特許第6843907号(P6843907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843907
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】電力支援式ステアリングシステム
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20210308BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20210308BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20210308BHJP
【FI】
   B62D6/00
   B62D101:00
   B62D119:00
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-35322(P2019-35322)
(22)【出願日】2019年2月28日
(62)【分割の表示】特願2016-521596(P2016-521596)の分割
【原出願日】2014年10月8日
(65)【公開番号】特開2019-104492(P2019-104492A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2019年4月1日
(31)【優先権主張番号】1317766.2
(32)【優先日】2013年10月8日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504225644
【氏名又は名称】ティーアールダブリュー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100093089
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 滋
(72)【発明者】
【氏名】ファレリー,ジェームズ・パトリック
【審査官】 鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−111110(JP,A)
【文献】 特開2012−183881(JP,A)
【文献】 特開2009−143490(JP,A)
【文献】 特開2004−256068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00−6/10
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力支援式ステアリング装置であって、
車の前方向直進移動に相応する中央位置を有するステアリングハンドルを車の車輪に作用可能に接続するステアリング機構(5)と、
ステアリング機構(5)と作用可能に接続された電気モータ(1)と、
ステアリング機構(5)の一部分により伝達されるトルクを表示するトルク信号(Tcol)を発生させ得るようにしたトルク信号生成器(6)と、
ステアリングハンドル又はステアリングコラム(5)の角度位置を表示するコラムの位置信号(Ncol)を発生させるコラムの位置信号生成器(10)と、
感知手段により発生された信号を受け取ると共に、モータ(1)によりステアリング機構(5)に加えるべきトルクを表すトルク要求信号(8)を発生させ得るようにした信号処理装置(7)とを備える電力支援式ステアリング装置であって、
前記信号処理手段(7)は、
前記トルク信号(Tcol)に依存する入力信号を受け取ると共に、支援トルク信号(Tassist)を出力する第一の信号処理回路(12)であって、該第一の信号処理回路(12)の入力と出力との間の関係はブースト曲線により規定される、前記第一の信号処理回路(12)と、
使用時、ステアリングハンドルが中央位置から離れる移動動作の期間の後、車のステアリングハンドルが中央位置に向けて移動復帰する事象のとき、第一の処理回路の入力信号と出力信号との少なくとも一方に対して追加的なオフセットトルクを提供する第二の信号処理回路(13)であって、前記追加的なオフセットトルクは、ステアリングハンドルが中央位置から離れる事象のときに減少し、又は加えられないようにした、前記第二の信号処理回路(13)と、
支援トルク信号(Tassist)からトルク要求信号(8)を発生させ得るようにしたトルク要求信号(8)生成回路とを含み、
前記第二の信号処理回路(13)は、ステアリングハンドルが前記中央位置へ向けて移動復帰する際に得られたステアリング角度の値の関数としての追加的なオフセットトルクを提供し、
前記第二の信号処理回路(13)は、ある量のオフセットトルクを入力信号にのみ、又は、出力信号のみ、あるいは入力信号及び出力信号の双方に加え得るようにされ、各場合にて、加えられる量は、角度位置信号の値(Ncol)の関数であり、
前記オフセットトルクは、ブースト曲線の入力信号及び出力信号の双方に加えられ、その各々に加えられる、追加的なトルクの量は、車が低速度のとき、比較的より多くのオフセットトルクが入力信号に加えられ、且つ出力信号に加えられるトルクはより少なく、支援トルクの所定の増加を実現し、また、より高速度のとき、比較的より多くのオフセットトルクが出力信号に加えられ、入力信号に加えられるトルクはより少なく、支援トルクにて所定の同一の増加を実現する、電力支援式ステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力支援式ステアリング装置において、
