【文献】
SHEN J. et al,Biochem. Biophys. Res. Commun.,357(2007),p.1142-1147
【文献】
SHEN J. et al,Neoplasia,11(6)(2009),p.594-604
【文献】
CHEN W. et al.,J. Mol. Biol.,382 (2008),p.779-789
【文献】
MI´RIAM PE´REZ-TRUJILLO et al,Separation and Identification of Phenolic Compounds of Extra Virgin Olive Oil from Olea europaea L.,Journal of Agricultural and Food Chemistry,2010年,Vol.58, No.16,p.9129-9136
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本発明は、高い親和性で標的抗原(たとえばヒト抗原)に特異的に結合する結合ポリペプチド(たとえば、抗体またはそのフラグメント)を提供する。好ましい実施形態では、本発明の結合ポリペプチドは、高い親和性でPDGFRβ(たとえばヒトPDGFRβ)
に結合し、PDGFRβの活性を抑制する。そのような結合ポリペプチドは、PDGFRβ関連の疾患または不調(たとえば加齢黄斑変性症(AMD))を治療するのに特に有用である。本発明は、結合ポリペプチドのライブラリ、医薬組成物、ならびに結合ポリペプチドをエンコードする核酸、組換え発現ベクター、およびそのような結合ポリペプチドを作るための宿主細胞も提供する。PDGFRβを検出し、PDGFRβ活性を調節する、本発明の結合ポリペプチドを用いる方法も発明に包含される。
【0031】
I.定義
本発明をより容易に理解し得るようにするために、ある用語をまず定義する。
【0032】
本明細書中で用いるように、「PDGFRβ」という用語は、血小板由来成長因子受容体ベータを指す。PDGFRβヌクレオチドおよびポリペプチド配列は当該技術分野で周知である。例示的なヒトPDGFRβアミノ配列はGenBankデポジットGI:45056
83に記載され、例示的なマウスPDGFRβアミノ配列はGenBankデポジットGI:2
26371752に記載される。
【0033】
本明細書中で用いるように、「PDGF」という用語は血小板由来成長因子を指す。PDGFヌクレオチドおよびポリペプチド配列は当該技術分野で周知である。例示的なヒトPDGFアミノ配列はGenBankデポジットGI:4505681に記載され、例示的なマ
ウスPDGFアミノ配列はGenBankデポジットGI:400744に記載される。
【0034】
本明細書中で用いるように、「結合ポリペプチド」という用語は、結合ポリペプチドが標的抗原を特異的に認識するように抗体の抗原結合部位のすべてまたは一部(たとえば、重鎖および/または軽鎖可変ドメインのすべてまたは一部、たとえば重鎖可変ドメインの少なくともHCDR3)を含有するポリペプチドを指す。結合ポリペプチドの非限定的例は、抗体またはそのフラグメント、および抗体の抗原結合部位のすべてまたは一部を備えるように変更された免疫グロブリン様ドメイン(たとえばフィブロネクチンドメイン)を含む。
【0035】
本明細書中で用いるように、「抗体」という用語は、4つのポリペプチド鎖、ジスルフィド結合によって相互接続される2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖、ならびにそのマルチマー(たとえばIgM)を備える免疫グロブリン分子を指す。各々の重鎖は、(VHと略される)重鎖可変領域および重鎖定常領域を備える。重鎖定常領域は、3つのドメインであるCH1、CH2、およびCH3を備える。各々の軽鎖は、(VLと略される)軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を備える。軽鎖定常領域は1つのドメイン(CL1)を備える。VHおよびVL領域は、より保存的な、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域を散在させた、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化可能である。
【0036】
本明細書中で用いるように、抗体の「抗原結合部分」という用語は、抗原に特異的に結合して錯体を形成する、任意の自然発生する、酵素的に入手可能な、合成のまたは遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合フラグメントは、たとえば、抗体の可変ドメインおよびオプションで定常ドメインをエンコードするDNAの操作および発現に係るタンパク質分解または組換え遺伝子工学技術などの任意の好適な標準的技術を用いて、完全な抗体分子から誘導されてもよい。抗原結合部分の非限定的例は、(i)Fabフラグメント、(ii)F(ab´)
2フラグメント、(iii)Fdフラグメント、(iv)Fvフラグメント、(v)一本鎖Fv(scFv)分子、(vi)dAbフラグメント、および(vii)抗体の超可変性領域(たとえば単離された相補性決定領域(C
DR))を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位を含む。二価抗体、三価抗体、四価抗体、および小抗体などの他の操作された分子も「抗原結合部分」という表現内に包含
される。
【0037】
本明細書中で用いるように、「VHドメイン」および「VLドメイン」という用語は、FR(フレームワーク領域)1、2、3、および4、ならびにCDR(相補性決定領域)1、2および3を備えるそれぞれ単一の抗体可変重ドメインおよび軽ドメインを指す(Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest. (NIH Publication No. 91-3242, Bethesdaを参照)。
【0038】
本明細書中で用いるように、「FR1−FR3」という用語は、FR1、CDR2、FR2、CDR2、およびFR3を包含するがCDR3およびFR4領域を排除するVHの領域を指す。
【0039】
本明細書中で用いるように、「不対」という用語は、それぞれ相補VLまたはVHドメインに(共有にまたは非共有に)結合しないVHまたはVLを指す。
【0040】
本明細書中で用いるように、「相補VLまたはVHドメイン」という用語は、それぞれVHまたはVLドメインと関連付けてVH/VL対を形成するVLまたはVHドメインを指す。
【0041】
本明細書中で用いるように、「VH/VL対」という用語は、単一のVHドメインおよび単一のVLドメインの非共有二量体を指し、VLおよびVHドメインは完全な四量体免疫グロブリン分子で観察されるのと同じ態様で関連付けられ、二量体は少なくとも1つの標的抗原に特異的に結合することができる。「安定したVH/VL対」は、生理的条件下で置換VHおよびVLドメインの大きな解離を呈しないVH/VL対である。
【0042】
本明細書中で用いるように、「CDR」または「相補性決定領域」という用語は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両者の可変領域内に見出される不連続抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域は、Kabat et al., J. Biol. Chem. 252, 6609-6616 (1977)および
Kabat et al., Sequences of protein of immunological interest. (1991)によって、
ならびにChothia et al., J. Mol. Biol. 196: 901-917 (1987)によって、ならびにMacCallum et al., J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996)によって記載され、ここでは、定義は、互いに対して比較されると重なり合うアミノ酸残基またはアミノ酸残基のサブセットを含む。以上引用される文献の各々が定義するようなCDRを包含するアミノ酸残基は比較のために記載される。好ましくは、「CDR」という用語は、配列比較に基づいてKabat
によって定義されるようなCDRである。
【0043】
本明細書中で用いるように、「フレームワーク(FR)アミノ酸残基」という用語は、免疫グロブリン鎖のフレームワーク領域中のそれらのアミノ酸を指す。本明細書中で用いられるような「フレームワーク領域」または「FR領域」という用語は、可変領域の一部であるが、(たとえば、CDRのKabatの定義を用いる)CDRの一部ではないアミノ酸
残基を含む。
【0044】
本明細書中で用いるように、「に特異的に結合する」という用語は、少なくとも約1×10
-6M、1×10
-7M、1×10
-8M、1×10
-9M、1×10
-10M、1×10
-11M、1×10
-12Mもしくはそれ以上のKdで抗原に結合する、および/または非特異的抗
原についてのその親和性よりも少なくとも2倍大きな親和性で抗原に結合する結合ポリペプチドの能力を指す。しかしながら、結合ポリペプチドは、配列について関連のある2つ以上の抗原に特異的に結合することができることが理解される。たとえば、本発明の結合ポリペプチドは、ヒトPDGFRβおよび非ヒト(たとえばマウスまたは非ヒト霊長類)PDGFRβの両方に特異的に結合することができる。
【0045】
本明細書中で用いるように、「抗原」という用語は、結合ポリペプチドによって認識される結合部位またはエピトープを指す。
【0046】
本明細書中で用いるように、「核酸ディスプレイライブラリ」という用語は、たとえば、その全体がすべてここに引用により援用される米国特許第7,195,880号、第6,951,725号、第7,078,197号、第7,022,479号、第6,518,018号、第7,125,669号、第6,846,655号、第6,281,344号、第6,207,446号、第6,214,553号、第6,258,558号、第6,261,804号、第6,429,300号、第6,489,116号、第6,436,665号、第6,537,749号、第6,602,685号、第6,623,926号、第6,416,950号、第6,660,473号、第6,312,927号、第5,922,545号、および第6,348,315号、ならびにWO2010/011944に記載のものを含むが、それらに限定されない任意の当該技術分野で認識されるインビトロセルフリー表現型−遺伝子型結合ディスプレイを指す。
【0047】
本明細書中で用いるように、「ベクター」という用語は、結合されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すことが意図される。ベクターの一種が「プラスミド」であり、これは、付加的なDNAセグメントが結合され得る円形の二本鎖DNAループを指す。ベクターの別の種類はウイルスベクターであり、付加的なDNAセグメントがウイルスゲノムに結合され得る。あるベクターは、それらが導入される宿主細胞の中で自律的増殖を行なうことができる(たとえば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳類ベクター)。他のベクター(たとえば非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれることができ、それにより宿主のゲノムとともに複製される。さらに、あるベクターは、動作するように結合される遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは本明細書中では「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称される。一般的に、組換えDNA技術において有益な発現ベクターはしばしばプラスミドの形態にある。「プラスミド」および「ベクター」という用語を相互交換可能に用いてもよい。しかしながら、本発明は、均等の機能を果たすウイルスベクター(たとえば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)などの発現ベクターのそのような他の形態を含むことが意図される。
【0048】
本明細書中で用いるように、「宿主細胞」という用語は、組換え発現ベクターが導入される細胞を指すことが意図される。この用語は、特定の対象の細胞だけではなく、そのような細胞の子孫も指すことが意図されることを理解すべきである。ある修飾は突然変異または環境の影響によって後世で起こり得るので、そのような子孫は実際は親細胞と同一ではないかもしれないが、依然として本明細書中で用いるような「宿主細胞」という用語の範囲内に含まれる。
【0049】
本明細書中で用いるように、「治療する」、「治療している」、および「治療」という用語は、本明細書中に記載の療法または予防手段を指す。「治療」の方法は、たとえば、疾患もしくは不調もしくは再発する疾患もしくは不調の1つ以上の症状を防止する、治癒する、遅延させる、その深刻さを低減する、もしくは軽減するための、またはそのような治療の不在下で予期されるよりも対象の生存を長くするための、PDGFRβ関連の疾患もしくは不調(たとえばAMD)を有するまたはそのような疾患もしくは不調を有することに対して前もって処置される対象などの対象に対して、本発明の抗体または抗原結合部分の投与を用いる。
【0050】
本明細書中で用いるように、「PDGFRβ関連の疾患または不調」という用語は、PDGFRβ活性に関連付けられる疾患状態および/または症状を含む。例示的なPDGF
Rβ関連の疾患または不調は、加齢黄斑変性症(AMD)および癌を含むが、それらに限定されない。
【0051】
本明細書中で用いるように、「有効な量」という用語は、対象に投与されると、本明細書中に記載のように、PDGFRβ関連の疾患または不調の治療、予後、または診断を行なうのに十分な結合ポリペプチドの量を指す。療法的に有効な量は、治療される対象および疾患の状態、対象の重量および年齢、疾患の状態の深刻さ、投与の態様などに依存して異なるが、これは当業者が容易に決めることができる。投与の投薬量は、たとえば、本発明に従う結合ポリペプチドの、約1ngから約10,000mg、約約1ugから約5,000mg、約1mgから約1,000mg、約10mgから約100mgの範囲にわたり得る。投薬計画は、最適な治療反応を提供するように調整されてもよい。有効な量は、有益な効果が結合ポリペプチドの何らかの毒性効果または有害な効果(すなわち副作用)を最小限にするおよび/またはそれを上回るものでもある。
【0052】
本明細書中で用いるように、「対象」という用語は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。
【0053】
本明細書中で用いるように、「表面プラズモン共鳴」という用語は、たとえば、BIAcore(登録商標)システム(GE HealthcareのBiacore Life Sciences部、Piscataway, NJ)
を用いたバイオセンサーマトリクス内でのタンパク質濃度の変更の検出によるリアルタイム相互作用の分析を可能にする光学的現象を指す。
【0054】
本明細書中で用いるように、「K
D」という用語は、特定の結合ポリペプチド/抗原相
互作用の平衡解離定数を指す。
【0055】
本明細書中で用いるように、「オフレート」という用語は、特定の結合ポリペプチド/抗原相互作用の解離速度(K
off)を指す。
【0056】
本明細書中で用いるように、「エピトープ」という用語は、本発明の結合分子中の特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原は1つよりも多くのエピトープを有してもよい。このように、異なる抗体は、抗原上の異なる区域に結合してもよく、異なる生物学的効果を有してもよい。エピトープは立体配座または線形であってもよい。立体配座エピトープは、ポリペプチド直鎖の異なるセグメントから空間的に隣接するアミノ酸によって産生される。直線状エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基によって産生されるものである。
【0057】
II.結合ポリペプチド
1つの局面では、本発明は、VHドメインを備える結合ポリペプチドを提供し、単離されたドメインとして、VHドメインは、約200pM未満(たとえば、約200、190、180、175、170、160、150、140、130、120、110、100、95、90、80、75、70、65、60、55、50、40、30、20、10、5、または1pM以下)のKdで抗原に結合する。
【0058】
別の局面では、本発明は、PDGFRβに特異的に結合し、PDGFRβの活性を抑制する結合ポリペプチド(たとえば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を提供する。そのような結合ポリペプチドは、PDGFRβ関連の疾患または不調(たとえば、加齢黄斑変性症またはAMD)を治療するのに特に有用である。
【0059】
一般的に、本発明のPDGFRβ結合ポリペプチドは、PDGFRβに特異的に結合する重鎖CDR3(HCDR3)アミノ酸配列を備える。本発明の結合ポリペプチドで用い
るのに好適な1つの非限定的HCDR3配列は、SEQ ID NO:1(HGGDRSY))に記載の重鎖CDR3アミノ酸配列である。他の実施形態では、重鎖CDR3配列は、SEQ ID NO:1に対して少なくとも1つの(たとえば1つ、2つ、または3つの)保存的アミノ酸置換基を備えるSEQ ID NO:1の変異体である。
【0060】
PDGFRβに特異的に結合する重鎖CDR3アミノ酸配列(たとえば、SEQ ID
NO:1(HGGDRSY)に記載のCDR3アミノ酸配列)を組入れることができる任意の結合ポリペプチドは、限定されることなく、抗体またはそのフラグメント、および免疫グロブリン様ドメインを含む本発明の結合ポリペプチドで用いることができる。好適な免疫グロブリン様ドメインは、限定されることなく、フィブロネクチンドメイン(たとえば、その全体がここに引用により援用されるKoide et al. (2007), Methods Mol. Biol. 352: 95-109を参照)、DARPin(たとえば、その全体が本明細書中に引用により援用さ
れるStumpp et al. (2008) Drug Discov. Today 13 (15-16): 695-701を参照)、タンパ
ク質AのZドメイン(たとえば、その全体が本明細書中に引用により援用されるNygren et al. (2008) FEBS J. 275 (11): 2668-76を参照)、リポカリン(たとえば、その全体が本明細書中に引用により援用されるSkerra et al. (2008) FEBS J. 275 (11): 2677-83を参照)、アフィリン(たとえば、その全体が本明細書中に引用により援用されるEbersbach et al. (2007) J. Mol. Biol. 372 (1): 172-85を参照)、アフィチン(たとえば、そ
の全体が本明細書中に引用により援用されるKrehenbrink et al. (2008). J. Mol. Biol.
