特許第6843761号(P6843761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6843761自動内視鏡洗浄装置用のプロセスチャレンジデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843761
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】自動内視鏡洗浄装置用のプロセスチャレンジデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20210308BHJP
   A61L 2/28 20060101ALI20210308BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20210308BHJP
   A61B 1/12 20060101ALI20210308BHJP
   A61L 101/32 20060101ALN20210308BHJP
【FI】
   A61B1/00 650
   A61L2/28
   A61L2/18
   A61B1/12 510
   A61L101:32
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-552025(P2017-552025)
(86)(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公表番号】特表2018-516105(P2018-516105A)
(43)【公表日】2018年6月21日
(86)【国際出願番号】US2016025970
(87)【国際公開番号】WO2016164329
(87)【国際公開日】20161013
【審査請求日】2019年4月1日
(31)【優先権主張番号】62/145,323
(32)【優先日】2015年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(72)【発明者】
【氏名】ジー.マルコ ボンマリト
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05872004(US,A)
【文献】 特開2005−168530(JP,A)
【文献】 特開2005−204826(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0012688(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102512698(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0054412(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/122852(WO,A1)
【文献】 特表2012−504431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
A61L 2/00−2/28
A61L 11/00−12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)液体入口及び液体出口であって、前記流体入口と前記流体出口とがチャネルによって接続され、前記チャネルが内視鏡の幾何学的形状を模した曲がりくねった経路として設計されている、前記液体入口及び液体出口と、
(b)前記チャネル内に位置付けられた少なくとも1つの化学的インジケータと、を備え、
前記少なくとも1つの化学的インジケータは、自動内視鏡洗浄装置内に存在する消毒剤の最小有効濃度を監視可能であり、
前記消毒剤は、アルデヒドを含み、
前記化学的インジケータは、前記消毒剤と反応して比色応答を供給し、
前記チャネルの直径及び長さが、前記内視鏡の直径及び長さ、並びに、前記消毒剤の粘度に基づいて縮小された形を用いて模倣されている、液体消毒段階用のプロセスチャレンジデバイス。
【請求項2】
AER(自動内視鏡洗浄装置)における消毒の質を判定する方法であって、
a.前記AER内に、チャレンジデバイスを提供するステップであって、前記チャレンジデバイスは、
i.内視鏡の幾何学的形状を模した曲がりくねった経路として設計されたチャネルによって接続された液体入口及び液体出口と、
ii.前記チャネル内に位置付けられた少なくとも1つの化学的インジケータと、を含む、提供するステップと、
b.所望のプロセス条件が満たされているかどうかを確認するために前記少なくとも1つの化学的インジケータを分析するステップと、を含み、