信号処理手段(7)は、中央に向けて移動復帰するステアリング移動から、中央から離れる移動動作への移行を検出し、また、その検出したとき、ステアリングが中央から離れる移動動作のとき、前記オフセットトルクを、オフセットトルクが零に達する迄小さくし、その後、ステアリングが中央から更に移動するとき、零オフセットトルクを加え得るようにした、電力支援式ステアリング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記信号処理手段(7)は、ステアリングの動作が、中央から離れる移動動作から中央に向けて移動復帰する動作への移行を検出し、また、その検出したとき、ステアリングが中央に移動復帰する動作のとき、オフセットトルクが、計画(マッピングした)したオフセットトルク値に達する迄、そのオフセットトルクを直線的に増大させ、その後、ステアリングが中央に向けて更に移動復帰するとき、トルクマップに従い得るようにした、電力支援式ステアリング装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかの項に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記信号処理手段(7)は、所定の時間間隔にてステアリング位置の値を保存し、かつ、現在の値を従前の値と比較することにより、ステアリング移動の方向の変化を検出する、電力支援式ステアリング装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れかの項に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記第一の信号処理手段(7)は、所望の支援トルクを入力信号値に対してマッピングし、利得が入力信号値の増加と共に直線的に又は非直線的に増大するブースト曲線を使用し、ブースト曲線に対する入力信号は、少なくともコラムトルクの値を含む、電力支援式ステアリング装置。
【請求項6】
請求項1からの何れかの項に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記第二の処理回路は、オフセットトルクに対するステアリング角度位置の所定の計画したマップに従って、ブースト曲線の入力(又は出力)に追加すべき追加的なオフセットトルクの大きさを決定する、電力支援式ステアリング装置。
【請求項7】
請求項1からの何れかの項に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記第二の信号処理回路(13)は、ステアリングハンドルが前記中央位置へ向けて移動復帰する際に、ステアリング角度の値に起因する追加的なオフセットトルクを提供する、電力支援式ステアリング装置。
【請求項8】
電力支援式ステアリングシステムを作動させる方法において、
ステアリング機構(5)の一部分により伝達されるトルクを表示するトルク信号(Tcol)を生成するステップと、
ステアリングハンドル又はステアリングコラム(5)の角度位置を表示するコラムの位置信号(Ncol)を生成するステップと、
モータ(1)によりステアリング機構(5)に加えるべきトルクを表示するトルク要求信号(8)の1つの成分を含む支援トルク信号(Tassist)を前記各信号から発生するステップとを備え、
前記支援トルク信号(Tassist)を発生するステップは、
入力信号と出力信号との間の関係を規定するブースト曲線を用いて、トルク信号(Tcol)に依存して、入力信号を処理するステップと、
車のステアリングハンドルが中央位置から離れる移動動作期間に続いて、車のステアリングハンドルが中央位置に向けて移動復帰する事象にて、入力信号及び出力信号の少なくとも一方に対して追加的なオフセットトルクを加えるステップであって、ステアリングがその後に、中央位置から離れるように移動し始める事象にて、該追加的なオフセットトルクは減少し又は加えられないようにする前記追加的なオフセットトルクを加えるステップとを備え、
前記追加的なオフセットトルクは、ステアリングハンドルが前記中央位置へ向けて移動復帰する際に得られたステアリング角度の値の関数として提供される、前記電力支援式ステアリング機構(5)を作動させ、
前記追加的なオフセットトルクを加えるステップは、ある量のオフセットトルクを入力信号にのみ、又は、出力信号のみ、あるいは入力信号及び出力信号の双方に加え得るようにされ、各場合にて、加えられる量は、角度位置信号の値(Ncol)の関数であり、
前記オフセットトルクは、ブースト曲線の入力信号及び出力信号の双方に加えられ、その各々に加えられる、追加的なトルクの量は、車が低速度のとき、比較的より多くのオフセットトルクが入力信号に加えられ、且つ出力信号に加えられるトルクはより少なく、支援トルクの所定の増加を実現し、また、より高速度のとき、比較的より多くのオフセットトルクが出力信号に加えられ、入力信号に加えられるトルクはより少なく、支援トルクにて所定の同一の増加を実現する方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法において、オフセットトルクを入力信号及び出力信号の双方に加えるステップを備える、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法において、前記追加的なオフセットトルクは、ステアリングハンドルが前記中央位置へ向けて移動復帰する際に得られたステアリング角度の値に起因して提供される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータがステアリングコラムのようなステアリング構成要素に支援トルクを加え、車を操縦するために必要とされる運転者の労力を軽減し得るようにした型式の電力支援式ステアリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
