特許第6843963号(P6843963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6843963ハイブリッド車用のトランスミッション装置及び駆動システム、並びに、ハイブリッド車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6843963
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車用のトランスミッション装置及び駆動システム、並びに、ハイブリッド車
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/365 20071001AFI20210308BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20210308BHJP
   B60K 6/387 20071001ALI20210308BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20210308BHJP
   B60K 6/543 20071001ALI20210308BHJP
   B60K 6/547 20071001ALI20210308BHJP
   F16H 3/72 20060101ALI20210308BHJP
   F16H 3/66 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   B60K6/365
   B60K6/48ZHV
   B60K6/387
   B60K6/40
   B60K6/543
   B60K6/547
   F16H3/72 A
   F16H3/66 A
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-503351(P2019-503351)
(86)(22)【出願日】2016年11月4日
(65)【公表番号】特表2019-527164(P2019-527164A)
(43)【公表日】2019年9月26日
(86)【国際出願番号】EP2016076703
(87)【国際公開番号】WO2018014983
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2019年3月11日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2016/067483
(32)【優先日】2016年7月22日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517175611
【氏名又は名称】ジーケーエヌ オートモーティブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ガスマン,テオドー
(72)【発明者】
【氏名】ハウプト,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】アベンハウス,モーリッツ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルバー,スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデブラント,ヴォルフガング
【審査官】 増子 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−117084(JP,A)
【文献】 実開昭59−136330(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0260939(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0105678(US,A1)
【文献】 米国特許第08602938(US,B1)
【文献】 特開平05−332408(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102011014703(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 − 6/547
B60W 10/00 − 20/50
F16H 3/00 − 3/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジン(3)及び電気機械(4)を有するハイブリッド車(2)用のトランスミッション装置(1)であって、
前記内燃エンジン(3)の第一駆動トルク(5)及び前記電気機械(4)の第二駆動トルク(6)は、前記トランスミッション装置(1)によって、前記ハイブリッド車(2)の少なくとも1つのドライブシャフト(7)に伝達可能であり、
前記トランスミッション装置(1)は、第一サンギア(9)と、第一リングギア(10)と、第一遊星キャリア(11)とを含む第一構成部分を有する第一遊星トランスミッション(8)を備え、
前記第一遊星キャリア(11)によって、第三駆動トルク(12)が、第二遊星トランスミッション(14)の第二遊星キャリア(13)に伝達可能であり、
前記第二遊星トランスミッション(14)は、前記第二遊星キャリア(13)と、第二サンギア(15)と、第三サンギア(16)とを含む第二構成部分を有し、
