【文献】
ZHANG, JINGXIAN et. al.,GRAPHITE/GRAPHENE OXIDE COMPOSITE AS HIGH CAPACITY AND BINDER-FREE ANODE MATERIAL FOR LITHIUM ION BATTERIES,JOURNAL OF POWER SOURCES,米国,2013年,VOL.241,p.619-626
【文献】
ZHANG, JINGXIAN et. al.,HIGH-CAPACITY GRAPHENE OXIDE/GRAPHITE/CARBON NANOTUBE COMPOSITES FOR USE IN Li-ION BATTERY ANODES,CARBON,米国,2014年,VOL.74,p.153-162
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶剤が、水、テトラヒドロフラン、N,N‐ジメチルホルムアミド、N‐メチルピロリドン、ジクロロメタン、エタノール、n‐ヘキサンのうち1種又は複数種であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
ステップS1の前に、グラファイト相炭素材料及び/又は官能化グラフェンを重量が一定になるまで乾燥するステップ、をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
なお、コンフリクトのない限り、本発明の実施例及び実施例中の特徴は互いに組み合わせることができる。以下、図面を参照して実施例と関連付けつつ、本発明について詳細に説明する。
【0022】
本発明は、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンを含むリチウムイオン電池負極材料を提供する。
【0023】
本発明にかかる前記グラファイト相炭素材料とは、炭素原子の一部又は全部がハニカムラチス形態として構成された炭素材料をいう。グラファイト相炭素材料には、人工グラファイト、天然グラファイト、グラファイト化炭素微小球、グラファイト化カーボンナノチューブのうち1種又は複数種が含まれるが、これらのものに限定されない。上記天然グラファイトは、具体的に天然の鱗片状グラファイト又は土状グラファイトであってよい。
【0024】
従来の負極材料と比べて、本発明者は、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンを複合したものをリチウムイオン電池負極材料とすることを初めて思い付いた。従来の観点では、官能化されたグラフェンは、リチウムイオン電池負極材料として好適でないと考えられていたが、その原因は、主にその電気伝導率が低いである。しかしながら、本発明者は、従来の負極材料がリチウムイオン電池の応用に対して障害となる主な原因が、導電性にあるのではなく、容量と初回クーロン効率の特性が低いことにあることを発見した。その理由は、導電性は導電剤の添加により改善できるが、容量と初回クーロン効率の向上は、簡単にある種の助剤の添加により実現することが困難である、ということである。
【0025】
上述発明の思想に基づいて、本発明では、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンを複合して、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンとの複合材料を負極材料として得る。上記2種の材料を選んでいる理由は、次の通りである。
【0026】
一方で、官能化グラフェンの官能基は、リチウムイオンに対して高い捕捉能力があり、例えば、アミノ化グラフェンのアミノ基、カルボキシル化グラフェンのカルボキシル基、ヒドロキシル化グラフェンのヒドロキシル基、メルカプト化グラフェンのメルカプト基、酸化グラフェンのカルボキシル基及びヒドロキシル基などは、いずれもリチウムイオンを捕捉できるので、官能化グラフェンは高い容量を有する。しかし、官能化グラフェンが高価格であるため、負極材料として使用すると、単独性が悪いという問題がある。
【0027】
他方で、グラファイト相炭素材料は、その容量が低いが、高い初回クーロン効率を有し、且つ低価格で、さらに官能化グラフェンと同様に炭素材料に属しており、複合の実現がかなり容易である。そのため、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンが複合して形成された負極材料は、官能化グラフェンの高容量とグラファイト相炭素材料の高い初回クーロン効率とを兼ね備え、良好なサイクル特性を示すことができるとともに、複合をより容易に実現でき、製作コストが低い。このように、本発明にかかるリチウムイオン電池負極材料には、容量と初回クーロン効率が高く、サイクル特性に優れ、製造コストが低いという利点がある。
