特許第6843944号(P6843944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6843944電気加熱式エアロゾル発生システムの内側で気流を案内するためのエアロゾル発生システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843944
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】電気加熱式エアロゾル発生システムの内側で気流を案内するためのエアロゾル発生システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20210308BHJP
【FI】
   A24F40/40
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-199612(P2019-199612)
(22)【出願日】2019年11月1日
(62)【分割の表示】特願2017-530651(P2017-530651)の分割
【原出願日】2015年12月14日
(65)【公開番号】特開2020-36597(P2020-36597A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2019年11月7日
(31)【優先権主張番号】14197849.4
(32)【優先日】2014年12月15日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】15176545.0
(32)【優先日】2015年7月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド キーザン デスネイヴィス
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0182610(US,A1)
【文献】 特表2014−527835(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0007863(US,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−0933516(KR,B1)
【文献】 特表2013−524835(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/083635(WO,A1)
【文献】 特開2011−103476(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/066127(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00−47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
液体エアロゾル発生基体を保持するための容器を備える液体貯蔵部分であって、開口部を画定する液体貯蔵部分と、
メインハウジングと、
前記メインハウジングと取り外し可能なように結合され、前記液体貯蔵部分を含むカートリッジと、
ヒーター組立品であって、横断面に沿って前記開口部を横切って延び、かつ少なくとも1つの電気的に動作する発熱体を備えるヒーター組立品と、
第一の流れ経路を画定する第一のチャネルであって、前記第一のチャネルの一部分が前記横断面に対して配置され、これにより、前記第一のチャネルの前記少なくとも一部分が、前記システムの外側から来る空気を、前記少なくとも1つの発熱体の表面部分に対して衝突するように配向し、かつ前記表面部分を横切るように配向し、その後、前記メインハウジングと前記カートリッジとの間の長軸方向に配向する、第一のチャネルと、
前記開口部と整列され、かつ前記ヒーター組立品と接触する毛細管材料とを備え、
前記液体エアロゾル発生基体が前記毛細管材料を経由して前記少なくとも1つの電気的に動作する発熱体へと引き出される、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
第二の流れ経路を画定する第二のチャネルをさらに含み、前記第一の流れ経路および第二の流れ経路が、空気を前記少なくとも1つの発熱体の前記表面部分に対して衝突するように配向し、かつ前記表面部分を横切って配向する前記第一のチャネルの前記一部分の前にまたはこれに沿って合流する、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの発熱体の前記表面部分に対して衝突するように空気を配向し、かつ前記表面部分を横切るように空気を配向する前記第一のチャネルの前記一部分が、前記横断面と直交する、請求項1または2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記ヒーター組立品が、複数の発熱体を備え、前記複数の発熱体を介して共通の平面が通過する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電気的に動作する発熱体が複数の導電性フィラメントを備える、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記メインハウジングが、前記システムの外側