【実施例】
【0023】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、%は重量%、部は重量部を表す。
なお、実施例2、6および7は参考例である。
【0024】
<実施例1>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン75部と水酸化カリウム0.91部を仕込み、窒素置換後に、140℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド372部とプロピレンオキサイド372部を同時に約6時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド999部を約8時間で圧入し、同温度でさらに約8時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)1.66部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−1)と乳酸カリウム(B−1)とを含有してなる金属加工用基油(X−1)を得た。
なお、(A−1)の重量に基づく、(B−1)の重量は0.11重量%であった。また、(A−1)の数平均分子量(Mn)は2220、EO単位の重量は21.3重量%であった。
【0025】
<実施例2>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン120部と水酸化カリウム4.45部を仕込み、窒素置換後に、120℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド265部とプロピレンオキサイド265部を同時に約5時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド1131部を約8時間で圧入し、同温度でさらに約8時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)8.13部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−2)と乳酸カリウム(B−2)とを含有してなる金属加工用基油(X−2)を得た。
なお、(A−2)の重量に基づく、(B−2)の重量は0.57重量%であった。また、(A−2)の数平均分子量(Mn)は1370、EO単位の重量は16.0重量%であった。
【0026】
<実施例3>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン54部と水酸化カリウム14.26部を仕込み、窒素置換後に、100℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド710部とプロピレンオキサイド710部を同時に約6時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド308部を約2時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)26.05部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−3)と乳酸カリウム(B−3)とを含有してなる金属加工用基油(X−3)を得た。
なお、(A−3)の重量に基づく、(B−3)の重量は1.8重量%であった。また、(A−3)の数平均分子量(Mn)は3020、EO単位の重量は41.1重量%であった。
【0027】
<実施例4>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン55部と水酸化ナトリウム4.50部を仕込み、窒素置換後に、120℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド272部とプロピレンオキサイド272部を同時に約4時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、さらにエチレンオキサイド600部を約4時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド600部を約4時間で圧入し、同温度でさらに約6時間反応させ後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)11.51部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−4)と乳酸ナトリウム(B−4)とを含有してなる金属加工用基油(X−4)を得た。
なお、(A−4)の重量に基づく、(B−4)の重量は0.70重量%であった。また、(A−4)の数平均分子量(Mn)は3000、EO単位の重量は50.0重量%であった。
【0028】
<実施例5>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン60部と水酸化セシウム4.55部を仕込み、窒素置換後に、100℃でエチレンオキサイド880部を約6時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド880部を約9時間で圧入し、同温度でさらに約6時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)3.10部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−5)と乳酸セシウム(B−5)とを含有してなる金属加工用基油(X−5)を得た。
なお、(A−5)の重量に基づく、(B−5)の重量は0.37重量%であった。また、(A−5)の数平均分子量(Mn)は2800、EO単位の重量は50.0重量%であった。
【0029】
<実施例6>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン55部と水酸化カリウム4.50部を仕込み、窒素置換後に、120℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド122部とプロピレンオキサイド122部を同時に約4時間で圧入し、同温度でさらに約2時間反応させた後、さらにプロピレンレンオキサイド750部を約6時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、さらにエチレンオキサイド750部を約5時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させ後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)8.22部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−6)と乳酸カリウム(B−6)とを含有してなる金属加工用基油(X−6)を得た。
なお、(A−6)の重量に基づく、(B−6)の重量は0.57重量%であった。また、(A−6)の数平均分子量(Mn)は3000、EO単位の重量は50.0重量%であった。
【0030】
<実施例7>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン60部と水酸化カリウム4.55部を仕込み、窒素置換後に、120℃でプロピレンオキサイド880部を約10時間で圧入し、同温度でさらに約6時間反応させた後、さらにエチレンオキサイド880部を約6時間で圧入し、同温度でさらに約6時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)8.31部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−7)と乳酸カリウム(B−7)とを含有してなる金属加工用基油(X−7)を得た。
