特許第6843908号(P6843908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843908
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】ディフューザ及びラウドスピーカ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/34 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   H04R1/34 310
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-37837(P2019-37837)
(22)【出願日】2019年3月1日
(65)【公開番号】特開2020-28105(P2020-28105A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2019年3月1日
(31)【優先権主張番号】107127781
(32)【優先日】2018年8月9日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】盤 立平
(72)【発明者】
【氏名】戴 大淵
(72)【発明者】
【氏名】李 建宗
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 逸群
(72)【発明者】
【氏名】許 進福
(72)【発明者】
【氏名】劉 政燻
【審査官】 菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−177690(JP,A)
【文献】 実開平5−70094(JP,U)
【文献】 特公昭52−49324(JP,B1)
【文献】 特開昭63−72299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/20−1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツイータースピーカと共に使用されるよう構成されたディフューザであって、前記ディフューザが、コーン本体を備え、前記コーン本体が、
前記ツイータースピーカに対して、凸形状の部分球面を形成する頂部と、
前記コーン本体における前記頂部の反対側に位置する底部と、
前記頂部と前記底部との間で接続されると共に、非球面として形成された側縁部とを有し、
前記頂部が、2R/3≦r≦Rを満たし、rが、前記頂部の曲率半径を表し、Rが、前記ツイータースピーカにおける球面振動板の曲率半径を表し
第1接続線が、前記頂部と前記側縁部との間の接続点を前記頂部の曲率中心に接続することで規定され、第2接続線が、前記頂部の頂点を前記頂部の前記曲率中心に接続することで規定され、前記第1接続線と前記第2接続線との間の夾角θが、30°≦θ≦45°を満たしている、ディフューザ。
【請求項2】
請求項1に記載のディフューザであって、中心軸線が、前記頂部の頂点を前記頂部の曲率中心に接続することで規定され、前記中心軸線が、前記底部の幾何学的中心を通過し、前記頂部の頂点と前記底部との間の距離が、20 mm〜40 mmであり
記底部に対する前記側縁部の傾斜が、前記頂部から離れるに伴い低下し、前記側縁部が、前記底部と前記頂部との間で円弧状プロファイルを形成し、前記円弧状プロファイルの曲率半径が、前記底部の断面幅の65%である、ディフューザ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のディフューザであって、前記側縁部に差し込まれた少なくとも1個の支柱を更に備え、前記少なくとも1個の支柱が、前記底部に対して離れるよう前記側縁部から突出し、前記少なくとも1個の支柱が、第1貫通孔を有し、前記コーン本体が、第2貫通孔を有し、前記第1貫通孔が、前記第2貫通孔に接続されている、ディフューザ。
【請求項4】
ラウドスピーカであって、
Rで表される曲率半径を有する球面振動板が設けられたツイータースピーカと、
前記ツイータースピーカの上方に、前記ツイータースピーカからある距離で離間させて配置されたディフューザとを備え、前記ディフューザが、コーン本体を備え、前記コーン本体が、
前記ツイータースピーカを指向し、前記ツイータースピーカに対して、凸形状の部分球面を形成し、曲率半径がrで表され、2R/3≦r≦Rである、頂部と、
前記コーン本体における前記頂部の反対側に位置する底部と、
前記頂部と前記底部との間で接続されると共に、非球面として形成された側縁部とを有し、
