(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843777
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】向き合った回転ダイを利用する異形材の押出成形
(51)【国際特許分類】
B21H 8/00 20060101AFI20210308BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20210308BHJP
【FI】
B21H8/00 A
B29C48/08
【請求項の数】29
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-568416(P2017-568416)
(86)(22)【出願日】2016年7月4日
(65)【公表番号】特表2018-523579(P2018-523579A)
(43)【公表日】2018年8月23日
(86)【国際出願番号】SE2016050683
(87)【国際公開番号】WO2017007410
(87)【国際公開日】20170112
【審査請求日】2019年5月17日
(31)【優先権主張番号】1530102-1
(32)【優先日】2015年7月4日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】518001900
【氏名又は名称】レリーフェード アクツィエブーラーグ
【氏名又は名称原語表記】Reliefed AB
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーク ヤンソン クラフ
【審査官】
山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−522647(JP,A)
【文献】
特表2011−504420(JP,A)
【文献】
実開昭51−107830(JP,U)
【文献】
特開昭61−209123(JP,A)
【文献】
特開昭61−071143(JP,A)
【文献】
特開平09−295039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21H 5/00、7/14、8/00
B29C 48/00 − 48/96
B21C 23/08、25/02、35/02
B21J 1/00 − 13/14、17/00 − 19/04
B21K 1/00 − 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異形材の断面および変動を完全にまたは部分的に規定する複数のいわゆる回転ダイ(2)と協働する1つまたは複数の静的部分母型(6)を有する、固定または可変の断面の1つまたは複数の異形材(12)に塑性的/熱的に変形可能な材料(11)を押出成形するための装置(100)であって、前記複数の回転ダイ(2)の面(1)は、該回転ダイ(2)に作用する反対向きの半径方向の力を伝達し打ち消すようにそれぞれ接触していることを特徴とする、装置(100)。
【請求項2】
前記面(1)は動力伝達面であり、前記回転ダイ(2)の成形面部分(3)によって構成されていないことを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
押出成形される異形材(12)の反対側のためのダイとして働く外側の回転ダイ(4)をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
2つの可動なベアリングインサート(13)が上下の静的ベアリング面に設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の装置。
【請求項5】
前記回転ダイ(2)は、コア部分(16a)に配置されており、押出成形される中空セクション(22)の内側における回転ダイを用いた押出成形を可能にしていることを特徴とする、請求項1または2記載の装置。
【請求項6】
静的ツール部分(16b)における可動なベアリングインサート(13)は、前記押出成形される中空セクションの材料厚さの調節を許容し、前記可動なベアリングインサート(13)を昇降させることができる、請求項5記載の装置。
【請求項7】
ツールボア部分(16b)は、外側の回転ダイ(4)であることを特徴とする、請求項5記載の装置。
【請求項8】
前記外側の回転ダイ(4)を昇降させることができることを特徴とする、請求項7記載の装置。
【請求項9】
