(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843855
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】動的生体信号解析において適応的にノイズを定量化するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20210308BHJP
A61B 5/318 20210101ALI20210308BHJP
【FI】
A61B5/11 200
A61B5/04 310B
A61B5/11ZDM
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-521705(P2018-521705)
(86)(22)【出願日】2016年7月14日
(65)【公表番号】特表2018-525187(P2018-525187A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】EP2016066802
(87)【国際公開番号】WO2017009430
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2019年7月8日
(31)【優先権主張番号】62/192,504
(32)【優先日】2015年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】P201531026
(32)【優先日】2015年7月14日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】518012744
【氏名又は名称】スマート ソリューションズ テクノロジーズ,エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アグスティン,マシア バーバー
(72)【発明者】
【氏名】シャビエル,イバニーズ カタラ
【審査官】
近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0173734(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/145618(WO,A1)
【文献】
特開2011−156376(JP,A)
【文献】
特表2016−517712(JP,A)
【文献】
特表2015−504338(JP,A)
【文献】
米国特許第07725187(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0022844(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0184297(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 − 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの動的生体信号解析における適応的なノイズ定量化のための方法であって、前記方法は、
少なくとも1つのモーションセンサを介して、直交するX方向(「ACC
x」)、Y方向(「ACC
y」)及びZ方向(「ACC
z」)のそれぞれにおける加速度を含む、前記ユーザのモーションレベルに関係したデータを含む少なくとも1つのモーション信号を取り込むステップと、
前記少なくとも1つのモーションセンサが、前記少なくとも1つのモーション信号をコンピューティングデバイスに送信するステップと、
少なくとも1つの生体信号センサを介して、前記ユーザの少なくとも1つの選択バイタルに関係したデータを含む少なくとも1つの生体信号を取り込むステップと、
前記少なくとも1つの生体信号センサが、前記少なくとも1つの生体信号を前記コンピューティングデバイスに送信するステップと、
前記コンピューティングデバイスが、前記少なくとも1つのモーション信号に基づいてモーションインデックス(「MI」)及び中央絶対偏差(「MAD」)のうちの少なくとも1つを計算するステップであって、前記モーションインデックスは、
【数1】
という式を用いて計算され、前記中央絶対偏差は、
【数2】
という式を用いて計算されるステップと、
前記コンピューティングデバイスが、前記モーションインデックス及び前記中央絶対偏差のうちの少なくとも1つに基づいて前記ユーザのモーションステージを判定するステップと、
使用に不適切であると判定された前記生体信号のいずれかの部分を廃棄するステップと、
前記コンピューティングデバイスが、前記生体信号から前記少なくとも1つの選択バイタルを抽出するステップと、
前記コンピューティングデバイスが、各少なくとも1つの選択バイタルに関して、モルフォロジ記述子セット及び環境記述子セットのうちの少なくとも1つを含むノイズ記述子セットを計算するステップと、
前記コンピューティングデバイスが、前記ノイズ記述子セット及び前記ユーザのモーションステージのうちの少なくとも1つに基づいて前記少なくとも1つの選択バイタルのノイズレベル推定を生成するステップと、
前記コンピューティングデバイスが、前記少なくとも1つの選択バイタルのノイズレベル推定に基づいて前記生体信号のノイズレベルを計算するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ユーザによって装着された装着可能デバイス上に前記少なくとも1つのモーションセンサを配置するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのモーションセンサを配置するステップが、前記ユーザによって装着された装着可能デバイス上に少なくとも1つの三軸加速度計を配置するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザによって装着された装着可能デバイス上に前記少なくとも1つの生体信号センサを配置するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの生体信号センサを配置するステップが、前記ユーザによって装着された装着可能デバイス上に少なくとも1つの心電図センサを配置するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピューティングデバイスが、モーションステージに基づいて前記少なくとも1つのモーション信号をグループ化し、これにより、動的生体信号解析を行いながらノイズをさらに推定、識別、及び分離することを可能にするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンピューティングデバイスが、前記生体信号におけるいずれかのベースライン、パワーライン、及び高周波干渉を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コンピューティングデバイスが、前記生体信号のノイズレベル推定を生成するために、前記ユーザのモーションステージに基づいてノイズ推定器を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ユーザの動的生体信号解析における適応的なノイズ定量化のための方法であって、前記方法は、
