特許第6843894号(P6843894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843894
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】液中プラズマ装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20210308BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20210308BHJP
   C02F 1/48 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   H05H1/24
   B01J19/08 E
   C02F1/48 B
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-566156(P2018-566156)
(86)(22)【出願日】2018年2月5日
(86)【国際出願番号】JP2018003831
(87)【国際公開番号】WO2018143458
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2019年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2017-18578(P2017-18578)
(32)【優先日】2017年2月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229047
【氏名又は名称】日本スピンドル製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大西 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】浅見 圭一
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−519503(JP,A)
【文献】 特開2006−021086(JP,A)
【文献】 特開2010−022991(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105461006(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第103896387(CN,A)
【文献】 特開2015−003297(JP,A)
【文献】 特開2011−041914(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/138773(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0139853(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105541060(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/14
B01J 19/08
C02F 1/48
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が内部を流れる管状流路部と、前記管状流路部に設けられたキャビテーション発生部および電圧印加部とを有する液中プラズマ装置であって、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部の内部の前記液体にキャビテーションを発生させ、
前記電圧印加部は、前記管状流路部に配置され、キャビテーションが発生した前記液体に電圧を印加してプラズマを発生させ、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部において他の部位よりも内径が小さい絞り部を有して構成され、
前記絞り部は、
前記絞り部の最狭部位の上流側に配置された傾斜面である上流側傾斜面と、
前記絞り部の最狭部位の下流側に配置された傾斜面である下流側傾斜面とを有して構成され、前記下流側傾斜面の形状が正弦関数で表される、液中プラズマ装置。
【請求項2】
液体が内部を流れる管状流路部と、前記管状流路部に設けられたキャビテーション発生部および電圧印加部とを有する液中プラズマ装置であって、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部の内部の前記液体にキャビテーションを発生させ、
前記電圧印加部は、前記管状流路部に配置され、キャビテーションが発生した前記液体に電圧を印加してプラズマを発生させ、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部において他の部位よりも内径が小さい絞り部を有して構成され、
前記絞り部は、
前記絞り部の最狭部位の上流側に配置された傾斜面である上流側傾斜面と、
