【文献】
笠原勇布ほか,ニューラルネットを用いたスタッキングによるMR画像再構成,電子情報通信学会技術研究報告,日本,2017年 1月11日,第116巻, 第393号,第29-30頁
【文献】
RECZKO, M et al.,Neural Networks in MR Image Estimation from Sparsely Sampled Scans,Lecture Notes in Computer Science,1999年,vol.1715,pp.75-86
【文献】
NIE, D et al.,Estimating CT Image from MRI Data Using 3D Fully Convolutional Networks,Deep Learn Data Label Med Appl,2016年 9月27日,2016,pp.170-178
【文献】
TAKESHIMA, H,Integrating Spatial and Temporal Correlations into a Deep Neural Network for Low-delay Reconstructio,Proc.Intl.Soc.Mag.Reson.Med.,2018年 6月,2796
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のMRデータと、前記第1のMRデータと同一の撮像対象且つ前記第1のMRデータに基づかない第2のMRデータとを入力とし、前記第1のMRデータの欠損部分が復元された第3のMRデータを出力とする学習済みモデルに従い、処理対象の第1のMRデータと前記処理対象の第2のMRデータとから、前記処理対象の第3のMRデータを生成する処理部を具備し、
前記学習済みモデルは、前記第3のMRデータとして、前記第1のMRデータのノイズを低減したMRデータを出力する、
医用データ処理装置。
前記第1のMRデータと前記第2のMRデータとは、k空間データ又は前記k空間データに復元処理を施して生成されたMR画像データである、請求項1記載の医用データ処理装置。
複数の関数を合成したパラメータ付き合成関数に対して、前記第1のMRデータと前記第2のMRデータとを適用して推定出力データを生成し、前記推定出力データと正解出力データとが近似するように前記パラメータ付き合成関数のパラメータを更新することにより前記学習済みモデルを生成する学習部を更に備える、請求項1乃至7の何れか一項に記載の医用データ処理装置。
前記処理部は、前記学習済みモデルに従い前記第1フレームのMRデータと前記複数の第2フレームのMRデータとから、前記処理対象の第3のMRデータとして、前記第1フレームのMRデータを生成する、請求項19記載の磁気共鳴イメージング装置。
複数の関数を合成したパラメータ付き合成関数に対して、第1のMRデータと、前記第1のMRデータと同一の撮影対象で且つ前記第1のMRデータに基づかない第2のMRデータとを適用して推定出力データを生成する工程と、
前記推定出力データと、前記第1のMRデータの欠損部分が復元された正解出力データとが近似するように前記パラメータ付き合成関数のパラメータを更新することにより学習済みモデルを生成する工程と、
を具備し、
前記学習済みモデルは、前記推定出力データとして、前記第1のMRデータのノイズを低減したMRデータを出力する、
学習済みモデル生成方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用データ処理装置、磁気共鳴イメージング装置及び学習済みモデル生成方法を説明する。
【0008】
図1は、本実施形態に係る医用データ処理装置1が属する医用データ処理システム100の構成及び処理の概要を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る医用データ処理システム100は、医用データ処理装置1、医用撮像装置3、モデル学習装置5及び学習データ保管装置7を有する。
【0009】
学習データ保管装置7は、複数の学習サンプルを含む学習データを記憶する。例えば、学習データ保管装置7は、大容量記憶装置が内蔵されたコンピュータである。また、学習データ保管装置7は、コンピュータにケーブルや通信ネットワークを介して通信可能に接続された大容量記憶装置であってもよい。当該記憶装置としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等が適宜利用可能である。
【0010】
モデル学習装置5は、学習データ保管装置7に記憶された学習データに基づいて、モデル学習プログラムに従い機械学習モデルに機械学習を行わせ、学習済みの機械学習モデル(以下、学習済みモデルと呼ぶ)を生成する。モデル学習装置5は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサを有するワークステーション等のコンピュータである。モデル学習装置5と学習データ保管装置7とはケーブル又は通信ネットワークを介して通信可能に接続されてもよいし、学習データ保管装置7がモデル学習装置5に搭載されてもよい。この場合、ケーブル又は通信ネットワーク等を介して、学習データ保管装置7からモデル学習装置5に学習データが供給される。モデル学習装置5と学習データ保管装置7とは通信可能に接続されてなくてもよい。この場合、学習データが記憶された可搬型記憶媒体を介して、学習データ保管装置7からモデル学習装置5に学習データが供給される。
【0011】
本実施形態に係る機械学習モデルは、医用データを入力として当該医用データの欠損部分が復元された医用データを出力する、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数及びパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る機械学習モデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であってもよいが、多層のネットワークモデル(以下、多層化ネットワークを呼ぶ)であるとする。
【0012】
医用撮像装置3は、処理対象の医用データを生成する。本実施形態に係る医用データは、概念的に、医用撮像装置3又は他の医用撮像装置により被検体に医用撮像を施すことにより収集された生データや、当該生データに復元処理を施して生成される医用画像データを含む。医用撮像装置3は、医用データを生成可能であれば、如何なるモダリティ装置でもよい。例えば、本実施形態に係る医用撮像装置3は、磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)、X線コンピュータ断層撮影装置(CT装置)、X線診断装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT装置(Single Photon Emission CT)装置及び超音波診断装置等の単一モダリティ装置であってもよいし、PET/CT装置、SPECT/CT装置、PET/MRI装置、SPECT/MRI装置等の複合モダリティ装置であってもよい。
【0013】
医用データ処理装置1は、モデル学習装置5によりモデル学習プログラムに従い学習された学習済みモデルを使用して、医用撮像装置3により収集された処理対象の入力医用データに対応する出力医用データを生成する。医用データ処理装置1とモデル学習装置5とはケーブル又は通信ネットワークを介して通信可能に接続されてもよいし、医用データ処理装置1とモデル学習装置5とが単一のコンピュータに実装されてもよい。この場合、ケーブル又は通信ネットワーク等を介して、モデル学習装置5から医用データ処理装置1に学習済みモデルが供給される。医用データ処理装置1とモデル学習装置5とは、必ずしも通信可能に接続されてなくてもよい。この場合、学習済みモデルが記憶された可搬型記憶媒体等を介して、モデル学習装置5から医用データ処理装置1に学習済みモデルが供給される。学習済みモデルの供給は、医用データ処理装置1の製造から医用施設等への据付の間の任意の時点でもよいし、メンテナンス時でも良く、如何なる時点に行われてもよい。供給された学習済みモデルは、医用データ処理装置1に記憶される。また、医用データ処理装置1は、医用撮像装置3を搭載する医用画像診断装置に搭載されたコンピュータであってもよいし、当該医用画像診断装置にケーブルやネットワーク等を介して通信可能に接続されたコンピュータであってもよいし、当該医用画像診断装置とは独立のコンピュータであってもよい。
【0014】
本実施形態に係る多層化ネットワークの典型的な構成について、以下説明する。ここで、多層化ネットワークとは、層状に並べた隣接層間のみ結合した構造を持ち、情報が入力層側から出力層側に一方向に伝播するネットワークである。本実施形態に係る多層化ネットワークは、
図2に示す様に、入力層(l=1)、中間層(l=2,3,・・・,L−1)、出力層(l=L)のL個の層から構成されるものとする。なお、以下は例を説明するものであって、多層化ネットワークの構成は以下の説明に限定されない。
【0015】
第l層でのユニット数をI個とし、第l層への入力u
(l)を式(1−1)、第l層からの出力z
(l)を式(l−2)の様にそれぞれ表記すると、第l層への入力と第l層からの出力との関係は、式(1−3)によって表すことができる。
【0017】
ここで、右上の添字(l)は層の番号を示す。また、式(1−3)におけるf(u)は、活性化関数であり、ロジスティックシグモイド関数(ロジスティック関数)、双曲線正接関数、正規化線形関数(ReLU:Rectified Liner Unit)、線形写像、恒等写像、マックスアウト関数等、目的に応じて種々の関数を選択することができる。
【0018】
第l+1層でのユニット数をJ個とし、第l層と第l+1層との間の重み付行列W
(l+1)を式(2−1)、第l+1層におけるバイアスb
(l+1)を式(2−2)の様にそれぞれ表記すると、第l+1層への入力u
(l+1)、第l+1層からの出力z
(l+1)は、それぞれ式(2−3)、式(2−4)によって表すことができる。
【0020】
本実施形態に係る多層化ネットワークにおいて、入力層(l=1)には、式(3−1)で表現される医用データが入力される。また、当該入力層においては、入力データxがそのまま出力データz
(1)となるため、式(3−2)の関係が成立する。
【0022】
ここで、入力層に入力される医用データを「入力医用データ」と呼ぶことにすれば、入力医用データxについては、目的に応じて種々の形式を選択することができる。以下、典型例をいくつか列記する。
(1)入力医用データxを一個の画像データとし、各成分x
p(p=1,2,・・・,N)を当該一個の画像データを構成する位置毎の値(ピクセル値或いはボクセル値)として規定する形式。
(2)入力医用データxをM個の画像データ(例えば、互いに撮像条件の異なる複数の画像データ)とし、各成分x
pのうちの1≦p≦qまでを一個目の画像データ、q+1≦p≦rまでを二個目の画像データ、r+1≦p≦sまでを三個目の画像データ、・・・として、入力層において画像データ毎に入力ユニットの範囲を割り当てる形式。
(3)入力医用データxをM個の画像データとし、各成分x
pを一個の画像データの位置毎の値(ピクセル値或いはボクセル値)を縦に並べたベクトルとして規定する形式。
(4)入力医用データxを、k空間データや投影データ等の生データ(RAWデータ)として、(1)〜(3)等を採用する形式。
(5)入力医用データxを、畳み込み処理が施された画像データ又は生データとして、(1)〜(3)等を採用する形式。
【0023】
入力層に続く中間層(l=2,3,・・・,L−1)層においては、式(2−3)、式(2−4)に従う計算を順次実行することで、各層の出力z
(2),・・・z
(L-1)を計算することができる。
【0024】
出力層(第L層)の出力z
(L)を以下の式(4−1)の様に表記する。本実施形態に係る多層化ネットワークは、入力層に入力された画像データxが、入力層側から出力層側に向かって隣接層間でのみ結合しながら伝播する順伝播型ネットワークである。この様な順伝播型ネットワークは、式(4−2)の様な合成関数として表現することができる。
【0026】
式(4−2)によって定義される合成関数は、式(2−3)、式(2−4)より、重み付行列W
(l+1)を用いた各層間の線形関係、各層における活性化関数f(u
(l+1))を用いた非線形関係(又は線形関係)、バイアスb
(l+1)の組み合わせとして定義される。特に、重み付行列W
(l+1)、バイアスb
(l+1)はネットワークのパラメータpと呼ばれる。式(4−2)によって定義される合成関数は、パラメータpをどのように選ぶかで、関数としての形を変える。従って、本実施形態に係る多層化ネットワークは、式(4−2)を構成するパラメータpを適切に選ぶことで、出力層が好ましい結果yを出力することができる関数として、定義することができる。
【0027】
パラメータpを適切に選ぶためには、学習データと誤差関数を用いた学習を実行する。ここで、学習データとは、入力x
nに対する望ましい出力(正解出力)をd
nとすると、式(5−1)のように表現される学習サンプル(x
n,d
n)の集合D(n=1,・・・,S)である。
【0029】
また、誤差関数とは、x
nを入力した多層化ネットワークからの出力と学習データd
nとの近さを表す関数である。誤差関数の代表例としては、二乗誤差関数、最尤度推定関数、交差エントロピー関数等を挙げることができる。どのような関数を誤差関数に選択するかは、多層化ネットワークが取り扱う問題(例えば、回帰問題、二値問題、多クラス分類問題等)に依存する。
【0030】
誤差関数をE(p)と表記し、一つの学習サンプル(x
n,d
n)のみを使用して計算される誤差関数をE
n(p)と表記する。現在のパラメータp
(t)は、勾配降下法に従う場合には誤差関数E(p)の勾配ベクトルを用いた式(6−1)、確率的勾配降下法に従う場合には誤差関数E
n(p)の勾配ベクトルを用いた式(6−3)によって、新たなパラメータp
(t+1)に更新される。
【0032】
ここで、εはパラメータpの更新量の大きさを定める学習係数である。
【0033】
式(6−1)又は式(6−3)に従って、現在のpを負の勾配方向に少し動かし、これを逐次繰り返すことで、誤差関数E(p)を極小にするパラメータpを決定することができる。
【0034】
なお、式(6−1)又は式(6−3)を計算するためには、式(6−2)で示されるE(p)の勾配ベクトル、又は式(6−4)で示されるE
n(p)の勾配ベクトルを計算する必要がある。誤差関数が二乗誤差関数である場合を例とすれば、式(7−1)に示される誤差関数について、各層の重み係数と各ユニットのバイアスとで微分する必要がある。
【0036】
一方、最終出力yが式(4−2)で表される合成関数であることから、E(p)又はE
n(p)の勾配ベクトルの計算は複雑であり、その計算量も膨大なものとなる。
【0037】
この様な勾配計算における不具合は、誤差逆伝播法によって解決することができる。例えば、第l−1層の第iユニットと第l層の第jユニットとを繋ぐ重みw
ji(l)についての誤差関数の微分は、以下の式(8−1)の様に表すことができる。
【0039】
l層の第jユニットへの入力u
j(l)がE
nに与える変化量は、当該第jユニットからの出力z
j(l)を通じて第l+1層の各ユニットkへの各入力u
k(l+1)を変化させることのみを介して生じるものである。このことから、式(8−1)の右辺第1項は、微分の連鎖則を用いて、次の式(9−1)の様に表すことができる。
【0041】
ここで、式(9−1)の左辺をδ
j(l)とおくと、式(10−1)、式(10−2)の関係を使って、式(9−1)は式(10−3)の様に書き直すことができる。
【0043】
式(10−3)より、左辺のδ
j(l)は、δ
k(l+1)(k=1,2,・・・・)から計算できることがわかる。すなわち、一つ上位の出力層側に存在する第l+1層の第kユニットに関するδ
k(l+1)が与えられれば、第l層についてのδ
j(l)を計算することができる。さらに、第l+1層の第kユニットに関するδ
k(l+1)についても、その一つ上位の出力層側に存在する第l+2層の第kユニットに関するδ
k(l+2)が与えられれば、計算することができる。このことを逐次繰り返して最上位層である出力層まで辿ることができる。
【0044】
最初に第L層である出力層の第kユニットに関するδ
k(L)が取得されていれば、式(10−3)を用いて下位側(すなわち入力層側)に向かって逐次計算を繰り返すことにより(逆伝播)、任意層におけるδ
k(l+1)を計算することができる。
【0045】
一方、式(8−1)の右辺第2項については、式(2−3)を第l層について成分で表現した式(11−1)を用いて、式(11−2)の様に計算することができる。
【0047】
従って、第l−1層の第iユニットと第l層の第jユニットとを繋ぐ重みw
ji(l)についての誤差関数の微分は、式(8−1)、式(10−3)によるδ
j(l)、式(11−2)を用いて、以下の式(12−1)の様に表現することができる。
【0049】
式(12−1)から、第l−1層の第iユニットと第l層の第jユニットとを繋ぐ重みw
ji(l)についての誤差関数の微分は、第jユニットに関するδ
j(l)と、第iユニットからの出力であるz
i(l−1)との積で与えらえることがわかる。なお、δ
j(l)についての計算は、上述した様に、式(10−3)を用いて逆伝播により求めることができ、また、逆伝播の最初の値、すなわち、第L層である出力層に関するδ
j(L)は、以下の式(13−1)の様に計算することができる。
【0051】
以上の手順により、本実施形態に係る多層化ネットワークについて、ある学習サンプル(x
n,d
n)を用いた学習を実現することができる。なお、複数の学習サンプルに対する誤差の総和E=Σ
nE
nに関する勾配ベクトルについては、上述した手順を学習サンプル(x
n,d
n)毎に並列的に繰り返し、以下の式(14−1)に示す和を計算することで、取得することができる。
【0053】
以下、本実施形態に係る多層化ネットワークを使用した医用データ処理システム100の詳細について説明する。以下の説明において医用データ処理装置1は、医用撮像装置3に接続され、医用撮像装置3と共に医用画像診断装置に組み込まれているものとする。
【0054】
図3は、本実施形態に係る医用画像診断装置9の構成を示す図である。
図3に示すように、医用画像診断装置9は、医用データ処理装置1と医用撮像装置3とを含む。一例を挙げれば、医用撮像装置3が架台に対応し、医用データ処理装置1は当該架台に接続されたコンソールに対応する。なお、医用データ処理装置1は、医用画像診断装置9の架台に設けられてもよいし、医用画像診断装置9のコンソールでも、架台でもない、別の構成要素によって実現されてもよい。当該別の構成要素としては、例えば、医用画像診断装置9が磁気共鳴イメージング装置である場合における、機械室に設置された、コンソール以外のコンピュータ又は専用の計算装置が挙げられる。
【0055】
医用撮像装置3は、被検体に対し、当該医用撮像装置3のモダリティ装置種に応じた撮像原理の医用撮像を施し、当該被検体に関する生データを収集する。収集された生データは、医用データ処理装置1に伝送される。例えば、生データは、医用撮像装置3が磁気共鳴イメージング装置である場合におけるk空間データであり、X線コンピュータ断層撮影装置である場合における投影データ又はサイノグラムデータ、超音波診断装置である場合におけるエコーデータ、PET装置である場合におけるコインシデンスデータ又はサイノグラムデータ、SPECT装置である場合における投影データ又はサイノグラムデータである。また、医用撮像装置3がX線診断装置である場合、生データはX線画像データである。
【0056】
医用撮像装置3が磁気共鳴イメージング装置の架台である場合、当該架台は、静磁場磁石を介した静磁場の印加の下、傾斜磁場コイルを介した傾斜磁場の印加と送信コイルを介したRFパルスの印加とを繰り返す。RFパルスの印加に起因して被検体から放出されたMR信号が放出される。放出されたMR信号は、受信コイルを介して受信される。受信されたMR信号は、受信回路によりA/D変換等の信号処理が施される。A/D変換後のMR信号は、k空間データと呼ばれる。k空間データは、生データとして医用データ処理装置1に伝送される。
【0057】
医用撮像装置3がX線コンピュータ断層撮影装置の架台である場合、当該架台は、X線管とX線検出器とを被検体回りに回転させながらX線管から被検体にX線を照射し、被検体を透過したX線をX線検出器により検出する。X線検出器においては、検出されたX線の線量に応じた波高値を有する電気信号が発生される。当該電気信号は、データ収集回路によりA/D変換等の信号処理が施される。A/D変換後の電気信号は投影データ又はサイノグラムデータと呼ばれる。投影データ又はサイノグラムデータは、生データとして医用データ処理装置1に伝送される。
【0058】
医用撮像装置3が超音波診断装置の超音波プローブである場合、当該超音波プローブは、複数の超音波振動子から被検体体内に超音波ビームを送信し、被検体体内から反射された超音波を超音波振動子を介して受信する。超音波振動子は、受波した超音波の音圧に応じた波高値を有する電気信号を発生する。当該電気信号は、超音波プローブ等に設けられたA/D変換器によりA/D変換が施される。A/D変換後の電気信号は、エコーデータと呼ばれる。エコーデータは、生データとして医用データ処理装置1に伝送される。
【0059】
医用撮像装置3がPET装置の架台である場合、当該架台は、被検体内に蓄積された放射性核種から発生される陽電子と当該放射性核種の周囲に存在する電子との対消滅に伴い発生する511keVの一対のガンマ線を同時計測回路により同時計測することにより、一対のガンマ線(LOR(Line Of Response))のエネルギー値と検出位置とに関するデジタル値を有するデジタルデータを生成する。当該デジタルデータは、コインシデンスデータ又はサイノグラムデータと呼ばれる。コインシデンスデータ又はサイノグラムデータは、生データとして医用データ処理装置1に伝送される。
【0060】
医用撮像装置3がX線診断装置のCアームである場合、当該Cアームは、当該Cアームに設けられたX線管から発生する。当該Cアームに又は当該Cアームとは独立に設けられたFPD(Flat Panel Display)等のX線検出器により、X線管から発生され被検体を透過したX線を受信する。X線検出器は、検出されたX線の線量に応じた波高値を有する電気信号を発生し、当該電気信号に、A/D変換等の信号処理を施す。A/D変換後の電気信号はX線画像データと呼ばれる。X線画像データは、生データとして医用データ処理装置1に伝送される。
【0061】
図3に示すように、医用データ処理装置1は、ハードウェア資源として、処理回路11、メモリ13、入力インタフェース15、通信インタフェース17及びディスプレイ19を有する。
【0062】
処理回路11は、CPUやGPU等のプロセッサを有する。当該プロセッサがメモリ13等にインストールされたプログラムを起動することにより、撮像制御機能111、通常復元機能112、入力選択機能113、順伝播機能114、画像処理機能115及び表示制御機能116等を実行する。なお、各機能111〜116は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能111〜116を実現するものとしても構わない。