簡単な電力支援式ステアリングシステムにおいて、ステアリングコラムにおけるトルクレベルが測定されるように配置されたトルクセンサが提供される。この測定値から、コントローラは、ステアリングコラムに装着した電気モータにより発生すべきトルクを表示するトルク要求信号の値を計算する。モータは、運転者が要求するのと同一センス(sense)のトルクをコラムに加え、かくしてステアリングハンドルを回すのに必要とされる労力を軽減する。
【0003】
典型的な装置において、ステアリングコラムのトルクと支援トルクとの間の関係は、ブースト曲線により設定される。これは、コラムのトルクと支援トルクとの間のマッピングであり、この場合、所定の入力トルクに対して、入力信号を増倍する程度を決定する増倍器の値が設定される。ブースト力を加えるため、所定の入力トルクに対する増倍器の値は単一的(unitary)、すなわち、1.0ではない。例えば、増倍器の値が2である場合、出力支援トルクは、測定したトルクの2倍であり、また、0.5であれば、測定したコラムのトルクの半分となるであろう。増倍器に代えて、ルックアップテーブルを用いて、又は任意のその他の便宜な方法にて、入力トルクと支援トルクとの間の関係を規定することも可能である。この場合、ブースト曲線は、ルックアップテーブルにハードコーデッドされよう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一の形態に従い、本発明は、車の前方向直進移動に相応する中央位置を有するステアリングハンドルを車の車輪に作用可能に接続するステアリング機構と、ステアリング機構と作用可能に接続された電気モータと、ステアリング機構の一部分により伝達されるトルクを表示するトルク信号を発生させ得るようにしたトルク信号生成器と、ステアリングハンドル又はステアリングコラムの角度位置を表示するコラムの位置信号を発生させるコラムの位置信号生成器と、感知手段により発生された信号を受け取ると共に、モータによりステアリング機構に加えるべきトルクを表すトルク要求信号を発生させ得るようにした信号処理装置とを備える電力支援式ステアリングシステムであって、信号処理手段は、トルク信号に依存する入力信号を受け取ると共に、支援トルク信号を出力する第一の信号処理回路であって、該第一の信号処理回路の入力と出力との間の関係はブースト曲線により規定される、前記第一の信号処理回路と、
使用時、ステアリングハンドルが中央位置から離れる移動動作の期間の後、車のステアリングハンドルが中央位置に向けて移動復帰する事象のとき、第一の処理回路の入力信号と出力信号との少なくとも一方に対して追加的なオフセットトルクを提供する第二の信号処理回路であって、ステアリングハンドルが中央位置から離れる事象のとき、追加的なオフセットトルクが減少し又は加えられないようにした、前記第二の信号処理回路と、
支援トルク信号を処理して、トルク要求信号を発生させ得るようにしたトルク要求信号生成回路とを含む、上記の電力支援式ステアリングシステムを提供する。
【0005】
このため、本発明は、ステアリングハンドルの規定された動作に相応してモータからの追加的な支援トルクの量を加える。当該出願人は、かかる規定された範囲は、運転者が一
定半径の曲がりに差し掛かったことの確実なインジケータであることを知見した。中央位置から離れる最初の動作は、曲がりに差し掛かったときのステアリングハンドルの負荷増加に相応し、中央に向けて移動復帰する動作は、ステアリングの負荷増加を感じて、運転者がステアリングハンドルに加える力を弱めるときに生ずる。実際上、この戻りは、コラム角度の1又は2度又はそれ以下の非常に小さい角度であるが、一定のカーブにて運転するとき、ほぼすべての運転者にて、運転者が明確には認識しないものの生ずる。
【0006】
追加的なオフセットトルク又は「ホールディング」トルクは、運転者がカーブの走行状態を保つことを助け、カーブを曲がるときの車の動作からステアリングに加わるねじれ力に対抗するため加える必要のあるトルク量を軽減する。実際上、運転者がカーブに入った(運転者が加えるステアリング角度を僅かに小さくすることにより表示される)後、この力を加えることにより、運転者はほぼ気付かずに進むであろう。このため、カーブに差し掛かるとき、ステアリング負荷の増加の感触を損なうことなく、運転者に要求される労力を軽減し、しかも、良好なステアリング感触を保つ。
【0007】
該信号処理手段は、中央に向けて移動復帰するステアリング移動から、中央から離れる移動動作への移行を検出し、また、ステアリングが中央から離れる移動動作のとき、オフセットトルクが零に達する迄、そのオフセットを小さくし、その後、ステアリングが中央から更に移動するとき、零オフセットトルクを加え得るようにすることができる。
【0008】
オフセットトルクは、直線的に(linearly)に小さくすることができる。
【0009】
