【文献】
Indian Journal of Pharmaceutical Sciences,1985年,47(5),p.179-180
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
式(III)の化合物を、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルホ酢酸、リン酸、および三塩化リンからなる群から選択される酸触媒の非存在下に、カルボン酸ハライドまたはカルボン酸無水物と反応させる請求項2または3に記載の方法。
式(IVb)の化合物を含む前記反応混合物が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、3級アミンまたはそれらの混合物からなる群から選択される弱塩基をさらに含む請求項16に記載の方法。
式(IVb)の化合物および有機溶媒を含む前記反応混合物が、モレキュラーシーブス、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、活性炭またはこれらの組み合わせからなる群から選択される脱水剤をさらに含む請求項16または17に記載の方法。
式(IV)の化合物を加熱することで、式(I)の化合物を含む生成物混合物を形成し、前記方法が、前記生成物混合物を濾過することで固体分画および式(I)の化合物を含む濾液を形成することをさらに含む、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
前記塩基が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、3級アミンまたはそれらの混合物から選択される弱塩基である請求項23または24に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は概して、先行技術に勝る利点を提供する両親媒性イミダゾリニウム化合物の製造方法に関するものである。例えば、その方法は、BOC保護基の使用およびアシル化時の塩基の必要性を回避することで、その方法のコスト、毒性の懸念および発生する廃液の量を低下させるものである。
【0018】
特に、本発明は、下記式(I)の両親媒性イミダゾリニウム化合物:
【化8】
【0019】
(Rは炭素原子11から29個または炭素原子12から25個の直鎖脂肪族飽和もしくは不飽和ヒドロカルビル基である。)の製造方法を提供する。不飽和である場合、R基は1以上のエチレン不飽和連結を有することができる。
【0020】
R基とそれが結合しているカルボニル基(すなわちRC(O)−)の例には、オレオイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、リノレオイル、エイコサノイル、トリコサノイルおよびノナコサノイル(相当する名称:オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸などの脂肪酸由来)などがある。R基について系の名称のみが与えられている場合、オレイン酸由来のヒドロカルビル基の相当する名称はシス−8−ヘプタデセニルであり;ラウリン酸からはウンデシルであり;ミリスチン酸からはトリデシルであり;パルミチン酸からはペンタデシルであり;ステアリン酸からはヘプタデシルであり;リノール酸からはシス,シス−8,11−ヘプタデシジエニルであり;エイコサン酸からはノナデシルであり;トリコサン酸からはジコサニルであり;トリアコンタン酸からはノナコサニルである。式(I)の特に好ましい化合物は、1−[2−(9(Z)−オクタデセノイルオキシエチル]−2−[8(Z)−ヘプタデセニル]−3−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムクロライド(DOTIM)である。
【化9】
【0021】
本発明のイミダゾリニウム化合物は、医薬として許容されるアニオンを有する塩である。代表的には、本発明の方法によって生成されるイミダゾリニウム塩はクロライド塩である。しかしながら、そのアニオンを交換して、異なるアニオンとの塩を得ることができる。例えば、イミジゾリニウムクロライド塩を好適な溶媒に溶かし、所望のアニオンを含む溶液で洗浄することができる。クロライドが好ましいアニオンであるが、ブロミドおよび酢酸アニオン、コハク酸アニオンおよびクエン酸アニオンなどの他の生理的に許容されるアニオンも許容される。
【0022】
本発明によれば、式(I)の両親媒性イミダゾリニウム化合物の一般的製造方法は次の通りである。
【化10】
【0023】
段階2の生成物として上記で記載の式(IVa)および式(IVb)は、本明細書(添付の特許請求の範囲でのものを含む)において、式(IV)と称される。
【0024】
段階1:2級アミノ基の保護
当該方法における第1段階は、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンのハロゲン化水素塩(式(III))の製造である。これは、代表的には好適な溶媒を含む反応混合物中、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(式(II))をハロゲン化水素(HX)(XはCl、BrまたはIである。)と反応させることで行う。各種の好ましい実施形態において、ハロゲン化水素は、塩化水素(XはClである。)または臭化水素(XはBrである。)。各種の特に好ましい実施形態において、ハロゲン化水素は臭化水素である。概して、ハロゲン化水素は、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを含む反応混合物中に導入される。これは、例えば、代表的には有機溶媒に溶かしたN,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンの溶液の形態である反応混合物にハロゲン化水素を気体として導入することで行うことができる。あるいは、ハロゲン化水素の有機溶媒中溶液(例えば、非水系HBr/酢酸、またはHClのメタノール、エタノール、ジオキサンもしくはまたはジエチルエーテル中溶液)を反応混合物に加えることができる。一般には、液相での反応混合物へのハロゲン化水素の導入が好ましい。