高さ調節可能な回転ダイ(4a,4b)は、可変高さ/調節可能なプレベアリング部(18)と組み合わされている、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記外側の回転ダイ(4)を昇降させることができることを特徴とする、請求項3記載の装置。
【請求項11】
高さ調節可能な前記外側の回転ダイは、可変高さ/調節可能なプレベアリング部(18)と組み合わされていることを特徴とする、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記回転ダイ(2)は、組み込まれた、半径方向の力のための軸受(10)を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
半径方向の力を互いに実質的に打ち消し合う、対を成した、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20個またはそれ以上の内側の回転ダイ(2)を有することができることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記回転ダイ(2,4)は、該回転ダイと押出成形される材料との間に回転ベアリング面を有し、該回転ベアリング面は、静的ベアリング面よりも、流れる材料に対する抵抗または摩擦が小さいことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、単位時間当たりの速度/体積を変化させ、それによって、材料のインプット量は押出成形/引抜き成形ツールをフィードし、アウトプット異形材においてできるだけこのような一定の出口速度を許容するかまたは出口速度を減じ、それを、出ていく材料のフレーキング/過熱のリスクを回避するために、より小さな異形材領域が走行されるとき、材料量のフィードを、出ていく断面積および厚さプロフィルにおける変化と同期化させることによって行うことを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記回転ダイ(2,4)は、該回転ダイと押出成形される材料との間に回転ベアリング面を有し、起動は、出ていく材料を、ベアリング面および回転ダイによって規定された後に30cm以内だけ保持しかつ引っ張り、押出成形方向に引っ張り始めることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の装置を用いて押出成形する方法。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか1項記載の装置によって、固定のまたは可変の断面の1つまたは複数の異形材(12)に塑性的/熱的に変形可能な材料(11)を押出成形する方法であって、前記回転ダイ(2)と接触する塑性的/熱的に変形可能な材料(11)を成形するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項18】
前記面(1)は、前記回転ダイ(2)の成形する面部分(3)によって構成されていないことを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
外側の回転ダイ(4)が、押出成形される異形材(12)の反対側を形成することを特徴とする、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数の可動なベアリングインサート(13)の位置を変化させることによって、前記押出成形される異形材の材料厚さを変化させることを特徴とする、請求項17または18記載の方法。
【請求項21】
異形材厚さ(15b,15a)に対してできるだけ一定に保たれるように支持長さ(14b,14a)を変化させることにより、可変のベアリングインサートを許容することによって、ベアリング面は、プレベアリング部とともに、より長いベアリング面を形成することを特徴とする、請求項17から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
コア部分(16a)に配置された前記回転ダイ(2)を使用し、前記コア部分(16a)は、前記回転ダイ(2)と一緒に、前記押出成形される中空セクション(22)の内側を成形することを特徴とする、中空セクションの押出成形のための請求項17から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