中心軸線が、前記頂部の頂点を前記頂部の曲率中心に接続することで規定され、前記中心軸線が、前記ツイータースピーカにおける前記球面振動板の天頂を通過し
第1接続線が、前記頂部と前記側縁部との間の接続点を前記頂部の曲率中心に接続することで規定され、第2接続線が、前記頂部の頂点を前記頂部の前記曲率中心に接続することで規定され、前記第1接続線と前記第2接続線との間の夾角θが、30°≦θ≦45°を満たしている、ラウドスピーカ。
【請求項5】
請求項4に記載のラウドスピーカであって、キャリアを更に備え、前記ツイータースピーカが、前記キャリア上に配置され、前記キャリアから、前記ツイータースピーカの前記球面振動板が露出し、前記キャリアの断面幅が、前記ツイータースピーカにおける前記球面振動板の断面幅よりも4倍〜5倍大きく、
前記キャリアの表面が、円弧面として形成され、前記キャリアの前記表面が、前記ツイータースピーカの前記球面振動板からより離れていると、前記球面振動板における天頂の接平面からより離れている、ラウドスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディフューザ及びラウドスピーカに関し、特に、音の拡散に使用されるディフューザ及びラウドスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカモノマーは、主に前面から音を発するよう構成される。それにもかかわらず、より高い周波数(例えば、8 KHzよりも大きい周波数)を有する音の伝達度は通常、スピーカモノマーにおける前面の軸線方向からの偏差として減少する。これにより、スピーカモノマーで発せられた音は、歪められるのみならず、明瞭さも低下する。この問題を解決するため、複数のスピーカモノマーを複数の側面に配置することが可能であり、又はスピーカモノマーの音方向を(地面に対して)垂直に配置することが可能である。しかしながら、複数のスピーカモノマーを配置する場合、大きな製造コストが必要であり、複数のスピーカモノマーの総体積が大きくなり、更には、各スピーカモノマーの音方向を垂直に配置する場合、より高い周波数を有する音の質は依然として効果的に向上しない可能性がある。
【0003】
上記の「関連技術」の記載は、本開示の内容理解を深めるためのものに過ぎず、従って当業者にとって既知の関連技術とは無関係の記載を含む可能性がある。更に、「関連技術」の記載は、本開示における1つ以上の実施形態で解決すべき1つ以上の問題を、当業者が認識していたことを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スピーカモノマーは、主に前面から音を発するよう構成される。それにもかかわらず、より高い周波数(例えば、8 KHzよりも大きい周波数)を有する音の伝達度は通常、スピーカモノマーにおける前面の軸線方向からの偏差として減少する。これにより、スピーカモノマーで発せられた音は、歪められるのみならず、明瞭さも低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ツイータースピーカにおける音拡散効果を実現可能とするよう構成されたディフューザを提供する。
【0006】
本開示は更に、望ましい音響効果を備えるラウドスピーカを提供する。
【0007】
本開示の一実施形態に係るディフューザは、頂部、底部及び側縁部を含むコーン本体を備える。頂部は、部分球面として形成されており、底部及び頂部は、コーン本体において互いに対向する2つの側面に位置している。側縁部は、非球面として形成されており、頂部と底部との間で接続されている。頂部は、2R/3≦r≦Rを満たし、ここに、rは、頂部の曲率半径を表し、Rは、ツイータースピーカにおける球面振動板の曲率半径を表している。
【0008】
本開示のディフューザの一実施形態において、中心軸線は、頂部の頂点を頂部の曲率半径に接続することで規定されると共に、底部の幾何学的中心を通過している。
【0009】
本開示のディフューザの一実施形態において、頂部の頂点と底部との間の距離は、20 mm〜40 mmである。
【0010】
本開示のディフューザの一実施形態において、第1接続線は、頂部と側縁部との間の接続点を頂部の曲率中心に接続することで規定され、第2接続線は、頂部の頂点を頂部の曲率中心に接続することで規定される。この場合、第1接続線と第2接続線との間の夾角θは、30°≦θ≦45°を満たしている。
【0011】
本開示のディフューザの一実施形態において、底部に対する側縁部の傾斜は、頂部から離れるに伴い低下する。
【0012】
本開示の一実施形態において、ディフューザは、側縁部に差し込まれた少なくとも1個の支柱を更に備え、その少なくとも1個の支柱は、底部に対して離れるよう側縁部から突出している。