383 (5): 1058-68を参照)、アビマー(たとえば、その全体が本明細書中に引用により
援用されるSilverman et al. (2005) Nat. Biotechnol. 23 (12): 1556-61を参照)、フ
ィノマー(Fynomers)(たとえば、その全体が本明細書中に引用により援用されるGrabulovski et al. (2007) J Biol Chem 282 (5): 3196-3204を参照)、およびKunitzドメインペプチド(たとえば、その全体が本明細書中に引用により援用されるNixon et al. (2006) Curr Opin Drug Discov Devel 9 (2): 261-8を参照)を含む。
【0061】
好ましい実施形態では、PDGFRβ結合ポリペプチドは、VHドメインおよび/またはVLドメインを備える抗体またはその抗原結合フラグメントである。本発明で用いるのに好適な例示的なCDR、VH、およびVLアミノ酸配列を表1−4に記載する。応じて、ある実施形態では、結合ポリペプチドは、表1に記載される重鎖HCDR2またはHCDR1配列のうち任意の1つから独立して選択されるHCDR2および/またはHCDR1配列とともに、HCDR3(SEQ ID NO:1)を備えてもよい。ある実施形態では、本発明の結合ポリペプチドは、表2に記載の軽鎖CDR1、CDR2、またはCDR配列の任意の1つから独立して選択される軽鎖CDRをさらに備えてもよい。たとえば、本発明の結合ポリペプチドは、表4に記載の軽鎖可変(VL)ドメインのうち任意の1つとオプションで対にされる、表3に記載の重鎖可変(VH)ドメインのうち任意の1つを備えてもよい。
【0073】
ある実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:2−317からなる群から選択される1つ以上のCDR領域アミノ酸配列とともにSEQ ID NO:1の重鎖CDR3配列を備える。例示的な実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれSEQ ID NO:1、2、および3;1、2、および34;1、3、および35;1、4、および35;1、5、および36;1、6、およ
び36;1、3、および36;1、7、および36;1、8、および36;1、9、および36;1、10、および38;1、2、および38;1、11、および39;1、12、および40;1、13、および41;1、13、および42;1、13、および33;1、14、および43;1、14、および44;1、15、および45;1、16、および45;1、17、および46;1、18、および47;1、19、、および47;1、20、および48;1、2、および49;1、21、および50;1、2、および51;1、2、および52;1、2、および53;1、22、および54;1、23、および55;1、24、および56;1、25、および46;1、26、および57;1、27、および58;1、28、および59;1、29、および60;1、30、および61;1、31、および62;ならびに1、32、および62からなる群から選択されるHCDR3、HCDR2、およびHCDR1アミノ酸配列を備える。
【0074】
他の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれSEQ ID NO:63、148、および233;64、149、および234;65、150、および235;66、151、および236;67、152、および237;68、153、および238;69、154、および239;70、155、および240;71、156、および241;72、157、および242;73、158、および243;741、159、および244;75、160、および245;76、161、および246;77、162、および247;78、163、および248;79、164、および249;80、165、および250;81、166、および251;82、167、および252;83、168、および253;84、169、および254;85、170、および255;86、171、および256;87、172、および257;88、173、および258;89、174、および259;90、175、および260;91、176、および261;92、177、および262;93、178、および263;94、179、および264;95、180、および265;96、181、および266;97、182、および267;98、183、および268;99、184、および269;100、185、および270;101、186、および271;102、187、および272;103、188、および273;104、189、および274;105、190、および275;106、191、および276;107、192、および277;108、193、および278;109、194、および279;110、195、および280;111、196、および281;112、197、および282;113、198、および283;114、199、および284;115、200、および285;116、201、および286;117、202、および287;118、203、および288;119、204、および289;120、205、および290;121、206、および291;122、207、および292;123、208、および293;124、209、および294;125、210、および295;126、211、および296;127、212、および297;128、213、および298;129、214、および299;130、215、および300;131、216、および301;132、217、および302;133、218、および303;134、219、および304;135、220、および305;136、221、および306;137、222、および307;138、223、および308;139、224、および309;140、225、および310;141、226、および311;142、227、および312;143、228、および313;144、229、および314;145、220、および315;146、231、および316;ならびに147、232、および317からなる群から選択されるLCDR3、LCDR2、およびLCDR1アミノ酸配列をさらに備える。
【0075】
他の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:1に記載のHCDR3アミノ酸配列と、それぞれSEQ ID NO:63、148、および233;64、149、および234;65、150、および235;66、151、
および236;67、152、および237;68、153、および238;69、154、および239;70、155、および240;71、156、および241;72、157、および242;73、158、および243;741、159、および244;75、160、および245;76、161、および246;77、162、および247;78、163、および248;79、164、および249;80、165、および250;81、166、および251;82、167、および252;83、168、および253;84、169、および254;85、170、および255;86、171、および256;87、172、および257;88、173、および258;89、174、および259;90、175、および260;91、176、および261;92、177、および262;93、178、および263;94、179、および264;95、180、および265;96、181、および266;97、182、および267;98、183、および268;99、184、および269;100、185、および270;101、186、および271;102、187、および272;103、188、および273;104、189、および274;105、190、および275;106、191、および276;107、192、および277;108、193、および278;109、194、および279;110、195、および280;111、196、および281;112、197、および282;113、198、および283;114、199、および284;115、200、および285;116、201、および286;117、202、および287;118、203、および288;119、204、および289;120、205、および290;121、206、および291;122、207、および292;123、208、および293;124、209、および294;125、210、および295;126、211、および296;127、212、および297;128、213、および298;129、214、および299;130、215、および300;131、216、および301;132、217、および302;133、218、および303;134、219、および304;135、220、および305;136、221、および306;137、222、および307;138、223、および308;139、224、および309;140、225、および310;141、226、および311;142、227、および312;143、228、および313;144、229、および314;145、220、および315;146、231、および316;ならびに147、232、および317からなる群から選択されるLCDR3、LCDR2、およびLCDR1アミノ酸配列とを備える。
【0076】
他の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれSEQ ID NO:1、2、および3;1、2、および34;1、3、および35;1、4、および35;1、5、および36;1、6、および36;1、3、および36;1、7、および36;1、8、および36;1、9、および36;1、10、および38;1、2、および38;1、11、および39;1、12、および40;1、13、および41;1、13、および42;1、13、および33;1、14、および43;1、14、および44;1、15、および45;1、16、および45;1、17、および46;1、18、および47;1、19、および47;1、20、および48;1、2、および49;1、21、および50;1、2、および51;1、2、および52;1、2、および53;1、22、および54;1、23、および55;1、24、および56;1、25、および46;1、26、および57;1、27、および58;1、28、および59;1、29、および60;1、30、および61;1、31、および62;ならびに1、32、および62からなる群から選択されるHCDR3、HCDR2、およびHCDR1アミノ酸配列と、それぞれSEQ ID NO:63、148、および233;64、149、および234;65、150、および235;66、151、および236;67、152、および237;68、153、および238;69、154、および239;70、155、および240;71、156、および241;72、157、および242;73、158、および243;741、159、および244;75、160、および245;76
、161、および246;77、162、および247;78、163、および248;79、164、および249;80、165、および250;81、166、および251;82、167、および252;83、168、および253;84、169、および254;85、170、および255;86、171、および256;87、172、および257;88、173、および258;89、174、および259;90、175、および260;91、176、および261;92、177、および262;93、178、および263;94、179、および264;95、180、および265;96、181、および266;97、182、および267;98、183、および268;99、184、および269;100、185、および270;101、186、および271;102、187、および272;103、188、および273;104、189、および274;105、190、および275;106、191、および276;107、192、および277;108、193、および278;109、194、および279;110、195、および280;111、196、および281;112、197、および282;113、198、および283;114、199、および284;115、200、および285;116、201、および286;117、202、および287;118、203、および288;119、204、および289;120、205、および290;121、206、および291;122、207、および292;123、208、および293;124、209、および294;125、210、および295;126、211、および296;127、212、および297;128、213、および298;129、214、および299;130、215、および300;131、216、および301;132、217、および302;133、218、および303;134、219、および304;135、220、および305;136、221、および306;137、222、および307;138、223、および308;139、224、および309;140、225、および310;141、226、および311;142、227、および312;143、228、および313;144、229、および314;145、220、および315;146、231、および316;ならびに147、232、および317からなる群から選択されるLCDR3、LCDR2、およびLCDR1アミノ酸配列とを備える。
