特許第6843832号(P6843832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843832
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】毛髪用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20210308BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20210308BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20210308BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/31
   A61K8/37
   A61Q5/12
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-505410(P2018-505410)
(86)(22)【出願日】2016年7月28日
(65)【公表番号】特表2018-522035(P2018-522035A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】EP2016068033
(87)【国際公開番号】WO2017021274
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年5月28日
(31)【優先権主張番号】15179697.6
(32)【優先日】2015年8月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】コジョマ ヒデユキ
(72)【発明者】
【氏名】カサイ マサヒロ
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,クリストファー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サノ ジロウ
(72)【発明者】
【氏名】ワダ ノゾミ
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/001069(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/087004(WO,A1)
【文献】 特表2001−504136(JP,A)
【文献】 OIL OASIS,GNPD; MINTEL,2007年 2月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00− 8/99
A61Q1/00−19/10
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全組成物の重量に対して、
a)60〜80重量%のイソドデカンと、
b)0.5〜10重量%のイソノナン酸イソノニルと、
c)5〜30重量%の水素化ポリイソブテンと、
を含む、ヘアトリートメント組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、イソドデカン:イソノナン酸イソノニルの重量:重量比が、120:1〜8:1の範囲である、組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組成物であって、1〜15重量%の量でシリコーンをさらに含み、前記シリコーンが500,000cs〜20,000,000csの範囲の動粘度を有する、組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の組成物であって、5〜15重量%の量でシリコーンをさらに含み、前記シリコーンが50,000cs〜499,999csの範囲の動粘度を有する、組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の組成物であって、0.01〜5重量%の量のアミノ変性シリコーンをさらに含む、組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のヘアトリートメント組成物であって、ヘアケアに適したさらなる補助剤をさらに含む、ヘアトリートメント組成物。
【請求項7】
セラムまたは油である、請求項1〜6の何れかに記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項8】
リーブイン組成物である、請求項1〜7の何れかに記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項で定められる組成物と毛髪を接触させる段階を含む、毛髪を処理する方法。
【請求項10】
シクロペンタシロキサンD5を含み、イソドデナン、イソノナン酸イソノニルおよび水素化ポリイソブテンを含まない点で請求項1〜8の組成物と相違する組成物に比較して、使用中の手のべたつきを軽減するための、請求項1〜8の何れか一項で定められるとおりの組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の処理における使用に対するヘアトリートメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性環状シリコーンは、毛髪用組成物において、他のシリコーン高分子量オイル用の担体または溶媒として広く使用されている。これは、官能特性と性能属性との間のバランスがとれている毛髪用組成物の提供を可能にする。揮発性環状シリコーンは、毛髪上での高分子量種の展着を促進し、ひいては製品使用中および使用後のべたつき感を軽減する。