前記絞り部の最狭部位の下流側に配置された傾斜面である下流側傾斜面とを有して構成され、
前記キャビテーション発生部は、直列に隣接して配置された少なくとも2つの絞り部を有し、上流側に配置された上流絞り部において前記電圧印加部が前記液体に印加する電圧は、前記上流絞り部の下流側に配置された下流絞り部において前記電圧印加部が前記液体に印加する電圧よりも高い、液中プラズマ装置。
【請求項3】
液体が内部を流れる管状流路部と、前記管状流路部に設けられたキャビテーション発生部および電圧印加部とを有する液中プラズマ装置であって、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部の内部の前記液体にキャビテーションを発生させ、
前記電圧印加部は、前記管状流路部に配置され、キャビテーションが発生した前記液体に電圧を印加してプラズマを発生させ、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部において他の部位よりも内径が小さい絞り部を有して構成され、
前記絞り部は、
前記絞り部の最狭部位の上流側に配置された傾斜面である上流側傾斜面と、
前記絞り部の最狭部位の下流側に配置された傾斜面である下流側傾斜面とを有して構成され、
前記キャビテーション発生部は、直列に隣接して配置された少なくとも2つの絞り部を有し、上流側に配置された上流絞り部の内径は、前記上流絞り部の下流側に配置された下流絞り部の内径よりも大きい、液中プラズマ装置。
【請求項4】
前記下流側傾斜面の形状が正弦関数で表される請求項2又は3に記載の液中プラズマ装置。
【請求項5】
前記キャビテーション発生部は、直列に隣接して配置された少なくとも2つの絞り部を有し、上流側に配置された上流絞り部において前記電圧印加部が前記液体に印加する電圧は、前記上流絞り部の下流側に配置された下流絞り部において前記電圧印加部が前記液体に印加する電圧よりも高い、請求項1又は3に記載の液中プラズマ装置。
【請求項6】
前記キャビテーション発生部は、直列に隣接して配置された少なくとも2つの絞り部を有し、上流側に配置された上流絞り部の内径は、前記上流絞り部の下流側に配置された下流絞り部の内径よりも大きい、請求項1又は2に記載の液中プラズマ装置。
【請求項7】
前記上流側傾斜面と前記下流側傾斜面とは、前記最狭部位に関して対称な形状である請求項1から6のいずれか1項に記載の液中プラズマ装置。
【請求項8】
前記下流側傾斜面が、前記液体の流れの剥離が生じない形状とされている請求項1から7のいずれか1項に記載の液中プラズマ装置。
【請求項9】
複数の前記管状流路部が並列に配置される請求項1から8のいずれか1項に記載の液中プラズマ装置。
【請求項10】
遠心式の吸引ポンプ機構部を有し、前記管状流路部から流出した前記液体が前記吸引ポンプ機構部へ供給され、前記吸引ポンプ機構部から吐出された前記液体が前記管状流路部へ供給される請求項1から8のいずれか1項に記載の液中プラズマ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の中にプラズマを発生させる液中プラズマ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の中にプラズマを発生させて、電気化学的処理を施す装置が知られている。特許文献1の装置では、長方形の箱形容器の処理槽に被処理液が満たされ、処理槽の内部に導電性の板状体、凸板および電極が配置される。板状体、凸板および電極の間に高電圧を印加すると、プラズマが発生し、被処理液が電気化学的に浄化殺菌処理される。
【0003】
特許文献2の装置では、プラズマを発生させるための電圧を低下させるため、管形電極から気体を処理槽内に注入して、気泡を形成する。これにより電極間は被処理液と共に気体が介在した状態となる。これにより、電極間に印加する高電圧パルスは、低い電圧であってもプラズマを発生し、被処理液が電気化学的に処理される。
【0004】
特許文献3、4および5の装置では、通水管路の内径を縮小させたノズルが、被処理水を加圧送給する加圧部の後段に設けられている。そしてノズルの後段(下流側)に対電極が配置されている。そして被処理水を一定の圧力で送給し微小キャビテーション気泡を発生させ、対電極間に高電圧を印加して放電プラズマを発生させることにより、被処理水中に含有する有機物等の被処理物質の分解や合成等の処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−136484号公報
【特許文献2】特開2000−93967号公報
【特許文献3】特許第4813443号明細書
【特許文献4】特許第5464692号明細書
【特許文献5】特許第4453052号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2の装置は、処理槽に被処理液を満たして処理を行う、いわゆるバッチ式の装置であるため、処理効率(時間当たりの処理量)を大きくすることが難しい。また特許文献2の装置では、気体を注入するための装置を必要とし、装置構成が複雑になる問題がある。