【0077】
他の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:318−368に記載のVHアミノ酸配列の少なくとも1つを備える。
【0078】
他の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:369−453に記載のVLアミノ酸配列の少なくとも1つを備える。
【0079】
他の実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:369−453からなる群から選択されるVL領域アミノ酸配列と対にされる、SEQ ID NO:318、321、または360に記載のVH領域アミノ酸配列を備える。
【0080】
ある実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:1−317からなる群から選択される1つ以上のCDRアミノ酸配列を備え、1つ以上のCDR領域アミノ酸配列は、少なくとも1つ以上の保存的アミノ酸置換基(たとえば、1、2、3、4、または5個の保存的アミノ酸置換基)を備える。保存的アミノ酸置換基は、同じクラスのアミノ酸による1つのクラスのアミノ酸の置換基を含み、この場合、クラスは、たとえば、標準デイホフ周波数変換行列またはBLOSUM行列によって定められるような、自然に見出される相同性タンパク質における、一般的な生理化学的アミノ酸側鎖性質および高い置換頻度によって規定される。アミノ酸側鎖の6つの一般的なクラスは、クラスI(Cys);クラスII(Ser、Thr、Pro、Ala、Gly);クラスIII(Asn、Asp、Gln、Glu);クラスIV(His、Arg、Lys);クラスV(Ile、Leu、Val、Met);およびクラスVI(Phe、Tyr、T
rp)に分類され、これらを含む。たとえば、Asn、Gln、またはGluなどの別のクラスIII残基に代わるAspの置換基は保存的置換基である。このように、抗PDGFRβ抗体中の予測される非必須アミノ酸残基は好ましくは、同じクラスからの別のアミノ酸残基で置き換えられる。抗原結合を排除しないアミノ酸保存的置換基を同定する方法は当該技術分野で周知である(たとえば、Brummell et al., Biochem. 32: 1180-1187 (1993); Kobayashi et al. Protein Eng. 12(10): 879-884 (1999);およびBurks et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 412-417 (1997)を参照)。
【0081】
別の実施形態では、本発明は、それぞれSEQ ID NO:318−368に記載のVH領域アミノ酸配列および/またはSEQ ID NO:369−453に記載のVL領域アミノ酸配列に対して約80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するVHおよび/またはVL領域アミノ酸配列を備える抗PDGFRβ抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0082】
別の局面では、本発明は、同じエピトープに結合するおよび/またはSEQ ID NO:318に記載のVHドメインアミノ酸配列を備える抗体もしくはその抗原結合フラグメントと交互競合する抗PDGFRβ抗体を提供する。そのような抗体は、たとえば、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく競合アッセイを含む慣用的な競合結合アッセイを用いて同定することができる。
【0083】
別の局面では、本発明は、不対VHドメインの多様なライブラリを提供し、ライブラリの各々のメンバーはヒトPDGFRβに特異的に結合し、多様性はFR1−FR3領域に存在する。好ましい実施形態では、ライブラリの各々のメンバーは、ヒトPDGFRβに特異的に結合する同一の重鎖CDR3(たとえば、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列)アミノ酸配列を備え、多様性はFR1−FR3領域に存在する。
【0084】
別の局面では、本発明は、安定したVH/VL対の多様なライブラリを提供し、ライブラリの各々のメンバーはヒトPDGFRβに結合する。好ましくは、ライブラリの各々のメンバーは、SEQ ID NO:1に記載のCDR3アミノ酸配列を備えるVHドメインを備える。安定したVH/VL対は、ここに全体が引用により援用される米国仮特許出願61/453,106に記載のものを含むがこれに限定されない、当該技術分野で公知の任意の方法を用いて選択することができる。
【0085】
任意の種類のVHまたはVLドメイン発現ライブラリを本発明の方法で用いることができる。好適な発現ライブラリは、限定されることなく、核酸ディスプレイ、ファージディスプレイ、および細胞表面ディスプレイライブラリ(たとえば、酵母、哺乳類、細菌細胞)を含む。好ましい実施形態では、ライブラリは、ここにその全体が引用により援用されるWO2010/011944に記載の方法に従って生成される核酸ディスプレイライブラリである。発現ライブラリをスクリーニングするための方法は当該技術分野で周知である。たとえば、ここにその全体が引用により援用されるAntibody Engineering: Methods and Protocols. Methods in Molecular Biology Volume 248, (B.K.C. Lo, Ed) Humana Press, 2004 (ISBN: 1-58829-092-1)を参照。
【0086】
III.修飾された結合ポリペプチド
ある実施形態では、本発明の結合ポリペプチドは1つ以上の修飾を備えてもよい。本発明の結合ポリペプチドの修飾された形態は、当該技術分野で公知の任意の技術を用いて作ることができる。
【0087】
i) 免疫原性の低減
ある実施形態では、本発明の結合ポリペプチド(たとえば、抗体またはその抗原結合フラグメント)は、当該技術分野で認識される技術を用いてそれらの免疫原性を低減するように修飾される。たとえば、抗体またはそのフラグメントは、キメラ化、ヒト化、および/または脱免疫化され得る。
【0088】
1つの実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントはキメラであり得る。キメラ抗体は、抗体の異なる部分が、ネズミモノクローナル抗体に由来する可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域とを有する抗体などの、異なる動物種に由来する抗体である。キメラ抗体またはそのフラグメントを産生するための方法は当該技術分野で公知である。たとえば、その全体が本明細書中に引用により援用されるMorrison, Science 229: 1202 (1985); Oi et al., BioTechniques 4: 214 (1986); Gillies et al., J. Immunol. Methods 125: 191-202 (1989);米国特許第5,807,715号、第4,816,567号、および第4,816,397号を参照。当該分子の合成のために、「キメラ抗体」の産生のために開発された技術(Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 81: 851-855 (1984); Neuberger et al., Nature 312: 604-608 (1984); Takeda et al., Nature 314:
452-454 (1985))を用いてもよい。たとえば、マウス抗PDGFRβ抗体分子の結合特
異性をエンコードする遺伝子配列は、適切な生物学的活性のヒト抗体分子からの配列とともに融合されてもよい。本明細書中で用いるように、キメラ抗体は、異なる部分がネズミモノクローナル抗体に由来する可変領域とたとえばヒト化抗体などのヒト免疫グロブリン定常領域とを有するものなどの、異なる動物種に由来する分子である。
【0089】
別の実施形態では、本発明の抗体または抗原結合部分はヒト化される。ヒト化された抗体は、非ヒト抗体からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)とヒト抗体分子からのフレームワーク領域とを備える結合特異性を有する。しばしば、ヒトフレームワーク領域中のフレームワーク残基は、抗原結合を変更する、好ましくは向上させるように、CDRドナー抗体からの対応の残基で置換される。これらのフレームワーク置換基は、たとえば、CDRおよびフレームワーク残基の相互作用をモデリングして抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定することと、特定の位置の通常でないフレームワーク残基を同定する配列比較とによって、当該技術分野で周知の方法で同定される。(たとえば、その全体が本明細書中に引用により援用されるQueen et al., 米国特許第5,585,089号; Riechmann et al., Nature 332: 323 (1988)を参照。)抗体は、たとえば、CDRグラフティング(EP239,400;PCT公開WO91/09967;米国特許第5,225,539号;第5,530,101号;および第5,585,089号)、化粧張り(veneering)または表面付け替え(resurfacing)(EP592,106;EP519,596; Padlan, Molecular Immunology 28 (4/5): 489-498 (1991); Studnicka et al., Protein
Engineering 7 (6): 805-814 (1994); Roguska. et al., PNAS 91: 969-973 (1994))、およびチェインシャッフリング(米国特許第5,565,332号)を含む、当該技術分野で公知のさまざまな技術を用いてヒト化可能である。
【0090】
いくつかの実施形態では、脱免疫を用いてPDGFRβ結合ポリペプチド(たとえば、抗体またはその抗原結合部分)の免疫原性を低減することができる。本明細書中で用いるように、「脱免疫」という用語は、T細胞エピトープを修飾するようなポリペプチド(たとえば、抗体またはその抗原結合部分)の変更を含む(たとえば、WO9852976A1、WO0034317A2を参照)。たとえば、本発明の開始PDGFRβ特異的抗体またはその抗原結合部分からのVHおよびVL配列を分析してもよく、ヒトT細胞エピトープ「マップ」を、相補性決定領域(CDR)および配列内の他の重要な残基に対するエピトープの場所を示す各々のV領域から生成してもよい。T細胞エピトープマップからの個々のT細胞エピトープは、最終的な抗体の活性を変更する危険性が低い代替的アミノ酸置換基を同定するように分析される。アミノ酸置換基の組合せを備える一連の代替的VHおよびVL配列が設計され、これらの配列は後に、本明細書中に開示される診断および治
療方法で用いるための一連のPDGFRβ特異的抗体またはそのフラグメントに組入れられ、これは次に機能について試験される。典型的に、12個から24個の間の変異抗体が生成され、試験される。修飾されたV領域およびヒトC領域を備える完全な重鎖および軽鎖遺伝子は次に発現ベクターにクローニングされ、全抗体の産生のためにその後プラスミドが細胞系に導入される。次に抗体は、適切な生物化学的および生物学的アッセイで比較され、最適な変異体が同定される。
【0091】
ii) エフェクタ機能およびFc修飾
本発明の結合ポリペプチドは、1つ以上のエフェクタ機能を媒介する抗体定常領域(たとえば、IgG定常領域、たとえばヒトIgG定常領域、たとえばヒトIgG1またはIgG4定常領域)を備えてもよい。たとえば、抗体定常領域に対する補体のC1成分の結合は補体系を活性化させてもよい。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン作用および溶解において重要である。補体の活性化は炎症反応も刺激し、自己免疫過敏症にも係ることがある。さらに、抗体は、抗体Fc領域上のFc受容体結合部位が細胞上のFc受容体(FcR)に結合した状態で、Fc領域を介してさまざまな細胞上の受容体に結合する。IgG(ガンマ受容体)、IgE(イプシロン受容体)、IgA(アルファ受容体)、およびIgM(ミュー受容体)を含む、抗体の異なるクラスに特異的な多数のFc受容体が存在する。細胞表面上のFc受容体への抗体の結合は、抗体コーティング粒子の抱き込みおよび破壊、免疫複合体の除去、(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害またはADCCと呼ばれる)キラー細胞による抗体コーティング標的細胞の溶解、炎症伝達物質の解放、胎盤通過、および免疫グロブリン産生の制御を含む、多数の重要かつ多様な生物学的応答をトリガする。好ましい実施形態では、本発明の結合ポリペプチド(たとえば、抗体またはその抗原結合フラグメント)はFc−ガンマ受容体に結合する。代替的な実施形態では、本発明の結合ポリペプチドは、1つ以上のエフェクタ機能(たとえばADCC活性)がないおよび/またはFcγ受容体に結合することができない定常領域を備えてもよい。