1つまたは複数の可動なベアリングインサート(13)の位置を変化させることによって、押出成形される中空異形材の材料厚さを変化させる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記外側の回転ダイ(4)は、押出成形される中空異形材の外側のためのダイとして働く、請求項19を引用する請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記外側のダイ(4)を上昇/下降させることによって、出ていく異形材の厚さを変化させる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記回転ダイ(4a,4b)を上昇/下降させることによっておよび/またはプレベアリング部(18)を上昇/下降させることによって、厚さおよびパターンを制御することができる、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記外側の回転ダイ(4)の上昇/下降によって厚さおよび/またはパターンを変化させる、請求項19または24記載の方法。
【請求項28】
プレベアリング部(18)を上昇/下降させることと組み合わされた、上昇/下降される外側の回転ダイによって、厚さおよび/またはパターンを変化させる、請求項17から27までのいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記装置は、単位時間当たりの速度/体積を変化させ、それによって、材料のインプット量は押出成形/引抜き成形ツールをフィードし、出ていく異形材においてできるだけこのような一定の出口速度を許容するかまたは出口速度を減じ、それは、出ていく材料のフレーキング/過熱のリスクを回避するために、より小さな異形材領域が走行するとき、材料量のフィードを、出ていく断面積および厚さプロフィルにおける変化と同期化させることによって行われることを特徴とする、請求項17から28までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属、複合金属、プラスチック、複合材またはゴムなどの塑性的/熱的に成形可能な材料の工業的な連続的なプレシング、いわゆる押出成形を可能にする装置および方法に関する。成形可能な材料はプロセスによって異形材(profile)にプレスされる。プロセスは、ツール固定された部分を含み、この部分は、材料が回転ダイを通過するときに異形材形状が最終的に固定のまたは可変の断面に最終的に規定される前に、異形材形状/断面を部分的に予め規定する。回転ダイは、パターン付けされていてもよいし滑らかであってもよく、互いに接触することにより、主要な半径方向の力を互いに打ち消し合う。その位置は、本発明の幾つかの実施の形態において、ツールにおける他のベアリング面(13)または回転ベアリング面に対して変化してもよく、それにより、回転ダイがパターン付けされているか否かにかかわらず、それらは、異形材の最終形状を規定する。
【0002】
本発明は、中空セクションの内側におけるパターンの押出成形を可能にし、半径方向支持力の80〜98%を排除する。これは、製造ツールのコストを低減し、半径方向の力が成形物の幅を制限しないとき、新たな可能性を開拓する。
【0003】
さらに、本発明は、可変の断面を備える異形材を製造するために、押出成形/引抜き成形された異形材において生じる、可変の出力速度、可変の延伸および引張り力+押圧力の問題を解決する。
【背景技術】
【0004】
銅、チタンおよびアルミニウムなどの加熱された金属などの塑性変形可能な材料の連続的なプレス成形、いわゆる押出成形では、ブランクは、異形材の断面を規定する開口を通過する。
【0005】
幾つかのバリエーションを提供するために、回転ダイを用いて押出成形するために従来の試みがなされてきたが、これは、特にベアリング荷重が高いことに起因する問題があった。
【0006】
しばしば、異なる用途において、パターン、歯、可変の壁厚、スリップ防止面、一体化されたロゴなどを備える梁および異形材を有することが望まれる。なぜならば、全体が同じ断面および外観を有する輪郭は、建設、消費者製品、構造的用途、運輸、宇宙、自動車および設計などの分野において、設計、機能および性能に関する顧客の製品および用途の要求を満足させるという要件を満たさないからである。まず異形材を製造してから、可変の厚さ/パターンを得るために機械加工するという従来の方法は、通常、加工および機械加工機器のための大きなコストを必要とする。まず押出成形してから、異形材を加工するための代替的な方法は、押出成形中に、パターンづけされた回転ダイを使用することであり、異形材の断面が規定されながら、異形材に「負のくぼみ」を残していく。