【0063】
撮像制御機能111において処理回路11は、医用撮像装置3を撮像条件に従い制御し、当該被検体に医用撮像を施す。本実施形態に係る撮像条件は、医用撮像装置3による撮像原理と各種の撮像パラメータとを含む。撮像原理は、医用撮像装置3の種類、具体的には、磁気共鳴イメージング装置、X線コンピュータ断層撮影装置、PET装置、SPECT装置及び超音波診断装置に対応する。撮像パラメータは、例えば、FOV(Field Of View)や撮像部位、スライス位置、フレーム(医用画像の時相)、時間分解能、マトリクスサイズ、造影剤の有無等を含む。また、磁気共鳴イメージングの場合、撮像パラメータは、例えば、撮像シーケンスの種別や、TR(Time to Repeat)、TE(Echo Time)、FA(Flip Angle)等のパラメータ、k空間充填軌跡の種別を更に含む。X線コンピュータ断層撮影の場合、撮像パラメータは、X線条件(管電流、管電圧及びX線曝射継続時間等)、スキャン種(ノンヘリカルスキャン、ヘリカルスキャン、同期スキャン等)、チルト角、再構成関数、回転フレームの1回転あたりのビュー数、回転速度及び検出器空間分解能等を更に含む。超音波診断の場合、撮像パラメータは、焦点位置、ゲイン、送信強度、受信強度、PRF、ビーム走査方式(セクタ走査、コンベックス走査、リニア走査等)及び走査モード(Bモード走査、ドプラ走査、カラードプラ走査、Mモード走査、Aモード走査等)を更に含む。
【0064】
通常復元機能112において処理回路11は、医用撮像装置3から伝送された生データに通常の復元処理を施して医用画像を復元する。本実施形態に係る通常の復元処理は、生データから生データへの復元、生データから画像データへの復元、画像データから画像データへの復元の何れも包含する。なお、ある座標系により定義される生データから他の座標系により定義される2次元画像データ又は3次元画像データへの復元処理は再構成処理又は画像再構成処理とも呼ばれる。本実施形態に係る通常の復元処理は、デノイズ型復元やデータ誤差フィードバック型復元等の、後述のDNN復元以外の復元処理を指す。例えば、本実施形態に係る通常の復元処理に係る画像再構成としては、解析学的画像再構成と逐次近似画像再構成とに分類可能である。例えば、MR画像再構成に係る解析学的画像再構成としては、フーリエ変換又は逆フーリエ変換がある。CT画像再構成に係る解析学的画像再構成としては、FBP(filtered back projection)法、CBP(convolution back projection)法又はこれらの応用がある。逐次近似画像再構成としては、EM(expectation maximization)法、ART(algebraic reconstruction technique)法又はこれらの応用等がある。
【0065】
入力選択機能113において処理回路11は、学習済みモデル90への入力医用データを選択する。本実施形態に係る入力医用データは、処理対象の入力医用データ(以下、処理対象入力データと呼ぶ)と補助のための入力医用データ(補助入力データと呼ぶ)とが選択される。処理対象入力データとしては、典型的には、データ欠損が生じている復元対象の医用データが選択される。本実施形態に係るデータ欠損は、被検体に関する所望の医用データに対する実際の医用データの如何なる差異を含む概念である。例えば、データ欠損としては、種々の原因により生ずるノイズに起因するデータ劣化、投影データやk空間データの間引収集等による医用データのサンプリング点数の低下に起因するデータ欠落、A/D変換の過程で生じる連続値から離散値への変換に起因する情報欠落等を含む。補助入力データは、処理対象入力データの欠損部分又は当該部分に実質的に近似する部分を学習済みモデル90に提供して、学習済みモデル90による処理対象入力データのデータ欠損部分の復元を補助するための医用データである。このため、補助入力データは、処理対象入力データの被検体と同一の被検体に関する医用データであり、且つ異なる撮像条件により収集された医用データであるとする。処理対象入力画像と補助入力画像とに係る撮像条件の相違具合は、補助入力画像が処理対象入力画像に実質的に近似していると見做せる程度に設定される。補助入力データを処理対象入力データに係る被検体と同一被検体の医用データに限定することにより、処理対象出力データの精度及び信頼性を確保することができる。補助入力画像は、1セット又は撮像条件が異なる複数セットの医用画像である。
【0066】
順伝播機能114において処理回路11は、被検体に関する処理対象入力データの入力と、当該被検体と同一の被検体に関するものであって処理対象入力データとは異なる撮像条件により収集された補助入力データの入力とを受け付ける。そして処理回路11は、処理対象入力データと補助入力データとに学習済みモデル90を適用し、処理対象入力データに対応する出力医用データを生成する。出力医用データは、処理対象入力データに含まれるデータ欠損部分が復元された医用データである。換言すれば、学習済みモデル90は、データ欠損を含む処理対象入力データと当該データ欠損を補う補助入力データとを入力して当該データ欠損を含まない医用データを出力できるようにパラメータpが学習された多層化ネットワークである。学習済みモデル90の入力と出力との組合せとしては、例えば、
図4及び
図5の態様が考えられる。
【0067】
図4は、学習済みモデル90の入力と出力との組合せの一例を示す図である。例えば、
図4に示すように、学習済みモデル90は、処理対象入力データである処理対象入力画像の入力と補助入力データである補助入力画像の入力とを受け付ける。処理対象入力画像は、処理対象の被検体に関する医用画像データである。補助入力画像は、処理対象の被検体と同一の被検体に関する医用画像データであり、処理対象入力画像とは異なる撮像条件で撮像された医用画像データである。この場合、学習済みモデル90からは処理対象出力画像が出力される。処理対象出力画像は、処理対象入力画像に含まれるデータ欠損部分が復元された、当該処理対象に関する医用画像データである。
【0068】
図5は、学習済みモデル90の入力と出力との組合せの他の例を示す図である。例えば、
図5に示すように、学習済みモデル90には、処理対象入力データである処理対象入力生データの入力と補助入力データである補助入力生データの入力とを受け付ける。処理対象入力生データは、処理対象の被検体に関する生データである。補助入力生データは、処理対象の被検体と同一の被検体に関する生データであり、処理対象入力生データとは異なる撮像条件で撮像された生データである。この場合、学習済みモデル90からは処理対象出力生データが出力される。処理対象出力生データは、処理対象入力生データに含まれるデータ欠損部分が復元された、当該処理対象に関する生データである。
【0069】
なお、本実施形態に係る生データは、医用撮像装置3により収集されたオリジナルの生データのみに限定されない。例えば、本実施形態に係る生データは、通常復元機能112又は順伝播機能114により生成された医用画像に順投影処理を施すことにより生成される計算上の生データであってもよい。また、本実施形態に係る生データは、オリジナルの生データに対してデータ圧縮処理や解像度分解処理、データ補間処理、解像度合成処理等の任意のデータ処理がなされた生データであってもよい。また、本実施形態に係る生データは、3次元の生データの場合、1軸又は2軸のみ復元処理がなされたハイブリッドデータであってもよい。同様に、本実施形態に係る医用画像は、通常復元機能112又は順伝播機能114により生成されたオリジナルの医用画像のみに限定されない。例えば、本実施形態に係る医用画像は、オリジナルの医用画像に対して画像圧縮処理や解像度分解処理、画像補間処理、解像度合成処理等の任意の画像処理がなされた医用画像であってもよい。
【0070】
画像処理機能115において処理回路11は、通常復元機能112により生成された医用画像、順伝播機能114により生成された処理対象出力画像等に種々の画像処理を施す。例えば、処理回路11は、ボリュームレンダリングやサーフェスボリュームレンダリング、画素値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施す。また、処理回路11は、画像処理として位置合わせ処理を行ってもよい。
【0071】
表示制御機能116において処理回路11は、種々の情報をディスプレイ19に表示する。例えば、処理回路11は、通常復元機能112により生成された医用画像、順伝播機能114により生成された処理対象出力画像、画像処理機能115により画像処理された医用画像を表示する。また、処理回路44は、入力選択機能113により選択された処理対象入力データと補助入力データとを表示してもよい。
【0072】
メモリ13は、種々の情報を記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ13は、例えば、モデル学習装置5により生成された学習済みモデルを記憶する。メモリ13は、上記記憶装置以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体や、半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ13は、医用データ処理装置1にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。
【0073】
入力インタフェース15は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路11に出力する。具体的には、入力インタフェース15は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の入力機器に接続されている。入力インタフェース15は、当該入力機器への入力操作に応じた電気信号を処理回路11へ出力する。また、入力インタフェース15に接続される入力機器は、ネットワーク等を介して接続された他のコンピュータに設けられた入力機器でもよい。
【0074】
通信インタフェース17は、医用撮像装置3やモデル学習装置5、学習データ保管装置7、他のコンピュータとの間でデータ通信するためのインタフェースである。
【0075】
ディスプレイ19は、処理回路11の表示制御機能116に従い種々の情報を表示する。例えば、ディスプレイ19は、通常復元機能112により生成された医用画像、順伝播機能114により生成された処理対象出力画像、画像処理機能115により画像処理された医用画像を表示する。また、ディスプレイ19は、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ19としては、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが適宜使用可能である。
【0076】
以下、医用データ処理装置1による処理を説明する。以下の説明において医用データは医用画像であるものとする。
【0077】
図6は、本実施形態に係る学習済みモデル90の詳細な構造を示す図である。
図6に示すように、本実施形態に係る学習済みモデル90は、入力層91、中間層93及び出力層95を有する。入力層91は、処理対象入力画像と補助入力画像とを入力する。処理対象入力画像と補助入力画像とは、上記の入力形式(2)、(3)又は(5)で入力される。例えば、
図6に示すように、(2)の形式が採用される。この場合、処理対象入力画像と補助入力画像との成分(画素値)は、単一の入力ベクトル92として入力層91に入力される。ここで、処理対象入力画像の画素数がq個、補助入力画像の画素数がr個、q+r=N個であるとすると、入力層91にはN個の入力ユニットが設けられる。入力層91は、処理対象入力画像のための入力ユニットの範囲(以下、処理対象範囲と呼ぶ)921と補助入力画像のための入力ユニットの範囲(補助範囲と呼ぶ)922とに区分される。処理対象範囲921は、処理対象入力画像のp番目の画素値x
p(1≦p≦q)が入力されるq個の入力ユニットを含み、補助範囲922は、補助入力画像のp番目の画素値x
p(1≦p≦r)が入力されるr個の入力ユニットを含む。
【0078】
なお、処理対象入力生データと補助入力生データとを学習済みモデル90に入力する場合、処理対象入力生データと補助入力生データとの成分はデータ値である。
【0079】
出力層95は、処理対象出力画像を出力する。処理対象出力画像は、単一の出力ベクトル96の形態で出力層95から出力される。出力ベクトル96は、複数の成分yを含む。各成分yは、処理対象出力画像の各画素の画素値である。出力層95の出力ユニットの範囲961は、単一の処理対象出力画像のための範囲に限定される。成分yの個数Mは、必ずしも処理対象入力画像の画素数qと同数に設定される場合に限らない。個数Mは、画素数qより少なくてもよいし、多くてもよい。
【0080】
処理対象入力画像は、常に処理対象範囲921の入力ユニットに入力され、補助範囲922の入力ユニットに入力されない。逆に、補助入力画像は、常に補助範囲922の入力ユニットに入力され、処理対象範囲921の入力ユニットに入力されない。すなわち、入力層91における処理対象入力画像及び補助入力画像が入力される入力ユニットの位置は、学習済みモデル90による順伝播毎に異ならず、常に固定される。学習済みモデル90は、処理対象範囲921に入力された画像を処理対象入力画像と認識し、補助範囲922に入力された画像を補助入力画像と認識するためである。なお、入力層91における処理対象入力画像及び補助入力画像が入力される入力ユニットの位置は、多層化ネットワークの学習時において処理対象入力画像及び補助入力画像が入力された位置に応じて規定される。すなわち、学習時において処理対象入力画像が入力層91の前半の範囲に入力され、補助入力画像が入力層91の後半の範囲に入力された場合、当該前半の範囲が処理対象入力画像の入力位置に設定され、当該後半の範囲が補助入力画像の入力位置に設定される。
【0081】
なお、上記の説明において処理対象入力画像のための入力ユニットの処理対象範囲921が入力層91の前半に設定され、補助入力画像のための入力ユニットの補助範囲922が入力層91の後半に設定されるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。処理対象入力画像のための入力ユニットの処理対象範囲921が入力層91の後半に設定され、補助入力画像のための入力ユニットの補助範囲922が入力層91の前半に設定されてもよい。
【0082】
補助入力画像は、撮像条件が異なる2セット以上の医用画像であってもよい。この場合、処理対象入力画像と2以上の補助入力画像との成分は、単一の入力ベクトル92として入力層91に入力される。2以上の補助入力画像のための入力ユニットの範囲も、順伝播毎に異ならず、常に固定される事が望ましい。例えば、処理対象入力画像から1秒後のフレームに関する第1の補助入力画像のための入力ユニットの範囲がq〜rであり、2秒後のフレームに関する第2の補助入力画像のための入力ユニットの範囲がr+1〜sである場合、1秒後のフレームに関する第1の補助入力画像は、q〜rの範囲の入力ユニットに入力されるべきであり、r+1〜sの範囲の入力ユニットに入力されない方が望ましい。必要であれば、1秒後のフレームに関する第1の補助入力画像がr+1〜sの範囲の入力ユニットに入力されてもよい。
【0083】
次に、本実施形態に係る医用データ処理装置1による動作例について説明する。以下の説明において本実施形態に係る多層化ネットワークは、生物の脳の神経回路を模した多層のネットワークモデルである深層ニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)であるとする。医用データ処理装置1は、医用撮像装置3により収集された生データに基づいてDNN復元を実行し、当該被検体に関する医用画像データを生成する。本実施形態に係るDNN復元は、学習済みモデル90である学習済みDNN90を利用した、生データから医用画像への復元方法を意味する。
【0084】
本実施形態に係るDNNとしては、如何なる構造のDNNでもよい。例えば、本実施形態に係るDNNとして、ResNet(Residual Network)やDenseNet(Dense Convolutional Network)、U-Net等が利用可能である。
【0085】
図7は、医用データ処理装置1によるDNN復元処理の典型的な流れを示す図である。なお、
図7の開始時においては、医用撮像装置3により被検体に関する処理対象生データが収集され、医用データ処理装置1に伝送されているものとする。処理対象生データは、データ欠損を含んでいる。ユーザにより入力機器等を介してDNN復元処理の開始指示がなされると処理回路11は、DNN復元プログラムを実行し、
図7に示す処理を開始する。
【0086】
図7に示すように、処理回路11は、通常復元機能112を実行する(ステップSA1)。ステップSA1において処理回路11は、処理対象生データに通常の再構成処理を施して処理対象入力画像を生成する。処理対象生データがデータ欠損を含んでいるので、処理対象入力画像の画質は良好ではない。処理対象生データに通常の復元処理を施して生成された処理対象入力画像は仮復元画像と呼ぶこともできる。
【0087】
ステップSA1が行われると処理回路11は、入力選択機能113を実行する(ステップSA2)。ステップSA2において処理回路11は、処理対象入力画像と補助入力画像とを選択する。例えば、処理回路11は、ステップSA1において生成された処理対象入力画像を入力画像として選択する。そして処理回路11は、処理対象入力画像のための補助入力画像を入力画像として選択する。補助入力画像は、処理対象入力画像の被検体と同一被検体に関する医用画像であり、且つ、処理対象入力画像の撮像条件とは異なる撮像条件に基づき収集された医用画像が選択される。処理回路11は、予め定められた規則に従い自動的に補助入力画像を選択してもよいし、ユーザによる入力機器等を介した指示に従い手動的に補助入力画像を選択してもよい。
【0088】
補助入力画像は、使用する学習済みDNN90の種類に応じて選択されてもよい。本実施形態に係る学習済みDNN90は、処理対象入力画像の撮像条件とは相違する補助入力画像の撮像条件毎に生成される。例えば、処理対象入力画像とは異なるスライスの医用画像を補助入力画像とする学習済みDNN90を使用する場合、処理回路11は、処理対象医用画像とは異なるスライスの医用画像を補助入力画像として選択する。例えば、処理対象入力画像のスライスに物理的(空間的及び/又は時間的)に近いスライスの医用画像が補助入力画像として選択される。また、心電同期スキャンの場合、処理対象入力画像のスライスと心位相が同一又は時間的に近い心位相のスライスの医用画像が補助入力画像として選択される。補助入力画像の候補は、メモリ13に予め記憶されている。
【0089】
選択される補助入力画像の個数は、1個でもよいし、複数個でもよい。選択される補助入力画像の個数は、使用するDNNの学習時において入力された補助入力画像の個数に設定される。すなわち、使用するDNNが1個の医用画像を補助入力画像として学習した場合、DNN復元時においても補助入力画像として1個の医用画像が選択される。例えば、DNNの学習時において補助入力画像として2個の医用画像が入力された場合、DNN復元時においても補助入力画像として2個の医用画像が選択される。
【0090】
選択対象の補助入力画像には他の任意の制約を課してもよい。例えば、処理回路11は、処理対象入力画像のFOVと同一のFOVの医用画像に限定して補助入力画像として選択してもよい。また、処理回路11は、処理対象入力画像の撮影日から所定日数(例えば、2箇月)以上前の撮影日の医用画像は、補助入力画像の候補から除外してもよい。
【0091】
ステップSA2が行われると処理回路11は、順伝播機能114を実行する(ステップSA3)。ステップSA3において処理回路11は、メモリ13から、使用する学習済みDNN90を読み出す。読み出し対象の学習済みDNN90は、入力機器を介してユーザにより指定されるとよい。そして処理回路11は、ステップSA2において選択された処理対象入力画像と補助入力画像とに、読み出した学習済みDNN90を適用して処理対象出力画像を生成する。例えば、処理対象入力画像及び補助入力画像を式(3−2)の入力xとして、式(4−1)及び式(4−2)を演算することにより、処理対象出力画像yが算出される。
【0092】
学習済みDNN90は、撮像部位毎に生成され、メモリ13に記憶されてもよい。撮像部位毎に学習済みDNN90を生成することにより、処理対象出力画像の復元精度を向上させることができる。処理回路11は、選択された撮像部位に応じて学習済みDNN90を切り替える。撮像部位は、DNN復元処理の実行時において、ユーザにより入力機器を介して選択されてもよい。この場合、処理回路11は、選択された撮像部位に関連付けられた学習済みDNN90をメモリ13から読み出す。なお、医用撮像のために撮像部位が既に選択されている場合、処理回路11は、選択された撮像部位に関連付けられた学習済みモデル90をメモリ13から自動的に読み出してもよい。医用撮像装置3が撮像部位に応じて異なる機器を使用する場合、当該機器に対応する撮像部位を自動的に特定し、特定された撮像部位に関連付けられた学習済みモデル90をメモリ13から自動的に読み出してもよい。例えば、磁気共鳴イメージングの場合、頭部コイルや腹部コイル等、使用するコイルの種別が撮像部位に応じて異なる。この場合、処理回路11は、使用されたコイルの種別に対応する撮像部位を、コイルの識別子等から特定し、特定された撮像部位に関連付けられた学習済みモデル90をメモリ13から読み出す。
【0093】
ステップSA3が行われると処理回路11は、表示制御機能116を実行する(ステップSA4)。ステップSA4において処理回路11は、ステップS3において生成された処理対象出力画像をディスプレイ19に表示する。
【0094】
以上により、
図7に示すDNN復元処理の流れの説明を終了する。なお、上記のDNN復元処理の流れは一例であり、本実施形態に係るDNN復元処理の流れはこれに限定されない。例えば、医用データ処理装置1が医用画像診断装置9とは独立である場合、処理対象入力画像の候補と補助入力画像の候補との双方が予めメモリ13に記憶され、当該候補の中から処理対象入力画像と補助入力画像とが選択されてもよい。また、生データに対して解像度分解や解像度合成等の前処理が行われてもよいし、処理対象出力画像にボリュームレンダリングや画像解析等の後処理が行われてもよい。また、処理回路11は、ステップSA3の順伝播処理の前段階において処理対象入力画像と補助入力画像とを位置合わせしてもよい。また、使用する学習済みDNN90の読み出し後に、処理対象入力画像と補助入力画像とが選択されてもよい。
【0095】
なお、処理回路11は、処理対象出力画像が生データ以外のデータを使用して生成された事をユーザが理解可能なように、処理対象出力画像を管理するとよい。例えば、処理回路11は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則り管理する場合、処理対象出力画像を処理対象入力画像と補助入力画像とに関連付けることにより、これら3画像を単一の画像セットとして管理する。例えば、処理対象出力画像又は処理対象入力画像の画像ファイルに、処理対象出力画像を処理対象入力画像と補助入力画像とが格納される。また、上記方法以外に又は上記方法と合わせて、処理回路11は、処理対象出力画像のDICOMタグに、補助入力画像の識別情報を割り当ててもよい。これら方法により、処理対象出力画像が当該補助入力画像を使用して生成された証拠を、処理対象出力画像に残すことができる。また、処理回路11は、処理対象入力画像のDICOMタグに、処理対象出力画像の識別情報を割り当ててもよい。これにより、処理対象出力画像の存在を明らかにすることができる。