【0013】
本開示のディフューザの一実施形態において、少なくとも1個の支柱は、第1貫通孔を有し、コーン本体は、第2貫通孔を有する。この場合、第1貫通孔は、第2貫通孔に接続されている。
【0014】
本開示の一実施形態に係るラウドスピーカは、ツイータースピーカ及びディフューザを備える。ツイータースピーカは、Rで表される曲率半径を有する球面振動板を有する。ディフューザは、ツイータースピーカの上方に、ある距離で離間させて配置されている。ディフューザは、頂部、底部及び側縁部を含む。頂部は、ツイータースピーカを指向すると共に、部分球面として形成されている。頂部の曲率半径は、2R/3≦r≦Rにおいてrで表されている。側縁部は、非球面として形成されており、頂部と底部との間で接続されている。
【0015】
本開示のラウドスピーカの一実施形態において、中心軸線は、頂部の頂点を頂部の曲率半径に接続することで規定される。この場合、中心軸線は、ツイータースピーカにおける球面振動板の天頂を通過している。
【0016】
本開示のラウドスピーカの一実施形態において、ディフューザの頂点と球面振動板の天頂との間の距離は、5 mm以下0.5 mm以上である。
【0017】
本開示のラウドスピーカの一実施形態において、コーン本体の底部とツイータースピーカの球面振動板との間の垂直方向距離は、20.5 mm〜45 mmである。
【0018】
本開示のラウドスピーカの一実施形態において、第1接続線は、頂部と側縁部との間の接続点を頂部の曲率中心に接続することで規定され、第2接続線は、頂部の頂点を頂部の曲率中心に接続することで規定される。この場合、第1接続線と第2接続線との間の夾角θは、30°≦θ≦45°を満たしている。
【0019】
本開示のラウドスピーカの一実施形態において、ディフューザの底部に対する側縁部の傾斜は、頂部から離れるに伴い低下する。
【0020】
本開示のラウドスピーカの一実施形態において、ディフューザは、側縁部に差し込まれた少なくとも1個の支柱を更に備え、その少なくとも1個の支柱は、底部に対して離れるよう側縁部から突出している。
【0021】
本開示のラウドスピーカの一実施形態において、少なくとも1個の支柱は、第1貫通孔を有し、コーン本体は、第2貫通孔を有する。この場合、第1貫通孔は、第2貫通孔に接続されている。
【0022】
本開示の一実施形態において、ラウドスピーカは、キャリアを更に備える。この場合、ツイータースピーカは、キャリア上に配置され、キャリアから、ツイータースピーカの球面振動板が露出している。
【0023】
本開示のラウドスピーカの一実施形態において、キャリアの断面幅は、ツイータースピーカにおける球面振動板の断面幅よりも4倍〜5倍大きい。
【0024】
本開示のラウドスピーカの一実施形態において、キャリアの表面は、円弧面として形成されている。
【0025】
本開示のラウドスピーカの一実施形態において、キャリアの表面は、ツイータースピーカの球面振動板からより離れていると、球面振動板における天頂の接平面からより離れている。
【0026】
本開示のラウドスピーカの実施形態において、側縁部は、底部と頂部との間で円弧状プロファイルを有するよう形成されている。この場合、円弧状プロファイルの曲率半径は、底部の65%である。
【発明の効果】
【0027】
本開示のディフューザを使用すれば、より高い周波数を有する帯域の周波数応答性を適切に高めることができ、応答曲線が比較的平坦であり、更には、異なる方向に得られた応答曲線をより均一にすることができる。従って、望ましい音質が実現され、音の歪みが低減され、更には、広い領域に亘る音の伝達がより小さなコスト及び体積で実現可能になる。
【0028】
上述した内容をより分かり易くするために、幾つかの実施形態を図面に基づいて以下に詳述する。
【0029】
添付図面は、本開示の理解を更に深めると共に、本明細書に組み込まれその一部を構成するものである。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すと共に、本明細書の記載と一緒に本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】本開示の一実施形態に係るディフューザの概略三次元図である。
図1B図1Aにおけるディフューザの概略上面図である。
図1C図1Aにおけるディフューザの概略側面図である。
図2】本開示の他の実施形態に係るディフューザの概略側面図である。
図3】本開示の一実施形態に係るラウドスピーカの概略側面図である。
図4】本開示の他の実施形態に係るラウドスピーカの概略側面図である。
図5】本開示の更に他の実施形態に係るラウドスピーカの概略側面図である。