【0028】
上記官能化グラフェンは、アミノ化グラフェン、カルボキシル化グラフェン、ヒドロキシル化グラフェン、メルカプト化グラフェン、酸化グラフェン、メチル化グラフェン、トリフルオロメチル化グラフェン、オクタデシル化グラフェン、フッ化グラフェン及びヨード化グラフェンのうち1種又は複数種であってもよい。好ましくは、メルカプト化グラフェン、ヒドロキシル化グラフェン、フッ化グラフェン、酸化グラフェン、カルボキシル化グラフェンのうち1種又は複数種である。グラファイト相炭素材料は、人工グラファイト、グラファイト化炭素微小球、グラファイト化カーボンナノチューブのうち1種又は複数種であることが好ましい。
【0029】
本発明にかかるリチウムイオン電池負極材料において、官能化グラフェンの質量部は0.01%〜99%であってよいが、好ましくは、0.1%〜10%、45%〜65%又は90%〜99%である。
【0030】
さらに、本発明では、2種の原料のかさ密度を高くすることで、材料の電気的特性、特に容量がさらに高める。このため、本発明では、粒子径が異なるグラファイト相炭素材料と官能化グラフェンとの組合せを選択することで、複合材料における2種の原料のかさ密度をさらに最適化している。グラファイト相炭素材料の粒子径が官能化グラフェンより大きい場合、上記負極材料におけるグラファイト相炭素材料の粒子径は20μm〜45μmであることが好ましく、官能化グラフェンの粒子径は10μm〜20μmである。グラファイト相炭素材料の粒子径が官能化グラフェンより小さい場合、グラファイト相炭素材料の粒子径は10μm〜20μmであることが好ましく、官能化グラフェンの粒子径は20μm〜30μmであることが好ましい。
【0031】
さらに、上記グラファイト相炭素材料の粒子径が官能化グラフェンより大きい場合、サイズが三段階又は多段階の分布を呈する原料を選択することで、原料間の隙間の充填緻密度がより好ましくなる。このため、グラファイト相炭素材料には、粒子径が20μm〜30μmの第一グラファイト相炭素材料と30μm〜45μmの第二グラファイト相炭素材料とが含まれる。第一グラファイト相炭素材料と第二グラファイト相炭素材料とは、同一であってもよく、異なってもよい。好ましくは、第一グラファイト相炭素材料は、グラファイト相炭素微小球又はグラファイト化カーボンナノチューブで、第二グラファイト相炭素材料は、人工グラファイト又は天然グラファイトである。
【0032】
本発明にかかるリチウムイオン電池負極材料には、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンが含まれるが、官能化グラフェンは、リチウムイオンに対して高い捕捉能力があり、高い容量を有する。グラファイト相炭素材料は、高い初回クーロン効率を有し、且つ低価格で、さらに官能化グラフェンと同様に炭素材料に属しており、複合の実現がかなり容易である。そのため、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンが複合して形成された負極材料は、官能化グラフェンの高容量とグラファイト相炭素材料の高い初回クーロン効率とを兼ね備え、良好なサイクル特性を示すことができるとともに、複合をより容易に実現でき、製作コストが低い。このように、本発明にかかるリチウムイオン電池負極材料には、容量と初回クーロン効率が高く、サイクル特性に優れ、製造コストが低いという利点がある。
【0033】
それに応じて、本発明は、負極に上記リチウムイオン電池負極材料を含むリチウムイオン電池をさらに提供する。上記リチウムイオン電池負極材料には上記の利点があるので、リチウムイオン電池負極材料が設けられたリチウムイオン電池にも、容量と初回クーロン効率が高く、サイクル特性に優れ、製造コストが低いという利点がある。
【0034】
本発明は、さらに、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンを液相複合法又は固相複合法によって複合させて、リチウムイオン電池複合材料を得ること、を含む上記リチウムイオン電池負極材料の製造方法である。
【0035】
液相複合法には、取扱いが便利という利点があるので、本発明では、上記負極材料を液相複合法によって製造することが好ましい。具体的に次のようなステップが含まれる。
【0036】
ステップS1:官能化グラフェンを溶剤に分散して、第一分散液を得る。
【0037】
ステップS2:前記の第一分散液にグラファイト相炭素材料を加え、均一に混合して、第二分散液を得る。
【0038】
ステップS3:前記第二分散液を乾燥してリチウムイオン電池負極材料を得る。
【0039】