【0096】
次に、DNN復元処理の具体例について説明する。
【0097】
上記の通り、処理対象入力画像と補助入力画像とは、互いに同一の被検体に関し且つ異なる撮像条件に関する。撮像条件は、撮像原理と複数種の撮像パラメータとにより構成される。撮像パラメータは、共通パラメータと個別パラメータとに分類される。共通パラメータは、処理対象入力画像と補助入力画像とについて同一値に設定される撮像パラメータである。個別パラメータは、処理対象入力画像と補助入力画像とについて異なる値に設定される撮像パラメータである。なお、処理対象入力画像と処理対象出力画像とについては共通パラメータと個別パラメータとが同一値を有する。処理対象入力画像と処理対象出力画像とはデータ欠損量又は画質が異なる。すなわち、処理対象出力画像は、処理対象入力画像に比してデータ欠損量が少ない又は画質が高い。データ欠損量及び画質は画像SD等の画質パラメータにより評価可能である。
【0098】
図8は、本実施形態に係る順伝播処理における学習済みDNNの入力と出力との関係を模式的に示す図である。
図8に示す学習済みDNNは、補助入力画像として、処理対象入力画像とはスライス位置が異なる医用画像を入力する。処理対象出力画像としては、処理対象入力画像と同一のスライス位置に関し、処理対象入力画像に含まれるデータ欠損部分が復元された医用画像が出力される。例えば、
図8に示すように、処理対象入力画像のスライスは位置sAであり、補助入力画像のスライスは位置sAとは異なる位置sBであり、処理対象出力画像のスライスは位置sAである。位置sAに対する位置sBの距離及び角度は、特に限定されないが、DNN復元毎に異ならず常に同一値であるとよい。
図8の場合、個別パラメータはスライス位置であり、共通パラメータは収集シーケンスの種別やk空間充填軌跡の種別、時間分解能等である。
【0099】
図9は、本実施形態に係る順伝播処理における学習済みDNNの入力と出力との関係を模式的に示す他の図である。
図9に示す学習済みDNNは、補助入力画像として、処理対象入力画像とはフレームが異なる医用画像を入力する。本実施形態に係るフレームは、医用画像又は生データの収集時刻に対応する。処理対象出力画像としては、処理対象入力画像と同一のフレームに関し、処理対象入力画像に含まれるデータ欠損部分が復元された医用画像が出力される。例えば、
図9に示すように、処理対象入力画像のフレームは時相tAであり、補助入力画像のフレームは時相tBであり、処理対象出力画像のフレームは時相tAである。時相tAに対する時相tBの時間差は、特に限定されないが、DNN復元毎に異ならず常に同一値であるとよい。
図9の場合、個別パラメータはフレーム(収集時刻)であり、共通パラメータはスライス位置や収集シーケンスの種別、k空間充填軌跡の種別、時間分解能等である。
【0100】
図10は、本実施形態に係る順伝播処理における学習済みDNNの入力と出力との関係を模式的に示す他の図である。
図10に示す学習済みDNNは、補助入力画像として、処理対象入力画像とはスライス位置とフレームとの両方が異なる医用画像を入力する。処理対象出力画像としては、処理対象入力画像と同一のスライス位置及びフレームに関し、処理対象入力画像に含まれるデータ欠損部分が復元された医用画像が出力される。例えば、
図10に示すように、処理対象入力画像のスライスが位置sA且つフレームが時相tAであり、補助入力画像のスライスが位置sB且つフレームが時相tBであり、処理対象出力画像のスライスが位置sA且つフレームが時相tAである。
図10の場合、個別パラメータはスライス位置及びフレームの何れか一方であり、共通パラメータは、収集シーケンスの種別やk空間充填軌跡の種別、時間分解能等である。なお、補助入力画像として複数の画像が選択される場合、複数の補助入力画像についてスライス位置及びフレームの何れか一方のみが異なる値に設定されてもよいし、双方が異なる値に設定されてもよい。
【0101】
図11は、本実施形態に係る順伝播処理における学習済みDNNの入力と出力との関係を模式的に示す他の図である。
図11に示す学習済みDNNは、補助入力画像として、処理対象入力画像とは磁気共鳴イメージングにおけるk空間充填軌跡が異なる。処理対象出力画像としては、処理対象入力画像と同一のk空間充填軌跡であり、処理対象入力画像に含まれるデータ欠損部分が復元された医用画像が出力される。k空間充填軌跡としては、例えば、カーテシアン(Cartesian)スキャン、ラディアル(Radial)スキャン、PROPELLAR(Periodically Rotated Overlapping Parallel Lines with Enhanced Reconstruction)、スパイラル(Spinal)スキャン、スタック・オブ・スターズ(Stack-of-Stars)がある。例えば、
図11に示すように、処理対象入力画像のk空間充填軌跡がラディアルスキャンであり、補助入力画像のk空間充填軌跡がカーテシアンスキャンであり、処理対象出力画像のk空間充填軌跡がラディアルスキャンである。なお、本実施形態に係るk空間充填軌跡は、収集ラインの収集順序も含まれる。本実施形態に係る収集ラインは、カーテシアンスキャンにおける位相エンコードステップ、ラディアルスキャンにおけるスポークに対応する。カーテシアンスキャンの収集順序としては、セントリックオーダやシーケンシャルオーダがある。例えば、処理対象入力画像のk空間充填軌跡がセントリックオーダであり、補助入力画像のk空間充填軌跡がシーケンシャルオーダでもよい。
図11の場合、個別パラメータはk空間充填軌跡の種別であり、共通パラメータは収集シーケンスの種別やスライス位置等である。
【0102】
図12は、本実施形態に係る順伝播処理における学習済みDNNの入力と出力との関係を模式的に示す他の図である。
図12に示す学習済みDNNは、補助入力画像として、処理対象入力画像とは磁気共鳴イメージングにおける収集シーケンスが異なる医用画像を入力する。処理対象出力画像としては、処理対象入力画像と同一の収集シーケンスに関し、処理対象入力画像に含まれるデータ欠損部分が復元された医用画像が出力される。本実施形態に係る収集シーケンスとしては、例えば、グラジェントエコー(GRE:Gradient Echo)シーケンス、スピンエコー(SE:Spin Echo)シーケンス等の収集シーケンスの種類が挙げられる。また、何れのパルスシーケンスにもインバージョンリカバリー(IR:Inversion Recovery)パルスや脂肪飽和パルス等のプリパレーションパルスを挿入されてもよいし、エコープラナー(EPI:Echo Planar Imaging)が用いられてもよい。また、本実施形態に係る収集シーケンスを決定付ける要因としては、収集シーケンスの種類だけでなく、繰り返し時間TRやエコー時間TE、縦緩和時間T1、横緩和時間T2、b値、倍速率等の収集シーケンスの種々のパラメータも含むものとする。例えば、
図12に示すように、処理対象入力画像の収集シーケンスはEPI収集であり、補助入力画像の収集シーケンスはT1W収集であり、処理対象出力画像の収集シーケンスはEPI収集である。
図12の場合、個別パラメータは収集シーケンスの種別であり、共通パラメータはk空間充填軌跡の種別やスライス位置、時間分解能等である。
【0103】
図13は、本実施形態に係る順伝播処理における学習済みDNNの入力と出力との関係を模式的に示す他の図である。
図13に示す学習済みDNNは、処理対象入力画像と2種の補助入力画像とが学習済みDNNに入力される。処理対象出力画像としては、処理対象入力画像と同一の収集シーケンスに関し、処理対象入力画像に含まれるデータ欠損部分が復元された医用画像が出力される。2種の補助入力画像各々は、処理対象入力画像とは収集シーケンスが異なる。例えば、処理対象入力画像の収集シーケンスはb値=500のEPI収集、第1の補助入力画像の収集シーケンスはb値=0のEPI収集、第2の補助入力画像の収集シーケンスはT1W収集である。この場合、処理対象出力画像の収集シーケンスはb値=500のEPI収集である。
図13の場合、個別パラメータは収集シーケンスの種別及びb値の何れか一方であり、共通パラメータはスライス位置やk空間充填軌跡の種別、時間分解能等である。なお、補助入力画像として複数の画像が選択される場合、複数の補助入力画像について収集シーケンスの種別及びb値の何れか一方のみが異なる値に設定されてもよいし、双方が異なる値に設定されてもよい。
【0104】
なお、上記の処理対象入力画像と補助入力画像との類型は一例であり、本実施形態はこれに限定されない。
【0105】
例えば、k空間充填軌跡が異なる2個の入力画像として、以下の類型が挙げられる。処理対象入力画像としてランダム・アンダー・サンプリング(Random Under Sampling)により収集されたMR画像、補助入力画像としてレギュラ・アンダー・サンプリング(Regular Under Sampling)により収集されたMR画像。レギュラ・アンダー・サンプリングは、カーテシアンスキャンによる間引収集である。ランダム・アンダー・サンプリングは、疑似ラディアルスキャンとも呼ばれ、カーテシアンスキャンにより擬似的に放射状の収集ラインに沿ってk空間データを収集する方法である。
【0106】
なお、上記実施形態において医用データ処理装置1は、医用画像診断装置9に含まれるコンピュータであるとした。しかしながら、本実施形態に係る医用データ処理装置は、これに限定されない。
【0107】
図14は、本実施形態に係る他の医用データ処理装置2の構成を示す図である。医用データ処理装置2は、順伝播機能114のための専用の装置である。医用データ処理装置2は、医用画像診断装置9に含まれないコンピュータにより実現されてもよい。また、医用画像診断装置2は、医用画像診断装置9に含まれる又は含まれない、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。以下、医用データ処理装置2は、ASICであるとする。
【0108】
図14に示すように、医用データ処理装置2は、処理回路21、メモリ23、入力インタフェース25及び出力インタフェース27を有する。処理回路21、メモリ23、入力インタフェース25及び出力インタフェース27とはバスを介して互いに接続されている。
【0109】
処理回路21は、順伝播機能114を実行するために設計された回路素子又は論理回路の組合せである。処理回路21は、入力インタフェース25を介して入力された処理対象入力画像と補助入力画像とに、学習済みモデルを適用して処理対象出力画像を生成し、処理対象出力画像を出力インタフェース27を介して出力する。
【0110】
メモリ23は、ROMやRAM等の任意の情報を記憶する回路素子である。例えば、メモリ23は、順伝播機能114の実行時に得られた計算結果等を記憶する。
【0111】
入力インタフェース25は、処理回路21への入力のためのインタフェースである。入力インタフェース25は、例えば、処理対象入力画像と補助入力画像とを処理回路21に入力する。処理対象入力画像と補助入力画像とは、例えば、医用データ処理装置2を搭載するコンピュータにより選択される。
【0112】
出力インタフェース27は、処理回路21からの出力のためのインタフェースである。出力インタフェース27は、例えば、処理回路21から出力された処理対象出力画像をコンピュータ、ネットワーク又は記憶装置等に出力する。
【0113】
上記の構成により、医用データ処理装置2は、医用画像診断装置9に含まれるコンピュータ以外の形態により、順伝播機能114を実行することが可能になる。なお、
図14の医用データ処理装置2の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、医用データ処理装置2は、メモリ23を有さなくてもよい。また、処理回路21には順伝播機能114以外の機能が搭載されてもよい。
【0114】
図15は、モデル学習装置5の構成を示す図である。
図15に示すように、モデル学習装置5は、ハードウェア資源として、処理回路51、メモリ53、入力インタフェース55、通信インタフェース57及びディスプレイ59を有する。
【0115】
処理回路51は、CPUやGPU等のプロセッサを有する。当該プロセッサがメモリ53等にインストールされたDNN復元プログラムを起動することにより、順伝播機能511、逆伝播機能512、更新機能513、判定機能514及び表示制御機能515等を実行する。なお、各機能511〜515は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能511〜515を実現するものとしても構わない。
【0116】
順伝播機能511において処理回路51は、多層化ネットワークに入力医用データを順伝播し、入力医用データに対応する推定出力データを計算する。
【0117】
逆伝播機能512において処理回路51は、多層化ネットワークに誤差を逆伝播し、勾配ベクトルを計算する。誤差は、順伝播機能511により計算された推定出力データと正解出力データとの差分に規定される。
【0118】
更新機能513において処理回路51は、逆伝播機能512により計算された勾配ベクトルに基づいて多層化ネットワークのパラメータを更新する。具体的には、処理回路51は、推定出力医用データと正解出力医用データとが近似するようにパラメータを更新する。
【0119】
判定機能514において処理回路51は、学習処理の終了条件を満たすか否かを判定する。終了条件は、ユーザにより入力機器等を介して任意に設定可能である。
【0120】
表示制御機能515において処理回路51は、学習データや学習結果をディスプレイ59に表示する。
【0121】
メモリ53は、種々の情報を記憶するROMやRAM、HDD、SSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ53は、例えば、多層化ネットワークの学習のためのモデル学習プログラム50を記憶する。メモリ53は、上記記憶装置以外にも、CD、DVD、フラッシュメモリ等の可搬型記憶媒体や、RAM等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ53は、モデル学習装置5にネットワークを介して接続された他のコンピュータ内にあってもよい。
【0122】
入力インタフェース55は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路51に出力する。具体的には、入力インタフェース15は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の入力機器に接続されている。入力インタフェース55は、当該入力機器への入力操作に応じた電気信号を処理回路51へ出力する。また、入力インタフェース55に接続される入力機器は、ネットワーク等を介して接続された他のコンピュータに設けられた入力機器でもよい。
【0123】
通信インタフェース57は、医用データ処理装置1や医用撮像装置3、学習データ保管装置7、他のコンピュータとの間でデータ通信するためのインタフェースである。
【0124】
ディスプレイ59は、処理回路51の表示制御機能515に従い種々の情報を表示する。例えば、ディスプレイ59は、学習データや学習結果を表示する。また、ディスプレイ59は、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI等を出力する。例えば、ディスプレイ19としては、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが適宜使用可能である。
【0125】
次に、モデル学習装置5の処理回路51がモデル学習プログラム50に従い実行するモデル学習処理について説明する。
図16は、モデル学習装置5の処理回路51がモデル学習プログラム50に従い実行するモデル学習処理の典型的な流れを示す図である。
図16の処理は、ユーザ等によりモデル学習処理の開始指示が入力されることを契機として処理回路51は、モデル学習プログラム50を実行することにより開始される。
【0126】
まず処理回路51は、順伝播機能511を実行する(ステップSB1)。ステップSB1において処理回路51は、複数の学習サンプルを含む学習データを入力する。学習データは、学習データ保管装置7から供給される。学習サンプルは、主入力データ、補助入力データ及び正解出力データの組合せである。主入力データと補助入力データとは、同一被検体に関し異なる撮像条件により収集された医用データである。主入力データは、処理対象入力データに対応する。正解出力データは、主入力データを入力してDNNから出力される望ましい出力データ(正解出力あるいは教師データ)である。
【0127】
上記の通り、撮像パラメータは、共通パラメータと個別パラメータとを含む。主入力データと補助入力データとについて、共通パラメータは同一値に設定されるが、個別パラメータは異なる値に設定される。主入力データと正解出力データとについて共通パラメータと個別パラメータとは同一値に設定される。正解出力データは、主入力データよりもデータ欠損が少ない又は画質が高いデータである。例えば、撮像パラメータがMRIの撮像パラメータである場合、主入力データは少ないデータ量を有するk空間データに基づくMR画像であり、正解出力データは主入力データよりも多いデータ量を有するk空間データに基づくMR画像である。例えば、主入力データが間引き収集(スパースサンプリング)により収集されたデータである場合、正解出力データは完全収集(フルサンプリング)により収集されたデータがよい。補助入力データの個別パラメータと正解出力データの個別パラメータとは互いに異なる値に設定される。複数セットの補助入力データがある場合、異なる補助入力データについて個別パラメータは同一値でもよいし異なる値でもよい。正解出力データは、主入力データに由来するが、補助入力データとは無関係である。DNNに入出力されるデータがk空間データである場合、典型的には、正解出力k空間データは、主入力k空間データを包含するが、補助入力k空間データは含まない。DNNに入出力されるデータが画像である場合、典型的には、正解出力画像の再構成に使用するk空間データは、主入力画像の再構成に使用したk空間データを包含するが、補助入力画像の再構成に使用したk空間データは含まない。
【0128】
同一のDNNに入力される複数の学習サンプルに亘り、相違する主入力データの撮像条件と補助入力データの撮像条件との組合せは同一に保たれる。より詳細には、相違する主入力データの撮像条件と補助入力データの撮像条件との組合せは、生成対象のDNNに係る主入力データの撮像条件と補助入力データの撮像条件との組合せに固定される。例えば、
図8のDNNを生成する場合、主入力医用画像に対してスライス位置が異なる医用画像が補助入力画像として選択される。
図9のDNNを生成する場合、主入力医用画像に対してフレームが異なる医用画像が補助入力画像として選択される。
図10のDNNを生成する場合、主入力医用画像に対してスライス位置が異なる医用画像と、フレームが異なる医用画像とが補助入力画像として選択される。
図11のDNNを生成する場合、主入力医用画像に対してk空間充填軌跡が異なる医用画像が補助入力画像として選択される。
図12のDNNを生成する場合、主入力医用画像に対して収集シーケンスが異なる医用画像が補助入力画像として選択される。
図13のDNNを生成する場合、主入力医用画像に対して収集シーケンスが異なる2個の医用画像が補助入力画像として選択される。
【0129】
なお、学習時における主入力医用画像と補助入力画像とは、患者を撮像することにより生成された医用画像に限定されない。例えば、主入力医用画像と補助入力画像として、任意のファントムを撮像することにより生成された医用画像が用いられてもよい。
【0130】
ステップSB1が行われると処理回路51は、主入力データと補助入力データとに基づくDNNの順伝播により出力データを生成する(ステップSB2)。ステップSB2において生成された出力データを推定出力データと呼ぶ。なお、DNNのパラメータは、1回目の順伝播においては初期値に設定されている。例えば、主入力データと補助入力データとを入力として、上記の式(4−1)及び式(4−2)を演算することにより、推定出力データz
(L)が生成される。なお、学習効率及び学習精度の向上のため、順伝播の前段階において主入力データと補助入力データとの位置合わせが行われるとよい。
【0131】
ステップSB2が行われると処理回路51は、逆伝播機能512を実行する(ステップSB3)。ステップSB3において処理回路51は、ステップSB2で生成された推定出力データと、ステップSB1において入力された正解出力データとの誤差を計算する。具体的には、正解出力データd
nから推定出力データz
(L)を減算することにより、式(13−1)により規定される誤差δ
j(L)が算出される。
【0132】
ステップSB3が行われると処理回路51は、ステップSB3において計算された誤差に基づくDNNの逆伝播により勾配ベクトルを計算する(ステップSB4)。具体的には、誤差δ
j(L)に基づき式(6−2)又は式(6−4)の勾配ベクトルが算出される。
【0133】
ステップSB4が行われると処理回路51は、更新機能513を実行する(ステップSB5)。ステップSB5において処理回路51は、ステップSB4において計算された勾配ベクトルに基づきパラメータを更新する。具体的には、勾配ベクトルに基づき式(6−1)又は式(6−3)によりパラメータpが更新される。
【0134】
ステップSB5が行われると処理回路51は、判定機能514を実行する(ステップSB6)。ステップSB6において処理回路51は、終了条件を満たすか否かを判定する。終了条件は、例えば、反復回数が規定回数に到達したことに設定されてもよい。また、終了条件は、勾配ベクトルが閾値未満に到達したことに設定されてもよい。
【0135】
ステップSB6において終了条件を満たさないと判定された場合(ステップSB6:NO)、処理回路11は、同一の学習サンプル又は他の学習サンプルを使用してステップSB1からステップSB6を繰り返す。
【0136】
そしてステップSB6において終了条件を満たすと判定された場合(ステップSB6:YES)、処理回路11は、更新後のDNNを学習済みDNN90として出力する(ステップSB7)。学習済みDNNは、補助入力画像の種類及び個数と共に医用データ処理装置1のメモリ13に記憶される。種類は、具体的には、補助入力画像の撮像条件のうち主入力画像の撮像条件とは異なる撮像条件の種類を示す。例えば、
図8のDNNの場合、種類はスライス位置、個数は1個であり、
図9のDNNの場合、種類はフレーム、個数は1個であり、
図10のDNNの場合、種類はスライス位置及びフレーム、個数は2個であり、
図11のDNNの場合、種類はk空間充填軌跡、個数は1個であり、
図12のDNNの場合、種類は収集シーケンス、個数は1個であり、
図13のDNNの場合、種類は収集シーケンス、個数は2個である。
【0137】
以上により、本実施形態に係るモデル学習装置5によるモデル学習処理の説明を終了する。なお、上記の学習処理の流れは一例であり、本実施形態はこれに限定されない。