【0092】
本発明のある実施形態は、ほぼ同じ免疫原性の未変更全抗体と比較して、低減されたもしくは向上したエフェクタ機能、非共有的に二量化する能力、腫瘍の部位で局所化する増大した能力、低減された血清半減期、または増大した血清半減期などの所望の生物化学的特性を与えるように、定常領域ドメインのうち1つ以上において少なくとも1つのアミノ酸が削除されたまたはそれ以外のやり方で変更された抗PDGFRβ抗体を含む。たとえば、本明細書中に記載の診断および治療方法で用いるためのある抗体またはそのフラグメントは、免疫グロブリン重鎖と同様のポリペプチド鎖を備えるが、1つ以上の重鎖ドメインの少なくとも部分を欠いているドメイン削除抗体である。たとえば、ある抗体では、修飾された抗体の定常領域の1つのドメイン全体が削除され、たとえば、CH2ドメインのすべてまたは一部が削除される。
【0093】
ある他の実施形態では、結合ポリペプチドは、異なる抗体アイソタイプに由来する定常領域(たとえば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のうち2つ以上からの定常領域)を備える。他の実施形態では、結合ポリペプチドは、キメラヒンジ(すなわち、異なる抗体アイソタイプのヒンジドメインに由来するヒンジ部分を備えるヒンジ、たとえばIgG4分子からの上側ヒンジドメインおよびIgG1中間ヒンジドメイン)を備える。1つの実施形態では、結合ポリペプチドは、ヒトIgG4分子からのFc領域または部分と、分子のコアヒンジ領域中のSer228Pro突然変異(EU番号付け)とを備える。
【0094】
ある実施形態では、Fc部分は、当該技術分野で公知の技術を用いてエフェクタ機能を増大させるまたは低減するように突然変異されてもよい。たとえば、定常領域ドメインの(点突然変異または他の手段を通した)削除または不活性化は、循環修飾抗体のFc受容体結合を低減させ、これにより腫瘍の局所化を増大させることがある。他の場合、これは
、本発明と整合する定常領域修飾が補体結合を和らげ、こうして血清半減期、および共役された細胞毒の非特異的会合を低減するのかもしれない。定常領域のまた他の修飾を用いて、増大する抗原特異性または柔軟性による向上した局所化を可能にするジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を修飾してもよい。腫瘍の局所化、生体内分布、および血清半減期などの、結果的に得られる修飾の生理的プロファイル、生物学的利用能、および他の生物化学的効果は、不要な実験なしに、周知の免疫学的技術を用いて容易に測定され、定量化され得る。
【0095】
ある実施形態では、本発明の抗体中で用いられるFcドメインはFc変異体である。本明細書中で用いるように、「Fc変異体」という用語は、当該Fcドメインがこれに由来する野生型Fcドメインに対する少なくとも1つのアミノ酸置換基を有するFcドメインを指す。たとえば、FcドメインがヒトIgG1抗体に由来する場合、当該ヒトIgG1
FcドメインのFc変異体は、当該Fcドメインに対する少なくとも1つのアミノ酸置換基を備える。
【0096】
Fc変異体のアミノ酸置換基は、Fcドメイン内の任意の位置(すなわち、任意のEU条約アミノ酸位置)に位置してもよい。1つの実施形態では、Fc変異体は、ヒンジドメインまたはその部分に位置するアミノ酸位置に置換基を備える。別の実施形態では、Fc変異体は、CH2ドメインまたはその部分に位置するアミノ酸位置に置換基を備える。別の実施形態では、Fc変異体は、CH3ドメインまたはその部分に位置するアミノ酸位置に置換基を備える。別の実施形態では、Fc変異体は、CH4ドメインまたはその部分に位置するアミノ酸位置に置換基を備える。
【0097】
本発明の結合ポリペプチドは、エフェクタ機能および/またはFcR結合の改良(たとえば低減または向上)を与えることが公知である、任意の当該技術分野で認識されるFc変異体を用いてもよい。当該Fc変異体は、たとえば、各々が本明細書中に引用により援用される、国際PCT刊行物WO88/07089A1、W096/14339A1、WO98/05787A1、W098/23289A1、W099/51642A1、W099/58572A1、WO00/09560A2、WO00/32767A1、WO00/42072A2、WO02/44215A2、WO02/060919A2、WO03/074569A2、WO04/016750A2、WO04/029207A2、WO04/035752A2、WO04/063351A2、WO04/074455A2、WO04/099249A2、WO05/040217A2、WO05/070963A1、WO05/077981A2、WO05/092925A2、WO05/123780A2、WO06/019447A1、WO06/047350A2、およびWO06/085967A2、または米国特許第5,648,260号;第5,739,277号;第5,834,250号;第5,869,046号;第6,096,871号;第6,121,022号;第6,194,551号;第6,242,195号;第6,277,375号;第6,528,624号;第6,538,124号;第6,737,056号;第6,821,505号;第6,998,253号;および第7,083,784に開示されるアミノ酸置換基のうち任意の1つを含んでもよい。1つの例示的な実施形態では、本発明の結合ポリペプチドは、EU位置268(たとえば、H268DまたはH268E)にアミノ酸置換基を備えるFc変異体を備えてもよい。別の例示的な実施形態では、本発明の結合ポリペプチドは、EU位置239(たとえば、S239DもしくはS239E)、および/またはEU位置332(たとえば、I332DもしくはI332Q)にアミノ酸置換基を備えてもよい。
【0098】
ある実施形態では、本発明の結合ポリペプチドは、抗体の抗原独立エフェクタ機能、特に結合ポリペプチドの循環半減期、を変更するアミノ酸置換基を備えるFc変異体を備えてもよい。そのような結合ポリペプチドは、これらの置換基を欠いている結合ポリペプチ
ドと比べて、FcRnに対する増大したまたは低減した結合を呈し、したがって、それぞれ増大したまたは低減した血清半減期を有する。FcRnに対する親和性が向上したFc変異体は、より長い血清半減期を有すると予期され、そのような分子は、たとえば、慢性疾患または不調を治療するために、投与される抗体の長い半減期が望まれる、哺乳類を治療する方法で有用な適用例を有する。これに対して、FcRn結合親和性が低下したFc変異体はより短い半減期を有すると予想され、そのような分子は、たとえばインビボ診断画像化、または開始抗体が長期間循環の中に存在すれば毒性の副作用を有する状況など、たとえば、短くされた循環時間が有利かもしれない哺乳類に対する投与にも有用である。FcRn結合親和性が低下したFc変異体も、胎盤を横切りにくく、したがって妊娠中の女性の疾患または不調の治療に有用である。さらに、低下したFcRn結合親和性が望ましいかもしれない他の適用例は、脳、腎臓、および/または肝臓の局所化が望まれるそれらの適用例を含む。1つの例示的な実施形態では、本発明の変更された結合ポリペプチド(たとえば、抗体またはその抗原結合フラグメント)は、脈管構造からの腎糸球体の上皮を横切る低減された輸送を呈する。別の実施形態では、本発明の変更された結合ポリペプチド(たとえば、抗体またはその抗原結合フラグメント)は、脳から血管空間の中へ血液脳関門(BBB)を横切る低減された輸送を呈する。1つの実施形態では、FcRn結合が変更された抗体は、Fcドメインの「FcRn結合ループ」内に1つ以上のアミノ酸置換基を有するFcドメインを備える。FcRn結合ループは、(EU番号付けに従う)アミノ酸残基280−299を備える。FcRn結合活性を変更した例示的なアミノ酸置換基は、本明細書中に引用により援用される国際PCT刊行物WO05/047327に開示されている。ある例示的な実施形態では、本発明の結合ポリペプチド(たとえば、抗体またはその抗原結合フラグメント)は、V284E、H285E、N286D、K290E、およびS304D(EU番号付け)の置換基のうち1つ以上を有するFcドメインを備える。
【0099】
他の実施形態では、本明細書中に記載の診断および治療方法で用いるための結合ポリペプチドは、グリコシル化を低減するまたは排除するように変更される、たとえばIgG1またはIgG4重鎖定常領域などの定常領域を有する。たとえば、本発明の結合ポリペプチド(たとえば、抗体またはその抗原結合フラグメント)は、抗体Fcのグリコシル化を変更するアミノ酸置換基を備えるFc変異体も備えてもよい。たとえば、当該Fc変異体は、低減されたグリコシル化(たとえば、N−またはO−結合グリコシル化)を有してもよい。例示的な実施形態では、Fc変異体は、通常はアミノ酸位置297(EU番号付け)に見出されるN結合多糖の低減されたグリコシル化を備える。別の実施形態では、抗体は、たとえば、アミノ酸配列NXTまたはNXSを含有するN−結合グリコシル化モチーフなどのグリコシル化モチーフの近くにまたはその中にアミノ酸置換基を有する。特定の実施形態では、抗体は、アミノ酸位置228または299(EU番号付け)にアミノ酸置換基を有するFc変異体を備える。より特定的な実施形態では、抗体は、S228PおよびT299A突然変異(EU番号付)を備えるIgG1またはIgG4定常領域を備える。
【0100】
低減されたまたは変更されたグリコシル化を与える例示的なアミノ酸置換基は、本明細書中に引用により援用される国際PCT刊行物WO05/018572に開示される。好ましい実施形態では、本発明の抗体またはそのフラグメントは、グリコシル化を排除するように修飾される。そのような抗体またはそのフラグメントは、「アグリー(agly)」抗体またはそのフラグメントと称されることがある(たとえば、「アグリー」抗体)。理論によって拘束されないが、「アグリー」抗体またはそのフラグメントは、インビボで向上した安全性および安定性プロファイルを有し得ると考えられる。例示的なアグリー抗体またはそのフラグメントはFcエフェクタ機能を欠き、それにより、PDGFRβを発現する正常な生命維持に必要な臓器に対するFc媒介毒性に対する潜在性を排除する、IgG4抗体のアグリコシル化Fc領域を備える。また他の実施形態では、本発明の抗体または
そのフラグメントは変更された多糖を備える。たとえば、抗体は、Fc領域のAsn297に、N多糖上の低減された数のフコース残基を有し得る、すなわち、これはアフコシル化される。別の実施形態では、抗体は、Fc領域のAsn297に、N多糖上の変更された数のシアル酸残基を有してもよい。
【0101】
iii) 共有結合(Attachment)
本発明の結合ポリペプチドは、たとえば、結合ポリペプチドがその同源のエピトープに特異的に結合するのを共有結合が妨げないような結合ポリペプチドへの分子の共有結合によって修飾されてもよい。たとえば、しかし限定のためではなく、本発明の抗体またはそのフラグメントは、細胞リガンドまたは他のタンパク質などへの公知の保護基/ブロック基、タンパク質分解切断、結合によるグリコシル化、アセチル化、ベグ化、リン酸化、アミド化、誘導によって修飾されてもよい。特異的化学分解、アセチル化、ホルミル化などを含むがそれらに限定されない公知の技術によって、数多くの化学的修飾のうち任意のものを行ってもよい。加えて、誘導体は、1つ以上の古典的なアミノ酸を含有してもよい。
【0102】
本発明の結合ポリペプチド(たとえば、抗体またはそのフラグメント)はさらに、NもしくはC末端で異種ポリペプチドに組換え融合されるか、またはポリペプチドもしくは他の組成に化学的に共役(共有および非共有共役を含む)されてもよい。たとえば、抗PDGFRβ抗体は、検出アッセイにおける標識として有用な分子、および異種ポリペプチド、薬剤、放射性核種、または毒素などのエフェクタ分子に組換え融合または共役されてもよい。たとえば、WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;およびEP396,387を参照。
【0103】
結合ポリペプチドは、インビボでの半減期を増大させるため、または当該技術分野で公知の方法を用いた免疫学的測定で用いるために、異種ポリペプチドに融合されてもよい。たとえば、1つの実施形態では、PEGを本発明の結合ポリペプチドに共役して、インビボでのそれらの半減期を増大させることができる。Leong, S. R., et al., Cytokine 16:
106 (2001); Adv. in Drug Deliv. Rev. 54: 531 (2002);またはWeir et al., Biochem.