本願発明者は、官能化グラフェンの分散均一性が負極材料の一致性とサイクル特性に重要な影響を与えることを発見した。官能化グラフェンの分散均一性を確保するように、本発明では、先に官能化グラフェンを分散してからグラファイト相炭素材料を添加する。これは、先に官能化グラフェンを加えると、分散しない官能化グラフェンがグラファイトの表面に容易に吸着されることになり、グラフェンの均一な分散が困難になるからである。
【0040】
さらに官能化グラフェンの分散均一性を向上させるように、上記ステップS1で超音波分散を行うことが好ましい。超音波分散の時間が長ければ長いほど、官能化グラフェンの分散均一性を向上させるのに有利であるが、本発明者は、超音波分散の時間が長ければ長いほどよいのではないことを発見した。これは、超音波分散の時間が長すぎると、官能化グラフェンも長すぎて、シート層が崩れ、欠陥密度が高くなるとともに、官能化グラフェンのサイズが小さくなって、サイクル特性に不利であるためである。このことから、超音波分散の時間は、0.5時間〜8時間であることが好ましく、1時間〜3時間であることがより好ましい。
【0041】
また、官能化グラフェンと溶剤との割合も官能化グラフェンの分散均一性に影響する。割合が低すぎる、すなわち、第一分散液における官能化グラフェンの濃度が小さすぎると、溶剤の浪費になるとともに、後の乾燥工程が困難となる。割合が高すぎる、すなわち、第一分散液における官能化グラフェンの濃度が高すぎると、グラフェンが集合しやすくなる。本発明では、第一分散液における官能化グラフェンの濃度は0.5wt%〜5wt%であることが好ましく、2wt%〜3.5wt%であることがより好ましい。
【0042】
使用する溶剤は、水、テトラヒドロフラン、N,N‐ジメチルホルムアミド、N‐メチルピロリドン、ジクロロメタン、エタノール、n‐ヘキサンのうち1種又は複数種であってもよい。好ましくは、水、N‐メチルピロリドン、N,N‐ジメチルホルムアミドのうち1種又は複数種である。より好ましくは、体積比が(0.8〜2):1の水とN,N‐ジメチルホルムアミドである。このような溶剤は、いずれも官能化グラフェンとグラファイト相炭素材料に対して良好な分散性を示し、一致性が高い負極材料を得ることに有利である。
【0043】
ステップS2は、液相複合の過程である。具体的に、ステップS1で製造した第一分散液にグラファイト相炭素材料を加え、均一に混合する。このステップにおける均一に混合する工程は、高速攪拌によって実現される。ステップS1は、具体的に、第一分散液にグラファイト相炭素材料を加えて高速攪拌を行うものであってよい。高速攪拌の時間は0.5時間〜8時間であってよく、攪拌速度は300rpm〜800rpmであってよい。
【0044】
液相複合の過程において、2種の材料の複合の緻密度は、製品の性能、特に容量と初回クーロン効率に影響する。2種の複合材料の緻密度を高くするため、ステップS2には、第一分散液にグラファイト相炭素材料を加えてから攪拌し、さらに低エネルギーのタンク研磨を行って、第二分散液を得るS2aの含まれることが好ましい。
【0045】
当該ステップは、先に攪拌してから低エネルギーのタンク研磨を行う。低エネルギーのタンク研磨は、システム中のグラファイト相炭素材料と官能化グラフェンを十分に接触し衝突させて、2種の材料の複合を効果的に促進させることができるとともに、他方では、エネルギーが低いので、官能化グラフェンの構造と官能基を破壊することがない。低エネルギーのタンク研磨の回転数は、30rpm〜200rpmであることが好ましい。低エネルギーのタンク研磨の時間は、タンク研磨を5分間〜180分間としてよい。
【0046】
本発明のもう一つの好ましい形態として、ステップS2は、具体的に次のようなステップを含んでもよい。
【0047】
S21:第一分散液に第一グラファイト相炭素材料を加えてから攪拌する。
【0048】
S22:第二グラファイト相炭素材料を加えてから低エネルギーのタンク研磨を行って、第二分散液を得る。前記第一グラファイト相炭素材料の粒子径は、前記第二グラファイト相炭素材料の粒子径以下である。
【0049】
上記第一グラファイト相炭素材料と第二グラファイト相炭素材料は、同一であってもよく、異なってもよいが、異なることが好ましい。具体的に、第一グラファイト相炭素材料は、グラファイト化炭素微小球又はグラファイト化カーボンナノチューブであってよく、第二グラファイト相炭素材料は、人工グラファイト又は天然グラファイトであってよい。
【0050】
上記第一グラファイト相炭素材料と第二グラファイト相炭素材料は、粒子径が同一であってもよく、第一グラファイト相炭素材料の粒子径が第二グラファイト相炭素材料の粒子径より小さいものであってもよいが、後者の方が好ましい。先に粒子径が小さいグラファイト相炭素材料を加えて攪拌することで、第一グラファイト相炭素材料の均一な分散の実現に有利である。さらに粒子径が大きいグラファイト相炭素材料を加えてタンク研磨を行うことで、一方では、第二グラファイト相炭素材料の分散均一性がよくなるとともに、他方では、第二グラファイト相炭素材料及び第一グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンとの十分な接触衝突に有利となり、材料のかさ密度を高められる。そのため、この方法を採用することで、各相が均一に分布した、かさ密度が高い負極材料を得ることに有利である。
