特許第6843878号(P6843878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6843878歯科用交換部品の熱処理を行う誘導炉と方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843878
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】歯科用交換部品の熱処理を行う誘導炉と方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/00 20060101AFI20210308BHJP
   A61C 13/083 20060101ALI20210308BHJP
   F27B 5/14 20060101ALI20210308BHJP
   F27D 11/06 20060101ALI20210308BHJP
   F27B 5/18 20060101ALI20210308BHJP
   C04B 35/64 20060101ALI20210308BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   A61C13/00 K
   A61C13/083
   F27B5/14
   F27D11/06 Z
   F27B5/18
   C04B35/64
   H05B6/10 371
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-544346(P2018-544346)
(86)(22)【出願日】2017年2月24日
(65)【公表番号】特表2019-513028(P2019-513028A)
(43)【公表日】2019年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2017054289
(87)【国際公開番号】WO2017144644
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2020年2月21日
(31)【優先権主張番号】102016202902.9
(32)【優先日】2016年2月24日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500058187
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】バウレー,マイケル
【審査官】 寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/121364(WO,A1)
【文献】 特開2005−136095(JP,A)
【文献】 特表2015−531048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/00
A61C 13/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導コイル(2)と、輻射ヒータ(3)と、断熱層(4)と、炉室(5)と、炉扉(10)と、を含む歯科用交換部品(7)の熱処理を行う誘導炉(1)であって、前記誘導炉(1)が、液体冷却システムを備えた冷却システム(17)を有し、
前記誘導炉(1)は、前記炉扉(10)が設定された開放温度(57)で自動的に開放されるような手段を備え、かつ/または
前記誘導炉(1)は、前記開放温度(57)に達したときに、音響信号または光信号が生成されて前記開放温度(57)に到達したことを示す手段を備える
誘導(1)。
【請求項2】
前記誘導コイル(2)が交流電流で動作し、前記輻射ヒータ(3)が前記誘導コイル(2)の交番磁界(6)によって加熱されることを特徴とする、請求項1に記載の誘導炉(1)。
【請求項3】
前記輻射ヒータ(3)が前記炉室の内壁を形成し、処理される予定の前記歯用交換部品(7)が前記炉室(5)内に配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載の誘導炉(1)。
【請求項4】
前記輻射ヒータ(3)が円筒状に形成され、前記輻射ヒータ(3)の直径が最大で90mmであり、前記輻射ヒータ(3)の高さ(16)が最大で50mmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘導炉(1)。
【請求項5】
前記輻射ヒータ(3)は、導電性非酸化物セラミックまたは二珪化モリブデンからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導炉(1)。
【請求項6】
前記冷却システム(17)が、ファン(18、19)と、ラジエータ(20)と、ポンプ(21)とを含み、前記誘導コイル(2)が、冷却液(24)が流れる中空の金属管から形成され、前記冷却液(24)が前記ポンプ(21)によって冷却回路内を移動し、前記ラジエータ(20)が、前記ファン(18)によって冷気(22)で冷却されて前記冷却液(24)を冷却することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の誘導炉(1)。