【0007】
そして特許文献3、4および5の装置では、図6に示すように、ノズル(3b)の下流側の端部は、被処理水の流れる方向に直交する平面として形成され、そのため被処理水の流路の直径はノズルの下流側で不連続に変化して、急激に拡大している。このような形状の流路では、ノズルの付近や下流側で乱流や剥離流が発生する。そうすると、キャビテーションの気泡が発生しにくく、また気泡が均一になり難いため、被処理水の流速をかなり大きくする必要があり、またプラズマも発生しにくくなるので、被処理水に対するプラズマ処理の効率が低下し、またプラズマ処理が十分に行われない可能性がある。
【0008】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理効率を高めつつ装置構成を簡便化した液中プラズマ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための液中プラズマ装置の特徴構成は、
液体が内部を流れる管状流路部と、前記管状流路部に設けられたキャビテーション発生部および電圧印加部とを有する液中プラズマ装置であって、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部の内部の前記液体にキャビテーションを発生させ、
前記電圧印加部は、前記管状流路部に配置され、キャビテーションが発生した前記液体に電圧を印加してプラズマを発生させ、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部において他の部位よりも内径が小さい絞り部を有して構成され、
前記絞り部は、
前記絞り部の最狭部位の上流側に配置された傾斜面である上流側傾斜面と、
前記絞り部の最狭部位の下流側に配置された傾斜面である下流側傾斜面とを有して構成され、前記下流側傾斜面の形状が正弦関数で表される点にある。
【0010】
上記の特徴構成によれば、管状流路部を流れる液体にプラズマを発生させるから、上述の処理槽方式に比べて液体の処理効率を飛躍的に高めることが可能となる。そして管状流路部に設けられたキャビテーション発生部は、管状流路部の内部の液体にキャビテーションを発生させ、電圧印加部は、管状流路部に配置され、キャビテーションが発生した液体に電圧を印加してプラズマを発生させるから、装置構成を簡便化しつつ、キャビテーションにより生じた気体により比較的低い電圧でプラズマを発生させ、液体に対する処理を行うことが可能となる。なお上述の液中プラズマ装置は、液体の浄化殺菌に限られず、液体への粉体等の分散促進など、様々な用途に用いることができる。また、金、白金、銅などの金属ナノ粒子の合成に用いることができる。
【0011】
そしてキャビテーション発生部は、管状流路部において他の部位よりも内径が小さい絞り部を有して構成され、絞り部は、絞り部の最狭部位の上流側に配置された傾斜面である上流側傾斜面と、絞り部の最狭部位の下流側に配置された傾斜面である下流側傾斜面とを有して構成されるから、絞り部の内径が最狭部位の上流側から下流側にかけて連続的に減少・増加するので、乱流や剥離流の発生が抑制され、キャビテーションの気泡が発生し易くなり、発生する気泡も均一になり易い。すなわち上記の特徴構成によれば、より低い流量(流速)で均一なキャビテーション気泡が発生し、液体に対するプラズマ処理をより適切に行うことができる。
また、上記の特徴構成によれば、絞り部における液体の流れがよりスムースになり、乱流や剥離流の発生が抑制される。
上記目的を達成するための液中プラズマ装置の特徴構成は、
液体が内部を流れる管状流路部と、前記管状流路部に設けられたキャビテーション発生部および電圧印加部とを有する液中プラズマ装置であって、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部の内部の前記液体にキャビテーションを発生させ、
前記電圧印加部は、前記管状流路部に配置され、キャビテーションが発生した前記液体に電圧を印加してプラズマを発生させ、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部において他の部位よりも内径が小さい絞り部を有して構成され、
前記絞り部は、
前記絞り部の最狭部位の上流側に配置された傾斜面である上流側傾斜面と、
前記絞り部の最狭部位の下流側に配置された傾斜面である下流側傾斜面とを有して構成され、
前記キャビテーション発生部は、直列に隣接して配置された少なくとも2つの絞り部を有し、上流側に配置された上流絞り部において前記電圧印加部が前記液体に印加する電圧は、前記上流絞り部の下流側に配置された下流絞り部において前記電圧印加部が前記液体に印加する電圧よりも高い点にある。