【0025】
式(III)のハロゲン化水素塩の製造に好適な有機溶媒には、C
2−C
6カルボン酸類;C
2−C
6ニトリル類;C
1−C
6アルコール類;C
2−C
10エーテル類;C
3−C
6アルキルアセテート類;C
3−C
10ケトン類;C
5−C
8脂肪族炭化水素類;C
1−C
6塩素化炭化水素類;C
3−C
8アルキルカーボネート類;スルホラン;ジメチルスルホキシド;トルエン;クロロベンゼン;ならびにこれらの単相もしくは多相混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
そのような溶媒の具体例には、酢酸、プロピオン酸、アセトニトリル、プロピオニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、クロロベンゼンおよびそれらの組み合わせなどがあるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、その溶媒は、酢酸、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0027】
式(III)のハロゲン化水素塩を生成するための反応は、代表的には、例えばハロゲン化水素の反応混合物への添加を制御することで、約0℃から約60℃の温度で、より代表的には約10℃から約30℃の温度で行う。
【0028】
代表的には、原料は、試薬添加後約10から約120分、より代表的には約30から約60分の反応時間中に式(III)のハロゲン化水素塩に変換される。
【0029】
ハロゲン化水素塩の形態での式(III)の化合物は、反応混合物中で容易に沈殿を生成し、濾過によって単離することができる。代表的には、次に、回収した生成物を洗浄し、真空乾燥する。
【0030】
段階2:1級ヒドロキシル基のアシル化
ハライド塩として保護されたN,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンの2級アミノ基で、式(III)の化合物の1級ヒドロキシル基をアシル化して、ジエステルを製造する。
【0031】
そのアシル化剤は、カルボン酸ハライド(RC(O)Y)またはカルボン酸無水物(RC(O)OC(O)R
2)などの活性化カルボン酸誘導体であることができ、Rは式(I)について上記で定義の通りであり、R
2は炭素原子1から29個もしくは炭素原子12から25個の直鎖もしくは分岐の脂肪族飽和もしくは不飽和ヒドロカルビル基である。カルボン酸無水物では、RおよびR
2は同一であることができる(すなわち、対称カルボン酸無水物)。しかしながら、RおよびR
2は代表的には、同一ではない。代表的には、R
2はC
1−C
10直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素であり、より代表的にはR
2はC
3−C
10分岐の脂肪族炭化水素である。現在、立体障害されたまたは分岐のR
2基(例えば、tert−ブチルまたはイソプロピル)により、望ましくない混合生成物エステルの生成を低減しながら所望の生成物が得られると考えられている。カルボン酸ハライドでは、Yは代表的には、Cl、Br、F、およびIからなる群から選択される。より代表的には、YはClまたはBrである。Yは、式(III)の化合物の対イオンXと同一であることができるが、それが必要なわけではない。比較的コストが低く容易に入手できることから、一般的に、アシル化剤としては、カルボン酸クロライドがブロミド、フルオリドおよびヨージドならびにカルボン酸無水物より好ましい。DOTIMの製造については、カルボン酸ハライドは好ましくはオレイン酸クロライドである。
【0032】
カルボン酸ハライドアシル化剤は市販されている。しかしながら、カルボン酸ハライドを、本発明の方法でのそれの使用と同時または直前に製造する場合に、式(IV)の化合物の収率をより高くすることが可能であることが発見されている。カルボン酸ハライドアシル化剤(オレイン酸塩化物)の一つの好適な製造方法が実施例2に記載されている。
【0033】
式(III)の臭化水素酸塩の場合、カルボン酸臭化物またはカルボン酸無水物との反応によって、上記で示した式(IVa)の化合物が得られる。同様に、式(III)の塩酸塩の場合、酸塩化物またはカルボン酸無水物との反応によって式(IVb)の化合物が得られる。
【0034】
アシル化段階の場合、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンのハロゲン化水素塩(式(III))を有機溶媒で希釈し、次に活性化カルボン酸アシル化剤を加える。アシル化段階に好適な有機溶媒には、には、C
2−C
6ニトリル類;C
2−C
10エーテル類;C
3−C
6アルキルアセテート類;C
3−C
10ケトン類;C
5−C
8脂肪族炭化水素類;C
1−C
6塩素化炭化水素類;C
3−C
8アルキルカーボネート類;スルホラン;ジメチルスルホキシド;トルエン;クロロベンゼン;ならびにそれらの単相もしくは多相混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
そのような溶媒の具体例には、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、およびクロロベンゼンなどがあるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、その溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0036】