から周囲空気を引き込むための少なくとも1つの入口と、前記ヒーター組立品に対する流路に対応する前記第一のチャネルの少なくとも第一の部分とをさらに画定する、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記カートリッジが、前記第一の部分と流体連通する前記第一のチャネルの第二の部分を画定する、請求項6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記メインハウジングが、前記第一の部分と流体連通する前記第一のチャネルの第二の部分を画定する、請求項6又は7に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記第一のチャネルの一部分が、曲がり部に沿って前記ヒーター組立品から遠ざかる空気を搬送するように寸法が決められ、かつ配置される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
メインハウジングと、前記メインハウジングと取り外し可能なように結合され、液体貯蔵部分を備えたカートリッジとを備え、電気的に動作するエアロゾル発生システム内で気流を案内するための方法であって、前記方法が、
エアロゾル発生基体を供給する工程と、
前記システムの外側から来る空気を、前記エアロゾル発生基体を含有する容器内の開口部に整列された発熱体の表面部分に対して衝突するように配向し、前記表面部分を横切るように配向し、その後、前記メインハウジングと前記カートリッジとの間の長軸方向に配向する工程であって、
前記開口部を前記液体貯蔵部分によって画定される、工程と、
前記エアロゾル発生基体を、前記開口部と整列されている毛細管材料を経由して前記発熱体へと引き出す工程と、
発生したエアロゾルを前記システムの下流端に運ぶ工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱式の喫煙システムなどの電気加熱式エアロゾル発生システム、およびこのようなシステムの内側で気流を案内するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一部のエアロゾル発生システムは、電池および制御電子回路と、エアロゾル形成基体供給源を含むカートリッジと、電気的に動作する気化器と、を備えうる。物質は、例えばヒーターによって、エアロゾル形成基体から気化される。ユーザーが口側の端で吸入(例えば、喫煙)する間、気流は、ヒーターを通過して気化した液体を混入され、マウスピースを通してそれをマウスピースの口側の端に案内する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
各吸煙中の吸入のために加熱ゾーンから遠ざかるように、ヒーターによって気化された液体が可能な限り多く搬送されるように流れる空気を操ることが望ましい。望ましい吸入可能な範囲外での液滴の形成を最小化するように流れを操ることがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一の態様によると、エアロゾルを発生するための電気加熱式の喫煙システムが提供される。加熱される喫煙システムは、下流端および周囲空気を引き込むための1つ以上のチャネルを持つ気流システムに対して位置付けられたヒーターを利用する。1つ以上のチャネルの各々は、それぞれの流れ経路を画定する。第一のチャネルによって画定された第一の流れ経路は、周囲空気を下流端へと運ぶ前に、システムの外側からの空気をヒーターの1つ以上の電気発熱体に対して衝突するように配向する。各第一の流れ経路に沿って搬送される空気は、予備加熱されていない周囲空気としてヒーターに配向されてもよく、またはヒーターに対して、またヒーターに沿って衝突する前に予備加熱工程に供されてもよい。
【0005】
一部の実施形態では、第一の流れ経路によって、ヒーターの電気発熱体(複数可)が配置された平面に実質的に直交する経路に沿って、空気は最初に衝突する。このような配置は、ヒーターの幾何学的中心に配向される衝突の角度が直角の場合には蒸気の効率的な混入を促進することが判明しているために有利である。複数のチャネルが使用される場合、それぞれの流れは共通の直交する経路の前で、またはこれに沿った何らかの箇所で合流する場合がある。あるいは、1つ以上の流れをヒーター組立品と任意の角度で衝突させてもよく、その結果流れは1つ以上の発熱体(複数可)を通過する共通の平面に対して、またこれに沿って衝突する。
【0006】
ヒーターのゾーン内の蒸気は、1つ以上のチャネル内を流れる空気によって回収され、気流システムの下流端へ搬送される。流れる空気の中で蒸気が凝縮すると液滴が形成され、それによってエアロゾルが発生する。発熱体に90度の角度で衝突する周囲気流は、これをシステムの下流の「口」の端まで案内することができるように、効率的かつ効果的に蒸気を混入することがわかっている。発熱体に当たる周囲の気流が大きいほど、蒸気の混入および排出の効率が大きくなる。特に、周囲空気が加熱組立品の表面でその幾何学的中心に直交する角度で衝突する場合、発熱体にわたる均質な気流が半径方向外向きに提供される場合がある。
【0007】
