【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、電気加熱式エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル形成基体のサシェが提供される。サシェは、サシェの中のエアロゾル形成基体と、第一の導電性部分および第二の導電性部分を備える電気ヒーター要素と、を備える。電気ヒーター要素はサシェの中にあり、かつエアロゾル形成基体と直接接触し、また第一の導電性部分および第二の導電性部分は電気ヒーター要素を外部電源と接続するように構成される。
【0007】
本発明の第二の態様によると、電気加熱式エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル形成基体のサシェが提供される。サシェは、容器と、容器の中のエアロゾル形成基体と、第一の導電性部分および第二の導電性部分を備える電気ヒーター要素と、を備える。電気的加熱手段は容器の中にあり、かつエアロゾル形成基体と直接接触し、また第一の導電性部分および第二の導電性部分はヒーター要素を外部電源と接続するように構成される。
【0008】
有利なことに、エアロゾル形成基体および一体型のヒーターを備える、消耗品であるサシェを提供することは、ばらつきを減少させるとともに発生するエアロゾルの質を上昇させ、また使い捨てのヒーターを提供し、したがってこれは掃除を必要としない。こうしたサシェは、より耐久性があり、かつ保守をあまり必要としない、サシェを使用するエアロゾル発生装置も可能にする。
【0009】
追加的に、一体型の電気ヒーター要素を提供することによって、ヒーター要素とエアロゾル形成基体との間の最大距離を減少させる場合があり、それゆえサシェを使用する装置の効率が増加する場合がある。エアロゾル形成基体のより効率的な加熱は、同一の量のエアロゾルを生成するために提供される基体をより少なくすることができるようにする。
【0010】
第一の導電性部分および第二の導電性部分は、接点部分であり、かつサシェまたは容器の外部であることが好ましい。接点部分をサシェまたは容器の外部に提供することによって、ヒーター要素と外部電源との間の電気的接続がより簡単になる場合がある。接点部分は、サシェまたは容器の第一の端部および第二の端部に提供されることが好ましく、エアロゾル形成基体は、第一の接点部分と第二の接点部分との間の位置に提供されることが好ましい。
【0011】
第一の導電性部分および第二の導電性部分は、実質的にサシェの幅全体を横切って延びるような長さであってもよい。導電性接点部分は、幅が約0.5mm〜約3mmであってもよく、約0.5mm〜約2mmであることが好ましい。
【0012】
電気ヒーター要素は、第一の導電性接点部分および第二の導電性接点部分へと接続される複数の導電性フィラメントを含むことが好ましい。導電性フィラメントの電気抵抗は、導電性接点部分の電気抵抗よりも少なくとも2桁大きい場合がある。これにより、ヒーター要素を通して電流を通過させることによって発生した熱は確実に導電性フィラメントに局在化される。システムの電源が電池である場合、ヒーター要素に対する全体抵抗が低いことは有利である。電気接点とフィラメントとの間の寄生損失を最小化することも、寄生電力損失を最小化するために望ましい。低抵抗で大電流のシステムにより、ヒーター要素に高電力を供給できる。これにより、ヒーター要素が導電性フィラメントを素早く望ましい温度に加熱できる。
【0013】
複数の導電性フィラメントは、フィラメントのメッシュもしくはアレイを形成してもよく、または織布もしくは不織布を含んでもよい。ヒーター要素の導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、約0.3〜約4オームであることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、約1オーム〜約3オームであることがより好ましい。
【0014】
フィラメントの直径は、約10μm〜約50μmであってもよく、約15μm〜約30μmであることが好ましい。
【0015】
フィラメントのメッシュまたはアレイの長さは約3mm〜約10mmであり、幅は約2mm〜約8mmである。一実施例では、フィラメントのメッシュまたはアレイの長さは約5mmであり、また幅は約3mmである。この実施例では、メッシュまたはアレイは、大体35本のフィラメントを持つ。導電性接点部分を形成する材料の電気抵抗は、約10×10
-3Ωm〜約20×10
-3Ωmであってもよい。
【0016】
導電性フィラメントは、発熱体を形成するための第一の密度のフィラメント、および導電性接点部分を形成するための第二の密度のフィラメントを提供されてもよく、第二の密度は第一の密度より大きい。密度は数密度であることが好ましい。フィラメントの密度を増加することによって、接点部分の有効な断面積が増加する。分かる通り、導体の抵抗は導体の断面積に反比例する。