なお、(A−7)の重量に基づく、(B−7)の重量は0.57重量%であった。また、(A−7)の数平均分子量(Mn)は2800、EO単位の重量は50.0重量%であった。
【0031】
<実施例8>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン45部と水酸化カリウム4.14部を仕込み、窒素置換後に、120℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド614部とプロピレンオキサイド614部を同時に約4時間で圧入し、同温度でさらに約3時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド384部を約4時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)7.57部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−8)と乳酸カリウム(B−8)とを含有してなる金属加工用基油(X−8)を得た。
なお、(A−8)の重量に基づく、(B−8)の重量は0.57重量%であった。また、(A−8)の数平均分子量(Mn)は3383、EO単位の重量は38.1重量%であった。
【0032】
<実施例9>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン45部と水酸化カリウム4.46部を仕込み、窒素置換後に、120℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド614部とプロピレンオキサイド614部を同時に約4時間で圧入し、同温度でさらに約3時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド512部を約5時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)8.15部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−9)と乳酸カリウム(B−9)とを含有してなる金属加工用基油(X−9)を得た。
なお、(A−9)の重量に基づく、(B−9)の重量は0.57重量%であった。また、(A−9)の数平均分子量(Mn)は3644、EO単位の重量は35.3重量%であった。
【0033】
<実施例10>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン45部と水酸化カリウム4.27部を仕込み、窒素置換後に、120℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド639部とプロピレンオキサイド639部を同時に約4時間で圧入し、同温度でさらに約3時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド384部を約4時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)7.79部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−10)と乳酸カリウム(B−10)とを含有してなる金属加工用基油(X−10)を得た。
なお、(A−10)の重量に基づく、(B−10)の重量は0.57重量%であった。また、(A−10)の数平均分子量(Mn)は3483、EO単位の重量は38.5重量%であった。
【0034】
<実施例11>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン40部と水酸化カリウム4.34部を仕込み、窒素置換後に、120℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド618部とプロピレンオキサイド618部を同時に約4時間で圧入し、同温度でさらに約3時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド459部を約5時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)7.92部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(A−11)と乳酸カリウム(B−11)とを含有してなる金属加工用基油(X−11)を得た。
なお、(A−11)の重量に基づく、(B−11)の重量は0.57重量%であった。また、(A−11)の数平均分子量(Mn)は3944、EO単位の重量は36.4重量%であった。
【0035】
<比較例1>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン75部と水酸化カリウム0.91部を仕込み、窒素置換後に、140℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド372部とプロピレンオキサイド372部を同時に約6時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド999部を約8時間で圧入し、同温度でさらに約8時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、吸着処理剤[キョーワード600、協和化学工業(株)]20部と吸着処理剤[キョーワード1000、協和化学工業(株)]20部を仕込み、1時間撹拌して、さらに吸着剤処理剤をろ過して得られたろ液に、乳酸(Porac社製、88%水溶液)0.149部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(比A−1)と乳酸カリウム(比B−1)とを含有してなる金属加工用基油(比X−1)を得た。
なお、(比A−1)の重量に基づく、(比B−1)の重量は0.01重量%未満であった。また、(比A−1)の数平均分子量(Mn)は2220、EO単位の重量は21.3重量%であった。
【0036】
<比較例2>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン75部と水酸化カリウム9.1部を仕込み、窒素置換後に、140℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド372部とプロピレンオキサイド372部を同時に約2時間で圧入し、同温度でさらに約1時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド999部を約2時間で圧入し、同温度でさらに約2時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)83部、水酸化カリウム36.4部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(比A−2)と乳酸カリウム(比B−2)とを含有してなる金属加工用基油(比X−2)を得た。
なお、(比A−2)の重量に基づく、(比B−2)の重量は5.7重量%であった。また、(比A−2)の数平均分子量(Mn)は2220、EO単位の重量は21.3重量%であった。
【0037】
<比較例3>