【0051】
上記第一グラファイト相炭素材料の粒子径は、20μm〜30μmであることが好ましい。第二グラファイト相炭素材料の粒子径は、30μm〜45μmであることが好ましい。粒子径が異なるグラファイト相炭素材料の選別は、所定のメッシュ数の篩を通して実現でき、上記グラファイト相炭素材料を溶剤に分散した後で、所定の濾過径の濾過膜によっても実現できる。
【0052】
ステップS3は、第二分散液を乾燥してグラファイト相炭素材料/官能化グラフェン複合材料を得る過程である。乾燥は、具体的にスプレー乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、フラッシュ蒸留乾燥又は凍結乾燥である。乾燥の温度は50℃〜150℃であってよく、乾燥時間は8時間〜72時間であってよい。乾燥後、さらに、得られた生成物を粉砕して篩に通すことで、一定のサイズの負極材料を得ることができる。
【0053】
本発明で提供する負極材料は、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンからなる。2種の材料の割合は、負極材料の電気的特性に一定の影響を与えるが、2種の材料はいずれも一定の吸水性を有するので、本発明では、材料の含水による原料割合の誤差が負極材料の電気的特性に影響することを避けるため、ステップS1の前に、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンを一定の重量となるまで乾燥するステップがさらに含まれることが好ましい。このステップでは、乾燥の温度は60℃〜100℃であってよく、乾燥時間は8時間〜72時間であってよい。
【0054】
勿論、上記リチウムイオン負極材料は、固相複合法によって製造することもできる。具体的に次のようなステップが含まれる。
【0055】
グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンをドライパウダーとして混合する。
【0056】
混合されたグラファイト相炭素材料と官能化グラフェンに低エネルギーのタンク研磨を行って、リチウムイオン電池負極材料を得る。
【0057】
上記低エネルギーのタンク研磨の回転数は、30rpm〜200rpmであることが好ましい。低エネルギーのタンク研磨の時間は5分間〜180分間である。また、グラファイト相炭素材料と官能化グラフェンとの割合、グラファイト相炭素材料の具体的な選択、官能化グラフェンの具体的な選択、及び両者の粒子径などについては、いずれも前述の実施例のものと同一であってよいので、重ねて説明することはしない。
【0058】
本発明のもう一つの実施例は、負極に上記リチウムイオン電池負極材料を含むリチウムイオン電池をさらに提供する。具体的に、当該リチウムイオン電池は、正極、電解液及び負極を含むことができる。当該負極は、上記リチウムイオン電池負極材料を含むこともできる。また、当該負極には、アセチレンブラックのような導電剤と、粘着剤が含まれてもよい。上記の正極と電解液は、従来のリチウムイオン電池のものと同一であってもよい。負極において、導電剤の含有量は5wt%〜20wt%であってもよいが、好ましくは、10wt%〜20wt%である。
【0059】
上記リチウムイオン電池負極材料には上記の利点があるので、当該リチウムイオン電池負極材料を含むリチウムイオン電池にも、容量が高く、初回クーロン効率が高く、サイクル特性に優れ、製造コストが低いという利点がある。
【0060】
以下、具体的な実施例と関連付けて本発明の形態についてさらに説明する。
【実施例1】
【0061】
1.人工グラファイト粉体とメルカプト化グラフェン粉体を60℃で24時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了させ、使用に備える。
【0062】
2.乾燥させたメルカプト化グラフェンをN‐メチルピロリドン(NMP)に分散し、0.5時間超音波分散して、メルカプト化グラフェンの濃度が0.5wt%である第一分散液を得る。
【0063】
3.人工グラファイトとメルカプト化グラフェンとの重量比が99.9:0.1となるように、乾燥した人工グラファイトを第一分散液に加え、攪拌速度を300rpmとして0.5時間高速攪拌し、第二分散液を得る。
【0064】
4.第二分散液を150℃で24時間真空乾燥して、メルカプト化グラフェン‐人工グラファイト複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル1とする。