【0007】
これは、技術文書に説明されている(例えば、「エンボス加工されたフレキシブルな異形材をどのように押出成形するか」という方法、ピエール・ハメル(Pierre Hamel)、プラスチックス・エンジニアリング・ベルト36、第6巻、1980年6月、第34頁〜第35頁)。この技術文書は、パターンづけされたプラスチック異形材を押出成形する回転ダイをどのように使用するかを説明している(
図1の彫刻ホイール参照)。
【0008】
パターンを有する異形材を得るための別の方法は、革新者D.ツェカイ(D.Czekay)によって欧州特許第1272330号明細書に記載されており、この方法は、循環する「キャタピラ軌道状の」スタンピングボディを使用し、そのレリーフ状のエンボス加工パターンが、押出成形される異形材とほぼ同じペースで移動する。
【0009】
回転するダイを用いた押出成形を説明している、本願発明者マーク・ジャンソン(Mark Jansson)の別の特許は、スウェーデン国特許発明第504300号明細書であり、段状の異形材をどのように押出成形するかを説明している。しかしながら、次のような場合、記載された特許に従って進行することは通常不可能である。すなわち、例えば、十分な可塑性を達成するために高い圧力を必要とする材料を押出成形する場合、回転ダイが曝される力があまりに大きく、ダイが曲げられ、ダイを保持しているベアリングが破損するような場合である。アルミニウム、銅、マグネシウム、チタン、金属複合材料などの押出成形においては、1平方センチメートル当たり数千キログラムの圧力が要求されることがあり、これにより、スウェーデン国特許発明第504300号明細書に記載された方法を放棄する。これは、両方の力と材料流れ条件による。
【0010】
スウェーデン国特許発明第514815号明細書は、回転ダイによる押出成形に対して、より現実的なバージョンを提供する、本願発明者らにより発明された方法のうちの1つを示している。この特許は、1980年のピエール・ハメル技術文書との極めて強い類似性を有している。
【0011】
出願人のスウェーデン国特許発明第531821号明細書には、起動時に即座に異形材を引っ張りかつ操縦する異形材延伸装置を使用して、起動における問題をどのように回避するかが示されている。押出成形の起動を促進するために、昇降する回転ダイを用いてどのように加工するかも示されている。
【0012】
スウェーデン国特許発明第504300号明細書およびスウェーデン国特許発明第514815号明細書の双方は、ピエール・ハメルの教示による回転ダイを用いる押出成形のための手順を説明していると言うことができる。
【0013】
スウェーデン国特許発明第514815号明細書は、実用上、可変の厚さおよび可変のトレッド深さを備える異形材を押出成形するとなると、可能性が極めて制限される。なぜならば、係合付着および回転ダイの表面と押出成形される材料との間の付着により、起動時の薄く弱い壁の間の付着に関する問題が生じるからである。
【0014】
同じことが、厚さに対して大きなトレッド深さを有する異形材を形成する場合に当てはまり、異形材は、ほぼ起動時およびビレット変化時に回転ダイに「従う」傾向があり、これは、プロセス停止およびツール故障の極めて高いリスクを意味する。
【0015】
さらに、進行する、準ずるスウェーデン国特許発明第514815号明細書およびその他の文書においては、内側にパターンを有する中空セクションを押出成形することができず、回転ダイ、シャフトおよびベアリングにおける極めて高い半径方向荷重に常に抵抗し、高価なツールを生じさせかつ異形材の幅、インプリント深さおよび大きなツールに関する問題における制限を生じる。大きな支持力は、回転ダイの脇にベアリングを有することを強制されてきたことを意味する。なぜならば、回転ダイ内に十分に強いベアリングを組み込むことが不可能であったからである。
【0016】
その結果、実用上、技術的および/または経済的理由から、大きな力がこれまでは回転ダイのシャフト端部における大きなベアリングを要求していたことにより、1つのツールにおいて2つ以上の金属異形材を同時に押出成形することはほとんど不可能であった。ツール内におけるそのためのスペースは制限されており、それはツールを弱くする。なぜならば、これは、ベアリングを挿入するためにそのツールから大量の材料の除去を必要とするからである。
【0017】