【0003】
消費者は、毛髪の滑らかさおよび潤いを感じさせるようなコンディショニングを求める。乾燥感、ぱさつき感またはべたつき感は、毛髪のコンディショニング感に悪影響を与える。
【0004】
発明者らは、シクロペンタシロキサンなどの一部の揮発性環状シリコーン材料には、展着効率およびべたつき感に問題があることを見出した。
【0005】
さらに、規制および環境圧力により、調合者は代替技術を模索することとなった。
【0006】
コンディショニング感を失わずに、高レベルの消費者性能をもたらすことが可能な代替システムが必要とされている。
【0007】
特開第2014−001206号公報(資生堂)は、(a)10〜50重量%の、粘度が100mPa・s以下の低粘度エステル油、(b)10〜30重量%の揮発性炭化水素油、(c)1〜15重量%の植物油、(d)10〜20重量%の不揮発性油および(e)1〜10重量%の低粘度シリコーンを含む毛髪および身体の両方のためのオイルを開示する。
【0008】
欧州特許第2392314号明細書(高級アルコール工業株式会社)は、二塩基酸および1種類以上の油のエステル化合物を含む油性毛髪化粧料を開示する。この製品は、ダメージのある毛髪に対する改善効果が高く、使用時の感触が優れていると言われる。
【0009】
発明者らは、今回、シリコーンではなく、特定の炭化水素ベースの材料(イソドデカン、イソノナン酸イソノニルおよび水素化ポリイソブテン)の組み合わせに基づく担体系が、優れた展着性をもたらし、毛髪および手のべたつきを軽減することを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014−001206号公報
【特許文献2】欧州特許第2392314号明細書
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明の第1の態様において、全組成物の重量に対して、
a)60〜80重量%のイソドデカンと、
b)0.5〜10重量%のイソノナン酸イソノニルと、
c)5〜30重量%の水素化ポリイソブテンと、
を含むヘアトリートメント組成物を提供する。
【0012】
本発明はさらに、毛髪を第1の態様の組成物と接触させる段階を含む、毛髪を処理する方法に関する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、使用中の手のべたつきを軽減するための、態様1で定義されるような組成物の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の組成物は、全組成物の重量に対して、60〜80重量%、好ましくは65〜75重量%のイソドデカンと、
0.5〜10重量%、好ましくは0.75〜8重量%、より好ましくは1〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%のイソノナン酸イソノニルと、
5〜30重量%、好ましくは5〜15重量%の水素化ポリイソブテンと、
を含む。
【0015】
好ましくは、イソドデカン:イソノナン酸イソノニルの重量:重量比は、120:1〜8:1の範囲である。
【0016】
本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも1種類のシリコーンをさらに含む。
【0017】
好ましいシリコーンは、500,000cs〜20,000,000cs、好ましくは1000,000cs〜15,000,000の範囲のMWtを有する。好ましくは、前記のシリコーンは、全組成物の重量に対して、1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の量で存在する。適切な例は、20csの低粘度ジメチコンとブレンドされた20%活性高分子量ポリマー化ジメチコン(平均分子量3,000,000cs)からなる、信越シリコーンにより供給されるKF−9030である。
【0018】
別の好ましいシリコーンは、50,000cs〜499,999cs、好ましくは75,000〜350,000cs)の範囲のMWtを有する。好ましくは、このシリコーンは、全組成物の重量に対して5〜15重量%の量で存在する。適切な材料は、Dow Corning Siliconesにより供給される、Xiameter PMX−200またはSH200としても供給されるDC200(300,000cs)である。これは、平均動粘性率が300,000csである100%ジメチコン液からなる。
【0019】
本発明の組成物は、アミノ変性シリコーンを含み得る。存在する場合、アミノ変性シリコーンは、全組成物の重量に対して、0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%の量で存在する。適切な例は、100%アミノ変性ジメチコン液からなる、Dow Corning Siliconesから供給されるDC2−8566である。
【0020】
調製工程
本発明の組成物は、以下の好ましい調製工程によって作製され得る:
イソドデカン、水素化ポリイソブチレンおよび任意のシリコーン液(300,000cs)、例えばSH200を容器に添加し、均一な混合物が形成されるまで撹拌する。
【0021】
シリコーンゴムブレンド、例えばKF−9030およびアミノ変性シリコーン液、例えば、DC2−8566を添加し、均一な混合物が得られるまで撹拌してもよい。