前記少なくとも1つの化学的インジケータは、自動内視鏡洗浄装置内に存在する消毒剤の最小有効濃度を監視可能であり、
前記消毒剤は、アルデヒドを含み、
前記化学的インジケータは、前記消毒剤と反応して比色応答を供給し、
前記チャネルの直径及び長さが、前記内視鏡の直径及び長さ、並びに、前記消毒剤の粘度に基づいて縮小された形を用いて模倣されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互対照
本出願は、2015年4月9日に提出した米国仮特許出願第62/145,323号の優先権を主張し、その開示が参照によって完全に本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査法は、疾病の予防、診断及び治療に有益な役割を果たす。内視鏡検査法は、複雑で再利用可能な可撓性装置を用いて実施され、この可撓性装置は、体内に挿入されると、患者の生体材料、及び潜在的な病原体を含む微生物によって激しく汚染された状態になる可能性がある。患者間での可撓性内視鏡の慎重な再生処理は、相互汚染及び起こり得る病原体の伝染の危険性を低減するために重要である。
【0003】
可撓性内視鏡は、医療デバイス用のスポルディングの分類によればセミクリティカルとみなされ、したがって、こうしたデバイスを高水準消毒によって汚染除去することが必要である。したがって、内視鏡と再利用可能なアクセサリはどちらも、使用前、使用中及び使用後、ならびに洗浄後及び高水準消毒前を含めた、それらの使用及び再生処理の過程で頻繁に目視検査することが推奨される。しかしながら、これらデバイス内の複雑で狭い管腔を直接的に目視検査できないため目視に基づく検証方法を可撓性内視鏡に適用するときには厳しい制限がある。
【0004】
病原性微生物、及び内視鏡処置を受ける患者間での疾病の伝染を軽減する水準まで可撓性内視鏡を洗浄及び消毒するために、自動内視鏡洗浄装置(automated endoscope reprocessor、AER)が用いられる。典型的に、使用者にとって入手可能な情報は、主に時間及び温度の情報からなる、AER装置自体によって提供されるパラメータ情報のみである。AERは、消毒サイクルの有効性を確かめることが可能な化学的パラメータを監視しない。
【0005】
AERと共に使用するための既存の化学的又は生物学的インジケータは、微生物の除去が難しく、場合により微生物が内視鏡全体にコロニー形成する可能性がある環境を提供する、長く狭い管腔によって生じる課題を考慮していない。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、液体消毒段階用のプロセスチャレンジデバイスが記載され、デバイスは、液体入口及び液体出口を備え、前記入口及び出口がチャネルによって接続され、前記チャネルが内視鏡の幾何学的形状を模した曲がりくねった経路として設計され、チャネル内に位置付けられた少なくとも1つのインジケータを備える。
【0007】
更なる実施形態では、AERにおける消毒の質を判定する方法が記載され、方法は、
a.AER内に、
i.液体入口及び液体出口を備え、前記入口及び出口がチャネルによって接続され、前記チャネルが内視鏡の幾何学的形状を模した曲がりくねった経路として設計され、
ii.チャネル内に位置付けられた少なくとも1つのインジケータを備えたチャレンジデバイスを提供することと、
b.所望のプロセス条件が満たされているかどうかを確認するためにインジケータを分析することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態におけるインジケータデバイスの上面図である。
図2】本開示の更なる実施形態のインジケータデバイスの上面図である。
図3】線3−3に沿った図2のデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、使用者が自動内視鏡洗浄装置(AER)によって提供される消毒サイクルの有効性を検証することを可能にする新規な監視システムについて記載する。本開示は、AERにおいて処理される内視鏡によってもたらされる課題を模倣するプロセスチャレンジデバイスに組み込まれた化学的及び/又は生物学的インジケータの使用を提案する。
【0010】
図1は、一端にAER接続ポート12を有する例示的なインジケータデバイス10の第1の実施形態を示しており、接続ポート12は、インジケータデバイス10内の弓状経路に沿って延びるマイクロ流体チャネル14に流体接続されている。チャネル14は更に、出口開口部30に至る前に、弓状経路に沿って1つ以上のインジケータデバイス16、18と流体連通している。図1の例示的な実施形態において、インジケータデバイス16は化学的インジケータであり、インジケータデバイス18は生物学的インジケータであり、生物学的インジケータ18は更に、脆い増殖培地カプセル18aの中に含まれる増殖培地と流体連通している。増殖培地カプセル18aの脆い部材を破裂させると、生物学的インジケータ18と増殖培地カプセル18aの間の経路18bが、生物学的インジケータ18と増殖培地の間の流体連通のための導管を提供する。