さらに、断面積の変化のための可能性は、これまで、回転ダイペリメータおよびバリエーションが構成する周期的プロセスによって、実用上、制限されていた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、圧力降下および出口速度の変化等の要因を考慮することにより、現実において厚さおよびトレッド深さの変化を可能にする。圧力降下および出口速度の両方は、異形材の出口領域/断面を変化させるときに変化する。
【0019】
減少した出口領域=増大した圧力降下および押出成形/引抜き成形ダイへの材料供給側における一定の速度は、より高い出口速度、および潜在的に、増大した温度および常軌を逸した結果的な異形材に関する大きな問題を生じる。例えば、半分の出口領域は、押出成形材料の連続供給において、出口速度を倍増させ、これは多かれ少なかれ、基礎異形材における変化する品質に関する大きなプロセス問題につながる付加物であり、プロセスブレークダウンを生じやすい。なぜならば、出ていく異形材が、急速に加速および減速しければならず、その結果、ツールの出口、ベアリングにおいて直接的に、出ていく材料の背圧と張力荷重との間の極めて大きな変化した荷重を生じるからである。そこでは、材料は、最も高温でかつ柔軟であり、連続的な延伸/制御に最も依存し、その結果、異形材は容易に制御を失い、回転ダイと接触し、ツール出口を詰まらせ、ブレークダウンのプロセスが事実である。別の態様は、異形材の最大押出成形および断面積と、押出成形/引抜き成形された異形材の厚さとの間の依存であり、これは、特に、ビレット供給押出成形ラインにおいて特に敏感であり、いわゆる押出し比は極めて重要である(押出し比=出ていく異形材領域に関するインゴットからの入力材料領域)。高い押出し比は、特に熱形成およびフレーキングにより、押出成形/引抜き成形された異形材の最大出口速度を減少させる。
【0020】
フレーキングは、高速で押出成形/引抜き成形しようとするときに生じる現象である。出口異形材は、保持するのが困難であった。これは、出ていく異形材とベアリング面との間の摩擦の力、領域減少、出ていく材料の最大速度を超えるかそれに近づくこと、押出成形/引抜き成形方向を通常横切るき裂による。言い換えれば、増大した領域減少の結果、スケーリングのリスクの増大を生じるのに対し、速度は、出ていく異形材上で増大する。言い換えれば、このことを考慮しないならば、押出成形/引抜き成形ツール内への供給の結果、減少した断面積が存在するときに異形材がより高速で移動する(出ていく材料のフレーキングおよび/または過熱を生じない減じられた出口速度を有することがむしろ賢明であろう)。この課題は、本発明によれば、押出成形/引抜き成形ツールが供給する材料の単位時間当たりの速度/体積を変化させ、これにより、出ていく異形材においてできるだけ一定の出口速度を許容するかまたは出口速度を減じ、これにより、より小さな異形材領域が走行するときに、出ていく材料のフレーキング/過熱のリスクを回避することによって、解決される。
【0021】
もちろん、これは、引っ張られた異形材を保持する同期化引張装置を有する。
【0022】
本発明の実施は、全てのタイプの押出成形ラインにおいて適用可能であり、最小限のプラントの適応でまたはプラントの適応の必要なしに、液圧式金属押出成形プラント、ゴム_プラスチックへのスクリュエクストルーダを含み、押出しラインなどに従う。
【0023】
本発明の目的は、1つまたは複数の異形材の反復可能な工業生産を可能にすることであり、パターンおよび/または可変の断面を有することができ、大きな支持力に関する問題を解決する。これは、以下のことを可能にする。1.内側にパターンを有する中空セクションを形成する、2.ツール内により多くの回転ダイおよびそのベアリングを取り付け、これは、複数の異形材を同時に押出成形するツールを形成することを許容する(より小さな異形材の効率的な製造のための必要性)、3.ツールをより安価に、より複雑でなく、よりコンパクトにする。
【0024】
本発明は、さらに、回転ダイの円周に対応するサイクルに限定することなく、所望のサイクルの異形材断面の変化を可能にする。
【0025】
厚さを変化させるかつ/またはトレッド深さを変化させる+排除するための能力は、起動およびビレット変化における押出成形された異形材の間の付着を最小限に減じることができる一方で、これらの瞬間においてより厚い異形材壁部を可能にし、さらに、プロセスをさらに安定させ、回転ダイを用いた商業的押出成形の成功をこれまで妨害していたこれらの問題を排除する。
【0026】