前記第二サンギア(15)は、第二遊星ギア(18)の第一歯部(17)とかみ合い、
前記第三サンギア(16)は、前記第二遊星ギア(18)の第二歯部(19)とかみ合い、
前記ハイブリッド車(2)の前記ドライブシャフト(7)は、前記第三サンギア(16)によって駆動可能であ
前記第三サンギア(16)は、前記第三駆動トルク(12)によって駆動可能であり、
前記第三駆動トルク(12)は、
a.前記内燃エンジン(3)だけによって、又は、
b.前記電気機械(4)だけによって、又は、
c.前記内燃エンジン(3)及び前記電気機械(4)によって、
供給可能である
ことを特徴とするトランスミッション装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のトランスミッション装置(1)であって、
前記内燃エンジン(3)が、第一クラッチ(20)によって前記第一リングギア(10)に連結可能である
ことを特徴とするトランスミッション装置(1)。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか一項に記載のトランスミッション装置(1)であって、
第一サンギア(9)と、第一リングギア(10)と、第一遊星キャリア(11)とからなる群のうち、前記第一遊星トランスミッション(8)の少なくとも2つの構成部分が、共に回転可能な態様で、第三クラッチ(23)によって相互に連結可能である
ことを特徴とするトランスミッション装置(1)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のトランスミッション装置(1)であって、
前記第二サンギア(15)は、第四クラッチ(24)によって、前記トランスミッション装置(1)のハウジング(22)に共に回転可能な態様で連結可能である
ことを特徴とするトランスミッション装置(1)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のトランスミッション装置(1)であって、
第二遊星キャリア(13)と、第二サンギア(15)と、第三サンギア(16)とからなる群のうち、前記第二遊星トランスミッション(14)の少なくとも2つの構成部分が、共に回転可能な態様で、第五クラッチ(25)によって相互に連結可能である
ことを特徴とするトランスミッション装置(1)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のトランスミッション装置(1)であって、
前記第一遊星トランスミッション(8)と前記第二遊星トランスミッション(14)とは、
a.相互に隣接して、又は、
b.軸方向(30)に沿って一方を他方の後ろにして、又は、
c.第一遊星キャリア(11)と第二遊星キャリア(13)との同軸配置による軸方向(30)に沿って一方を他方の後ろにして
配置される
ことを特徴とするトランスミッション装置(1)。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のトランスミッション装置(1)であって、
前記第一リングギア(10)は、第二クラッチ(21)によって、前記トランスミッション装置(1)のハウジング(22)に共に回転可能な態様で連結可能である
ことを特徴とするトランスミッション装置(1)。
【請求項8】
ハイブリッド車(2)用駆動システム(41)であって、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のトランスミッション装置(1)と、
内燃エンジン(3)と、
電気機械(4)とを少なくとも備える
ことを特徴とする駆動システム(41)。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動システム(41)であって、
前記内燃エンジン(3)が、前記第一リングギア(10)を介して前記第一遊星トランスミッション(8)に前記第一駆動トルク(5)を入力する
ことを特徴とする駆動システム(41)。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の駆動システム(41)であって、
前記電気機械(4)は、前記第一サンギア(9)を介して前記第一遊星トランスミッション(8)に前記第二駆動トルク(6)を入力する
ことを特徴とする駆動システム(41)。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のトランスミッション装置(1)と、
内燃エンジン(3)と、
電気機械(4)とを少なくとも備える、ハイブリッド車(2)用駆動システム(41)であって、
前記内燃エンジン(3)は、前記第一サンギア(9)を介して前記第一遊星トランスミッション(8)に前記第一駆動トルク(5)を入力し、
前記電気機械(4)は、前記第一リングギア(10)を介して前記第一遊星トランスミッション(8)に前記第二駆動トルク(6)を入力する
ことを特徴とする駆動システム(41)。
【請求項12】
請求項11に記載の駆動システム(41)であって、
前記内燃エンジン(3)は、第一クラッチ(20)によって前記第一サンギア(9)に連結可能であり、
前記第一サンギア(9)と、前記第一リングギア(10)と、前記第一遊星キャリア(11)とからなる群のうち、前記第一遊星トランスミッション(8)の少なくとも2つの構成部分が、共に回転可能な態様で、第三クラッチ(23)によって相互に連結可能であり、