【0011】
図2は、本開示の更なる実施形態を示しており、インジケータデバイス50は、弓状のマイクロ流体チャネル56によって流体入口52及び流体出口54が接続された状態で構成されている。チャネル56の長さに沿って、多数の化学的インジケータ64、68及び生物学的インジケータ58、60、62が変位される。生物学的インジケータ58、60、62の各々は、対応する増殖培地カプセル58a、60a、62aと連結され、増殖培地カプセル58a、60a、62aの脆い部材が破砕されると、経路58b、60b、62bが生物学的インジケータ58、60、62との流体連通を提供する。
【0012】
図3は、線3−3に沿って得られる図2のインジケータデバイス50の断面図を示し、デバイス50が2層の材料51、53からなることを示している。化学的インジケータ64及び生物学的インジケータ60は層53の中に配設され、マイクロ流体チャネルは層51の中に配設することができる(図示せず)。あるいは、インジケータとマイクロ流体チャネルの双方を、単一層の材料の中に配設することもできる。
【0013】
上述した通り、インジケータデバイス10、50は、可撓性内視鏡によって自動内視鏡洗浄装置(AER)にもたらされる負荷又は課題をシミュレートするために、マイクロ流体チャネルも含む単一のデバイス上に少なくとも1つの化学的及び/又は生物学的インジケータを含む。マイクロ流体チャネル14、56の一端にある接続ポート12、52により、適当なハーネスを用いてデバイス10、50をAERに直接取り付けることが可能になる。一実施形態において、デバイスは、消毒剤の最小有効濃度(minimum effective concentration、MEC)を監視する化学的インジケータと、消毒サイクルの間に達成された生存可能な微生物の対数減少を定量化することができる生物学的インジケータと、を保持する試験チャンバを含む。マイクロ流体チャネル14、56は、サイクル全体にわたってデバイス10、50を通る消毒剤の連続的な流れを許容するように開放端になっている。
【0014】
使用の際、デバイス10、50を内視鏡と並行して接続できるように、使用者はまず、内視鏡の接続に用いられるものから変更されたハーネスを用いて、デバイス10、50をAER装置に直接接続する。デバイス10、50は、再生処理されるスコープも保持するAERの液溜めの中に置かれ、サイクルの間、消毒剤に完全に浸される。サイクルの完了後、使用者は、デバイス10、50をAERから接続解除し、まず化学的インジケータの比色応答を可視化してMECが得られたかどうかを確かめる。生物学的インジケータが、デバイスのチャンバ内、又はデバイスのチャンバ内に置かれた適切な基質上に直接被覆した生存可能な微生物の増殖による応答の検出を基準とする場合、使用者は次に、増殖培地を含む脆いバイアルを壊し、インジケータを保持するチャンバに培地を入れることによって、生物学的インジケータを作動させる。次いでデバイスは、生物学的インジケータからの応答を読み取ることも可能なインキュベータの中に置かれる。
【0015】
マイクロ流体チャネルの弓状経路は、ポアズイユの法則に基づいて完全な長さの可撓性内視鏡を模倣するように設計される。層流の場合、体積流量は粘性抵抗で割った圧力差によって与えられる。この抵抗は粘度及び長さに線形に依存するが、半径には4乗で依存することが著しく異なる。顕著な乱流が存在しない場合、ポアズイユの法則は、均質な液体(ニュートン流体)に対する実験と理にかなって合致することが分かっている。
【0016】
ポアズイユの法則によれば、体積流量は以下によって与えられる。
【0017】
【数1】
ここで、流れに対する抵抗Rは以下によって与えられる。
【0018】
【数2】
ここで、ηは液体の粘度である。
【0019】
これにより、可撓性内視鏡によってAERにもたらされる課題を、かなり縮小された形を用いて模倣することが可能になり有利である。たとえば、大きい胃腸用の可撓性内視鏡のいくつかは、長さが2m、管腔の直径が5mmである。既知の粘度ηを有する消毒剤が与えられたとすれば、流れに対する抵抗Rは、この例では51.2mm−3に等しい、L/rに比例する。直径1mmのマイクロ流体チャネルを用いて等価な抵抗をシミュレートするために、必要な長さLはわずか3.2mmである。
【0020】
