(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、優れた解像性を有し、黒色度に優れて高い隠蔽力を有する黒色感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の構成の要旨は、以下の通りである。
[1](A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)着色剤と、を含有し、
前記(E)着色剤が、(E1)フタロシアニン系着色剤と(E2)ジケトピロロピロール系着色剤を含有する黒色感光性樹脂組成物。
[2]前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、前記(E)着色剤を0.20質量部以上15質量部以下含有する[1]に記載の黒色感光性樹脂組成物。
[3]前記(E1)フタロシアニン系着色剤100質量部に対して、前記(E2)ジケトピロロピロール系着色剤を50質量部以上500質量部以下含有する[1]または[2]に記載の黒色感光性樹脂組成物。
[4]前記(E1)フタロシアニン系着色剤が、フタロシアニンブルーである[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の黒色感光性樹脂組成物。
[5]前記(E2)ジケトピロロピロール系着色剤が、C.I.ピグメントレッド264である[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の黒色感光性樹脂組成物。
[6]前記(E)着色剤が、黒色着色剤を含有しない[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の黒色感光性樹脂組成物。
[7]前記(E)着色剤が、さらに、(E3)酸化鉄系無機顔料を含有する[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の黒色感光性樹脂組成物。
[8]前記(E)着色剤が、さらに、(E4)アントラキノン系着色剤を含有する[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の黒色感光性樹脂組成物。
[9]前記(E4)アントラキノン系着色剤が、クロモフタルイエローである[8]に記載の黒色感光性樹脂組成物。
[10]前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂が、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部にラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させてラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得、生成した水酸基に多塩基酸若しくはその無水物を反応させて得られる、多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂、及び/または1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部にラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させてラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得、生成した水酸基に多塩基酸若しくはその無水物を反応させて多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得、該多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基の一部に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物を反応させて得られる、ラジカル重合性不飽和基をさらに付加した多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を含有する[1]乃至[9]のいずれか1つに記載の黒色感光性樹脂組成物。
[11][1]乃至[10]のいずれか1つに記載の黒色感光性樹脂組成物を光硬化させた硬化物。
[12][1]乃至[10]のいずれか1つに記載の黒色感光性樹脂組成物の光硬化膜を備えたプリント配線板。
【発明の効果】
【0008】
本発明の黒色感光性樹脂組成物の態様によれば、着色剤がフタロシアニン系着色剤とジケトピロロピロール系着色剤を含有することにより、塗工した黒色感光性樹脂組成物の深部まで光硬化が十分に進行するので、優れた解像性を有し、また、黒色度に優れて高い隠蔽力を有する硬化物を得ることができる。また、現像後における塗膜深部の幅寸法の減少を防止できるので、塗膜深部の幅寸法は塗膜表層部の幅寸法に近づき、硬化塗膜の寸法精度が向上する。
【0009】
本発明の黒色感光性樹脂組成物の態様によれば、フタロシアニン系着色剤100質量部に対してジケトピロロピロール系着色剤を50質量部以上500質量部以下含有することにより、優れた解像性と高い隠蔽力をバランスよく向上させることができる。
【0010】
本発明の黒色感光性樹脂組成物の態様によれば、フタロシアニン系着色剤がフタロシアニンブルーであり、ジケトピロロピロール系着色剤がC.I.ピグメントレッド264であることにより、より黒色度が向上して硬化物に高い隠蔽力を付与することができる。
【0011】
本発明の黒色感光性樹脂組成物の態様によれば、着色剤が黒色着色剤を含有しないことにより、波長300〜400nmの光の透過率が向上して、黒色感光性樹脂組成物の深部までの光硬化性がさらに向上し、また、黒色着色剤としてカーボンブラックを含有しないので、絶縁特性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の黒色感光性樹脂組成物の各成分について説明する。本発明の黒色感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合開始剤と、(C)反応性希釈剤と、(D)エポキシ化合物と、(E)着色剤と、を含有し、前記(E)着色剤が、(E1)フタロシアニン系着色剤と(E2)ジケトピロロピロール系着色剤を含有する。