【請求項7】
前記誘導炉(1)が、前記冷却システム(17)の冷却制御を含み、温度センサ(9)が、前記炉室(5)の内部温度を取得する前記炉室(5)内に配置され、前記冷却制御(17)が、前記ファン(18、19)及び前記ポンプ(21)を制御して、前記誘導コイル(2)の温度、従って前記炉室(5)内の内部温度が調整されることを特徴とする、請求項6に記載の誘導炉(1)。
【請求項8】
前記断熱層(4)が、前記輻射ヒータ(3)と前記誘導コイル(2)との間に配置され、前記断熱層(4)の厚さは最大で5mmであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の誘導炉(1)。
【請求項9】
前記誘導炉(1)が炉扉(10)を含み、前記炉扉が、処理される予定の前記歯科用交換部品(7)がその上に配置される支持面(8)を含み、前記支持面(8)が、前記炉扉(10)が閉じられたときに前記炉室(5)の下側内面を形成することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の誘導炉(1)。
【請求項10】
前記冷却システム(17)が前記誘導コイル(2)を冷却し、およびそれによって前記誘導コイル(2)に隣接して配置される前記輻射ヒータ(3)を冷却するので、前記炉室(5)の内部温度が前記冷却システム(17)によって制御されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の誘導炉(1)を用いて熱処理を行う方法。
【請求項11】
前記炉扉(10)が閉じられているときの加熱段階(35)において、前記炉室(5)の内部温度が30℃/分〜300℃/分の間の設定加熱速度で上昇し、前記炉扉(10)が閉じられているときの冷却段階(37)において、前記炉室(5)の前記内部温度が30℃/分〜200℃/分の間の設定冷却速度(37)で減少するように、前記炉室(5)の前記内部温度が、前記冷却システム(17)の冷却制御によって制御されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱処理が焼結であり、前記冷却段階(37)の前記冷却速度が、焼結される予定の前記歯科用交換部品(7)の幾何学的パラメータの関数として設定され、単一の歯のクラウンなどの小さな歯科用交換部品の前記冷却速度が100〜200℃/分であり、少なくとも3つの歯からなる多部品ブリッジのようなより大きな歯科用交換部品(7)の冷却速度が30〜60℃/分であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
適切な温度プロファイルが、前記歯科用交換部品(7)の公知の幾何学的パラメータおよび前記歯科用交換部品(7)の所望の色を用いてコンピュータによって自動的に決定されるか、または適切な温度プロファイルが、データベースからの広範な温度プロファイルから選択され、前記温度プロファイルが、特定の加熱速度を有する加熱段階(35)と、特定の保持温度(36)を有する保持段階と、前記炉扉が閉じられているときの特定の冷却速度を有する第1冷却段階(10)と、前記炉扉(10)が開いているときの第2冷却段階であって、始まりが前記炉扉(10)の開放温度(57)によって決定される、第2冷却段階とを含み、適切な加熱速度または冷却速度が、前記歯科用交換部品(7)の既知の幾何学的パラメータを用いて導かれ、前記冷却システム(17)の前記冷却制御が、前記所望の前記加熱速度または前記冷却速度を達成するように制御されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記炉扉(10)は、設定された開放温度(57)で開放され、前記開放温度(57)が、前記歯科用交換部品(7)の所望の色の関数として設定されることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記歯科用交換部品(7)が、着色剤を含む予め着色された酸化ジルコニウムからなり、淡色着色剤を含む酸化ジルコニウムの前記開放温度(57)が最大で1300℃であり、暗色着色剤を含む酸化ジルコニウムの前記開放温度(57)が最大で1100℃であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記開放温度(57)が最大で700℃であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記炉扉(10)が前記設定された開放温度(57)で自動的に開放されることを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記設定された開放温度(57)において、前記開放温度(57)に達したことを示すために音響信号または視覚信号が生成されることを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記歯科用交換部品(7)の前記熱処理が、焼結、結晶化、釉薬塗布、焼結とグレージングの組み合わせ、または結晶化とグレージングの組み合わせであり、前記炉扉(10)が閉じているときの加熱段階において、前記炉室(5)の内部温度が設定された加熱速度で上昇し、前記炉扉(10)が閉じているときの冷却段階(37)において、前記炉室(5)の内部温度が設定された冷却速度で低下することを特徴とする、請求項10〜18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導コイルと、輻射ヒータと、断熱層と、炉室とを含む歯科用交換部品の熱処理を行う誘導炉に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科用交換部品の熱処理を行うための多くの焼結炉が最新技術から公知である。