(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843842
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】改ざん防止組立体付きRFIDタグ
(51)【国際特許分類】
G06K 19/073 20060101AFI20210308BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20210308BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
G06K19/073 081
G06K19/077 304
G06K19/077 152
G06K19/07 160
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-513814(P2018-513814)
(86)(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公表番号】特表2018-534658(P2018-534658A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】US2016051805
(87)【国際公開番号】WO2017048885
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年9月10日
(31)【優先権主張番号】14/854,093
(32)【優先日】2015年9月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518000176
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】フォースター イアン ジェイ
【審査官】
松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0263659(US,A1)
【文献】
米国特許第04918432(US,A)
【文献】
米国特許第07652575(US,B1)
【文献】
特開2006−349418(JP,A)
【文献】
米国特許第06888509(US,B1)
【文献】
特開2007−333986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00−19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチポート型ストラップ器具であって、
チップと、
アンテナに結合可能な第1のポートと、
補助ポートと、
前記補助ポートに連結された一対の延長ポートパッドを備え、前記ストラップ器具のための改ざん防止機能を提供する延長領域と、を有し、
前記一対の延長ポートパッドの個々の延長ポートパッドは、前記補助ポートの各側に配置され、
前記補助ポートは、当初、開回路状態にあり、前記マルチポート型ストラップ器具を形成する材料が、抵抗を用いて検出状態に応答し、これにより、前記補助ポートが短絡状態になる、マルチポート型ストラップ器具。
【請求項2】
前記アンテナは、UHF(超高周波)アンテナである、請求項1記載のマルチポート型ストラップ器具。
【請求項3】
前記第1のポートは、一対のUHFパッドを有し、各UHFパッドは、前記アンテナに結合可能な前記第1のポートの各側に1つずつ配置されている、請求項2記載のマルチポート型ストラップ器具。
【請求項4】
開回路は、既定の値よりも大きな抵抗を有するものとして定義され、閉回路は、前記既定の値よりも低い抵抗を有するものとして定義される、請求項1記載のマルチポート型ストラップ器具。
【請求項5】
前記マルチポート型ストラップ器具は、さらに、保護層を有し、前記延長ポートパッドは、前記補助ポートが環境要因の存在に応答して、前記保護層の孔を通して外部環境へのアクセスが与えられる請求項1記載のマルチポート型ストラップ器具。
【請求項6】
前記環境要因は、水分である、請求項5記載のマルチポート型ストラップ器具。
【請求項7】
前記マルチポート型ストラップ器具は、低い周波数のパルスで前記補助ポート状態を検出するようチップと通信する、請求項1記載のマルチポート型ストラップ器具。
【請求項8】
マルチポート型ストラップ器具であって、
RFIDチップを有し、
第1のポートおよび一対のUHFパッドを有し、UHFパッドが一つずつUHFアンテナに結合可能に前記第1のポートの各側に配置され、
さらに、
補助ポートと、
前記アンテナ及び前記RFIDチップを保護する保護層と、
一対の延長ポートパッドを有し、個々の延長ポートパッドは、前記マルチポート型ストラップ器具のための改ざん防止機能を提供するよう前記補助ポートの各側に配置され、