【0017】
フィラメントの第一の密度は、ヒーターメッシュが約100USメッシュ(1インチ当たり約100フィラメント)〜約400USメッシュ(1インチ当たり約400フィラメント)のメッシュサイズを持つようであってもよい。ヒーターメッシュは、約100USメッシュ(1インチ当たり約100フィラメント)〜約200USメッシュ(1インチ当たり約400フィラメント)のメッシュサイズを持ってもよい。
【0018】
導電性フィラメントは、炭素繊維であることが好ましい。導電性フィラメントは、ステンレス鋼などの金属などの、任意の他の適切な材料であってもよい。
【0019】
ヒーター要素は、第一の材料から作製された少なくとも1つのフィラメントと、第一の材料とは異なる第二の材料から作製された少なくとも1つのフィラメントとを備えてもよい。これは、電気的なまたは機械的な理由から有益である場合がある。例えば、フィラメントのうちの1つ以上は、鉄アルミニウム合金など、温度に伴い著しく変動する抵抗を持つ材料から形成されていてもよい。これにより、温度または温度変化を決定するために使用されるフィラメントの抵抗の測定ができる。これを、ヒーター温度を所望の温度範囲内に保つように制御するために使用することができる。
【0020】
サシェは、少なくとも2つの電気ヒーター要素を備え、第一の電気ヒーター要素はエアロゾル形成基体の第一の側に配置され、また第二の電気ヒーター要素はエアロゾル形成基体の第二の側に配置されてもよい。有利なことに、サシェの中に2つのヒーター要素を提供することは、エアロゾル形成基体と熱源との間の最大距離をさらに低減することによって、効率をなおさらに増加する場合がある。
【0021】
サシェまたは容器は、中空管であってもよい。中空管は、可撓性のフォイル材料から形成されてもよい。エアロゾル形成基体およびヒーター要素は、中空管の中に提供される。中空管はシールされたサシェを形成するように各々の端部においてシールされる。中空管はヒートシールされてもよく、または接着剤を用いてシールされてもよい。導電性接点部分がサシェまたは容器の外部に提供される場合、ヒーター要素はシールされた端部を通して延びる場合があり、接点部分はサシェまたは容器の外部のヒーター要素に結合される。
【0022】
サシェまたは容器を形成する材料は、実質的に気体不透過性であってもよい。サシェまたは容器は箔材料から形成されてもよい。箔材料は可撓性であることが好ましい。箔材料は耐熱ポリマーであることが好ましい。材料は摂氏約250度まで耐熱であることが好ましく、または摂氏約265度まで耐熱であることがより好ましい。耐熱ポリマーは6,6ナイロン(ポリ(ヘキサメチレンアジパミド))であってもよい。有利なことに、サシェまたは容器を実質的に気体不透過性の材料から形成することは、サシェの貯蔵寿命を改善する場合がある。
【0023】
別の方法として、サシェまたは容器を形成する材料は、浸透性があってもよい。サシェはメッシュから形成されてもよい。メッシュは、発生したエアロゾルに対して多孔性であることが好ましく、エアロゾルは凝縮を伴いながらサシェから放出されることができる。メッシュは、材料を編むことなどの適切な任意のプロセスによって、または歯付きのローラーもしくはそれに類するものを使用して切断してから、歯付きのローラーの軸に直角に力をかけて材料を広げることで、形成されてもよい。
【0024】
浸透性のサシェは、燃焼することなく、または望ましくない風味をエアロゾルへと付与することなく、使用中に高温に耐える能力のある任意の適切な材料から形成されてもよい。特に、サシェの形成には、天然繊維であるサイザル麻およびラミーが特にふさわしい。別の方法として、サシェはセラミック繊維または金属から形成されてもよい。
【0025】
サシェを形成するために使用される材料は、約50マイクロメートル〜約300マイクロメートルの厚さであってもよい。サシェを形成するために使用される材料の繊維サイズは、約10マイクロメートル〜約30マイクロメートルであってもよい。
サシェまたはサシェ容器は任意の適切な形状およびサイズであってもよい。一部の実施形態では、サシェまたは容器の断面形状は、第一の方向では、楕円形、円形、四角形、正方形、および三角形のうちの1つである。断面形状は、第一の方向と直角をなす第二の方向では、四角形、三角形、円形、および楕円形のうちの1つであってもよい。
【0026】
本明細書に使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を加熱に応じて放出することができる基体を記述するために使用される。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出される。本発明によるエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えてもまたは見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粒は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の液滴を含んでもよい。