上記の特徴構成によれば、管状流路部を流れる液体にプラズマを発生させるから、上述の処理槽方式に比べて液体の処理効率を飛躍的に高めることが可能となる。そして管状流路部に設けられたキャビテーション発生部は、管状流路部の内部の液体にキャビテーションを発生させ、電圧印加部は、管状流路部に配置され、キャビテーションが発生した液体に電圧を印加してプラズマを発生させるから、装置構成を簡便化しつつ、キャビテーションにより生じた気体により比較的低い電圧でプラズマを発生させ、液体に対する処理を行うことが可能となる。なお上述の液中プラズマ装置は、液体の浄化殺菌に限られず、液体への粉体等の分散促進など、様々な用途に用いることができる。また、金、白金、銅などの金属ナノ粒子の合成に用いることができる。
そしてキャビテーション発生部は、管状流路部において他の部位よりも内径が小さい絞り部を有して構成され、絞り部は、絞り部の最狭部位の上流側に配置された傾斜面である上流側傾斜面と、絞り部の最狭部位の下流側に配置された傾斜面である下流側傾斜面とを有して構成されるから、絞り部の内径が最狭部位の上流側から下流側にかけて連続的に減少・増加するので、乱流や剥離流の発生が抑制され、キャビテーションの気泡が発生し易くなり、発生する気泡も均一になり易い。すなわち上記の特徴構成によれば、より低い流量(流速)で均一なキャビテーション気泡が発生し、液体に対するプラズマ処理をより適切に行うことができる。
また、上記の特徴構成によれば、上流絞り部の印加電圧が下流絞り部の印加電圧より高いことにより、上流側でより多くのプラズマを発生させて、プラズマによる処理を効率的に行うことができる。
上記目的を達成するための液中プラズマ装置の特徴構成は、
液体が内部を流れる管状流路部と、前記管状流路部に設けられたキャビテーション発生部および電圧印加部とを有する液中プラズマ装置であって、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部の内部の前記液体にキャビテーションを発生させ、
前記電圧印加部は、前記管状流路部に配置され、キャビテーションが発生した前記液体に電圧を印加してプラズマを発生させ、
前記キャビテーション発生部は、前記管状流路部において他の部位よりも内径が小さい絞り部を有して構成され、
前記絞り部は、
前記絞り部の最狭部位の上流側に配置された傾斜面である上流側傾斜面と、
前記絞り部の最狭部位の下流側に配置された傾斜面である下流側傾斜面とを有して構成され、
前記キャビテーション発生部は、直列に隣接して配置された少なくとも2つの絞り部を有し、上流側に配置された上流絞り部の内径は、前記上流絞り部の下流側に配置された下流絞り部の内径よりも大きい点にある。
上記の特徴構成によれば、管状流路部を流れる液体にプラズマを発生させるから、上述の処理槽方式に比べて液体の処理効率を飛躍的に高めることが可能となる。そして管状流路部に設けられたキャビテーション発生部は、管状流路部の内部の液体にキャビテーションを発生させ、電圧印加部は、管状流路部に配置され、キャビテーションが発生した液体に電圧を印加してプラズマを発生させるから、装置構成を簡便化しつつ、キャビテーションにより生じた気体により比較的低い電圧でプラズマを発生させ、液体に対する処理を行うことが可能となる。なお上述の液中プラズマ装置は、液体の浄化殺菌に限られず、液体への粉体等の分散促進など、様々な用途に用いることができる。また、金、白金、銅などの金属ナノ粒子の合成に用いることができる。
そしてキャビテーション発生部は、管状流路部において他の部位よりも内径が小さい絞り部を有して構成され、絞り部は、絞り部の最狭部位の上流側に配置された傾斜面である上流側傾斜面と、絞り部の最狭部位の下流側に配置された傾斜面である下流側傾斜面とを有して構成されるから、絞り部の内径が最狭部位の上流側から下流側にかけて連続的に減少・増加するので、乱流や剥離流の発生が抑制され、キャビテーションの気泡が発生し易くなり、発生する気泡も均一になり易い。すなわち上記の特徴構成によれば、より低い流量(流速)で均一なキャビテーション気泡が発生し、液体に対するプラズマ処理をより適切に行うことができる。
また、上記の特徴構成によれば、上流絞り部の内径が下流絞り部の内径よりも大きいことにより、下流側でより多くの気泡を発生させて、プラズマによる処理を効率的に行うことができる。
【0012】
本発明に係る液中プラズマ装置の別の特徴構成は、前記下流側傾斜面の形状が正弦関数で表される点にある。
【0013】
上記の特徴構成によれば、絞り部における液体の流れがよりスムースになり、乱流や剥離流の発生が抑制され好適である。
【0014】
本発明に係る液中プラズマ装置の別の特徴構成は、前記上流側傾斜面と前記下流側傾斜面とは、前記最狭部位に関して対称な形状である点にある。
【0015】
上記の特徴構成によれば、絞り部における液体の流れがよりスムースになり、乱流や剥離流の発生が抑制され好適である。
【0016】
本発明に係る液中プラズマ装置の別の特徴構成は、前記下流側傾斜面が、前記液体の流れの剥離が生じない形状とされている点にある。
【0017】
絞り部において剥離流が生じると、液体の圧力の低下が抑制されて、キャビテーションが発生しにくくなる。上記の特徴構成によれば、絞り部においてキャビテーションが容易に発生し、液体に対するプラズマ処理をより適切に行うことができる。
【0018】