そのアシル化は代表的には、約0℃から約120℃の温度で、より代表的には約20℃から約100℃の温度で、さらにより代表的には約40℃から約80℃の温度で行う。
【0037】
そのアシル化反応は代表的には、約1から約12時間の期間にわたり、より代表的には約2から約6時間の期間にわたり行う。
【0038】
アシル化剤がカルボン酸ハライドである場合、ハロゲン化水素ガスが反応の途上で発生し、ガススクラバーを用いて吸収させることができる。アシル化剤がカルボン酸無水物である場合、副生成物のカルボン酸が製造され、有機溶媒中に保持される。
【0039】
N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(式(III))のハロゲン化水素塩のアシル化は円滑に進行し、式(IV)の必要なジエステルを高収率で提供する。反応が完了したら、反応混合物を代表的には冷却して約20℃から約40℃の温度とし、アセトンで希釈して、生成した沈澱の濾過を改善することができる。次に、沈殿した式(IV)の生成物は容易に回収され、濾液を洗浄し、回収固体を真空乾燥させる。
【0040】
先行技術で記載されているアシル化法とは対照的に、この変換には塩基を加える必要がない。さらに、本方法のアシル化段階は代表的には、酸触媒の非存在下で行われる。特に、この段階は、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルホ酢酸、リン酸および三塩化リンなどの酸触媒を使用しない。
【0041】
各種の好ましい実施形態において、式IIIにおけるXはBrであり、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンの臭化水素酸塩(式(III))をカルボン酸ハライド(例えば、オレイン酸クロライド)と反応させる。この反応は、式(IVb)の化合物を容易に生成することが認められている。式IIIにおけるXがClである場合、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンの塩酸塩(式(III))も、カルボン酸ハライド(例えば、オレイン酸クロライド)と反応させることができる。しかしながら、それの溶解度に基づいて、例えば、スルホラン、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびジメチルアセトアミド(DMAC)などの高極性溶媒にN,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンの塩化物塩を溶解させる必要がある場合がある。この手順は通常は、追加の後処理が必要であったり、コストが加算されることから、あまり望ましいものではない。
【0042】
ハロゲン化水素塩IVaの塩酸塩IVbへの変換
クロライドは式(I)の最終生成物における対イオンであることから、式(IV)の化合物が塩酸塩以外のハロゲン化水素塩である場合(例えば、式(III)の化合物をカルボン酸ハライドRC(O)Y(YはClではない)と反応させる場合)には、追加の洗浄段階が必要である。しかしながら、塩酸塩(IVb)を式(III)の化合物から製造する場合には、洗浄は必要ない。
【0043】
必要な洗浄段階については、式(IVa)の化合物を好適な溶媒に溶かし濃塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。多くの場合、複数の洗浄を行い、例えば2回以上の洗浄を行うことができる。アニオン交換を行うためのこの洗浄は通常、約0℃から約60℃の温度、より代表的には約10℃から約30℃の温度、さらにより代表的には、約15℃から約25℃の温度で行う。塩化ナトリウム水溶液(ブライン)層を分離した後、有機相を濃縮して、所望の式(IVb)の塩酸塩を得る。
【0044】
そのアニオン交換段階に好適な溶媒には、C
2−C
6ニトリル類;C
2−C
10エーテル類;C
3−C
6アルキルアセテート類;C
3−C
10ケトン類;C
5−C
8脂肪族炭化水素類;C
1−C
6塩素化炭化水素類;トルエン;クロロベンゼン;ならびにそれらの単相もしくは多相混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
そのような溶媒の具体例には、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トルエン、クロロベンゼン、およびこれらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、その溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、およびこれらの組み合わせから選択される。
【0046】
段階3:転位反応
転位反応を行うため、式(IVb)の化合物を、好適な溶媒を含む反応混合物に溶かし、この反応混合物を加熱し、撹拌すると、その際にアシル基移動とそれに続く縮合が生じ、結果的に式(I)のイミダゾリニウム化合物が生成する。
【0047】
その転位反応に好適な溶媒には、C
2−C
6ニトリル類;C
1−C
6アルコール類;C
2−C
10エーテル類;C
3−C
6アルキルアセテート類;C
3−C
10ケトン類;C
5−C
8脂肪族炭化水素類;C
1−C
6塩素化炭化水素類;C
3−C
8アルキルカーボネート類;スルホラン;ジメチルスルホキシド;トルエン;クロロベンゼン;ならびにこれらの単相もしくは多相混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
そのような溶媒の具体例には、アセトニトリル、プロピオニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、クロロベンゼンおよびこれらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