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102014202575A1には、炉室と、熱ラジエータを備えた加熱装置とを含む歯科分野の構成部品用の焼結炉が開示されている。熱ラジエータは誘導加熱することができ、貫通コイルは熱ラジエータをるつぼの形式で加熱する。
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102012213279A1には、セラミック製の歯科用交換部品のための焼結炉が開示されており、焼結炉は、コンピュータ制御された方法で作動し、ロードシーケンスを可能にする駆動手段を含む。多くの温度プロファイルが焼結炉のメモリに記憶され、マッチする温度プロファイルが歯科用交換部品のサイズの関数として選択される。温度プロファイルは、加熱速度および保持時間に関して異なる。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006032655A1には、歯科用交換部品を位置決めするための閉鎖板を開示されており、燃焼室内に内部温度を測定するための測定システムが配置されている歯科用交換部品のための焼結炉を開示している。歯科用炉に対する閉鎖板の位置決めは、コンピュータシステムによって温度に依存して制御される。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102013226497A1には、歯科用交換部品の熱処理を計画する方法が開示されており、熱処理のための特定の温度プロファイルが、コンピュータにより、歯科用交換部品の幾何学的パラメータおよび材料パラメータの関数として、自動的に決定される。温度プロファイルは、加熱段階の間の加熱速度に対して、保持温度に対して、保持時間と冷却段階の間の冷却速度に関して異なる。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102008013555A1には、歯科用交換部品を製造するための焼結炉を開示されており、歯科用交換部品の焼結は焼結経路に沿って行われる。歯科用交換部品は、焼結経路に沿って移動するとき、異なる温度にさらされる。したがって、焼結経路は、異なる温度に設定され得る個々の焼結経路セグメントに分割される。焼結される予定の歯科用交換部品を有するキャリアは、スライドの助けを借りて焼結経路に沿って移動する。各焼結経路セグメントに対して異なる温度を設定することができる。したがって、異なるセラミックの焼結のために異なる温度プロファイルを設定することができる。
【0006】
当該方法および当該焼結炉の欠点の1つは、燃焼室の熱質量が比較的大きいために、炉扉を閉じて焼結した後の冷却段階に非常に長い時間がかかることである。その結果、焼結プロセスの全期間が延長される。
【0007】
従来の焼結炉の別の欠点は、特に冷却段階の間に、炉室の内部温度を十分に正確に制御することができないことである。
【0008】
したがって、本発明の目的は、制御可能な冷却速度で急速冷却段階を可能にする焼結炉および方法を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、誘導コイルと、輻射ヒータと、断熱層と、炉室とを含む歯科用交換部品の熱処理を行う誘導炉に関する。誘導炉は、液体冷却システムを備えた冷却システムを含み、冷却システムが誘導コイルを冷却し、およびそのことで誘導コイルに隣接して配置される輻射ヒータを冷却するので、炉室の内部温度が冷却システムによって制御される
【0010】
誘導炉は、歯科用交換部品を様々な歯科用材料から焼結できるように設計されている。本質的な特徴は炉室内で1600℃の内部温度を達成できることである。さらなる前提条件は、急速加熱および急速冷却を可能にするために、炉室の容積が比較的小さいことである。
【0011】
歯科用交換部品の材料は、酸化物セラミック、特に、二酸化ジルコニウムなどの酸化ジルコニウム、または酸化アルミニウム、およびCoCrMo合金または他のCo系合金などの非貴金属合金であってもよい。半透明の酸化ジルコニウムで作られた歯科用交換部品は、化粧層を含むことができる。歯科用交換部品はまた、淡いまたは暗色の着色剤を混合することができる予め着色された半透明の酸化ジルコニウムから製造することができる。歯科では、歯科用交換部品を製造するための予め色付けされたブロックの色は、いくつかの色A1、A2、A3、A4、B2、B3、C2、C3、D3に細分される(VITAカラークラス参照)。ドイツ連邦共和国特許出願公開第10346465A1号明細書に引用されているVITAカラーキー(Vita Lamin−Shade Guide)の色が広く使用されている。A1、A2およびA3の色は、最も頻繁に使用される淡色着色剤の1つである。他の色はより暗く、歯科用交換部品の製造にあまり使用されない。これらのタイプのブランクは、「inCoris TZI C」または「CEREC Zirconia」の名前で提供されている。