本発明に係る液中プラズマ装置の別の特徴構成は、前記キャビテーション発生部は、直列に隣接して配置された少なくとも2つの絞り部を有し、上流側に配置された上流絞り部において前記電圧印加部が前記液体に印加する電圧は、前記上流絞り部の下流側に配置された下流絞り部において前記電圧印加部が前記液体に印加する電圧よりも高い点にある。
【0019】
上記の特徴構成によれば、上流絞り部の印加電圧が下流絞り部の印加電圧より高いことにより、上流側でより多くのプラズマを発生させて、プラズマによる処理を効率的に行うことができ好適である。
【0020】
本発明に係る液中プラズマ装置の別の特徴構成は、前記キャビテーション発生部は、直列に隣接して配置された少なくとも2つの絞り部を有し、上流側に配置された上流絞り部の内径は、前記上流絞り部の下流側に配置された下流絞り部の内径よりも大きい点にある。
【0021】
上記の特徴構成によれば、上流絞り部の内径が下流絞り部の内径よりも大きいことにより、下流側でより多くの気泡を発生させて、プラズマによる処理を効率的に行うことができ好適である。
【0022】
本発明に係る液中プラズマ装置の別の特徴構成は、複数の前記管状流路部が並列に配置される点にある。
【0023】
上記の特徴構成によれば、複数の管状流路部が並列に配置されることにより、液中プラズマ装置の処理効率(時間当たりの処理量)を更に高めることができ好適である。
【0024】
本発明は、遠心式の吸引ポンプ機構部を有し、前記管状流路部から流出した前記液体が前記吸引ポンプ機構部へ供給され、前記吸引ポンプ機構部から吐出された前記液体が前記状流路部へ供給される形態の液中プラズマ装置に好適に適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】は、液中プラズマ装置の構成を示す概略図である。
図2】は、管状流路部の形状を示す正面図および側面図である。
図3】は、円錐ディフューザの内壁の形状を示す概略図である。
図4】は、円錐ディフューザのディフューザ線図である。
図5】は、管状流路部の内壁の形状を示す概略図である。
図6】は、従来装置の構造を示す概略図である。
図7】は、従来装置での液体の流れのシミュレーション結果である。
図8】は、従来装置での液体の流れのシミュレーション結果である。
図9】は、管状流路部での液体の流れのシミュレーション結果である。
図10】は、管状流路部での液体の流れのシミュレーション結果である。
図11】は、従来装置での液体の圧力のシミュレーション結果のグラフである。
図12】は、管状流路部での液体の圧力のシミュレーション結果のグラフである。
図13】は、絞り部でのキャビテーション発生状態の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下図面を参照しながら、本実施形態に係る液中プラズマ装置について説明する。図1に示すように、液中プラズマ装置1は、管状流路部10、キャビテーション発生部A、電圧印加部Bおよび吸引ポンプ機構部40、管状部50、管状部60およびタンクTを有して構成される。
【0027】
管状流路部10の出口と吸引ポンプ機構部40の吸入口とが、管状部50で接続されている。吸引ポンプ機構部40の吐出口に管状部60が接続されている。管状部60の出口はタンクTの上方に配置されている。そしてタンクTと管状流路部10とが接続されている。以上の構成により、タンクTの液体が、吸引ポンプ機構部40に吸引されて管状流路部10を通流し、管状部50、吸引ポンプ機構部40および管状部60を通ってタンクTに戻される。すなわち、タンクTと管状流路部10とを液体が循環する循環流路が形成されている。
【0028】
キャビテーション発生部Aは、管状流路部10の内部の液体にキャビテーションを発生させる。電圧印加部Bは、管状流路部10に配置され、キャビテーションが発生した液体に電圧を印加してプラズマを発生させる。
【0029】
以上のように構成された液中プラズマ装置1によれば、管状流路部10を流れる液体に対してプラズマによる処理を施すことができる。例えば、液体に対して浄化殺菌処理を施すことができる。例えば、液体を分散質と液相分散媒の混合流体として、分散質の液相分散媒への分散を補助することができる。これは、分散困難な分散質であっても、プラズマ処理によって表面にOH基やH基を生成して、この表面改質により分散を補助するものである。具体的には、リチウムイオン電池の材料や、樹脂補強材へのカーボン材料の分散、特にカーボンナノチューブやカーボンブラック等の分散が困難な材料の改質、化粧品における酸化チタン等の無機材料の高濃度分散等に適用可能である。
【0030】
管状流路部10は、管状の部材であって、第1絞り部21、第2絞り部22、第3絞り部23、および第4絞り部24を有して構成される。本実施形態では、管状流路部10の断面は長方形に形成されている。具体的には管状流路部10は、上壁面10aと、下壁面10bと、一対の側壁面10cおよび10d(図2参照)とを有して構成される。一対の側壁面の間の距離は一定である。上壁面10aおよび下壁面10bは、図1に示すように、連続的に高さが変化する波形形状に形成されている。つまり管状流路部10の断面の長方形は、幅方向(図1の紙面に垂直な方向)の大きさは一定であり、高さ方向(液体の流れる方向に垂直な方向で、下壁面10bから上壁面10aへ向かう方向)の大きさが連続的かつ周期的に変化する。