前記補助ポートに接続された前記一対の延長ポートパッドは、環境要因の存在に応答して前記補助ポートが状態変化するように、前記保護層の孔を通して外部環境へのアクセスが与えられる、マルチポート型ストラップ器具。
【請求項9】
前記補助ポートは、前記マルチポート型ストラップ器具の構造に起因して当初、閉回路状態にあり、前記補助ポートは、前記補助ポートの前記一対の延長ポートパッドが切断されまたは引き裂かれると、開回路になる、請求項8記載のマルチポート型ストラップ器具。
【請求項10】
開回路は、既定の値よりも大きな抵抗を有するものとして定義され、閉回路は、前記既定の値よりも低い抵抗を有するものとして定義される、請求項9記載のマルチポート型ストラップ器具。
【請求項11】
前記マルチポート型ストラップ器具は、低い周波数のパルスで前記補助ポート状態を検出するようRFIDチップと通信する、請求項8記載のマルチポート型ストラップ器具。
【請求項12】
マルチポート型ストラップ器具であって、
RFIDチップを有し、
第1のポートおよび一対のUHFパッドを有し、個々のUHFパッドがUHFアンテナに結合可能に前記第1のポートの各側に配置され、
さらに、
補助ポートと、
一対の延長ポートパッドを有し、各延長ポートパッドは、前記マルチポート型ストラップ器具のための改ざん防止機能を提供するよう前記補助ポートの各側に1つずつ配置され、
前記補助ポートは、前記マルチポート型ストラップ器具の抵抗に起因して当初、閉回路状態にあり、前記補助ポートは、前記補助ポートの前記一対の延長ポートパッドが切断されまたは引き裂かれると、開回路になり、
前記アンテナとストラップ器具の間の結合は、導電性、容量性、及び誘導性結合の任意の組み合わせにすることができ、前記マルチポート型ストラップ器具は、さらに、保護層を有し、前記アンテナは、環境要因の存在に応答して前記補助ポートが状態変化するように、前記保護層の孔を通して外部環境へのアクセスが与えられる、マルチポート型ストラップ器具。
【請求項13】
前記環境要因は、水分である、請求項12記載のマルチポート型ストラップ器具。
【請求項14】
前記マルチポート型ストラップ器具は、低い周波数のパルスで前記補助ポート状態を検出するようRFIDチップと通信する、請求項12記載のマルチポート型ストラップ器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、多数のパッドを有するストラップに関する。特に、パッドは、RFIDアンテナへの接続部と検出素子を組み合わせてこれらを同一の構造体中に組み込む。本発明の実施形態によれば、ストラップは、マルチポート型ストラップである。したがって、本明細書は、かかるマルチポート型ストラップに特に言及する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2015年9月15日に出願された米国特許出願第14/854,093号の優先権および権益主張出願であり、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
複数のアイテムのうちの1つを識別するための高周波無線認証(RFID)の使用が周知である。典型的なRFIDタグまたは集積回路には、アンテナに電気的に接続されるマイクロチップとも呼ばれているマイクロプロセッサが組み込まれている。変形例として、マイクロチップは、まず最初に、電気リード線を有するパッドに取り付けられ、このパッドは、広い取り付けまたは「ランディング(landing)」領域を提供する。これは、通例、「ストラップ」または「インターポーザ」と呼ばれている。次に、ストラップは、アンテナに取り付けられる。具体的には、インターポーザは、アンテナのパッドに結合可能なチップの接触パッドに電気的に結合される導電性リード線またはパッドを有し、結合領域は、UHF(超高周波)周波数で効率的な結合をもたらすのに十分である。
【0004】
しかしながら、2つ以上のポートを備えた別のチップを用いることが望ましい場合がある。チップは、アンテナに結合可能な第1のポートおよび補助または第2のポートを有する。この補助ポートは、多くの機能、例えば開回路または閉回路状態の決定機能を実行するよう構成されているのが良い。さらに、補助ポートの接続状態の判定は、低周波パルスによって行われ、この低周波パルスは、UHF接続をアンテナに結合するキャパシタンスによっては効率的には結合を行わない。
【0005】
さらに、RFIDタグ付きのマイクロチップは、データを格納し、かかるデータは、特定のアイテムに特有の識別データを含むのが良く、この識別データは、オペレータによる読み取りおよびアイテムの処理のために外部受信機(質問機)に伝送される。マイクロプロセッサはまた、アンテナを介して伝送された高周波(RF)信号を変調する。外部読み取り装置(質問機)は、RFIDタグにより伝送されたデータを補足するために用いられる。RFIDタグは、在庫管理、出荷管理、損失防止などのためにアイテム、消費財もしくは贅沢品、アパレルまたは衣服、消耗品例えば食品に取り付けられる場合がありまたはこれらと関連する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、RFIDアンテナおよび検出素子を有するマルチポート型ストラップを開示する。具体的には、ストラップは、アンテナに結合可能なUHFポートおよび補助ポートを有する。補助ポートに接続された延長領域は、改ざん防止または不正加工防止領域として機能し、状態の変化があればラベルが衣服から切り取られたことが分かる。