ある種の実施形態において、溶媒は、塩素化炭化水素およびアルコールの混合物、例えばクロロホルムおよびメタノールの混合物である。そのような場合、クロロホルム:メタノールの重量比は、代表的には約4:1から約10:1、または約6:1から約8:1である。さらにまたはあるいは、クロロホルム:メタノールの体積比は、代表的には約2:1から約6:1、または約3:1から約5:1である。
【0050】
ある種の実施形態において、溶媒または溶媒混合物に加えて、反応混合物はさらに塩基を含む。一部の実施形態では、弱塩基が用いられる。好適な弱塩基には、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、重炭酸カリウム(炭酸水素カリウム)、リン酸二水素カリウム(リン酸一カリウム)、リン酸水素二カリウム(リン酸二カリウム)、3級アミン類およびこれらの混合物などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
概して、前記塩基は、式(IVb)の化合物に対するモル比約0.25:1から約1.75:1または約0.8:1から約1.5:1で組み込まれる。ある種の実施形態において、当該塩基は、式(IVb)の化合物に対するモル比約1:1から約1:5:1、または約1:1から約1.2:1(例えば、約1.1:1)で組み込まれる。
【0052】
有機溶媒または溶媒混合物および適宜の塩基に加えて、加熱前に反応混合物に脱水剤を加えることができる。好適な脱水剤には、例えば、モレキュラーシーブス(例えば、孔径2Åから5Åを有するもの)、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、および硫酸ナトリウムなどがある。特に好適な脱水剤には、モレキュラーシーブス(例えば、孔径2Åから5Åまたは約3Åを有するもの)および硫酸マグネシウムなどがある。活性炭も好適な脱水剤である。脱水剤の量はあまり重要ではないが、転位/縮合反応時に生成する水を取り込むのに十分なものでなければならない。
【0053】
反応混合物は、代表的には約20℃から約100℃の温度、より代表的には約40℃から約80℃の温度、さらにより代表的には約50℃から約70℃の温度で行われる。
【0054】
前記転位段階は代表的には、約2から約48時間、より代表的には約12から約36時間の期間をかけて行う。そのような期間が許容できるが、反応混合物に塩基を組み込むある種の実施形態では、転位反応は比較的速く進行する。そのような実施形態では、転位段階は約2から約12時間、または約4から約10時間、またはさらには約5時間または約6時間の期間をかけて行う。
【0055】
反応混合物を冷却するか放冷して室温とした後、混合物を濾過して固体分画を除去し、式(I)のイミダゾリニウム化合物を含む濾液を得る。濾液を濃縮して、代表的にはロウ状固体の形態での組生成物を得る。粗生成物は、例えば、溶媒による洗浄、再結晶、または好適なクロマトグラフィー法などの当業界で公知の好適な方法によって精製することができる。
【0056】
好ましい精製/生成物回収プロトコールには、粗生成物濾液のアセトンによる処理と、それに続く濾過および濃縮による所望の固体生成物の回収などがある。別の好ましい精製/生成物回収プロトコールでは、シリカカラムおよびジクロロメタンまたはクロロホルムを用いる濾過を行う。特に、これらの好ましい生成物精製/生成物回収プロトコールはクロマトグラフィー法ではないことから、当業界で従来用いられてきたクロマトグラフィーに基づく回収方法と比較してかなり簡単で商業的規模での使用により適している。有利な点として、クロマトグラフィーではない本発明の方法で使用される精製/生成物回収プロトコールは、95%を超える(例えば、97%を超える)製造物純度を提供する。
【0057】
概して、前記転位段階は、(式(IVb)の化合物基準で)少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%(例えば、約97%以上)の収率で式(I)の化合物を提供するものである。
【0058】
以上本発明について詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で定義の本発明の範囲から逸脱することなく、改変および修正が可能であることは明らかであろう。
【0059】
実施例
下記の非限定的実施例は、本発明をさらに説明するために提供されるものである。
【0060】
実施例1:N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エタン−1,2−ジアミニウムジブロミドの合成
N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(20g、0.135mol)を酢酸100mLに溶かした(発熱)。この溶液を冷却して約20℃とした後、臭化水素酸(0.283mol;50.3mL、33%酢酸中溶液)を、反応混合物に、反応混合物の温度が30℃を超えないように45分の期間をかけてゆっくり加えた。臭化水素酸の反応混合物への添加中に、白色沈殿が生成した。添加完了後、反応混合物を30分間撹拌してから、沈殿を濾過した。次に、その沈殿をアセトニトリルで洗浄し(25mLで2回)、30℃で真空乾燥して(5mbar)、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エタン−1,2−ジアミニウムジブロミド40.58g(0.131mol、収率97%)を白色固体として得た。生成物の構造を、NMRスペクトル測定によって確認した。
1H−NMR(DMSO−d
6、400MHz)δ=8.62(4H、bs)、5.34(2H、bs)、3.67(4H、bs)、3.29(4H、bs)、および3.07(4H、bs)ppm。
【0061】