【実施例2】
【0065】
1.グラファイト化炭素微小球とメルカプト化グラフェン粉体を80℃で36時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0066】
2.乾燥させたフッ化グラフェンを水に分散し、1時間超音波分散して、フッ化グラフェンの濃度が2wt%である第一分散液を得る。
【0067】
3.グラファイト化炭素微小球とフッ化グラフェンとの重量比が90:10となるように、乾燥したグラファイト化炭素微小球を第一分散液に加え、攪拌速度を500rpmとして1時間高速攪拌し、第二分散液を得る。
【0068】
4.第二分散液を50℃で72時間真空乾燥して、フッ化グラフェン‐グラファイト化炭素微小球複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル2とする。
【実施例3】
【0069】
1.グラファイト化カーボンナノチューブとヒドロキシル化グラフェン粉体を100℃で72時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0070】
2.乾燥させたヒドロキシル化グラフェンをN,N‐ジメチルホルムアミドに分散し、3時間超音波分散して、ヒドロキシル化グラフェンの濃度が5wt%である第一分散液を得る。
【0071】
3.グラファイト化カーボンナノチューブとヒドロキシル化グラフェンとの重量比が55:45となるように、乾燥したグラファイト化カーボンナノチューブを第一分散液に加え、攪拌速度を480rpmとして8時間高速攪拌し、第二分散液を得る。
【0072】
4.第二分散液を150℃で8時間沸騰乾燥して、ヒドロキシル化グラフェン‐グラファイト化カーボンナノチューブ複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル3とする。
【実施例4】
【0073】
1.人工グラファイトと酸化グラフェン粉体を80℃で24時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0074】
2.乾燥させた酸化グラフェンを体積比が0.8:1である水とN,N‐ジメチルホルムアミドとの混合溶剤に分散し、3時間超音波分散して、酸化グラフェンの濃度が3.5wt%である第一分散液を得る。
【0075】
3.人工グラファイトと酸化グラフェンとの重量比が35:65となるように、乾燥した人工グラファイトを第一分散液に加え、攪拌速度を800rpmとして6時間高速攪拌し、第二分散液を得る。
【0076】
4.第二分散液を100℃で24時間真空乾燥して、酸化グラフェン‐人工グラファイト複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル4とする。
【実施例5】
【0077】
1.天然鱗片状グラファイトとカルボキシル化グラフェン粉体を100℃で12時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0078】
2.乾燥させたカルボキシル化グラフェンを体積比が2:1である水とN,N‐ジメチルホルムアミドとの混合溶剤に分散し、2時間超音波分散して、カルボキシル化グラフェンの濃度が3wt%である第一分散液を得る。
【0079】
3.天然鱗片状グラファイトとカルボキシル化グラフェンとの重量比が10:90となるように、乾燥した天然鱗片状グラファイトを第一分散液に加え、攪拌速度を750rpmとして4時間高速攪拌し、第二分散液を得る。
【0080】
4.第二分散液を120℃で24時間真空乾燥して、カルボキシル化グラフェン‐天然鱗片状グラファイト複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル5とする。
【実施例6】
【0081】
1.土状グラファイトとアミノ化グラフェン粉体を80℃で48時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0082】
2.乾燥させたアミノ化グラフェンをテトラヒドロフランに分散し、8時間超音波分散して、アミノ化グラフェンの濃度が1wt%である第一分散液を得る。
【0083】
3.土状グラファイトとアミノ化グラフェンとの重量比が1:99となるように、乾燥した土状グラファイトを第一分散液に加え、攪拌速度を600rpmとして2時間高速攪拌し、第二分散液を得る。
【0084】
4.第二分散液を100℃で24時間真空乾燥して、アミノ化グラフェン‐土状グラファイト複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル6とする。
【実施例7】
【0085】