Soc. Transactions 30: 512 (2002)。
【0104】
さらに、本発明の結合ポリペプチドを、それらの精製または検出を容易にするペプチドなどのマーカ配列に融合することができる。好ましい実施形態では、マーカアミノ酸配列は、pQEベクター(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, Calif., 91311)
の中に与えられるタグなどのヘキサヒスチジンペプチドであり、とりわけ、それらの多くは市販されている。Gentz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 821-824 (1989)に
記載のように、たとえば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の好都合な精製を提供する。精製に有用な他のペプチドタグは、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質(Wilson
et al., Cell 37: 767 (1984))に由来するエピトープに対応する「HA」タグおよび「フラグ」タグを含むが、これらに限定されない。
【0105】
本発明の結合ポリペプチドは非共役形態で用いられてもよく、またはさまざまな分子のうち少なくとも1つと共役されて、たとえば、標的検出を容易にするためもしくは患者の画像化もしくはその療法のために分子の治療性を向上させてもよい。本発明の結合ポリペプチドは、精製が行なわれる場合は、精製の前または後のいずれかに標識されるまたは共役されることができる。特に、本発明の結合ポリペプチドは、治療薬、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的応答調節物質、医薬品、またはPEGに共役されてもよい。
【0106】
本発明は、診断剤または治療剤に共役される本発明の結合ポリペプチドをさらに包含する。結合ポリペプチドを診断的に用いて、たとえば、臨床試験手順の一部として免疫細胞
障害(たとえばCLL)の発症または進行をモニタして、たとえば与えられる治療および/または予防計画の効能を判断することができる。検出は、結合ポリペプチドを検出可能な物質に結合することによって容易化可能である。検出可能な物質の例は、さまざまな酵素、補欠分子族、蛍光材料、ルミネセンス材料、生物発光材料、放射性材料、さまざまな陽電子放出断層撮影を用いる陽電子放出金属、および非放射性常磁性金属イオンを含む。本発明に従う診断として用いるための抗体に共役することができる金属イオンについては、たとえば米国特許第4,741,900号を参照のこと。好適な酵素の例は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、.ベータ−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含む。好適な補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含む。好適な蛍光材料の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、またはフィコエリトリンを含む。ルミネセンス材料の例はルミノールを含む。生物発光材料の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンを含む。好適な放射性材料の例は、125I、131I、111In、または99Tcを含む。
【0107】
本明細書中に開示される診断および治療方法で用いるための結合ポリペプチドは、(放射性同位元素、細胞毒性薬剤、または毒素などの)細胞毒、治療剤、細胞増殖抑制製剤、生体毒素、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的応答調節物質、医薬品、免疫活性リガンド(たとえば、リンホカイン、もしくは結果的に得られる分子が新生細胞およびT細胞などのエフェクタ細胞の両方に結合する他の抗体)、またはPEGに共役されてもよい。
【0108】
別の実施形態では、本明細書中に開示される診断および治療方法で用いるための抗PDGFRβ抗体は、腫瘍細胞成長を低下させる分子に共役されることができる。他の実施形態では、開示される組成物は、薬剤もしくはプロドラッグに結合される抗体またはそのフラグメントを備えてもよい。本発明のまた他の実施形態は、リシン、ゲロニン、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素などの、特異的生体毒素または細胞毒性フラグメントに共役される抗体またはそのフラグメントの使用を備える。どの共役されたまたは共役されていない抗体を用いるかの選択は、癌の種類および段階、補助治療(たとえば、化学療法もしくは体外放射線)の使用、および患者の状態に依存する。当業者ならば、本明細書中の教示に鑑みてそのような選択を容易に行なうことができることが認められる。
【0109】
以前の研究では、同位元素で標識付けされる抗腫瘍抗体を、動物モデルで、および場合によってはヒトで、腫瘍細胞を破壊するのに成功裏に用いたことが認められる。例示的な放射性同位元素は、90Y、125I、131I、123I、111In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Re、および188Reを含む。放射性核種は、核DNA中の複数の鎖切断を生じさせて細胞死をもたらすイオン化放射を発することによって作用する。治療用のコンジュゲートを産生するのに用いられる同位元素は典型的に、経路長が短い高エネルギアルファ−またはベータ−粒子を発生させる。そのような放射性核種は、それらが非常に近接している細胞、たとえばコンジュゲートが付着したまたはその中に入った新生細胞を殺してしまう。それらは非局所化細胞に対してはほとんどまたは全く影響を有しない。放射性核種は本質的に非免疫原性である。
【0110】
IV.結合ポリペプチドの発現
上述のような本発明の結合ポリペプチドを与える単離された遺伝子材料の操作に従って、遺伝子は典型的に、所望の量の請求される抗体またはそのフラグメントを産生するように用いられてもよい宿主細胞への導入のために発現ベクター中に挿入される。
【0111】
「ベクター」または「発現ベクター」という用語は、本明細書中では、細胞中への導入および所望の遺伝子の細胞中での発現のためのビヒクルとして本発明に従って用いられるベクターを意味するという、明細書および請求項の目的のために用いられる。当業者には公知のように、そのようなベクターは、プラスミド、ファージ、ウイルス、およびレトロウイルスからなる群から容易に選択されてもよい。一般的に、本発明と整合するベクターは、選択マーカ、所望の遺伝子のクローニングを容易にする適切な制限部位、ならびに真核細胞または原核細胞の中に入るおよび/またはそれらを複製する能力を備える。
【0112】
この発明の目的のために数多くの発現ベクター系を用いてもよい。たとえば、ベクターの1つのクラスは、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(RSV、MMTV、もしくはMOMLV)、またはSV40ウイルスなどの動物ウイルスに由来するDNA要素を利用する。他のものは、内部リボソーム結合部位を有する多シストロン系の使用に係る。加えて、DNAをそれらの染色体に統合した細胞は、移入された宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカを導入することによって選択されてもよい。マーカは、栄養要求性宿主への原栄養性、殺生物剤に対する耐性(たとえば抗生物質)、または銅などの重金属に対する耐性を与えてもよい。選択可能なマーカ遺伝子は、発現されるべきDNA配列に直接に結合されるか、または同時形質転換によって同じ細胞の中に導入されるかのいずれかであり得る。mRNAの最適な合成のためには、付加的な要素も必要かもしれない。これらの要素は、シグナル配列、スプライスシグナル、ならびに転写プロモータ、エンハンサ、および終端シグナルを含み得る。特に好ましい実施形態では、クローニングされた可変領域遺伝子は、以上で論じたように、合成の重鎖および軽鎖定常領域遺伝子(好ましくはヒト)とともに発現ベクターの中に挿入される。
【0113】
他の好ましい実施形態では、本発明の結合ポリペプチドまたはそのフラグメントは、多シストロン構成を用いて発現されてもよい。そのような発現系では、抗体の重鎖および軽鎖などの対象の複数の遺伝子産物が単一の多シストロン構成から産生されてもよい。これらの系は有利には、内部リボソーム侵入部位(IRES)を用いて、真核宿主細胞の中で比較的高レベルの本発明のポリペプチドを与える。整合するIRES配列は、本明細書中に援用される米国特許第6,193,980号に開示される。当業者は、そのような発現系を用いて、本願に開示されるポリペプチドの全範囲を効果的に産生してもよいことを認めるであろう。
【0114】
より一般的には、抗体またはそのフラグメントをエンコードするベクターまたはDNA配列が一旦調製されると、発現ベクターが適切な宿主細胞の中に導入されてもよい。すなわち、宿主細胞が変換されてもよい。宿主細胞の中へのプラスミドの導入は、当業者に周知のさまざまな技術によって達成可能である。これらは、(電気泳動および電気穿孔法を含む)移入、原形質融合、リン酸カルシウム沈殿、エンベロープで包まれたDNAとの細胞融合、顕微注射、および無傷のウイルスによる感染を含むが、それらに限定されない。Ridgway, A. A. G. "Mammalian Expression Vectors" Chapter 24.2, pp. 470-472 Vectors, Rodriguez and Denhardt, Eds. (Butterworths, Boston, Mass. 1988)を参照のこと
。最も好ましくは、宿主の中へのプラスミド導入は電気穿孔法を介してである。変換された細胞は、軽鎖および重鎖の産生に適切な条件下で成長され、重鎖および/または軽鎖タンパク質合成についてアッセイされる。例示的なアッセイ技術は、酵素結合免疫吸着検定(ELISA)、放射線免疫検定法(RIA)、または蛍光活性化細胞選別分析(FACS)、免疫組織化学などを含む。
【0115】
本明細書中で用いらように、「変換」という用語は、遺伝子型を変えて、結果的に受容細胞を変える受容宿主細胞へのDNAの導入を指すように、広い意味で用いられる。
【0116】
同じように、「宿主細胞」は、組換えDNA技術を用いて構築され、少なくとも1つの異種遺伝子をエンコードするベクターで変換された細胞を指す。組換え宿主からのポリペプチドの単離のためのプロセスの記載において、「細胞」および「細胞培養物」という用語は、明確にそうでないと記されなければ、抗体の源を示すように交換可能に用いられる。換言すると、「細胞」からのポリペプチドの回収は、スピンダウンされた全細胞から、または媒質および懸濁細胞の両者を含有する細胞培養物から、のいずれかを意味し得る。
【0117】
1つの実施形態では、抗体発現に用いられる宿主細胞系は哺乳類由来である。当業者は、その中に発現されるべき所望の遺伝子産物に最も適した特定の宿主細胞系を決めることができる。例示的な宿主細胞系は、DG44およびDUXB11(チャイニーズハムスター卵巣株、DHFRマイナス)、HELA(ヒト子宮頸癌)、CVI(サル腎臓株)、COS(SV40 T抗原を有するCVIの誘導体)、R1610(チャイニーズハムスター線維芽)、BALBC/3T3(マウス線維芽)、HAK(ハムスター腎臓株)、SP2/O(マウス骨髄腫)、BFA−1c1BPT(ウシ内皮細胞)、RAJI(ヒトリンパ球)、293(ヒト腎臓)を含むが、これらに限定されない。1つの実施形態では、細胞系は、それから発現される抗体の変更されたグリコシル化、たとえばアフコシル化を提供する(たとえば、PER.C6.RTM.(Crucell)、またはFUT8−ノックアウト
CHO細胞系(Potelligent.RTM. Cells)(Biowa, Princeton, N.J.))。1つの実施形態では、NS0細胞を用いてもよい。CHO細胞が特に好ましい。宿主細胞系は典型的に、商業サービス、すなわちthe American Tissue Culture Collectionから、または公開された文献から入手可能である。
【0118】
インビトロ産生は、大量の所望のポリペプチドを与える規模拡大を可能にする。組織培養条件下での哺乳類細胞培養のための技術は当該技術分野で公知であり、たとえば、エアリフト反応器もしくは連続撹拌反応器などの均質懸濁培養物、または中空ファイバ、マイクロカプセル中、アガロースマイクロビーズもしくはセラミックカートリッジ上などの固定されたもしくは捕らえられた細胞培養物を含む。必要に応じておよび/または所望により、ポリペプチドの溶液を、たとえばゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィ、DEAEセルロース上クロマトグラフィ、および/または(免疫)アフィニティクロマトグラフィなどの通常のクロマトグラフィ法によって精製可能である。
【0119】
本発明の結合ポリペプチドまたはそのフラグメントをエンコードする遺伝子も、細菌または酵母または植物細胞などの非哺乳類細胞において発現可能である。この点において、細菌などの、培養または発酵の中で成長可能なさまざまな単細胞非哺乳類微生物も変換可能であることが認められる。変換しやすい細菌は、大腸菌またはサルモネラ菌の株などの腸内細菌科、枯草菌などの細菌科、肺炎双球菌、連鎖球菌、およびヘモフィルスインフルエンゼのメンバーを含む。細菌の中で発現されると、ポリペプチドは封入体の一部となることができることがさらに認められる。ポリペプチドは、単離され、精製され、次に機能分子の中にアセンブルされなければならない。
【0120】
原核生物に加えて、真核微生物も用いてもよい。出芽酵母または一般的なパン酵母は、真核微生物の中でも最も一般的に用いられる。尤も、多数の他の株が一般的に利用可能である。サッカロマイセスにおける発現のために、たとえば、プラスミドYRp7(Stinchcomb et al., Nature, 282: 39 (1979); Kingsman et al., Gene, 7: 141 (1979); Tschemper et al., Gene, 10: 157 (1980))を一般的に用いる。このプラスミドは、既に、た