【0013】
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
カルボキシル基含有感光性樹脂は、遊離のカルボキシル基を有する光硬化特性の樹脂であれば、その化学構造は特に限定されない。カルボキシル基含有感光性樹脂としては、例えば、感光性の不飽和二重結合を1個以上有する樹脂が挙げられる。カルボキシル基含有感光性樹脂として、より具体的には、例えば、1分子中にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸及び/またはメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」ということがある。)等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させて、エポキシ(メタ)アクリレート等のラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を得て、生成した水酸基に多塩基酸またはその無水物を反応させて得られる、多塩基酸変性エポキシ(メタ)アクリレート等の多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0014】
前記多官能性エポキシ樹脂は、2官能以上のエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。多官能性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されないが、その上限値は、2000g/eqが好ましく、1000g/eqがより好ましく、500g/eqが特に好ましい。一方で、エポキシ当量の下限値は、100g/eqが好ましく、200g/eqが特に好ましい。
【0015】
多官能性エポキシ樹脂には、例えば、о−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂にBr、Cl等のハロゲン原子を導入したものを使用してもよい。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。これらのうち、感度と解像性をバランスよく向上させる点から、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
【0016】
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、アンゲリカ酸、桂皮酸などを挙げることができる。このうち、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。これらのラジカル重合性不飽和モノカルボン酸は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0017】
エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とを反応させる方法は、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とを適当な希釈剤中で加熱する方法が挙げられる。
【0018】
多塩基酸または多塩基酸無水物は、前記エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応により生成した水酸基に付加反応することで、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂に遊離のカルボキシル基が導入される。多塩基酸またはその無水物は、特に限定されず、飽和、不飽和のいずれも使用可能である。多塩基酸には、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール酸等が挙げられ、多塩基酸無水物としては上記した多塩基酸の無水物が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明においては、上記した多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂もカルボキシル基含有感光性樹脂として使用できるが、上記のようにして得られた多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂のカルボキシル基の一部に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物を付加反応させて得られる、ラジカル重合性不飽和基をさらに付加した多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を使用してもよい。ラジカル重合性不飽和基をさらに付加した多塩基酸変性ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂は、多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂にラジカル重合性不飽和基がさらに導入されているので、多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂よりも、感光性がさらに向上したカルボキシル基含有感光性樹脂である。
【0020】