【0012】
製造されるべき歯科用交換部品は、例えば、インプラント用の完全な義歯、歯科用プロテーゼ、骨組構造、フルクラウン、部分クラウン、いくつかの歯全体からなるブリッジまたはインレイであり得る。
【0013】
熱処理は、焼結、結晶化または釉薬塗布、または歯科用交換部品の結晶化と釉薬塗布の組み合わせ、ならびに焼結と釉薬塗布の組み合わせとすることができる。
【0014】
焼結の際、歯科用交換部品は、酸化ジルコニウム及び二酸化アルミニウムのような酸化物セラミック及びCoCr合金のような非貴金属合金から完全に焼結される。加熱段階の中で、歯科用交換部品は、特定の加熱速度で保持温度に加熱される。この保持温度は、1600℃にもなる可能性があり、設定された保持時間(例えば、5分から40分)で維持される。さらなるステップでは、特定の冷却速度で扉を閉じた状態で冷却段階を実施し、冷却速度は30℃/分〜300℃/分の間であり得る。扉が閉じた状態の冷却段階は、設定開放温度に達するまで継続され、開放温度に達して外部からの空気が炉室に流入するとき、炉扉が開かれる。例えば、クラスA1、A2またはA3の淡色着色剤を含む酸化ジルコニウムでは、開放温度は1300℃となり、より暗色着色剤を含む酸化ジルコニウムでは1100℃になり得る。酸化ジルコニウムの開放温度は、この温度で急激に酸化ジルコニウムの拡散開放度が低下するため、700℃に設定することもできる。700℃を超える温度では、酸化ジルコニウムの拡散開放度が非常に高く、酸素などの空気分子が酸化ジルコニウムと反応する可能性がある。この反応により、通常、意図したよりも淡い歯科用交換部品の着色をもたらす。
【0015】
結晶化は、特に二ケイ酸リチウム材料系を用いたガラスセラミックの場合に生じる。
【0016】
すべての金属およびセラミック基材は、焼結後にさらなる焼成プロセスによって化粧層塗布または釉薬塗布をすることができる。同一の炉プロセスで焼成される塗装は、いわゆる表面仕上げとして釉薬と共に実施することもできる。さらに、ガラスセラミックは、同じ焼成プロセスで結晶化、釉薬塗布およびガラス化することができるという利点を有する。
【0017】
交流電流が誘導コイルを通って流れるので、交番磁界が誘導コイルの内部にできる。その結果、誘導コイル内に配置され、炉室の内壁を形成する導電性輻射ヒータが加熱される。これにより、炉室内の内部温度が上昇し、炉室内に位置する歯科用交換部品が加熱される。誘導コイルは液体冷却システムを備え、冷却液体として水を使用することができる。
【0018】
従来の焼結炉と比較してこの誘導炉の1つの利点は、交番磁界を制御することにより、輻射ヒータの温度、したがって炉室の内部温度を、より速い加熱速度またはより速い冷却速度で、より正確かつより迅速に制御することができることである。
【0019】
この誘導炉の別の利点は、誘導コイル、ひいては誘導コイル内に配置された輻射ヒータを液体冷却システムを使用して冷却できることである。したがって炉室内の内部温度は、特に冷却段階の間、液体冷却システムによって制御することができる。冷却段階では、交流電流を完全にスイッチオフすることができ、液体冷却システムを高性能で動作させることができるので、炉室の内部温度を最大限に冷却することができる。
【0020】
誘導コイルは有利には交流電流で動作させることができ、輻射ヒータは誘導コイルの交番磁界によって加熱することができる。
【0021】
誘導コイルの使用により、加熱ワイヤを有する焼結炉と比較して反応時間が増大する。
【0022】
これは、同時に、炉室の内壁を形成する輻射ヒータが、磁気交流電流によって直接加熱されるためである。
【0023】
輻射ヒータは、炉室の内壁を有利に形成することができ、処理される予定の歯科用交換部品は炉室内に配置される。
【0024】
その結果、導電性輻射ヒータは交番磁界によって直接加熱されるので、炉室の内部温度およびその内部温度に伴う歯科用交換部品を所望の温度に素早く加熱することができる。
【0025】
輻射ヒータは有利に円筒形形状に形成することができ、輻射ヒータの直径は最大90mmであり、輻射ヒータの高さは最大で50mmである。
【0026】
炉室の容積が比較的小さいため、誘導炉の熱質量は比較的小さいので、液体冷却システムを使用することによって炉室を従来の焼結炉に比べて非常に迅速に冷却することができる。それにもかかわらず、炉室の容積は、いくつかの歯からなるブリッジのようなさらに大きな歯科用交換部品でさえも焼結できるように寸法決めされている。
【0027】
輻射ヒータは、有利に導電性非酸化物セラミックまたは二珪化モリブデンから製造することができる。
【0028】