実施例2:N,N′−ビス{2−[(9Z)−オクタデカ−9−エンオイルオキシ]エチル}エタン−1,2−ジアミニウムジブロミドの合成
N,N′−ビス{2−[(9Z)−オクタデカ−9−エンオイルオキシ]エチル}エタン−1,2−ジアミニウムジブロミドを、調製したばかりのオレイン酸クロライドでN,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エタン−1,2−ジアミニウムジブロミドをアシル化することで製造した。
【0062】
オレイン酸(9.0g、0.0319mol、純度99%)をジクロロメタン20mLに溶かし、次にオキサリルクロライド(8.08g、0.064mol)を20℃で加えることでオレイン酸クロライドを調製した。添加後、反応混合物を60分間撹拌した。ジクロロメタンおよび過剰のオキサリルクロライドを減圧下に(750mbar、徐々に50mbarとする)30℃で留去して、オレイン酸クロライド9.5g(0.0315mol、収率99%)を無色油状物として得た。生成物の構造を、NMRスペクトル測定によって確認した。
1H−NMR(CDCl
3、400MHz)δ=5.34(2H、m)、2.88(2H、t)、2.01(4H、m)、1.71(2H、m)、1.31(20H、m)、および0.88(3H、t)ppm。
【0063】
実施例1で製造したN,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)エタン−1,2−ジアミニウムジブロミド(25g、0.0806mol)を、アセトニトリル200mLに20℃で加えて、白色スラリーを得た。加熱して約82℃とした後、調製したばかりのオレイン酸クロライド(72.8g、0.242mol)を反応混合物に1時間かけて加え、次に約82℃でさらに3時間撹拌した。その間、反応混合物から塩化水素ガスが発生し、それはガススクラバーに吸収させた。冷却して40℃とした後、反応混合物をアセトン150mLで希釈して、生成した沈澱の濾過挙動を改善した。20℃で、そのスラリーを濾過し、アセトン(20mLで1回)、水(40mLで1回)およびアセトン(25mLで2回)の順で洗浄した。残った固体を減圧下に(5mbar)40℃で乾燥させて、N,N′−ビス{2−[(9Z)−オクタデカ−9−エンオイルオキシ]エチル}エタン−1,2−ジアミニウムジブロミド54.1g(0.0645mol、収率80%)をオフホワイト固体として得た。生成物におけるブロミド/クロライド比は、イオンクロマトグラフィーによる測定で18:1であることが認められた。生成物の構造をNMRスペクトル測定によって確認した。
1H−NMR(CDCl
3、400MHz)δ=9.50(4H、bs)、5.34(4H、m)、4.52(4H、m)、3.81(4H、bs)、3.45(4H、bs)、2.47(4H、m)、2.00(8H、m)、1.62(4H、m)、1.29(40H、m)、および0.88(6H、m)ppm。
【0064】
実施例3:N,N′−ビス{2−[(9Z)−オクタデカ−9−エンオイルオキシ]エチル}エタン−1,2−ジアミニウムジクロライドの合成
N,N′−ビス{2−[(9Z)−オクタデカ−9−エンオイルオキシ]エチル}エタン−1,2−ジアミニウムジブロミド(42g、0.050mol)をクロロホルム(500mL)に溶かした。この溶液に20℃で、水250mLおよび濃塩化ナトリウム水溶液500mLを加えた。反応混合物を1時間撹拌することで撹拌し、有機層を水層から分離した。代表的には、反応混合物を事前に遠心(3000から5000RPM)することで、より良好な相分離が行われた。有機層を、再度同様にして塩化ナトリウム水溶液によって処理した(2回)。最後に、有機層を水で洗浄し、塩化カルシウム2gで脱水し、減圧下に(500mbar、徐々に20mbarとする)40℃で濃縮して、N,N′−ビス{2−[(9Z)−オクタデカ−9−エンオイルオキシ]エチル}エタン−1,2−ジアミニウムジクロライド31.9g(0.0425mol、85%)をオフホワイト固体として得た。生成物の構造をNMRスペクトル測定によって確認した。
1H−NMR(CDCl
3、400MHz)δ=10.10(4H、bs)、5.35(4H、m)、4.49(4H、m)、3.69(4H、bs)、3.38(4H、m)、2.45(4H、m)、1.99(8H、m)、1.61(4H、m)、1.29(40H、m)、および0.88(6H、m)ppm。
【0065】
濃塩化ナトリウム水溶液による3回の洗浄後に得られた生成物のブロミド/クロライド比は、1:180であることが認められた。
【0066】
実施例4:1−[2−(9(Z)−オクタデセノイルオキシ)エチル]−2−(8(Z)−ヘプタデセニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロライドの合成
N,N′−ビス{2−[(9Z)−オクタデカ−9−エンオイルオキシ]エチル}エタン−1,2−ジアミニウムジクロライド(20g、0.0266mol)をクロロホルム(160mL)およびメタノール(40mL)の混合物に溶かし、この混合物に、3Åモレキュラーシーブス(5g)を加えた。反応混合物を加熱して約54℃とし、24時間撹拌した。反応混合物を冷却して室温とし、濾過して固体を除去した。濾液を減圧下に(500mbar、徐々に5mbarとする)40℃で濃縮して、黄色様ロウ状固体を得た。粗生成物をアセトン30mLで処理し、40℃で30分間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、濾液を減圧下に再度濃縮して、1−[2−(9(Z)−オクタデセノイルオキシ)エチル]−2−(8(Z)−ヘプタデセニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロライド14.4g(0.0207mol、収率78%)を無色ロウ状固体として得た。生成物の構造をNMRスペクトル測定によって確認した。