第一のおよびいずれかの追加的なチャネルを通して通過し、かつ発熱体(複数可)に対して直角に衝突する周囲空気の体積は、変化する場合があり、例えば、適用される発熱体の種類または利用可能な気化された液体の量に適合される場合がある。例えば、発熱体と衝突する周囲空気の体積は、発熱体によって効果的に加熱される合計面積に適合させてもよい。
【0008】
実施形態では、ヒーターのゾーンを離れる加熱された蒸気含有空気は、カートリッジの中にエアロゾル形成基体が保存される、横断する近傍の冷却ゾーンに沿って通過する。このゾーンでは、カートリッジの表面の温度は蒸気を含有する空気の温度より低いため、このような近傍は著しい冷却効果を持つ。カートリッジの表面内での流れの相互作用を最大化するような寸法にされかつ配置された細いチャネルを空気が通過する時に、この効果は特に顕著である。結果としてもたらされる急激な冷却は、気化された液体による空気の過飽和を生じ、これが、その結果より小さいエアロゾル液滴の形成を促進する。一部の実施形態では、蒸気凝縮の間、液滴サイズを0.5〜1マイクロメートルの吸入可能な範囲に維持することが好ましい。
【0009】
一部の実施形態では、液体基体を収容するカートリッジハウジングの部分の周りのエアロゾルの流れの中の急な曲がり部(例えば、90度程度)は、補完的な液滴濾過機能を実施し、吸入可能な範囲を超える液滴は、下流端へ送達されないように流路の角部(複数可)で凝縮する。
【0010】
原則として、特定の値に関連して「約」という用語が本明細書全体を通して使用される時はいつでも、「約」という用語に続く値は、技術的な考慮事項のため、厳密に正確なその特定の値を持つ必要はないと理解される。ただし、特定の値に関連して使用される「約」という用語は常に、用語「約」に続く特定の値を含み、かつ明示的に開示するものと理解される。
【0011】
エアロゾルを発生する液体を含有する容器内の開口部に対するヒーターの方向および位置に関して、「横切る」という用語は、共通の平面を通過する(例えば、平面が容器開口部を横断する)1つ以上の発熱体が開口部の少なくとも一部の上をまたはこれを横切って位置付けられる配置を意味することが意図されている。一部の実施形態では、例えば、ヒーターは容器の開口部を完全に覆ってもよく、一方でその他の実施形態では、ヒーターは容器の開口部を部分的にのみ覆ってもよい。さらに別の実施形態では、ヒーターはすべての側面上の開口部全体を横切って延びるように開口部の中に位置付けられてもよく、一方でさらに別の実施形態では、ヒーターは開口部の反対側部分の第一の対を横切り、かつ開口部の反対側部分の第二の対を横切らないで延びるように位置付けられてもよい。
【0012】
本明細書では、「上流」および「下流」という用語は、システム内の気流の方向の観点から使用される。システムの上流端および下流端は、ユーザーがエアロゾル発生喫煙物品の近位端または口側の端を吸う時の気流に関して定義される。空気は、上流端でシステムの中に引き込まれ、システムを下流に通過し、近位端または下流端でシステムを出る。本明細書で使用される場合、「近位」および「遠位」という用語は、消費者に向かう、または消費者から遠ざかる向きに関する要素の位置を意味する。それゆえ、エアロゾル発生システムのマウスピースの近位端は、マウスピースの口側の端に対応する。カートリッジハウジングの遠位開口部は、したがって、消費者から遠ざかる側に面するカートリッジハウジング内に配置された開口部の位置に対応する。
【0013】
本開示の実施形態と一致する喫煙システムで使用されるヒーターは、例えば、1つ以上の導電性発熱体を備える流体透過性の加熱組立品であってもよい。1つ以上の導電性発熱体は、これらに電流がかけられた時に熱を発生する寸法にされ、かつ熱を発生するように配置される。流体透過性加熱組立品は、異なる種類のカートリッジの液体の気化のために適切である。例えば、液体エアロゾル形成基体として、カートリッジは、液体または液体を含有する搬送材料(例えば、毛細管材料など)を含んでもよい。このような搬送材料および毛細管材料は液体を能動的に運び、また液体を発熱体に運ぶようにカートリッジ内で方向付けられていることが好ましい。実施形態では、熱生成フィラメントである1つ以上の導電性発熱体は、発熱体によって生成された熱が液体を気化するように、液体または液体を含有する毛細管材料の近くに配置される。フィラメントおよびエアロゾル形成基体は、液体が毛細管作用によってフィラメント配置の隙間に流れ込みうるように配置されることが好ましい。フィラメント配置はまた、毛細管材料と物理的に接触しうる。
【0014】
実施形態では、流体透過性加熱組立品は、ヒーターが実質的に平坦な向きになるように共通の平面が通過する1つ以上の発熱体を備える。このような発熱体は、例えば、多孔性のセラミックまたはメッシュヒーター内に埋め込まれた平坦なコイルであってもよく、メッシュまたは別のフィラメント配置は、ヒーターの開口部にわたり配置される。流体透過性加熱組立品は、例えば、耐熱性の支持部品上に印刷された導電性のメッシュまたはコイルパターンを備えてもよい。支持部品は、200℃未満の温度で、好ましくは150℃未満の温度で、熱的に分解せず、また揮発性要素を放出しない、セラミック、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはその他の耐熱性セラミックおよびポリマーであってもよい。
【0015】