【0138】
上記の通り、本実施形態に係るモデル学習プログラム50は、モデル学習装置5に、少なくとも順伝播機能511と更新機能513とを実行させる。順伝播機能511は、同一対象に関し且つ撮像条件が異なる主入力データと補助入力データとを入力する入力層と、主入力データに対応する出力データを出力する出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1つの中間層とを有する多層化ネットワークに対して、主入力データと補助入力データとを適用して推定出力データを生成する。更新機能513は、推定出力データと正解出力データとが近似するように多層化ネットワークのパラメータを更新する。
【0139】
上記の構成により、本実施形態に係るモデル学習プログラム50は、主入力データのデータ欠損部分が復元された出力データを出力するため、主入力データだけでなく補助入力データも入力データに使用して多層化ネットワークのパラメータを学習する。これにより、本実施形態に係るモデル学習プログラム50は、パラメータの学習に際し、主入力データに含まれない、より多くの情報を利用することができる。これにより、主入力データのみを入力データとして使用する場合に比して、学習済みモデル90による医用データの復元精度を向上させることができる。
【0140】
また、上記の通り、本実施形態に係る医用データ処理装置1は、メモリ13と処理回路11とを有している。メモリ13は、学習済みモデル90を記憶する。学習済みモデル90は、同一対象に関し且つ撮像条件が異なる主入力データと補助入力データとを入力する入力層と、主入力データに対応する出力データを出力する出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1つの中間層とを有する。処理回路11は、被検体に関する処理対象入力データと被検体と同一の被検体に関し処理対象入力データとは撮像条件が異なる補助入力データとに学習済みモデルを適用し、被検体に関する処理対象出力データを生成する。
【0141】
上記の構成により、本実施形態に医用データ処理装置1は、補助入力データにより処理対象入力データの欠損部分を補うことができるので、処理対象入力データのみを入力データとして使用する場合に比して、学習済みモデル90による医用データの復元精度を向上させることができる。
【0142】
なお、モデル学習装置5のメモリ53に記憶されているモデル学習プログラム50は、医用データ処理装置1のメモリ13に記憶されてもよい。すなわち、モデル学習装置5の学習機能である順伝播機能511、逆伝播機能512、更新機能513、判定機能514及び表示制御機能515は、医用データ処理装置1の処理回路11により実現されてもよい。
【0143】
(応用例)
上記の説明においては、補助入力画像の生成タイミングについて特に限定しなかった。以下の応用例においては、単一の検査において複数の医用画像が順番に生成され、生成された複数の医用画像の中から順次、処理対象医用画像と補助入力画像とが選択されるものとする。以下、生データから医用画像データへの復元処理は再構成処理であるものとする。なお、以下の説明において、上記実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0144】
応用例1:磁気共鳴イメージング検査
磁気共鳴イメージング検査は、磁気共鳴イメージング装置により行われる。応用例1において医用撮像装置3は磁気共鳴イメージング装置のMR架台であるとする。
【0145】
図17は、応用例1に係る磁気共鳴イメージング装置9−1の構成を示す図である。
図17に示すように、磁気共鳴イメージング装置9−1は、架台20−1、寝台31−1、傾斜磁場電源21−1、送信回路23−1、受信回路25−1、寝台駆動装置27−1、シーケンス制御回路29−1及び医用データ処理装置1−1を有する。
【0146】
架台20−1は、静磁場磁石41−1と傾斜磁場コイル43−1とを有する。静磁場磁石41−1と傾斜磁場コイル43−1とは架台20−1の筐体に収容されている。架台20−1の筐体には中空形状を有するボアが形成されている。架台20−1のボア内には送信コイル45−1と受信コイル47−1とが配置される。
【0147】
静磁場磁石41−1は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。静磁場磁石41−1としては、例えば、永久磁石、超伝導磁石または常伝導磁石等が使用される。ここで、静磁場磁石41−1の中心軸をZ軸に規定し、Z軸に対して鉛直に直交する軸をY軸に規定し、Z軸に水平に直交する軸をX軸に規定する。X軸、Y軸及びZ軸は、直交3次元座標系を構成する。
【0148】
傾斜磁場コイル43−1は、静磁場磁石41−1の内側に取り付けられ、中空の略円筒形状に形成されたコイルユニットである。傾斜磁場コイル43−1は、傾斜磁場電源21−1からの電流の供給を受けて傾斜磁場を発生する。より詳細には、傾斜磁場コイル43−1は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸に対応する3つのコイルを有する。当該3つのコイルは、X軸、Y軸、Z軸の各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を形成する。X軸、Y軸、Z軸の各軸に沿う傾斜磁場は合成されて互いに直交するスライス選択傾斜磁場Gs、位相エンコード傾斜磁場Gp及び周波数エンコード傾斜磁場Grが所望の方向に形成される。スライス選択傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード傾斜磁場Gpは、空間的位置に応じてMR信号の位相を変化させるために利用される。周波数エンコード傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてMR信号の周波数を変化させるために利用される。なお、以下の説明においてスライス選択傾斜磁場Gsの傾斜方向はZ軸、位相エンコード傾斜磁場Gpの傾斜方向はY軸、周波数エンコード傾斜磁場Grの傾斜方向はX軸であるとする。
【0149】
傾斜磁場電源21−1は、シーケンス制御回路29−1からのシーケンス制御信号に従い傾斜磁場コイル43−1に電流を供給する。傾斜磁場電源21−1は、傾斜磁場コイル43−1に電流を供給することにより、X軸、Y軸及びZ軸の各軸に沿う傾斜磁場を傾斜磁場コイル43−1により発生させる。当該傾斜磁場は、静磁場磁石41−1により形成された静磁場に重畳されて被検体Pに印加される。
【0150】
送信コイル45−1は、例えば、傾斜磁場コイル43−1の内側に配置され、送信回路23−1から電流の供給を受けて高周波磁場パルス(以下、RF磁場パルスと呼ぶ)を発生する。
【0151】
送信回路23−1は、被検体P内に存在する対象プロトンを励起するためのRF磁場パルスを送信コイル45−1を介して被検体Pに印加するために、送信コイル45−1に電流を供給する。RF磁場パルスは、対象プロトンに固有の共鳴周波数で振動し、対象プロトンを励起させる。励起された対象プロトンから磁気共鳴信号(以下、MR信号と呼ぶ)が発生され、受信コイル47−1により検出される。送信コイル45−1は、例えば、全身用コイル(WBコイル)である。全身用コイルは、送受信コイルとして使用されてもよい。
【0152】
受信コイル47−1は、RF磁場パルスの作用を受けて被検体P内に存在する対象プロトンから発せられるMR信号を受信する。受信コイル47−1は、MR信号を受信可能な複数の受信コイルエレメントを有する。受信されたMR信号は、有線又は無線を介して受信回路25−1に供給される。
図1に図示しないが、受信コイル47−1は、並列的に実装された複数の受信チャネルを有している。受信チャネルは、MR信号を受信する受信コイルエレメント及びMR信号を増幅する増幅器等を有している。MR信号は、受信チャネル毎に出力される。受信チャネルの総数と受信コイルエレメントの総数とは同一であってもよいし、受信チャネルの総数が受信コイルエレメントの総数に比して多くてもよいし、少なくてもよい。
【0153】
受信回路25−1は、励起された対象プロトンから発生されるMR信号を受信コイル47−1を介して受信する。受信回路25−1は、受信されたMR信号を信号処理してデジタルのMR信号を発生する。デジタルのMR信号は、空間周波数により規定されるk空間にて表現することができる。よって、以下、デジタルのMR信号をk空間データと呼ぶことにする。k空間データは、画像再構成に供される生データの一種である。k空間データは、有線又は無線を介して信号データ処理装置50−1に供給される。
【0154】
なお、上記の送信コイル45−1と受信コイル47−1とは一例に過ぎない。送信コイル45−1と受信コイル47−1との代わりに、送信機能と受信機能とを備えた送受信コイルが用いられてもよい。また、送信コイル45−1、受信コイル47−1及び送受信コイルが組み合わされてもよい。
【0155】
架台20−1に隣接して寝台31−1が設置される。寝台31−1は、天板33−1と基台35−1とを有する。天板33−1には被検体Pが載置される。基台35−1は、天板33−1をX軸、Y軸、Z軸各々に沿ってスライド可能に支持する。基台35−1には寝台駆動装置27−1が収容される。寝台駆動装置27−1は、シーケンス制御回路29−1からの制御を受けて天板33−1を移動する。寝台駆動装置27−1は、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の如何なるモータ等を含んでもよい。
【0156】
シーケンス制御回路29−1は、ハードウェア資源として、CPUあるいはMPU(のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。シーケンス制御回路29−1は、処理回路11の撮像制御機能111により決定された撮像プロトコルに基づいて傾斜磁場電源21−1、送信回路23−1及び受信回路25−1を同期的に制御し、当該撮像プロトコルに応じたパルスシーケンスを実行して被検体PをMR撮像し、被検体Pに関するk空間データを収集する。
【0157】
図17に示すように、医用データ処理装置1−1は、処理回路11、メモリ13、入力インタフェース15、通信インタフェース17及びディスプレイ19を有するコンピュータである。医用データ処理装置1−1は上記医用データ処理装置1と同等であるので、説明を省略する。
【0158】
図18は、応用例1に係る医用データ処理装置1−1の処理を模式的に示す図である。
図18に示す検査においては、まず、b値=0のEPI収集が行われる(ステップSP1)。ステップSP1において処理回路11は、まず撮像制御機能111を実行して医用撮像装置(磁気共鳴イメージング装置の架台)3にb値=0のEPI収集を行わせる。検査の第1段階であるステップSP1においては、k空間データの完全収集(フル収集)が行われる。完全収集は、k空間の全ての収集ラインについてk空間データを収集することである。k空間データが収集されると処理回路11は、通常復元機能112を実行する。通常復元機能112において処理回路11は、ステップSP1において収集されたk空間データにFFT(Fast Fourier Transfer)を施してb値=0に関するFFT再構成画像を生成する。
【0159】
ステップSP1が行われると処理回路11は、撮像制御機能111を実行して架台20にb値=500のEPI収集を行わせる(ステップSP2)。ステップSP2においては、k空間データの間引収集(スパース収集)が行われる。間引収集は、k空間の全ての収集ラインのうちの幾つかの収集ラインに限定してk空間データを収集することである。間引収集は、例えば、パラレルイメージングやハーフフーリエ法、圧縮センシング等により行われる。スパース収集により撮像時間を短縮させることができる。また、ステップSP2とステップSP1とにおける撮像部位又はスライス位置は同一である。k空間データが収集されると処理回路11は、通常復元機能112を実行する。通常復元機能112において処理回路11は、ステップSP2において収集されたk空間データにFFTを施してb値=500に関するFFT再構成画像を生成する。ステップSP2のFFT再構成画像は、b値の上昇及び間引収集に起因する画質劣化を含んでいる。
【0160】
b値=500に関するFFT再構成画像が生成された場合、処理回路11は、入力選択機能113を実行する。
図18に示すように、入力選択機能113において処理回路11は、完全収集によるb値=0に関するFFT再構成画像を補助入力画像として選択し、間引収集によるb値=500に関するFFT再構成画像を処理対象入力画像として選択する。当該処理対象入力画像は、間引収集に基づく画像であるので、完全収集に基づく補助入力画像に比してデータが間引かれている。
【0161】
次に処理回路11は、順伝播機能114を実行する。順伝播機能114において処理回路11は、まず、メモリ13から、間引収集によるb値=500に関するFFT再構成画像を処理対象入力画像とし、完全収集によるb値=0に関するFFT再構成画像を補助入力画像とし、b値=500に関するDNN再構成画像を処理対象出力画像とする学習済みDNN(Forb=500)を読み出す。次に処理回路11は、間引収集によるb値=500に関するFFT再構成画像を、読み出した学習済みDNN(Forb=500)の入力層91の処理対象範囲921に入力し、完全収集によるb値=0に関するFFT再構成画像を補助範囲922に入力する。そして処理回路11は、間引収集によるb値=500に関するFFT再構成画像と完全収集によるb値=0に関するFFT再構成画像とを学習済みDNN(Forb=500)に順伝播を行う。これにより、b値の上昇及び間引収集に伴う画質劣化が低減された、b値=500に関するDNN再構成画像が生成される。
【0162】
また、ステップSP2が行われると処理回路11は、撮像制御機能111を実行して架台20にT1W収集が行われる(ステップSP3)。ステップSP3においても、撮像時間の短縮のため、k空間データの間引収集(スパース収集)が行われる。また、ステップSP3とステップSP1とにおける撮像部位又はスライス位置は同一である。k空間データが収集されると処理回路11は、通常復元機能112を実行する。通常復元機能112において処理回路11は、ステップSP3において収集されたk空間データにFFTを施してT1W画像を生成する。生成されたT1W画像は、間引収集されたk空間データから再構成されているので、画質劣化を含んでいる。
【0163】
T1Wに関するFFT再構成画像が生成された場合、処理回路11は、入力選択機能113を実行する。
図18に示すように、入力選択機能113において処理回路11は、完全収集によるb値=0に関するFFT再構成画像を補助入力画像として選択し、間引収集によるT1Wに関するFFT再構成画像を処理対象入力画像として選択する。
【0164】
次に処理回路11は、順伝播機能114を実行する。順伝播機能114において処理回路11は、まず、メモリ13から、間引収集によるT1Wに関するFFT再構成画像を処理対象入力画像とし、完全収集によるb値=0に関するFFT再構成画像を補助入力画像とし、T1Wに関するDNN再構成画像を処理対象出力画像とする学習済みDNN(ForT1W)を読み出す。次に処理回路11は、間引収集によるT1Wに関するFFT再構成画像を、学習済みDNN(ForT1W)の入力層91の処理対象範囲921に入力し、完全収集によるb値=0に関するFFT再構成画像を補助範囲922に入力する。そして処理回路11は、間引収集によるT1Wに関するFFT再構成画像と完全収集によるb値=0に関するFFT再構成画像とを学習済みDNN(ForT1W)に順伝播する。これにより、間引収集に伴う画質劣化が低減した、T1Wに関するDNN再構成画像が生成される。
【0165】
上記の通り、応用例1によれば、磁気共鳴イメージングに関する検査の実行により収集される一連のMR画像の中から処理対象入力画像と補助入力画像とが選択される。具体的には、検査のうちの1ステップ目は完全収集を行い、2ステップ目以降は間引収集を行う。完全収集に基づくMR画像を補助入力画像とし、間引収集に基づく各MR画像を処理対象入力画像として学習済みDNNの順伝播が行われる。これにより、検査時間を短縮しつつ、間引収集に基づく高精細のMR画像を生成及び表示することができる。また、間引収集を行っても高画質のMR画像を生成することが可能になるので、k空間データの間引き率を更に上昇させ、検査時間を更に短縮することも可能になる。また、応用例1によれば、比較的大きいb値を用いた撮像による画質劣化等の各収集シーケンス固有の画質劣化も、主入力データと補助入力データとの2入力データを用いた学習済みDNNにより低減することができる。
【0166】
次に、磁気共鳴イメージングの動作撮像への応用について説明する。磁気共鳴イメージングにおいて動画撮像は、如何なる種別のk空間充填軌跡でも実行可能であるが、以下の例においては、比較的時間分解能に優れたラディアルスキャンに基づく動画撮像であるとする。MR画像は2次元画像であっても3次元画像であってもよい。ラディアルスキャンに基づく3次元画像の動画撮像として、例えば、3次元ラディアルスキャンやスタック・オブ・スターズが適用可能である。
【0167】
処理回路11は、撮像制御機能111の実現により、シーケンス制御回路29−1を制御して被検体Pに動画撮像を実行する。動画撮像において処理回路11は、時系列の複数フレームのk空間データを収集する。通常復元機能112の実現により、処理回路11は、時系列の複数フレームのk空間データに基づいて時系列の複数フレームのMR画像を即時的に生成する。MR画像の再構成法は、如何なる方法でも構わないが、MR画像生成に関する即応性を高めるため、処理時間の短い再構成法が用いられるとよい。このような再構成法として、例えば、ジャクソン法やグリッディング法、AUTOMAP(Bo Zhu et al. Nature 22 March 2018, doi:10.1038/nature25988)を用いた再構成法を用いることが可能である。ラディアルスキャンでは、k空間データにおいてサンプル点が非等間隔で配列される。処理回路11は、ジャクソン法により、非等間隔のk空間データを等間隔のk空間データに復元する。そして処理回路11は、等間隔のk空間データにFFTを適用してMR画像を生成する。
【0168】
入力選択機能113の実現により、処理回路11は、時系列の複数フレームのMR画像から処理対象入力画像と補助入力画像とを選択する。なお、時系列の複数フレームのk空間データ又はMR画像は、共通パラメータがスライス位置、k空間充填軌跡の種別(ラディアルスキャン)及び時間分解能であり、個別パラメータが収集時刻又はフレームであるといえる。例えば、処理回路11は、最新フレームのMR画像を処理対象入力画像として選択し、最新フレームよりも所定フレーム前のMR画像を補助入力画像として選択する。所定フレームについては、最新フレームの1フレーム前のフレームでもよいし、2フレーム以上前のフレームでもよく、特に限定されない。
【0169】
順伝播機能114の実現により、処理回路11は、選択された処理対象入力画像(最新フレームのMR画像)と補助入力画像(過去フレームのMR画像)とを、画像のデノイズ用の学習済みDNN90に入力し、処理対象出力画像(最新フレームのDNN再構成画像)を即時的に出力する。最新フレームのDNN再構成画像は、表示制御機能116の実現により、ディスプレイ19に表示される。処理回路11は、最新フレームのMR画像が生成される毎に入力選択機能113と順伝播機能114とを実行し、最新フレームのDNN再構成画像を生成し、表示制御機能116の実現により、ディスプレイ19に表示する。これにより、DNN再構成画像についても即時的に動画表示することができる。
【0170】
なお、処理回路11は、画像のデノイズ用の学習済みDNN90を用いるものとしたが、k空間データのデノイズ用の学習済みDNN90を用いても良い。この場合、処理回路11は、入力選択機能113の実現により、時系列の複数フレームのk空間データから処理対象入力k空間データと補助入力k空間データとを選択する。順伝播機能114の実現により、処理回路11は、選択された処理対象入力k空間データ(最新フレームのk空間データ)と補助入力k空間データ(過去フレームのk空間データ)とを、k空間データのデノイズ用の学習済みDNN90に入力し、処理対象出力k空間データ(最新フレームのDNNk空間データ)を即時的に出力する。その後、処理回路11は、通常復元機能112の実現により、最新フレームのDNNk空間データにFFT等を施してDNN再構成画像を生成し、表示制御機能116の実現により、DNN再構成画像を即時的に動画表示する。
【0171】
応用例2:X線コンピュータ断層撮影検査
X線コンピュータ断層撮影装置検査は、X線コンピュータ断層撮影装置により行われる。応用例2において医用撮像装置3はX線コンピュータ断層撮影装置のCT架台であるとする。
【0172】
図19は、X線コンピュータ断層撮影装置9−2の構成を示す図である。なお、
図19には説明の都合のため複数のCT架台3−2が描画されているが、典型的にはX線コンピュータ断層撮影装置9−2が装備する架台3−2は1台である。
【0173】
図19に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置9−2は、架台3−2、寝台30−2及び医用データ処理装置(コンソール)1−2を有する。架台3−2は、被検体PをX線CT撮影するための構成を有するスキャン装置である。寝台30−2は、X線CT撮影の対象となる被検体Pを載置し、被検体Pを位置決めするための搬送装置である。医用データ処理装置1−2は、架台3−2を制御するコンピュータである。例えば、架台3−2及び寝台30−2は検査室に設置され、医用データ処理装置1−2は検査室に隣接する制御室に設置される。架台3−2、寝台30−2及び医用データ処理装置1−2は互いに通信可能に有線または無線で接続されている。
【0174】
図19に示すように、架台3−2は、X線管21−2、X線検出器12−2、回転フレーム13−2、X線高電圧装置24−2、制御装置25−2、ウェッジフィルタ26−2、コリメータ27−2及びデータ収集回路(DAS:Data Acquisition System)28−2を有する。
【0175】
X線管21−2は、X線を発生する。具体的には、X線管21−2は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極と、陰極と陽極とを保持する真空管とを含む。X線管21−2は、高圧ケーブルを介してX線高電圧装置24−2に接続されている。陰極には、X線高電圧装置24−2によりフィラメント電流が供給される。フィラメント電流の供給により陰極から熱電子が発生する。陰極と陽極との間には、X線高電圧装置24−2により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔して陽極に衝突し、X線が発生する。発生されたX線は、被検体Pに照射される。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより管電流が流れる。
【0176】