1H−NMR(CDCl
3、400MHz)δ=6.12(1H、bs)、5.34(4H、m)、4.34(2H、m)、4.09(4H、s)、3.87(2H、m)、3.77(2H、m)、3.52(2H、m)、2.78(2H、m)、2.32(2H、m)、2.00(8H、m)、1.59(4H、m)、1.30(40H、m)、および0.88(6H、m)ppm。
【0067】
実施例5:塩基添加による(1−[2−(9(Z)−オクタデセノイルオキシ)エチル]−2−(8(Z)−ヘプタデセニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロライド)の合成
N,N′−ビス{2−[(9Z)−オクタデカ−5−エンオイルオキシ]エチル}エタン−1,2−ジアミニウムジクロライド(140g、0.186mol)および重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)(15.68g、0.205mol)をクロロホルム(1120mL)およびメタノール(280mL)の混合物に20℃で懸濁させた。反応混合物を加熱して約50から52℃の温度とし、5時間撹拌した。次に、混合物を減圧下に濃縮して(40℃;150mbar)、溶媒を除去し、残留物(196g)を得た。粗生成物の残留物をアセトン(1120mL)に溶かし、次に活性炭(28g、120℃で乾燥させたもの)を加え、懸濁液を室温で30分間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、フィルターケーキをアセトン(150mL)で洗浄した。合わせた透明黄色濾液を減圧下に濃縮して(40℃;4mbar)、(1−[2−(9(Z)−オクタデセノイルオキシ)エチル]−2−(8(Z)−ヘプタデセニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロライド)120.3g(0.173mol、収率92.7%)を得た。
【0068】
実施形態
さらに説明するため、本開示のさらなる非限定的実施形態を、下記で説明する。
【0069】
実施形態A1は、下記式(I)の化合物:
【化11】
【0070】
(式中、Rは炭素原子11から29個の直鎖の脂肪族飽和もしくは不飽和ヒドロカルビル基である。)の製造方法であって、式(II)の化合物をハロゲン化水素(HX)と反応させて、式(III)の化合物(式中、XはCl、Br、またはIである。)を提供すること;
【化12】
【0071】
式(III)の化合物をカルボン酸ハライド[RC(O)Y](式中、YはCl、Br、FおよびIからなる群から選択される。)、またはカルボン酸無水物[RC(O)OC(O)R
2](式中、Rは式(I)について上記で定義の通りであり、R
2は炭素原子1から29個の直鎖もしくは分岐の脂肪族飽和もしくは不飽和ヒドロカルビル基である。)と反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;
【化13】
【0072】
および
式(IV)の化合物を加熱して、式(I)の化合物を提供することを含む方法である。
【化14】
【0073】
実施形態A2は、式(III)の化合物をカルボン酸ハライド[RC(O)Y]と反応させ、XがCl以外であり、式(IVa)の化合物が提供される場合に、前記方法が、式(IVa)の化合物を塩化ナトリウム水溶液で洗浄して式(IVb)の化合物を提供することをさらに含む、実施形態A1の方法である。
【化15】
【0074】
実施形態A3は、式(III)の化合物をカルボン酸無水物[RC(O)OC(O)R
2]またはカルボン酸ハライド[RC(O)Y]と反応させ、X=Clである場合に、式(IVb)の化合物が提供される、実施形態A1の方法である。
【0075】
実施形態A4は、式(III)の化合物を、酸触媒の非存在下にカルボン酸ハライドまたはカルボン酸無水物と反応させる、実施形態A2またはA3の方法である。
【0076】
実施形態A5は、式(III)の化合物を、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルホ酢酸、リン酸、および三塩化リンからなる群から選択される酸触媒の非存在下に、カルボン酸ハライドまたはカルボン酸無水物と反応させる、実施形態A2またはA3の方法である。
【0077】
実施形態A6は、式(II)の化合物を有機溶媒をさらに含む反応混合物中にてハロゲン化水素(HX)と反応させる、実施形態A1からA5のいずれか一つの方法である。
【0078】
実施形態A7は、前記有機溶媒が、C
2−C
6カルボン酸類、C
2−C
6ニトリル類、C
1−C
6アルコール類、C
2−C
10エーテル類、C
3−C
6アルキルアセテート類、C
3−C
10ケトン類、C
5−C
8脂肪族炭化水素類、C
1−C
6塩素化炭化水素類、C
3−C
8アルキルカーボネート類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、クロロベンゼンおよびそれらの組み合わせから選択される、実施形態A6の方法である。
【0079】
実施形態A8は、前記有機溶媒が酢酸、プロピオン酸、アセトニトリル、プロピオニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、クロロベンゼンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A7の方法である。
【0080】
実施形態A9は、前記有機溶媒が酢酸、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A8の方法である。
【0081】
実施形態A10は、式(II)の化合物を約0℃から約60℃の温度でハロゲン化水素と反応させる、実施形態A1からA9のいずれか一つの方法である。
【0082】