生体信号前処理モジュール、生体信号処理モジュール
、及び生体信号解析モジュールのそれぞれをコンピューティングデバイス上のメモリ内に実装するステップと、
少なくとも1つのモーションセンサを介して、直交するX方向(「ACC
x」)、Y方向(「ACC
y」)及びZ方向(「ACC
z」)のそれぞれにおける加速度を含む、前記ユーザのモーションレベルに関係したデータを含む少なくとも1つのモーション信号を取り込むステップと、
前記少なくとも1つのモーションセンサが、前記少なくとも1つのモーション信号を前記コンピューティングデバイスに送信するステップと、
少なくとも1つの生体信号センサを介して、前記ユーザの少なくとも1つの選択バイタルに関係したデータを含む少なくとも1つの生体信号を取り込むステップと、
前記少なくとも1つの生体信号センサが、前記少なくとも1つの生体信号を前記コンピューティングデバイスに送信するステップと、
前記生体信号前処理モジュールが、使用に不適切であると判定された前記生体信号のいずれかの部分を廃棄するステップと、
前記生体信号処理モジュールが、前記生体信号から前記少なくとも1つの選択バイタルを抽出するステップと、
前記生体信号処理モジュールが、前記少なくとも1つのモーション信号に基づいてモーションインデックス(「MI」)及び中央絶対偏差(「MAD」)のうちの少なくとも1つを計算するステップであって、前記モーションインデックスは、
【数1】
という式を用いて計算され、前記中央絶対偏差は、
【数2】
という式を用いて計算されるステップと、
前記生体信号処理モジュールが、前記モーションインデックス及び前記中央絶対偏差のうちの少なくとも1つに基づいて前記ユーザのモーションステージを判定するステップと、
前記生体信号解析モジュールが、モルフォロジ記述子セット及び環境記述子セットのうちの少なくとも1つを含むノイズ記述子セットを計算するステップと、
前記生体信号解析モジュールが、前記ノイズ記述子セット及び前記ユーザのモーションステージに基づいて前記少なくとも1つの選択バイタルのノイズレベル推定を生成するステップと、
前記生体信号解析モジュールが、前記少なくとも1つの選択バイタルのノイズレベル推定に基づいて前記生体信号のノイズレベルを計算するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記生体信号前処理モジュールが、前記生体信号におけるいずれかのベースライン、パワーライン、及び高周波干渉を除去するステップ
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記生体信号解析モジュールが、前記生体信号のノイズレベル推定を生成するために、前記ユーザのモーションステージに基づいてノイズ推定器を選択するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ユーザの動的生体信号解析における使用のための適応的ノイズ定量化システムであって、前記システムは、
前記ユーザの少なくとも1つの選択バイタルに関係したデータを取得し、前記データを少なくとも1つの生体信号として送信するように配置及び構成された少なくとも1つの生体信号センサと、
前記ユーザのモーションレベルに関係したデータを取得し、前記データを少なくとも1つのモーション信号として送信するように配置及び構成された少なくとも1つのモーションセンサであって、前記データは、直交するX方向(「ACC
x」)、Y方向(「ACC
y」)及びZ方向(「ACC
z」)のそれぞれにおける加速度を含む、モーションセンサと、
前記少なくとも1つの生体信号及び前記少なくとも1つのモーション信号を受信及び処理するように構成された少なくとも1つのコンピューティングデバイスと、
前記コンピューティングデバイス上のメモリ内に存在し、使用に不適切であると判定された前記生体信号のいずれかの部分を廃棄するように構成された生体信号前処理モジュールと、
前記コンピューティングデバイス上のメモリ内に存在し、前記生体信号から前記少なくとも1つの選択バイタルを抽出すること、前記少なくとも1つのモーション信号に基づいてモーションインデックス(「MI」)及び中央絶対偏差(「MAD」)のうちの少なくとも1つを計算することであって、前記モーションインデックスは、
【数1】
という式を用いて計算され、前記中央絶対偏差は、
【数2】
という式を用いて計算されること、並びに前記モーションインデックス及び前記中央絶対偏差のうちの少なくとも1つに基づいて前記ユーザの現在のモーションステージを判定することのために構成された生体信号処理モジュールと、
前記コンピューティングデバイス上のメモリ内に存在し、モルフォロジ記述子セット及び環境記述子セットのうちの少なくとも1つを含むノイズ記述子セットを計算するように構成された生体信号解析モジュールと、