【0007】
以下の内容は、開示した本発明の幾つかの観点の基本的な理解を提供するために発明の概要を提供している。この発明の概要は、多岐にわたる概観ではなく、重要な/必須の用途を識別するものではなくあるいは本発明の範囲を定めるものではない。その唯一の目的は、幾つかの技術的思想を後で提供する詳細な説明の序文として単純化された形態で提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示するとともにクレーム請求される本発明は、その一観点では、RFIDアンテナおよび検出素子を有するマルチポート型ストラップに関する。ストラップは、アンテナに結合可能な第1のポートおよび補助または第2のポートを有する。補助ポートに接続された延長領域は、改ざん防止領域として機能し、状態の変化は、ラベルが衣服から切り取られたことを指示する。
【0009】
好ましい実施形態では、補助ポートは、マルチポート型ストラップ器具の構造に起因して当初、閉回路状態にあり、補助ポートは、補助ポートの一対の延長ポートパッドが切断され、引き裂かれ、または任意他の仕方で壊されると、開回路になる。かくして、この状態変化は、衣類中の印刷布ラベル、食品鮮度ラベル、または他のタグもしくはラベルと関連するのが良く、かかる状態変化としては、タグまたはラベルの構成要素が例えば熱伝達プロセスによりアパレル商品上に作られてRFIDタグの構造体が熱伝達領域を覆って被着される状況が挙げられ、この場合、かかる状態変化により、ラベル、タグまたは熱伝達領域が衣服から切り取られたことが分かる。さらに、変形実施形態では、補助ポートは、当初開回路状態にあり、検出状態に応答する材料は、補助ポートを短絡状態にすることができる。変形例として、別の実施形態では、補助ポートの導体には、外部環境に対するアクセス手段が与えられるのが良く、補助ポートは、環境要因の存在、例えば水分に応答して状態変化する。
【0010】
上述の目的および関連目的の達成のため、開示した本発明のある特定の例示の観点を以下の説明および添付の図面と関連して本明細書において説明する。しかしながら、これらの観点は、本明細書において開示する原理を用いることができる種々の方法のうちのほんの僅かを表しているに過ぎず、本発明は、かかる観点およびこれらの均等例の全てを含むものである。他の利点および新規な特徴は、図面と関連して考慮されると、以下の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】開示したアーキテクチャによるマルチポート型ストラップ器具の平面図である。
【
図2】開示したアーキテクチャに従って横方向切れ目または他の破断部が補助ポートの状態を変化させる領域を示すマルチポート型器具の平面図である。
【
図3】開示したアーキテクチャに従って補助ポートが当初、開回路状態にあるマルチポート型器具の変形実施形態の平面図である。
【
図3A】開示したアーキテクチャに従って衣服への縫い込みにストラップがどのように適しているかを示すマルチポート型器具の平面図である。
【
図4】開示したアーキテクチャに従って延長領域の切断が補助ポートの状態をどのように変化させるかを示すUHFアンテナ付きマルチポート型器具の平面図である。
【
図5】開示したアーキテクチャに従って延長ストラップが、改ざん防止領域を貫通した切れ目がUHFアンテナを損傷するのを阻止する状態を示すマルチポート型器具の平面図である。
【
図6】開示したアーキテクチャに従ってRFIDチップが比較的低い周波数パルスでポート状態を検出することを特徴とするマルチポート型器具の変形構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明について説明し、図面全体を通じて、同一の参照符号は、同一の要素を示すために用いられている。以下の説明において、説明の目的上、多くの特定の細部が本発明の完全な理解を提供するために記載されている。しかしながら、本発明は、これら特定の細部なしでも実施できることは明らかであると言える。他の場合、周知の構造体および器具がその説明を容易にするためにブロック図の形態で示されている。
【0013】
本発明は、RFIDアンテナへの接続と検出機能、例えば開回路または閉回路状態を組み合わせてこれらを同一構造体中に組み込むことができる多数のパッドを備えたマルチポート型ストラップ器具を開示する。
【0014】