輻射ヒータは、炭化ケイ素のような導電性非酸化物セラミック、または二珪化モリブデンから製造することができる。炭化ケイ素の利点は、この材料が導電性であるにもかかわらず、2730℃の溶融温度を有することである。したがって、結果として、必要な内部温度を達成することができる。二珪化モリブデンは、1870℃〜2030℃の間の融点を有する珪化物群からのモリブデンの金属間化合物である。
【0029】
冷却システムは、有利にファンと、ラジエータと、ポンプとを含むことができ、誘導コイルが、冷却液体が流れる中空の金属管から形成され、冷却液が、ポンプによって冷却回路内を移動し、ラジエータが、冷却液を冷却するために、冷気で能動ファンによって冷却される。
【0030】
誘導コイルは、例えば銅合金の中空の金属管から製造することができる。したがって、冷却段階において、冷却システムは、交流電流がスイッチオフされるとき、高性能で動作することができる。能動ファンは冷気をラジエータに向けて吹き出し、ラジエータは次に冷却液、例えば水を冷却する。冷却液は、ポンプによって冷却回路内を移動し、誘導コイルを冷却する。
【0031】
誘導炉は、有利に冷却システムの冷却制御を含むことができ、炉室の内部温度を取得する温度センサが炉室内に設置され、冷却制御は、誘導コイルの温度、したがって炉室内の内部温度が制御されるようにファンおよびポンプを制御する。
【0032】
温度センサは、例えば1700℃以上の高温用に設計された熱電対であることができる。温度センサは、例えば、炉室の上部内壁に配置される。したがって、冷却制御は、コンピュータの助けを借りて実行することができ、内部温度は温度センサによって取得され、ファンおよびポンプは冷却のために制御され、加熱のため誘導コイルに特定の交流電流が印加される。したがって、炉室内の所望の内部温度は、冷却制御の助けを借りて、いつでも、完全に、自動的に達成することができる。
【0033】
断熱層は、有利に輻射ヒータと誘導コイルとの間に配置することができ、断熱層の厚さは最大で5mmである。
【0034】
断熱層は、炉室が加熱されるときの熱損失を防止する。しかしながら、断熱層は、非常に薄く構成されており、誘導コイルが冷却するときに輻射ヒータも同様に冷却されるように配置される。断熱層はまた、銅合金からなる誘導コイルが輻射ヒータの過度の高熱によって損傷されるのを防止する。
【0035】
誘導炉は、有利に炉扉を含むことができ、炉扉は、処理される予定の歯科用交換部品がその上に配置される支持面を有し、支持面は、炉扉が閉じられたときに炉室の下側内面を形成する。
【0036】
したがって、炉扉は、歯科用交換部品がその上に配置される支持面を有する上部扉石を有することができる。焼結炉はさらに、輻射ヒータに対する炉扉の調節を可能にする駆動手段を含むことができる。従って、誘導炉をコンピュータで制御して、炉扉を開閉することができる。したがって、焼結前に、第1ステップにおいて、歯科用交換部品が支持面上に配置される。第2ステップでは、上部扉石が、駆動手段を用いてコンピュータ支援の方法で炉室内に移動するということで、炉扉が閉じられる。焼結プロセスの後、次のステップで、支持面を有する上部扉石を炉室から移動させることによって炉扉を開く。炉室は、例えば、円筒形の形状を有することができ、炉室の側面は、輻射ヒータによって形成され、炉室の上面は断熱層で覆われており、炉室の下側内面は、炉扉の支持面によって実質的に形成されている。輻射ヒータと誘導コイルとの間に配置された断熱層もまた存在する。
【0037】
本発明は、さらに誘導炉を用いて熱処理を行う方法に関し、冷却システムが誘導コイルを冷却し、およびそのことで誘導コイルに隣接して配置されるよ輻射ヒータを冷却するので、炉室の内部温度が冷却システムによって制御される。
【0038】
この方法は、上記誘導炉を用いて熱処理を行うことを可能にする。
【0039】
この方法の1つの利点は、炉室の内部温度を冷却システムを用いて正確に制御できることである。加熱コイルを有する焼結炉と比較して、輻射ヒータの小さい熱質量は、内部温度の急速な冷却を可能にする。
【0040】
このような加熱速度および冷却速度によって、非常に迅速な焼結プロセスが可能になる。対照的に、ヘリカルまたはU字形の抵抗発熱体を有する従来の焼結炉では、炉扉が閉じられたときに20℃/分未満の冷却速度が達成される。したがって、1600℃から800℃までの冷却段階は50分までかかることがある。本発明の誘導炉を用いた本方法では、そのような冷却段階は4分〜15分を要する。特に、大きな容積を有する歯科用交換部品の場合、加熱速度または冷却速度が高すぎると、熱応力が生じ、歯科用交換部品に亀裂が生じる可能性がある。このため、冷却システムを使用して加熱速度または冷却速度を正確に制御することが不可欠である。
【0041】
本方法の別の利点は、冷却段階の間に炉扉を閉じたままにしているので、外部からの新鮮な空気が炉室に入ることができないことである。これにより、外部からの冷気が加熱された歯科用交換部品をあまりにも早く冷却すること(そのことで、望ましくない、例えば緑色の変色を招く可能性がある)が防止される。これは、酸化ジルコニウムが700℃を超える温度で拡散開放度を高め、したがって空気の酸素分子との反応性が増加するためである。
【0042】