ヒーターは、エアロゾル形成基体を含むカートリッジまたはカートリッジハウジングから液体を気化する。エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出されうる。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含みうる。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有する、たばこ含有材料を含みうる。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用において密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にし、またシステムの動作の使用温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性のある、任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。好適なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリン(最も好ましい)など)である。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含みうる。
【0016】
エアロゾル形成基体は、発熱体(複数可)に接触するかまたは隣接する毛細管材料を経由して発熱体(複数可)に運ばれてもよい。毛細管材料は繊維質または海綿状の構造を有する場合がある。毛細管材料は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含む場合がある。繊維または糸は、一般的に液体を発熱体に運ぶように整列されてもよい。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含む場合がある。毛細管材料の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管材料は適切な任意の材料または材料の組み合わせを含みうる。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管材料は異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛細管および空隙率を有する場合がある。液体は毛細管作用により毛細管装置を通過して搬送できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を持つ。
【0017】
毛細管材料は、ヒーターの導電性フィラメントと接触しうる。毛細管材料は、フィラメント間の隙間に延びうる。発熱体は、毛細管作用により液体エアロゾル形成基体を隙間に引き込みうる。毛細管材料は、実質的に発熱体の開口部の全長にわたり、導電性フィラメントと接触しうる。
【0018】
発熱体(複数可)は、支持要素を含む加熱組立品内に提供されうる。加熱組立品は、2つ以上の異なる毛細管材料を含みうるが、発熱体と接触している第一の毛細管材料はより高い熱分解温度を持ち、第一の毛細管材料と接触しているが発熱体とは接触してない第二の毛細管材料はより低い熱分解温度を持つ。第一の毛細管材料は、第二の毛細管材料がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、発熱体を第二の毛細管材料から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。本明細書で使用される場合、「熱分解温度」とは、材料が分解し始め、ガス状の副産物を発生することにより質量を損失する温度を意味する。第二の毛細管材料は、有利なことに第一の毛細管材料よりも大きな容積を占めうるが、また第一の毛細管材料よりも多くのエアロゾル形成基体を保持しうる。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも優れた芯の性能を持ちうる。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも安価であるか、または高い充填能力を持ちうる。第二の毛細管材料はポリプロピレンであってもよい。
【0019】
流れ経路(複数可)は、望ましい結果を達成するように、例えば、所定の空気体積が1つ以上のチャネルを通過し、かつヒーター表面(複数可)上に衝突するように選択されてもよい。例えば、チャネルの長さまたは直径は、例えば、所定の引き出し抵抗(RTD)も達成するように変動されてもよい。流れ経路(複数可)は、エアロゾル発生喫煙システムのセットアップに従い、また喫煙システムの個別の構成要素の配置および特性に従い、選択されてもよい。例えば、エアロゾルを、エアロゾル形成基体を含有するカートリッジハウジングの近位端または遠位端において発生させてもよい。エアロゾル発生喫煙システム内のカートリッジの向きに応じて、カートリッジハウジングの開放端は、マウスピースに面して配置されるか、またはマウスピースからから遠ざかる向きに配置される。したがって、エアロゾル形成基体を加熱するための発熱体は、ハウジングの近位端または遠位端に配置される。液体はマウスピースの開放遠位端で気化され、発熱体はカートリッジとマウスピースとの間に配置されることが好ましい。
【0020】