本明細書に記載のデバイスと共に用いるための適切な化学的インジケータは、消毒液の最小有効濃度(MEC)を検証する比色システムを含む。1つの可能なシステムは、一般的に用いられる高水準消毒剤であるオルトフタルアルデヒドの、基質上に配設された亜硫酸ナトリウムとの反応に基づく。反応により、以下の反応に従って亜硫酸塩の付加生成物及び等価量の塩が形成される。
(CHO)+2NaSO+2HO→C(CH(SONa)OH+2NaOH
【0021】
十分なオルトフタルアルデヒドが存在する場合、pHの増加によって、やはり基質上に配設されたpHインジケータの色の変化が引き起こされる。オルトフタルアルデヒドの濃度が十分であるとき、局所的なpHは典型的には11超に上昇し、濃い紫色への色の変化が起こる。このインジケーションに使用可能ないくつかの適切なpH染料が存在する。同様の反応スキームを用いて、可撓性内視鏡の再生処理に用いられる別の一般的なクラスの高水準消毒(High Level Disinfection、HLD)用化学薬品であるグルタルアルデヒド(GA)消毒剤について、MECの試験を行うことができる。化学的インジケーションは、インテグレータであるように構成することも可能であるが、それは、消毒剤がある特定の濃度を上回るかどうかだけではなく、どのくらい長くその濃度であったかも評価することを意味する。これは、比色応答が用量又は接触時間に比例するインジケータシステムを提供することによって実施することができる。たとえば、インジケータシステムを点としてではなくウィッキングストリップに沿って配設し、ストリップに沿った消毒剤の流れを規定するウィッキング材料の毛管作用を考慮することによって、ストリップに沿った比色による前面の視覚表現が、時間及びMECのインジケーションになる。ストリップの多孔度は、所与のサイクル持続時間の間、ストリップに沿った消毒剤の所望の動きを実現するように選択される。ウィッキングストリップは、適当な膜又は濾過材料で作製することができるが、デバイスのチャレンジチャネルと共にモノリシック構造を形成する、付加的なマイクロ流体構成成分として設計製作することもできる。
【0022】
生物学的インジケータは、サイクルの消毒の有効性を検証することが可能であるべきである。それは、様々な滅菌の形態を監視するように設計された現在の生物学的インジケータに似た形で作動することができる。したがって、それは、生物学的な生存能力に関する定量化が可能な生物学的エンティティの使用を基準とすべきである。生物学的インジケータとして、芽胞又は弱めた/傷つけた芽胞を使用することが可能である場合がある。この用途に芽胞を用いる主な利点は、芽胞が室温において長時間にわたり「保存安定性がある」ことにある。意図的な場合を除き、芽胞の発芽及び増殖は簡単に引き起こされない。この用途では、AERにおける消毒サイクル後に存在する生存可能な芽胞の量を簡単に測定し、それをデバイスのチャンバ内に置かれた所定量の芽胞と比較することを可能にすることができる。次いで、消毒前及び消毒後の芽胞集合におけるその差を、有効なサイクルの場合に予想される差と比較することができ、ある特定の許容ウィンドウの範囲内で、消毒サイクルが有効であったかどうか(合格か不合格か)を判定することができる。また測定された差によって、サイクルの間に達成された対数減少が定量化される。芽胞の耐性が高くAERに用いた消毒剤による影響を受けないことが分かった場合、このインジケーションに有用である別の可能な生物学的エンティティが適当な酵母である場合がある。たとえば、Saccharomyces cerevisiaeは、この概念において使用可能な酵母種である。それは、ワイン造り、パン焼き及び醸造に役立つ酵母菌であり、分子細胞生物学において最もよく研究された真核性のモデル微生物の1つである。蛍光ベースの酵素反応を用いて、生物学的インジケーションの迅速な検出を実現することができる。蛍光性基質を用いたグルコシダーゼ分析は、そうした1種である。たとえば、β−グルコシダーゼは、蛍光性基質β−MUG中のβ−グルコシド結合の切断に触媒作用を及ぼし、その構成部分のグルコース及び蛍光化合物4−MUを放出する。その場合、この酵素の活性を、発芽させた芽胞の懸濁液からの経時的な蛍光発光の増加として測定できる。反応は場合により定量的であり、それを用いて、消毒サイクルの開始前の所定の初期芽胞集合から、消毒サイクル完了後の最終的な芽胞集合までの差を判定するのに使用できる。消毒サイクルの有効性を判定する別の手段が、消毒後に残存する生存可能な芽胞からの増加する蛍光信号の動態を測定することである場合がある。次いで、合格/不合格の判定は、蛍光強度がどのくらい迅速に所与の水準に達するかに基づくことができる。蛍光ベースの分析の代わりに比色分析を用いることも可能であるが、比色分析は感度が劣ると考えられる。酵素分析は、電気化学的応答を生じさせることが可能である場合もある。このモードでは、光信号を組み合わせるのではなく、電位(電量的)又は電流の流れ(電流測定的)の変化を測定する。