【0027】
エアロゾル形成基体は固体でも液体でもよく、固体および液体の両方の成分を含んでもよい。好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体は固体である。
【0028】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチンを含有するエアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよいが、たばこ含有材料は揮発性のたばこ風味化合物を含むことが好ましく、これが加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。
【0029】
エアロゾル形成基体はたばこと、エアロゾル形成体とを含んでもよい。たばこは、パイプたばこ、カットフィラー、再構成たばこ、および均質化したたばこのうちの1つ以上であってもよい。
【0030】
エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料と、エアロゾル形成体と、水とを含むことが好ましい。均質化したたばこ材料を提供することで、エアロゾル発生、ニコチン含有量および風味プロフィールが改善される。これは、均質化したたばこを作るプロセスにたばこ葉を粉砕するプロセスが関与しているためであり、これにより、加熱によってより効果的なニコチンおよび風味の放出が可能になる。
【0031】
均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。存在する場合、均質化したたばこ材料のエアロゾル形成体含有量は、乾燥重量基準で5%以上であり、乾燥質量基準で5重量%より高く30重量%までの間であることが好ましい。
【0032】
別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0033】
エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を促進し、エアロゾル発生装置の使用温度で熱分解に対して実質的に耐性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物であってもよい。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。特に好ましいエアロゾル形成体は多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールなど)であり、そしてグリセリンが最も好ましい。
【0034】
エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0035】
エアロゾル形成基体はニコチンおよび少なくとも1つのエアロゾル形成体を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態では、エアロゾル形成体はグリセリンである。
【0036】
本発明の第三の態様によると、電気的に動作するエアロゾル発生装置が提供される。この装置は、電源と、電子制御回路と、本明細書に説明するように、本発明の第一の態様または第二の態様の実施形態のうちのいずれかによるエアロゾル形成基体のサシェを受けるように構成されるくぼみと、サシェをくぼみの中に保持するためのサシェリテーナーと、くぼみと隣接して配置され、かつサシェの電気ヒーター要素の導電性部分を電源へと電気的に接続することができるように構成される電気接点と、を備える。サシェリテーナーは、電気ヒーター要素と電気接点との間の電気的接触を維持するように構成される。
【0037】
サシェリテーナーは、有利なことに、ユーザーがサシェを簡単に挿入できるように、ただし確実に機械的かつ電気的にしっかりと装置に結合する。
【0038】
電気的に動作するエアロゾル発生装置は、サシェがくぼみの中に受けられる時、エアロゾル形成基体のサシェを貫通するように構成される少なくとも1つの貫通要素をさらに備えてもよい。電気的に動作するエアロゾル発生装置は、少なくとも1つの貫通要素の第一の組および少なくとも1つの貫通要素の第二の組をさらに備えてもよく、サシェを通る気流経路を形成するように、第一の組はサシェの第一の側を貫通するように構成され、かつ第二の組はサシェの第二の側を貫通するように構成される。このようにして、サシェがヒーター要素によって加熱された時に発生したエアロゾルは、気流がサシェを通過する間にその中に混入する。
【0039】
提供される場合、貫通要素およびサシェを通して気流経路が形成されるように、このまたは各々の貫通要素は中空であってもよい。別の方法として、貫通要素は、貫通部分とシャフト部分とを備えてもよく、貫通部分は、シャフト部分の断面積より大きい断面積を持つ。サシェがくぼみの中に受けられ、かつこれまたは各々の貫通要素によって貫通される時、貫通部分はサシェの中へと延びるように構成される。このようにして、シャフト部分の周りに、そしてサシェを通して、気流経路が形成される。