一部の実施形態では、1つ以上の発熱体はカートリッジハウジングの開放近位端に、例えば、カートリッジの近位端を覆うように配置される(上部バージョン)。このような実施形態では、第一の流れ経路および第一のチャネルは、全体が喫煙システムのマウスピース内に配置されてもよく、第一の空気吸込み口はマウスピースの側壁内に配置され、また第一のチャネルの1つまたはいくつかの出口はマウスピースの近位端または口側の端に配置される。随意に、追加的な流れ経路およびチャネルはマウスピース内に画定される。第一のおよび任意の追加的なチャネルは、喫煙システムの発熱体(複数可)の場所に依存して配置される。例えば、発熱体が、例えばカートリッジの近位端を覆うように(上部バージョン)、カートリッジハウジングの開放近位端に配置されている実施形態では、チャネル(複数可)は、完全にマウスピース内に配置されてもよい。
【0021】
1つ以上の発熱体がカートリッジハウジングの開放遠位端に配置されている代替的な実施形態では、流れ経路(複数可)は通常的には喫煙システム内のさらなる遠位の場所で、例えば、カートリッジハウジングの遠位端領域で開始する。この目的のために、空気吸込み口(複数可)および各チャネルの第一の部分は、マウスピース内に画定される対応するチャネル部分と流体連通して第一のチャネル部分を画定するように喫煙システムの主なセクション内に配置されてもよい。次に、周囲空気はシステムの中へと配向され、カートリッジの遠位端で発熱体を通過し、カートリッジ内でのエアロゾル形成基体の加熱によって発生した蒸気を混入する。次に、空気を含むエアロゾルは、カートリッジハウジングと主要ハウジングとの間をカートリッジに沿ってシステムの下流端へと案内されてもよく、そこで(下流端の前または下流端に到達した時点のいずれかで)第一の流れ経路からの周囲空気と混合される。
【0022】
単一のチャネルは発熱体(複数可)の下流でいくつかのチャネル部分へと分岐されてもよく、また発熱体(複数可)の上流のいくつかのチャネル部分は、ヒーターの幾何学的中心に対して直交して衝突する前に単一のチャネルへと合流されてもよい。さらに、第一のチャネルは、いくつかの第一の部分的チャネルから成り立ってもよく、また第二のチャネルは、いくつかの第二の部分的チャネルから成り立ってもよい。
【0023】
流れ経路は、周囲空気を発熱体に供給し、発熱体から離れてシステムの下流端にエアロゾルを搬送する、数多くの変形を提供してもよい。例えば、半径方向の周囲空気の供給は、大量の中央での抽出と組み合わされることが好ましい。中央の周囲空気の供給は、発熱体表面全体にわたる半径方向の空気の分布と組み合わされて、エアロゾルを含む空気が周辺部を下流端に運ばれることが好ましい。このような実施形態では、流れ経路は、周囲空気を発熱体に、例えば発熱体に直角に、好ましくは発熱体の中央に衝突するように配向するよう統合される。
【0024】
発熱体の中央部分に直角に配向される気流は、0度より大きく90度よりも小さい角度で表面に衝突する気流と比較した時、エアロゾル流内により小さい粒子サイズおよびより大量の全粒子状物質粒子が存在するという点で、エアロゾル化の改善を示している。これは、ヒーター要素および気流界面で発生する低めのレベルの気流の渦、ヒーター全体を最大化することによるエアロゾル生成の改善(例えば、ヒーター要素の中央部分以外の部分がエアロゾルの追加または増量に寄与する)による、または発熱体を横切る空気の量が増えることに基づく吸い上げ効果の増大によるものと考えられる。
【0025】
エアロゾルを発生するために電気加熱式の喫煙システム内の気流を案内するための方法は、周囲空気をシステムの外側から発熱体に対して直角に配向すること、および液体の加熱によって発生した蒸気の過飽和を促進するために、加熱された蒸気を含有する空気を運ぶことを含む。
【0026】
本発明についてはさらに、実施形態に関して説明するが、これを下記の図表によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本開示と一致する実施形態による空気の流れを採用するエアロゾル発生システムを示す。
図2図2は、本開示と一致する他の実施形態による周囲空気および蒸気を混入した空気の流れを採用するエアロゾル発生システムを示す。
図3A図3Aは、本開示と一致する別の実施形態による周囲空気および蒸気を混入した空気の流れを採用するエアロゾル発生システムの組み立てられた形態を断面で示す。
図3B図3Bは、図3Aの実施形態の分解した、または組み立てられていない形態を断面で示す。
図4図4は、異なる発熱体での異なる気流の冷却効果を示す。
図5図5は、メッシュヒーターを形成する給電された加熱フィラメントの例示的な流れ衝突パターンおよび実質的に平面な配置に基づく温度曲線を示す。
図6図6は、マウスピースの出口における温度曲線を示す。
図7図7は、マウスピースの出口における平均蒸気飽和曲線を示す。
図8図8は、同一のヒーター構成および適用される電力を用いた、図1および図2の空気の気流の幾何学的形状に対するマウスピースの出口における液滴直径の比を示す。
図9a図9aは、本発明による喫煙システム内で使用されうるものとしての発熱体を示す。
図9b図9bは、本発明による喫煙システム内で使用されうるものとしての発熱体を示す。
【0028】