を備える、適応的ノイズ定量化システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの生体信号センサが、前記ユーザの心臓の活動に関係したデータを得るように配置及び構成された心電図センサである、請求項12に記載の適応的ノイズ定量化システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つのモーションセンサが三軸加速度計である、請求項12に記載の適応的ノイズ定量化システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの生体信号センサが、前記ユーザによって装着された装着可能デバイス上に配置される、請求項12に記載の適応的ノイズ定量化システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのモーションセンサが、前記ユーザによって装着された装着可能デバイス上に配置される、請求項12に記載の適応的ノイズ定量化システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの生体信号センサ及び前記少なくとも1つのモーションセンサが、少なくとも1つのセンサアレイに一体化される、請求項12に記載の適応的ノイズ定量化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年7月14日に出願された米国特許仮出願整理番号62/192,504の出願日への優先権を主張する及びその権利を有するものであり、さらに、同じく2015年7月14日に出願されたES出願番号P201531026の出願日への優先権を主張する及びその権利を有するものである。上記の出願の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
この特許出願の主題は、一般に、生体信号解析に関し、より具体的には、動的生体信号解析において適応的にノイズを定量化するためのシステム及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
出願人は、本出願で挙げられる又は言及されるいずれかの及びすべての特許及び公開された特許出願を参照により本明細書に組み込む。
【0004】
背景として、生体信号センサは、様々な臨床上の生理的状態の評価に、例えば、限定ではなしに、心臓の状態の監視に広く用いられる生体信号を取得するのに一般的に用いられる。フォトダイオードセンサ(すなわち、フォトプレチスモグラフィ)又は電圧センサ(すなわち、心電図検査法)などのセンサは、通常、人の皮膚と接触している状態で配置され、結果として得られる生理的信号が検査される。磁気センサ(すなわち、脳磁図法)などの一部の他のセンサは、皮膚と直接接触している必要はなく、皮膚に十分に近接しているだけでよい。このようなデータは、このようなセンサの装着者の健康状態及び/又は身体状態を監視及び/又は評価するのに用いられる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなセンサの使用は、信号の正確な測定を提供することができるが、限定ではなしに、安定性、ノイズ、及び/又は感度を含む、信号品質に影響することがあるいくつかの因子が存在する。これらの制限は、結果的に生体信号を破損させるモーションアーチファクトを生じる、生体信号センサとユーザとの間の相対運動に関係した因子に少なくとも部分的に起因する。これは、センサが装着可能デバイスに内蔵されるときに悪化することがある。このような状況では、センサは、例えば、限定ではなしに、特に運動における、人体への融通性及び快適さを可能にする最小限に侵襲的な様態で、装着可能なもの、例えば衣類などに一体化される必要がある。同時に、センサは、信号を正確に測定することもできなければならない。したがって、モーションアーチファクトは、装着可能デバイスに関連した生体信号感知に固有の問題であり、この困難な状況の中で生体信号を分析するために適切なツールを配置する必要がある。したがって、ノイズの多い信号に対して決定分析を行うことは解釈の誤りにつながることがあるため、生体信号の信号対ノイズ比を推定できることが非常に重要である。
【0006】
本発明の態様は、これらの必要性を満たし、以下の課題を解決するための手段で説明されるさらなる関連した利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、以下で説明される例示的な利点を生み出す構成及び使用における或る利益を教示する。
【0008】
本発明は、動的生体信号解析に用いるための適応的ノイズ定量化システム及び関連する方法を提供することによって前述の問題を解決する。少なくとも1つの実施形態において、システムは、ユーザの選択バイタルに関係したデータを取得し、前記データを少なくとも1つの生体信号として送信するように配置及び構成された、少なくとも1つの生体信号センサと、ユーザのモーションレベルに関係したデータを取得し、前記データを少なくとも1つのモーション信号として送信するように配置及び構成された、少なくとも1つのモーションセンサを含む。少なくとも1つのコンピューティングデバイスが、少なくとも1つの生体信号及びモーション信号を受信及び処理するように構成される。モーション信号に基づいて、ユーザの現在のモーションステージが判定される。生体信号の適切な部分から、少なくとも1つの選択バイタルが抽出される。モルフォロジ記述子セット及び環境記述子セットのうちの少なくとも1つによって、ノイズ記述子セットが形成される。ノイズ推定器が、ノイズ記述子セット及びユーザのモーションステージに基づいて、生体信号のノイズレベル推定を生成する。次いで、少なくとも1つの選択バイタルのノイズレベル推定に基づいて、生体信号のノイズレベルが計算される。
【0009】
本発明の態様の他の特徴及び利点は、本発明の態様の原理を単なる例として示す添付図と併せて行われる以下のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0010】
添付図は本発明の態様を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】少なくとも1つの実施形態に係る例示的な適応的ノイズ定量化システムの簡単な概略図である。
【
図2】少なくとも1つの実施形態に係る適応的ノイズ定量化システムのモーションセンサ及び生体信号センサのそれぞれによって取り込まれた例示的な信号の概略図である。
【
図3】少なくとも1つの実施形態に係る動的生体信号解析において適応的にノイズを定量化するための例示的な方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前述の図面は、以下の説明でさらに詳細に定義されるその例示的な実施形態のうちの少なくとも1つにおける本発明の態様を例示する。異なる図面において同じ符号で参照される本発明の特徴、要素、及び態様は、1つ又は複数の実施形態に係る同じ、等しい、又は同様の特徴、要素、又は態様を表す。