【0022】
イソノナン酸イソノノイル(Isononoyl Isononanoate)を添加し、混合物を均一になるまで撹拌する。
【0023】
次いで、必要に応じて、香料などのさらなる成分を撹拌しながら添加する。
【0024】
適切な可溶化材料を使用して、あらゆる極性および水性ベースの成分を組み込み得る。次いで、この混合物を主容器に添加し、均一な混合物が形成されるまで撹拌すべきである。
【0025】
製品の形態
好ましい製品形態は、好ましくはセラムおよび油から選択されるリーブオン処方物である。
【0026】
適用後に毛髪上に残留し、直ちに洗い流さない(適用から1時間以内)製品が好ましい。このような製品は、リーブイン組成物(本明細書ではリーブオン組成物とも呼ぶ。)として知られる。
【0027】
このような製品は、さらなる追加的な構成成分を含むことが多い。このような製品を処方するために必要とされる追加的な構成成分は、製品のタイプによって変動し、当業者によって日常的に選択され得る。以下は、これらの担体および追加的な構成成分の一部の説明である。
【0028】
さらなる成分
本発明の組成物は、毛髪への適用における使用に適したさらなる補助剤を含み得る。
【0029】
このような補助剤としては、第四級シリコーンポリマー、シリコーンベースのコンディショナーおよびそれらのエマルションおよびアミノ官能性シリコーンなどのコンディショニング材料が挙げられる。
【0030】
追加的な水性材料、例えば天然抽出物の乳化を可能にするために、シリコーンコポリオールおよびシリコーンポリエーテル、例えばPEG−8ジメチコンなどを、好ましくは全組成物の重量に対して0.1〜2重量%の量で添加し得る。好ましい天然抽出物としては、アミノ酸、タンパク質、糖およびセラミドが挙げられ、好ましくは全組成物の重量に対して0.001〜1.0重量%の量で存在する。
【0031】
他の好ましい補助剤としては、油、好ましくは天然由来の油、例えば植物油(plant oils and vegetable oils)、好ましくは堅果および種子由来のものが挙げられる。いくつかの適切な例は、ココナツ油、ヒマワリ油、ヤシ油、オリーブ油およびアーモンド油である。
【0032】
さらに好ましい補助剤は、香料、染料、日焼け止め剤(好ましくはベンゾフェノンおよびメトキシケイ皮酸誘導体)、ビタミン(例えばビタミンEアセテート)および抗酸化剤(例えばブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT))である。
【0033】
方法
本発明の方法は、本発明の組成物を乾燥毛髪または湿潤毛髪に適用することを含む。毛髪が湿っている場合、好ましくは、適用後、自然乾燥または送風機による乾燥を行う。
【0034】
次の非限定実施例は、本発明の好ましい実施形態をさらに例示する。実施例において、および本明細書全体において言及されるパーセンテージは全て、別段の指示がない限り、総重量に対する重量によるものである。
【0035】
[実施例]
[実施例1]本発明による組成物1、2および3ならびに比較組成物A
組成物1、2および3を本発明に従って作製した。担体としてシクロペンタシロキサンを含む、Aと命名する比較例を作製した。
【0036】
組成物1、2、3は、以下のプロトコールに従って作製した:
1.イソドデカン、水素化ポリイソブチレンおよびシリコーン液(SH200)を容器に添加し、均一な混合物が形成されるまで媒体撹拌(medium agitation)によって撹拌した。
【0037】
2.次いで、シリコーンゴムブレンド(KF−9030)を容器に添加し、続いてアミノ変性シリコーン液(DC2−8566)を添加した。均一な混合物が形成されるまで、混合物をさらに媒体撹拌(medium agitation)によって撹拌した。
【0038】
3.次いでイソノナン酸イソノノイル(Isononoyl Isononanoate)を、均一な混合物が形成されるまで撹拌しながら添加した。
【0039】
4.次いで、撹拌しながら香料を添加した。
【0040】
以下のプロトコールに従って作製した組成物A:
1.シクロペンタシロキサンおよびシリコーン液(300,000cs)を容器に添加し、均一な混合物が形成されるまで媒体撹拌(medium agitation)によって撹拌した。
【0041】
2.シリコーンゴムブレンド(BY11−003)を添加し、続いてアミノ変性シリコーン液(DC2−8566)を添加し、均一な混合物が形成されるまで混合物を媒体撹拌(medium agitation)によってさらに撹拌した。
【0042】
3.次いで、撹拌しながら香料を添加した。
【0043】
組成を以下の表1で示す:
【表1】
【0044】
[実施例2]本発明による組成物1、2および3ならびに比較組成物Aの使用中のべたつき感の評価
ハーフヘッド試験を以下のようにサロン条件下で行った:
毛髪を低コンディショニングシャンプーで2回予備洗浄した。
【0045】
次いで、毛髪を頭の中央で分け、櫛で梳いた。
【0046】
頭部の片側(湿潤毛髪)を組成物Aで処理し、他方を組成物1、2または3のうち1つで処理した。
【0047】
毛髪への適用中のべたつきについて各組成物を評価した。
【0048】
結果を下記表2で示す。
【表2】
【0049】
数値が高いほどべたつきが高レベルであることを示す。
【0050】
示された結果は、95%の信頼水準で有意に異なる。
【0051】
手のべたつきは、本発明による組成物については有意に低いことが分かる。