1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物としては、例えば、グリシジル化合物を挙げることができる。グリシジル化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリメタアクリレートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、グリシジル基は1分子中に複数有していてもよい。上記した1つ以上のラジカル重合性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価は、特に限定されないが、その下限値は、確実なアルカリ現像の点から30mgKOH/gが好ましく、40mgKOH/gがより好ましく、50mgKOH/gが特に好ましい。一方、酸価の上限値は、アルカリ現像液による露光部の溶解防止の点から200mgKOH/gが好ましく、硬化物の耐湿性と電気特性の劣化防止の点から150mgKOH/gがより好ましく、130mgKOH/gが特に好ましい。
【0022】
カルボキシル基含有感光性樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、その下限値は、硬化物の強靭性、機械的強度及び指触乾燥性の点から3000が好ましく、5000が特に好ましい。一方、質量平均分子量の上限値は、アルカリ現像性の点から200000が好ましく、50000が特に好ましい。
【0023】
カルボキシル基含有感光性樹脂は、上記各原材料を用いて上記反応工程にて合成してもよく、上市されているカルボキシル基含有感光性樹脂を使用してもよい。上市されているカルボキシル基含有感光性樹脂としては、例えば、「SP−4621」(昭和電工株式会社)、「ZAR−2000」、「ZFR−1122」、「FLX−2089」、「ZCR−1569H」(以上、日本化薬株式会社)、「サイクロマーP(ACA)Z−250」(ダイセル・オルネクス株式会社)等の多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂の化学構造を有する樹脂を挙げることができる。また、これらのカルボキシル基含有感光性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
(B)光重合開始剤
光重合開始剤は、一般的に使用されるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(0−アセチルオキシム)、(Z) −(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)(4−((1−メトキシプロパン−2−イル)オキシ)
−2−メチルフェニル)メタノン O−アセチルオキシム、2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、1,8−オクタンジオン,1,8−ビス[9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル]−,1,8−ビス(O−アセチルオキシム)、1,8−オクタンジオン,1,8−ビス[9−(2−エチルヘキシル)−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル]−,1,8−ビス(O−アセチルオキシム)、(Z)
−(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)(4−((1−メトキシプロパン−2−イル)オキシ) −2−メチルフェニル)メタノン O−アセチルオキシム等のオ
キシムエステル系化合物が挙げられる。また、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン系化合物が挙げられる。さらに、上記以外の光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの光重合開始剤のうち、感光性の点から、オキシムエステル系化合物、アセトフェノン系化合物が好ましい。
【0025】
光重合開始剤の含有量は、特に限定されず、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部(固形分、以下同じ)に対して、0.5質量部〜30質量部が好ましく、1.0質量部〜20質量部が特に好ましい。
【0026】
(C)反応性希釈剤
反応性希釈剤とは、例えば、光重合性モノマーであり、1分子当たり少なくとも1つ、好ましくは1分子当たり少なくとも2つの重合性二重結合を有する化合物である。反応性希釈剤は、黒色感光性樹脂組成物の光硬化をより十分にして、耐酸性、耐熱性、耐アルカリ性を有する硬化物を得ることに寄与する。
【0027】
反応性希釈剤は、上記化合物であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリルレート等の単官能(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート類等の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
反応性希釈剤の含有量は、特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、5.0〜100質量部が好ましく、10〜50質量部が特に好ましい。
【0029】
(D)エポキシ化合物
エポキシ化合物は、硬化物の架橋密度を上げて十分な強度の硬化物を得ることに寄与する。エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のゴム変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエステル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボラック型エポキシ樹脂、トリアジン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、解像性をより確実に得る点から、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、トリアジン骨格を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0030】