実施形態A11は、前記温度が約10℃から約30℃である、実施形態A10の方法である。
【0083】
実施形態A12は、R
2がC
1−C
10直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素である、実施形態A1からA11のいずれか一つの方法である。
【0084】
実施形態A13は、R
2がC
3−C
10分岐の脂肪族炭化水素である、実施形態A1からA11のいずれか一つの方法である。
【0085】
実施形態A14は、式(III)の化合物を、カルボン酸ハライド[RC(O)Y](RはC
11−C
29直鎖ヒドロカルビル基であり、YはClまたはBrである。)と反応させる、実施形態A1からA13のいずれか一つの方法である。
【0086】
実施形態A15は、RがC
12−C
25直鎖脂肪族飽和もしくは不飽和ヒドロカルビル基である実施形態A14の方法である。
【0087】
実施形態A16は、前記カルボン酸ハライドがオレイン酸クロライドである実施形態A14の方法である。
【0088】
実施形態A17は、式(III)の化合物を、カルボン酸無水物[RC(O)C(O)R
2](Rは、C
11−C
29直鎖飽和または不飽和脂肪族ヒドロカルビル基であり、R
2はC
1−C
10直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素である)と反応させる、実施形態A1からA13のいずれか一つの方法である。
【0089】
実施形態A18は、RがC
12−C
25直鎖飽和または不飽和ヒドロカルビル基である実施形態A17の方法である。
【0090】
実施形態A19は、式(III)の化合物を、有機溶媒をさらに含む反応混合物中、カルボン酸無水物[RC(O)OC(O)R
2]またはカルボン酸ハライド[RC(O)Y]と反応させる、実施形態A1からA18のいずれか一つの方法である。
【0091】
実施形態A20は、前記有機溶媒がC
2−C
6ニトリル類、C
2−C
10エーテル類、C
3−C
6アルキルアセテート類、C
3−C
10ケトン類、C
5−C
8脂肪族炭化水素類、C
1−C
6塩素化炭化水素類、C
3−C
8アルキルカーボネート類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、クロロベンゼンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される実施形態A19の方法である。
【0092】
実施形態A21は、前記有機溶媒がアセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、ジクロロベンゼンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A20の方法である。
【0093】
実施形態A22は、前記有機溶媒がアセトニトリル、プロピオニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフランおよびそれらの組み合わせを含む、実施形態A21の方法である。
【0094】
実施形態A23は、式(III)の化合物を、約0℃から約120℃の温度でカルボン酸無水物またはカルボン酸ハライドと反応させる実施形態A1からA22のいずれか一つの方法である。
【0095】
実施形態A24は、前記温度が約20℃から約120℃である実施形態A23の方法である。
【0096】
実施形態A25は、前記温度が約40℃から約85℃である実施形態A24の方法である。
【0097】
実施形態A26は、式(IVa)の化合物を塩化ナトリウム水溶液と接触させて、式(IVb)の化合物を提供する、実施形態A2からA25のいずれか一つの方法である。
【0098】
実施形態A27は、式(IVa)の化合物を、有機溶媒をさらに含む反応混合物中で塩化ナトリウム水溶液と接触させる、実施形態A26の方法である。
【0099】
実施形態A28は、前記有機溶媒がC
2−C
6ニトリル類、C
2−C
10エーテル類、C
3−C
6アルキルアセテート類、C
3−C
10ケトン類、C
5−C
8脂肪族炭化水素類、C
1−C
6塩素化炭化水素類、トルエン、クロロベンゼンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A27の方法である。
【0100】
実施形態A29は、前記有機溶媒がアセトニトリル、プロピオニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチル−tert−ブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トルエン、クロロベンゼンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A28の方法である。
【0101】
実施形態A30は、前記有機溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、およびそれらの組み合わせを含む、実施形態A29の方法である。
【0102】
実施形態A31は、式(IVa)の化合物を、約0℃から約60℃の温度で塩化ナトリウム水溶液と接触させる、実施形態A27からA30のいずれか一つの方法である。
【0103】
実施形態A32は、前記温度が約10℃から約30℃である実施形態A31の方法である。
【0104】
実施形態A33は、式(IVb)の化合物を、式(IVb)の化合物および有機溶媒を含む反応混合物中で加熱する、実施形態A2からA32のいずれか一つの方法である。
【0105】
実施形態A34は、前記有機溶媒が、C
2−C
6ニトリル類、C
1−C
6アルコール類、C
2−C
10エーテル類、C
3−C
6アルキルアセテート類、C
3−C
10ケトン類、C
5−C
8脂肪族炭化水素類、C
1−C
6塩素化炭化水素類、C
3−C