従来技術と異なり、互いに接触しかつ互いに半径方向の力を打ち消す2つの回転ダイが使用され、これは、実質的に、半径方向の力を排除し、これにより、大きな嵩張るラジアルベアリングの必要性および問題を低減する。
【0027】
文脈、術語および特許において使用される用語の説明
押出成形:
圧力をかけられた材料が、出ていく材料の断面および外観を規定する穴を有する異形材成形ツール(ダイとも呼ばれる)を押し通される作業。
【0028】
ダイナミック押出成形:
圧力をかけられた材料が成形ツールを押し通される方法であり、1つまたは複数の面におけるパターン例の形式および断面および/または製品厚さの寸法変化の形式において、多様な断面、円周または形状を異形材に提供する。
【0029】
ダイ:
一般に、異形材製造ツールのために専門家によって使用される名称である。
【0030】
回転ダイ:
ダイ内の回転する異形材成形部材/機関。
【0031】
圧力降下:
ツールによる圧力の減少は、面積減少、プラスチックの典型的な加工および摩擦の結果である。圧力の結果、金属押出成形において、大量のエネルギが熱に変換される。「圧力降下バランシング」によって、ツール内の圧力降下に対する調節を行い、出ていく材料は、全ての部分において同じ速度を得る。
【0032】
流れアンバランス:
アンバランスとは、出ていく材料が、異形材断面のある部分においてより高い速度またはより低い速度で出ることまたは出たいことを意味する。アンバランスなツール内で押出成形された異形材は、(内部張力により)耐久性が低くなることがあり、凹むまたは曲がる傾向があり、回転ダイを用いる押出成形において、しばしばプロセスブレークダウンの結果となる。
【0033】
ベアリング面:
押出成形される材料が圧力をかけられながら通過する最も小さな断面における押出成形ダイの面は、これにより、異形材の断面および外観を最終的に規定するための面を構成している。
【0034】
静的ベアリング面:
押出成形される材料が、出ていく異形材速度の相対速度で通過するベアリング面である。なぜならば、このベアリング面は、静的であるからである。したがって、静的ベアリング面と押出成形される材料との間に速度差が存在することを意味し、その結果、大きな摩擦および熱を生じる。ベアリング面の長さを調節することにより、出ていく材料の全体の摩擦量ひいては圧力および速度を調節することができる。
【0035】
回転ベアリング面:
回転ベアリング面は、異形材の断面を規定する回転するダイ/部材の表面であり、パターンを可能にしかつ壁厚変化を形成する。回転ベアリング面は、一般に、静的ベアリング面よりも著しく小さい、流れる材料に対する抵抗/摩擦を生じる。静的ベアリング面は、以前は、回転ベアリング面によって規定される異形材断面の様々な部分と、静的ベアリング面によって規定される部分との間のアンバランスに関する大きな問題を生じていた。
【0036】
プレベアリング部/プレベアリング面
押出成形された材料が、回転するダイ/成形部材およびその回転するベアリング部に到達する前に通過する表面積である。プレベアリング部は、材料断面を大幅に縮小するので、後続の回転ダイは、押出成形される材料から、不必要に大きな力を受けなくてもよい。プレベアリング部は、上流のダイ内の先行する形状と組み合わせて、ダイを通る材料流の制御および/またはレデュレーションのための中心的役割を有する。
【0037】
引張装置/異形材引張装置
金属異形材の押出成形において、押出成形を停止させ、異形材を掴み、次いで、異形材を引っ張り、次いで、押出成形を再開するために、通常の引張装置(通常はダイから3〜7m)に達するために十分な異形材を絞り出すことが一般的である。
【0038】
塑性的に熱的に変形可能な材料を回転する成形ダイユニットによって押出成形することは、例えば、金属、ゴム、プラスチック、金属複合材、セラミックおよびプラスチック複合材をダイとも呼ばれる押出成形ツールによってプレスすることを意味する。ダイは、静的なダイに組み込まれた1つまたは複数のいわゆる回転ダイを有する。ある程度における断面は、ピエール・ハメル技術文書で述べられるように、加圧されたゾーン内の押出成形された材料が回転ダイに到達する前に規定され、その外側半径は可能である。パターンは、他のベアリング面と協働して、異形材外観および断面を規定する回転ベアリング面と呼ばれる。これらの課題は、本発明によって達成され、以下に、様々な実施の形態において説明される。
【0039】