エポキシ化合物の含有量は、特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、5.0〜100質量部が好ましく、10〜50質量部が特に好ましい。
【0031】
(E)着色剤
本発明の黒色感光性樹脂組成物では、着色剤として(E1)フタロシアニン系着色剤と(E2)ジケトピロロピロール系着色剤を含有することにより、黒色の色彩を感光性樹脂組成物に付与している。本発明の黒色感光性樹脂組成物では、着色剤として(E1)フタロシアニン系着色剤と(E2)ジケトピロロピロール系着色剤を含有することにより、塗工した黒色感光性樹脂組成物の深部まで光硬化が十分に進行するので、優れた解像性を有し、また、黒色度に優れて高い隠蔽力を有する硬化物を得ることができる。また、塗膜深部まで光硬化が十分に進行するので、現像後における塗膜深部の幅寸法の減少を防止でき、結果、塗膜深部の幅寸法は塗膜表層部の幅寸法に近づき、硬化塗膜の寸法精度が向上する。
【0032】
また、本発明の黒色感光性樹脂組成物では、クロマネティクス指数(a*値)及びクロ
マネティクス指数(b*値)を、いずれも、0値近傍(例えば、−4〜+4の範囲)へ調整できるので、赤味と紫味が抑えられ、硬化物に漆黒性が付与される。
【0033】
本発明の黒色感光性樹脂組成物では、カーボンブラック等の黒色着色剤を含有する必要はないので、波長300〜400nmの光の透過率が向上して、黒色感光性樹脂組成物の深部までの光硬化性が確実に向上する。また、本発明の黒色感光性樹脂組成物では、カーボンブラックを含有する必要はないので、硬化物の絶縁特性が向上する。
【0034】
(E1)フタロシアニン系着色剤
フタロシアニン系着色剤としては、フタロシアニン系顔料、フタロシアニン系染料が挙げられる。フタロシアニン系顔料としては、例えば、青色着色剤であるフタロシアニンブルー顔料、緑色着色剤であるフタロシアニングリーン顔料が挙げられる。このうち、ジケトピロロピロール系着色剤とあいまって黒色度を向上させ、硬化物のa*値を0値に近づ
け赤味を抑えて硬化物に漆黒性を付与する点から、フタロシアニンブルー顔料が好ましい。フタロシアニンブルー顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルーの1、2、3、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、17:1等が挙げられる。これらのうち、高い解像性を得つつ、黒色度と漆黒性を確実に向上させる点から、C.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。
【0035】
(E2)ジケトピロロピロール系着色剤
ジケトピロロピロール系着色剤としては、ジケトピロロピロール系顔料が挙げられる。ジケトピロロピロール系顔料としては、ジケトピロロピロール系赤色顔料、ジケトピロロピロール系橙色顔料等が挙げられる。このうち、フタロシアニン系着色剤とあいまって黒色度を向上させる点から、ジケトピロロピロール系赤色顔料が好ましい。ジケトピロロピロール系赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッドの254、255、264、270、272等が挙げられる。これらのうち、高い解像性を得つつ、黒色度を確実に向上させる点から、C.I.ピグメントレッド264が好ましい。
【0036】
本発明の黒色感光性樹脂組成物では、着色剤が、フタロシアニン系着色剤とジケトピロロピロール系着色剤から構成されていてもよいが、フタロシアニン系着色剤とジケトピロロピロール系着色剤に加えて、必要に応じて、さらに、(E3)酸化鉄系無機顔料、(E4)アントラキノン系着色剤等、第2の着色剤を配合してもよい。
【0037】
(E3)酸化鉄系無機顔料
酸化鉄系無機顔料としては、黒色着色剤である黒色酸化鉄、黄色着色剤である黄色酸化鉄、赤色着色剤である赤色酸化鉄等が挙げられる。このうち、フタロシアニン系着色剤及びジケトピロロピロール系着色剤とあいまって黒色度と解像性をバランスよく向上させる点から、黒色酸化鉄が好ましい。
【0038】
(E4)アントラキノン系着色剤
アントラキノン系着色剤としては、アントラキノン系顔料が挙げられる。アントラキノン系顔料としては、アントラキノン系黄色顔料、アントラキノン系赤色顔料、アントラキノン系橙色顔料等が挙げられる。これらのうち、フタロシアニン系着色剤及びジケトピロロピロール系着色剤とあいまって黒色度と解像性をバランスよく向上させつつ、硬化物のb*値をより0値に近づけ紫味を確実に抑えて硬化物に漆黒性を確実に付与する点から、アントラキノン系黄色顔料が好ましい。アントラキノン系黄色顔料としては、クロモフタルイエローが特に好ましい。アントラキノン系黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー99、123、147、199等が挙げられる。
【0039】
(E)着色剤の含有量は、黒色感光性樹脂組成物の適用条件等に応じて、選択可能であり、例えば、その下限値は、黒色度を確実に得てより高い隠蔽力を硬化物に付与する点から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、0.20質量部が好ましく、0.50質量部がより好ましく、1.0質量部が特に好ましい。一方で、(E)着色剤の含有量の上限値は、より優れた解像性を硬化物に付与する点から、15質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、8.0質量部が特に好ましい。
【0040】
また、フタロシアニン系着色剤に対するジケトピロロピロール系着色剤の配合割合は、黒色感光性樹脂組成物の適用条件等に応じて、選択可能であり、例えば、その下限値は、硬化物の黒色度と解像性をバランスよく向上させる点から、フタロシアニン系着色剤100質量部に対して、ジケトピロロピロール系着色剤50質量部が好ましく、70質量部がより好ましく、90質量部が特に好ましい。一方で、フタロシアニン系着色剤に対するジケトピロロピロール系着色剤の配合割合の上限値は、硬化物の解像性をさらに向上させる点から、フタロシアニン系着色剤100質量部に対して、500質量部が好ましく、300質量部がより好ましく、250質量部が特に好ましい。