1.人工グラファイトとメチル化グラフェン粉体を100℃で24時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0086】
2.乾燥させたメチル化グラフェンをジクロロメタンに分散し、6時間超音波分散して、メチル化グラフェンの濃度が4wt%である第一分散液を得る。
【0087】
3.人工グラファイトとメチル化グラフェンとの重量比が70:30となるように、乾燥した人工グラファイトを第一分散液に加え、攪拌速度を600rpmとして4時間高速攪拌し、第二分散液を得る。
【0088】
4.第二分散液を120℃で24時間真空乾燥して、メチル化グラフェン‐人工グラファイト複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル7とする。
【実施例8】
【0089】
1.グラファイト化カーボンナノチューブとヨード化グラフェン粉体を60℃で36時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0090】
2.乾燥させたヨード化グラフェンをエタノールに分散し、7時間超音波分散して、ヨード化グラフェンの濃度が2.5wt%である第一分散液を得る。
【0091】
3.グラファイト化カーボンナノチューブとヨード化グラフェンとの重量比が20:80となるように、乾燥したグラファイト化カーボンナノチューブを第一分散液に加え、攪拌速度を300rpmとして8時間高速攪拌し、第二分散液を得る。
【0092】
4.第二分散液を100℃で24時間真空乾燥して、ヨード化グラフェン‐グラファイト化カーボンナノチューブ複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル8とする。
【実施例9】
【0093】
1.天然鱗片状グラファイトとトリフルオロメチル化グラフェン及びオクタデシル化グラフェン粉体を80℃で10時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0094】
2.乾燥させたトリフルオロメチル化グラフェン及びオクタデシル化グラフェンをn‐ヘキサンに分散し、7時間超音波分散して、トリフルオロメチル化グラフェンとオクタデシル化グラフェンとの質量比が1:1であって官能化グラフェン(トリフルオロメチル化グラフェン及びオクタデシル化グラフェンを含む)の濃度が3wt%である第一分散液を得る。
【0095】
3.天然鱗片状グラファイトと官能化グラフェンとの重量比が80:20となるように、乾燥した天然鱗片状グラファイトを第一分散液に加え、攪拌速度を680rpmとして8時間高速攪拌し、第二分散液を得る。
【0096】
4.第二分散液を100℃で24時間真空乾燥して、トリフルオロメチル化グラフェン‐オクタデシル化グラフェン‐天然鱗片状グラファイト複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル9とする。
【実施例10】
【0097】
1.グラファイト化炭素微小球を1340メッシュの篩に通過させ、粒子径が10μmであるグラファイト化炭素微小球を得る。フッ化グラフェンを水に分散し、さらに20μmの濾過膜で吸引濾過した後、乾燥する。
【0098】
2.篩に通過させたグラファイト化炭素微小球と吸引濾過したフッ化グラフェンを80℃で36時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0099】
3.乾燥させたフッ化グラフェンを水に分散し、1時間超音波分散して、フッ化グラフェンの濃度が2wt%である第一分散液を得る。
【0100】
4.グラファイト化炭素微小球とフッ化グラフェンとの重量比が90:10となるように、乾燥したグラファイト化炭素微小球を第一分散液に加え、攪拌速度を750rpmとして11時間高速攪拌する。その後、タンク研磨の回転数を200rpmとして低エネルギーのタンク研磨を5分間行い、第二分散液を得る。
【0101】
5.第二分散液を50℃で72時間真空乾燥して、フッ化グラフェン‐グラファイト化炭素微小球複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル10とする。
【実施例11】
【0102】
1.グラファイト化炭素微小球を635メッシュの篩に通過させ、粒子径が20μmであるグラファイト化炭素微小球を得る。フッ化グラフェンを水に分散し、さらに30μmの濾過膜で吸引濾過した後、乾燥する。
【0103】
2.篩に通過させたグラファイト化炭素微小球と吸引濾過したフッ化グラフェンを80℃で36時間真空乾燥して、重量に一定となったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0104】