信号処理は、ステアリングが中央から離れる移動動作から中央に向けて移動復帰する動作への移行を検出し得るようにすることができ、また、ステアリングが中央に向けて移動復帰するとき、オフセットトルクが予定したオフセットトルク値に達する迄、そのオフセットトルクを直線的に増加させ、その後、ステアリングが中央に向けて更に移動復帰するとき、トルクマップに従うようにすることができる。
【0010】
オフセットトルクは、直線的に増加させることができる。オフセットトルクは、ステアリングが中央から移動復帰するとき、減少する率と等しい率にて、また、その逆の率にて増大させることができる。
【0011】
ステアリングが中央に移動復帰するとき、マップに達するよう、又はオフセットトルクが零に到達するのに十分にステアリングコラムが動かないならば、ステアリングが移動するとき迄、勾配を付けて規定されたオフセットトルクの使用が続けられよう。
【0012】
勾配を付けた変化は、車の速度と無関係であり、また、コラムのトルクと無関係とすることができる。また、加えられたオフセットトルクの量は、トルクセンサが測定したコラムのトルクと無関係にすることもできる。
【0013】
このため、信号処理回路は、ステアリング角度の関数として、オフセットトルクを徐々に勾配を付けて増加及び減少させることができる。このことは、ステアリングに対して極めて反復可能な感触を与える。
【0014】
信号処理手段は、ステアリング移動の方向の変化を検出し、また、規定された時間間隔にてステアリング位置の値を保存し、かつ、現在の値を従前の値と比較することにより、検出することができる。
【0015】
第一の信号処理手段は、また、所望の支援トルクを入力信号値に対してマッピングするステップを備え、利得は入力信号値の増加と共に直線的に又は非直線的に増大するブース
ト曲線を使用することができる。入力信号の値は、典型的に、コラムトルクとし、又は適当な場合、コラムトルクに追加的なトルク量をブラスした値に等しくする。装置によって発生された支援トルクは、ブースト曲線からの出力値とし、又はブースト曲線の出力に加えた任意の追加的なオフセットトルクをその値にプラスした値の何れかであろう。勿論、最終的な支援トルク値を得るため、信号の更なる処理を行うことができる。
【0016】
ブースト曲線の前に追加的な量の保持トルク又はオフセットトルクが加えられた場合、このトルクは、ブースト曲線に加えられる入力信号の値を増大させ、この場合、その増大した入力信号は、ブースト曲線によりブーストされよう。効果として、ブースト曲線は、実際に存在するよりも「大きいコラムトルクを感得し」、次に、実際に加えた値よりも大きいトルクを運転者がコラムに加えたかのようにブースト曲線は機能し、より大きい支援力を提供する。
【0017】
追加的なオフセットトルクがブースト曲線の後に加えられたとき、追加的なトルクは、ブースト曲線からの信号の出力値を増大させ、モータトルクの要求信号を発生させるために使用される改変した支援トルク信号を発生する。各場合にて、真の効果は、運転者により加えられた所定のトルクに対してモータするにより加えられたトルクの値を増加させ、従って、カーブにてステアリングハンドルを保持するために運転者が加える必要のあるトルクの量を軽減することである。
【0018】
また、第二の処理手段は、ある量のオフセットトルクを入力信号又は出力信号若しくはその双方に加え得るようにすることができ、各場合にて、加えられる量は、角度位置信号の値の関数とすることができる。このことにより、我々は、この量はコラムの位置と共に変化すると考える。このことは、ブースト曲線に対する入力及びブースト曲線からの出力信号に対して異なる量のオフセットトルクを加えることができることである。各場合にて、オフセットは、トルク信号に追加的に加えることができる。
【0019】
第二の信号処理は、追加的なオフセットトルクを入力信号にのみ、出力信号にのみ、又は入力信号及び出力信号の双方に加えることができる。
【0020】
このトルクがブースト曲線の入力信号及び出力信号に加えられる場合、その各々に加えられる、追加的なトルクの量は、車が低速度のとき、比較的より多くのオフセットトルクが入力信号に加えられ、出力信号に加えられるトルクは少なく、支援トルクの所定の増加を実現し、また、より高速度のとき、比較的より多くのオフセットトルクが出力信号に加えられ、入力信号に加えられるトルクは少なく、支援トルクにて所定の同一の増加を実現するようにマッピングされよう。
【0021】
このため、該装置は、車の速度を表示する出力を発生する車の速度センサを含むことができ、また、第二の信号処理回路は、車の信号を受け取りかつ追加的なブースト力を車の速度信号の関数である入力又は出力及び又はその双方に加え得るように配置することができる。
【0022】
第二の処理手段は、閾値速度以下のとき、追加的な保持トルクをブースト曲線の入力に加えるが、ブースト曲線の出力には加えず、また、閾値以上のとき、追加的な保持トルクをブースト曲線の出力に加えるが、閾値以上のとき、入力には加えない。
【0023】
当該出願人は、低速度のとき、追加的なトルクを入力に加えることは、幾つかの場合に有益であり、それは、特に、ブースト曲線が中央位置に近い死帯域を有する場合、ステアリングが中央に移動復帰する能力に与える効果が最小であるからであることを知った。他方、我々は、ブースト力を出力に加えることは、より高速の車の運転のとき、有益であり
、それは、このことは、より高速の車の速度のとき、より重要である、戻り特徴の直線性(linearity)を向上させることができるからであることを知った。
【0024】