X線検出器22−2は、X線管21−2から発生され被検体Pを通過したX線を検出し、検出されたX線の線量に対応した電気信号をDAS28−2に出力する。X線検出器22−2は、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向)に複数配列された構造を有する。X線検出器22−2は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドは、コリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれることもある。光センサアレイは、シンチレータからの光の光量に応じた電気信号に変換する。光センサとしては、例えば、フォトダイオードが用いられる。
【0177】
回転フレーム23−2は、X線管21−2とX線検出器22−2とを回転軸Z回りに回転可能に支持する円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム23−2は、X線管21−2とX線検出器22−2とを対向支持する。回転フレーム23−2は、固定フレーム(図示せず)に回転軸Z回りに回転可能に支持される。制御装置25−2により回転フレーム23−2が回転軸Z回りに回転することによりX線管21−2とX線検出器22−2とを回転軸Z回りに回転させる。回転フレーム23−2の開口部29−2には、画像視野(FOV:Field Of View)が設定される。
【0178】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム23−2の回転軸又は寝台30−2の天板33−2の長手方向をZ方向、Z方向に直交し床面に対し水平である方向をX方向、Z方向に直交し床面に対し垂直である方向をY方向と定義する。
【0179】
X線高電圧装置24−2は、高電圧発生装置とX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管21−2に印加する高電圧及びX線管21−2に供給するフィラメント電流を発生する。X線制御装置は、X線管21−2に印加する高電圧とX線管21−2に供給フィラメント電流とを制御する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置24−2は、架台3−2内の回転フレーム23−2に設けられてもよいし、架台3−2内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。
【0180】
ウェッジフィルタ26−2は、被検体Pに照射されるX線の線量を調節する。具体的には、ウェッジ26−2は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線の線量が予め定められた分布になるようにX線を減衰する。例えば、ウェッジ26−2としては、アルミニウム等の金属が加工されることにより形成された金属フィルタが用いられる。ウェッジフィルタ26−2は、所定のターゲット角度や所定の厚みを有するように加工される。なおウェッジフィルタ26−2はボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
【0181】
コリメータ27−2は、ウェッジフィルタ26−2を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ27−2は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。なお、コリメータ27−2は、X線絞りとも呼ばれる。
【0182】
DAS28−2は、X線検出器22−2により検出されたX線の線量に応じた電気信号をX線検出器22−2から読み出し、読み出した電気信号を増幅し、ビュー期間に亘り電気信号を積分することにより当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有する検出データを収集する。検出データは、投影データとも呼ばれる。DAS28−2は、例えば、投影データを生成可能な回路素子を搭載したASICにより実現される。DAS28−2により生成された投影データ(検出データ)は、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台3−2の非回転部(例えば、固定フレーム)に設けられた発光ダイオード(LED)を有する受信機に送信され、受信機から医用データ処理装置3−2に伝送される。なお、回転フレーム23−2から架台3−2の非回転部への投影データの送信方式は、前述の光通信に限定されず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式であってもよい。
【0183】
寝台30−2は、基台35−2及び天板33−2を備える。基台35−2は、床面に設置される。基台35−2は、支持フレームを、床面に対して垂直方向(Y方向)に移動可能に支持する構造体である。支持フレームは、基台35−2の上部に設けられるフレームである。支持フレームは、天板33−2を中心軸Zに沿ってスライド可能に支持する。天板33−2は、被検体Pが載置される柔軟性を有する板状構造体である。寝台駆動装置は、寝台30−2に収容される。寝台駆動装置は、被検体Pが載置された天板33−2を移動させるための動力を発生するモータ又はアクチュエータである。寝台駆動装置は、制御装置25−2又は医用データ処理装置1−2等による制御に従い作動する。
【0184】
制御装置25−2は、処理回路11による撮影制御機能111に従いX線CT撮影を実行するためにX線高電圧装置24−2、DAS28−2及び寝台30−2を制御する。制御装置25−2は、CPU等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動装置とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。制御装置25−2は、例えば、医用データ処理装置1−2、架台3−2及び寝台30−2等に設けられた入力インタフェース15からの操作信号に従い架台3−2及び寝台30−2を制御する。例えば、制御装置25−2は、回転フレーム23−2の回転、架台3−2のチルト、天板33−2及び寝台30−2の動作を制御する。
【0185】
医用データ処理装置(コンソール)1−2は、処理回路11、メモリ13、入力インタフェース15、通信インタフェース17及びディスプレイ19を有するコンピュータである。医用データ処理装置1−2は上記医用データ処理装置1と同等であるので、説明を省略する。
【0186】
図20は、応用例2に係る医用データ処理装置1−2の処理を模式的に示す図である。
図20に示す検査は、複数周に亘りX線CT撮像を繰り返す時系列撮像である。1周目は、高線量のX線によるX線CT撮像が行われる(ステップSQ1)。処理回路11は、ステップSQ1において収集された投影データにFBPを施して1周目に関するFBP再構成画像を生成する。
【0187】
図20に示すように、2周目以降は、低線量のX線によるX線CT撮像が繰り返し行われる(ステップSQ2及びSQ3)。処理回路11は、2周目の投影データが収集された場合、当該投影データにFBPを施して2周目に関するFBP再構成画像を生成する。低線量のX線CT撮像は、1周目に比して管電流を低下させることにより行われてもよいし、X線を間欠的に曝射することにより行われてもよいし、回転フレームを高速に回転させることにより行われてもよいし、あるいは前述の低管電流、間欠X線曝射及び高速回転のうちの少なくとも1つが組み合わされてもよい。2周目以降のFBP再構成画像は、低線量のX線CT撮像により収集されているので、1周目のFBP再構成画像に比して画質劣化を含んでいる。
【0188】
2周目に関するFBP再構成画像が生成された場合、処理回路11は、入力選択機能113を実行する。
図20に示すように、入力選択機能113において処理回路11は、高線量による1周目に関するFBP再構成画像を補助入力画像として選択し、低線量による2周目に関するFBP再構成画像を処理対象入力画像として選択する。
【0189】
次に処理回路11は、順伝播機能114を実行する。順伝播機能114において処理回路11は、まず、メモリ13から、低線量によるFBP再構成画像を処理対象入力画像とし、高線量によるFBP再構成画像を補助入力画像とし、高画質のFBP再構成画像を処理対象出力画像とする学習済みDNN(For低線量)を読み出す。次に処理回路11は、低線量による2周目に関するFBP再構成画像を、学習済みDNN(For低線量)の入力層91の処理対象範囲921に入力し、高線量による1周目に関するFBP再構成画像を補助範囲922に入力する。そして処理回路11は、低線量による2周目に関するFBP再構成画像と高線量による1周目に関するFBP再構成画像とを学習済みDNN(For低線量)に順伝播する。これにより、低線量に起因する画質劣化が低減された、2周目に関するDNN再構成画像が生成される。
【0190】
同様に、3周目の投影データが収集された場合、処理回路11は、当該投影データにFBPを施して3周目に関するFBP再構成画像を生成する。次に処理回路11は、入力選択機能113を実行する。
図20に示すように、入力選択機能113において処理回路11は、高線量による1周目に関するFBP再構成画像を補助入力画像として選択し、低線量による3周目に関するFBP再構成画像を処理対象入力画像として選択する。
【0191】
次に処理回路11は、順伝播機能114を実行する。順伝播機能114において処理回路11は、低線量による3周目に関するFBP再構成画像を、学習済みDNNの入力層91の処理対象範囲921に入力し、高線量による1周目に関するFBP再構成画像を学習済みDNNの入力層91の補助範囲922に入力する。そして処理回路11は、低線量による3周目に関するFBP再構成画像と高線量による1周目に関するFBP再構成画像とを学習済みDNNに順伝播する。これにより、低線量に起因する画質劣化が低減された、3周目に関するDNN再構成画像が生成される。
【0192】
上記の通り、応用例2によれば、X線コンピュータ断層撮影に関する検査の実行により収集される一連のCT画像の中から処理対象入力画像と補助入力画像とが選択される。具体的には、1周目は高線量のX線CT撮像を行い、2周目以降は低線量のX線CT撮像を行う。高線量のCT画像を補助入力画像とし、低線量の各CT画像を処理対象入力画像として学習済みDNNの順伝播が行われる。これにより、被曝量を低減しつつ、低線量に伴う画質劣化の少ないCT画像を生成及び表示することができる。また、低線量のX線CT撮像でも高画質のCT画像を生成することができるので、X線線量を更に低下させることも可能になる。
【0193】
応用例3:PET/CT検査
PET/CT検査は、PET/CT装置により行われる。応用例3において医用撮像装置3はPET/CT装置の架台であるとする。この場合、医用撮像装置3は、X線CT撮像を行うCT架台と、PET撮像を行うPET架台とを装備している。
【0194】
図21は、PET/CT装置9−3の構成を示す図である。
図21に示すように、PET/CT装置9−3は、PETガントリ20−3、CTガントリ30−3、寝台40−3及び医用データ処理装置1−3を有する。典型的には、PETガントリ20−3、CTガントリ30−3及び寝台40−3は、共通の検査室に設置され、医用データ処理装置1−3は、検査室に隣接する制御室に設置される。PETガントリ20−3は、被検体PをPET撮像する撮像装置である。CTガントリ30−3は、被検体PをX線CT撮像する撮像装置である。寝台40−3は、撮像対象の被検体Pを載置する天板43−3を移動自在に支持する。医用データ処理装置1−3は、PETガントリ10、CTガントリ30及び寝台50を制御するコンピュータである。
【0195】
図21に示すように、PETガントリ20−3は、検出器リング21−3、信号処理回路23−3及び同時計数回路25−3を有する。
【0196】
検出器リング21−3は、中心軸Z回りの円周上に配列された複数のガンマ線検出器27−3を有する。検出器リング21−3の開口部には、画像視野(FOV)が設定される。画像視野に被検体Pの撮像部位が含まれるように被検体Pが位置決めされる。被検体Pには陽電子放出核種により標識された薬剤が投与される。陽電子放出核種から放出された陽電子は周囲の電子と対消滅し、一対の対消滅ガンマ線が発生される。ガンマ線検出器27−3は、被検体Pの体内から放出された対消滅ガンマ線を検出し、検出された対消滅ガンマ線の光量に応じた電気信号を生成する。例えば、ガンマ線検出器27−3は、複数のシンチレータと複数の光電子増倍管とを有する。シンチレータは、被検体P内の放射性同位元素に由来する対消滅ガンマ線を受けて光を発生する。光電子増倍管は、光の光量に応じた電気信号を発生する。発生された電気信号は、信号処理回路23−3に供給される。
【0197】
信号処理回路23−3は、ガンマ線検出器27−3の電気信号に基づいてシングルイベントデータを生成する。具体的には、信号処理回路23−3は、検出時刻計測処理、位置計算処理、及びエネルギー計算処理を施す。信号処理回路23−3は、検出時刻計測処理、位置計算処理、及びエネルギー計算処理を実行可能に構成されたプロセッサにより実現される。
【0198】
検出時刻計測処理において信号処理回路23−3は、ガンマ線検出器27−3によるガンマ線の検出時刻を計測する。具体的には、信号処理回路23−3は、ガンマ線検出器27−3からの電気信号の波高値をモニタリングし、波高値が予め設定された閾値を超える時刻を検出時刻として計測する。換言すれば、信号処理回路23−3は、波高値が閾値を超えたことを検知することにより電気的に消滅ガンマ線を検出する。位置計算処理において信号処理回路23−3は、ガンマ線検出器27−3からの電気信号に基づいて対消滅ガンマ線の入射位置を計算する。消滅ガンマ線の入射位置は、消滅ガンマ線が入射したシンチレータの位置座標に対応する。エネルギー計算処理において信号処理回路23−3は、ガンマ線検出器17からの電気信号に基づいて、検出した対消滅ガンマ線のエネルギー値を計算する。シングルイベントに関する検出時刻のデータと位置座標のデータとエネルギー値のデータとは関連付けられる。シングルイベントに関するエネルギー値のデータと位置座標のデータと検出時刻のデータとの組合せは、シングルイベントデータと呼ばれている。シングルイベントデータは、消滅ガンマ線が検出される毎に次々に生成される。生成されたシングルイベントデータは、同時計数回路25−3に供給される。
【0199】
同時計数回路25−3は、信号処理回路23−3からのシングルイベントデータに同時計数処理を施す。ハードウェア資源としては、同時計数回路25−3は、同時計数処理を実行可能に構成されたプロセッサにより実現される。同時計数処理において同時計数回路25−3は、繰り返し供給されるシングルイベントデータの中から、予め定められた時間枠内に収まる2つのシングルイベントに関するシングルイベントデータを繰り返し特定する。この対のシングルイベントは、同一の対消滅点から発生された対消滅ガンマ線に由来すると推定される。対のシングルイベントは、まとめて同時計数イベントと呼ばれる。この対消滅ガンマ線を検出した対のガンマ線検出器27−3(より詳細にはシンチレータ)を結ぶ線は、LOR(line of response)と呼ばれる。LORを構成する対のイベントに関するイベントデータは、同時計数イベントデータと呼ばれる。同時計数イベントデータとシングルイベントデータとは、医用データ処理装置1−3に伝送される。なお、同時計数イベントデータとシングルイベントデータとを特に区別しないときはPETイベントデータと呼ぶことにする。
【0200】
なお、上記構成において信号処理回路23−3と同時計数回路25−3とは、PETガントリ20−3に含まれるとしたが、これに限定されない。例えば、同時計数回路25−3、又は信号処理回路23−3と同時計数回路25−3との双方が、PETガントリ20−3とは別体の装置に含まれてもよい。また、同時計数回路25−3は、PETガントリ20−3に搭載される複数の信号処理回路23−3に対して一つ設けられてもよいし、PETガントリ20−3に搭載される複数の信号処理回路23−3を複数のグループに区分し、各グループに対して一つ設けられてもよい。
【0201】
図21に示すように、CTガントリ30−3は、X線管31−3、X線検出器32−3、回転フレーム33−3、X線高電圧装置34−3、CT制御装置35−3、ウェッジフィルタ36−3、コリメータ37−3及びDAS38−3を有する。
【0202】
X線管31−3は、X線を発生する。具体的には、X線管31−3は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極とを保持する真空管を含む。X線管31−3は高圧ケーブルを介してX線高電圧装置34−3に接続されている。陰極と陽極との間には、X線高電圧装置34−3により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔する。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより管電流が流れる。X線高電圧装置34−3からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔し、熱電子が陽極に衝突することによりX線が発生される。
【0203】
X線検出器32−3は、X線管31−3から発生され被検体Pを通過したX線を検出し、検出されたX線の線量に対応した電気信号をDAS38−3へと出力する。X線検出器32−3は、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向又はrow方向)に複数配列された構造を有する。X線検出器32−3は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光の光量に応じた電気信号に変換する。光センサとしては、例えば、フォトダイオード又は光電子増倍管が用いられる。なお、X線検出器32は、入射X線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器(半導体検出器)であっても構わない。
【0204】
回転フレーム33−3は、X線管31−3とX線検出器32−3とを回転軸Z回りに回転可能に支持する円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム33−3は、X線管31−3とX線検出器32−3とを対向支持する。回転フレーム33−3は、固定フレーム(図示せず)に回転軸Z回りに回転可能に支持される。CT制御装置35−3により回転フレーム33−3が回転軸Z回りに回転することによりX線管31−3とX線検出器32−3とを回転軸Z回りに回転させる。回転フレーム33−3は、CT制御装置35−3の駆動機構からの動力を受けて回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。回転フレーム33−3の開口部には、画像視野(FOV)が設定される。
【0205】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム33−3の回転軸又は寝台40−3の天板43−3の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0206】
X線高電圧装置34−3は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管31−3に印加する高電圧及びX線管31−3に供給するフィラメント電流を発生する高電圧発生装置と、X線管31−3が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置34−3は、回転フレーム33−3に設けられてもよいし、CTガントリ30−3内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。
【0207】
ウェッジフィルタ36−3は、被検体Pに照射されるX線の線量を調節する。具体的には、ウェッジフィルタ36−3は、X線管31−3から被検体Pへ照射されるX線の線量が予め定められた分布になるようにX線を減衰する。例えば、ウェッジフィルタ36−3としては、アルミニウム等の金属板が用いられる。ウェッジフィルタ36−3はボウタイフィルタとも呼ばれる。
【0208】
コリメータ37−3は、ウェッジフィルタ36−3を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ37−3は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。
【0209】
DAS38−3は、X線検出器32−3により検出されたX線の線量に応じた電気信号をX線検出器32から読み出し、読み出した電気信号を可変の増幅率で増幅し、ビュー期間に亘り電気信号を積分することにより当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有するCT生データを収集する。DAS38−3は、例えば、CT生データを生成可能な回路素子を搭載したASICにより実現される。CT生データは、非接触データ伝送装置等を介して医用データ処理装置1−3に伝送される。
【0210】
CT制御装置35−3は、医用データ処理装置1−3の処理回路11の撮像制御機能111に従いX線CT撮像を実行するためにX線高電圧装置34−3やDAS38−3を制御する。CT制御装置35−3は、CPU等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路11は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。
【0211】
なお、CTガントリ30−3は、X線発生部とX線検出部とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線発生部のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等の様々なタイプがあり、いずれのタイプでも一実施形態へ適用可能である。
【0212】
図21に示すように、寝台40−3は、スキャン対象の被検体Pを載置し、載置された被検体を移動させる。寝台40−3は、PETガントリ20−3とCTガントリ30−3とで共有される。
【0213】
寝台40−3は、基台45−3及び天板43−3を備える。基台45−3は、床面に設置される。基台45−3は、支持フレームを、床面に対して垂直方向(Y軸方向)に移動可能に支持する筐体である。支持フレームは、基台45−3の上部に設けられるフレームである。支持フレームは、天板43−3を中心軸Zに沿ってスライド可能に支持する。天板43−3は、被検体Pが載置される柔軟性を有する板である。寝台駆動装置は、寝台40−3の筐体内に収容される。寝台駆動装置は、被検体Pが載置された支持フレームと天板43−3とを移動させるための動力を発生するモータ又はアクチュエータである。寝台駆動装置は、医用データ処理装置1−3等による制御に従い作動する。
【0214】
PETガントリ20−3とCTガントリ30−3とは、PETガントリ20−3の開口の中心軸ZとCTガントリ30−3の開口の中心軸Zとが略一致するように配置される。天板43−3の長軸がPETガントリ20−3及びCTガントリ30−3の開口の中心軸Zに平行するように寝台40−3が配置される。寝台40−3に近い方からCTガントリ30−3及びPETガントリ20−3の順番に設置される。