【0040】
くぼみに隣接して配置される電気接点は細長くてもよい。細長い接点は、サシェの導電性接点部分の全長に実質的に沿って延びるように構成されることが好ましい。細長い接点と導電性接点部分との間の接触面積を増加することは、有利なことに、接続における抵抗を低減することによって寄生電力損失を低減する。
【0041】
別の方法として、サシェの導電性部分が、サシェまたはサシェ容器の外部でない場合、くぼみに隣接して配置される電気接点は1つ以上の貫通要素を備えてもよい。貫通要素は、サシェがくぼみの中に受けられる時、サシェの中の導電性部分と接触するためにサシェを貫通してもよい。ヒーター要素の導電性部分はヒーターフィラメントであってもよく、またこの場合には、くぼみに隣接して配置される電気接点は、フィラメントの残りの部分の電気抵抗より電気抵抗が著しくより低くなるように、フィラメントに電気的に接触するように構成される。電気抵抗は、電気接点に隣接する領域での加熱が確実に最小限になるように、少なくとも1桁低いことが好ましい。電気抵抗は、少なくとも2桁低いことがより好ましい。
【0042】
くぼみは、装置の外側ハウジングの内部のくぼみの中にあることが好ましい。くぼみは、サシェ全体を、または別の方法としてサシェの一部分のみを受けるために適切なサイズおよび形状を持っていてもよい。くぼみ開口部の断面サイズおよび形状は、サシェの断面サイズおよび形状と実質的に同一であることが好ましい。
【0043】
サシェリテーナーは、サシェをくぼみの中へと挿入することができる第一の位置とサシェがくぼみの中に保持される第二の位置との間で移動可能なリッドを備えてもよい。リッドは装置の本体へヒンジ留めされていてもよい。ヒンジ留めされているリッドは、リッドの第一の端部においてヒンジ留めされていてもよく、リッドの第二の端部はマウスピースを備えていてもよい。リッドは少なくとも1つの貫通要素を備えていてもよい。このようにして、提供される場合、貫通要素がより簡単に(すなわちより少ない力で)サシェを貫通することができるように、これまたは各々に機械的利点が提供される場合がある。リッドは、磁石(ネオジミウム磁石など)または取り外し可能な留め金などの任意の適切な手段によって第二の位置に保持されてもよい。
【0044】
別の方法として、リッドは装置上で摺動可能に係合されてもよい。またさらに別の方法では、リッドはねじ山を備えてもよく、また装置の本体は、リッドを装置の上に、ひいてはサシェをくぼみの中に保持するように、リッドを本体の上へとねじ込むことができるように対応するねじ山を備えてもよい。
【0045】
リッドは、サシェを包囲するくぼみを形成するために、サシェを受け取るためのくぼみと組み合わせるように構成されたくぼみを備えてもよい。
【0046】
エアロゾル発生装置は、少なくとも1つの空気吸込み口、少なくとも1つの空気出口、および少なくとも1つの空気吸込み口と少なくとも1つの空気出口との間に延びる気流経路を備えることが好ましい。
【0047】
電源は電池であってもよく、また充放電の数多くのサイクルのために構成された再充電可能電池であってもよい。電池は、例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池といったリチウム系の電池でもよい。別の方法として、電池はニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池でもよい。電池容量は、再充電が必要となる前にユーザーによる複数回の使用が許容されるよう選択されることが好ましい。電池の容量は、再充電が必要となる前にユーザーが最低20回使用するのに十分であることが好ましい。
【0048】
エアロゾル発生装置は制御回路を備える。制御回路は、電力を電源から少なくとも1つのサシェのヒーターに供給するように構成されることが好ましい。制御回路は、少なくとも1つのヒーターの温度を約100℃〜350℃の使用温度に維持するようにさらに構成されていることが好ましく、使用温度を180℃〜約260℃とすることがより好ましく、約220℃〜約240℃とすることが最も好ましい。エアロゾル形成基体は、少なくとも1つのヒーターとサシェ材料またはサシェ容器材料との間の断熱材として作用してもよい。このようにして、サシェ材料またはサシェ容器材料の温度は、約265℃未満に維持されることが好ましく、約200℃未満に維持されることがより好ましく、また約150℃未満に維持されることがなおより好ましい。
【0049】
制御回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向けICチップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を持つその他の電子回路であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。