【0023】
上述の実施形態に加えて、現行の開示において教示する用途に対して他の形状因子を企図することができる。たとえば、様々なタイプの内視鏡を模倣するために、単一のカードに複数のチャネル長さを構築することができる。
【0024】
また上述のように、デバイスは、複数の課題を同時に示すために、チャネル経路内に配設された複数の生物学的及び化学的インジケータを有することができる。これは、使用者が単一のデバイスを様々なスコープの設計(管腔の長さ及び直径)に適用することを望む場合に有用である。
【0025】
他の実施形態において、多くの可撓性内視鏡の設計に共通の弁及び他のデッドフロー端部をシミュレートするために、デバイスは、マイクロ流体チャネルも流れの面より上又は下、及びその面内にデッドボリュームを含むように設計することができる。インジケータをこうした位置に配設し、適当なサイクルが完了したことを検証することができる。
【0026】
化学的及び生物学的応答に加えて、インジケータは、時間及び温度など、消毒サイクルの物理的パラメータを監視するように作製することも可能である。たとえば、AERの計測から独立して、消毒サイクルの統合型の時間−温度プロファイルを測定するために、3M Sterigage又は3M Monitor Markインジケータに似た時間−温度のインジケータを含めることができる。時間−温度インジケータは、ある閾値温度を有するように設計され、その閾値温度を上回ると、濾過材料又は設計作製されたマイクロ流体要素のストリップに沿ったウィッキングによって指示材料が流れる。指示材料のレオロジーは、消毒サイクルの時間−温度プロファイルを表す活性化エネルギーに合致する温度依存の粘度又は粘弾性応答を有するように選択される。ウィッキング要素は、指示流体の所与の粘度に対して所与の移動量を規定するように選択された多孔度を有する。
【0027】
更なる例では、チャレンジデバイスとしてチャネルを有する概ね平坦なデバイスを用いるのではなく、内視鏡自体が課題を提供することができる。この構成では、流動型の生物学的及び化学的インジケータの組み合わせを、可撓性内視鏡の上流及び/又は下流に設置して、デバイスについて上述したものと似た形でサイクルの完了後に読み取ることができる。
【0028】
内視鏡をAERに置く際に用いられる典型的な「スレッド(sled)」の代わりに、内視鏡の制御ヘッド内の弁の開口部に取り付けられる1組の生物学的及び化学的インジケータを作製することが可能である場合もある。
【0029】
最後に、消毒される内視鏡と同じ直径を有する同一長さの管類がスプールのまわりに巻かれ、流れが監視デバイスの遠位端に取り付けられた生物学的/化学的組み合わせインジケータを通過する、「マクロ的」なチャレンジデバイスを有することが可能である場合もある。
[付記]
(付記1)
(a)液体入口及び液体出口を備え、前記入口及び出口がチャネルによって接続され、前記チャネルが内視鏡の幾何学的形状を模した曲がりくねった経路として設計され、
(b)前記チャネル内に位置付けられた少なくとも1つのインジケータを備える、液体消毒段階用のプロセスチャレンジデバイス。
(付記2)
前記チャネルが1次経路及び1つ以上の2次経路を有する、付記1に記載のデバイス。
(付記3)
前記少なくとも1つのインジケータが2次経路に沿って位置付けられている、付記2に記載のデバイス。
(付記4)
前記デバイスが少なくとも1つの化学的インジケータ及び少なくとも1つの生物学的インジケータを含む、付記1に記載のデバイス。
(付記5)
前記デバイスが概ね平坦である、付記1に記載のデバイス。
(付記6)
AERにおける消毒の質を判定する方法であって、
a.前記AER内に、
i.内視鏡の幾何学的形状を模した曲がりくねった経路として設計されたチャネルによって接続された液体入口及び液体出口と、
ii.前記チャネル内に位置付けられた少なくとも1つのインジケータと、を含むチャレンジデバイスを提供することと、
b.所望のプロセス条件が満たされているかどうかを確認するために前記インジケータを分析することと、を含む、方法。
(付記7)
前記チャネルが1次経路及び1つ以上の2次経路を有する、付記6に記載の方法。
(付記8)
前記少なくとも1つのインジケータが2次経路に沿って位置付けられている、付記7に記載の方法。
(付記9)
前記デバイスが、少なくとも1つの化学的インジケータ及び少なくとも1つの生物学的インジケータを含む、付記6に記載の方法。
(付記10)
前記デバイスが概ね平坦である、付記6に記載の方法。
図1
図2
図3