とえばATCC No. 44076またはPEP4−1(Jones, Genetics, 85: 12 (1977))などのトリプトファン中で成長する能力を欠いている酵母の変異株のための選択マーカを与えるTRP1遺伝子を含有している。次に酵母宿主細胞ゲノムの特性としてのtrpl傷害の存在は、トリプトファンの不在下での成長による変換を検出するための効果的な環境を与える。
【0121】
V.薬剤処方および結合ポリペプチドの投与の方法
別の局面では、本発明は、抗PDGFRβ抗体またはそのフラグメントを備える医薬組成物を提供する。
【0122】
本発明の抗体またはそのフラグメントを調製して対象に投与する方法は、当業者に周知である、または当業者によって容易に定められる。本発明の抗体またはそのフラグメントの投与の経路は、経口、非経口、吸入による、または局所的であり得る。本明細書中で用いるように、非経口という用語は、静脈内、動脈内、腸膜内、筋肉内、皮下、直腸、または膣内投与を含む。非経口投与の静脈内、動脈内、皮下、および筋肉内形態が一般的に好ましい。投与のこれらすべての形態は発明の範囲内にあるとして明確に企図されるが、投与の形態は、注射、特に静脈内もしくは動脈内注射、または点滴のための溶液であろう。通常は、注射に好適な医薬組成物は、緩衝液(たとえば、酢酸、リン酸、またはクエン酸塩緩衝液)、界面活性剤(たとえばポリソルベート)、オプションで安定剤(たとえばヒトアルブミン)などを備えてもよい。しかしながら、本明細書中の教示と整合する他の方法では、ポリペプチドを有害な細胞集団の部位に直接に送達して、それにより治療剤に対する疾患組織の露出を増大させることができる。
【0123】
非経口投与のための調製物は、滅菌水溶液もしくは非水溶液、懸濁液、および乳剤を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能有機エステルである。水性のキャリアは、塩水および緩衝された媒質を含む水、アルコール溶液/水溶液、乳剤、または懸濁液を含む。本発明では、医薬的に許容可能なキャリアは、0.01−0.1Mおよび好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液、または0.8%塩水を含むが、これらに限定されない。他の一般的な非経口ビヒクルは、リン酸ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンガー油、または固定油を含む。静脈内ビヒクルは、流体および栄養分補充液、リンガーデキストロース系などの電解質補充液などを含む。たとえば、抗菌薬、酸化防止剤、キレート剤、および不活性ガスなどの保存料および他の添加剤も存在してもよい。より特定的には、注射可能な使用に好適な医薬組成物は、(水溶性の場合は)滅菌水溶液、または分散液、および滅菌注射可能溶液もしくは分散液の即座の調製のための滅菌粉末を含む。そのような場合、組成物は無菌でなければならず、容易なシリンジ操作性が存在する程度に流動的であるべきである。それは製造および保存の条件下で安定しているべきであり、好ましくは、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存される。キャリアは、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにその好適な混合物を含有する溶媒または分散媒質であり得る。たとえば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合は、要件とされる粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止は、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどのさまざまな抗菌および抗真菌剤によって達成可能である。多くの場合、組成物中に、たとえば、糖、マンニトールなどの多価アルコール、ソルビトール、または塩化ナトリウムなどの等浸透圧剤を含むことが好ましい。長期にわたる注射可能組成物の吸収は、組成物中に、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる剤を含むことによってもたらすことができる。
【0124】
いずれの場合も、滅菌注射可能溶液は、必要に応じて、本明細書中で列挙される成分のうち1つまたはその組合せを有する適切な溶媒の中に必要な量の活性化合物を(たとえば、抗体単独で、または抗体を他の活性剤と組合せて)組入れて、濾過滅菌をその後で行なうことによって調製することができる。一般的に、分散液は、塩基性分散媒質および以上列挙したものからの必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクルの中に活性化合物を組入れる
ことによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は真空乾燥および凍結乾燥であり、これは、活性成分の粉末プラス、当該先に滅菌濾過された溶液からの任意の付加的な所望の成分を生じる。注射のための調製物は処理され、アンプル、袋、瓶、シリンジ、またはガラス瓶などの容器の中に入れられ、当該技術分野で公知の方法に従って無菌条件下で封止される。さらに、調製物は、各々が本明細書中に引用により援用される同時係属中の米国連続番号第09/259,337号および米国連続番号第09/259,338号に記載のものなどのキットの形態でパッケージ化されて販売されてもよい。そのような製造物品は好ましくは自己免疫疾患または腫瘍性疾患を患っている対象またはそれらに罹りやすい対象を治療するのに、関連付けられる組成物が有用であることを示す標識またはパッケージ挿入物を有する。
【0125】
上述の状態の治療のための本発明の安定化された抗体またはそのフラグメントの有効な用量は、投与の手段、標的部位、患者の生理的状態、患者がヒトであるかまたは動物であるか、投与されている他の医薬、および治療が予防的であるかまたは療法的であるかを含む、多数の異なる要因に依存して異なる。通常、患者はヒトであるが、遺伝形質転換哺乳類を含む非ヒト哺乳類も治療可能である。治療投薬量は、安全性および効能を最適化するように、当業者に公知の慣用的方法を用いて滴定されてもよい。
【0126】
本発明の抗体を用いた受動的免疫のために、投薬量は、たとえば、宿主の体重の約0.0001〜100mg/kg、およびより通常は0.01〜5mg/kg(たとえば、0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kgなど)の範囲にわたってもよい。たとえば、投薬量は、1mg/kg体重もしくは10mg/kg体重、または1−10mg/kgの範囲内、好ましくは少なくとも1mg/kgであり得る。上記範囲中の中間の用量も本発明の範囲内にあると意図される。
【0127】
対象は、そのような用量を、毎日、1日置き、週に1回、または経験的分析によって定められる任意の他のスケジュールに従って投与され得る。例示的な治療は、たとえば、少なくとも6ヶ月の長きにわたり、複数の投薬量の投与を必要とする。付加的な例示的な治療計画は、2週間に1回、または1ヶ月に1回、または3ヶ月から6ヶ月に1回の投与を必要とする。例示的な投薬量スケジュールは、連日の1−10mg/kgもしくは15mg/kg、1日置きの30mg/kg、または週に1回の60mg/kgを含む。いくつかの方法では、結合特異性が異なる2つ以上のモノクローナル抗体が同時に投与され、その場合、投与される各々の抗体の投薬量が示される範囲内に入ってもよい。
【0128】
本発明の抗体またはそのフラグメントは何度も投与可能である。単回投薬量間の間隔は、たとえば、毎日、週に1回、月に1回、または年に1回であり得る。間隔は、患者のポリペプチドまたは標的分子の血中濃度を測定することによって示されるように、不規則でもあり得る。いくつかの方法では、投薬量は、たとえば1−1000ug/mlまたは25−300ug/mlなど、ある血漿抗体または毒素濃度を達成するように調整される。これに代えて、抗体またはそのフラグメントは徐放性処方として投与可能であり、その場合、頻度を低くした投与が必要である。投薬量および頻度は、患者中の抗体の半減期に依存して異なる。一般的に、ヒト化抗体は最も長い半減期を示し、その次にキメラ抗体および非ヒト抗体が続く。1つの実施形態では、本発明の抗体またはそのフラグメントは、共役されていない形態で投与することができる。別の実施形態では、本発明の抗体は、共役された形態で複数回投与することができる。また別の実施形態では、本発明の抗体またはそのフラグメントは、共役されていない形態で、次に共役された形態で投与され得、またはその逆に投与され得る。
【0129】
投与の投薬量および頻度は、治療が予防的であるかまたは療法的であるかに依存して異
なり得る。予防的適用例では、本抗体またはそのカクテルを含有する組成物は、既に疾患状態になっているわけではない患者に投与されて、患者の抵抗力を高める。そのような量は、「予防的に有効な用量」と規定される。この用途では、精密な量は、ここでも患者の健康状態および一般的な免疫性に依存するが、一般的には用量当たり0.1〜25mg、特に用量当たり0.5〜2.5mgの範囲にわたる。比較的低い投薬量は、長期間にわたって比較的頻繁でない間隔で投与される。患者によっては死ぬまで治療を受け続ける。
【0130】
療法的適用例では、時には、疾患の進行を遅らせるかまたは進行が終わるまで、および好ましくは患者が疾患の症状の部分的なまたは完全な軽減を示すまで、比較的短い間隔での比較的高い投薬量(たとえば、用量当たり抗体の約1〜400mg/kg、放射性免疫複合体については5〜25mgの投薬量がより一般的に用いられ、細胞毒−薬剤共役分子については、より高用量が用いられる)が必要である。その後、患者に予防的計画を投与可能である。
【0131】
1つの実施形態では、対象は、(たとえばベクターに)本発明のポリペプチドをエンコードする核酸分子で治療されることができる。ポリペプチドをエンコードする核酸の用量は、患者当たり10ng〜1g、100ng〜100mg、1ug〜10mg、または30−300ug DNAの範囲にわたる。感染ウイルスベクターの用量は、用量当たり10−100個またはそれ以上のビリオンと、さまざまである。
【0132】
治療剤は、予防的および/または療法的治療のための、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、腸腔内、鼻腔内、または筋肉内手段によって投与可能である。本発明の抗体の投与のためには、筋肉内注射または静脈内注入が好ましい。いくつかの方法では、治療抗体またはそのフラグメントが頭蓋中に直接に注射される。いくつかの方法では、抗体またはそのフラグメントは、Medipad(登録商標)装置などの徐放性組成物また
は装置として投与される。
【0133】
本発明の剤は、オプションで、(たとえば予防的または療法的)治療が必要な不調または状態を治療するのに有効な他の剤と組合せて投与することができる。好ましい付加的な剤は、技術分野で認識され、特定の不調のために標準的に投与されるものである。
【0134】
本発明の90Y標識抗体の有効な単回治療投薬量(すなわち、療法的に有効な量)は、約5〜約75mCiの間、より好ましくは約10〜約40mCiの間の範囲にわたる。131I標識抗体の有効な単回治療骨髄非破壊投薬量は、約5〜約70mCi、より好ましくは約5〜約40mCiの範囲にわたる。(すなわち、自己骨髄移植を必要とし得る)131I標識抗体の有効単回治療破壊投薬量は、約30〜約600mCiの間、より好ましくは約50〜約500mCi未満の範囲にわたる。キメラ修飾抗体と関連して、ネズミ抗体と比べてより長い循環半減期により、ヨウ素131標識キメラ抗体の有効単回治療骨髄非破壊投薬量は、約5〜約40mCiの間、より好ましくは約30mCi未満の範囲にわたる。たとえば111In標識のための画像化基準は、典型的には約5mCi未満である。
【0135】
131Iおよび.90Yについてはかなり多くの臨床経験が得られたが、他の識別に用いる放射性同位元素が当該技術分野で公知であり、同様の目的のために用いられている。また他の放射線同位元素を画像化のために用いる。たとえば、本発明の範囲と整合する付加的な放射性同位元素は、1231、1251、32P、57Co、64Cu、67Cu、77Br、81Rb、81Kr、87Sr、113In、127Cs、129Cs、132I、197Hg、203Pb、206Bi、177Lu、186Re、212Pb、212Bi、47Sc、105Rh、109Pd、153Sm、188Re、199Au、225Ac、211A 213Biを含むが、これらに限定されない。この点において
、アルファ、ガンマ、およびベータ放射源はすべて本願と整合する。また、本開示に鑑みて、当業者ならば、不要な実験なしに、どの放射性核種が選択された治療過程と整合するかを容易に判断することができると思料される。この目的のため、既に臨床診断で用いられている付加的な放射性核種は、125I、123I、99Tc、43K、52Fe、67Ga、68Ga、および111Inを含む。抗体も、目指す免疫療法での潜在的な使用のためのさまざまな放射性核種で標識される(Peirersz et al. Immunol. Cell Biol. 65: 111-125 (1987))。これらの放射性核種は、より低程度で188Reおよび186Reならびに199Auおよび67Cuを含む。米国特許第5,460,785号は、そのような放射性同位元素に関する付加的なデータを提供し、本明細書中に引用により援用される。
【0136】
先に論じたように、本発明の抗体またはそのフラグメントは、哺乳類の不調のインビボ治療のために医薬的に有効な量を投与可能である。この点において、開示される抗体またはそのフラグメントは、活性剤の投与を容易にし、その安定性を促進するように処方されることが認められる。好ましくは、本発明に従う医薬組成物は、生理食塩水、非毒性緩衝液、保存料などの医薬的に許容される非毒性滅菌キャリアを備える。本願の目的のため、治療剤に共役されるまたは共役されない医薬的に有効な量の本発明の抗体は、標的に対する効果的な結合を達成し、かつたとえば疾患もしくは不調の症状を軽減するため、または物質もしくは細胞を検出するためなどの利点を達成するのに十分な量を意味すると考えられる。腫瘍細胞の場合、ポリペプチドは好ましくは、新生細胞または免疫反応細胞に対する選択された免疫反応抗原と相互作用することができ、それらの細胞の死を増大させる。当然ながら、本発明の医薬組成物は、単回用量または複数回用量で投与されて医薬的に有効な量のポリペプチドを与えてもよい。
【0137】