炉室の内部温度は、炉扉が閉じられているときの加熱段階において、炉室の内部温度が30℃/分〜300℃/分の間の設定加熱速度で上昇し、炉扉(が閉じられているときの冷却段階において、炉室の内部温度が30℃/分〜200℃/分の間の設定冷却速度で減少するように、有利に冷却システムの冷却制御によって制御することができる。
【0043】
熱処理が有利に焼結であることができ、冷却段階の冷却速度は、焼結される予定の歯科用交換部品の幾何学的パラメータの関数として設定され、単一の歯のクラウンなどの小さな歯科用交換部品の冷却速度は、100〜200℃/分であり、少なくとも3つの歯からなる多部品ブリッジのようなより大きな歯科用交換部品の冷却速度は30〜60℃/分である。
【0044】
焼結される予定の歯科用交換部品の幾何学的パラメータは、例えば、最大横壁厚さ、最大咬合壁厚さ、最大咬合壁厚さと最大横壁厚さとの比、歯科用交換部品の最大横断面、歯科用交換部品の総容積、歯科用交換部品の最大全長および/または歯科用交換部品の最大横断面変化である。これらの幾何学的パラメータは、CAD/CAM法を使用する場合の歯科用交換部品の計画から知られているか、またはコンピュータによって自動的に決定することができる。
【0045】
最大横壁厚さは、例えば、切歯の唇側表面または臼歯の頬側表面上の、歯科用交換部品の横壁厚さを指す。最大咬合壁厚さは、歯科用交換部品の咬合面の壁厚さを指す。歯科用交換部品の最大断面は、歯科用交換部品の歯軸に垂直な断面を指す。
【0046】
したがって、幾何学的パラメータに基づいて、歯科用交換部品内に熱応力を生じさせない適切な冷却速度が決定される。
【0047】
さらなるコンピュータ支援方法では、探索アルゴリズムを用いて計画された歯科用交換部品の容積内で仮想最大可能球形状が決定される。次に、計画された歯科用交換部品の容積におけるこのような最大可能球形状の直径が、焼結プロセスのための適切な温度プロファイルの選択または決定のための追加の幾何学的パラメータとして使用される。例えば、最大可能球形状の直径が4.5mmを超える場合、酸化ジルコニウムの加熱速度および冷却速度は、80℃/分を超えてはならない。これは、加熱速度が速ければ熱応力が発生し、歯科用交換部品にひび割れが生じるからである。例えば、最大可能球形状の直径が3mm未満の場合、加熱速度は200℃/分となり得る。
【0048】
適切な温度プロファイルが、有利に歯科用交換部品の公知の幾何学的パラメータおよび歯科用交換部品の所望の色を用いてコンピュータによって自動的に決定されるか、または適切な温度プロファイルが、データベースからの広範な温度プロファイルから選択され、温度プロファイルは、特定の加熱速度を有する加熱段階と、特定の保持温度を有する保持段階と、炉扉が閉じられているときの特定の冷却速度を有する第1冷却段階と、炉扉が開いているときの第2冷却段階であって、始まりが炉扉の開放温度によって決定される、第2冷却段階とを含み、適切な加熱速度または冷却速度が、歯科用交換部品の既知の幾何学的パラメータを用いて導かれ、冷却システムの冷却制御が、所望の加熱速度または冷却速度を達成するように制御される。
【0049】
従って、適切な温度プロファイルは、歯科用交換部品の既知の幾何学的パラメータおよび所望の色の関数として決定または選択される。加熱速度および冷却速度の大きさは、歯科用交換部品の幾何学的パラメータの関数である。開放温度の高さは、歯科用交換部品の色に影響を与える。酸化ジルコニウムの場合、あまりにも高い開放温度は酸化ジルコニウムが空気の酸素分子と反応することにつながり、したがって、計画したよりも歯科用交換部品の色が淡くなる。
【0050】
従って、所望の冷却速度は、冷却制御を使用することによって達成される。炉室を冷却するために、誘導コイルの交流電流がスイッチオフされ、液体冷却システムのファンおよびポンプがスイッチオンされる。炉室を加熱するために、誘導コイルの交流電流がスイッチオンされ、液体冷却システムのファンおよびポンプがスイッチオフまたは遮断される。
【0051】
炉扉は、有利に設定された開放温度で開放することができ、開放温度が、歯科用交換部品の所望の色の関数として設定される。
【0052】
これにより、開放温度に達するまで、歯科用交換部品は、設定された冷却速度で制御された方法で冷却されて、歯科用交換部品の所望の色を確実に達成することができる。炉扉が開けられた後、歯科用交換部品は、冷気の流入によって非常に急速に冷却される。
【0053】
歯科用交換部品は、有利に着色剤を含む予め着色された酸化ジルコニウムからなることができ、炉扉が設定の開放温度で開き、淡色着色剤を含む酸化ジルコニウムの開放温度が最大で1300℃であり、暗色着色剤を含む酸化ジルコニウムの開放温度が最大で1100℃である。
【0054】
したがって、炉扉は、使用される材料に応じて、設定された開放温度で開放される。
【0055】
炉扉は、有利には、設定された開放温度で自動的に開くことができる。
【0056】
炉扉はコンピュータによって自動的に開かれ、内部温度は温度センサによって測定され、設定された開放温度に達すると直ちに駆動手段が作動して炉扉を開く。
【0057】
開放温度に達したことを示すために、設定された開放温度で音響信号または光信号を有利に提供することができる。
【0058】
したがって、開放温度の到達は、音響または光学的表示手段によって示される。次いで、ユーザは炉扉を手動で開くか、または炉扉の駆動手段を作動させることによって開くことができる。