第二の処理回路は、オフセットトルクに対するステアリング角度位置の計画したマップに従って入力(又は出力)に追加すべき追加的なオフセットトルクの大きさを決定することができる。
【0025】
第二の信号処理手段は、ステアリングが少なくとも設定した量だけ中央から離れたならば、追加的なトルクのみを加えることができ、ステアリングハンドルの動作方向に関係なく、追加的なトルクが加えられない死帯域を中央位置付近に形成することができる。これと代替的に、この量は、あらかじめ規定した角度範囲にわたって連続するようにしてもよい。このことは、運転者がカーブに差し掛かったこと、及び保持支援力が適正であることのより確実な確証を提供する。
【0026】
支援トルク信号は、信号処理手段による更なる処理を受け、トルク要求信号を発生させるために使用される全体的な支援トルク信号を提供することができる。典型的に、該装置は、支援トルク信号を1つ又はより多くの追加的なトルク成分(例えば、減衰、自動中心決め)と組み合わせることにより、トルク要求信号を生成するであろう。
【0027】
トルク信号生成器は、ステアリングコラム又は該コラムに装着した別の機械的な構成要素と接続された単一のセンサを備えることができる。
【0028】
該装置は、拡大ファクタ又はブースト曲線を規定する関数及び(又は)任意のルックアップテーブルが保存される電子メモリ領域を含むことができる。
【0029】
信号処理装置は、メモリ領域内に保存されたプログラム指令を実行するプロセッサにより具体化することができる。この指令は、プロセッサをして、信号処理装置の異なる補助装置を規定する、多数の個別のステップ又機能を実行させることができる。しかし、デジタル論理ゲート、補助ユニットの各々を形成する論理ゲートグループのような離散型の電子構成要素を使用して信号処理装置を具体化することが可能である。
【0030】
該装置は、トルク要求信号を受け取と共に、モータ駆動ステージに適正な信号を加え、モータが要求されたトルクを出力するようにするモータ駆動回路を含むことができる。該駆動ステージは、典型的に、ブリッジ回路を含むであろう。
【0031】
第二の形態に従って、電力支援式ステアリングシステムを作動させる方法であって、ステアリング機構の一部分により伝達されるトルクを表示するトルク信号を生成するステップと、
ステアリングハンドル又はステアリングコラムの角度位置を表示するコラムの位置信号を発生するステップと、
モータによりステアリング機構に加えるべきトルクを表示するトルク要求信号の1つの成分を含む支援トルク信号を前記信号から発生するステップとを備え、
前記支援トルク信号を発生するステップは、
入力信号と出力信号との間の関係を規定するブースト曲線を用いて、トルク信号に依存して、入力信号を処理するステップと、
ステアリングハンドルが中央位置から離れる移動動作期間に続いて、車のステアリングハンドルが中央位置に向けて移動復帰する事象にて、入力信号及び出力信号の少なくとも一方に対して追加的なオフセットトルクを加えるステップであって、ステアリングがその後に、中央位置から離れるように動き始める事象にて、この追加的なオフセットトルクは減少し又は加えられないようにする前記追加的なオフセットトルクを加えるステップとを
備える、前記電力支援式ステアリング機構を作動させる方法が提供される。
【0032】
該方法は、オフセットトルクを入力信号及び出力信号の双方に加えるステップを備えることができる。このステップは、追加的なトルクを入力信号又は出力信号に追加するステップを備え、又は入力信号又は出力信号を増倍することにより、1.0よりも大きい利得となるようにすることができる。
以下、添付図面を参照しつつ、かつ添付図面に示したように、本発明の三つの異なる実施の形態について単に一例として本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明に従った電力支援式ステアリングシステムの概略線図である。
図2図1のシステムにて、モータの閉ループ制御を示すブロック線図である。
図3図1のシステムの信号処理装置を用いて、支援トルクを発生するため、本発明の第一の実施の形態に従ったステアリング組立体の1つの実施の形態にて採用される機能ステップを示すブロック線図である。
図4】本発明の第一の実施の形態に従いステアリング組立体の1つの代替的な実施の形態により実施される機能ステップを示すブロック線図である。
図5】本発明の第一の実施の形態に従いステアリング組立体の更に代替的な実施の形態により実施される機能ステップを示すブロック線図である。
図6】ステアリングが中央から離れる方向に移動するとき(実線)と、図3の実施の形態から離れる最初の動きに続いて、ステアリングが中央に移動復帰するとき(破線)との間のブースト曲線の入力信号に加えられる追加的なオフセットトルク量の間の関係を示すマップである。
図7】ステアリングが中央から離れる方向に移動するとき(実線)と、図4及び5の実施の形態に対して離れる最初の動きに続いて、ステアリングが中央に移動復帰するとき(破線)との間のブースト曲線からの出力信号に加えられる追加的なオフセットトルク量の間の関係を示すマップである。
図8】車を運転間、典型的なカーブを曲がるときの操縦のときに加えられる追加的な保持トルクの1つの変化を示す図である。
図9図3から図5の実施の形態の何れかにて、第一の処理回路により加えられる典型的なブースト曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