【0013】
ここで
図1に移ると、例示的な適応的ノイズ定量化システム20の簡単な概略図が示されている。システム20は、少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22と通信する少なくとも1つの生体信号センサ24及びコンピューティングデバイス22と通信する少なくとも1つのモーションセンサ26のそれぞれを備える少なくとも1つのセンサアレイ23によって得られた選択データを受信及び処理するように構成された、少なくとも1つのコンピューティングデバイス22を提供する。加えて、少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つのデータ記憶装置28が、コンピューティングデバイス22と通信し、少なくとも1つの生体信号センサ24及びモーションセンサ26によって得られた前記データを、さらに後述する或る他のデータと共に記憶するように構成される。少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22とデータ記憶装置28は同一のユニットである。
【0014】
最初に、少なくとも1つのコンピューティングデバイス22と、少なくとも1つの生体信号センサ24と、少なくとも1つのモーションセンサ26と、少なくとも1つのデータ記憶装置28とのそれぞれの間の通信は、現在公知の又は後で開発されるどのような有線又は無線ベースの通信プロトコル(又はプロトコルの組み合わせ)を用いて達成されてもよいことに留意されたい。したがって、特定の例示的なプロトコルが例示のために本明細書で述べられる場合があるにもかかわらず、本発明は、どの1つの特定のタイプの通信プロトコルにも限定されるものとして読まれるべきではない。
【0015】
少なくとも1つの実施形態において、生体信号センサ24は、生体信号センサ24が配置されたユーザの特定のバイタルに関係した選択データを得るように配置及び構成される。例えば、1つのこのような実施形態では、生体信号センサ24は、ユーザの心臓の活動(すなわち、ユーザの心臓の電気活動)に関係したデータを得るように配置及び構成された心電図(「ECG」)センサである。さらなる実施形態において、少なくとも1つの生体信号センサ24は、望まれないノイズに影響されやすい場合があるユーザの所望のバイタルに関係したデータを得ることができる、現在公知の又は後で開発される、任意の他のタイプのセンサ又はセンサの組み合わせであってよい。したがって、本発明のシステム20及び関連する方法は、例示のためにECGセンサ及びユーザの心臓の活動に関連して本明細書で説明されるが、本発明の範囲は、それに限定されるものとして読まれるべきではない。少なくとも1つの実施形態において、モーションセンサ26は、ユーザのモーションレベル(すなわち、安静時、低レベルのモーション、中レベルのモーション、高レベルのモーションなど)に関係した選択データを得るように配置及び構成され、その目的はさらに後述される。例えば、1つのこのような実施形態では、モーションセンサ26は、微小電気機械システム(「MEMS」)三軸加速度計である。さらなる実施形態において、少なくとも1つのモーションセンサ26は、ユーザのモーションレベルに関係したデータを得ることができる、現在公知の又は後で開発される、任意の他のタイプのセンサ又はセンサの組み合わせであってよい。
【0016】
図1を引き続き参照すると、少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つの生体信号センサ24は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる少なくとも米国特許出願公開番号2013/0338472で説明されるように、ユーザによって装着されている衣類又は他の装身具などの装着可能デバイス上に配置される。さらなる実施形態において、少なくとも1つの生体信号センサ24は、現在公知の又は後で開発される任意の他の手段を用いて、ユーザと接触している状態に(又はその近位に)適切に配置されてよい。同様に、少なくとも1つのモーションセンサ26は、現在公知の又は後で開発される任意の手段を用いて、ユーザと接触している状態に(又はその近位に)適切に配置されてよい。前述のように、少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つの生体信号センサ24と少なくとも1つのモーションセンサ26との両方がセンサアレイ23を形成し、これは、少なくとも1つのモーションセンサ26によって生成されたモーションデータが少なくとも1つの生体信号センサ24のモーションを反映するような状態で配置されるべきである。少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22もユーザと、例えば、ユーザの体と直接、又はユーザによって装着されている衣類又は他の装身具などの装着可能デバイスと、取り外し可能に係合することができる。少なくとも1つのこのような実施形態では、モーションセンサ26は、コンピューティングデバイス22内に配置される。少なくとも1つのさらなるこのような実施形態では、生体信号センサ24は、コンピューティングデバイス22内に配置される。代替的な実施形態では、コンピューティングデバイス22は、どこか別の場所に、例えば、依然としてユーザの近くに、又は遠隔に、或いはさらに、分割されて、機能ユニットの一部はユーザの近くのコンピューティングデバイス22において実装され、他のユニットはリモートコンピュータワークステーションにおいて実装される状態で配置される。
【0017】
少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22は、本明細書で説明される動的生体信号解析において適応的にノイズ定量化を行うための例示的な方法を実施するのに必要なハードウェア及びソフトウェアを含む。少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22は、生体信号前処理モジュール30、生体信号処理モジュール32、及び生体信号解析モジュール34を提供し、これらは、コンピューティングデバイス22上のメモリ38内に存在する(