図6】本開示の他の実施形態に係るディフューザの概略側面図である。
図7】本開示の他の実施形態に係るディフューザの概略側面図である。
図8】本開示の他の実施形態に係るディフューザの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1Aは、本開示の一実施形態に係るディフューザ100の概略三次元図を示し、図1Bは、図1Aにおけるディフューザ100の概略上面図を示し、図1Cは、図1Aにおけるディフューザ100の概略側面図を示す。図1A図1Cに示すように、図示の実施形態に係るディフューザ100は、コーン本体110を備え、そのコーン本体は、頂部111、底部112及び側縁部113を含む。頂部111は、部分球面として形成されており、底部112及び頂部111は、コーン本体110において互いに対向する2つの側面に位置している。側縁部113は、非球面として形成されており、頂部111と底部112との間で接続されている。ディフューザ100は、音拡散効果を実現可能とするために、球面振動板を備えるツイータースピーカと共に使用可能になるよう構成することができる。この場合、ディフューザ100の頂部111は、対応するツイータースピーカにおける球面振動板を指向するよう配置することができる。頂部111は更に、2R/3≦r≦Rを満たすことができる。ここに、rは、頂部111の曲率半径を表し、Rは、対応するツイータースピーカにおける球面振動板の曲率半径を表している。図示の実施形態におけるディフューザ100は、金属、プラスチック、木材、又は他の材料で製造可能だが、本開示は、ディフューザ100の製造に使用される材料を限定することを意図しない。
【0032】
上述した特徴を備えるディフューザ100においては、より高い周波数を有する音波の周波数応答性を適切に高めることができるため、応答曲線が比較的平坦になり、良好な音質を実現することができる。応答曲線とは、横軸を周波数(単位はHz)として、縦軸を音圧(単位はdB)として、ラウドスピーカの発音効果を表す曲線のことである。応答曲線との関連において、ラウドスピーカは通常、地面から約1メートル〜1.5メートルの高さに配置される。マイクロフォンは、ラウドスピーカから1メートル離れた場所に配置されると共に、ラウドスピーカと同じ高さ位置に配置される。応答曲線とは、無響室にてラウドスピーカから発せられた音を測定することで得られる測定結果のことである。一般的に、応答曲線は、ラウドスピーカで再生された音の周波数の精度を反映することができ、応答曲線がより平坦であれば、生成されるべき音の周波数をより忠実に反映することができる。
【0033】
ディフューザ100のコーン本体110において、側縁部113は非球面構造とし、頂部111は球面構造とすることができる。頂部111と側縁部113との間の接続点1112は、球面構造及び非球面構造を規定する境界と見なすことができる。また、底部112は、実質的にコーン本体110において最大の断面積を有しており、底部112と側縁部113との間の境界は、平面Aで規定することができる。図1A図1Cに示す底部112は、異なるニーズに応じて、調整可能な厚さを有する。幾つかの実施形態において、底部112の厚さは比較的小さいため、底部113が主として平面Aで形成されていてもよい。更に、上面図において、底部112は、任意の幾何学的形状、例えば、円形、正方形、六角形、八角形及び他の多角形として形成することができる。底部112が多角形の場合、底部112のコーナーは丸みを有することができるが、これに限定されない。図1A及び図1Bの略図に示す実施形態において、底部112のプロファイルは、コーナーが丸みを有する正方形として例示されているが、これに限定されない。
【0034】
ディフューザ100のコーン本体110は、回転対称構造として構成することができる。頂部111の頂点1111を頂部111の曲率中心Оに接続することで規定される中心軸線Мは、コーン本体110における対称軸線である。更に、中心軸線Мは、底部112の幾何学的中心Gを通過しているため、コーン本体110は、中心軸線Mに関して回転対称構造として形成されている。図示の実施形態におけるディフューザ100は、回転対称構造により、異なる方向に均一に分散した音拡散効果を実現することができる。即ち、ディフューザ100による音拡散効果は、全指向性を有するために特定の方向に限定されない。
【0035】