典型的な電力支援式ステアリングシステムが添付図面の図1に示されている。該システムは、(選択随意的な)歯車箱3を通して駆動シャフト2に作用する電気モータ1を備えている。該駆動シャフト2は、ステアリングコラム5の一部分に又はステアリングコラムと作用可能に接続されたシャフトに設けたホイールと協働するウォーム歯車4にて終端となっている。例えば、該モータは、ステアリングシステムのステアリングラックに作用することができる。勿論、このことは、我々が求める保護の範囲を限定するものではないと解釈されるべきであり、本発明が適用されるその他の電力支援式ステアリングシステムとすることも考えられる。
【0035】
ステアリングコラム5は、トルクTcolを測定し得るようにしたトルクセンサ6を支持しており、このトルクは、車の車輪(図示せず)により提供された抵抗力に抗してステアリングハンドル(図示せず)、従って、ステアリングコラムが回転したとき、車の運転者により発生される、ステアリングコラムが支承するトルクである。トルクセンサ6からの出力信号Tcolは、信号処理装置7の第一の入力に供給される。
【0036】
また、角度位置センサ10もステアリングコラムのシャフトに設けられている。図1に示したように、該センサはトルクセンサからの信号出力を監視することにより、該位置を
測定するから、トルクセンサ6に結合されている。このセンサはステアリングコラムの角度位置Ncolを表示する出力信号を発生する。位置センサからの出力Ncolは、信号処理装置7の第二の入力に供給される。該信号処理装置は、電子プロセッサ装置又はその他の電子回路を備えることができる。
【0037】
また、車の速度を表示する出力信号を発生する車の速度センサ11も設けられている。
【0038】
全体として、これら三つの入力値、すなわちコラム位置Ncol、車の速度VおよびコラムのトルクTcolは信号処理装置に送られる。
【0039】
信号処理装置7は、三つの入力信号に作用し、その出力として、トルク要求信号8を発生し、このトルク要求信号8は、モータコントローラ9に送られる。該モータコントローラ9は、トルク要求信号8を電気モータ1の駆動電流に変換する。この要求信号を発生するため、処理装置は、多数の補助装置を含んでおり、これらの補助装置の各々は、単一の処理ステップ又は特定組のステップを実行する。
【0040】
トルク要求信号8の値は、電気モータ1によりステアリングI9lコラムに加えられる支援トルクの量に相応する。この値は、1つのセンスにてモータに対する最大の出力トルクに相応する最小値から要求信号が零であるときの零トルクを経て、反対センスの最大のモータトルクまで変化する。
【0041】
モータコントローラ9は、その入力として、トルク要求信号を受け取り、電流を発生し、この電流は、モータに供給されて、モータ駆動シャフト2にて所望のトルクを再度、発生する。ステアリングハンドルを回すため運転者が必要とする労力を軽減するのは、このステアリングコラムシャフト5に加えられる支援トルクである。このことは、図2に示した閉制御ループを形成する。
【0042】
トルク要求信号8は、少なくとも二つの部分から成っている。第一の部分は、運転者がステアリングハンドルを通してステアリングコラムに加えるトルクの量に依存する支援トルクTassistである。第二の部分は、ステアリング感触を改善し、かつ(または)システムの安全性を向上させるため提供される(選択随意的な)減衰トルク要求である。例えば、車を所期の道路から逸脱させることになる、車の横風の効果に対抗するのを助けるため、その他のトルク要求信号を追加的に使用することができる。
【0043】
支援トルク信号は、トルクセンサ6により測定される、ステアリングコラムのトルクの関数として求められる。この測定したトルクと支援信号との間の関係は、基本的に直線的である。しかし、支援信号に対するトルクをマッピングするため、その他の可能な関係を使用することができる。当該技術にて広く知られているように、入力と出力との間の関係は、ブースト曲線を規定する。典型的なブースト曲線が図面に示されている。測定したトルクが増大すると、支援信号の大きさは全体として増す。支援トルク信号は、要求されるならば、車の速度及びステアリングコラムの位置のような、その他のパラメータに依存することも理解されよう。その場合、高速度における支援トルク信号の値を小さくし、安定性を向上させ、かつ極めて低速度のとき、増大させて駐車操縦を容易にすることが一般的である。
【0044】
図3には、本発明の第一の実施の形態に従った装置の信号処理手段のより詳細が概略図的に示されている。図面から分かるように、信号処理手段7は、ブースト曲線をコラムのトルクの関数である入力信号に加える第一の信号処理回路12を備えている。このブースト曲線の出力は、支援トルクを規定する。更に、この信号処理手段は、第一の回路12の後続の第二の処理回路13も含む。第二の回路は、入力にてトルク信号Tcolを受け取
り、かつ特定の車の運転状態の下、トルク信号を修正し、その修正したトルク信号を発生し、該修正したトルク信号は第一の信号処理回路のブースト曲線に供給される。
【0045】