ダイは、パターンを有するかまたは滑らかである、または双方の組合せであってもよい。外側の回転ダイを、プロセス内の他のサイクルから独立して昇降させることができる。これは、可動なベアリングインサートおよび高さ調節可能なベアリング部にも当てはまる。可変の外側ダイ、ベアリングインサートおよびプレベアリング部(forbaringarna)は、あらゆる長さサイクルの厚さおよびパターンの変化を可能にする。これらは、起動およびビレット変化を容易にすることも可能にする。それは、最も厚い異形材および外側の回転ダイの最小限のインプリントでのツールの起動を保証することによってなされ、全ては、回転するダイと押し出される材料との間の付着のリスクを減じながら、最大限の異形材安定性を得るためである。押出成形された材料と回転ダイとの間の温度差を維持し、さもなければ互いに付着する回転ダイと異形材との過熱を回避するために、回転するダイは冷却されるべきである。
【0040】
以下、本発明を添付の図面を参照して説明する。添付の図面は例として本発明の好適な実施の形態を示している。発明は、図面の典型的な実施の形態に示されたものに限定されず、当業者は、様々な態様の複数の組合せにおいて、より多くの回転ダイを用いて実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】2つの滑らかな異形材を押出成形する、本発明の第1の実施の形態を示している。
【
図2】一方の側にパターンを有する2つの異形材を押出成形する、本発明の第2の実施の形態を示している。
【
図3】本発明の第2の実施の形態の側面図および出口を示している。
【
図4】本発明の第2の実施の形態の側部および出口から見た断面図を示している。
【
図5】2つの異形材の両側にパターンを形成するための、本発明の第2の実施の形態の入口側および出口を示している。
【
図6】2つの異形材の両側にパターンを形成するための、第2の実施の形態の断面図を示している。
【
図7】第2の実施の形態によるツールにおいて異なるアキシアル軸受およびラジアル軸受をどのように構成することができるかを示している。
【
図8】ベアリング部の位置および長さを変化させることによって、出てくる異形材の材料厚さを変化させる、本発明の第3の実施の形態を示している。
【
図9a】支持長さおよび厚さプロフィルの関係が、可変の厚さにおいてどのように合理的に一定に保たれるかを示しており、これは、流れと安定したプロセスとをバランスさせるために重要である。
【
図9b】支持長さおよび厚さプロフィルの関係が、可変の厚さにおいてどのように合理的に一定に保たれるかを示しており、これは、流れと安定したプロセスとをバランスさせるために重要である。
【
図10】可変の厚さを有する中空セクションを押出成形するための第4の実施の形態における本発明の入口、側部および出口(utloppsvy)を示している。
【
図11】
図10における本発明の出口および側面図を示している。
【
図12】内側および外側の両方にパターンを有する中空セクションの押出成形を可能にする、本発明の第5の実施の形態を示している。
【
図13】分離された2つの静的なヘッド部分および第5の実施の形態の断面図を示している。
【
図14】内側および外側にパターンを有する中空異形材の押出成形を可能にする一方で、厚さおよび外側のパターンを変化させることができる、本発明の第6の実施の形態を示している。
【
図15】内側および外側にパターンを有する中空異形材の押出成形を可能にする一方で、厚さおよび外側のパターンを変化させることができる、本発明の第6の実施の形態を示している。
【
図16】厚さおよびパターンを変化させるさらなる可能性を提供する調節可能なプレベアリング部を有する、本発明の第7の実施の形態を示している。
【
図17】回転ダイの位置を変化させることによってどのようにパターンが変化することができるかを示している。
【
図18】回転ダイおよび調節可能なベアリング部の位置を変化させることによってどのように厚さおよびパターンを変化させるかを示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明の第1の実施の形態を概略的に示している。本発明の第1の実施の形態は、静的ベアリング面と、2つの一体化された回転ダイ(2)とを備える、固定されたツール部分(6)から成る。2つの一体化された回転ダイ(2)は、協働して、入ってくる材料(11)を、2つの押出成形された滑らかな異形材に形成する。2つの回転ダイ(2)は、互いに接触している。プラスチック加工物から生じる反対向きの力が互いに生じる。例としての実施の形態による装置は、ここでは、全体が符号100によって示されている。
【0043】