前記第一遊星トランスミッション(8)の構成部分が、前記第一クラッチ(20)及び前記第三クラッチ(23)のみによって、前記駆動システム(41)のさらなる構成部分と連結可能である
ことを特徴とする駆動システム(41)。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一項に記載の駆動システム(41)であって、
前記電気機械(4)が発電機(26)として動作可能であり、
前記内燃エンジン(3)の前記第一駆動トルク(5)又は前記ドライブシャフト(7)の第四駆動トルク(27)が、前記発電機(26)によって電気エネルギーに変換可能である
ことを特徴とする駆動システム(41)。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか一項に記載の駆動システム(41)であって、
前記電気機械(4)は、前記トランスミッション装置(1)の第一側(28)に配置され、
前記内燃エンジン(3)は、反対側の第二側(29)に配置される
ことを特徴とする駆動システム(41)。
【請求項15】
ハイブリッド車(2)であって、
請求項1〜7のいずれか一項に記載のトランスミッション装置(1)と、
内燃エンジン(3)と、
電気機械(4)とを備え、
前記電気機械(4)は、電気エネルギーを蓄電池(31)に充電するための発電機(26)として動作可能であり、
前記電気機械(4)は、前記ハイブリッド車(2)の前記ドライブシャフト(7)を駆動するための電気モータ(32)として動作可能である
ことを特徴とするハイブリッド車(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジンおよび電気機械を有するハイブリッド車用のトランスミッション装置に関する。本トランスミッション装置は、電気機械や内燃エンジンの駆動トルクを、ハイブリッド車のドライブシャフトに選択的に伝達する役割をする。ハイブリッド車のドライブシャフトは、トランスミッション装置とハイブリッド車の車輪との間に配置される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動車のための駆動デバイスを開示している。この開示では、トランスミッションを用いて、内燃エンジンおよび電気モータの両方を、自動車の駆動用として使用することができる。この文献において、トランスミッションは、リングギアと、サンギアと、遊星キャリアとを備えた遊星トランスミッションである。内燃エンジンのトルクは、リングギアを介して遊星トランスミッションに入力可能であり、電気モータのトルクは、サンギアを介して遊星トランスミッションに入力可能である。駆動力は遊星キャリアを介して出力される。
【0003】
特許文献2は、ハイブリッド車の駆動伝達系のためのデバイスを開示している。このデバイスは、リングギア、サンギア、およびキャリア(遊星キャリア)、を含む構成部分を有する遊星トランスミッションを備える。この文献では、電気機械がリングギアを介して遊星トランスミッションにトルクを入力し、内燃エンジンがサンギアを介して遊星トランスミッションにトルクを入力する。駆動力はキャリアを介してトランスミッションに出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2011 014 703A1号
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2010 063 311A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内燃エンジンや電気機械を用いて自動車を駆動することを意図した、かかるハイブリッド車用駆動デバイスについて、できるだけコンパクトで且つ全ての動作点に対して構成されたトランスミッション装置の提供が常に求められている。
【0006】
これを出発点としてとらえ、従来技術に関連して着目されている問題を少なくとも部分的に解決することが、本発明の目的である。具体的には、第一に、電気機械又は内燃エンジン又はその両方の駆動トルクを選択的に入力するための結合トランスミッションと、第二に、伝達比を設定するためのシフトトランスミッションとを備える、ハイブリッド車用のコンパクトなトランスミッション装置を提案することが求められている。電気機械又は内燃エンジン又はその両方の駆動トルクは、このトランスミッション装置を用いて、ハイブリッド車のドライブシャフトに伝達される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは、請求項1の特徴による、トランスミッション装置によって対処される。諸従属請求項は、有利な実施形態に関する。特許請求の範囲中に個別に記載された諸特徴は、技術的に適切な仕方で、相互に組合せることが可能であり、明細書の説明事項および図面の内容によって補足し、本発明のさらなる実施形態をハイライトすることも可能である。
【0008】