【0041】
また、酸化鉄系無機顔料をさらに配合する場合、酸化鉄系無機顔料の含有量は、優れた解像性を得る点から、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して0質量部超0.01質量部以下が好ましい。また、酸化鉄系無機顔料をさらに配合する場合、フタロシアニン系着色剤に対する酸化鉄系無機顔料の配合割合は、黒色感光性樹脂組成物の適用条件等に応じて、選択可能であり、例えば、その下限値は、優れた解像性を損なうことなく黒色度を確実に得てより高い隠蔽力を硬化物に付与する点から、フタロシアニン系着色剤100質量部に対して、酸化鉄系無機顔料1.0質量部が好ましく、1.5質量部がより好ましく、2.0質量部が特に好ましい。一方で、フタロシアニン系着色剤に対する酸化鉄系無機顔料の配合割合の上限値は、優れた解像性を確実に得る点から、フタロシアニン系着色剤100質量部に対して、6.0質量部が好ましく、4.5質量部がより好ましく、3.5質量部が特に好ましい。
【0042】
また、アントラキノン系着色剤をさらに配合する場合における、フタロシアニン系着色剤に対するアントラキノン系着色剤の配合割合は、黒色感光性樹脂組成物の適用条件等に応じて、選択可能であり、例えば、その下限値は、優れた解像性を損なうことなく硬化物のb*値をより0値に近づけ紫味を確実に抑える点から、フタロシアニン系着色剤100質量部に対して、50質量部が好ましく、100質量部がより好ましく、200質量部が特に好ましい。一方で、フタロシアニン系着色剤に対するアントラキノン系着色剤の配合割合の上限値は、優れた解像性を確実に得る点から、フタロシアニン系着色剤100質量部に対して、800質量部が好ましく、700質量部がより好ましく、600質量部が特に好ましい。
【0043】
本発明の黒色感光性樹脂組成物では、上記各成分の他に、必要に応じて、種々の添加成分、例えば、フィラー、消泡剤、硬化促進剤等の各種添加剤、非反応性希釈剤等を適宜配合することができる。
【0044】
フィラーは、硬化物の物理的強度を上げるためのものであり、例えば、シリカ、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ等を挙げることができる。消泡剤には、公知のものを使用でき、例えば、シリコーン系、炭化水素系、アクリル系等を挙げることができる。
【0045】
硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)等が挙げられる。また、添加剤として、例えば、シラン系、チタネート系、アルミナ系等のカップリング剤といった分散剤を配合してもよい。
【0046】
非反応性希釈剤は、黒色感光性樹脂組成物の乾燥性や塗工性を調節するためのものであり、例えば、有機溶剤を挙げることができる。有機溶剤には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロプレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類等を挙げることができる。
【0047】
上記した黒色感光性樹脂組成物の製造方法は、特定の方法に限定されないが、例えば、上記各成分を所定割合で配合後、室温にて三本ロール、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等のミル、ニーダー等の混練手段、またはスーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の攪拌、混合手段により、混練、撹拌、混合して製造することができる。また、必要に応じて、前記した混練、撹拌、混合の前に、攪拌機にて予備混合してもよい。
【0048】
次に、本発明の黒色感光性樹脂組成物の使用方法例について説明する。ここでは、本発明の黒色感光性樹脂組成物を用いてプリント配線板の絶縁保護膜(例えば、ソルダーレジスト膜等)を形成する方法を例にとって説明する。
【0049】
上記のようにして得られた本発明の黒色感光性樹脂組成物を、例えば、銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有する基板であるプリント配線板上に、スクリーン印刷法、バーコータ法、ブレードコータ法、ナイフコータ法、ロールコータ法、グラビアコータ法、スプレーコータ法等、公知の塗工方法にて、所望の厚さで塗布して塗膜を形成する。次に、黒色感光性樹脂組成物に非反応性希釈剤が含まれている場合には、非反応性希釈剤を揮散させるために、60〜90℃程度の温度で15〜60分間程度、加熱する予備乾燥を行って、タックフリーの塗膜を形成する。
【0050】
次に、塗膜上に、回路パターンのランド以外を透光性にしたパターンを有するネガフィルム(フォトマスク)を密着させ、その上から活性エネルギー線(例えば、波長300〜400nmの範囲の紫外線)を照射して塗膜を光硬化させる。その後、前記ランドに対応する非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することにより、塗膜が現像される。現像方法には、スプレー法、シャワー法等が用いられ、使用する希アルカリ水溶液としては、例えば、0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が挙げられる。次いで、130〜170℃の熱風循環式の乾燥機等で20〜80分間ポストキュアを行うことにより、プリント配線板上に目的のパターンを有する、ソルダーレジスト膜等の絶縁保護膜を形成することができる。
【実施例】
【0051】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
【0052】
実施例1〜6、比較例1〜5