図1)。さらに後述するように、少なくとも1つのこのような実施形態において、生体信号前処理モジュール30は、生体信号センサ24によって取り込まれた生の生体信号40を受信し、使用に不適切と判定された生体信号のいずれかの部分40を廃棄し、適切な部分を前処理するように構成され、生体信号処理モジュール32は、生体信号前処理モジュール30から前処理された生体信号40を受信し、生体信号40から所望のバイタルを抽出し、ユーザの現在のモーションレベルを計算するように構成され、生体信号解析モジュール34は、生体信号処理モジュール32からバイタルを受信し、バイタルに関するノイズ記述子セット42を計算し、ノイズ記述子セット42及びユーザの現在のモーションレベルを用いることによって生体信号40のノイズレベル54を推定するように構成される。「メモリ」という用語は、ローカルハードドライブ、ソリッドステートドライブ、RAM、フラッシュメモリ、セキュアデジタル(「SD」)カード、外部記憶装置、ネットワーク又はクラウド記憶装置、集積回路などの現在公知の又は後で開発されるあらゆるタイプの電子記憶媒体(又は記憶媒体の組み合わせ)を含むように意図されることに留意されたい。さらに、コンピューティングデバイス22の種々のコンポーネントは、単一のコンピューティングデバイス22上のメモリ内に存在してよく、又は互いに通信する2つ以上のコンピューティングデバイス22上に別々に存在してよい。動的生体信号解析において適応的にノイズ定量化を行うための例示的な方法は、上記のモジュール30〜34によって実施されるものとして本明細書で説明されるが、さらなる実施形態において、後述する機能がより多くの又はより少ないモジュールによって実施され得ることにも留意されたい。したがって、本発明のシステム20は、本明細書で説明される特定のモジュール30〜34及びそれらのそれぞれの機能に限定されるものとして読まれるべきではなく、むしろ、本明細書で説明される方法を概して扱うものとして読まれるべきである。
【0018】
使用中に、少なくとも1つの実施形態において、システム20は、本明細書ではノイズレベル54と呼ばれる、生体信号センサ24によって取り込まれた生体信号40を汚染するノイズの量を推定及び定量化するための方法を使用し、これは、生体信号40は、非常に冗長となる又は繰返しが多くなる傾向があるいくつかの繰返しイベントであるバイタルを含むが、ノイズはランダムとなる傾向があることを利用する。ノイズは、本質的にランダムであり、主に、ユーザの体に対するその位置からの生体信号センサ24の僅かな速い変位によって誘起される。これらの変位は、ユーザの運動によって生じる。さらに、同様のモーションレベル及び同様の運動は同様のノイズ挙動を有する傾向があり、これにより、システム20は、異なるモーションステージを識別及び区別し、次いで、より良好なノイズ推定を行うことが可能である。
【0019】
少なくとも1つの実施形態において、
図2の例示的な概略図及び
図3の流れ図に示されるように、モーション信号44が、モーションセンサ26によって取り込まれ、コンピューティングデバイス22に送信され(302)、そこでユーザ、すなわち、少なくともモーションセンサ26及び生体信号センサ24の装着者の現在のモーションステージ46を判定するべく分析される(304)。前述のように、少なくとも1つの実施形態において、モーションセンサ26は、ユーザのモーションレベル(すなわち、安静時、低レベルのモーション、中レベルのモーション、高レベルのモーションなど)に関係した選択データを得るように配置及び構成される。したがって、少なくとも1つの実施形態において、ユーザのモーションステージ46は、少なくともユーザのモーションレベルからなる。少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22は、モーション信号44の必要な部分を抽出し、それらを、モーションステージ46を判定する分類関数に受け渡す。少なくとも1つのこのような実施形態において、モーションセンサ26がMEMS三軸加速度計である場合、モーションセンサ26は、直交するX、Y、及びZ方向のそれぞれの加速度を測定し、通信プロトコルを介してコンピューティングデバイス22にデータを送信する。データを用いて、コンピューティングデバイス22は、限定はされないが、モーションインデックス(「MI」)又は中央絶対偏差(「MAD」)を含む種々のパラメータを計算することができる。もう少し詳細には、少なくとも1つの実施形態において、モーションインデックスは、次式を用いる、重力の影響を除いた(すなわち、加速度測定成分のハイパスフィルタリング)X、Y、Zベクトルの係数の1秒窓積分である:
【数1】
関連して、少なくとも1つの実施形態において、平均絶対偏差は、次式を用いて導出される:
【数2】
【0020】
したがって、少なくとも1つの実施形態において、モーションステージ46を判定するのに用いられる分類関数は、所定の時間間隔で計算された前のパラメータに依存する閾値関数である。
【0021】
図3を引き続き参照すると、少なくとも1つの実施形態において、生体信号40が、生体信号センサ24によって取り込まれ、同じくコンピューティングデバイス22に送信され、そこでユーザの関連するバイタルを判定及び取得するべく分析される(306)。少なくとも1つのこのような実施形態において、生体信号センサ24がECGセンサなどである場合、生体信号センサ24は、生のECGデータを感知し、通信プロトコルを介してコンピューティングデバイス22に送信する。前述のように、少なくとも1つの実施形態において、生体信号40は、最初に生体信号前処理モジュール30によって受信され、そこで使用に不適切(すなわち、飽和しているなど)と判定された生体信号40のいずれかの部分が廃棄される(308)。加えて、生体信号40のいずれかの残りの部分が、いずれかのベースライン、パワーライン、又は高周波干渉をフィルタリングすることによって改良される(310)。
【0022】
次いで、生体信号処理モジュール32が、前処理された生体信号40から所望のバイタルを抽出する(312)。少なくとも1つの実施形態において、生体信号センサ24がECGセンサなどである場合、バイタルは、生体信号処理モジュール32がそれを検出するように構成される、心臓の鼓動である。
【0023】