本開示の範囲の流れに沿って、本発明の抗体は、療法的または予防的効果を生じさせるのに十分な量、前述の治療法に従ってヒトまたは他の動物に投与されてもよい。本発明のポリペプチドは、本発明の抗体を、公知の技術に従う従来の医薬的に許容されるキャリアまたは希釈液と組合せることによって調製される従来の投薬量形態で、そのようなヒトまたは他の動物に投与することができる。当業者には、医薬的に許容可能なキャリアまたは希釈液の形態または特性が、それが組合せられるべき活性成分の量、投与の経路、および他の周知の変数によって決まることが認識されるであろう。当業者はさらに、本発明に従うポリペプチドの1つ以上の種を備えるカクテルが特に有効であるとわかり得ることを認めるであろう。
【0138】
VI.PDGFRβ関連疾患または不調を治療する方法
本発明の結合ポリペプチドまたはそのフラグメントは、PDGFRβ活性に拮抗するのに有用である。したがって、別の局面では、本発明は、本発明の1つ以上の抗PDGFRβ抗体またはその抗原結合フラグメントを備える医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することによってPDGFRβ関連の疾患または不調を治療するための方法を提供する。
【0139】
治療の対象となるPDGFRβ関連の疾患または不調は、限定されることなく、加齢黄斑変性症(AMD);血管形成術後の冠動脈再狭窄、アテローム切除術、またはプラーク除去の他の侵襲性の方法、ならびに同じ手順後の腎動脈または末梢動脈再狭窄を含む再狭窄;成人型呼吸窮迫症候群と関連付けられる肺線維症、腎炎と関連付けられる腎線維症、川崎病と関連付けられる冠動脈狭窄、および高安病などの他の動脈炎(arteritide)と関連付けられる血管の狭まりなどの急性損傷の他の形態と関連付けられる脈管増殖現象および線維症;強皮症、筋線維症などの線維形成過程;ならびに癌(たとえば、腫瘍細胞増殖および新血管新生)を含む。
【0140】
当業者は、通常の実験により、PDGFRβ関連の疾患または不調を治療する目的のために、有効な非毒性量の抗体(または付加的な治療剤)が何であるのかを定めることができるであろう。たとえば、療法的に活性な量のポリペプチドは、対象の疾患の段階(たとえばステージI対ステージIV)、年齢、性別、医学的合併症(たとえば、免疫反応抑制状態または疾患)、および体重、ならびに対象の中で所望の応答を引出す抗体の能力などの要因に応じて異なることがある。投薬量の計画は、最適な治療反応を与えるように調整されてもよい。たとえば、治療状況の緊急性によって示されるように、いくつかの分割用量を毎日投与してもよく、または比例して用量を減らしてもよい。しかしながら、一般的に、有効な投薬量は、1日当たり体重のキログラム当たり約0.05〜100ミリグラムの範囲、より好ましくは1日当たり体重キログラム当たり約0.5〜10ミリグラムの範囲にあることが予想される。
【実施例】
【0141】
VII.実施例
本発明は、さらなる限定と解釈されるべきではない以下の実施例によってさらに図示される。配列表、図、ならびにこの出願を通じて引用されるすべての文献、特許、および公開特許出願の内容が本明細書中に引用により明示的に援用される。
【0142】
実施例1.ヒトPDGFRβに特異的に結合するVHドメインの単離
特異的にヒトPDGFRβに結合するVHドメインは、その全体がここに引用により援用されるWO2010/011944に記載のようなDNAディスプレイを用いて選択された。具体的に、10人の骨髄ドナーに由来するナイーブヒトVHドメインDNAディスプレイライブラリがヒトPDGFRβに対する6ラウンドの選択を受けた。選択されたバインダはクローニングされ、配列化された。このスクリーンから、VHドメインクローンA4、B4、およびG2が選択された。そのアミノ酸配列を表3に記載する。
【0143】
実施例2.HCDR3シャッフリング
A.VHライブラリ構成
改良された結合特性を有するVHドメインのスクリーニングのため、(XB1511と指定される)クローンA4のHCDR3配列がナイーブヒトVHライブラリにシャッフリングされ、これはさらに、ヒトPDGFRβおよびマウスPDGFRβへの結合のために選択された。具体的に、クローンA4(SEQ ID NO:1)のHCDR3のためのDNA配列コーディングが合成され、フレームワーク特異的オリゴヌクレオチドを用いて骨髄B細胞およびPBMCから増幅されたナイーブヒトVHドメインのフレームワーク領域1−3を備えるライブラリの中にアセンブルされた。ヒトVHフレームワーク領域1−3は、5′VHファミリー特異的および3′ジェネリックFR3リバースプライマーを用いて増幅されて、VHファミリーフレームワーク領域の別個のライブラリを作り出した。VHファミリーフレームワークライブラリおよびXB1511 HCDR3は、5’T7TMVおよび3’XB1511 FR3CDR3FR4オリゴを用いたさらなるPCR増幅によってシャッフリングされた。これは、インビボ転写/翻訳のために、5’端においてT7TMVプロモータ配列も加えた。(翻訳後の精製のための)C末端Cμ3配列およびFLAGタグも、5’T7TMVプライマーとともに、それぞれFR4 Cu3リバースおよびY109プライマーを用いてPCRによって加えられた。HCDR3シャッフリングされたVHライブラリの調製のために用いられたオリゴヌクレオチドの核酸配列を表5に記載する。VHライブラリ構成の概略を
図1に記載する。
【0144】
【表5】
【0145】
B.ライブラリスクリーニング
HCDR3シャッフリングされたVHドメインライブラリは次にmRNAライブラリに転写され、WO2010/011944に記載のようにdsDNAディスプレイ技術を用いた選択を受けた。選択は、4ラウンドにわたる交互のラウンドでヒトPDGFRβおよびマウスPDGFRβを用いて行なわれた。速度論的に制御されたオンおよびオフレート選択が連続ラウンドで適用されて、選択の厳しさを増大させ、およびしたがってPDGFRβについて高い親和性を有するVHドメインを選択した。具体的に、選択は以下のように行なわれた。ラウンド1(R1)は、10nMの固定されたヒトPDGFRβを用い、R2は、固定された100nMのマウスPDGFRβを用い、R3は、10nMの可溶性ヒトPDGFRβを用い、200nMの固定されたヒトPDGFRβと24時間および120時間競合され、R4は、10nMのマウスPDGFRβを用いた。R4結合プールは、DNA配列化のためにサブクローニングされた。R4結合プールの配列の分析は、XB1511のHCDR3がさまざまな異なるフレームワーク文脈の中に存在することを示した。分析された配列の組からは野生型親配列は得られなかった。選択されたVHドメインのアミノ酸配列を本明細書中では表3に記載する。
【0146】
C.選択されたHCDR3シャッフリングされたVHドメインの結合特異性
以上選択されたR4結合プールは、
35S Met標識インビトロ翻訳ライブラリを用いて、ヒトPDGFRβおよびマウスPDGFRβの両方への結合について評定された。具体的に、エポキシビーズ、100nMのヒトIgG、ヒトPDGFRβ、およびマウスPDGFRβに対するプールの結合が評定された。
図2に示されるように、親XB1511
VHドメインは、ヒトPDGFRβに対する特異的結合を、またマウスPDGFRβに対する検出不可能な結合を示した。フレームワークシャッフリングされた、予め選択されたライブラリは、ヒトPDGFRβに対する弱い結合を示した。しかしながら、これに対し、R4フレームワークシャッフリングされたライブラリは、ヒトPDGFRβおよびマ
ウスPDGFRβの両方に対してかなりの結合を示した。
【0147】
実施例3.安定したVL/VH対の同定
A.VL DNAライブラリの構成
ヒトVLライブラリ(VカッパおよびVラムダ)は、RT−PCRによる若い健常ドナー(Allcells)のB細胞から構築された。ライブラリの多様性を確実にするため、3億個の骨髄一核性細胞および1億個の末梢血単核細胞が10人のドナーから得て、ナイーブVHおよびVLライブラリ構築のために用いた。ライブラリ生成法の概略を
図3に示す。
【0148】
VカッパおよびVラムダ配列のcDNA合成およびその後のPCR増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマーは、表4に記載のように設計された。具体的に、上流UTR配列を有する各々のファミリーのVκおよびVλ FR1領域から、複数のセンスプライマーが設計された。κおよびλ遺伝子増幅のためのアンチセンスプライマーは、同じCκ2下流(JλCκ2)を有するCκ1(Cκ2)またはJλに入れ子にされた定常領域から設計された。VκおよびVλライブラリは、選択サイクルの間、PCR増幅のための同じC末端配列を担持する。
【0149】
mRNAは、キットが提供する実験計画案に従って、FastTrack mRNA調製キット(Invitrogen)を用いて個々のドナーから調製された。第1鎖cDNAは、軽鎖カッパおよびラムダ定常領域(Cκ1およびCλ1)に特異的なプライマーを用いて、単離されたmRNAから合成された。
【0150】
VカッパおよびVラムダ配列のPCR増幅は、cDNAを鋳型として用いて、Cκ2およびVκファミリー特異的またはJλCλ2混合物、およびVλファミリー特異的プライマーを用いて行なわれた。PCRは、18−20サイクルの間、個々のVκおよびVλファミリーならびに個々のドナーについて行なわれた。ゲル精製の後、最終的なVκおよびVλライブラリを生成するように、各々の異なる源からのVκおよびVλライブラリがプールされた。
【0151】
【表6-1】
【0152】
【表6-2】
【0153】
B.dsDNAディスプレイによるVL融合ライブラリの生成
この実施例で述べる方法を用いて生成されたVκおよびVλ DNAライブラリは、T7Megascriptキット(Invitrogen、Cat#AM1334)を用いてmRNAライブラリに転写された。mRNAは、キットが提供する実験計画案に従って、RNeasy MinElute Cleanup Kit(Qiagen、Cat#74204)を用いて精製された。合計600pmolの
RNA(300pmolのVκおよびVλライブラリ)が、WO2010/011944に記載のようにdsDNAディスプレイリンカーおよび成分と結合され、アセンブルされた。アセンブルされたVLライブラリは、各々のVLドメイン(表現型)が安定してそのコーディング配列(遺伝子型)に融合される融合ライブラリを作り出すためにインビトロ翻訳された。
35S Metを翻訳プロセスに組入れて、融合を放射性同位元素で識別した。次に、ライブラリはオリゴdTセルロースを用いて精製されて、後にフラグタグ精製を伴う逆転写、RNアーゼH消化、第2鎖DNA合成の標準的な分子生物学技術を用いてdsDNAディスプレイライブラリに変換された。
【0154】
C.XB1511およびXB2202 VHドメインのためのVL対の同定
XB1511 VHドメインは、(翻訳反応への
35S Metの組入れにより)遊離タンパク質として翻訳され、c末端フラグタグを通してアフィニティ精製された。XB1511 VHドメインおよび(以上のように調製された)精製されたVLドメイン融合ライブラリは次に等モル比で混合され、25Cで1晩インキュベーションされて、それらの疎水性パッチを通してVHおよびVL融合ドメインのインビトロ会合を可能にした。次に混合物は、エポキシ450ビーズ上または溶液の中で予め固定され、かつタンパク質Aビーズによって捕らえられたPDGFRβ標的と接するようにされた。固定されたPDGFRβ標的に結合した複合体は0.1NのKOHで洗浄され、溶出された。PCRは、VL特異的プライマーセットを用いて行なわれて、両者ともVH−VL対としておよび不対VLドメインとしてPDGFRβ標的に結合したVLを回収した。VLペアリングは、初めの2ラウンドについては厳しさを低くして(100nMのPDGFRβ)、3ラウンド目については厳しさを高くして(10nMのPDGFRβ)、3ラウンド行なった。XB2202 VHドメインも、2ラウンド同様にVLライブラリとペアリングされた。XB2202/VLペアリングおよび選択の各ラウンド毎に、厳しさは、速度論的に制御されたオンおよびオフレート戦略によって増大されて、安定してXB2202 VHドメインとペアリングされたVLドメインを同定してVH結合を向上させた。
【0155】
以上同定されたVLドメインプールは次に、Blunt Zero TOPOベクター(Invitrogen)
にクローニングされ、結果的に得られる細菌コロニーから、VLエンコーディングDNA配列が、M13フォワードおよびリバースプライマーを用いてPCRによって増幅された。個々の増幅されたVLエンコーディングDNA配列を次に配列化した。VLプールから得られた配列データは、VLの多様なレパートリがプロセスを通して濃縮されることを示した。複数のファミリーおよびフレームワークがプールの中に存在した。いくつかのVLは複製またはファミリーとして存在した。区別されるVLファミリーを同定することがで
き、いくつかのVLは何度も存在した。PDGFRβ結合VHドメインXB1511およびXB2202と対になる、本発明の方法を用いて同定された例示的なVL配列を本明細書中の表4に記載する。
【0156】
D.同定されたVHおよびVL対の評価
同定されたVH−VL対の特性を評価するため、各々のプールからの10−12個のscFvが、インビトロ翻訳によってまたは大腸菌発現によって構築され、産生され、その後アフィニティ精製された。
【0157】
PDGFRβ結合ELISAアッセイが行なわれて、固定されたPDGFRβに対するscFvの結合を評定し、EC50を判断した。具体的に、PBS中の2ug/mLのヒトPDGFRβおよびヒトFcまたはIgGが4℃で1晩Maxisorpプレート上に固定された。次にプレートは洗浄され、スーパーブロックで阻害された。インビトロ翻訳scFv粗溶解物は、1X PBST中に1:3希釈された。100ulの希釈されたscFv溶解物がMaxisorpプレートの各々のウェルの中に入れられ、室温で1時間インキュベーションされた。固定されたPDGFRβに結合したscFvは、1:5000希釈のアンチフラグ抗体−HRPおよびTMB基質によって検出された。プレートは、OD450nmでエンドポイントアッセイを用いてMolecular Deviceプレートリーダ上で読取られた。
図4、
図5、および
図6に示されるように、ELISA結合アッセイでは、XB1511およびXB2202について生成されたscFvの50%より多くがPDGFRβに対する特異的結合を示した。これに対し、不対VL単独では、PDGFRβに対する結合を示さなかった(
図7を参照)。
【0158】
いくつかのscFvの親和性は、溶液系平衡結合アッセイによって定められた。具体的に、120pmolのscFv RNAは、