内燃エンジン及び電気機械を有するハイブリッド車用のトランスミッション装置を提案する。前記内燃エンジンの第一駆動トルク及びこの前記電気機械の第二駆動トルクは、前記トランスミッション装置によって、前記ハイブリッド車の少なくとも1つのドライブシャフトに伝達可能である。前記トランスミッション装置は、第一サンギアと、第一リングギアと、第一遊星キャリアとを含む第一構成部分を有する第一遊星トランスミッションを備える。前記第一遊星キャリアによって、第三駆動トルクが、第二遊星トランスミッションの第二遊星キャリアに伝達可能である。前記第二遊星トランスミッションは、前記第二遊星キャリアと、第二サンギアと、第三サンギアとを含む第二構成部分を有する。前記第二サンギアは、第二遊星ギアの第一歯部とかみ合い、前記第三サンギアは、前記第二遊星ギアの第二歯部とかみ合う。前記ハイブリッド車の前記ドライブシャフトは、前記第三サンギアによって駆動可能である。
【0009】
各駆動トルクは、本トランスミッション装置の個々の歯付きギアの相互にかみ合う歯部によって伝達される。第三駆動トルクは、第一駆動トルク、又は、第二駆動トルク、又は、第一駆動トルクと第二駆動トルクとの和である。本例では、具体的には、電気機械が発電機として動作する場合又は反対方向の回転で動作する場合は、この第二駆動トルクは負であってもよい。このとき、内燃エンジンによって生成された第一駆動トルクはこれに応じて低下する。
【0010】
2つの遊星トランスミッションのこの組合せにより、コンパクトな構造形態が可能となり、特に伝達比の有利な設定が可能とする。具体的に、第一遊星トランスミッションによって内燃エンジンと電気機械との結合が可能になる。よって、内燃エンジンの第一駆動トルク、又は、電気機械の第二駆動トルク、又は、第一駆動トルク及び第二駆動トルクの両方を一緒に、第二遊星トランスミッションに選択的に伝達することが可能である。さらに、電気機械を発電機として動作させることによって、内燃エンジンの第一駆動トルクを少なくとも部分的に電気エネルギーに変換し、例えばハイブリッド車の蓄電池中に蓄えてもよい。加えて、第一遊星トランスミッションによって、内燃エンジンは、消費量に関して最適動作点で動作させることができ、電気機械を用いて、運転者が望む第三駆動トルクの変更又はドライブシャフトの回転速度の変更を設定することが可能である。
【0011】
第一遊星トランスミッションによって予め決まる回転速度及び伝達される第三駆動トルクの伝達比は、第二遊星トランスミッションによって実現される。本例では2ギア比シフト構成が実現される。すなわち、第一遊星トランスミッションとドライブシャフトとの間の2つの相異なる伝達比を、第二遊星トランスミッションによって設けることが可能である。
【0012】
特に、これら2つの遊星トランスミッションは互いに対して独立に構築される。すなわち、第三駆動トルクは、互いにかみ合う歯部を有する2つの構成部分を介して、第一遊星トランスミッションと第二遊星トランスミッションとの間で伝達される。第一遊星トランスミッションには第一構成部分が割り当てられ、第二遊星トランスミッションには第二構成部分が割り当てられている。
【0013】
別の実施形態においては、第三駆動トルクは、剛連結を介して、第一遊星トランスミッションと第二遊星トランスミッションとの間で伝達される。本例では、第一遊星キャリアは、第二遊星キャリアを兼ねて設計される。つまり、第一遊星キャリアは、第一遊星ギアのシャフトと第二遊星ギアのシャフトとを兼ねる。
【0014】
内燃エンジンは、好ましくは、第一リングギアを介して、第一駆動トルクを第一遊星トランスミッションに入力する。
【0015】
特に、電気機械が(さらに)、第一サンギアを介して、第二駆動トルクを第一遊星トランスミッションに入力する。
【0016】
入れ替えた配置(第一サンギア経由の第一駆動トルク、第一リングギア経由の第二駆動トルク)も同様に可能である。
【0017】
内燃エンジンは、第一クラッチを介して第一リングギアに連結可能である。この第一クラッチは、特に、トランスミッション装置のハウジングの外側に配置される。具体的に、第一クラッチは摩擦クラッチであり、これは、好ましくは、公知の自動車における通常の態様で、内燃エンジンとトランスミッションとを繋ぐために使われる。
【0018】
特に、純粋に電気的な運転の(第三駆動トルクが電気機械のみによって供給される)間は、内燃エンジンは切り離される。すなわち、このとき第一クラッチは開状態である。他の全ての運転モード(第三駆動トルクが電気機械及び内燃エンジンによって供給される場合、又は、内燃エンジンのみによって供給される場合)では、内燃エンジンは繋がっている。すなわち、第一クラッチは閉状態である。
【0019】
特に、第一リングギアは、第二クラッチによって、トランスミッション装置のハウジングに共に回転可能な態様で連結可能である。
【0020】
共に回転可能な態様で連結可能とは、特に、連結の後に2つの構成部分が同一の回転速度を有することを意味する。本例では、第一リングギアは、このようにトランスミッション装置の(回転しない)ハウジングに固定されている。
【0021】
純粋に電気的な運転(第三駆動トルクが電気機械のみによって供給される)の間、第二クラッチは閉状態である。すなわち、第一リングギアはハウジングに固定されている。他の全ての運転モード(第三駆動トルクが電気機械及び内燃エンジンによって供給される場合、又は、内燃エンジンのみによって供給される場合)では、第二クラッチは開状態である。すなわち、第一リングギアはハウジングに対して回転可能である。
【0022】