RFIDチップを担持したストラップが当該技術分野において知られている。例えば、ストラップのパッドは、アンテナに設けられたパッドに応答的に結合可能であり、結合領域は、UHF(超高周波)周波数で効率的な結合を提供するのに十分である。しかしながら、2つ以上のポートを備えた別のチップを用いることが望ましい場合があり、この一例は、G2iL+ by NXP(登録商標)である。このチップは、アンテナに結合可能なUHFポートおよび補助ポートを有する。この補助ポートは、多数の種々の機能を実行するよう構成されているのが良く、これら機能のうちの1つは、チップの開回路状態または閉回路状態を判定することにある。この関係で、開回路は、既定の値よりも大きな抵抗を有するものとして定義され、閉回路は、既定の値よりも低い抵抗を有するものとして定義される。すると、補助ポートの接続状態の判定は、低周波パルスによって行われ、この低周波パルスは、UHF接続をアンテナに結合するキャパシタンスによっては効率的には結合を行わない。
【0015】
最初に図面を参照すると、
図1は、2つのポート、すなわち第1のポート102および補助または第2のポート104を有するストラップ器具100の第1の例示の実施形態を示している。具体的に説明すると、ストラップ器具100は、チップ106を有し、このストラップ器具は、導体構造、例えばアンテナに結合される。アンテナとストラップ器具100との結合は、直接的な導電結合であっても良く間接的な結合、例えば容量もしくは誘導結合であっても良く、あるいは導電結合と容量結合と誘導結合の任意の組み合わせであっても良い。ストラップ器具100は、第1のポート102の各側に設けられていてアンテナに結合するUHF(超高周波)パッド108を更に有する。さらに、ストラップ器具100は、補助ポート104に連結された延長領域、例えば補助ポート104に結合された延長ポートパッド110を有する。
【0016】
この延長領域(すなわち、延長ポートパッド110)は、例えば改ざん防止機能のような機能を実行することができ、この場合、ストラップ器具100の構造に起因して当初閉回路状態にある補助ポート104は、補助ポート104の領域の延長ポートパッド110が切断され、切り裂かれまたは任意別の仕方で壊された場合に開回路になる。具体的には、補助ポート104は、チップ106に設けられた開回路/短絡検出ポートであり、したがって、ユーザが短絡箇所112で回路を開きまたは短絡したときに状態変化が生じる。したがって、ストラップ器具100の構造に起因して当初閉回路状態にある補助ポート104は、補助ポート104が切断され、切り裂かれまたは任意別の仕方で壊された場合に開回路(短絡)になる。かくして、この状態変化は、衣服内の印刷布ラベルまたはアパレル商品、消費財、食品に設けられた他のタグもしくはラベルと関連しているのが良く、あるいは、ラベルまたはタグは、商品に直接取り付けられた熱伝達製品を介して作られ、この場合、状態変化により、ラベルが衣服から切り取られたことが分かる。
【0017】
ストラップ器具100の構造体は、本発明の全体的な技術的思想に影響を及ぼすことなく、当該技術分野において知られているような任意適当な寸法、形状、および形態のものであって良い。当業者であれば理解されるように、
図1に示されているようなストラップ構造体の形状および寸法は、例示であるに過ぎず、ストラップ構造体について他の多くの形状およびサイズは、本発明の範囲に完全に含まれる。ストラップ構造体の寸法(すなわち、長さ、幅、および高さ)は、良好な性能の発揮にとって重要な設計上のパラメータであるが、使用中における最適性能および感度を保証する任意の形状または寸法のものであって良い。
【0018】
ストラップ器具100は、アンテナに結合され、アンテナ構造体は、様々な材料のうちの任意のもの、例えばアルミニウム、銅、銀または別の薄くて導電性の材料、例えばエッチングされもしくはホットスタンピングされた金属箔、または当該技術分野において知られている任意他の適当な材料、例えば適当なアンテナを作製するために印刷可能な導電性インキであって良い。アンテナ構造体は、当該技術分野において知られている少なくとも2つの導体パッドまたは任意適当な数の導体パッドを更に有する。
【0019】
さらに、
図1は、第1のUHFポート102および上述したような補助ポート104の開/閉回路状態と関連したチップ106のメモリ中にビットを設定することができる補助ポート104を備えたストラップ器具100を示している。検出または補助ポート104は、状態変化を検出することができる領域を延長させるよう第1またはUHFアンテナ結合ポート102よりも大きい。
【0020】
図2は、ストラップ器具100および延長領域(すなわち、延長ポートパッド110)を開示しており、かかる延長領域を横切る横方向切れ目または他の破断部は、補助ポート104の状態を変化させる。
【0021】