次いで、生体信号解析モジュール34が、生体信号処理モジュール32によって抽出された各バイタルに関するノイズ記述子セット42を計算する。少なくとも1つの実施形態において、生体信号センサ24がECGセンサなどである場合、生体信号解析モジュール34は、心臓の各鼓動に関するノイズ記述子セット42を取得し、これは、対応するモーションステージ46と共に、鼓動のノイズレベル54を推定するのに用いられることになる。もう少し詳細には、少なくとも1つの実施形態において、各ノイズ記述子セット42は、バイタルを記述するモルフォロジ記述子セット(「MDS」)50及びバイタルの環境状況を記述する環境記述子セット(「EDS」)52のうちの少なくとも1つからなる。少なくとも1つのこのような実施形態において、生体信号解析モジュール34は、モルフォロジ記述子セット50に関係した3つのパラメータ、すなわち、最大二次導関数(maximum second derivative)(「Max2Der」)、導関数のゼロ交差(derivative zero crosses)(「DerivZX」)、及び導関数の非対称性(derivative asymmetry)(「DerivAsym」)を計算する(314)。Max2Derパラメータは、絶対二次導関数の最大値である。二次導関数は生体信号40の傾きの変動を記述するので、最大絶対値は、生体信号40の凹凸を特徴付け、したがって、高値はスパイクなどの鋭いピークを示す。DerivZXパラメータは、最大絶対値の10パーセント(10%)より小さい絶対値をもつすべての値を無効にすることによって修正された一次導関数のゼロ交差カウントである。このパラメータは、生体信号40にノイズが非常に多いときなどの生体信号40が多すぎる振動を有するときに高い。DerivAsymパラメータは、絶対導関数の後半の積分と前半の積分との比である。少なくとも1つの実施形態において、各ノイズ記述子セット42に関して、生体信号解析モジュール34はまた、コンピューティングデバイス22によって用いられることになる環境記述子セット52を計算する(316)。例えば、環境記述子セット52の1つのこのようなパラメータは、生体信号40における隣接する心臓の鼓動セグメントに関係しており、所与の心臓の鼓動が生体信号40における比較的ノイズの多いセグメントに隣接する又は近いときに、これは通常、生体信号40の非常にノイズの多い部分から生体信号40の比較的クリーンな部分への遷移を示す。環境記述子セット52の別の例示的なパラメータは、所与の心臓の鼓動の振幅に関係しており、比較的より低い振幅は、低い信号対ノイズ比を有することにより適する傾向がある。ノイズの多いバイタルはその近隣バイタルとあまり類似しておらず、ノイズの多くないバイタルはほぼ同一であるはずなので、環境記述子セット52の別の例示的なパラメータは、バイタルと近隣バイタルとの類似性である。したがって、少なくとも1つの実施形態において、ノイズ記述子セット42は、モルフォロジ記述子セット50と環境記述子セット52との両方のグループ化(すなわち、{[MDS],[EDS]}によって構成される。
【0024】
図2及び
図3を引き続き参照すると、少なくとも1つの実施形態において、ユーザのモーションステージ46が判定された(304)状態で、コンピューティングシステム22は、入力情報としてノイズ記述子セット42及びモーションステージ46を用いて生体信号40のノイズレベル54を判定する(320)ために、適切なノイズ推定器56を用いる(318)。もう少し詳細には、少なくとも1つのこのような実施形態において、システム20は、特定のモーションステージ46に関する異なるノイズ挙動をモデル化するようにそれぞれ適合及びトレーニングされている複数のノイズ推定器56を提供し、各ノイズ推定器56は、そのように、特定のモーションステージ46のノイズレベル54の推定に特化されている。加えて、ノイズ推定器56は、好ましくは、少なくとも1つの実施形態において、生体信号40の所与のノイズ記述子セット42に関連したモルフォロジ記述子セット50及び環境記述子セット52に基づいてノイズレベル54を推定することができるニューラルネットワークのような少なくとも1つの人工知能システムである。ノイズ推定器56の出力は、生体信号40に関するノイズレベル54推定(「NL」)であり、生体信号40に関する時間依存のノイズレベル54関数を得ることができる。この関数は、バイタルの各個別のユニット(生体信号センサ24がECGセンサなどである場合に心臓の鼓動など)に関して計算される一定の値を有し、ゆえに、時間依存の区分定数関数である。少なくとも1つのこのような実施形態において、関数は以下のように定義される:
【数3】
【0025】
少なくとも1つの実施形態において、生体信号40に関するノイズレベル54が得られると、この情報は、例えば心拍数計算法又は不整脈検出などのその後の処理アルゴリズムによって異なる方法で用いることができるように記憶される(322)。したがって、システム20は、ユーザに関連したモーションデータを分析し、ユーザによって行われている身体活動と関係なく該モーションに基づいて生体信号評価を動的に適応することによって、生体信号に対してノイズ定量化方法を行うことができる。
【0026】
本明細書の態様は、以下のようにも説明され得る:
【0027】
1.ユーザの動的生体信号解析において適応的にノイズを定量化するための方法であって、少なくとも1つのモーションセンサによって取り込まれた少なくとも1つのモーション信号をコンピューティングデバイスに送信するステップと、モーション信号は、ユーザのモーションレベルに関係したデータを含み;少なくとも1つの生体信号センサによって取り込まれた少なくとも1つの生体信号をコンピューティングデバイスに送信するステップと、生体信号は、ユーザの少なくとも1つの選択バイタルに関係したデータを含み;少なくとも1つのモーション信号に基づいてユーザのモーションステージを判定するステップと;使用に不適切と判定された生体信号のいずれかの部分を廃棄するステップと;生体信号の残りの部分から少なくとも1つの選択バイタルを抽出するステップと;各少なくとも1つの選択バイタルに関して、モルフォロジ記述子セット及び環境記述子セットのうちの少なくとも1つを含むノイズ記述子セットを計算するステップと;ノイズ記述子セット及びユーザのモーションステージのうちの少なくとも1つに基づいて少なくとも1つの選択バイタルのノイズレベル推定を生成するステップと;少なくとも1つの選択バイタルのノイズレベル推定に基づいて生体信号のノイズレベルを計算するステップとを含む、方法。
【0028】
2.ユーザによって装着された装着可能デバイス上に少なくとも1つのモーションセンサを配置するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0029】