【0215】
医用データ処理装置(コンソール)1−3は、処理回路11、メモリ13、入力インタフェース15、通信インタフェース17及びディスプレイ19を有するコンピュータである。医用データ処理装置1−3は上記医用データ処理装置1と同等であるので、説明を省略する。
【0216】
図22は、応用例3に係る医用データ処理装置1の処理の典型的な流れを示す図である。
図23は、応用例3に係る医用データ処理装置1の処理を模式的に示す図である。
【0217】
図22及び
図23に示すように、まず処理回路11は、撮像制御機能111を実行する(ステップSC1)。ステップSC1において処理回路11は、医用撮像装置3を制御して被検体に対しX線CT撮像を実行する。医用撮像装置3により収集された被検体に関する投影データは、医用データ処理装置1に伝送される。
【0218】
ステップSC1が行われると処理回路11は、通常復元機能112を実行する(ステップSC2)。ステップSC2において処理回路11は、ステップSC1において収集された投影データにFBP等の解析学的画像再構成法や逐次近似画像再構成法等を施して、被検体に関するCT画像を再構成する。
【0219】
ステップSC2が行われると処理回路11は、撮像制御機能111を実行する(ステップSC3)。ステップSC3において処理回路11は、医用撮像装置3を制御して被検体に対しPET撮像を実行する。医用撮像装置3により収集された被検体に関するコインシデンスデータは、医用データ処理装置1に伝送される。
【0220】
ステップSC3が行われると処理回路11は、通常復元機能112を実行する(ステップSC4)。ステップSC4において処理回路11は、ステップSC3において収集されたコインシデンスデータに、FBP等の解析学的画像再構成法や逐次近似画像再構成法等を施して被検体に関するPET画像を再構成する。PET画像は、PET撮像によるガンマ線検出効率がX線CT撮像によるX線検出効率に比して低いこと等のため、CT画像に比して画質が劣化している。
【0221】
ステップSC2及びSC4が行われると処理回路11は、画像処理機能115を実行する(ステップSC5)。ステップSC5において処理回路11は、ステップSB2において再構成されたCT画像とステップSC4において再構成されたPET画像とを位置合わせする。位置合わせは、剛体位置合わせや非剛体位置合わせ等の如何なる手法により行われてもよい。
【0222】
ステップSC5が行われると処理回路11は、入力選択機能113を実行する(ステップSC6)。ステップSC6において処理回路11は、ステップSC5において位置合わせされたPET画像を処理対象入力画像として選択し、ステップSC5において位置合わせされたCT画像を補助入力画像として選択する(ステップSC6)。
【0223】
ステップSCB6が行われると処理回路11は、順伝播機能114を実行する(ステップSC7)。ステップSC7において処理回路11は、PET画像とCT画像とに学習済みDNNを適用して、PET由来のDNN再構成画像を生成する。具体的には、順伝播機能114において処理回路11は、まず、メモリ13から、PET画像を処理対象入力画像とし、CT画像を補助入力画像とし、データ欠損が除去されたPET画像を処理対象出力画像とする学習済みDNN(ForPET)を読み出す。次に処理回路11は、PET画像を学習済みDNN(ForPET)の入力層91の処理対象範囲921に入力し、CT画像を補助範囲922に入力する。そして処理回路11は、入力されたPET画像とCT画像とを学習済みDNN(ForPET)に順伝播する。これにより、PET由来のDNN再構成画像を生成する。
【0224】
ステップSC7が行われると処理回路11は、表示制御機能116を実行する(ステップSC8)。ステップSC8において処理回路11は、ステップSC7において生成されたPET由来のDNN再構成画像とステップSC5において位置合わせされたCT画像とをディスプレイ19に表示する。例えば、処理回路11は、PET/CT由来のDNN再構成画像とCT画像との合成画像を表示する。
【0225】
以上により、応用例3に係る医用データ処理装置1−3の処理の説明を終了する。
【0226】
なお、
図22に示す処理の流れは一例であり、応用例3に係る処理は、
図22に示す流れのみに限定されない。例えば、ステップSC1におけるX線CT撮像とステップSC3におけるPET撮像との順番が入れ替えられてもよい。
【0227】
また、ステップSC5の位置合わせ処理とステップSC6の選択処理との順番が入れ替えられてもよい。また、ステップSC5の位置合わせ処理とステップSC7の順伝播処理とは別個の処理であるとしたが、ステップSC5の位置合わせ処理が学習済みDNN(ForPET)に組み込まれてもよい。
【0228】
上記の通り、応用例3によれば、PET/CTに関する検査の実行により収集されるPET画像及びCT画像の中から処理対象入力画像と補助入力画像とが選択される。比較的高画質のCT画像を補助入力画像とし、比較的低画質のPET画像を処理対象入力画像として学習済みDNNの順伝播が行われる。これにより、CT画像を利用して、高画質のPET像を生成及び表示することができる。
【0229】
応用例4:超音波検査
超音波検査は、超音波診断装置により行われる。応用例4において医用撮像装置3は超音波診断装置の超音波プローブであるとする。
【0230】
図24は、応用例4に係る超音波診断装置9−4の構成を示す図である。
図24に示すように、超音波診断装置9−4は、超音波プローブ3−4と医用データ処理装置(装置本体)1−4とを有する。
【0231】
超音波プローブ3−4は、例えば、医用データ処理装置1−4の撮像制御機能111に従い、患者等の生体内のスキャン領域について超音波スキャンを実行する。超音波プローブ3−4は、例えば、複数の圧電振動子、整合層及びバッキング材等を有する。本実施形態においては、超音波プローブ3−4は、例えば、所定の方向に沿って配列された複数の超音波振動子を有する。超音波プローブ3−4は、装置本体1−4と着脱自在に接続される。
【0232】
複数の圧電振動子は、医用データ処理装置1−4が有する超音波送信回路31−4から供給される駆動信号に従い超音波を発生する。これにより、超音波プローブ3−4から生体へ超音波が送信される。超音波プローブ3−4から生体へ超音波が送信されると、送信された超音波は、生体の体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流又は放射線吸収性組織スペーサ等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。超音波プローブ3−4は、生体からの反射波信号を受信して電気信号に変換する。電気信号は、医用データ処理装置1−4に供給される。
【0233】
図24に示される医用データ処理装置1−4は、超音波プローブ3−4により受信された反射波信号に基づいて超音波画像を生成及び表示するコンピュータである。医用データ処理装置1−4は、
図24に示されるように、超音波送信回路31−4、超音波受信回路32−4、処理回路11、メモリ13、入力インタフェース15、通信インタフェース17及びディスプレイ19を有する。
【0234】
超音波送信回路31−4は、超音波プローブ3−4に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路31−4は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ3−4から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子毎の遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ3−4に設けられる複数の超音波振動子へ駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を任意に変化させることで、圧電振動子面からの送信方向が任意に調整される。
【0235】
超音波受信回路32−4は、超音波プローブ3−4が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路32−4は、例えば、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路及び加算器等により実現される。アンプ回路は、超音波プローブ3−4が受信した反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
【0236】
処理回路11は、例えば、超音波診断装置1−4の中枢として機能するプロセッサである。処理回路11は、メモリ13に記憶されているプログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。処理回路11は、例えば、撮像制御機能111、通常復元機能112、入力選択機能113、順伝播機能114、画像処理機能115、表示制御機能116、Bモード処理機能332及びドプラモード処理機能333を有する。
【0237】
Bモード処理機能332において処理回路11は、超音波受信回路31−4から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成する。具体的には、処理回路11は、例えば、超音波受信回路31−4から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線(ラスタ)上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
【0238】
ドプラモード処理機能333において処理回路11は、超音波受信回路31−4から受け取った受信信号を周波数解析することで、スキャン領域に設定されるROI(Region Of Interest:関心領域)内にある血流のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、処理回路11は、血流の運動情報として、平均速度、平均分散値、平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれで推定したドプラデータを生成する。生成されたドプラデータは、2次元的な超音波走査線上のドプラRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
【0239】
処理回路11は、ドプラモード処理機能333において、カラーフローマッピング(CFM:Color Flow Mapping)法と称されるカラードプラ法を実行可能である。CFM法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行なわれる。処理回路11は、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、静止している組織又は動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制し、血流に由来する信号を抽出する。そして、処理回路11は、抽出した信号から血流の速度、分散又はパワー等の情報を推定する。
【0240】
メモリ13、入力インタフェース15、通信インタフェース17、ディスプレイ19、撮像制御機能111、通常復元機能112、入力選択機能113、順伝播機能114、画像処理機能115及び表示制御機能116については説明を省略する。
【0241】
図25は、応用例4に係る医用データ処理装置1−4の処理を模式的に示す図である。超音波検査において処理回路11は、時系列の複数フレームの超音波画像を生成する。具体的には、処理回路11は、撮像制御機能11により、超音波プローブ3−4を介して超音波撮像を実行し、時系列の複数フレームのエコーデータをリアルタイムで収集する。次に処理回路11は、Bモード処理機能332を実行し、時系列の複数フレームのエコーデータに基づいて時系列の複数フレームのBモードデータを生成する。そして処理回路11は、通常復元機能112を実行し、時系列の複数フレームのBモードデータに基づいて時系列の複数フレームのBモード画像IUを生成する。時系列の複数フレームのBモード画像IUは、ディスプレイ19に動的に表示される。
【0242】
図25に示すように、現時点のフレームは「t」であるとする。現フレームtにてディスプレイ19にBモード画像IUtが表示される。なお、t−nの「n」は現フレームtからn枚前のフレームを示す整数の番号である。ディスプレイ19に表示されるBモード画像IU−nは、処理回路11の通常復元機能112により、例えば、スキャンコンバートの技術により生成される。従ってBモード画像IU−nの画質は比較的粗いといえる。
【0243】
ユーザは、詳細に観察したいフレームが表示された時点において、入力インタフェース15を介してフリーズボタン(静止ボタン)を押下する。
図25においては、現フレームtについてフリーズボタンが押下されたとする。フリーズボタンが押下されたことを契機として処理回路11は、現フレームtのBモード画像IUtを、ディスプレイ19に静止画として表示する。
【0244】
また、フリーズボタンが押下されたことを契機として処理回路11は、入力選択機能113と順伝播機能114とを順番に実行する。入力選択機能113において処理回路11は、現フレームtのBモード画像IUtを処理対象入力画像として選択し、現フレームtよりも過去のフレームt−nのBモード画像IUt−nを補助入力画像として選択する。過去のBモード画像IUt−nとしては、例えば、現フレームtのBモード画像IUtに形態が近似していると推定される、現フレームtの直近の過去のフレームt−1のBモード画像IUt−1が選択されるとよい。また、過去のBモード画像IUt−nとしては、例えば、現フレームtのBモード画像IUtと同一の呼吸位相又は心位相に属する、過去のフレームのBモード画像が選択されてもよい。なお、選択される過去のBモード画像は、現フレームtよりも未来のBモード画像が選択されてもよい。以下、補助入力画像として、フレームt−1のBモード画像IUt−1が選択されたとする。
【0245】
次に処理回路11は、順伝播機能114を実行する。順伝播機能114において処理回路11は、現フレームtのBモード画像(処理対象入力画像)IUtと過去のフレームt−1のBモード画像(補助入力画像)IUt−1とに学習済みDNNを適用して、現フレームtのDNN再構成画像IU0を生成する。具体的には、処理回路11は、まず、メモリ13から、第1のフレームのBモード画像を処理対象入力画像とし、第2のフレームのBモード画像を補助入力画像とし、データ欠損部分が復元されたBモード画像を処理対象出力画像とする学習済みDNN(For超音波画像)を読み出す。次に、処理回路11は、現フレームtのBモード画像IUtを学習済みDNN(For超音波画像)の入力層91の処理対象範囲921に入力し、過去のフレームt−1のBモード画像IUt−1を補助範囲922に入力する。そして処理回路11は、入力されたBモード画像IUtとBモード画像IUt−1とを学習済みDNNに順伝播する。これにより、現フレームtに関し、データ欠損部分が復元されたBモード画像IU0を生成することができる。
【0246】
順伝播機能114により生成されたBモード画像IU0は、ディスプレイ19に静止画として表示される。Bモード画像IU0は、Bモード画像IUtに隣り合わせで表示されてもよいし、Bモード画像IUtに置換して表示されてもよい。
【0247】
再びフリーズボタンが押下されると、処理回路11は、超音波プローブ30−4を介して被検体Pを超音波撮像することにより、時系列の複数フレームのBモード画像を生成し、ディスプレイ10にリアルタイムで表示することができる。
【0248】
以上により、応用例4に係る医用データ処理装置1−4の処理の説明を終了する。
【0249】
なお、上記の説明においては、超音波画像はBモード画像であるとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、超音波画像はドプラモード画像であってもよい。
【0250】
上記の通り、応用例4によれば、超音波検査の実行により収集される超音波画像の中から処理対象入力画像と補助入力画像とが選択される。処理対象入力画像に形態が類似する超音波画像を補助入力画像が選択される。これにより比較的高画質の超音波画像を即時的に生成及び表示することができる。
【0251】
応用例5:X線透視検査
X線透視検査は、X線診断装置により行われる。応用例5において医用撮像装置3は、X線管とX線検出器とが取り付けられたCアームであるとする。なお、応用例5は応用例4と同等である。
【0252】
X線透視検査において処理回路11は、Cアームを介して、高線量でX線撮影された撮影画像と、低線量で連続的にX線撮影された透視画像とを生成し、撮影画像と透視画像とをディスプレイ19に表示する。撮影画像は透視画像に比して高画質である。撮影画像と透視画像とは隣り合わせで表示されたり、広視野の撮影画像に重畳して狭視野の透視画像が表示されたりする。撮影画像は典型的に静止画であり、透視画像は典型的に動画である。撮影画像は造影血管が高画質で描出されているので、造影血管のロードマップとして機能する。透視画像はリアルタイムの血管を描出する。術者等は撮影画像と透視画像とを観察しながら、カテーテル等の術具を目標部位に到達させる。
【0253】
ユーザは、詳細に観察したいフレームの透視画像が表示された時点において、入力インタフェース15を介してフリーズボタンを押下する。フリーズボタンが押下されたことを契機として処理回路11は、現フレームの透視画像をディスプレイ19に静止画として表示される。
【0254】
また、フリーズボタンが押下されたことを契機として処理回路11は、入力選択機能113と順伝播機能114とを順番に実行する。入力選択機能113において処理回路11は、現フレームの透視画像を処理対象入力画像として選択し、所定の基準を満たす過去又は未来のフレームの撮影画像を補助入力画像として選択する。順伝播機能114において処理回路11は、メモリ13から、透視画像を処理対象入力画像とし、撮影画像を補助入力画像とし、データ欠損部分が復元されたDNN透視画像を処理対象出力画像とする学習済みモデル(ForX線画像)を読み出す。次に処理回路11は、現フレームの透視画像を学習済みモデル(ForX線画像)の入力層91の処理対象範囲921に入力し、所定の基準を満たす過去又は未来のフレームの撮影画像を補助範囲922に入力する。そして処理回路11は、入力された透視画像と撮影画像とを学習済みDNNに順伝播する。これにより、現フレームtに関し、データ欠損部分が復元されたDNN透視画像を生成することができる。生成されたDNN透視画像はディスプレイ19に静止画として表示される。
【0255】
上記の通り、応用例5によれば、X線透視検査の実行により収集される透視画像の中から処理対象入力画像が選択され、処理対象入力画像に形態が類似し且つ画質の高い撮影画像が補助入力画像として選択される。これにより、低線量で高画質のX線画像を即時的に生成及び表示することができる。
【0256】
(実施例1)
実施例1に係る処理回路11は、高間引き率でアンダーサンプリングされたラディアルk空間データから動画像を再構成する。空間相関及び時間相関と再構成時間の遅延の低減を得るため、援助された相関を表示する付加的な入力画像を用いて深層ニューラルネットワークが学習される。実施例の方法での画質は、1入力1出力である通常のDNN再構成に比して、高画質である。
【0257】
動的MRIの臨床例は、高速データ収集と低遅延(low delay)の再構成との両方を要求される。このような方法として、スタック・オブ・スターズ軌跡(すなわち、2次元黄金角ラディアル軌跡の束)を含む高間引き率でアンダーサンプリングされたk空間データからの画像再構成法や、時間的制約を有する圧縮センシングがある。しかしながら、時間的制約を評価するために多くのフレーム(例えば、動画像の全フレーム)が要求される。この方法は、低遅延再構成には適していない。低遅延再構成のため、単一の画像による画像再構成法が好まれる。このような方法の例として、単一の入力画像から単一の出力画像へのDNNが使用される。しかしながら、この方法は、時間相関を使用しないため、時間的制約に基づく方法に比して、多くの本数のスポークが要求される。
【0258】
図26は、実施例1に係る医用データ処理装置1の処理を模式的に示す図である。
図26に示すように、実施例1に係る処理回路11は、空間相関及び時間相関と再構成時間の遅延の低減とを統合するため、Nスライスの近隣スライスのうちの連続的なMフレームを入力とし、単一の再構成された画像を出力とするDNNを使用する動的再構成法を行う。実施例に係る処理回路11は、フレーム毎に画像を再構成する。各フレームは、(M−1)/2の未来のフレームにのみ依存するため、再構成遅延時間は、圧縮センシングに基づく方法に比して低下する。実施例に係る方法は、DNNを使用する通常の再構成法の拡張であると考えらえる。通常の再構成法は、M=N=1である。実施例に係るDNNは、複数のコンボリューション層、複数のReLU及び複数の残差コネクション(Residual Connection)から構成される。
【0259】
図27は、実施例1に係るDNNの概要を示す図である。
図27に示すように、前処理ステップとして処理回路11は、高速フーリエ変換(FFT)を束方向に適用する。各2次元ラディアルk空間フレームについて処理回路11は、不等間隔FFT(NUFFT:Non-Uniform FFT)とパラレルイメージング(PI)とを使用して初期画像を再構成する。初期画像の再構成法は、他の画像との空間相関及び時間相関に依らない。空間相関及び時間相関はDNNに統合される。中間層は、3×3のカーネルのコンボリューション層とReLUとを含む。残差コネクションは、各2つの束ねられた中間層について挿入される。中間層の数は10である。第1層及び最終層各々は、1×1のカーネルのコンボリューション層のみから構成される。各中間層のチャネルの数は128である。
【0260】
2のボランティアから学習のためのデータセットが収集された。1のボランティアからのデータセットは、妥当性検証のために収集された。全てのデータセットは、マトリクスサイズが256×160×16のカーテシアン画像を含む。それに加え、妥当性検証データセットは、スタック・オブ・スターズ軌跡を使用した実際のk空間データを含む。各ラディアルk空間フレームについて、21本のスポークが割り当てられた。入力画像の枚数は、M=5、N=3に設定された。DNNの入力を生成するため、10フレームが、ラディアルサンプリングをシミュレートすることにより、カーテシアン画像から生成された。DNNは、平均二乗誤差の誤差関数を有するAdam(Adaptive moment estimation)により学習された。
【0261】
図28、
図29、
図30及び
図31は、シミュレートされたラディアルデータ(1フレームあたり21本のスポーク)を使用した結果を示す。
図28は、NUFFT+PIによる再構成画像を示す図である。
図29は、通常再構成法(M=N=1)による再構成画像を示す図である。
図30は、実施例1に係る再構成法(M=5且つN=3)による再構成画像を示す図である。
図31は、真(Truth)の再構成画像を示す図である。
図32、
図33及び
図34は、実際のスタック・オブ・スターズ・データ(1フレームあたり21本のスポーク)の結果を示す図である。