幾つかの実施形態において、頂部111の頂点1111と底部112との間の距離Hは、例えば、200 mm(ミリメートル)〜40 mmとすることができる。この場合、頂部111の頂点1111と底部112との間の距離Hとは、頂点1111と底部112及び側縁部113を接続する平面Aとの間の垂直方向距離を指す。(例えば8 KHzを超える)高周波を有する音波の拡散効果は、距離Hを増加させることにより高めることができる。ただしこの場合、距離Hの増加と共にディフューザ100の体積も増加する可能性があるため、コンパクトな体積を実現することはできない。従って、設計者は、異なるニーズや考慮事項に応じて、コーン本体110の構造や寸法を決定する必要がある。
【0036】
図1A図1Cに示すように、コーン本体110においては底部112の幅がより大きく、側縁部113の幅が頂部111から底部112に向けて徐々に増加してコーン本体110を形成している。幾つかの実施形態において、第1接続線L1は、頂部111と側縁部113との間の接続点1112を頂部111の曲率中心Оに接続することで規定され、第2接続線L2は、頂部111の頂点1111を頂部111の曲率中心Оに接続することで規定される。また、第1接続線L1と第2接続線L2との間の夾角θは、30°≦θ≦45°を満たすことができる。即ち、頂部111は、半径r及び60°〜90°の範囲の円弧角を有する部分球面として形成することができる。更に、接続点1112の周囲において、底部112に対する側縁部113の傾斜は、約30°〜45°とすることができる。これに加えて、底部112に対する側縁部113の傾斜は、ディフューザ100の全高を適切に小さくするために、頂部111から離れるに伴い低下させることができる。ただし、底部112に対する側縁部113の傾斜は、異なる設計ニーズに合わせて、選択的に増加させることができ、等しく維持することができ、又は頂部111から離れるに伴いセグメント毎に変化させることができる。例えば例示的な実施形態において、側縁部113が円弧状の場合、頂部111の頂点1111と底部112との間の距離Hは36.4 mmとすることができ、底部112の断面幅WAは、215.3 mmとすることができる。更に、図1Cの側面図において、側縁部113が円弧状の場合、頂部111と底部112との間の側縁部113に形成された円弧状プロファイルの曲率半径は、底部112の断面幅WAの65%であることが明示されている。以下に記載する実施形態の内容及び構成要素の一部は、上述した実施形態と類似しているため、2つの実施形態においては同じ要素又は類似要素を表すのに同一参照符号が使用されており、また以下の実施形態において同じ技術内容の記載については省略されている。省略された記載内容については以下において繰り返さないため、上述した実施形態の記載を参照されたい。
【0037】
図2は、本開示の他の実施形態に係るディフューザ100aの概略側面図を示す。図示の実施形態のディフューザ100aは、図1のディフューザ100に類似している。図1A図1Cの実施形態と図2の実施形態との違いは、図示の実施形態において、ディフューザ100aが少なくとも1個の支柱114を更に備えることである。支柱114は、側縁部113に差し込まれ、底部112に対して離れるよう側縁部113から突出している。これにより、ディフューザ100aを、配置又は設置される他の装置に対して有利に対応させることが可能になる。少なくとも1個の支柱114は、第1貫通孔1141を含み、コーン本体110は、第2貫通孔115を含む。また、配線スペースを確保するために、第1貫通孔1141及び第2貫通孔115が接続されている。更に、上面図において、第1貫通孔1141及び第2貫通孔115の断面は涙滴状であるため、電線を挿入するのに有利だが、本開示は貫通孔の形状を限定することを意図しない。製造及び組み立て工程において、支柱114及びコーン本体110は、個別的に製造されても一体的に形成されてもよく、本開示により限定されることはない。更に、上記は第1貫通孔1141及び第2貫通孔115の単なる例示であり、支柱を備えるディフューザを含む他の実施形態においては、支柱及びコーン本体の何れもが中実構造を有することが可能であり、支柱内及びコーン本体内に配置される貫通孔を含まない。また、ディフューザ100aは、音を拡散させるのに適しているため、支柱114の幅は、20 KHzの音波における波長(約1.7 cm)の4分の1よりも小さく構成することができる。これにより、音の伝達は支柱114の配置による影響を受けることがないが、本開示はその点に限定されない。
【0038】