第一リングギアがハウジングに固定されている場合、第一遊星キャリアは、第一遊星キャリアに配置された各第一遊星ギアの歯部とかみ合っている第一サンギアによって駆動される。第一遊星キャリアは、相互にかみ合う歯部によって、第二遊星トランスミッションの第二遊星キャリアを駆動する。
【0023】
具体的には、第一駆動トルクが第一リングギアを介して第一遊星トランスミッションに入力され、且つ、第二駆動トルクが第一サンギアを介して第一遊星トランスミッションに入力される場合にのみ、この第二クラッチが設けられる。
【0024】
さらなる実施形態においては、(内燃エンジンの)第一駆動トルクは第一サンギアを介して第一遊星トランスミッションに入力され、(電気機械の)第二駆動トルクは第一リングギアを介して第一遊星トランスミッションに入力される。この実施形態では、第二クラッチを設けないのが好ましい。
【0025】
この実施形態において、純粋に電気的な運転(第三駆動トルクが電気機械のみによって供給される)の間、第一クラッチは開状態にあり、第三クラッチは閉状態である。他の実施形態で必要な第二クラッチの機能は、この場合は必要ない。
【0026】
特に、第一遊星トランスミッションの少なくとも2つの構成部分は、共に回転可能な態様で、第三クラッチによって相互に連結可能である。特に、前述のように、例えば、第一サンギアは第一リングギアに共に回転可能な態様で連結可能であるか、又は、第一サンギアは第一遊星キャリアに共に回転可能な態様で連結可能である。第一遊星キャリアが、第一リングギアに共に回転可能な態様で連結可能であることが好ましい。
【0027】
具体的に、第三クラッチは、(好ましくは、第二駆動トルクが、第一リングギアを介して第一遊星トランスミッションに入力される場合)、例えばかみ合いクラッチのような、能動的ロック動作を備えたクラッチとして設計されてよい。
【0028】
具体的に、第二サンギアは、第四クラッチによって、本トランスミッション装置のハウジングに共に回転可能な態様で連結可能である。よって、本例では、第二サンギアは、トランスミッション装置の(回転しない)ハウジングに固定される。
【0029】
所望の伝達比を設定するために第四クラッチが作動される。第四クラッチが開状態のとき、第二サンギアは、ハウジングに対し回転可能である。
【0030】
特に、第二遊星トランスミッションの少なくとも2つの構成部分は、共に回転可能な態様で、第五クラッチによって相互に連結可能である。特に、前述のように、例えば、第二サンギアは第二遊星キャリアに共に回転可能な態様で連結可能であるか、又は、第三サンギアが第二サンギアに共に回転可能な態様で連結可能である。第三サンギアが、第二遊星キャリアに共に回転可能な態様で連結可能であることが好ましい。また、第二サンギアが、第二遊星キャリアに共に回転可能な態様で連結可能であるのも好ましい。
【0031】
特に、所望の伝達比を設定するために、第四クラッチ及び第五クラッチが作動される。
【0032】
特に、第一伝達比については、第四クラッチは閉状態であり、第五クラッチは開状態である。この場合は、第三駆動トルクは、第二遊星キャリアと、該第二遊星キャリアに配置された第二遊星ギアとを介して、第二遊星ギアの第二歯部とかみ合っている第三サンギアに伝達される。
【0033】
特に、第二伝達比については、第四クラッチは開状態であり、第五クラッチは閉状態である。この場合は、第三駆動トルクは、第二遊星キャリアを介して、(直接に)第三サンギアに伝達されるか、又は、第三サンギアを有するシャフトに伝達される。
【0034】
特に、第三サンギアは、第三駆動トルクによって駆動可能である。
この第三駆動トルクは、
a)内燃エンジンだけによって、又は、
b)電気機械だけによって、又は、
c)内燃エンジン及び電気機械によって、
供給が可能である。
【0035】
具体的に、第一遊星トランスミッションと第二遊星トランスミッションとは、
a)相互に隣接して、又は、
b)軸方向に沿って一方を他方の後ろにして、又は、
c)第一遊星キャリアと第二遊星キャリアとの同軸配置による軸方向に沿って一方を他方の後ろにして
配置される。
【0036】
前述したクラッチ(第一クラッチ〜第五クラッチ)は、油圧的に、又は、電気機械的に、又は、さらに電気的に作動してもよい。特に、これらクラッチは摩擦クラッチとして設計され、例としては、多板クラッチとして設計され、これは特に非能動的なロック動作を行う。特に、これらクラッチは、能動的なロック動作を行うクラッチ(例えばかみ合いクラッチ)として設計されてもよい。能動的なロック動作を行うクラッチについては、特に、連結されるこれら構成部分の回転速度の同期が必要ということになる。この同期は、好ましくは、電気機械の制御を通して実現することが可能である。
【0037】
能動的なロック連結は、少なくとも2つの連結相手が互いに係合することによって実現する。こうすれば、力の伝達がない場合においても、又は、力の伝達が中断された際も、これら連結相手は互いから解放されることはあり得ない。言い換えれば、能動的なロック連結の場合には連結相手の一方が他方の動きを拘束する。
【0038】
非能動的なロック連結は、互いに連結されるために、表面上に垂直な力を必要とする。前記表面での互いに対する変位は、静止摩擦によってもたらされる反力を超えない限り阻止される。
【0039】
さらなる態様によれば、内燃エンジン及び電気機械を有し、前述したトランスミッション装置を有する駆動システムが提案される。
【0040】