【0031】
より詳しくは上壁面10aおよび下壁面10bは、正弦波の形状に形成されている。そして上壁面10aの谷の頂点と、下壁面10bの山の頂点とが、液体の流れる方向に関して一致する位置に配置されている。これにより、管状流路部10において、他の部位よりも内径が小さい絞り部が形成されている。本実施形態では、液体の流れる方向に沿って、第1絞り部21、第2絞り部22、第3絞り部23、および第4絞り部の4つの絞り部が形成されている。
【0032】
このように構成された管状流路部10に液体が流れると、管状流路部10の断面積(すなわち断面の長方形の面積)が周期的に変化することにより、断面積の小さな部位で液体の流速が大きくなり、液体の圧力が低下する。本実施形態では、管状流路部10の4つの絞り部にて液体の圧力が低下することになる。そして低下した液体の圧力が、液体の飽和蒸気圧を下回った場合に、液体が減圧沸騰し、液体にキャビテーションが発生することになる。つまり本実施形態では、キャビテーション発生部Aが、4つの絞り部(第1絞り部21、第2絞り部22、第3絞り部23、および第4絞り部24)を有して構成される。
【0033】
本実施形態では、第1絞り部21の内径L1、第2絞り部22の内径L2、第3絞り部23の内径L3、および第4絞り部24の内径L4は、以下の関係にある。
L1>L2>L3>L4
つまり管状流路部10の複数の絞り部は、その内径が、液体の流れる方向に沿って徐々に減少するように形成されている。換言すれば、上流側に配置された上流絞り部(例えば第1絞り部21)の内径(L1)は、上流絞り部の下流側に配置された下流絞り部(例えば第2絞り部22)の内径(L2)よりも大きい。
【0034】
本実施形態では電圧印加部Bは、第1電極部31、第2電極部32、第3電極部33、第4電極部34を有して構成される。これら4つの電極部はそれぞれ、図1に示すように、管状流路部10の上壁面10aと下壁面10bとに配置された一対の電極により構成される。そして4つの電極部はそれぞれ、制御装置35に接続され、制御装置35から高電圧が供給されて、上壁面10aの電極と下壁面10bの電極との間に高電圧を印加する。これにより、管状流路部10を流れる液体にプラズマが発生する。
【0035】
第1電極部31の電極は、第1絞り部21に配置される。第2電極部32の電極は、第2絞り部22に配置される。第3電極部33の電極は、第3絞り部23に配置される。第4電極部34の電極は、第4絞り部24に配置される。詳しくは、各絞り部の各電極は、管状流路部10の内径が最も小さくなる部位、すなわち上壁面10aと下壁面10bとが最も近接する部位(最狭部位D)の、僅かに上流側に配置される。後述の通り、本実施形態の管状流路部10によれば、キャビテーション発生部Aにおいて最狭部位Dの下流側だけでなく上流側でもキャビテーションの気泡が発生する。各電極を最狭部位Dの上流側に配置することで、最狭部位Dの上流側で発生した気泡でプラズマが発生し、液体へのプラズマ処理がより好適に行われる。
【0036】
本実施形態では、第1絞り部21にて第1電極部31が液体に印可する電圧V1、第2絞り部22にて第1電極部31が液体に印可する電圧V2、第3絞り部23にて第3電極部33が液体に印可する電圧V3、第4絞り部24にて第4電極部34が液体に印可する電圧V4は、以下の関係にある。
V1>V2>V3>V4
つまり管状流路部10の内部の液体に印可される電圧は、液体の流れる方向に沿って徐々に減少するように制御される。換言すれば、上流側に配置された上流絞り部(例えば第1絞り部21)において電圧印加部が液体に印加する電圧(V1)は、上流絞り部の下流側に配置された下流絞り部(例えば第2絞り部22)において電圧印加部が液体に印加する電圧(V2)よりも高い。
【0037】
吸引ポンプ機構部40は、上流側から液体を吸引して、下流側へ送り出す機構である。吸引ポンプ機構部40としては、液体を送出可能なポンプであれば好適に使用可能である。また、装置内部で回転翼が回転して粉体と流体を吸引し、内部で粉体の分散を行って排出する分散液作成装置も好適に使用可能である。詳しくは分散液作成装置が、回転翼の翼室の内部における移動により、複数の回転翼とステータと外周壁部とにより区画された複数の流体空間が回転移動して、導入室から透孔を通じて流体空間に混合流体を吸引し、流体空間が吐出口と連通した際に流体空間から吐出口へ混合流体を排出する形態であってもよい。
【0038】
以下、図2〜5を参照しながら、管状流路部10の形状について更に詳しく説明する。
【0039】