図1では、エアロゾル発生喫煙システム用のカートリッジ4およびマウスピース1の実施形態が示される。細長いメインハウジング5は、エアロゾル形成基体、例えば、液体を含む毛細管材料41を含有する管状の容器4とともにカートリッジを収容する。容器4は開放近位端42を持つ。ヒーター30は容器4の開放近位端を覆うように配置される。一部の実施形態では、ヒーター30は実質的に平坦な断面を持つ流体透過性ヒーターである。一実施形態では、ヒーター30は電気加熱式フィラメントの実質的に平坦なメッシュ配置である。ヒーター30のフィラメントまたは他の発熱体(複数可)は、エアロゾル形成基体41と物理的に直接接触していてもよく、または物理的に直接接触していなくてもよい。実質的に管状の細長い本体15を持つマウスピース1は、メインハウジング、容器4、およびヒーター30と整列される。細長い本体15は、ヒーター30に面する開放遠位端を持つ。
【0029】
図1に示される実施形態は、第一の流れ経路をマウスピース1の中に画定する第一のチャネル10を備える。入ってくる周囲空気20は、入口100を介して第一の流れ経路に入り、第一のチャネル10によって画定された流路を進む。この流路は、周囲空気をヒーター30の中央に対して衝突させる。衝突は、ヒーターの幾何学的中心において、かつ90度または90度近くの角度で(すなわち、流れはヒーター30の加熱表面(複数可)を含有する平面に実質的に直交して)生じることが好ましい。ヒーター30によって生成された気化された液体は、エアロゾルとして空気流れ20によって混入され、消費者が吸煙する時に吸入されるように、そこから空気がマウスピース1の近位端または口側の端にある出口12へと送達される。一部の実施形態では、第一のチャネル10としての単一のチャネルは、各吸煙に対して望ましい量の周囲空気を引き込むために単独で十分でありうる。その他の実施形態では、2つ以上の入口および関連付けられたチャネルを含むことが望ましい場合がある。例えば、ヒーター30上に衝突する前に周囲空気の流れが合流するように、追加的な空気を引き込むために第二のチャネル(図示せず)が提供される場合がある。
【0030】
図1の実施形態では、第一の流れ経路への入口100は、マウスピース1内で、マウスピース1の細長い本体15の遠位側半分に位置する開口部または穿孔である。上流の第二のチャネル部分101内の第一の流れ経路は、細長い本体の周囲に平行な細長い本体内をマウスピースの近位端に流れる。第一のチャネル10の半径方向内向きに配向される部分102では、第一の気流20は細長い本体の中央に配向され、また第一のチャネルの中央に配置された部分103では、第一の気流20は、ヒーター30の中央部31に衝突するようにヒーター30に配向される。第一の気流20は、ヒーター30を通り越し、第一のチャネル10のいくつかの長軸方向の端部104へと半径方向外向きに拡散する。長軸方向の端部104は、細長い本体の中で周囲に沿って規則正しく配置される。
【0031】
この実施形態では、流れ経路および対応するチャネルは、完全にエアロゾル発生システムのマウスピース1の中に配置される。例えば、対称に配置されるチャネルによって画定される1つ以上の追加的な流れ経路は、周囲空気が中央に配置される部分103に到達する時点までに流れが統合するようにマウスピースの中に画定されてもよい。
【0032】
図2では、カートリッジの底部に配置され、容器41の開放遠位端43を覆うヒーター30を備えるカートリッジ4の実施形態が図示されている。この実施形態では、第一の入口100Aは、メインハウジング5内に配置され、周囲空気20Aは、第一のチャネルの半径方向内向きに配向する部分102Aの中から、メインハウジングの中央へと直接導かれる。さらに、第二の入口100Bは、メインハウジング5内に配置され、周囲空気20Bは、半径方向内向きに配向する第二のチャネル102Bの中から、メインハウジング5の中央へと直接導かれる。第一のチャネルの中央に配置される部分103の中に単一の流れを形成するように、第一のチャネルと第二のチャネルとを統合し、統合された気流はヒーター30の上に直角に衝突するように配向される。次に、空気はヒーター30を通過し、ヒーター30によってエアロゾル形成基体41内の液体を加熱することにより生じたエアロゾルを混入する。エアロゾル含有空気は、カートリッジ4とメインハウジング5の内側表面との間に配置され、かつこれらに沿う第一のチャネル10のいくつかの細長い長軸方向部分105のうちの1つの中の90度曲がり部へと入った後に、カートリッジ4の近位端へと導かれる。
【0033】
そこで、エアロゾルを含有する気流は、メインハウジング5内の中央に配置された単一の開口部52へと案内され、そこから出るように案内される。マウスピース(図示せず)は、メインハウジングに隣接して整列するように配置されてもよい。次に、マウスピースは、エアロゾルを含む気流を受け、これをマウスピース1の近位端内の単一の出口開口部12に案内するための、中央に配置された開口部および第一のチャネル10の端部104も持つことが好ましい。
【0034】