3.乾燥させたフッ化グラフェンを水に分散し、1時間超音波分散して、フッ化グラフェンの濃度が2wt%である第一分散液を得る。
【0105】
4.グラファイト化炭素微小球とフッ化グラフェンとの重量比が90:10となるように、乾燥したグラファイト化炭素微小球を第一分散液に加え、攪拌速度を750rpmとして11時間高速攪拌する。その後、タンク研磨の回転数を200rpmとして低エネルギーのタンク研磨を5分間行い、第二分散液を得る。
【0106】
5.第二分散液を50℃で72時間真空乾燥して、フッ化グラフェン‐グラファイト化炭素微小球複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル11とする。
【実施例12】
【0107】
1.人工グラファイトを635メッシュの篩に通過させて粒子径が20μmである第一人工グラファイトを得、人工グラファイトを450メッシュの篩に通過させて粒子径が30μmである第二人工グラファイトを得る。酸化グラフェンを水に分散し、さらに10μmの濾過膜で吸引濾過した後、乾燥する。
【0108】
2.篩に通過させた人工グラファイトと吸引濾過した酸化グラフェン粉体を80℃で24時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0109】
3.乾燥させた酸化グラフェンを体積比が0.8:1である水とN,N‐ジメチルホルムアミドとの混合溶剤に分散し、3時間超音波分散して、酸化グラフェンの濃度が3.5wt%である第一分散液を得る。
【0110】
4.乾燥した第一人工グラファイトの一部を第一分散液に加え、攪拌速度を300rpmとして6時間高速攪拌する。その後、第二人工グラファイトを加えて、低エネルギーのタンク研磨の回転数を30rpmとして低エネルギーのタンク研磨を180分間行い、第二分散液を得る。第一人工グラファイトと第二人工グラファイトとの重量比を1:2とする。人工グラファイトの合計量と酸化グラフェンとの重量比を35:65とする。
【0111】
5.第二分散液を100℃で24時間真空乾燥して、酸化グラフェン‐人工グラファイト複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル12とする。
【実施例13】
【0112】
1.グラファイト化カーボンナノチューブを水に分散し、30μmの濾過膜を通過させて吸引濾過する。人工グラファイトを水に分散し、45μmの濾過膜を通過させて吸引濾過する。カルボキシル化グラフェンを水に分散し、20μmの濾過膜を通過させて吸引濾過する。
【0113】
2.上記濾過したグラファイト化カーボンナノチューブ、人工グラファイト及びカルボキシル化グラフェンを100℃で12時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0114】
3.乾燥させたカルボキシル化グラフェンを体積比が2:1である水とN,N‐ジメチルホルムアミドとの混合溶剤に分散し、2時間超音波分散して、カルボキシル化グラフェンの濃度が3wt%である第一分散液を得る。
【0115】
4.乾燥したグラファイト化カーボンナノチューブを第一分散液に加え、攪拌速度を600rpmとして4時間高速攪拌する。その後、乾燥した人工グラファイトを加え、低エネルギーのタンク研磨の回転数を100rpmとして低エネルギーのタンク研磨を60分間行い、第二分散液を得る。グラファイト化カーボンナノチューブと人工グラファイトとの重量比を1:1とする。グラファイト相炭素材料(人工グラファイト及びグラファイト化カーボンナノチューブを含む)とカルボキシル化グラフェンとの重量比を10:90とする。
【0116】
5.第二分散液を120℃で24時間真空乾燥して、カルボキシル化グラフェン‐天然鱗片状グラファイト‐人工グラファイト複合材料を得、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル13とする。
【実施例14】
【0117】
1.人工グラファイト粉体とメルカプト化グラフェン粉体を60℃で24時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0118】
2.重量比が99.9:0.1である人工グラファイトとメルカプト化グラフェンとを取って、混合する。
【0119】
3.ステップ2で得られた混合材料に低エネルギーのタンク研磨を行う。回転数を30rpmとして時間を180分間とする。メルカプト化グラフェン‐人工グラファイト複合材料を得て、サンプル14とする。
【実施例15】
【0120】
1.土状グラファイトとアミノ化グラフェン粉体を80℃で48時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0121】
2.重量比が1:99である土状グラファイトとアミノ化グラフェンとを取って、混合する。