ステンレス製加圧反応装置にエチレングリコール40部と水酸化カリウム4.55部を仕込み、窒素置換後に、120℃でエチレンオキサイド688部を約5時間で圧入し、同温度でさらに約2時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド1092部を約8時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)8.31部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(比A−3)と乳酸カリウム(比B−3)とを含有してなる金属加工用基油(比X−3)を得た。
なお、(比A−3)の重量に基づく、(比B−3)の重量は0.57重量%であった。また、(比A−3)の数平均分子量(Mn)は2800、EO単位の重量は37.8重量%であった。
【0038】
<比較例4>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン101部と水酸化カリウム4.31部を仕込み、窒素置換後に、140℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド142部とプロピレンオキサイド142部を同時に約4時間で圧入し、同温度でさらに約3時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド1340部を約6時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)7.88部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(比A−4)と乳酸カリウム(比B−4)とを含有してなる金属加工用基油(比X−4)を得た。
なお、(比A−4)の重量に基づく、(比B−4)の重量は0.57重量%であった。また、(比A−4)の数平均分子量(Mn)は1568、EO単位の重量は8.7重量%であった。
【0039】
<比較例5>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン37部と水酸化カリウム4.42部を仕込み、窒素置換後に、140℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド622部とプロピレンオキサイド622部を同時に約8時間で圧入し、同温度でさらに約5時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド487部を約6時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)8.07部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(比A−5)と乳酸カリウム(比B−5)とを含有してなる金属加工用基油(比X−5)を得た。
なお、(比A−5)の重量に基づく、(比B−5)の重量は0.57重量%であった。また、(比A−5)の数平均分子量(Mn)は4418、EO単位の重量は35.9重量%であった。
【0040】
<比較例6>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン110部と水酸化カリウム4.39部を仕込み、窒素置換後に、140℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド545部とプロピレンオキサイド545部を同時に約7時間で圧入し、同温度でさらに約5時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド557部を約6時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)8.02部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(比A−6)と乳酸カリウム(比B−6)とを含有してなる金属加工用基油(比X−6)を得た。
なお、(比A−6)の重量に基づく、(比B−6)の重量は0.57重量%であった。また、(比A−6)の数平均分子量(Mn)は1464、EO単位の重量は33.1重量%であった。
【0041】
<比較例7>
ステンレス製加圧反応装置にグリセリン51部と水酸化カリウム4.49部を仕込み、窒素置換後に、140℃で予め混合しておいたエチレンオキサイド250部とプロピレンオキサイド250部を同時に約6時間で圧入し、同温度でさらに約4時間反応させた後、さらにプロピレンオキサイド1244部を約8時間で圧入し、同温度でさらに約6時間反応させた後、温度を80℃以下まで冷却後、乳酸(Porac社製、88%水溶液)8.19部を仕込み、1時間撹拌して、ポリエーテル(比A−7)と乳酸カリウム(比B−7)とを含有してなる金属加工用基油(比X−7)を得た。
なお、(比A−7)の重量に基づく、(比B−7)の重量は0.57重量%であった。また、(比A−7)の数平均分子量(Mn)は3262、EO単位の重量は14.3重量%であった。
【0042】
得られた各金属加工用基油(X)及び水性金属加工油(Y)について、下記(1)〜(3)の方法で評価を行った。結果を表1〜2に示す。
【0043】
(1)低温安定性[金属加工用基油(X)]
100mLスクリュー菅瓶(高さ9cm)に、各金属加工用基油(X)を70g仕込み、−7℃で14日間保存した。保存後の金属加工用基油(X)の外観を目視により、以下の基準で評価した。
<評価基準>
○:かすみ、沈降物がない
△:かすみ又は沈降物が、わずかに確認できる
×:かすみ又は沈降物が、多い
【0044】
得られた各金属加工用基油(X)0.5部、イオン交換水97.15部、ノナン酸0.65部、トリエタノールアミン1.7部を、容器に仕込み、混合して、各水性金属加工油(Y)を得た。得られた各水性金属加工油(Y)について、下記(2)〜(3)の方法で評価を行った。
【0045】
(2)低泡性[水性金属加工油(Y)]
300mLトールビーカー(高さ13cm)に、水性金属加工油(Y)を200g仕込み、25℃に温度調整したものをバイオミキサー(日本精器社製、BM−2型)で40秒間撹拌(11,500rpm)することで発生させた泡が消失するまでの時間を測定して、以下の基準で評価した。
<評価基準>
◎:200秒未満
○:200秒以上、250秒未満
△:250秒以上、300秒未満
×:300秒以上
【0046】
(3)加工性[水性金属加工油(Y)]
8M転送タップ(OSG社製、VP−NRT)を取り付けた加工試験機(FUNUC社製、Robodrill α−T14iFa)に水性金属加工油(Y)[85℃で10日間熱履歴をかけたもの]を100L投入し、30℃に温度調整した後、被加工金属として取り付けたSUS304(山陽特殊製鋼社製)を10穴加工(加工速度:2.5m/min.)した際の最大トルク負荷の10穴の数平均値を算出し、以下の基準で評価した。
<評価基準>
☆:2,000N・cm未満
◎:2,000N・cm以上、2,100N・cm未満
○:2,100N・cm以上、2,200N・cm未満
□:2,200N・cm以上、2,300N・cm未満
△:2,300N・cm以上、2,400N・cm未満
×:2,400N・cm以上
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
なお、表1〜2中、例えばEO/POは、EOとPOとのランダム付加を表す。また、EO/PO−EOは、EOとPOとのランダム付加後、EOブロック付加したことを表し、EO/PO−POは、EOとPOとのランダム付加後、POブロック付加したことを表す。
【0050】
表1〜2の結果から、本発明の金属加工用基油(X)は、比較のものと比べて、低温安定性に優れ、水性金属加工油(Y)に優れた低泡性、優れた加工性を付与することがわかる。