35S Metを組入れた遊離タンパク質に翻訳された。翻訳された反応混合物は、0.025%のトリトン、1mg/mLのBSA、および0.1mg/mLのsssDNAを有する1XPBSを含有する結合緩衝液の中で3倍希釈された。ヒトPDGFRβは、100nM〜0nMへの最終濃度へ、同じ結合緩衝液中に希釈された。希釈されたscFv混合物は、Kingfisherプレート(Thermofisher
Scientific、97002084)上で、100ulの最終容積のhPDGFRβでイン
キュベーションされた。インキュベーションの後、25ulのタンパク質A磁性ビーズ(Invitrogen)を用いて、溶液からPDGFRβを捕らえた。捕らえられたPDGFRβをkingfisherリーダ(Thermofisher Scientific)の中で洗浄し、溶出した。磁性ビーズ固
定hPDGFRβに結合した(
35S Metで標識付けされた)scFvの量は、シンチレーションカウンタを用いて数えられ、Graph Pad Prism 5を用いてKdが算出された。
試験されたXB1511由来scFvについては、XB1511 VH単独(
図8)と比較して、2つのscFvが、8−10倍、より高いKdを示し、1つが、2.5倍、より高いKdを示し、4つが同様のKdを示した。1つのscFvのみが、XB1511 VH単独よりも低いK
Dを示した。
図9に示されるように、XB2202 VH単独と比較
して、試験されたXB2202由来scFvの両者ともが、約8−10倍、より良好なKdを示した。
【0159】
実施例4.ヒトPDGFRβおよびマウスPDGFRβに対する抗PDGFRβ VHドメインの結合親和性
実施例2で選択されたR4フレームワークシャッフリングされたヒトPDGFRβおよびマウスPDGFRβ濃縮VHドメインプールは、大腸菌発現ベクターにクローニングされ、産生され、かつ精製された。ヒトPDGFRおよびマウスPDGFRへのVHドメインの結合キネティクスは、BiacoreT100での表面プラズモン共鳴を用いて測定された
。簡単に述べると、ヒトおよびマウスPDGFR−hIgG1−Fcキメラ融合タンパク質は、抗hIgG1 Fcモノクローナル抗体に結合されたSeries CM5センサチップ(C
M5)を用いて別個に固定された。各サイクル毎に、PDGFR融合タンパク質がまず捕らえられ、その後に、流量100uL/分で115秒間、VHを注射した(会合)。会合段階のすぐ後に、600秒の解離段階がある。表面は、3MのMgCl2(10uL/分、60秒)の単回注射で各サイクルに再生された。VHドメインの複数の濃縮物が注射され(0.55nM−40nM)、結果的に得られたセンサグラムがT100評価ソフトウェアで分析された。結合キネティクスは、1:1結合曲線当てはめを用いて測定された。ヒトPDGFRβおよびマウスPDGFRβに対するVHドメインクローンXB2202およびXB2708の結合キネティクスを、それぞれ
図10、
図11、および
図12に示す。これらの結果は、XB2202およびXB2708が、親XB1511と比較して、50−150倍の親和性向上を有することを示す。具体的に、XB2202およびXB2708は、それぞれ249pMおよび93pMのKd、ならびにそれぞれ1.86×10
-3および9.267×10
-4のオフレート(Koff)を有する。XB2202およびXB2708の両者ともがヒトPDGFRβおよびマウスPDGFRβに結合した。それらは同じHCDR3を共有したが、XB2202は、VH1ファミリー生殖細胞系配列に由来し、XB2708は、VH3ファミリー生殖細胞系配列に由来したことに特に注目すべきである。
【0160】
実施例5.PDGFRβに対するPDGFBB結合の抑制
本明細書中に開示されるXB2202 VHドメインの、ヒトPDFGRbへのPDGFBBリガンドの結合に拮抗する能力は、BiacoreT100での表面プラズモン共鳴を用
いて評定された。簡単に述べると、ヒトPDGFR−hIgG1−Fcキメラ融合タンパク質は、抗hIgG1 Fcモノクローナル抗体と結合されたSeries CM5センサチップを用いて固定された。10nMのヒトPDGFBBは、予め捕らえられたヒトPDGFRβに注射されて、VHの不在下でPDGFRβに対する100%の結合応答ユニットを得た。各連続サイクル毎に、PDGFR融合タンパク質がまず捕らえられ、次に、VHドメインが次に120秒間注射された。未結合のVHドメインを洗浄した後、次に10nMのPDGFBBを120秒間注射した。表面は、3MのMgCl2(10uL/分、60秒)の単回注射によって各サイクルに再生された。VHの複数の濃縮物が注射され(0.46nM−60nM)、結果的に得られるセンサグラムがT100評価ソフトウェアで分析され、PDGFBB結合抑制が算出された。
図13に示されるように、XB2202は、5nM未満のIC50でのヒトPDFGRbへのPDGFBB結合を抑制する。
【0161】
実施例6.周細胞移動の抑制
本明細書中に開示されるXB2708 VHドメインの、インビトロPDGFBB誘導周細胞移動に拮抗する能力が測定された。一次ヒト網膜周細胞がCell Systems Corporation(Kirkland、WA)から得られ、CSC完全成長媒質を用いて、製造者の提案に従って培養された。ほぼ125個の細胞(2−5継代)がヒト血漿フィブロネクチン(PBS中5μg/ml)でコーティングされ、0.1%のBSAを含有する無血清媒質中のBSA(PBS中の1%)で阻害された384ウェルBIND(著作権)バイオセンサプレートの各々のウェルに播種された。細胞は付着を許され、次に1晩血清飢餓とされた。血清飢餓の後に続いて、細胞は、組織培養インキュベータ中で、ヒトPDGFRβ受容体に対するVHのさまざまな濃縮で1時間インキュベーションされた。移動は、無血清培質中5ng/mlの最終濃度に対するPDGF−BBの添加によって、抗体の予めのインキュベーションの終わりに刺激された。ウェルの画像は、5%のCO
2および>75%の湿度で3
7℃で組織培養インキュベータ中で20時間、18分毎にBIND(著作権)スキャナを用いて取得された。集められたデータを、Matlabに基づく重心識別および追跡アルゴリズムを用いて分析して、10時間と16時間との間の細胞の速度を算出した。
図14に記載される結果は、XB2708が、0.54nMのIC50でPDGF−BB誘導周細胞移動に拮抗することができることを示す。
【0162】
実施例7.異種四量体IgGへのVH−VL対の変換および生物学的活性の実証
XB1511 VHおよびD8 VLは、293T細胞中の異種四量体IgG中にともに発現された。細胞培養上澄みは48時間および96時間後に集められ、発現されたIgGは、タンパク質Aアガロースビーズを用いて精製された。IgGは、最適化を何ら行なわずに、8mg/Lで産生された。XB1511/D8 IgGの生物学的活性を評価するため、HFF−1ヒト包皮線維芽が384ウェルBINDバイオセンサに播種され、無血清培質中で1晩付着を許された。次に、繊維芽細胞は、5ng/mLまたは10ng/mLのPDGFBBリガンドで刺激され、100nMのXB1511/D8 IgGの存在または不在下で、18時間移動を許された。BINDスキャナ画像は15分毎に捕捉され、ソフトウェア分析ツールを用いて個々の細胞移動応答の軌跡長さを測定した。軌跡長さは、青(移動なし)から赤(最大移動)への「ヒートマップ」によって表わされる。
図15に示されるように、XB1511/D8 IgGは、ヒト線維芽のPDGF−BB誘導移動を完全に阻害することができた。
【0163】
実施例8.scFv熱安定性
XB2202VHおよびXB2202/A4 scFvの熱安定性を定めた。具体的に、1mg/mLのXB2202およびXB2202−A4が、12時間、4℃、37℃、60℃、および70℃でインキュベーションされ、インキュベーション後にPDGFRβ結合ELISAを行なってタンパク質の結合活性を試験した。
図16に示されるように、XB2202 VHドメインは、60℃でのインキュベーション後にかなりのPDGFRβ結合活性を失い、70℃でのインキュベーション後に結合活性を完全に失った。XB2202のTmは約62℃であると測定された。これに対し、XB2202/A4 scFvは、70℃での12時間のインキュベーション後に完全に活性であり、このことは、XB2202 scFvのTmが70℃よりも高いことを示した。
【0164】
実施例9.IgG1抗体の発現、精製、および濃縮
XB1511/D8およびXB2202/A4 VH/VL対は、293T細胞中の完全長異種四量体IgG1抗体として別個に発現され、精製された。XB1511/D8およびXB2202/A4 IgG1抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を本明細書中では表7に記載する。
【0165】
細胞培養上澄みは濾過によって得られ、発現された抗体は、二段階精製方式を用いて精製された。具体的に、pH3.5の抗体結合溶質でタンパク質Aアフィニティ精製が行なわれた。タンパク質A溶出液のpHは、1Mのトリスを用いてpH7に調整され、HiTrap
Q XLカラム(GE Healthcare)を用いてイオン交換クロマトグラフィによってさらに精製された。精製された抗体は、pH7のPBS中に保存された。
【0166】
【表7】
【0167】
各精製ステップ後の抗体発現レベルおよび抗体濃度は、抗体溶液のA
280を測定するこ
とによって定められた。精製された抗体の純度および品質は、サイズ排除高性能液体クロマトグラフィ(SEC−HPLC)によって定められた。これらの実験の結果は、本明細書中では表8に記載されている。これらのデータは、XB1511/D8およびXB2202/A4 VH/VL対が完全長異種四量体IgG1抗体としてフォーマットされた場合に、結果的に得られる抗体が、それらが高レベルで発現され、容易に高純度に精製され、凝集をほとんど呈しないという点で製造性が高いことを示す。
【0168】
【表8】
【0169】
精製されたXB1511/D8およびXB2202/A4 IgG1抗体は、それらの濃縮能についてさらに分析された。具体的に、各々の抗体の溶液は、10kDaおよび30kDaカットオフリミットを有するセントリコン(登録商標)限外濾過スピンカラムを用いて50mg/mlに濃縮された。濃縮された溶液の完全性は、SEC−HPLCによって分析された。この分析から、XB1511/D8 IgG1の50mg/ml溶液は約96%の純度を有し、約2.4%の抗体凝集を含有する一方で、XB2202/A4 IgG1の50mg/ml溶液は、約97.8%の純度を有し、約2.2%の抗体凝集を含有すると判断された。これらのデータは、XB1511/D8およびXB2202/A4 IgG1抗体が、濃縮された溶液中で高度に安定していることを実証する。
【0170】
実施例10.XB1511/D8およびXB2202/A4 IgG1抗体の熱安定性
XB1511/D8およびXB2202/A4 IgG1抗体の熱安定性は、蛍光に基づくアッセイを用いて測定された。具体的に、5mg/mlの精製されたXB1511/D8 IgG1、XB2202/A4 IgG1、またはヒトIgG1対照がサイプロ(登録商標)オレンジ染料(シグマ)と混合され、混合物の温度は、25℃から95℃へ1度の増分で上昇された。サイプロオレンジ染料は、温度が上昇してIgGがアンフォールドすると、IgGの中に混ざる。IgGとのサイプロオレンジ染料の会合によって発生する蛍光シグナルは、BioRad CFX96器具を用いてモニタされた。このアッセイでは、サイプロオレンジシグナルの負の回帰を用いて、各々のタンパク質毎にピーク融点(すなわちT
m)を同定した。
【0171】
この分析から、XB1511/D8およびXB2202/A4はそれぞれ、67℃〜70℃の溶融温度(T
m)を有すると判断された。これは、72℃のT
mを呈したヒトIgG1対照抗体に十分に匹敵した。このデータは、発明のVHおよびVH/VL対が高度に熱安定性の完全長IgG分子にフォーマットされ得ることを実証する。
【0172】
実施例11.ヒトに対するXB2202 VH、scFv、およびIgG1抗体の結合親和性
ヒトPDFGRに対するXB2202 VHドメイン、XB2202/A4 scFv、およびXB2202/A4 IgG1の結合キネティクスは、BiacoreT100での表
面プラズモン共鳴を用いて測定された。簡単に述べると、組換えヒトPDGFR−hIgG1−Fcキメラ融合タンパク質(R&D、♯385−PR−100/CF)は、(VHおよびscFvアッセイについては)抗hIgG1 Fcモノクローナル抗体と、または(IgGアッセイについては)抗6His抗体と結合されたSeries CM5センサチップ上に固定された。XB2202 VHドメイン、XB2202/A4 scFv、およびXB2202/A4 IgG1が、異なる濃度(75、50、25、10、5、および1nM)で3分間、50または100ul/分で表面の上に流され、10分間解離するようにされた。データは、1:1モデルを用いてBiacoreT100分析ソフトウェアを用いて分析
された。正確な測定を可能にするように、大量輸送がチェックされ、回避された。すべてのデータは、Biacore標準実験計画案に従って、二重参照された。
【0173】
ヒトPDGFRβに対するXB2202 VHドメイン、XB2202/A4 scFv、およびXB2202/A4 IgG1抗体の結合キネティクスを、本明細書中では表9に示す。これらのデータは、XB2202 VHドメイン、XB2202/A4 scFv、およびXB2202/A4 IgG1が各々、PDGFRβについて高い結合親和性を有することを示す。不対XB2202 VHドメイン単独(2.95×10
-3s
-1)と比較して、XB2202/A4 scFvおよびXB2202/A4 IgG1は、向上したオフレート(それぞれ1.54×10
-3s
-1および1.56×10
-3s
-1)を呈することに特に留意すべきである。
【0174】
【表9】
【0175】
実施例12.インビボマウスモデルを用いた抗PDGFRβ抗体の機能的分析
本明細書中に開示される抗PDGFRβ抗体の、インビボでのPDGF誘導血管新生を抑制する能力は、(その全体が本明細書に引用により援用される)Nobuo et al. Am. J. Path, (2006) 168(6), 2036-2052に記載の成長中の網膜血管系モデル、角膜新血管新生モデル、および/または脈絡膜の新血管新生モデルを用いて評価される。これらのアッセイでは、抗体は、VHドメイン、scFv、および/または完全長IgGとしてマウスに投与される。