な伝送特性を有する
誘電体層システムを使用することによって達成される。1300nmを上回る伝送特性もまた、特に有利である。このようにして、加工ヘッドのコンパクトな設計が達成され得る。それによって、簡単かつ効果的なカメラベースのプロセス監視/制御もまた、特に単一レンズシステムが使用される場合に実現され得る。
【0037】
本発明の別の任意選択の特徴によれば、偏向組立体の基板は、くさび形で実現される。このようにして、偏向組立体を通り、たとえばプロセス光カメラに至る発散プロセス光の伝送中の収差が、低減される。この場合、くさび角度は、0°から5°、好ましくは0°から3°の間の範囲内にある。
【0038】
本発明の別の実施形態によれば、プロセス光監視装置が、合焦光学系の反対に位置する偏向組立体の側に配置される。
【0039】
このタイプのシステムでは、別の光学システム、好ましくは可変焦点距離を有するシステムが、有利には、偏向組立体とプロセス監視/制御装置との間で使用され、それにより、プロセスゾーンの種々の平面の画像形成が、合焦光学系のすべての潜在的位置に対して確保される。
【0040】
それぞれの加工プロセスに合わせて作用レーザビームを最適に成形するビーム成形光学要素が、追加的に、合焦光学系の下流または上流で使用され得る。
さらに、本発明では、好ましくは1つだけの撮像レンズ、特に非球面レンズである合焦光学系を用いる。
【0041】
それぞれの加工プロセスに合わせて作用レーザビームを最適に成形するビーム成形光学要素が、追加的に、合焦光学系の下流または上流で使用され得る。
【0042】
上記で定義した目的はまた、先行段落の1つによる加工ヘッドが使用される、レーザ加工機、特にレーザ切断機を用いることによって達成される。このレーザ機が、ファイバレーザまたはダイオードレーザが使用されるレーザ光源を特徴として有することが、特に好ましい。
【0043】
このレーザ加工機では、レーザ光源は、好ましくは、光導波路を用いることによって加工ヘッドに連結される。
【0044】
本発明の他の利点、特徴、および詳細が、図を参照して本発明の例示的な実施形態の以下の説明から収集され得る。この文脈では、特許請求の範囲および本説明において開示される特性は、個々にまたは任意の組み合わせで本発明にそれぞれ必須になり得る。
【0045】
特許請求の範囲および図の技術的内容と同様に、参照記号のリストもまた本開示の一部を形成する。図は、明確にわかりやすく説明される。同一の構成要素は、同じ参照記号によって特定され、この場合異なる指数を有する参照記号は、機能的に同一または類似の構成要素を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】レーザ加工ヘッドを備えた本発明のレーザ加工機の例示的な実施形態の概略図であり、偏向は、合焦光学系の上流の発散ビーム路内で実現される。
【
図2】レーザ反射および発散された発光、ならびに漏出放射およびプロセス光の方向の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1に示すレーザ加工機は、たとえば光ファイバケーブル2を用いることによってレーザ光源3に連結されるレーザ加工ヘッド1を特徴として有する。この目的のために、光ファイバケーブル2のコネクタ4は、その端面キャップ5によってレーザ加工ヘッド1に結合され、コネクタ4および端面キャップ5は、加工ヘッド1のインターフェースに連結され、少なくとも一時的にその上に固定され得る。インターフェースは、好ましくは、コネクタ4の片割れの形態で実現され、その中に光ファイバケーブル2の端面キャップ5を挿入すると共に、光ファイバケーブル2をこれに少なくとも一時的に結合させるように設計される。レーザ光源3は、好ましくは、ファイバレーザまたはダイオードレーザを利用するが、他のタイプのレーザが使用されてもよい。本発明の好ましい用途は、レーザ切断ヘッドを備えたレーザ切断機であり、ここでは作用レーザビーム6の偏向は、発散ビーム路7内で起こり、これは以下により詳細に説明される。この場合、作用レーザビーム6は、端面キャップ5を通って光ファイバケーブル2のファイバを退出し、好ましくは、適用可能な場合作用レーザビーム6の偏向の下流に配置されてもよいビームダイアフラム8を用いて「クリーンにされる(cleaned)」。大きな出現角度を有するビーム部分は、消される。適用可能な場合ビーム伝播方向のわずかな変化を結果としてもたらす、たとえばガラスガードなどの他の光学システムが、端面キャップ5と作用レーザビーム6の偏向との間で使用されてもよい。
【0048】