内燃エンジンは、好ましくは、第一リングギアを介して第一遊星トランスミッションに第一駆動トルクを入力する。
【0041】
特に、電気機械は(さらに)第一サンギアを介して第一遊星トランスミッションに第二駆動トルクを入力する。
【0042】
入れ替えた配置(第一サンギア経由の第一駆動トルク、第一リングギア経由の第二駆動トルク)も同様に可能である。
【0043】
この場合は、駆動システムは、内燃エンジンと、電気機械と、(上記で提案された)(特に、第二クラッチなしの)トランスミッション装置を備える。この内燃エンジンは、第一サンギアを介して第一遊星トランスミッションに第一駆動トルクを入力し、この電気機械は、第一リングギアを介して第一遊星トランスミッションに第二駆動トルクを入力する。
【0044】
特に、内燃エンジンは、第一クラッチによって第一サンギアに連結可能である。また、第一遊星トランスミッションの第一サンギアと、第一リングギアと、第一遊星キャリアよりなる群のうち少なくとも2つの構成部分が、共に回転可能な態様で、第三クラッチによって相互に連結可能である。また、第一遊星トランスミッションの構成部分は、第一クラッチ及び第三クラッチのみによって(すなわち、第二クラッチなしに)、駆動システムのさらなる構成部分と連結可能である。よって、この実施形態では、第一、第三、第四、及び第五クラッチだけが設けられることになる。
【0045】
本例では、クラッチと連携して「連結」を形成できる場合、これは、特に、当該クラッチが、それに割り当てられた構成部分と互いに結合可能であるか、又は、前記構成部分と切り離し可能であるか、又は、その両方であることを意味する。言い換えれば、このことは、特に、前記クラッチが、前記割り当てられた構成部分に関して、動作上、係合を実現する又はこの係合を切断する又はその両方が可能なことを意味する。
【0046】
この電気機械は、発電機としても動作可能であることが好ましい。この発電機によって、内燃エンジンの第一駆動トルクの少なくとも一部、又は、ドライブシャフトの第四駆動トルクを、電気エネルギーに変換可能である。
【0047】
具体的に、この電気機械はトランスミッション装置の第一側に配置され、内燃エンジンは反対側の第二側に配置される。よって、特に、少なくとも第一遊星トランスミッションは、電気機械と内燃エンジンとの間に軸方向に沿って配置される。
【0048】
さらなる態様において、内燃エンジンと、電気機械と、本明細書で説明したトランスミッション装置を備えるハイブリッド車を提案する。この電気機械は、電気エネルギーを蓄電池に充電するための発電機として動作可能であり、且つ、ハイブリッド車のドライブシャフトを駆動するための電気モータとして動作可能である。
【0049】
このトランスミッション装置は、再生能力のある多モードトランスミッションを構成する。このトランスミッションは、2ギア比CVT運転方法(continuously variable transmission、連続可変トランスミッション)で動作可能であり、また、2ギア比内燃エンジン運転方法(ICE:internal combustion engine)で動作可能であり、また、2ギア比電気モータ運転方法(EM:electric machine)で可能であり、また、2ギア比並行運転方法で動作可能である。なお、前記2ギア比CVT運転方法では、電気機械が発電機としても動作可能であり、内燃エンジンが第一駆動トルクを供給し、電気機械が第二駆動トルクを供給する。前記2ギア比内燃エンジン運転方法は、第三駆動トルクが第一駆動トルクと一致する。前記2ギア比電気モータ運転方法は、第三駆動トルクが第二駆動トルクと一致する。前記2ギア比並行運転方法は、第三駆動トルクが第一駆動トルク及び第二駆動トルクで構成される。前記CVT運転方法において、電気蓄積装置例えばハイブリッド車の蓄電池は、追加の発電機がなくても、ハイブリッド車の運転操作中に充電することができる。
【0050】
CVT運転方法において、低速及び中速の範囲では、内燃エンジンは電気機械にサポートされており、これにより電気機械を発電機として動作させる。相対的に高い速度では、具体的に、電気機械は、このときハイブリッド車の蓄電池からの給電を受け、第一駆動トルクと第二駆動トルクとを一緒に併せて第三駆動トルクを形成することによって内燃エンジンをサポートする。第二遊星トランスミッションによって提供される2ギア比能力と相まって、極めて低い燃料消費レベルを、だが高い牽引力及び速度をも実現することが可能である。
【0051】
CVT運転方法においては、第一遊星キャリアの回転速度(及び、第二遊星キャリアの回転速度とドライブシャフトの回転速度)は、電気機械の動作(回転の方向、回転速度、第二駆動トルク)によって変えることができる。このようにして、ドライブシャフトの特定の回転速度の範囲内で、内燃エンジンは、(燃焼に関して)最適な動作点で動作することができる。ここでは、要求される回転速度は電気機械によって設定又は供給され、且つ、要求される第三駆動トルクは、おそらくは追加的に電気機械によって設定又は供給される。
【0052】
ICE運転方法及び並行運転方法については、個々のクラッチ(第一クラッチ〜第五クラッチ)のシフト状態は等しい。これについては、特に、第二駆動トルクが第一リングギアを介して第一遊星トランスミッションに入力されており、且つ、第二クラッチが設けられていない駆動システムの実施形態も同様である。
【0053】