3.少なくとも1つのモーションセンサを配置するステップが、ユーザによって装着された装着可能デバイス上に少なくとも1つの三軸加速度計を配置するステップをさらに含む、実施形態1〜実施形態2に記載の方法。
【0030】
4.ユーザによって装着された装着可能デバイス上に少なくとも1つの生体信号センサを配置するステップをさらに含む、実施形態1〜実施形態3に記載の方法。
【0031】
5.少なくとも1つの生体信号センサを配置するステップが、ユーザによって装着された装着可能デバイス上に少なくとも1つの心電図センサを配置するステップをさらに含む、実施形態1〜実施形態4に記載の方法。
【0032】
6.モーションステージに基づいて少なくとも1つのモーション信号をグループ化し、これにより、動的生体信号解析を行いながらノイズをより正確に推定、識別、及び分離することを可能にするステップをさらに含む、実施形態1〜実施形態5に記載の方法。
【0033】
7.生体信号の残りの部分におけるいずれかのベースライン、パワーライン、及び高周波干渉を除去するステップをさらに含む、実施形態1〜実施形態6に記載の方法。
【0034】
8.生体信号のノイズレベル推定を生成するためにユーザのモーションステージに基づいて適切なノイズ推定器を選択するステップをさらに含む、実施形態1〜実施形態7に記載の方法。
【0035】
9.ユーザの動的生体信号解析において適応的にノイズを定量化するための方法であって、生体信号前処理モジュール、生体信号処理モジュール、及び生体信号解析モジュールのそれぞれをコンピューティングデバイス上のメモリ内に実装するステップと;少なくとも1つのモーションセンサによって取り込まれた少なくとも1つのモーション信号をコンピューティングデバイスに送信するステップと、モーション信号は、ユーザのモーションレベルに関係したデータを含み;少なくとも1つの生体信号センサによって取り込まれた少なくとも1つの生体信号をコンピューティングデバイスに送信するステップと、生体信号は、ユーザの少なくとも1つの選択バイタルに関係したデータを含み;生体信号前処理モジュールが使用に不適切と判定された生体信号のいずれかの部分を廃棄するステップと;生体信号処理モジュールが生体信号の残りの部分から少なくとも1つの選択バイタルを抽出するステップと;生体信号処理モジュールが少なくとも1つのモーション信号に基づいてユーザのモーションステージを判定するステップと;生体信号解析モジュールがモルフォロジ記述子セット及び環境記述子セットのうちの少なくとも1つを含むノイズ記述子セットを計算するステップと;生体信号解析モジュールがノイズ記述子セット及びユーザのモーションステージに基づいて少なくとも1つの選択バイタルのノイズレベル推定を生成するステップと;生体信号解析モジュールが少なくとも1つの選択バイタルのノイズレベル推定に基づいて生体信号のノイズレベルを計算するステップとを含む、方法。
【0036】
10.生体信号前処理モジュールが生体信号の残りの部分におけるいずれかのベースライン、パワーライン、及び高周波干渉を除去するステップをさらに含む、実施形態9に記載の方法。
【0037】
11.生体信号解析モジュールが生体信号のノイズレベル推定を生成するためにユーザのモーションステージに基づいて適切なノイズ推定器を選択するステップをさらに含む、実施形態9〜実施形態10に記載の方法。
【0038】
12.ユーザの動的生体信号解析に用いるための適応的ノイズ定量化システムであって、ユーザの少なくとも1つの選択バイタルに関係したデータを取得し、前記データを少なくとも1つの生体信号として送信するように配置及び構成された、少なくとも1つの生体信号センサと、ユーザのモーションレベルに関係したデータを取得し、前記データを少なくとも1つのモーション信号として送信するように配置及び構成された、少なくとも1つのモーションセンサと、少なくとも1つの生体信号及びモーション信号を受信及び処理するように構成された、少なくとも1つのコンピューティングデバイスと、コンピューティングデバイス上のメモリ内に存在し、使用に不適切と判定された生体信号のいずれかの部分を廃棄するように構成された、生体信号前処理モジュールと、コンピューティングデバイス上のメモリ内に存在し、生体信号の残りの部分から少なくとも1つの選択バイタルを抽出し、少なくとも1つのモーション信号に基づいてユーザの現在のモーションステージを判定するように構成された、生体信号処理モジュールと、コンピューティングデバイス上のメモリ内に存在し、モルフォロジ記述子セット及び環境記述子セットのうちの少なくとも1つを含むノイズ記述子セットを計算するように構成された、生体信号解析モジュールとを備える、システム。
【0039】
13.少なくとも1つの生体信号センサが、ユーザの心臓の活動に関係したデータを得るように配置及び構成された、心電図センサである、実施形態12に記載の適応的ノイズ定量化システム。
【0040】
14.少なくとも1つのモーションセンサが三軸加速度計である、実施形態12〜実施形態13に記載の適応的ノイズ定量化システム。
【0041】
15.少なくとも1つの生体信号センサが、ユーザによって装着された装着可能デバイス上に配置される、実施形態12〜実施形態14に記載の適応的ノイズ定量化システム。
【0042】
16.少なくとも1つのモーションセンサが、ユーザによって装着された装着可能デバイス上に配置される、実施形態12〜実施形態15に記載の適応的ノイズ定量化システム。
【0043】
17.少なくとも1つの生体信号センサ及び少なくとも1つのモーションセンサが少なくとも1つのセンサアレイに一体化される、実施形態12〜実施形態16に記載の適応的ノイズ定量化システム。
【0044】
最後に、本明細書で図示及び説明された本発明の例示的な実施形態に関して、動的生体信号解析において適応的にノイズを定量化するためのシステム及び関連する方法が開示されることが理解されるであろう。本発明の原理は、図示及び説明された構成以外のいくつかの構成で実施され得るので、本発明は、例示的な実施形態によって多少なりとも制限されないが、動的生体信号解析において適応的にノイズを定量化するためのシステム及び関連する方法に概して向けられており、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、そうするために多くの形態をとることができることが理解される。本発明は、開示された構成の特定の幾何学的形状及び材料に限定されず、代わりに、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、現在公知の又は後で開発される他の機能的に同等の構造又は材料を伴う場合があることも当業者には分かるであろう。さらに、前述の実施形態のそれぞれの種々の特徴は、どの論理的な様態で組み合わされてもよく、本発明の範囲内に含まれることを意図される。