図1に示す例示的な実施形態によれば、本発明のレーザ加工ヘッド1は、コネクタ4および端面キャップ5とのインターフェースの下流に光学システムを特徴として有し、前記システムは、インターフェースを退出する際の値と称される、作用レーザビーム6の少なくとも1つの偏向に合わせて設計される。この目的のために、インターフェースの下流の光学システムは、少なくとも、作用レーザビーム6のための第1の偏向組立体9,10を備え、インターフェースと、またはコネクタ4および端面キャップ5と、偏向組立体9,10との間のビーム路は、作用レーザビーム6の発散を変化させる光学要素を有さないままにされる。本発明によれば、作用レーザビーム6のための偏向組立体9,10は、作用レーザビーム6の発散を変化させる光学システムの形態で一緒に設計される。高パワー範囲内の本発明の用途では、偏向組立体9,10における発散のこの変化は、その熱応力のみによって引き起こされ、したがって特に、パワー依存の形で起こる。低い出力パワーでは、これは、発散維持要素として設計される。
【0049】
偏向組立体9,10の最も重要な要素は、好ましくは応力のないマウンティング10内に保持される本質的に平面の偏向鏡9である。これは、支持表面または類似の構造上の複数点締結装置または接着連結を用いることによって実現され得る。偏向組立体9,10の偏向鏡9は、好ましくは、作用レーザビーム6に面する基板の前側に複数の
誘電体層が付着される、基板によって形成される。この
誘電体層システムは、作用レーザビーム6の入射角度周りで2°から20°の間、好ましくは3°から7°の間の角度範囲内で最大反射するように最適化される。この場合、作用レーザビーム6のいかなる領域も、通常、1°から89°の間の入射角度を有する。角度範囲は、好ましくは、20°から70°の間にある。
【0050】
実際の偏向は、偏向鏡9がその前側に施された
誘電体層システム上で起こる。層システムは、幅広い角度範囲を含むために複数の
誘電体層からなる。作用レーザビーム6の中央軸が入射角度AOI=45°を有する場合、
誘電体層は、発散作用レーザビーム6の最も外側の領域も偏向させるために、AOI=45°±2°から±20°の角度範囲を含むことができなければならない。層システムは、レーザ光の角度範囲全体にわたって最大反射するように最適化される。
【0051】
端面キャップ5、端面キャップ5と偏向組立体9,10との間の任意のガラスガード、および偏向鏡9それ自体は通常、発散をわずかだけ、ほぼ同じ程度の大きさで変化させる。これらはパワー依存の熱効果であり、それにより、前記発散に対する影響は、パワーが増大するにつれて強くなる。光学要素は、材料に応じて発散の低減または増大を引き起こすことができる。高い出力パワー、したがって特に偏向鏡9の基板を有意に加熱するとき、作用レーザビーム6の発散は、通常、偏向鏡9においてわずかに増大され、この場合、これは下流の光学構成要素、特に合焦光学系の焦点シフトに対抗する。
【0052】
全体的に複雑な層システムは、変形をもたらす偏向鏡9の基板内に応力を引き起こし得る。高いパワー範囲では、追加の熱効果が、光学構成要素上に作用する。特にレーザによって照明された
誘電体層システムは、温度上昇し、偏向鏡9の基板のわずかな変形を引き起こし得、それにより、熱レンズが作り出される。基板の装着が均一な変形を可能にする場合、それぞれの撮像レンズまたは撮像レンズの通常発生する熱レンズの補償または部分的補償が、それによって達成され得る。熱効果に加えて、散乱光効果もまた、有利には、基板のマウンティングに考慮される。これは、偏向鏡9の基板が、好ましくはできるだけ応力のない形で、また基板も拡張または変形することができるように装着される理由である。これは、好ましくは、支持表面上の前述の複数点締結装置または偏向鏡9の適切な接着連結を用いることによって達成される。
【0053】
偏向鏡9の基板の変形に対抗するために、応力補償平衡化コーティングが、上記で説明したマウンティングに加えて、またはその代替策として、基板の後側に付着され得る。前側の反射層システムは、好ましくは、この目的のために使用され得る。しかし、層システムはまた、異なって実現されてもよく、たとえば、反射防止特性を有してよい。純ガラスコーティングも同様に、応力補償平衡化コーティング層として考えられてよい。
【0054】
偏向鏡9の基板は、シリカガラス、サファイヤなどの種々の光学材料からなることができる。基板はまた、任意の幾何学的形状(たとえば、角のある、円形または楕円形)を有することもできる。マウンティング10は、光の吸収ができるだけ少ない材料(たとえば黄銅)からなる。
【0055】