内燃エンジン運転方法においては、規定の伝達比(ギア比)は、特に、達成可能な最高速度に関する要求と、さらには最小燃料消費量に関する要求の両方に対して設定されたものである。
【0054】
電気モータ運転方法においては、規定の伝達比(ギア比)は、特に、発進に必要な牽引力のレベルを実現し、さらには、WLTP駆動サイクル(Worldwide Harmonized Light−Duty Vehicles Test Procedure、乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法)における、高効率でありながらの所望の達成可能電気最高速度(例えば、130km/h[時間当たりのキロメートル]を実現する。
【0055】
本トランスミッション装置の好適な実施形態に対する、それぞれの運転方法及びそれぞれの伝達比(ギア比の選択)に対する、個々のクラッチのシフト状態を以下に示す(本例では、具体的に、第一駆動トルクは第一リングギアを介して第一遊星トランスミッションに入力され、第二駆動トルクは第一サンギアを介して第一遊星トランスミッションに入力される)。
【0056】
【表1】
【0057】
CVT: CVT運転方法及び並行運転方法
ICE: 内燃エンジン運転方法
EM: 電気モータ運転方法
第X伝達比: 第X伝達比(第一又は第二)、すなわち第Xギア比(第一又は第二ギア比)
第Xクラッチ: 各クラッチのシフト状態
開状態: クラッチは開状態。クラッチによって連結可能な構成部分は相互に独立して回転する
閉状態: クラッチは閉状態。クラッチによって連結可能な構成部分は共に回転可能な態様で互いに連結される
【0058】
特に、下記の伝達比を提案する。これらは、内燃エンジンに連結された第一リングギア、及び、電気機械に連結された第一サンギアに対して適用されることが好ましい。
【0059】
1.第一遊星トランスミッション中の固定キャリアの伝達比は、第一サンギアの回転速度の第一リングギアの回転速度に対する比率又は第一リングギアの直径の第一サンギアの直径に対する比率に相当する。この伝達比は、第一遊星キャリアが静止しているとき、第一リングギアの回転方向と第一サンギアの回転方向とは相反対なので負符号となり、その値は、−1.5〜−5、特に2.0〜3.0、好ましくは2.1〜2.3となる。
【0060】
2.相対的に低い第一伝達比と相対的に高い第二伝達比との間のステップは、1〜3、特に1.5〜2.5、好ましくは2となる。
【0061】
3.内燃エンジンの第一駆動トルクを、第一遊星トランスミッションへ入力する場合の、例えば第一リングギアへ入力する場合の予備伝達比、及び、電気機械の第二駆動トルクを、第一遊星トランスミッションへ入力する場合の、例えば第一サンギアへ入力する場合の予備伝達比は、0.5〜1.5、特に0.8〜1.2、好ましくは1(伝達比なし)となる。
【0062】
4.トランスミッション装置の全体的伝達比については、以下のようになる。
a)発進伝達比として(車輪スリップの限度又は縁石上での発進)は、14〜23の間
b)(要求される最高速度に依存する、且つ、可能な最低消費量を達成するために)最高のギア比に対する伝達比としては、2〜7の間
【0063】
5.トランスミッション装置の全体的伝達比については、以下のようになる。
a)電気機械のみによる駆動
i.第一伝達比(第一ギア比)は、20〜23の間、特に21.5〜22の間
ii.第二伝達比(第二ギア比)は、9〜12の間、特に10.5〜11の間
b)内燃エンジンのみによる駆動
i.第一伝達比(第一ギア比)は、6〜8の間、特に6.5〜7の間
ii.第二伝達比(第二ギア比)は、2〜4の間、特に3〜3.5の間。
【0064】
電気機械が第一リングギアを介して第一遊星トランスミッションに連結され、内燃エンジンが第一サンギアを介して第一遊星トランスミッションに連結されている場合、トランスミッション装置は第二クラッチなしで使用が可能である。それぞれの運転方法及びそれぞれの伝達比(ギア比の選択)に対する、個々のクラッチ(第二クラッチは存在しない)のシフト状態を以下に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
特に、下記の伝達比を提案する。これらは、好ましくは、第一サンギアが内燃エンジンに連結され、第一リングギアが電気機械に連結されている(すなわち、これにより第二駆動トルクが第一リングギアを介して第一遊星トランスミッションに入力される)場合に適用される。
【0067】
1.第一遊星トランスミッション中の固定キャリアの伝達比は、第一サンギアの回転速度の第一リングギアの回転速度に対する比率又は第一リングギアの直径の第一サンギアの直径に対する比率に相当する。この伝達比は、第一遊星キャリアが静止しているとき、第一リングギアの回転方向と第一サンギアの回転方向とは相反対なので負符号となり、その値は、−1.5〜−5、特に2.0〜3.0、好ましくは2.1〜2.3となる。
【0068】
2.相対的に低い第一伝達比と相対的に高い第二伝達比との間のステップは、1〜3、特に1.5〜2.5、好ましくは2となる。
【0069】
3.内燃エンジンの第一駆動トルクを、第一遊星トランスミッションへ入力する場合の、例えば第一サンギアへ入力する場合の予備伝達比は、1(伝達比無し)となることが好ましい。電気機械の第二駆動トルクを、第一遊星トランスミッションへ入力する場合の、例えば第一リングギアへ入力する場合の予備伝達比は、0.5〜2.5、特に1.5〜2.2、好ましくは1.9となる。