【0059】
使用される材料は、歯科用交換部品の計画中にユーザが入力することができるので、使用される材料に適した開放温度がコンピュータによって自動的に設定される。
【0060】
酸化ジルコニウムのための開放温度はまた、最大で700℃であり得る。これは、700℃未満の温度では、酸化ジルコニウムの拡散開放度が非常に低く、酸素などの空気分子がもはや酸化ジルコニウムと反応しないためである。その結果、700℃未満では、酸化ジルコニウム製の歯科用交換部品は、望ましくない、例えば緑色の変色が発生することなしに、より高い冷却速度ではるかに迅速に冷却することができる。
【0061】
歯科用交換部品用の焼結材料として使用される着色酸化ジルコニウムは、通常、酸化鉄からなる着色剤を含有する。焼結材料は、焼結助剤として0.05〜0.35容積%の酸化アルミニウムをさらに含むことができる。酸化ジルコニウムの格子の拡散開放度が高い場合、酸化ジルコニウムの格子中の酸化鉄は空気の酸素分子と反応するので、酸化鉄の望ましくない変色が起こり得る。次いで、酸化鉄の容積分率が焼結材料の色を決定する。
【0062】
歯科用交換部品の熱処理は、有利には、焼結、結晶化、グレージング、焼結とグレージングの組み合わせ、または結晶化とグレージングの組み合わせであり、炉扉が閉じているときの加熱段階では、炉室の内部温度は設定された加熱速度で上昇する。
【0063】
その結果、加熱段階中および冷却段階中に、特定の熱処理の所望の内部温度を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明を図表の参照により説明する。図面は以下を示す。
図1図1は、本発明の方法を例示するスケッチである。
図2図2は温度プロファイルの多数の冷却段階である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、本発明の誘導炉1を用いた熱処理を実行するための現在の方法を説明するためのスケッチであり、誘導炉1は、水冷誘導コイル2と、輻射ヒータ3と、断熱層4と、炉室5とを含む。誘導コイル2は、銅合金製の中空管から製造され、誘導加熱コイル2は、輻射ヒータ3の周囲に配置される。誘導コイル2は交流電流で動作するので、誘導コイル2の内部に交番磁界6が形成される。その結果、例えば、非酸化物セラミックまたは二珪化モリブデンからなることができる導電性輻射ヒータ3が加熱される。したがって、炉室5内の内部温度もまた上昇し、この場合は3つの歯からなるブリッジである歯科用交換部品7も同様に加熱される。その際、歯科用交換部品7は、支持面8上の炉室5内に配置される。炉室5の内部温度は、温度センサ9によって取得される。支持面8は、炉扉10の上面であり、上部扉石11と下部扉石12とから構成されている。電気モータのような駆動手段13を使用して、炉扉を矢印14で示すように閉じたり開いたりすることができる。炉扉10が開かれるとき、炉扉10が炉室5に対して下方に移動され、外部から新鮮な空気が流入し、歯科用交換部品7を取り外すことができる。炉扉10が閉じられるとき、炉扉10は駆動手段13によって下部扉石12が輻射ヒータ3と接触するまで上昇し、炉室5の閉鎖容積を形成する。
【0066】
断熱層4は、誘導コイル2と輻射ヒータ3との間に配置されている。断熱層4の厚さは比較的小さく最大で5mmである。これにより、銅合金からなる誘導コイル2が過熱するのを防止する。しかし、同時に断熱層4は薄いので、誘導コイル2の冷却によって輻射ヒータ4も冷却され、炉室5の内部温度が低下する。輻射ヒータ3は円筒形に形成することができ、輻射ヒータ3の内径15は炉室5の直径でもあり、例えば最大で90mmである。炉室の高さ16は、例えば最大50mmであり得る。焼結炉1は、第1ファン18と、第2ファン19と、ラジエータ20と、ウォータポンプ21とを含む液体冷却システムを備えた冷却システム17を有する。熱処理の冷却段階では、誘導コイル2の交流電流がスイッチオフされると、冷却システム17を高性能で動作させることができる。このプロセスにおいて、能動的な第1ファン18は、同様に焼結炉の冷却に寄与する空気流23に沿って第2ファン19に向けて冷気22を吹き付ける。第2ファン19は、冷気をラジエータ20に吹き付け、ラジエータ20は、水などの冷却液体24を冷却する。冷却液体24は、ウォータポンプ21により冷却回路25内を矢印で示すように移動し、誘導コイル2を冷却する。誘導コイル2は、輻射ヒータ3の近傍に配置されているので、誘導コイル2の冷却により輻射ヒータ3も冷却され、炉容積5の内部温度も低下する。したがって、交流電流がスイッチオフされると、誘導コイル2は、炉室5の液体冷却システムとして機能する。
【0067】