図3は、本開示の一実施形態に係るラウドスピーカ10の概略側面図を示す。図示の実施形態におけるスピーカ10は、ディフューザ100、ツイータースピーカ200及びキャリア300を備える。ツイータースピーカ200は、球面振動板210を有し、その球面振動板は曲率半径Rを有する。ツイータースピーカ200は、例えば、ドーム型の高周波ユニット又は一般的なツイーターとして構成され、約1,500 Hz(ヘルツ)〜20,000 Hzの可聴周波数範囲を有する。一般的に、球面振動板210の曲率半径Rは、約20 mm(ミリメートル)〜27 mmである。ツイータースピーカ200は、キャリア300で支持されている。ただし、他の実施形態において、ツイータースピーカ200は、キャリア300で支持される代わりに他の支持機構で支持されてもよい。ディフューザ100は、ツイータースピーカ200の上方に配置され、ツイータースピーカ200から離間している。更に、スピーカ10を動作させる過程では、ディフューザ100及びツイータースピーカ200が接触しないよう、ディフューザ100及びツイータースピーカ200を少なくとも距離dだけ離間させる。図示のディフューザ100は、頂部111、底部112及び側縁部113を含むコーン本体110で形成されている。底部112及び頂部111は、コーン本体110において互いに対向する2つの側面に位置している。更に、ディフューザ100は、頂部111が底部112とツイータースピーカ200との間に位置するよう配置されている。即ち、コーン本体110の頂部111は、ツイータースピーカ200を指向するよう配置されている。側縁部113は、非球面として形成されており、頂部111と底部112との間で接続されている。頂部111は、部分球面として形成されており、頂部111の曲率半径は、rで表されている。曲率半径rが曲率半径Rよりも大きい場合、ディフューザ100は、例えば1 KHz〜8 KHzの周波数を有する音波の拡散を高めることができるが、この場合にディフューザ100がより高い周波数を有する音波に及ぼす拡散効果は望ましくない。曲率半径rが曲率半径Rよりも小さい場合、音波に対して逆拡散効果を得ることができる。従って、図示の実施形態においては、頂部111の曲率半径rは、2R/3≦r≦Rを満たすものとし、より高い周波数を有する音波に及ぼす拡散効果を高めている。
【0039】
図示の実施形態のディフューザ100は、図1A図1Cに示す実施形態のディフューザ100とほぼ同じである。従って、図示のディフューザ100における構造については上記の記載を参照することが可能であり、上述したディフューザ100の構造については以下に繰り返さない。図示のラウドスピーカ10においては、上述した特徴を備えるディフューザ100を配置することが可能であり、従ってより高い周波数を有する帯域の周波数応答性を適切に高めることができる。このように、ラウドスピーカ10の応答曲線は比較的平坦であり、異なる方向において得られた応答曲線もより均一であり得るため、望ましい音質が実現される。
【0040】
図示の実施形態におけるスピーカ10は、特に、回転対称構造を有するディフューザ100を備える。ディフューザ100の対称軸線は中心軸線Мであり、その中心軸線Мは、例えば、頂部111の頂点1111と頂部111の曲率中心Оとを接続することで規定される。中心軸線Мは更に、ツイータースピーカ200における球面振動板210の天頂2101を通過しているため、ディフューザ100は、ツイータースピーカ200の球面振動板210と実質的に整列している。また、ディフューザ100の頂点1111と球面振動板210の天頂2101との間の距離dは、5 mm以下であることにより、ディフューザ100は、望ましい音拡散効果を実現することができる。更に、距離dは、0.5 mm以上であることにより、ツイータースピーカ200の球面振動板210はディフューザ100と接触しておらず、従って動作過程において球面振動板210の振動が影響を被ることはない。この場合、ディフューザ100の頂点1111と球面振動板210の天頂2101との間の距離dとは、頂点1111と球面振動板210における天頂2101の接平面Bとの間の垂直方向距離を指す。
【0041】
特に、ディフューザ100の底部112(又は側縁部113の最高点)とツイータースピーカ200における球面振動板210の天頂2101との間の垂直方向距離Dは、20.5 mm〜45 mmである。図示の実施形態において、底部112とツイータースピーカ200における球面振動板210の天頂2101との間の垂直方向距離Dは、底部112及び側縁部113が接続された平面Aと球面振動板210との間の垂直方向距離として例示されている。(例えば8 KHzを超える)高周波音波に対する応答性は、距離Dを増加させることで高めることができる。例えば距離Dが増加すると、応答曲線における高周波音波の振幅の減少が小さくなる。ディフューザ100の体積は、距離Dが増加すると大きくなる可能性があるため、設計者は、異なるニーズに応じて、距離Dを決定する必要がある。即ち、ディフューザ100の構造及び寸法及びディフューザ100とツイータースピーカ200との間の距離dは、必要に応じて調整することができる。
【0042】