図32は、NUFFT+PIによる再構成画像を示す図である。
図33は、通常再構成法(M=N=1)による再構成画像を示す図である。
図34は、実施例1に係る再構成法(M=5且つN=3)による再構成画像を示す図である。M=5且つN=3の再構成法を使用して再構成された画像の画質は、NUFFT+PIによる画像、M=N=1の再構成法による画像に比して、明らかに向上している。特に、実際のスタック・オブ・スターズ・データは、空間相関及び時間相関を使用することにより、肝臓内の構造をより明確に描出している。
【0262】
実施例1に係る方法は、DNNを使用した投影再構成法における45本のスポークに比して有意に少ない、1フレームあたり21本のスポークから動画像を再構成することができる。この結果は、実際のスタック・オブ・スターズ・データからの画像の画質は、シミュレートされたラディアルデータからの画像の画質に比して低い。画質を向上するため、MRIシステムのサンプリングの不完全性がラディアルサンプリングのシミュレーションにおいて説明されるべきである。シミュレーションの向上が今後の課題である。
【0263】
上記の通り、実施例1に係る方法は、DNNに空間相関及び時間相関を統合する。圧縮センシングに基づく方法とは異なり、実施例1に係る方法は、フレーム毎に画像を再構成し、低遅延再構成に使用され得る。実験結果は、実施例1に係る方法が高間引き率でアンダーサンプリングされたラディアル動画像の再構成に効果的であることを示している。
【0264】
(実施例2)
実施例2に係る補助入力画像は、同一スライス位置に関し収集時間及び時間分解能が異なる2枚以上の画像である。以下、実施例2に係る医用データ処理装置1について説明する。実施例2に係る医用データ処理装置1は、時系列の複数フレームの撮像(動画撮像)を実行可能な如何なる医用画像診断装置にも実装可能である。しかしながら、以下の説明を具体的に行うため、医用データ処理装置1は、磁気共鳴イメージング装置9−1に実装されているものとする。磁気共鳴イメージングにおいて動画撮像は、如何なる種類のk空間充填軌跡でも実行可能であるが、以下の実施例においては、比較的時間分解能に優れたラディアルスキャンに基づく動画撮像であるとする。MR画像は2次元画像であっても3次元画像であってもよい。ラディアルスキャンに基づく3次元画像の動画撮像として、例えば、3次元ラディアルスキャンやスタック・オブ・スターズが適用可能である。
【0265】
実施例2に係る処理回路11は、補助入力画像のDNNへの入力においてデンス・インプット(Dense Input)を実行する。デンス・インプットは、処理対象入力画像のフレームの時間的周辺にある複数フレーム分の画像データを、階層的な時間分解能でDNNに入力する手法である。デンス・インプットにより処理対象出力画像の更なる高画質化が期待される。
【0266】
図35は、デンス・インプットを模式的に示す図である。
図35の横軸は時間に規定され、縦軸は時間分解能に規定される。時間分解能はレベルで表現される。レベル1は、1撮像フレームに相当する時間分解能である。1撮像フレームは、1フレームの画像再構成に用いる所定量のk空間データを収集するために必要な時間である。例えば、ラディアルスキャンにおいて1フレームが10スポークである場合、1撮像フレームは、10スポーク分のk空間データを収集するために要する時間である。
図35においては、時間分解能のレベルはレベル1からレベル5まで設定されているものとする。レベル2はレベル1の1/2倍の時間分解能、レベル3はレベル1の1/3倍の時間分解能、レベル4はレベル1の1/4倍の時間分解能、レベル5はレベル1の1/5倍の時間分解能であるとする。N個の撮像フレーム(レベル1のフレーム)にデンス・インプットを適用する場合、N(N+1)/2個のフレームが生成される。第nのレベルのフレーム枚数はN+1−2である。時間分解能が低いほど、多くのk空間データを含むので、画質は良好である。
【0267】
具体的には、撮像制御機能111の実現により、処理回路11は、時系列の複数のレベル1に関するフレームFR1−1、FR1−2、FR1−3、FR1−4及びFR1−5のk空間データを収集する。通常復元機能11の実現により、時系列の複数のフレームFR1−1、FR1−2、FR1−3、FR1−4及びFR1−5のk空間データに基づいてフレームFR1−1、FR1−2、FR1−3、FR1−4及びFR1−5のMR画像を生成する。
【0268】
レベル2の処理については、例えば、次のように処理される。処理回路11は、時間的に連続するフレームFR1−1のk空間データとフレームFR1−2のk空間データとを統合してフレームFR2−1のk空間データを生成する。同様に、処理回路11は、時間的に連続するフレームFR1−2のk空間データとフレームFR1−3のk空間データとを統合してフレームFR2−2のk空間データを生成し、時間的に連続するフレームFR1−3のk空間データとフレームFR1−4のk空間データとを統合してフレームFR2−3のk空間データを生成し、時間的に連続するフレームFR1−4のk空間データとフレームFR1−5のk空間データとを統合してフレームFR2−4のk空間データを生成する。
【0269】
レベル3、4及び5についても同様に処理される。例えば、レベル3に関し処理回路11は、時間的に連続するフレームFR1−1のk空間データとフレームFR1−2のk空間データとフレームFR1−3のk空間データとを統合してフレームFR3−1のk空間データを生成する。レベル4に関し処理回路11は、例えば、時間的に連続するフレームFR1−1のk空間データとフレームFR1−2のk空間データとフレームFR1−3のk空間データとフレームFR1−4のk空間データとを統合してフレームFR4−1のk空間データを生成する。レベル5に関し処理回路11は、例えば、時間的に連続するフレームFR1−1のk空間データとフレームFR1−2のk空間データとフレームFR1−3のk空間データとフレームFR1−4のk空間データとフレームFR1−5のk空間データとを統合してフレームFR5−1のk空間データを生成する。
【0270】
なお、上記のフレームの統合方法は一例であり、これに限定されない。例えば、上記の例においては、時間的に連続する2以上のフレームのk空間データが統合されるものとした。しかしながら、時間的に連続しない2以上のフレームのk空間データが統合されてもよい。例えば、フレームFR1−1のk空間データとフレームFR1−3のk空間データとが統合されてもよい。また、上記の例においては、同一レベルに属する複数のフレームは時間的に重複しないものとした。しかしながら、同一レベルに属する複数のフレームは時間的に重複するように設定されてもよい。また、同一レベルに属する複数のフレームは時間的に隙間無く設定されるものとしたが、時間的に隣り合う2つのフレームは時間的に離隔されるように設定されてもよい。
【0271】
図36は、実施例2に係るデンス・インプットを利用したDNN再構成の一例を示す図である。
図36に示すように、レベル1の時間分解能は、1撮像フレームの時間分解能、例えば、5秒/f(フレーム)であり、レベル2の時間分解能は、例えば、10秒/f、レベル3の時間分解能は、例えば、15秒/fであるとする。
【0272】
図36の処理は、MR撮像時にリアルタイムで実行される事が好適である。処理回路11は、撮像制御機能111の実現により、ラディアルスキャン等により時系列の複数フレームのk空間データを生成する。例えば、
図36に示すように、時系列の複数のレベル1に関するフレームFR1−1、FR1−2、FR1−3及びFR1−4のk空間データが生成される。各フレームFR1−n(nは整数)のk空間データに基づいて、処理回路11は、各フレームFR1−nのMR画像を即時的に生成する。MR画像の再構成法は、如何なる方法でも構わないが、MR画像生成に関する即応性を高めるため、ジャクソン法(又はグリッディング法)等の簡易な再構成法が用いられるとよい。
【0273】
また、最新のレベル1のフレームFR1−4のMR画像が生成される毎に、処理回路11は、レベル1の複数のフレームFR1−1、FR1−2、FR1−3及びFR1−4のk空間データに基づいて、レベル2のフレームFR2−1、フレームFR2−2及びフレームFR2−3のMR画像と、レベル3のフレームFR3−1及びフレームFR3−2のMR画像とを生成する。そして処理回路11は、レベル1の最新のフレームFR1−4のMR画像を処理対象入力画像として選択する。
【0274】
次に補助入力画像が選択される。実施例2においては、補助入力画像として選択される撮像フレーム数(以下、補助入力画像枚数と呼ぶ)が予め設定される。補助入力画像枚数は、総枚数で設定されてもよいし、レベル毎に枚数が設定されてもよい。処理回路11は、生成された複数レベル及び複数フレームのMR画像の中から、条件に合致する最新のフレームのMR画像を補助入力画像として選択される。例えば、
図36に示すように、レベル1のフレーム数が4、レベル2のフレーム数が3、レベル3のフレーム数が2に設定される。この場合、レベル1の最新のフレームFR1−4以前の4フレームFR1−4、FR1−3、FR1−2及びFR1−1と、当該4フレームに基づくレベル2以上の複数のフレームFR2−1、FR2−2、FR2−3、FR3−1及びFR3−2とが補助入力画像として選択される。
【0275】
このように、補助入力画像として、処理対象入力画像と同一レベル且つ同一フレームのMR画像が選択されてもよい。必要がない場合、処理対象入力画像と同一レベル且つ同一フレームのMR画像は、補助入力画像から除外されてもよい。
【0276】
処理対象入力画像と補助入力画像とが選択された場合、処理回路11は、選択された処理対象入力画像と補助入力画像とを学習済みDNN(Forデンス・インプット)に入力し、処理対象出力画像を生成する。例えば、
図36に示すように、学習済みDNN(Forデンス・インプット)に処理対象入力画像として現フレームFR1−4のMR画像が入力され、補助入力画像としてフレームFR1−4、FR1−3、FR1−2、FR1−1、FR2−3、FR2−2、FR2−1、FR3−2、FR3−1のMR画像入力された場合、処理対象出力画像として現フレームFR1−4のMR画像が出力される。実施例2によれば、階層的な時間分解能を有するMR画像群が補助入力画像として学習済みDNNに入力される。これによれば、当該学習済みDNNに、現フレームFR1−4の時間的周辺にある数フレーム分の時間連続性のみを取り込むことができる。これにより、DNN再構成画像の画質を更に向上させることができる。
【0277】
実施例2に係る学習済みDNN(Forデンス・インプット)は、上記の実施形態と同様の手法を用いて、モデル学習装置5により生成可能である。学習済みDNN(Forデンス・インプット)は、補助入力画像として、複数フレームのMR画像を入力可能に設計される。補助入力画像枚数毎に学習済みDNN(Forデンス・インプット)が生成される。正解出力画像は、主入力画像と同一の被検体であり、当該主入力画像に比して画質が高いMR画像であれば、如何なる画像でもよい。このような正解出力画像としては、例えば、主入力画像よりも時間分解能が高いMR画像又はk空間データ量(換言すれば、スポーク数)が多いMR画像が選択されるとよい。例えば、主入力画像の時間分解能がレベル1である場合、正解出力画像として、時間分解能がレベル2以上のMR画像が選択されるとよい。補助入力画像としては、デンス・インプットのためのMR画像群が選択される。すなわち、主入力画像のフレームの時間的周辺にある複数フレームに関し且つ階層的な時間分解能を有する複数のMR画像が、補助入力画像として選択される。
【0278】
学習時において処理回路51は、デンス・インプットのためのDNNは補助入力画像枚数が比較的多いので、ドロップアウト(Drop Out)の手法を用いるとよい。ドロップアウトは、DNNに含まれる複数のユニットの中からランダム(又は疑似ランダム)に不活性化する1又は2以上のユニットを選択し、選択された1又は2以上のユニットを不活性化したDNNを用いて学習を行う手法である。ドロップアウトの手法を用いることにより、正確且つ効率的に学習を行うことができる。
【0279】
上記の通り、実施例2においては、デンス・インプットの手法により、補助入力画像として、処理対象入力画像(又は主入力画像)の時間的周辺にあり階層的な時間分解能を有するMR画像群がDNNに入力される。デンス・インプットにより、出力画像の高画質化やDNNの学習効率の向上が期待される。また、補助入力画像が現フレームの過去数フレーム分のMR画像に限定されるので、動画撮像の完了を待つことなく、準リアルタイムでMR画像を出力することができる。また、最初の画像の出力までの時間を短縮することができる。
【0280】
(実施例3)
実施例3は実施例2の応用である。実施例2においては、撮像フレームと同等の時間分解能を有するレベル1のフレームのMR画像が補助入力画像としてDNNに入力されるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。実施例3に係る処理回路11は、レベル2以上のフレームのMR画像のみを補助入力画像としてDNNに入力する。
【0281】
図37は、実施例3に係るデンス・インプットを利用したDNN再構成の一例を示す図である。
図37に示すように、レベル1の時間分解能は、1撮像フレームの時間分解能、例えば、2.5秒/f(フレーム)であり、レベル2の時間分解能は、例えば、5秒/f、レベル3の時間分解能は、例えば、7.5秒/fであるとする。実施例3の場合、レベル1の時間分解能が比較的高いので、レベル1に属する1フレームのk空間データ単独で画像を再構成することは困難であるとする。単独での再構成が困難であるとは、1フレームに含まれるk空間データ量が少ないため、読影に適した画質が得られない状況をいう。すなわち、1フレームのk空間データにFFT等の再構成法を施してMR画像を生成することは可能である。
【0282】
図37に示すように、レベル1のフレームFR1−1、FR1−2、FR1−3、FR1−4及びFR1−5のk空間データがリアルタイムで生成されるものとする。現フレームはフレームFR1−5である。各フレームFR1−n(nは整数)のk空間データに基づいて、処理回路11は、各フレームFR1−nのMR画像を、ジャクソン法等の簡易な再構成法により即時的に生成する。また、レベル1の最新のフレームFR1−5のMR画像が生成される毎に、処理回路11は、レベル1の現在のフレームFR1−5のk空間データと過去のフレームFR1−1、FR1−2、FR1−3及びFR1−4のk空間データとに基づいて、レベル2のフレームFR2−1、フレームFR2−2、フレームFR2−3及びフレームFR2−4のMR画像と、レベル3のフレームFR3−1、フレームFR3−2及びフレームFR3−3のMR画像とを生成する。そして処理回路11は、レベル1の最新のフレームFR1−5のMR画像を処理対象入力画像として選択する。
【0283】
次に補助入力画像が選択される。実施例3において処理回路11は、補助入力画像として、レベル2以上のフレームのMR画像の中から補助入力画像枚数に合致するMR画像を選択する。例えば、
図37に示すように、補助入力画像枚数として、レベル2のフレーム数が4、レベル3のフレーム数が4に設定される。この場合、レベル1の最新のフレームFR1−4以前の4フレームFR1−4、FR1−3、FR1−2及びFR1−1と、レベル2以上の複数のフレームFR2−1、FR2−2、FR2−3、FR3−1及びFR3−2とが補助入力画像として選択される。
【0284】
処理対象入力画像と補助入力画像とが選択された場合、処理回路11は、選択された処理対象入力画像と補助入力画像とを学習済みDNN(Forデンス・インプット)に入力し、処理対象出力画像を生成する。例えば、
図37に示すように、学習済みDNN(Forデンス・インプット)に処理対象入力画像として現フレームFR1−5のMR画像が入力され、補助入力画像としてフレームFR2−4、FR2−3、FR2−2、FR2−1、FR3−3、FR3−2、FR3−1のMR画像が入力された場合、処理対象出力画像として現フレームFR1−5のDNN再構成画像が出力される。
【0285】
なお、補助入力画像として、2以上の任意のレベル以上のフレームのMR画像が選択されてもよいし、レベル2以上の何れかのレベルに属するフレームのMR画像のみが選択されてもよい。例えば、再構成レベルに属するフレームのMR画像のみが選択されてもよい。また、上記実施例において処理対象入力画像として、レベル1の現フレームのMR画像が選択されるとしたが、これに限定されない。例えば、レベル1の過去のフレームのMR画像が処理対象入力画像として選択されてもよいし、レベル2以上の任意のフレームのMR画像が処理対象入力画像として選択されてもよい。
【0286】
実施例3に係る学習済みDNN(Forデンス・インプット)は、実施例2と同様の手法を用いて、モデル学習装置5により生成可能である。例えば、主入力画像の時間分解能がレベル1である場合、正解出力画像として、時間分解能がレベル2以上のMR画像が選択されるとよい。補助入力画像としては、デンス・インプットのためのMR画像群が選択される。すなわち、主入力画像のフレームの時間的周辺にある複数フレームに関し且つ階層的な時間分解能を有する複数のMR画像が、補助入力画像として選択される。
【0287】
実施例3によれば、レベル1のフレームの時間分解能が高く単独再構成が困難な場合、レベル2以上のフレームのMR画像を、デンス・インプットの手法により、補助入力画像として学習済みDNNに入力する。これにより高撮像フレームレートを維持しつつ、高画質のMR画像を出力することができる。
【0288】
(その他の実施形態)
上述した実施形態及びその応用例においては、パラメータ付き合成関数のパラメータを機械学習の一手法である深層ニューラルネットワークにより導出する例を記載したが、実施形態はこれに限られるものではない。機械学習の手法として、生物の脳の神経回路を模した手法に限られず、他の手法を適用してもよい。また、実施形態は、パラメータ付き合成関数のパラメータを機械学習により導出することに限られるものでもない。例えば、機械学習を用いずに、人がパラメータを適宜調整することにより導出してもよい。すなわち、医用データ処理装置1が使用する学習済みモデル90は、モデル学習装置5により生成された機械学習モデルに限定されない。例えば、医用データ処理装置1は、学習済みモデル90として、ユーザ指示に従いパラメータが設定された機械学習モデルを使用してもよい。
【0289】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、医用データの復元精度を向上することができる。
【0290】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1、
図3、
図14、
図15、
図17、
図19、
図21及び
図24における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0291】
以下、本明細書に開示された種々の発明の一部について要旨を付記する。
【0292】
[付記1−1]
第1のMRデータと、前記第1のMRデータと同一の撮像対象且つ前記第1のMRデータとは異なる撮像パラメータに関する第2のMRデータとを入力する入力層と、前記第1のMRデータの欠損部分が復元された第3のMRデータを出力する出力層と、前記入力層と前記出力層との間に設けられる少なくとも1つの中間層とを有する学習済みモデルを記憶する記憶部と、
前記学習済みモデルに従い、被検体に関する処理対象の第1のMRデータと、前記被検体に関し且つ前記処理対象の第1のMRデータとは異なる撮像パラメータにより収集された第2のMRデータとから、前記被検体に関する第3のMRデータを生成する処理部と、 を具備する医用データ処理装置。
【0293】
[付記1−2]
前記第1のMRデータと前記第2のMRデータとは、k空間データ又は前記k空間データに復元処理を施して生成されたMR画像データである、[付記1−1]記載の医用データ処理装置。
【0294】
[付記1−3]
前記復元処理は、デノイズ型復元又はデータ誤差フィードバック型復元である、[付記1−2]記載の医用データ処理装置。
【0295】
[付記1−4]
前記撮像パラメータは、スライス位置、収集時刻、収集シーケンス、k空間充填軌跡及び時間分解能の少なくとも一つを含む、[付記1−1]記載の医用データ処理装置。
[付記1−5]
前記第1のMRデータは、前記第2のMRデータに比してデータ間引き量が多い、[付記1−4]記載の医用データ処理装置。
【0296】
[付記1−6]
前記第1のMRデータと前記第2のMRデータとは、単一の入力ベクトルとして前記学習済みモデルに入力される、[付記1−1]記載の医用データ処理装置。
【0297】
[付記1−7]
前記第1のMRデータは、前記入力ベクトルの第1の範囲に設定され、
前記第2のMRデータは、前記入力ベクトルの第2の範囲に設定され、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との位置は、固定される、
[付記1−6]記載の医用データ処理装置。
【0298】
[付記1−8]
前記第2のMRデータは、撮像パラメータが異なる複数セットのMRデータを有し、 前記複数セット各々の前記第2のMRデータは、前記入力ベクトルの前記第2の範囲のうちの固定された範囲に設定される、
[付記1−7]記載の医用データ処理装置。
【0299】
[付記1−9]
複数の関数を合成したパラメータ付き合成関数に対して、第1のMRデータと第2のMRデータとを適用して推定出力データを生成し、前記推定出力データと正解出力データとが近似するように前記パラメータ付き合成関数のパラメータを更新することにより前記学習済みモデルを生成する学習部を更に備える、[付記1−1]記載の医用データ処理装置。
【0300】
[付記1−10]
ユーザによる指示に従い撮像部位を選択する選択部を更に備え、
前記処理部は、前記選択された撮像部位に応じて学習済みモデルを切り替える、
[付記1−1]記載の医用データ処理装置。
【0301】
[付記1−11]
前記撮像パラメータは、第1のパラメータと第2のパラメータとを含み、
前記第1のMRデータと前記第2のMRデータとは、前記第1のパラメータが共通であり、前記第2のパラメータが異なり、
前記第1のMRデータと前記第3のMRデータとは、前記第1のパラメータと前記第2のパラメータとが共通であり、
前記第2のMRデータと前記第3のMRデータとは、前記第1のパラメータが共通であり、前記第2のパラメータが異なり、
前記3のMRデータは、前記第1のMRデータに比してデータ欠損が少ない又は画質が高い、
[付記1−1]記載の医用データ処理装置。
【0302】
[付記1−12]
前記第1のパラメータは、スライス位置であり、
前記第2のパラメータは、収集時刻、収集シーケンス、k空間充填軌跡及び時間分解能である、
[付記1−11]記載の医用データ処理装置。
【0303】
[付記1−13]
前記第1のパラメータは、収集シーケンス、k空間充填軌跡及び時間分解能の少なくとも一つであり、
前記第2のパラメータは、スライス位置である、
[付記1−11]記載の医用データ処理装置。
【0304】
[付記1−14]
前記第1のパラメータは、スライス位置と収集シーケンスのうちのEPIとであり、 前記第2のパラメータは、収集シーケンスのうちのb値である、