歯科用交換部品7の計画は、歯科用交換部品7の3Dモデル27が生成されるコンピュータ26を用いて実行され、3Dモデル27は表示装置28によって表示される。焼結処理のための温度プロファイル29は、計画された歯科用交換部品7の幾何学的パラメータおよび色の関数として特定される。温度プロファイル29は、時間31の関数としての温度30のグラフとして示されている。第1段階32において、炉室5は、前乾燥温度33まで加熱される。第2段階では、第1保持時間の間、前乾燥温度が維持される。第3段階34では、炉室5内の温度が負荷温度、例えば300℃まで上昇する。第4段階では、炉室5に焼結される予定の歯科用交換部品7が装填され、その結果、温度がわずかに低下する。第5段階35では、炉室5内の温度が第2加熱速度で第2保持温度36まで上昇する。第6段階では、誘導コイル2およびファン18、19とウォータポンプ21とを含む液体冷却システム17は、保持温度36が特定の保持時間の間維持されるように制御される。第7段階では、歯科用交換部品7の冷却段階が、設定された冷却速度で、炉扉10が閉じた状態で行われる。特定の開放温度よりも低い第8段階38では、炉扉10が開放され、新鮮な空気が炉室5内に外部から流入し、歯科用交換部品7がより迅速に冷却される。その後、歯科用交換部品は、扉10が開いているときに誘導炉1から取り外される。特に、加熱段階35の間の加熱速度および冷却段階37の間の冷却速度は、計画された3Dモデル27の幾何学的パラメータに依存する。例えば、3Dモデルの歯軸40に平行な最大咬合壁厚さ39が決定される。更なる方法では、3Dモデル27の全容積42内の最大可能球形状41が決定される。この最大可能球形状41の直径は、適切な温度プロファイル29を決定するための重要な幾何学的パラメータである。例えば、最大可能球形状41の直径が4.5mmを超える場合、酸化ジルコニウムの加熱速度および冷却速度は、80℃/分を超えてはならない。焼結前に、歯科用交換部品7は、CAM加工機44によってブランク43から完全に自動的にフライス加工される。ブランク43は、色に関して適切な焼結材料からなる。焼結中の収縮効果は、3Dモデル27を計画する際に考慮される。フライス加工された歯科用交換部品7は、引き続いて、誘導炉1を支援で焼結され、誘導炉1、特に誘導コイル2および冷却システム17は、炉室5の内部温度が計画された温度プロファイル29に従って時間の関数として変更されるように、コンピュータ26によって制御される。これにより、歯科用交換部品の焼結中に熱応力によって引き起こされる望ましくない変色または亀裂が確実に防止される。
【0068】
図2は、温度プロファイルのいくつかの冷却段階を示し、温度50が時間51の関数としてプロットされている。第1冷却段階52は、ヘリカルまたはU字形の抵抗発熱体で操作される歯科用交換部品のための従来の焼結炉を指す。したがって、炉扉が閉鎖されると、そのような従来の焼結炉の焼成温度1600℃から800℃までの冷却段階は45分以上持続する。この結果、20℃/分未満の冷却速度が得られる。
【0069】
これと比較して、破線で示されている炉扉が閉じられた第2冷却段階53は約4分しかかからず、冷却速度は約200℃/分である。この第2冷却段階53は、薄いインレイのような非常に小さな歯科用交換部品に特に適している。
【0070】
第3冷却段階54は一点鎖線で示され、図1の誘導炉1の炉扉10が閉じられた冷却段階55と、炉扉10が開いた冷却段階56とを含む。設定された開放温度57において、焼結炉1の炉扉10は、図1の駆動手段13によって自動的に開かれる。この場合、開放温度57は1200℃である。この開放温度は、淡色着色剤、すなわち、色クラスA1、A2またはA3を有する酸化ジルコニウムに特に適している。望ましくない変色を防止するために、約1000℃のより低い開放温度は、暗色着色剤を含む酸化ジルコニウムにより適している。炉扉10が閉じられた冷却段階55は、約30℃/分の冷却速度を有する。炉扉10が開いた冷却段階56は、約200℃/分〜300℃/分のより高い冷却速度を有する。第3冷却段階54は、3部品ブリッジなどのより大きな歯科用交換部品に適している。これは、より低い冷却速度が、歯科用交換部品7内の望ましくない熱応力および結果として生じる亀裂を防止するからである。
【0071】
従来の焼結炉の冷却段階52と比較して、小さな歯科用交換部品の冷却段階53の持続時間は4分に短縮され、大きな歯科用交換部品の冷却段階54の持続時間は12分に短縮される、ことが明らかにわかると言える。したがって、誘導炉1の使用は、焼結プロセスの全期間を短縮する。
【符号の説明】
【0072】
1 誘導炉、焼結炉
2 誘導コイル
3 輻射ヒータ
4 断熱層
5 炉室、炉容積
6 交番フィールド
7 歯牙用交換部品
8 支持面
9 温度センサ
10 炉扉
11 上部扉石
12 下扉石
13 駆動手段
14 矢印
15 内径
16 高さ
17 冷却システム、液体冷却システム
18 第1ファン
19 第2ファン
20 ラジエータ
21 ウォータポンプ
22 冷気
23 空気流
24 冷却液
25 冷却回路
26 コンピュータ
27 3Dモデル
28 表示装置
29 温度プロファイル
30 温度
31 時間
32 第1段階
33 前乾燥温度
34 第3段階
35 第5段階
35 加熱段階
36 保持温度
37 冷却段階
38 第8段階
39 最大咬合壁厚さ
40 歯軸
41 最大可能球形状
42 容積
43 ブランク
44 CAM加工機
50 温度
51 時間
52 第1冷却段階
53 第2冷却段階
54 第3冷却段階
55 炉扉が閉じられた冷却段階
56 炉扉が開いた冷却段階
57 開放温度
図1
図2