本発明のシステムが主にそれに合わせて設計される500Wを超える平均出力パワーでは、偏向鏡がそれぞれ応力または加熱にかけられる場合、いずれの場合も偏向鏡9の非常に速い形状変化効果が、達成される。この形状変化および偏向組立体9,10の発散変化特性の関連する変動は、特に合焦光学系が単一レンズの形態で実現される場合、合焦光学系11の発散変化特性の変動を少なくとも部分的に補償する。偏向組立体9,10の発散影響効果は、好ましくは、レーザ源の出力パワー、したがって使用される光学要素の比較的短い熱化時間に依存する。このようにして、偏向組立体9,10は、出力パワーに伴ってこれもまた変化する、発散に対する合焦光学系11の影響を補償することができる。
【0056】
撮像光学システムは、偏向組立体9,10の下流に配置され、好ましくはレンズ11からなる。このレンズは、シリカガラス、Zns、サファイヤなどの種々の光学的に透明な材料から作製され得る。そのように要求される場合、少なくとも1つのビーム成形光学要素が、それぞれの加工プロセスに合わせて作用レーザビーム6を最適に成形するために合焦光学系11の下流または上流で使用される。
【0057】
焦点シフトの補償または低減は、いずれの場合も、特に加工ヘッド内で1つだけの合焦レンズ、好ましくは非球面レンズを用いて、偏向組立体9,10のパワー依存性発散変化特性を意図して利用することによって達成され得る。この目的のために、合焦光学系11および偏向鏡9の材料は、互いに適合される必要がある。
【0058】
SiO
2偏向鏡は、好ましくは、硫化亜鉛またはサファイヤの合焦光学系11に使用され、それにより、ZnSレンズの焦点シフトは、偏向鏡9の反対に向けられるシフトによって低減される。代替的には、類似の効果が、サファイヤレンズおよびSiO
2偏向鏡の組み合わせによって達成され得る。
【0059】
図2は、作用レーザビーム6の反射、散乱された発光、および偏向鏡9の基板のゆがみの概略図を示す。散乱光は、最大出力パワーにおいて偏向組立体9,10に特に影響を与える。しかし、同じ反射コーティングが基板の両側に使用される場合、ビーム偏向鏡9の下流の漏出放射14は、(約0.0001%まで)大きく低減される。このようにして、漏出放射14の伝送における要素が、保護される。散乱光15(約0.1%)は、主に、基板9の横方向表面から発せられる。
【0060】
作用レーザビーム6の伝播方向の反対側に延びる方向に、プロセスゾーンからのプロセス光は、撮像光学系11によって偏向組立体9,10上に投影されて戻され、これは、この方向に可能な限り良好に伝送されたレーザ光と対照をなす。この目的のために、
誘電体層システムは、200から900nmの間の範囲、好ましくはさらに1300nmを上回る十分な伝送特性によって規定される。この場合、発散プロセス光の伝送は、通常、プロセス光の伝播方向と称される偏向組立体9,10の下流に配置されたカメラ装置12上に投影される。この結果、光学的誤差(コマ誤差および球面収差)が生じ、この光学的誤差は、好ましくは、偏向鏡9の基板、したがってコーティングを含む偏向鏡全体9のわずかにくさび形状の設計によって低減され得る。この場合、くさび角度は、0°から5°の間、好ましくは0°から3°の間にある。
【0061】
可変の焦点距離を有する光学システムが、好ましくは、プロセス光カメラ12と偏向鏡9との間に配置される。単一レンズシステムでは、プロセスゾーンの画像は、それによって、くさび形状の偏向鏡9の効果と連動してカメラ12のCCDチップ上に常に投影される。この場合、電気的に調整可能な焦点距離(「電気的に調節可能なレンズ」)を有する現代のレンズを使用することが好ましく、それによって特に軽量でコンパクトな装置を実現することを可能にする。
【0062】
有利には、基板を通して伝送される、または基板内で反射されるビームを監視するためのデバイスもまた提供される。
【0063】
まとめると、特に提案された単一レンズの解決策を有し、発散ビーム内の偏向を有する本発明の加工ヘッドは、以下の利点を提供する。
・コンパクトな構造形状
・重量削減、したがってより高い機械力学性
・光学要素の低減によりコスト効率の良い生産
・調整および位置決め努力の低減
・収差の低減
・非常に高いパワー能力
・最高のプロセス信頼性
【符号の説明】
【0064】
1 加工ヘッド、2 光ファイバケーブル、3 レーザ源、4 光ファイバケーブルのコネクタ、5 光ファイバケーブルの端面キャップ、6 作用レーザビーム、7 発散ビーム路、8 ビームダイアフラム、9 偏向鏡、10 偏向鏡マウンティング、11 合焦光学系、12 プロセス光カメラ、13 プロセス光、14 漏出放射、15 散乱光。