図3は、ストラップ器具300の補助ポート304が当初、開回路であり、検出された状態に応答する材料が補助ポート304を短絡状態にすることができる変形実施形態を開示している。具体的に説明すると、用いられる材料は、環境条件に応答して抵抗を変化させ、この抵抗は、これは開回路/短絡しきい値を上回っている場合、当初の開回路状態を維持するが、これが下回っている場合、短絡状態を生じさせる。抵抗の変化は、環境要因と関連している場合があり、この環境要因は、アンテナおよびストラップを保護するよう設計された保護層、例えば一実施形態では適当なプラスチックであるのが良いフィルムを介して検出できる。保護層は、アンテナおよびストラップを温度または光の変化から保護することができる。変形例として、補助ポート304の導体には、保護層に設けられた孔を通る外部環境へのアクセス手段が与えられるのが良い。導電性材料をストラップと接触関係をなして設けることにより、補助ポート304は、環境要因、例えば導電性液体、水に応答して状態を変化させることができる。
【0022】
図3Aは、ストラップ器具300の別の特徴を開示しており、この場合、ストラップ器具300の比較的幅の広い導体は、導電性経路をタグを担持しているラベルが衣服に縫い込まれたときに破断するのを阻止する。例えば、縫い針によって作られた小穴312およびタグを衣服に取り付けるステッチ314の線が
図3Aに示されている。延長ポートパッド310の幅広領域は、補助ポート304の状態を変化させるような衣服中へのタグの縫い込みを阻止する。縫いつけを実施する針は、ステッチを挿通させる一連の穴をところどころにあける。一実施形態では、例えば、穴は、直径が約1mmであり、2mmの間隔を置いて配置されている。1mm未満の細い線/パッドは、針がポートの状態を時期尚早に変化させることによって切断される場合がある。幅の広いパッドを用いることによって、穴がパッドにどのように位置合わせされているかとは無関係に、状態を閉回路から開回路に時期尚早に変化させることができる穴の組み合わせは存在しない。
【0023】
図4は、線400を示すストラップ器具100(すなわち、タグ)の一例を開示しており、この場合、ラベルは、一般に、切断によって衣服から取り外されまたは分離され、この切断は、補助ポート104の状態を変化させ、それによりタグは、改ざん防止機能を実行することができる。
図4はまた、第1のポート102に結合されたUHFアンテナ402を開示している。
【0024】
図5は、延長ストラップ器具100およびその関連アンテナ設計の特徴を開示しており、この場合、改ざん防止補助ポート104として機能するよう設計された延長領域(すなわち、延長ポートパッド110)は、UHFアンテナ領域500から分離され、その結果、改ざん防止補助ポート104および/または延長ポートパッド110を貫通して切れ目が入っても、これによってはUHFアンテナ102が損傷を受けずまたは動作不能にはならない。これにより、ビット状態を依然として遠隔地から読み取ることができる。かくして、延長領域(すなわち、延長ポートパッド110)は、切れ目がUHFアンテナ402を損傷させるのを阻止し、UHFアンテナ領域500内の切れ目は、読み取り範囲を縮小する。しかしながら、改ざん防止領域の延長領域(すなわち、延長ポートパッド110)に生じた横方向切れ目は、補助ポート104の状態を変化させる。
【0025】
図6は、ストラップ器具600が比較的低周波のパルス、例えば100ns続くパルスで補助ポート604を検出するRFIDチップ付きで働くよう設計された変形実施形態を開示している。補助ポート604の延長領域610は、開回路である大きなパッド(すなわち、広い結合領域)を有し、これら大きなパッドは、アンテナプロセスの一部として形成された改ざん防止/検出構造体614(すなわち、UHFアンテナ616の一部として形成された延長金属領域)に結合する。大きなパッドによって得られる広い結合領域に起因して、パルスは、容量結合部を通過してループの開回路/短絡状態を判定することができる。
【0026】
上述した内容は、クレーム請求された発明の実施例を含む。当然のことながら、クレーム請求された発明を説明する目的でコンポーネントまたは方法の想到できる全ての組み合わせを記載することは可能ではなく、当業者であれば、クレーム請求された発明の多くの別の組み合わせおよび置換が可能であることを理解できよう。したがって、クレーム請求された発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲に属するかかる全ての変更例、改造例および変形例を含むものである。さらに、原文明細書の詳細な説明か特許請求の範囲の記載かのいずれかにおいて“includes”(訳文では「〜を含む」としている場合が多い)という用語が用いられている場合、かかる用語は、“comprising”(訳文では「〜を有する」としている場合が多い)という用語と類似して包括的であることを意図しており、と言うのは、“comprising”は、これが用いられている場合、特許請求の範囲における伝統的な用語として解されるからである。