[付記1−11]記載の医用データ処理装置。
【0305】
[付記1−15]
第1のk空間データ又はMR画像データと、前記第1のk空間データ又はMR画像データと同一の撮像対象且つ前記第1のk空間データ又はMR画像データとは異なる撮像パラメータに関する第2のk空間データ又はMR画像データとを入力する入力層と、前記第1のk空間データ又はMR画像データの欠損部分が復元された第3のk空間データ又はMR画像データを出力する出力層と、前記入力層と前記出力層との間に設けられる少なくとも1つの中間層とを有する学習済みモデルを記憶する記憶部と、
被検体にMR撮像を施して第1の撮像パラメータに関する第1のk空間データと、前記第1の撮像パラメータとは異なる第2の撮像パラメータに関する第2のk空間データとを収集する収集部と、
前記学習済みモデルに従い、前記収集されたk空間データ又は前記収集されたk空間データに基づくMR画像データと前記収集された第2のk空間データ又は前記収集されたk空間データに基づくMR画像データとから、前記被検体に関する第3のk空間データ又はMR画像データを生成する処理部と、
【0306】
[付記1−16]
前記収集部は、前記第1のk空間データと前記第2のk空間データとを含む時系列の複数フレームのk空間データを収集し、
前記処理部は、前記複数フレームのk空間データの中から、前記第1のk空間データとして、一の第1フレームのk空間データを選択し、前記第2のk空間データとして、一又は複数の第2フレームのk空間データを選択する、
[付記1−15]記載の磁気共鳴イメージング装置。
【0307】
[付記1−17]
前記収集部は、前記第1のk空間データと前記第2のk空間データとを含む時系列の複数フレームのk空間データを収集し、
前記処理部は、前記複数フレームのk空間データの中から、前記第1のk空間データとして、一の第1フレームのk空間データを選択し、前記複数フレームのk空間データに基づいて収集時間及び/又は時間分解能が異なる複数の第2フレームのk空間データを生成し、前記第2のk空間データとして、前記複数の第2フレームのk空間データを選択する、
[付記1−15]記載の磁気共鳴イメージング装置。
【0308】
[付記1−18]
前記処理部は、前記第1フレームのk空間データに基づいて前記第1フレームの入力MR画像データを生成し、前記複数フレームのk空間データに基づいて前記複数の第2フレームのk空間データを生成し、前記複数の第2フレームのk空間データに基づいて複数の第2フレームの入力MR画像データを生成し、
前記学習済みモデルに従い前記第1フレームの入力MR画像データと前記複数の第2フレームの入力MR画像データとから、前記第3のMRデータとして、前記第1のフレームの出力MR画像データを生成する、
[付記1−17]記載の磁気共鳴イメージング装置。
【0309】
[付記1−19]
前記複数のフレームと前記第1フレームとは、第1の時間分解能レベルを有し、
前記複数の第2フレームは、前記第1の時間分解能レベルよりも低い第2の時間分解能レベルを有する、
[付記1−17]記載の磁気共鳴イメージング装置。
【0310】
[付記1−20]
前記第1の時間分解能レベルは、1撮像フレームに相当する時間分解能を有し、
前記第2の時間分解能レベルは、2以上の撮像フレームに相当する時間分解能を有し、 前記複数の第2フレームは、N(N+1)/2のフレームを有し、
前記複数の第2フレームは、N撮像フレームに相当する時間分解能レベルから2撮像フレームに相当する時間分解能レベルまでの各第nの時間分解能レベルについて、(N+1−n)のフレームを有する、
[付記1−19]記載の磁気共鳴イメージング装置。
【0311】
[付記1−21]
前記第1のMRデータは、前記第2のMRデータに含まれる、[1−16]記載の磁気共鳴イメージング装置。
【0312】
[付記1−22]
複数の関数を合成したパラメータ付き合成関数に対して、第1のMRデータと、前記第1のMRデータと同一の撮影対象で且つ前記第1のMRデータとは異なる撮像パラメータに関する第2のMRデータとを適用して推定出力データを生成する工程と、
前記推定出力データと、前記第1のMRデータの欠損部分が復元された正解出力データとが近似するように前記パラメータ付き合成関数のパラメータを更新することにより学習済みモデルを生成する工程と、
を具備する学習済みモデル生成方法。
【0313】
[付記2−1]
第1のCTデータと、前記第1のCTデータと同一の撮像対象且つ前記第1のCTデータとは異なる撮像パラメータに関する第2のCTデータとを入力する入力層と、前記第1のCTデータの欠損部分が復元された第3のCTデータを出力する出力層と、前記入力層と前記出力層との間に設けられる少なくとも1つの中間層とを有する学習済みモデルを記憶する記憶部と、
前記学習済みモデルに従い、被検体に関する処理対象の第1のCTデータと、前記被検体に関し且つ前記処理対象の第1のCTデータとは異なる撮像パラメータにより収集された第2のCTデータとから、前記被検体に関する第3のCTデータを生成する処理部と、 を具備する医用データ処理装置。
【0314】
[付記2−2]
前記第1のCTデータと前記第2のCTデータとは、投影データ又は前記投影データに復元処理を施して生成されたCT画像データである、[付記2−1]記載の医用データ処理装置。
【0315】
[付記2−3]
前記復元処理は、デノイズ型復元又はデータ誤差フィードバック型復元である、[付記2−2]記載の医用データ処理装置。
【0316】
[付記2−4]
前記撮像パラメータは、スライス位置、収集時刻、管電流、管電圧、焦点サイズ、検出器空間分解能、ビュー数、再構成関数、架台回転速度及び時間分解能の少なくとも一つを含む、[付記2−1]記載の医用データ処理装置。
【0317】
[付記2−5]
前記第1のCTデータは、前記第2のCTデータに比してデータ間引き量が多い、[付記2−4]記載の医用データ処理装置。
【0318】
[付記2−6]
前記第1のCTデータと前記第2のCTデータとは、単一の入力ベクトルとして前記学習済みモデルに入力される、[付記2−1]記載の医用データ処理装置。
【0319】
[付記2−7]
前記第1のCTデータは、前記入力ベクトルの第1の範囲に設定され、
前記第2のCTデータは、前記入力ベクトルの第2の範囲に設定され、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との位置は、固定される、
[付記2−6]記載の医用データ処理装置。
【0320】
[付記2−8]
前記第2のCTデータは、撮像パラメータが異なる複数セットのCTデータを有し、 前記複数セット各々の前記第2のCTデータは、前記入力ベクトルの前記第2の範囲のうちの固定された範囲に設定される、
[付記2−7]記載の医用データ処理装置。
【0321】
[付記2−9]
複数の関数を合成したパラメータ付き合成関数に対して、第1のCTデータと第2のCTデータとを適用して推定出力データを生成し、前記推定出力データと正解出力データとが近似するように前記パラメータ付き合成関数のパラメータを更新することにより前記学習済みモデルを生成する学習部を更に備える、[付記2−1]記載の医用データ処理装置。
【0322】
[付記2−10]
ユーザによる指示に従い撮像部位を選択する選択部を更に備え、
前記処理部は、前記選択された撮像部位に応じて学習済みモデルを切り替える、
[付記2−1]記載の医用データ処理装置。
【0323】
[付記2−11]
前記撮像パラメータは、第1のパラメータと第2のパラメータとを含み、
前記第1のCTデータと前記第2のCTデータとは、前記第1のパラメータが共通であり、前記第2のパラメータが異なり、
前記第1のCTデータと前記第3のCTデータとは、前記第1のパラメータと前記第2のパラメータとが共通であり、
前記第2のCTデータと前記第3のCTデータとは、前記第1のパラメータが共通であり、前記第2のパラメータが異なり、
前記3のCTデータは、前記第1のCTデータに比してデータ欠損が少ない又は画質が高い、
[付記2−1]記載の医用データ処理装置。
【0324】
[付記2−12]
前記第1のパラメータは、スライス位置であり、
前記第2のパラメータは、収集時刻及び管電流である、
[付記2−11]記載の医用データ処理装置。
【0325】
[付記2−13]
第1の投影データ又はCT画像データと、前記第1の投影データ又はCT画像データと同一の撮像対象且つ前記第1の投影データ又はCT画像データとは異なる撮像パラメータに関する第2の投影データ又はCT画像データとを入力する入力層と、前記第1の投影データ又はCT画像データの欠損部分が復元された第3の投影データ又はCT画像データを出力する出力層と、前記入力層と前記出力層との間に設けられる少なくとも1つの中間層とを有する学習済みモデルを記憶する記憶部と、
前記被検体にCT撮像を施して第1の撮像パラメータに関する第1の投影データと、前記第1の撮像パラメータとは異なる第2の撮像パラメータに関する第2の投影データとを収集する収集部と、
前記学習済みモデルに従い、前記収集された第1の投影データ又はCT画像データと前記収集された第2の投影データ又はCT画像データとから、前記被検体に関する第3の投影データ又はCT画像データを生成する処理部と、
を具備するX線コンピュータ断層撮影装置。
【0326】
[付記2−14]
前記収集部は、回転フレームの複数周回の投影データを取得し、
前記処理部は、前記複数周回の投影データのうちの第1周回の投影データに基づいて、前記第1のCT画像データとして、第1周回のCT画像データを生成し、前記複数周回の投影データのうちの第2周回の投影データに基づいて、前記第2のCT画像データとして、第2周回のCT画像データを生成する、
[付記2−13]記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【0327】
[付記2−15]
前記第1周回の投影データは、高線量のCT撮像により生成され、
前記第2周回の投影データは、低線量のCT撮像により生成される、
[付記2−14]記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【0328】
[付記2−16]
複数の関数を合成したパラメータ付き合成関数に対して、第1のCTデータと、前記第1のCTデータと同一の撮影対象で且つ前記第1のCTデータとは異なる撮像パラメータに関する第2のCTデータとを適用して推定出力データを生成する工程と、
前記推定出力データと、前記第1のCTデータの欠損部分が復元された正解出力データとが近似するように前記パラメータ付き合成関数のパラメータを更新することにより学習済みモデルを生成する工程と、
を具備する学習済みモデル生成方法。
【0329】
[付記3−1]
第1のUSデータと、前記第1のUSデータと同一の撮像対象且つ前記第1のUSデータとは異なる撮像パラメータに関する第2のUSデータとを入力する入力層と、前記第1のUSデータの欠損部分が復元された第3のUSデータを出力する出力層と、前記入力層と前記出力層との間に設けられる少なくとも1つの中間層とを有する学習済みモデルを記憶する記憶部と、
前記学習済みモデルに従い、被検体に関する処理対象の第1のUSデータと、前記被検体に関し且つ前記処理対象の第1のUSデータとは異なる撮像パラメータにより収集された第2のUSデータとから、前記被検体に関する第3のUSデータを生成する処理部と、 を具備する医用データ処理装置。
【0330】
[付記3−2]
前記第1のUSデータと前記第2のUSデータとは、US生データ又は前記US生データに復元処理を施して生成されたUS画像データである、[付記3−1]記載の医用データ処理装置。
【0331】
[付記3−3]
前記復元処理は、デノイズ型復元又はデータ誤差フィードバック型復元である、[付記3−2]記載の医用データ処理装置。
【0332】
[付記3−4]
前記撮像パラメータは、スライス位置、収集時刻、焦点位置、ゲイン、送信強度、受信強度、PRF、ビーム走査方式、走査モード及び時間分解能の少なくとも一つを含む、[付記3−1]記載の医用データ処理装置。
【0333】
[付記3−5]
前記第1のUSデータは、前記第2のUSデータに比してデータ間引き量が多い、[付記3−4]記載の医用データ処理装置。
【0334】
[付記3−6]
前記第1のUSデータと前記第2のUSデータとは、単一の入力ベクトルとして前記学習済みモデルに入力される、[付記3−1]記載の医用データ処理装置。
【0335】
[付記3−7]
前記第1のUSデータは、前記入力ベクトルの第1の範囲に設定され、
前記第2のUSデータは、前記入力ベクトルの第2の範囲に設定され、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との位置は、固定される、
[付記3−6]記載の医用データ処理装置。
【0336】
[付記3−8]
前記第2のUSデータは、撮像パラメータが異なる複数セットのUSデータを有し、 前記複数セット各々の前記第2のUSデータは、前記入力ベクトルの前記第2の範囲のうちの固定された範囲に設定される、
[付記3−7]記載の医用データ処理装置。
【0337】
[付記3−9]
複数の関数を合成したパラメータ付き合成関数に対して、第1のUSデータと第2のUSデータとを適用して推定出力データを生成し、前記推定出力データと正解出力データとが近似するように前記パラメータ付き合成関数のパラメータを更新することにより前記学習済みモデルを生成する学習部を更に備える、[付記3−1]記載の医用データ処理装置。
【0338】
[付記3−10]
ユーザによる指示に従い撮像部位を選択する選択部を更に備え、
前記処理部は、前記選択された撮像部位に応じて学習済みモデルを切り替える、
[付記3−1]記載の医用データ処理装置。
【0339】
[付記3−11]
前記撮像パラメータは、第1のパラメータと第2のパラメータとを含み、
前記第1のUSデータと前記第2のUSデータとは、前記第1のパラメータが共通であり、前記第2のパラメータが異なり、
前記第1のUSデータと前記第3のUSデータとは、前記第1のパラメータと前記第2のパラメータとが共通であり、
前記第2のUSデータと前記第3のUSデータとは、前記第1のパラメータが共通であり、前記第2のパラメータが異なり、
前記3のUSデータは、前記第1のUSデータに比してデータ欠損が少ない又は画質が高い、
[付記3−1]記載の医用データ処理装置。
【0340】
[付記3−12]
前記第1のパラメータは、スライス位置であり、
前記第2のパラメータは、収集時刻である、
[付記3−11]記載の医用データ処理装置。
【0341】
[付記3−13]
第1のUS生データ又はUS画像データと、前記第1のUS生データ又はUS画像データと同一の撮像対象且つ前記第1のUS生データ又はUS画像データとは異なる撮像パラメータに関する第2のUS生データ又はUS画像データとを入力する入力層と、前記第1のUS生データ又はUS画像データの欠損部分が復元された第3のUS生データ又はUS画像データを出力する出力層と、前記入力層と前記出力層との間に設けられる少なくとも1つの中間層とを有する学習済みモデルを記憶する記憶部と、
前記被検体にUS撮像を施して第1の撮像パラメータに関する第1のUS生データと、前記第1の撮像パラメータとは異なる第2の撮像パラメータに関する第2のUS生データとを収集する収集部と、
前記学習済みモデルに従い、前記収集された第1のUS生データ又は前記収集された第1のUS生データに基づくUS画像データと前記収集された第2のUS生データ又は前記収集された第2のUS生データに基づくUS画像データとから、前記被検体に関する第3のUS生データ又はUS画像データを生成する処理部と、
を具備する超音波診断装置。
【0342】
[付記3−14]
前記収集部は、時系列の複数フレームのUS生データを収集し、
前記処理部は、前記複数フレームのUS生データの中から、前記第1のUS生データとして、一の第1フレームのUS生データを選択し、前記第2のUS生データとして、一又は複数の第2フレームのUS生データを選択する、
[付記3−13]記載の超音波診断装置。
【0343】
[付記3−15]
前記処理部は、
前記第1フレームのUS生データに基づいて前記第1フレームの入力US画像データを生成し、前記第2フレームのUS生データに基づいて前記第2フレームの入力US画像データを生成し、
前記学習済みモデルに従い前記第1フレームの入力US画像データと前記複数の第2フレームの入力US画像データとから、前記第3のUSデータとして、前記第1のフレームの出力US画像データを生成する、
[付記3−14]記載の超音波診断装置。
【0344】
[付記3−16]
前記複数フレームのUS生データに基づく前記複数フレームのUS画像データをリアルタイムで表示する表示部を更に備え、
前記処理部は、
ユーザにより画像静止指示がなされた場合、前記画像静止指示がなされた時点において前記表示機器に表示されていたUS波画像データを前記第1フレームのUS画像データとして選択し、
前記画像静止指示がなされた時点から所定フレーム前のフレーム又は前記画像静止指示がなされた時点から所定フレーム後のフレームのUS画像データを、前記第2フレームのUS画像データとして選択する、
[付記3−15]記載の超音波診断装置。
【0345】
[付記3−17]
複数の関数を合成したパラメータ付き合成関数に対して、第1のUSデータと、前記第1のUSデータと同一の撮影対象で且つ前記第1のUSデータとは異なる撮像パラメータに関する第2のUSデータとを適用して推定出力データを生成する工程と、
前記推定出力データと、前記第1のUSデータの欠損部分が復元された正解出力データとが近似するように前記パラメータ付き合成関数のパラメータを更新することにより学習済みモデルを生成する工程と、
を具備する学習済みモデル生成方法。
【0346】
[付記4−1]
第1の医用データと、前記第1の医用データと同一の撮像対象且つ前記第1の医用データとは異なる撮像パラメータに関する第2の医用データとを入力する入力層と、前記第1の医用データの欠損部分が復元された第3の医用データを出力する出力層と、前記入力層と前記出力層との間に設けられる少なくとも1つの中間層とを有する学習済みモデルを記憶する記憶部と、
前記学習済みモデルに従い、被検体に関する処理対象の第1の医用データと、前記被検体に関し且つ前記処理対象の第1の医用データとは異なる撮像パラメータにより収集された第2の医用データとから、前記被検体に関する第3の医用データを生成する処理部と、 を具備する医用データ処理装置。
【0347】
[付記4−2]
前記第1の医用データと前記第2の医用データとは、生データ又は前記生データに復元処理を施して生成された医用画像データである、[付記4−1]記載の医用データ処理装置。
【0348】
[付記4−3]
前記復元処理は、デノイズ型復元又はデータ誤差フィードバック型復元である、[付記4−2]記載の医用データ処理装置。
【0349】
[付記4−4]
前記撮像パラメータは、スライス位置、医用データの撮像原理及び時間分解能の少なくとも一つを含む、[付記4−1]記載の医用データ処理装置。
【0350】
[付記4−5]
前記第1の医用データは、前記第2の医用データに比してデータ間引き量が多い、[付記4−4]記載の医用データ処理装置。
【0351】
[付記4−6]
前記第1の医用データと前記第2の医用データとは、単一の入力ベクトルとして前記学習済みモデルに入力される、[付記4−1]記載の医用データ処理装置。
【0352】
[付記4−7]
前記第1の医用データは、前記入力ベクトルの第1の範囲に設定され、
前記第2の医用データは、前記入力ベクトルの第2の範囲に設定され、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との位置は、固定される、
[付記4−6]記載の医用データ処理装置。
【0353】
[付記4−8]
前記第2の医用データは、撮像パラメータが異なる複数セットの医用データを有し、 前記複数セット各々の前記第2の医用データは、前記入力ベクトルの前記第2の範囲のうちの固定された範囲に設定される、
[付記4−7]記載の医用データ処理装置。
【0354】
[付記4−9]
複数の関数を合成したパラメータ付き合成関数に対して、第1の医用データと第2の医用データとを適用して推定出力データを生成し、前記推定出力データと正解出力データとが近似するように前記パラメータ付き合成関数のパラメータを更新することにより前記学習済みモデルを生成する学習部を更に備える、[付記4−1]記載の医用データ処理装置。
【0355】
[付記4−10]
ユーザによる指示に従い撮像部位を選択する選択部を更に備え、
前記処理部は、前記選択された撮像部位に応じて学習済みモデルを切り替える、
[付記4−1]記載の医用データ処理装置。
【0356】
[付記4−11]
前記撮像パラメータは、第1のパラメータと第2のパラメータとを含み、
前記第1の医用データと前記第2の医用データとは、前記第1のパラメータが共通であり、前記第2のパラメータが異なり、
前記第1の医用データと前記第3の医用データとは、前記第1のパラメータと前記第2のパラメータとが共通であり、
前記第2の医用データと前記第3の医用データとは、前記第1のパラメータが共通であり、前記第2のパラメータが異なり、
前記3の医用データは、前記第1の医用データに比してデータ欠損が少ない又は画質が高い、
[付記4−1]記載の医用データ処理装置。
【0357】
[付記4−12]
前記第1のパラメータは、スライス位置であり、
前記第2のパラメータは、医用データの撮像原理である、
[付記4−11]記載の医用データ処理装置。
【0358】
[付記4−13]
前記第1の医用データに関する前記第2のパラメータは、前記撮像原理として、PET撮像であり、
前記第2の医用データに関する前記第2のパラメータは、前記撮像原理として、X線CT撮像である、
[付記4−12]記載の医用データ処理装置。
【0359】
[付記4−14]
第1の医用データと、前記第1の医用データと同一の撮像対象且つ前記第1の医用データとは異なる撮像パラメータに関する第2の医用データとを入力する入力層と、前記第1の医用データの欠損部分が復元された第3の医用データを出力する出力層と、前記入力層と前記出力層との間に設けられる少なくとも1つの中間層とを有する学習済みモデルを記憶する記憶部と、
前記被検体に撮像を施して第1の撮像パラメータに関する第1の医用データと、前記第1の撮像パラメータとは異なる第2の撮像パラメータに関する第2の医用データとを収集する収集部と、
前記学習済みモデルに従い、前記収集された第1の医用データと前記収集された第2の医用データとから、前記被検体に関する第3の医用データを生成する処理部と、
を具備する医用画像診断装置。
【0360】
[付記4−15]
前記収集部は、前記被検体にPET撮像を施して前記第1の医用データを収集するPETスキャナと前記被検体にX線CT撮像を施して前記第2の医用データを収集X線CTスキャナとを有する、[付記4−14]記載の医用画像診断装置。
【0361】
[付記4−16]
複数の関数を合成したパラメータ付き合成関数に対して、第1の医用データと、前記第1の医用データと同一の撮影対象で且つ前記第1の医用データとは異なる撮像パラメータに関する第2の医用データとを適用して推定出力データを生成する工程と、
前記推定出力データと、前記第1の医用データの欠損部分が復元された正解出力データとが近似するように前記パラメータ付き合成関数のパラメータを更新することにより学習済みモデルを生成する工程と、
を具備する学習済みモデル生成方法。