本実施形態の管状流路部10において、各絞り部は、絞り部の最狭部位Dの上流側に配置された傾斜面である上流側傾斜面Eと、絞り部の最狭部位Dの下流側に配置された傾斜面である下流側傾斜面Fとを有して構成される(図2では、第3絞り部23と第4絞り部24とが示されている)。そして上述の通り本実施形態では、上流側傾斜面Eおよび下流側傾斜面Fの形状が、正弦関数で表される形状となっている。また、上流側傾斜面Eと下流側傾斜面Fとは、最狭部位Dに関して対称な形状である。
【0040】
特に、管状流路部10の下流側傾斜面Fが、液体の流れの剥離が生じない形状とされている。剥離が生じない形状は、例えば次の様にして決定することができる。
【0041】
図3に示す一般的な円錐ディフューザについて、流れの内壁からの剥離が生じない条件は、図4に示すディフューザ線図を用いて求めることができる。図4のディフューザ線図において、Cp**線より右側の領域では、剥離が生じず流れが安定する。すなわち、Cp**線より右側の領域に位置するように2l3/l2(以下、nとおく。)およびS1/S2の値(断面積の面積比)を決定すれば、剥離が生じない。この時のディフューザ内壁の傾きθ正接は、図3から次の様に表すことができる。
【数1】
上掲の議論を適用して、下流側傾斜面Fの傾きが数1のtanθ以下であれば、混合液MIの流れの剥離は生じないと考えられる。
【0042】
図5に示す下流側傾斜面Fの形状において、傾きが数1のtanθ以下となる条件は、次の様に求められる。下流側傾斜面Fの内壁の形状を表す関数y(x)を、a、bを定数として次の様におく。
【数2】
この関数の最大の傾きはx=π/2bで発生するから、その傾きが数1で表される角度以内となればよい。すなわち、以下の関係が成り立てばよい。
【数3】
数2、数3より、bが以下のように求まる。
【数4】
したがって、下流側傾斜面Fの形状を表す関数y(x)は次の様に表すことができる。
【数5】
以上の様にして、2l3/l2およびS1/S2の値を適切に決定し、それに基づいて下流側傾斜面Fの形状を決定することで、下流側傾斜面Fを、内壁からの流れの剥離が生じない形状とすることができる。
【0043】
<殺菌性確認>
上述の液中プラズマ装置1を用いて、水中の大腸菌を死滅させる実験を行った。実験装置である液中プラズマ装置1の詳細と、実験条件を以下に記す。
管状流路部10の形状
絞り部の高さ(L1〜L4):5mm
絞り部の幅 :15mm
内径最大部の高さ :15mm
長さ :720mm
吸引ポンプ機構部40の運転条件
液体の流速 :800m/分以上
電圧印加部Bの運転条件
印加電圧 :±4.0kV
パルス幅 :1.5μs
パルス周波数 :60kHz
【0044】
実験開始前の試験液0.01mlを寒天培地に滴下して培養したところ、大腸菌のコロニーが多数発生した。上記の実験条件にて5分間、液中プラズマ装置1を運転し、試験液に対してプラズマ処理を行った。運転中、管状流路部10にてプラズマ生成を示す発光が確認された。運転後の試験液0.01mlに対して同条件で培養を試みたが、大腸菌のコロニー発生は観測されなかった。以上の実験により、液中プラズマ装置1により大腸菌の殺菌が可能であることが確認された。
【0045】
<プラズマ発光強度測定>
吸引ポンプ機構部40の回転数を変化させて、管状流路部10でのプラズマ生成による発光の強度を測定した。実験条件を以下に示す。結果を表1に示す。
電圧印加部Bの運転条件
印加電圧 :±4kV
パルス幅 :0.8μs
電極材質 :タングステン
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示すように、吸引ポンプ機構部40の回転数の増加に伴って、管状流路部10の発光の強度が増加した。これは、吸引ポンプ機構部40の回転数が増加すると、管状流路部10における液体の流速が増加して、キャビテーションによる気泡の発生量が増加したためと考えられる。
【0048】
<シミュレーションによる従来技術との比較>
本実施形態に係る管状流路部10と、従来装置(図6)との間で、キャビテーションの発生について比較するため、流速および圧力のシミュレーションを行った。
【0049】
図7は、従来装置の流速1500L/hでの流速のシミュレーション結果である。図の下方から上向きに流入する液体は、内径が小さくなる部位(ノズル)で流速が増加し、ノズルの下流側においても、管の中央部は流速が大きくなっている。しかし、ノズルの下流側の内径が大きい部位において、管の外壁の近傍では、流速が大きく低下する上に、図の下向きの流れ(逆流)が生じている。図8(従来装置、流速2000L/h)でも、同様の状況である。この結果は、従来装置の形状では、ノズルの下流側で乱流や剥離流が発生し易いことを示している。
図11は、従来装置の圧力シミュレーション結果である。縦軸は、管の中心部での液体の圧力を示す。横軸は液体の流れ方向の位置であって、内径が最も小さくなる部位(ノズルの下流側の端部)を0とし、上流側を(−)、下流側を(+)として示す。圧力の最小値は、流速1500L/hで約−0.03Pa、流速2000L/hで約−0.05Paとなっている。
【0050】