【0122】
3.ステップ2で得られた混合材料に低エネルギーのタンク研磨を行う。回転数を200rpmとして時間を5分間とする。アミノ化グラフェン‐土状グラファイト複合材料を得て、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル15とする。
【実施例16】
【0123】
1.グラファイト化炭素微小球を1340メッシュの篩に通過させ、粒子径が10μmであるグラファイト化炭素微小球を得る。フッ化グラフェンを水に分散し、さらに20μmの濾過膜で吸引濾過した後、乾燥する。
【0124】
2.篩に通過させたグラファイト化炭素微小球と吸引濾過したフッ化グラフェンを80℃で36時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0125】
3.重量比が90:10であるグラファイト化炭素微小球とフッ化グラフェンとを取って、混合する。
【0126】
4.ステップ3で得られた混合材料に低エネルギーのタンク研磨を行う。時間を8分間として回転数を200rpmとする。フッ化グラフェン‐グラファイト化炭素微小球複合材料を得て、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル16とする。
【実施例17】
【0127】
1.人工グラファイトを635メッシュの篩に通過させて粒子径が20μmである第一人工グラファイトを得、人工グラファイトを450メッシュの篩に通過させて粒子径が30μmである第二人工グラファイトを得る。酸化グラフェンを水に分散し、さらに10μmの濾過膜で吸引濾過した後、乾燥する。
【0128】
2.篩に通過させた人工グラファイトと吸引濾過した酸化グラフェン粉体を80℃で24時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0129】
3.重量比が12:35:65である第一人工グラファイト、第二人工グラファイト及び酸化グラフェンを取って、混合する。
【0130】
4.ステップ3で得られた混合材料に低エネルギーのタンク研磨を行う。時間を80分間として回転数を100rpmとする。酸化グラフェン‐人工グラファイト複合材料を得て、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル17とする。
【実施例18】
【0131】
1.グラファイト化カーボンナノチューブを水に分散し、30μmの濾過膜を通過させて吸引濾過する。人工グラファイトを水に分散し、45μmの濾過膜を通過させて吸引濾過する。カルボキシル化グラフェンを水に分散し、20μmの濾過膜を通過させて吸引濾過する。
【0132】
2.上記濾過したグラファイト化カーボンナノチューブ、人工グラファイト及びカルボキシル化グラフェンを100℃で12時間真空乾燥して、重量が一定になったら乾燥を終了し、使用に備える。
【0133】
3.重量比が5:5:90であるグラファイト化カーボンナノチューブ、人工グラファイト及びカルボキシル化グラフェンを取って、混合する。
【0134】
4.ステップ3で得られた混合材料に低エネルギーのタンク研磨を行う。時間を60分間として回転数を180rpmとする。カルボキシル化グラフェン‐天然鱗片状グラファイト‐人工グラファイト複合材料を得て、当該材料を粉砕し篩を通して、サンプル18とする。
【0135】
[比較例1]
天然グラファイト粉体を60℃で24時間真空乾燥して、乾燥グラファイト粉体を得、サンプル0とする。
【0136】
上記サンプル1から18及びサンプル0をボタン型電池に組み立て、テストする。
【0137】
組立条件は次の通りである。活性化物質(すなわち、上記サンプル)、アセチレンブラック及び粘着剤が80:10:10の重量比となるように混合して電極シートにする。リチウムシートを正極として、Cellgard2300多孔質膜をセパレータとし、1mol/LのLiPF6+DMC(体積比1:1)混合溶液を電解質として、ボタン型電池を組み立てる。Land BS9300(武漢金諾電子)プログラム制御全自動化電気化学テスターで電気化学特性のテストを行う。
【0138】
テスト結果は、表1の通りとなる。
【0139】
【0140】
上記の内容から分かるように、従来のリチウムイオン電池負極材料に対して、本発明に係るリチウムイオン電池負極材料は、電池の比容量と初回クーロン効率を高めるのに有利で、初回容量は最高で1500mAh/g、初回クーロン効率は95%に達し、300回サイクル後の容量が80%〜99%に保持されている。
【0141】
上記に述べたところは、本発明の好ましい実施例であるにすぎず、本発明を限定するためのものではない。およそ本発明の趣旨と原則の中でなされるいかなる修正、均等な置換や改良なども、すべて本発明の保護範囲内に含まれるべきである。