図2は、一方の側にパターンを有する2つの異形材を押出成形する、本発明の第2の実施の形態を示している。この実施の形態では、外側の回転ダイ(4)は内側の回転ダイ(2)に対する反対面(oponentsidorna)で設計されており、歯形ラックパターンが達成されている。内側の回転ダイは、ここでは、成形面(3)が、プラスチック加工物から生じる反対向きの力を伝達しかつ均一化させる面(1)と同じではないように、構成されている。
【0044】
図3は、本発明の第2の実施の形態の側部および出口を示している。
図3は、固定されたツール部分(6)において回転ダイに隣接して小さな穴(5)のみを必要とすることを明らかにしており、その結果、頑強で安価なツールを生じ、より多くの回転ダイのための多くの空間を備え、ひいては、一度に複数の異形材を押出成形する比較的単純なツールを形成することができる。
【0045】
図4は、本発明の第2の実施の形態の側部および出口からの断面図を示しており、回転ダイの軸(7)がどのように組み込まれているかを示している。
【0046】
図5は、2つの異形材(12)の両側にパターンを形成するための、本発明の第2の実施の形態の入口(8)および出口側を示している。
【0047】
図6は、2つの異形材の両側にパターンを形成するための、第2の実施の形態の断面図を示している。
【0048】
図7は、回転ダイに組み込まれたニードル軸受および滑り軸受(10)によって半径方向の力をどのように受け取ろうとするかを示しており、スラストニードル軸受手段(10)がどのように回転ダイをツールにおける軸方向位置に固定するかを示している。
【0049】
図8は、ベアリング部(13)の位置を変化させることによって、出てくる異形材の材料厚さを変化させる、本発明の第3の実施の形態を示している。
【0050】
図9aおよび
図9bは、固定されたダイ部材における静的ベアリング面が、ベアリングの支持長さの変化と協働することによって、支持長さ(14a,14b)と、異形材厚さ(15a,15b)との関係がどのように可変厚さにおいて合理的に一定に保たれるかを示しており、これは、流れにおけるバランスおよび安定したプロセスを得るために重要である。
【0051】
図10は、可変の厚さを有する中空異形材を押出成形するための第4の実施の形態における本発明の入口、側部および出口を示している。
【0052】
図11は、
図10における本発明の出口および断面図を示している。この図において、内側の回転ダイがツールのコア部分(16a)にどのように配置されているかも見ることができる。
【0053】
図12および
図13は、内側および外側の両方にパターンを有する中空セクション(22)の押出成形を可能にする、本発明の第5の実施の形態を示している。この実施の形態における内側の回転ダイ(2)は、滑らかな部分(1)を有する。滑らかな部分(1)は、プラスチック加工物が生じる反対向きの力を伝達しかつ均一化し、これにより、ラジアル軸受およびシャフトは、より小さな力だけを受ける必要がある。
【0054】
図13は、分離された2つの主要な部分である静的なコア部分(16a)とボア部分(16b)とを示しており、第5の実施の形態の断面図を示している。
【0055】
図14および
図15は、内側および外側にパターンを有する中空異形材の押出成形を可能にする回転ダイの上昇(4b)および減少(4a)によって、厚さおよび外側のパターンを変化させることができる、本発明の第6の実施の形態を示している。本発明のこの実施の形態は、可変の厚さおよび可変のトレッド深さの2つ以上の別個の異形材の押出成形のために実施することもできる。
【0056】
図16は、厚さおよびパターンを変化させるさらなる可能性を提供する調節可能なプレベアリング部(18)を有する、本発明の第7の実施の形態を示している。半分だけ下降したプレベアリング部(18b)と、完全に上昇した回転ダイ(4b)との組合せが、パターンづけされた内側と滑らかな外面(22c)とを備える中空異形材をどのように生じるかも見ることができる(18b+4b=22c)。
【0057】
図17は、調節可能なプレベアリング部(18b)に対して回転ダイ(4a,4b)の位置を変化させることによってパターンがどのように変化することができるかを示している。
【0058】
図18は、回転ダイ(4a,4b,4c)と調節可能なベアリング部(18a,18b)との位置を変化させることによって、中空異形材(22)の押出成形中にどのように厚さおよびパターン(22a,22b,22c)を変化させるかを示している。これは、もちろん、非中空セクションの押出成形中に行うこともできる。