【0050】
エアロゾル発生装置は、制御回路と通信する吸煙検出器を備えてもよい。吸煙検出器は、ユーザーがいつエアロゾル発生装置のマウスピースを吸ったかを検出するように構成されていることが好ましい。制御電子回路は、吸煙検出器からの入力に基づき、少なくとも1つの発熱体への電力を制御するようにさらに構成されていることが好ましい。
【0051】
電力はシステムの起動後、ヒーター要素に連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなどのように断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーター要素に供給されてもよい。
【0052】
エアロゾル発生装置は、電気ヒーターに供給される電力を起動するためのユーザー起動式のスイッチを備えることが好ましい。
【0053】
装置は、少なくとも1つの空気吸込み口から少なくとも1つの空気出口へくぼみを通して気流経路が形成されるように、少なくとも1つの空気吸込み口、および少なくとも1つの空気出口を備えることが好ましい。少なくとも1つのくぼみの壁は多孔性であってもよく、または空気吸込み口を備えてもよい。
【0054】
エアロゾル発生装置は、マウスピースを備えることが好ましい。
【0055】
装置はさらに、くぼみ内のサシェの存在を検出し、サシェをこのシステムを使用ように構成された他のサシェと区別する機能を持つ検出器を備えてもよい。検出器は、サシェがくぼみ内で検出されない限り電力が供給されないように、電気ヒーターへの電力を制御するために使用されてもよい。別の方法として、または追加的に、検出器は、適切な加熱プロトコルを使用できるように、くぼみ内のサシェのタイプに関する情報をコントローラに提供するよう構成されてもよい。
【0056】
加熱手順は、電気ヒーターのための最高使用温度、吸煙1回当たりの最長加熱時間、吸煙間の最短時間、サシェ1つ当たりの最高吸煙数、およびサシェについての最長合計加熱時間のうち、1つ以上を含んでもよい。特定のサシェの中のエアロゾル形成基体は、特定の加熱条件を要求する場合があり、または特定の加熱条件により改善された喫煙の体験が提供される場合があるため、特定のサシェに合わせた加熱手順を確立することが有利である。電子回路はプログラム可能であってもよく、その場合、種々の加熱手順が保存されてもよく、かつこれらは更新されてもよい。
【0057】
エアロゾル形成基体のサシェは、サシェ材料内に組み込まれた識別可能な分光学的特徴を持つタガントと、サシェの上に印刷された識別情報と、のうちの少なくとも1つを備えてもよい。検出器は、タガントに基づき、または印刷された識別情報に基づき、サシェを区別するよう構成されることが好ましい。
【0058】
一実施形態では、検出器は少なくとも1つの発光体および少なくとも1つの光センサーを含む光学センサーを備える、分光学的検出器であることが好ましい。発光体は、赤外線波長の光、または紫外線波長の光を発するよう構成されていることが好ましい。光センサーは、赤外線波長の光、または紫外線波長の光を検出するよう構成されていることが好ましい。
【0059】
タガントは、吸収について識別可能な分光学的特徴を備えてもよい。タガントがエアロゾル発生装置の光源により照らされる時、タガントは特定の波長、または波長の組を吸収し、したがってその後で光センサーによって受信される光の波長が、エアロゾル発生装置が不在の波長に基づきタガントを判断できるようにする。
【0060】
タガントの物理的および化学的な構造は、吸収される光の波長が要求に応じて設定されるように制御できる。好ましい一実施形態では、吸収される光の波長は可視スペクトル内ではない。吸収される波長は、赤外線または紫外線の範囲であることが好ましい。
【0061】
吸収における識別可能な分光学的特徴を含むタガントに加えて、またはその代わりに、タガントは発光における識別可能な分光学的特徴を備えてもよい。タガントがエアロゾル発生装置の光源によって照らされる時、光はタガントを励起し、励起光の波長からずれた少なくとも1つの波長の光を発することが好ましい。分かる通り、これはフォトルミネッセンスの形態であり、またリン光、または蛍光でもよい。タガントの物理的および化学的な構造を制御することにより、分光学的特徴を制御できる。一部の実施形態では、識別可能な特徴は、励起に関連した発光の時間応答、または励起後の発光の減衰速度に依存する場合がある。
【0062】
好ましい一実施形態では、放射光の波長は可視スペクトル内ではない。放射光の波長は赤外線または紫外線の範囲であることが好ましい。
【0063】