ディフューザ100における幾つかの実施形態において、第1接続線L1は、頂部111と側縁部113との間の接続点1112を頂部111の曲率中心Оに接続することで規定され、第2接続線L2は、頂部111の頂点1111を曲率中心Оに接続することで規定される。ディフューザ100は、第1接続線L1と第2接続線L2との間の夾角θが30°≦θ≦45°を満たすよう構成することができる。接続点1112の周囲において、底部112に対する側縁部113の傾斜は、約30°〜45°とすることができる。更に、ディフューザ100の底部112に対する側縁部113の傾斜は、頂部111から離れるに伴い低下させることができる。ただし、異なる設計ニーズに合わせて、底部112に対する側縁部113の傾斜は、選択的に増加させることができ、等しく維持することができ、又は頂部111から離れるに伴いセグメント毎に変化させることができる。
【0043】
また、図示の実施形態においては、スピーカ10にキャリア300が更に配置され、そのキャリア300上にツイータースピーカ200が設置され、キャリア300からツイータースピーカ200の球面振動板210が露出している。幾つかの実施形態において、キャリア300は、断面幅Lを有し、ツイータースピーカ200の球面振動板210は、断面幅Wを有し、断面幅Lは、断面幅Wよりも約4倍〜5倍大きく構成することが可能である。ディフューザ100の幅は、キャリア300の幅と同じか又は同様とすることができる。ディフューザ100におけるコーン本体110の底部112の幅も、例えば、球面振動板210の断面幅Wよりも4倍〜5倍大きく構成することが可能である。更に、キャリア300の表面は平坦に形成することができるが、これに限定されない。
【0044】
図4は、本開示の他の実施形態に係るラウドスピーカ10aの概略側面図を示す。図示の実施形態におけるスピーカ10aは、ディフューザ100、ツイータースピーカ200及びキャリア300aを備える。図示の実施形態におけるラウドスピーカ10aは、図3のラウドスピーカ10と類似している。図4に示す実施形態におけるディフューザ100、ツイータースピーカ200及びキャリア300aの相対的な配置関係及び機能と、図3に示す実施形態におけるディフューザ100、ツイータースピーカ200及びキャリア300の相対的な配置関係及び機能はほぼ同様である。ただし、図3の実施形態と図4の実施形態との違いは、図示の実施形態において、キャリア300aが円弧面であること、また、キャリア300aの表面が、ツイータースピーカ200の球面振動板210からより離れていると、球面振動板210における天頂2101の接平面からより離れていることである。
【0045】
図5は、本開示の更に他の実施形態に係るラウドスピーカ10bの概略側面図を示す。図5に示す実施形態におけるラウドスピーカ10bは、図3に示す実施形態におけるラウドスピーカ10に類似している。図示の実施形態におけるラウドスピーカ10bは、ディフューザ100a、ツイータースピーカ200及びキャリア300を備える。図示の実施形態におけるラウドスピーカ10bは、図3の実施形態におけるラウドスピーカ10に類似している。図5に示す実施形態におけるディフューザ100a、ツイータースピーカ200及びキャリア300の相対的な配置関係及び機能と、図3に示す実施形態におけるディフューザ100、ツイータースピーカ200及びキャリア300の相対的な配置関係及び機能はほぼ同様である。ただし、図3の実施形態と図5の実施形態との違いは、図示の実施形態において、ラウドスピーカ10bのディフューザ100aが少なくとも1個の支柱114を更に備えることである。即ち、ラウドスピーカ10bにおけるディフューザ100aの構成は、図2に示すディフューザ100aの構成とほぼ同様である。特に、ディフューザ100aにおいては、支柱114が側縁部113に差し込まれ、底部112に対して離れるよう側縁部113から突出している。これにより、ディフューザ100aは、ツイータースピーカ200の上方に有利に配置することが可能になる。支柱114は、例えば、キャリア300上に当接させるか又は差し込むことができるため、ディフューザ100aのコーン本体110がツイータースピーカ200の上方で固定される。
【0046】