下記表1に示す各成分を下記表1に示す割合にて配合し、3本ロールを用いて室温(約25℃)にて混合分散させて、実施例1〜6、比較例1〜5にて使用する黒色感光性樹脂組成物を調製した。特に断りのない限り、下記表1中の数字は質量部を示す。また、下記表1中の空欄は配合なしを意味する。
【0053】
なお、表1中の各成分についての詳細は以下の通りである。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂
カルビトールアセテート250質量部に、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業株式会社、ESCN−220、エポキシ当量220)220質量部及びアクリル酸72質量部を溶解し、還流下に反応させて、クレゾールノボラック型エポキシアクリレートを得た。次いで、得られたクレゾールノボラック型エポキシアクリレートに、ヘキサヒドロ無水フタル酸138.6質量部を加え、酸価が理論値になるまで還流下で反応させた後、グリシジルメタクリレート56.8質量部を加え、さらに反応させて、固形分65質量%である(A)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂の合成樹脂(A−1)を得た。
【0054】
(B)光重合開始剤
・NCI−831:株式会社ADEKA
・Omnirad 369:IGM Resins B.V.社
【0055】
(C)反応性希釈剤
・Miramer M600:MIWON社
・YX−4000K:三菱ケミカル株式会社
【0056】
(D)エポキシ化合物
・N−695:DIC株式会社
・YX−4000K:三菱ケミカル株式会社
【0057】
(E)着色剤
(E1)フタロシアニン系着色剤
・リオノールブルーFG−7351:トーヨーカラー株式会社
(E2)ジケトピロロピロール系着色剤
・Irgazin Rubine K 4085:BASF社
・DDP紅SR6T:上海特艶加工社
(E3)酸化鉄系無機顔料
・BL−100:チタン工業株式会社
(E4)アントラキノン系着色剤
・クロモフタルイエローAGR:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社
他の着色剤
・PEP−959NTK BLACK:トーヨーカラー株式会社
・アセチレンブラック:トーヨーカラー株式会社
・R−149:遼寧連港染料加工社
【0058】
フィラー
・硫酸バリウムB−30:堺化学工業株式会社
消泡剤
X−50−1095C:信越化学工業株式会社
添加剤
・メラミン:日産化学工業株式会社
・DICY−7:三菱ケミカル株式会社
非反応性希釈剤
・EDGAC:三洋化成品株式会社
・ソルベッソS−150:安藤パラケミー株式会社
【0059】
試験基板作製工程
基板:ガラスエポキシ基板(FR−4、厚さ1.6mm)、導体(Cu箔)厚35μm
基板の表面処理:バフ研磨
塗膜塗工方法:スクリーン印刷 DRY膜厚20μm
予備乾燥:80℃、20分
露光:塗膜上50mJ/cm
2、オーク株式会社製直描露光機(波長300〜500nm)
現像:1質量%炭酸ナトリウム水溶液、30℃、60秒、噴霧圧力:0.2MPa
ポストキュア:150℃、60分
【0060】
評価
(1)解像性
所定のフォトマスク(ライン幅30〜130μm)を介して形成した露光部の残存ラインと抜けたスペースを目視にて確認、評価した。
(2)色調
上記のように調製した試験基板について、JIS−8722に準拠して、明度(L*値)、クロマネティクス指数(a*値)、クロマネティクス指数(b*値)を測定した。測定機器として、色差計CM−700d(コニカミノルタ株式会社)を用いた。
【0061】
実施例1〜6及び比較例1〜5の評価結果を下記表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
上記表1から、着色剤として、フタロシアニン系着色剤(フタロシアニンブルー)とジケトピロロピロール系着色剤(ジケトピロロピロール系赤色顔料)を使用した実施例1〜6では、解像性40μm以下と優れた解像性を有し、また、明度(L*値)が20以下と黒色度に優れて高い隠蔽力を有する光硬化物を得ることができた。また、実施例1〜6では、クロマネティクス指数(a*値)が0.5〜4、クロマネティクス指数(b*値)が−3〜−1と、いずれも0値近傍であり、光硬化物に漆黒性を付与することができた。特に、フタロシアニン系着色剤(フタロシアニンブルー)100質量部に対してジケトピロロピロール系着色剤(ジケトピロロピロール系赤色顔料)を100〜200質量部含有する実施例2、5では、解像性が30μmまで低減でき、より優れた解像性を得ることができた。また、エポキシ化合物として、トリアジン骨格を有するエポキシ樹脂とビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂を併用した実施例6では、解像性が30μmまで低減でき、より優れた解像性を得ることができた。また、アントラキノン系黄色顔料をさらに配合した実施例1、2、4、6では、フタロシアニン系着色剤(フタロシアニンブルー)とジケトピロロピロール系着色剤(ジケトピロロピロール系赤色顔料)のみを使用した実施例5と比較して、b*値がより0値に近づき、光硬化物により漆黒性を付与することができた。
【0064】
一方で、フタロシアニン系着色剤(フタロシアニンブルー)もジケトピロロピロール系着色剤(ジケトピロロピロール系赤色顔料)も使用せず、カーボンブラック系黒色着色剤を使用した比較例1、3では、解像性が70〜80μmと、優れた解像性を得ることができなかった。また、フタロシアニン系着色剤(フタロシアニンブルー)を使用したがジケトピロロピロール系着色剤(ジケトピロロピロール系赤色顔料)を使用せず、代わりにカーボンブラック系黒色着色剤を使用した比較例2、比較例4、ジケトピロロピロール系着色剤(ジケトピロロピロール系赤色顔料)の代わりにペリレン系赤色着色剤を使用した比較例5でも、解像性が50〜70μmと、優れた解像性を得ることができなかった。