別の実施形態では、検出器は、少なくとも1つの発光体および少なくとも1つの光センサーを含む光学センサーを備える。この実施形態では、検出器は1つの発光体および1つの光センサーを備えてもよい。別の方法として、検出器は、一次元(例えば、線形)の光センサーのアレイの形態をとる2つ以上の光センサーを備えてもよい。さらに、検出器は、二次元の光センサーのアレイの形態をとる2つ以上の光センサーを備えてもよい。
【0064】
サシェ上に印刷される識別情報は、サシェタイプ、エアロゾル形成基体タイプ、製造日、製造場所、バッチ番号、およびその他の製造の詳細、および有効期限のうちの1つ以上を備えてもよい。
【0065】
識別情報は、サシェ上に種々の形態で印刷されてもよい。印刷には、可視インク、紫外線(UV)インク、赤外線(IR)インク、リン光性インク、蛍光インク、および金属インクなど、種々のインクを使用してもよい。
【0066】
本発明のさらなる態様によると、電気的に動作するエアロゾル発生システムが提供される。このシステムは、本明細書で説明されるような本発明の第三の態様による電気的に動作するエアロゾル発生装置、および本明細書で説明されるような本発明の第一の態様または第二の態様によるエアロゾル形成基体のサシェを備える。このシステムは電気的に作動する喫煙システムであってもよい。このシステムは手持ち式エアロゾル発生システムであってもよい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。喫煙システムの合計長さは、およそ30mm〜およそ150mmであってもよい。喫煙システムの外径は、およそ5mm〜およそ30mmであってもよい。
【0067】
本発明のなおさらなる態様によると、本発明の第一の態様または第二の態様により本明細書に説明されるようなエアロゾル形成基体のサシェの製造方法が提供される。この方法は、導電性材料のウェブを供給することと、エアロゾル形成基体のペレットをウェブの上へと規則正しい間隔で供給することと、組み合わせられた材料のウェブおよびペレットを材料の管の中へと供給することと、材料の管を規則正しい間隔でシールすることと、を含み、エアロゾル形成基体のペレットはシールの間に配置され、シールされたエアロゾル形成基体のサシェを形成し、導電性材料のウェブは各々のサシェの中に電気ヒーター要素を形成する。
【0068】
この方法は、個別のシールされたエアロゾル形成基体のサシェを形成するように、シールする場所において管を切断することをさらに含むことが好ましい。
【0069】
別の方法として、この方法は、個別のエアロゾル形成基体のサシェを取り外すことができるように、シールする場所に虚弱線を提供することをさらに含んでもよい。虚弱線は、管の幅を横切って延びる穿孔の線であってもよい。この方法は、虚弱線で連結された、2つの、3つの、4つの、5つの、6つの、7つの、8つの、またはそれ以上のサシェなどの複数のサシェを持つサシェの群を形成するように、一連のサシェを切断することをさらに含んでもよい。
【0070】
この方法は、導電性材料のウェブに、規則正しい間隔で導電性接点部分を形成するように材料を適用することをさらに含んでもよい。導電性材料は、ウェブの横方向に適用することが好ましい。別の方法として、導電性材料は、ウェブの縦方向に沿って、実質的に連続的に適用されてもよい。なおさらなる実施形態では、方法は、導電性接点部分を規則正しい間隔で形成するために、導電性材料のステープルをサシェの各々のシールされた端部に隣接して適用することをさらに含んでもよい。
【0071】
本明細書に使用される場合、「縦方向」という用語は、材料のウェブがプロセスラインに沿って移動する方向を指す。「横方向」という用語は、縦方向と直交する方向を指す。
【0072】
導電性材料は、少なくとも導電性フィラメントを縦方向に持つメッシュから形成されてもよく、かつ電気接点部分が、横方向に提供される導電性フィラメントから形成され、導電性フィラメントは第一の密度のフィラメントを持つ電気接点を形成し、また導電性フィラメントは、第二の密度のフィラメントを持つメッシュを形成し、第一の密度が第二の密度より大きい。密度は、数密度であることが好ましい。
【0073】
エアロゾル形成基体ペレットは、押圧すること、またはスラリー沈着を使用する沈着によってウェブの上へと供給されてもよい。
【0074】
本発明の1つの態様のいずれの特徴も、任意の適切な組み合わせにおいて本発明のその他の態様にも適用されうる。特に、方法の態様は装置の態様に適用でき、その逆もまた可である。さらにまた、1つの態様における任意の一部および/またはすべての特徴は、任意の適切な組み合わせにおいて、任意のその他の態様の任意の一部および/またはすべての特徴に適用されてもよい。
【0075】
当然ながら、本発明の任意の態様において説明および定義された種々の特徴の特定の組み合わせを独立して実施および/または供給および/または使用できる。
【0076】
本開示は、本明細書において添付図面を参照しながら説明されるものと実質的に同じ方法および装置にも拡大される。
【0077】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。