8アルキルカーボネート類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、クロロベンゼンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A33の方法である。
【0106】
実施形態A35は、前記有機溶媒が、アセトニトリル、プロピオニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、プロピレンカーボネート、スルホラン、ジメチルスルホキシド、トルエン、クロロベンゼンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態A34の方法である。
【0107】
実施形態A36は、前記有機溶媒がクロロホルムおよびメタノールを含む実施形態A35の方法である。
【0108】
実施形態A37は、式(IVb)の化合物を含む前記反応混合物がさらに塩基を含む、実施形態A33からA36のいずれか一つの方法である。
【0109】
実施形態A38は、前記塩基が弱塩基である実施形態A37の方法である。
【0110】
実施形態A39は、前記塩基が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、3級アミンまたはそれらの混合物である、実施形態A38の方法である。
【0111】
実施形態A40は、式(IVb)の化合物および有機溶媒を含む前記反応混合物が、モレキュラーシーブス、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、活性炭またはそれらの組み合わせからなる群から選択される脱水剤をさらに含む、実施形態A33からA39のいずれか一つの方法である。
【0112】
実施形態A41は、式(IVb)の化合物および有機溶媒を含む前記反応混合物を、約20℃から約100℃の温度に加熱する、実施形態A33からA40のいずれか一つの方法である。
【0113】
実施形態A42は、式(IVb)の化合物および有機溶媒を含む前記反応混合物を、約40℃から約80℃の温度に加熱する、実施形態A41の方法である。
【0114】
実施形態A43は、式(IVb)の化合物および有機溶媒を含む前記反応混合物を、約50℃から約70℃の温度に加熱する、実施形態A42の方法である。
【0115】
実施形態A44は、式(IV)の化合物の加熱によって式(I)の化合物を含む生成物混合物を生成し、前記方法が、当該生成物混合物を濾過して、固体分画および式(I)の化合物を含む濾液を形成することをさらに含む、実施形態A1からA43のいずれか一つの方法である。
【0116】
実施形態A45は、式(I)の化合物を、前記生成物混合物濾液から回収し、溶媒による洗浄、再結晶またはクロマトグラフィー法によって精製する、実施形態A44の方法である。
【0117】
実施形態A46は、前記生成物混合物濾液を溶媒で洗浄してスラリーを形成し、式(I)の生成物化合物を濾過によって当該スラリーから回収し、当該生成物が少なくとも95%の純度を有する、実施形態A44の方法である。
【0118】
実施形態A47は、前記生成物混合物濾液をシリカカラムに通し、式(I)の生成物化合物を回収し、当該生成物が少なくとも95%の純度を有する、実施形態A44の方法である。
【0119】
実施形態A48は、式(I)の化合物が1−[2−(9(Z)−オクタデセノイルオキシ)エチル]−2−(8(Z)−ヘプタデセニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロライド(DOTIM)である実施形態A1からA47のいずれか一つの方法である。
【化16】
【0120】
実施形態B1は、式(I)の化合物:
【化17】
【0121】
(式中、Rは炭素原子11から29個の直鎖脂肪族飽和もしくは不飽和ヒドロカルビル基である。)の製造方法であって、
有機溶媒および塩基を含む反応混合物中で式(IV)の化合物を加熱して、式(I)の化合物を提供すること
【化18】
【0122】
(式中、Rは式(I)について上記で定義の通りであり、XはCl、BrもしくはIである。)
を含む方法である。
【0123】
実施形態B2は、前記方法が、式(IVa)の化合物(XはClではない。)を塩化ナトリウム水溶液で洗浄して式(IVb)の化合物を提供することをさらに含み、前記反応混合物が式IV(b)の化合物を含む、実施形態B1の方法である。
【化19】
【0124】
実施形態B3は、前記塩基が弱塩基である実施形態B1またはB2の方法である。
【0125】
実施形態B4は、前記塩基が、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、3級アミンまたはそれらの混合物である、実施形態B1からB3のいずれか一つの方法である。
【0126】
本発明またはそれの好ましい実施形態の要素を組み入れる場合、「一つの(a)」、「一つの(an)」、「その(the)」および「前記」という冠詞は、その要素が1以上あることを意味するものである。「含む(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」という用語は、列記されている要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味するものである。
【0127】
上記を考慮すると、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が得られることがわかるであろう。
【0128】
本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、上記の組成物および方法において各種の変更を行うことが可能であると考えられることから、上記の説明に含まれ、本明細書において提供される全ての事項が、説明を目的とするものであり、本発明を限定するものではない。