第二の処理回路13は、コラムが中央から離れる方向に動き、その後にコラムが中央に向けた僅かな動作をすることにより、示されたように、車がカーブの曲がり操縦に差し掛かった事象のとき、ブースト曲線に対するトルク信号の入力を増大させるように作用する。第二の処理は、位置信号を監視し、この状態が満足されているかどうかを判断する。満足されている場合、第二の処理回路は、入力信号を利得にて増倍することにより又は一組の量の余剰トルクを加えることにより、入力信号の値を増大させる。加えられた利得又は組の量のトルクは、図6に示したように、入力トルクとコラムの位置との間のマッピングにより規定される。勿論、本発明の範囲内にてその他のマッピングも可能である。マッピングは、加えられる追加的な保持トルクの量を示し、この保持とは、カーブを曲がる間、運転者がステアリングハンドルを保持するのを助けるこの追加的なトルクの役割を意味する。
【0046】
ステアリングが静止状態に保持され、又は中央に向けて移動復帰するとき、第二の処理回路は、破線15にて示したマッピングに従い、追加的なトルクブースト力を加え続けるであろう。ステアリングが移動復帰するのを止め、中央から離れる方向に動き始めるならば、第二の処理回路は、追加的なトルクブースト力を加えるのを徐々に停止し、その代わり実線16に従うであろう。
【0047】
実線から破線への移行、すなわち零オフセットトルクから計画したオフセットトルクへの移行は、オフセットトルクがステアリング角度と共に、直線的に変化するステップを含む。第二の処理手段は、ステアリングが中央に向けて移動復帰するとき、オフセットを全体として勾配を付けて増加させ、また、ステアリングが中央から離れる方向に移動するとき、オフセットを全体として勾配を付けて減少させる。各場合にて、等しい変化率及び逆の変化率を適用することができる。勾配を付けた変化は、トルクが零となる迄(中央から離れる移動動作)、又は、計画したオフセットトルクに合う迄(中央に向けた動作)、角度が変化するとき続く。
【0048】
典型的に、増加率/減少率は、マップ中の任意の所定の点に対してステアリングコラム角度が約1又は2度変化するとき、完全に移行するように選ばれる。
【0049】
図8には、使用中の装置が示されている。第一の時間期間のとき、運転者は、ステアリングを中央位置から離れる方向に動かす増大するトルクを加える。このことは、図面にて線A−Bで示されている。このとき、第二の信号処理回路は、入力信号に対してブースト力を加えない。次に、カーブに入ったならば、運転者は、ステアリングハンドルを中央に向けて僅かに戻す。このことは、コラムの回転が1度以下の極めて僅かな動きであることが多い。第二の信号処理回路は、この動作を検出し、線B−Cに沿って移行トルクブースト力を加え、ステアリング角度の変化に比例する直線的の仕方にてトルクを増加させる。この移行の後、第二の信号処理回路により設定されたマッピングに従って追加的なトルクが加えられ、また、ステアリングが中央に向けて移動復帰すると、トルクブーストは線C−D/Aに従う。
【0050】
第二の実施形態が図4に示されている。この配置において、第二の信号処理回路13は、ブースト曲線への入力に対し追加的なトルクを加えない。その代り、該回路は、第一の処理回路12の出力に対して追加的なトルクブースト力を加え、中間的な支援トルク値を増加させる。第二の処理手段の機能は、第一の実施の形態と実質的に同一であるが、ブースト力は、ブースト曲線の前ではなく、その後に加えられる点は異なる。コラムの位置Ncolと共に変化する追加的なトルクの典型的なマッピングは、中央から離れる方向への
動き(実線18)及び中央に移動復帰する動作(破線17)について図7に示されている。
【0051】
図5に示した第三の実施の形態において、第二の処理回路13は、入力信号をブーストし、且つ第一の信号処理回路12のブースト曲線からの出力をブーストする。該処理回路がブース曲線の入力及び出力をブーストする量は、車の速度に依存するようにされる。車の低速度のとき、加えられる全体的なブースト―スト力は、出力信号のほとんど又は全くブーストすることなく、入力信号をブーストすることによってのみ実現される。より高い車の速度のとき、ブースト力は、入力信号をほとんど又は全くブーストすることなく、ブースト曲線の出力信号をブーストすることによってのみ加えられる。これらの高速度と低速度との間にて、入力及び出力に加えられるブースト力の比は、これらの境界値の間にて変化するであろう。
【0052】
このマッピング値の変化は、マップにて太線矢印にて示されており、車の速度の関数として、計画した値の動作方向を示す。全体として、全体の曲線は、必要に応じて上昇し又は下降し、オフセットは、ステアリングが中央に向けて移動復帰するとき修正した曲線の経路に従う。また、車の速度に伴うブースト曲線の変化も図5に太線矢印で示されている。以下は、本願出願当初の本発明の各種形態である。
(形態1) 電力支援式ステアリング装置であって、
車の前方向直進移動に相応する中央位置を有するステアリングハンドルを車の車輪に作用可能に接続するステアリング機構と、
ステアリング機構と作用可能に接続された電気モータと、
ステアリング機構の一部分により伝達されるトルクを表示するトルク信号を発生させ得るようにしたトルク信号生成器と、
ステアリングハンドル又はステアリングコラムの角度位置を表示するコラムの位置信号を発生させるコラムの位置信号生成器と、
感知手段により発生された信号を受け取ると共に、モータによりステアリング機構に加えるべきトルクを表すトルク要求信号を発生させ得るようにした信号処理装置とを備える電力支援式ステアリング装置であって、
前記信号処理手段は、
前記トルク信号に依存する入力信号を受け取ると共に、支援トルク信号を出力する第一の信号処理回路であって、該第一の信号処理回路の入力と出力との間の関係はブースト曲線により規定される、前記第一の信号処理回路と、