図3Aおよび図3Bは、カートリッジの底部に配置され、カートリッジハウジング41の開放遠位端43を覆うヒーター30を備えるカートリッジ4を含むシステム8の追加的な実施形態を図示する。この実施形態では、第一の入口100Aは、メインハウジング5内に配置され、周囲空気20Aは、第一のチャネルの半径方向内向きに配向する部分102Aの中から、メインハウジングの中央へと直接導かれる。さらに、第二の入口100Bは、メインハウジング5内に配置され、周囲空気20Bは、半径方向内向きに配向する第二のチャネル102Bの中から、メインハウジング5の中央へと直接導かれる。第一のチャネルの中央に配置される部分103の中に単一の流れを形成するように、第一のチャネルと第二のチャネルとを統合し、統合された気流はヒーター30の上に直角に衝突するように配向される。メインハウジング5の中に位置する電源(図示せず)に電気的に結合する導電性接点60は、ヒーター30の対応する接点と電気的に接触し、ヒーターに電流を供給する。
【0035】
第一のチャネル部分103を介して到着する空気は、ヒーター30を通過し、エアロゾル形成基体41内の液体のヒーター30を通した加熱によって生じた蒸気および凝縮した液滴を混入する。そのようにして発生したエアロゾルは、カートリッジ4の間に配置され、かつカートリッジ4に沿う第一のチャネル10のいくつかの細長い長軸方向部分105のうちの1つの中の90度曲がり部45a、45bへと入った後、カートリッジ4の近位端へと導かれる。その後、エアロゾルは、マウスピース1の近位端内の中央に配置される出口開口部12へと案内され、そこから出る。
【0036】
図3Bは、システム8を詳細に示すための分解図である。断面4Aおよび断面4Bを備えるカートリッジハウジング4が、液体貯蔵部として機能し、かつヒーターでの蒸発のために液体をヒーター30に向かって配向する、高い保持力の材料または高い放出力の材料(HRM)41を含有する液体を受けることがわかる。毛細管ディスク44、例えば、繊維ディスクは、HRM41とヒーター30との間に配置される。毛細管ディスク44の材料は、熱的分離およびHRM自体の分解からの保護を提供するために、そのヒーター30への近接さを理由にHRM41より耐熱性があってもよい。ヒーターが起動した場合に、気化のための液体の提供を確保するために、毛細管ディスク44はHRMのエアロゾル形成液体によって湿潤状態に保持される。
【0037】
図4に示すデータは、空気流速とメッシュヒーターの冷却の間の関係を実証する。冷却速度は、異なるメッシュヒーター(Reking(45マイクロメートル/180毎インチ)、Haver(25マイクロメートル/200毎インチ)および3細片のWarrington(25マイクロメートル/250毎インチ))を使用して測定した。Rekingヒーターについての測定データは十字線で示され、Haverヒーターについての測定データは丸で示され、3細片のWarringtonヒーターについての測定データは三角で示されている。すべてのヒーターは、3ワットで動作させた。温度は、ヒーターに結合された熱電対で測定された。x軸にリットル毎分[L/min]単位で表示されている流量を増大させた結果、メッシュヒーターで測定された温度が下がった。エアロゾル発生システム内の気流の一般的なサイズは、ヒーターの有意な冷却をもたらす標準喫煙方法、例えばカナダ保健省(Health Canada)喫煙方法に近いものとすることができる。カナダ保健省などの例示的な喫煙方法は、空気と蒸気の混合物55mLを2秒間にわたり引き出す。代替的な方法は3秒間にわたり55mLを引き出す。どちらの例示的喫煙方法も、挙動を精密に真似ることはできないが、その代わりに平均的ユーザーが吸うものの代用としての役目を果たす。気流の高い速度およびヒーター30の表面(複数可)への空気の直角の衝突と関連付けられたより高い冷却速度を補償するためには、その発熱体(複数可)への電流レベルの供給の増加が必要な場合がある。
【0038】
図5のグラフでは、1回の吸煙間のヒーターの平均温度対時間が示されている。曲線60は、ヒーターについての基準温度データを表し、ここで全気流はヒーターに配向される。基準データについては、ヒーターは5ワットで加熱されている。
【0039】
図6は、1回の吸煙間にマウスピース出口においてエアロゾルを搬送する気流の温度に対する、液体貯蔵部分41を含有するカートリッジハウジング4の部分に沿って蒸気を混入した気流を配向することの効果を示す。データは、図2および図3Aに示したように、周囲気流がメインハウジングの出口を通して入り込み、マウスピースの吸入する端から遠位のカートリッジ開口部を横切って横断面内に配置された実質的に平坦なヒーターの表面に対して直角に衝突し、かつマウスピースの吸入する端に向かって気流を搬送するように下流の流れチャネルの周辺を曲がる実施形態を意味する。温度曲線61は、図1に示す配置によって全気流がヒーターに衝突し、そこから出る、5ワットで給電されるヒーターに対する出口空気の温度を表す。温度曲線71も5ワットで給電されるヒーターについての出口空気の温度を表すが、図2および図3Aに示すように、ここでは冷却を促進するために気流が液体貯蔵部分に近接して通過する。図2および図3Aの配置では、液体貯蔵部分近傍のカートリッジハウジングのゾーンに対する熱伝達に起因して、メインハウジング5およびマウスピース1の近位出口におけるエアロゾル搬送気流の温度は著しくより低い。
典型的には、エアロゾルを搬送する気流に混合される「新鮮な」空気は室温である。
【0040】
1回の吸煙中、マウスピースの出口における、グリセロール溶液の蒸気圧と飽和圧力との比(Pvapor/Psaturation)にも有意な差異がみられる場合がある。