図9は、本実施形態に係る管状流路部10での流速1500L/hでの流速のシミュレーション結果である。図7および8の従来装置と同様に、図の下方から上向きに流入する液体は、最狭部位Dに近づくにつれて流速が増加する。しかし従来装置と異なり、最狭部位Dの下流側では、流路の全体(断面方向)で均一な流速となっている。そして、下流の最広部位Cに近づくにつれて、全体的に徐々に流速が減少する。従来装置で見られたような、管の外壁の近傍での逆流や、流速の大幅な減少は、本実施形態に係る管状流路部10では発生していない。図10(管状流路部10、流速2000L/h)でも、同様の状況である。この結果は、本実施形態に係る管状流路部10では、従来装置と異なり、乱流や剥離流が発生し難いことを示している。
【0051】
図12は、本実施形態に係る管状流路部10の圧力シミュレーション結果である。圧力の最小値は、流速1500L/hで約−0.09Pa、流速2000L/hで約−0.16Paとなっており、従来装置に比べて圧力が大きく低下し、キャビテーションが発生し易くなっている。また、従来装置では位置0mmの直前で圧力が低下しているのに対し、管状流路部10では、位置−20mm付近から圧力が徐々に低下し、さらに圧力の低下量も従来装置に比べて大きい。この結果は、本実施形態に係る管状流路部10では、最狭部位Dの手前からキャビテーションが発生し得ることを示している。
【0052】
<キャビテーション気泡発生確認>
上述の液中プラズマ装置1にて、キャビテーション発生部A(絞り部)におけるキャビテーションの気泡の発生確認を行った。管状流路部10に流速3.0m/sec以上で水を流した状態での、キャビテーション発生部Aの写真を図13に示す。
【0053】
図13の左側が上流側であり、右側が下流側である。中央の最狭部位Dから下流側の最広部位Cにかけて、多数の気泡(黒い部位)が発生している。気泡は、最狭部位Dの下流側だけでなく、上流側でも発生している。この結果により、上述の圧力シミュレーション結果が示す最狭部位Dの上流での圧力低下が実際に発生し、最狭部位Dの上流側でキャビテーション発生およびプラズマ生成が可能なことが示された。
【0054】
(他の実施形態)
(1)上述の実施形態では、液中プラズマ装置1は1つの管状流路部10を有して構成された。管状流路部10の数は1つに限られず、複数の管状流路部10が並列に配置されてもよい。これにより、液中プラズマ装置によりプラズマ処理される単位時間当たりの液体の量(処理効率)を高めることができる。
【0055】
(2)管状流路部10における絞り部の数は、4つに限られず、1〜3個あるいは5個以上も可能である。
【0056】
(3)上述の実施形態では、絞り部の内径が、L1>L2>L3>L4となるように管状流路部10が形成された。絞り部の内径は、全て同じにすることも可能であるし、L1<L2<L3<L4とすることも可能であるし、大小関係を入れ替えたあらゆる形態が可能である。
【0057】
(4)上述の実施形態では、電極部の印可電圧が、V1>V2>V3>V4となるように制御装置35によって制御された。印可電圧は、全て同じにすることも可能であるし、V1<V2<V3<V4とすることも可能であるし、大小関係を入れ替えたあらゆる形態が可能である。
【0058】
(5)上述の実施形態では、液中プラズマ装置1において循環流路が形成され、管状流路部10を通過した液体が、吸引ポンプ機構部40を通り、管状流路部10に戻されて、再び管状流路部10を通過するよう構成された。これを改変し、管状流路部10を通過してプラズマ処理された液体が、そのまま液中プラズマ装置1から排出されるよう構成してもよい。このような、いわゆるワンパス形式の液中プラズマ装置1は、例えばタンク内に溜められた大量の液体に対してプラズマ処理を施す場合(例えば、タンカーのバラスト水など)に好適に適用しうる。この場合、必要なプラズマ処理の程度(殺菌力、あるいは粉体の分散度合い等)に応じて、プラズマの強度や管状流路部10の長さが適宜調整される。
【0059】
(6)上述の液中プラズマ装置1と、吐出部でキャビテーションを発生できる遠心式ポンプ機構(ジェットペースタ)とを組み合わせることにより、プラズマ発光性能を大きく向上させることも可能である。詳しくは、遠心式ポンプ機構(ジェットペースタ)の吐出口に電圧印加部Bを備えた管状流路部10を配置することで、管状流路部10でのプラズマ発光性能を大きく向上させることが可能である。
【0060】
なお上述の実施形態(他の実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 :液中プラズマ装置
10 :管状流路部
10a :上壁面
10b :下壁面
10c :側壁面
10d :側壁面
21 :第1絞り部
22 :第2絞り部
23 :第3絞り部
24 :第4絞り部
31 :第1電極部
32 :第2電極部
33 :第3電極部
34 :第4電極部
35 :制御装置
40 :吸引ポンプ機構部
50 :管状部
60 :管状部
A :キャビテーション発生部
B :電圧印加部
C :最広部位
D :最狭部位
E :上流側傾斜面
F :下流側傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13