使用時、ステアリングハンドルが中央位置から離れる移動動作の期間の後、車のステアリングハンドルが中央位置に向けて移動復帰する事象のとき、第一の処理回路の入力信号と出力信号との少なくとも一方に対して追加的なオフセットトルクを提供する第二の信号処理回路であって、前記追加的なオフセットトルクは、ステアリングハンドルが中央位置から離れる事象のときに減少し、又は加えられないようにした、前記第二の信号処理回路と、
支援トルク信号からトルク要求信号を発生させ得るようにしたトルク要求信号生成回路とを含む、前記電力支援式ステアリング装置。
(形態2) 形態1に記載の電力支援式ステアリング装置において、
信号処理手段は、中央に向けて移動復帰するステアリング移動から、中央から離れる移動動作への移行を検出し、また、その検出したとき、ステアリングが中央から離れる移動動作のとき、前記オフセットトルクを、オフセットトルクが零に達する迄小さくし、その後、ステアリングが中央から更に移動するとき、零オフセットトルクを加え得るようにした、電力支援式ステアリング装置。
(形態3) 形態1又は2に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記信号処理手段は、ステアリングの動作が、中央から離れる移動動作から中央に向けて移動復帰する動作への移行を検出し、また、その検出したとき、ステアリングが中央に移動復帰する動作のとき、オフセットトルクが、計画(マッピングした)したオフセットトルク値に達する迄、そのオフセット動作を直線的に増大させ、その後、ステアリングが中央に向けて更に移動復帰するとき、トルクマップに従い得るようにした、電力支援式ステアリング装置。
(形態4) 形態1から3の何れかの項に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記信号処理手段は、所定の時間間隔にてステアリング位置の値を保存し、かつ、現在の値を従前の値と比較することにより、ステアリング移動の方向の変化を検出する、電力支援式ステアリング装置。
(形態5) 形態1から4の何れかの項に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記第一の信号処理手段は、所望の支援トルクを入力信号値に対してマッピングし、利得が入力信号値の増加と共に直線的に又は非直線的に増大するブースト曲線を使用し、ブースト曲線に対する入力信号は、コラムトルクを含み又は適当な場合、該コラムトルクに追加的なトルク量をプラスした値を含む、電力支援式ステアリング装置。
(形態6) 形態1から5の何れかの項に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記第二の信号処理手段は、ある量のオフセットトルクを入力信号にのみ、又は、出力信号のみ、あるいは入力信号及び出力信号の双方に加え得るようにされ、各場合にて、加えられる量は、角度位置信号の値の関数である、電力支援式ステアリング装置。
(形態7) 形態6に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記オフセットトルクは、ブースト曲線の入力信号及び出力信号の双方に加えられ、その各々に加えられる、追加的なトルクの量は、車が低速度のとき、比較的より多くのオフセットトルクが入力信号に加えられ、且つ出力信号に加えられるトルクはより少なく、支援トルクの所定の増加を実現し、また、より高速度のとき、比較的より多くのオフセットトルクが出力信号に加えられ、入力信号に加えられるトルクはより少なく、支援トルクにて所定の同一の増加を実現する、電力支援式ステアリング装置。
(形態8) 形態1から7の何れかの項に記載の電力支援式ステアリング装置において、
前記第二の処理回路は、オフセットトルクに対するステアリング角度位置の所定の計画したマップに従って、ブーストカーブの入力(又は出力)に追加すべき追加的なオフセットトルクの大きさを決定する、電力支援式ステアリング装置。
(形態9) 電力支援式ステアリングシステムを作動させる方法において、
ステアリング機構の一部分により伝達されるトルクを表示するトルク信号を生成するステップと、
ステアリングハンドル又はステアリングコラムの角度位置を表示するコラムの位置信号を生成するステップと、
モータによりステアリング機構に加えるべきトルクを表示するトルク要求信号の1つの成分を含む支援トルク信号を前記各信号から発生するステップとを備え、
前記支援トルク信号を発生するステップは、
入力信号と出力信号との間の関係を規定するブースト曲線を用いて、トルク信号に依存して、入力信号を処理するステップと、
車のステアリングハンドルが中央位置から離れる移動動作期間に続いて、車のステアリングハンドルが中央位置に向けて移動復帰する事象にて、入力信号及び出力信号の少なくとも一方に対して追加的なオフセットトルクを加えるステップであって、ステアリングがその後に、中央位置から離れるように移動し始める事象にて、該追加的なオフセットトルクは減少し又は加えられないようにする前記追加的なオフセットトルクを加えるステップとを備える、
前記電力支援式ステアリング機構を作動させる方法。
(形態10) 形態9に記載の方法において、オフセットトルクを入力信号及び出力信号の双方に加えるステップを備える、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9