この比を図7に示す。曲線72は、図2および図3Aの配置により全気流がヒーターへと配向された、5ワットで給電されるヒーターの出口における圧力データを意味する。曲線62は、図1の配置により全気流がヒーターに衝突する、5ワットで給電されるヒーターの出口における圧力データを意味する。これは、グリセロール溶液の過飽和の度合いが大きいことを表し、より小さい液滴のエアロゾル化に有利に働く。シミュレーションでは、分割しないまたは全気流の実施形態の蒸気と比較して、分割気流の実施形態の温度の低い蒸気について、小さな小滴サイズが明確に予測されている。これらのシミュレーションデータ67を、マウスピースの出口における1回の吸煙について図8に示す。Y軸は、分割気流の合計気流システムに対する液滴の直径比を表す。この比は、エアロゾル発生システムでの1回の吸煙時のd_split/d_ref=T*Ln(S)ref/T*Ln(S)split対時間(単位:秒)として計算・表示されており、式中、Tはケルビン度で表現された温度であり、SはPvおよびP(T)の関数である飽和比である。
【0041】
図9aは、第一のヒーター30を図示したものである。ヒーター30は、発熱体の流体透過性組立品であり、304Lステンレス鋼から形成されたメッシュ36を備え、メッシュサイズは約400メッシュUS(1インチ当たり約400フィラメント)である。フィラメントの直径は、約16マイクロメートルである。メッシュは、ギャップ33によって相互に分離された電気接点32に接続され、厚さが約30マイクロメートルの銅箔またはスズ箔で形成される。電気接点32は、厚さが約120マイクロメートルのポリイミド基体34上に提供される。メッシュを形成するフィラメントは、フィラメント間の隙間を画定する。この例では隙間の幅は約37マイクロメートルであるが、より大きいまたはより小さい隙間が使用されてもよい。これらのおよその寸法のメッシュを使用することで、隙間内にエアロゾル形成基体のメニスカスを形成することができ、発熱体のメッシュが毛細管作用によってエアロゾル形成基体を引き出すことができる。メッシュの開いた部分の面積、すなわち、隙間の面積のメッシュの総面積に対する比は、有利なことに25〜56%である。発熱体の全抵抗は約1オームである。大半の熱がメッシュによって生成されるように、メッシュがこの抵抗の大部分を提供する。この例では、メッシュの電気抵抗は、電気接点32よりも100倍以上高い。
【0042】
基体34は電気的に絶縁され、またこの例では、厚さが約120マイクロメートルのポリイミドシートから形成される。基体は円形であり、直径が8ミリメートルである。メッシュは長方形であり、辺の長さは5ミリメートルおよび2ミリメートルである。これらの寸法により、従来の紙巻たばこまたは葉巻たばことサイズおよび形状が類似した完全なシステムを作製することができる。有効さが判明している別の寸法の例は、直径5ミリメートルの円形の基体および1ミリメートル×4ミリメートルの長方形のメッシュである。
【0043】
図9bは、代替的なヒーター組立品を図示したものである。図8bの発熱体では、導電性の熱生成フィラメント37は基体34に直接結合され、次に接点32はフィラメントに結合される。接点32は、以前と同様に絶縁ギャップ33により相互に分離されており、厚さが約30マイクロメートルの銅箔から形成される。図8aに示すように、メッシュタイプのヒーターについても、同じ配列の基体フィラメントおよび接点を使用することができる。最も外側の層として接点を持つことは、電源との信頼できる電気接点を提供する上で有益でありうる。
【0044】
図1図3Bに戻ると、有利なことに、毛細管材料41はハウジング4内で液体をヒーター30へと運ぶように方向付けられる。カートリッジが組み立てられる時、ヒーターフィラメント36、37、38は毛細管材料41と接触してもよく、エアロゾル形成基体をメッシュヒーターに直接運ぶことができる。
【0045】
使用時、発熱体は抵抗加熱により作動する。電流は、制御電子回路(図示せず)の制御に基づきフィラメント36、37、38を通過し、フィラメントを望ましい温度範囲内に加熱する。フィラメントのメッシュまたはアレイは、高い温度がフィラメントに局所化されるように、電気接点32、35および電気コネクター(図示せず)よりも著しく高い電気抵抗を持つ。システムは、ユーザーの吸煙に応答して電流を発熱体に提供することにより熱を発生するように構成されてもよく、または装置が「オン」状態にある間に熱を連続的に発生するように構成されてもよい。
【0046】
フィラメント用の異なる材料が、異なるシステムで適切でありうる。例えば、連続的加熱システムでは、比熱容量が比較的低く、かつ低電流の加熱と適合性があるため、黒鉛フィラメントが適切である。高電流パルスを使用した短時間のバーストで熱が発生される吸煙により作動するシステムでは、高い比熱容量を持つステンレス鋼フィラメントがより適切でありうる。
【0047】
図1図3Bで説明した上記のカートリッジシステムでは、カートリッジハウジング4は、例えば図1で説明したカートリッジハウジングに加えて、別個のカートリッジ容器でもよい。特に、液体を含有するカートリッジは予め製造された製品であり、予め製造されたカートリッジを受けるために、エアロゾル発生システム内に提供されたカートリッジハウジングの中へと挿入されてもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b