【0045】
本発明の代替的な実施形態、要素、又はステップのグループ化は、限定するものとして解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個々に又は本明細書で開示されるグループの他のメンバーとの任意の組み合わせで言及及び特許請求することができる。便宜及び/又は特許性の理由で、1つ又は複数のグループメンバーが含められる又は削除される場合があることが予想される。任意のこうした包含又は削除が行われるときに、本明細書は、付属の請求項において用いられるすべてのマーカッシュグループの記載要件を満たすものとして修正されたグループを含むとみなされる。
【0046】
特に指定のない限り、本明細書及び請求項で用いられる特徴、アイテム、量、パラメータ、特性、項などを表わすすべての数は、すべての事例において「約」という用語によって修飾されると理解される。本明細書で用いられる場合の「約」という用語は、そのように修飾された特徴、アイテム、量、パラメータ、特性、又は項が、表記された特徴、アイテム、量、パラメータ、特性、又は項の値よりも上又は下の+又は−10パーセントの範囲を包含することを意味する。したがって、それと反対の記載のない限り、本明細書及び付属の請求項に記載の数値パラメータは、変化し得る近似値である。最低限でも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値表示は、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広い範囲を記載する数値範囲及び値は近似値であるにもかかわらず、具体例に記載の数値範囲及び値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値範囲又は値も、必然的に、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差に起因するある程度の誤差を本質的に含む。本明細書での値の範囲の列挙は、該範囲内に入る各々の別個の値を個々に参照する簡潔な方法として役立つことを単に意図されている。本明細書で特に指定のない限り、各々の個々の値は、個々に本明細書に列挙されたかのように本明細書に組み入れられる。
【0047】
本発明の文脈において(特に以下の請求項の文脈において)用いられる「1つの(a、an)」、「その(the)」という用語及びそれに類似の言及は、本明細書で特に指定のない限り又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈される。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書で特に指定のない限り又は特に文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供されたあらゆるすべての実施例、又は例示的な言葉(例えば「などの」)の使用は、単に本発明をより良く解明することを意図されており、別途特許請求される本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書にない言葉は、本発明の実施に必須のあらゆる特許請求されない要素を示すと解釈されるべきである。
【0048】
本明細書で開示される特定の実施形態は、〜からなる又は本質的に〜からなるという言葉を用いて請求項でさらに限定される場合がある。出願時の又は補正により追加された請求項で用いられるときの「〜からなる」という移行句は、請求項に明記されないどのような要素、ステップ、又は構成要素も除外する。「本質的に〜からなる」という移行句は、請求項の範囲を、明記された材料又はステップ、及び基本的かつ新規な特徴に重要な影響を及ぼさないものに限定する。そのように特許請求される本発明の実施形態は、本明細書で本質的に又は明確に説明され、可能にされる。
【0049】
各方法のそれぞれの要素が行われる論理コード、プログラム、モジュール、プロセス、方法、及び順序は、単なる例示であることを理解されたい。実装に応じて、それらは、本開示で他に示されない限り、どのような順序で又は並行して行われてもよい。さらに、論理コードは、どの特定のプログラミング言語にも関係しておらず又は限定されず、分散環境、非分散環境、又は多重処理環境において1つ又は複数のプロセッサ上で実行する1つ又は複数のモジュールを含む場合がある。
【0050】
前述の方法は、集積回路チップの製作に用いられてよい。結果的に得られる集積回路チップは、生のウェーハの形態で(すなわち、複数のパッケージされていないチップを有する単一のウェーハとして)、裸のダイとして、又はパッケージされた形態で、製作者が流通させることができる。後者の場合、チップは、単一のチップパッケージ(マザーボード又は他のより高レベルのキャリアに取り付けられる導線と共に、プラスチックキャリアなど)に又はマルチチップパッケージ(表面相互接続又は埋込相互接続のいずれか又はこの両方を有するセラミックキャリアなど)にマウントされる。いずれにしても、チップは、次いで、(a)マザーボードなどの中間製品、又は(b)最終製品、のいずれかの一部として、他のチップ、個別の回路素子、及び/又は他の信号処理デバイスと一体化される。最終製品は、玩具及び他の下位用途から、ディスプレイ、キーボード、又は他の入力デバイス、及び中央プロセッサを有する高度なコンピュータ製品に至るまでの、集積回路チップを含むどの製品とすることもできる。
【0051】
本発明の態様が少なくとも1つの例示的な実施形態を参照して説明されているが、本発明はそれに限定されないことが当業者にははっきりと理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、付属の請求項と併せてのみ解釈されるべきであり、特許請求される主題が本発明であると発明者が信じていることがここで明らかにされる。