図5に示すように、少なくとも1個の支柱114は、その高さに亘って延びる貫通孔1141を含むことができ、コーン本体110は、第2貫通孔115を含むことができる。また、配線スペースを確保するために、第1貫通孔1141及び第2貫通孔115が接続されている。第1貫通孔1141の断面は涙滴状に構成することができるため、電線を挿入するのに有利だが、本開示により貫通孔の形状が限定されることはない。幾つかの実施形態において、全ての支柱114は、第1貫通孔1141を含まずに中実の支柱として構成することができる。更に、支柱114の幅は、20 KHzの音波における波長の4分の1よりも小さく構成することもできる。これにより、音の伝達は支柱114の影響を受けることがないが、本開示は支柱114の幅を限定することを意図しない。図示の実施形態において、ディフューザ100aを指向するキャリア300の上面は、平面として構成することができる。ただし、他の実施形態において、キャリアの表面は、図4に示す円弧状のキャリア300aの表面のように円弧面として構成してもよい。本開示は、キャリアの表面の構成を限定することを意図しない。
【0047】
図6は、本開示の他の実施形態に係るディフューザ100bの概略側面図を示す。図示の実施形態のディフューザ100bは、図1A図1Cのディフューザ100に類似している。図1A図1Cの実施形態と図6の実施形態との違いは、図示の実施形態において、ディフューザ100bのコーン本体110bが頂部111、底部112b及び側縁部113で形成されており、底部112bが実質的に側縁部113の上端領域で形成されていることである。即ち、底部112bの厚さは、ディフューザ100における底部112の厚さよりも大幅に小さい。
【0048】
図7は、本開示の他の実施形態に係るディフューザ100cの概略側面図を示す。図示の実施形態のディフューザ100cは、図1A図1Cのディフューザ100に類似している。図1A図1Cの実施形態と図7の実施形態との違いは、図示の実施形態において、ディフューザ100cのコーン本体110cが頂部111、底部112b及び側縁部113で形成されており、側縁部113の傾斜が一定であることである。即ち、側縁部113cのプロファイルは、側面図で見て、直線的に形成されている。
【0049】
図8は、本開示の他の実施形態に係るディフューザ100dの概略側面図を示す。図示の実施形態のディフューザ100dは、図7のディフューザ100cに類似している。図7の実施形態と図8の実施形態との違いは、図示の実施形態において、ディフューザ100dのコーン本体110dが頂部111、底部112d及び側縁部113cで形成されており、底部112dが実質的に側縁部113cの上端領域で形成されていることである。即ち、底部112dの厚さは、ディフューザ100cにおける底部112の厚さよりも大幅に小さい。
【0050】
以上述べたように、本開示のディフューザは、少なくともコーン本体で形成され、そのコーン本体は、頂部、底部及び側縁部を含む。頂部は、部分球面として形成されており、2R/3≦r≦Rを満たすことができる。ここに、rは、頂部の曲率半径を表し、Rは、ディフューザに対応するツイータースピーカにおける球面振動板の曲率半径を表している。本開示のディフューザを使用すれば、より高い周波数を有する帯域の周波数応答性を適切に高めることができ、応答曲線が比較的平坦であり、更には、異なる方向に得られた応答曲線をより均一にすることができる。従って、望ましい音質が実現され、音の歪みが低減され、更には、広い領域に亘る音の伝達がより小さなコスト及び体積で実現可能になる。
【0051】
当業者であれば、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、開示された実施形態に様々な修正及び変形を加えることができるのは言うまでもない。従って、様々な修正及び変形が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれるのであれば、本開示に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のディフューザ及びラウドスピーカは、音響システム又はラウドスピーカに適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10,10a,10b ラウドスピーカ
100,100a,100b,100c,100d ディフューザ
110,110b,110c,110d コーン本体
111 頂部
1111 頂点
1112 接続点
112,112b,112d 底部
113,113c, 側縁部
114 支柱
1141 第1貫通孔
115 第2貫通孔
200 ツイータースピーカ
210 球面振動板
2101 天頂
300,300a キャリア
A 平面
B 接平面
O 曲率中心
G 幾何学的中心
R 球面振動板の曲率半径
r 頂部の曲率半径
H 距離
L,W,WA 断面幅
L1 第1接続線
L2 第2接続線
θ 夾角
M 中心軸線
d 距離
D 垂直方向距離
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8