【0070】
4.トランスミッション装置の全体的伝達比については、以下のようになる。
a)発進伝達比として(車輪スリップの限度又は縁石上での発進)は、9〜23
b)(要求される最高速度に依存する、且つ、可能な最低消費量を達成するために)最高のギア比に対する伝達比としては、2〜7の間。
【0071】
5.トランスミッション装置の全体的伝達比については、以下のようになる。
a)電気機械のみによる駆動
i.第一伝達比(第一ギア比)は、9〜23の間、特に10〜16の間
ii.第二伝達比(第二ギア比)は、3〜12の間、特に4〜8の間
b)内燃エンジンのみによる駆動
i.第一伝達比(第一ギア比)は、6〜8の間、特に6.5〜7の間
ii.第二伝達比(第二ギア比)は、2〜4の間、特に3〜3.5の間。
【0072】
本トランスミッション装置に関して述べた内容は、駆動システム及びハイブリッド車にも適用され、逆の場合も同様に適用される。
【0073】
念のため、本明細書で用いる数詞(「第一」、「第二」、「第三」、・・・、)は、本来、いくつかの類似の対象、寸法、又はプロセスの区別をする(のみの)役割を果たすことを、すなわち、前記対象、寸法、又はプロセスの依存度や順序を必ず予め定めるものでないことを指摘しておく。依存度や順序が必要な場合は、そのことを本明細書中に明示的に述べるか、又は、当業者には、具体的に記述されている当該実施形態を検討することによって明らかとなろう。
【0074】
以下、本発明及びその技術分野を、図面に基づいてより詳細に説明する。提示された例示的な実施形態については、本発明を限定する意図はないことを指摘しておく。特に、明示的に特段の記載がある場合を除き、図面中で考察された主題の部分的態様を抽出し、本明細書又は図面又はその両方から得られる他の構成要素及び知見と組み合わせることも可能である。他の図面での説明を補完として考慮に入れることができるように、適切な場合、同じ対象を指すのに同じ参照符号が用いられる。図面は各例とも概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】設計の第一変形例による、駆動システム及びトランスミッション装置を有するハイブリッド車を簡略図で示す。
図2図1によるトランスミッション装置を有する駆動システムを簡略図で示し、第一伝達比で係合された場合の、CVT運転方法における駆動トルクの配分が図示されている。
図3図1及び2によるトランスミッション装置の側面断面図を示す。
図4図1〜3によるトランスミッション装置を備えた駆動システムを簡略図で示し、第一伝達比で係合された場合の、電気モータ運転方法における駆動トルクの配分が図示されている。
図5図1〜4によるトランスミッション装置を備えた駆動システムを簡略図で示し、第二伝達比で係合された場合の、電気モータ運転方法における駆動トルクの配分が図示されている。
図6】設計の第二変形例によるトランスミッション装置の側面断面図を示す。
図7図6によるトランスミッション装置を備えた駆動システムを簡略図で示す。
図8】設計の第三変形例によるトランスミッション装置の側面断面図を示す。
図9図8によるトランスミッション装置を備えた駆動システムを簡略図で示す。
図10】設計の第四変形例によるトランスミッション装置を備えた駆動システムを簡略図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1は、設計の第一変形例による、駆動システム41及びトランスミッション装置1を有するハイブリッド車2を簡略図で示す。ハイブリッド車2は、内燃エンジン3と電気機械4とを備え、さらにトランスミッション装置1を備える。この電気機械4は、電気エネルギーを蓄電池31に充電するための発電機26として動作可能であり、且つ、ハイブリッド車2のドライブシャフト7を駆動するための電気モータ32として動作可能である。
【0077】
トランスミッション装置1は、内燃エンジン3の第一駆動トルク5及び電気機械4の第二駆動トルク6を、ハイブリッド車2のドライブシャフト7に伝達するために設けられている。このトランスミッション装置1は、第一サンギア9と、第一リングギア10と、第一遊星キャリア11とを含む第一構成部分を有する第一遊星トランスミッション8を備える。第一遊星キャリア11を介して、第三駆動トルク12が、第二遊星トランスミッション14の第二遊星キャリア13に伝達可能である。第二遊星トランスミッション14は、第二遊星キャリア13と、第二サンギア15と、第三サンギア16とを含む第二構成部分を有する。第二サンギア15は、第二遊星ギア18の第一歯部17とかみ合い、第三サンギア16は、第二遊星ギア18の(第一歯部17とは異なる)第二歯部19とかみ合う。ハイブリッド車2のドライブシャフト7は、第三サンギア16を介して駆動が可能である。
【0078】
第一駆動トルク5、第二駆動トルク6、第三駆動トルク12はそれぞれ、トランスミッション装置1の個々の歯付きギアの相互にかみ合う歯部によって伝達される。第三駆動トルク12は、第一駆動トルク5、又は、第二駆動トルク6、又は、第一駆動トルク5と第二駆動トルク6との和に相当する。本例では、具体的には、電気機械4が発電機26として動作する場合又は反対方向の回転で動作する場合は、第二駆動トルク6も負であってよい。
【0079】
第一遊星トランスミッション8によって、内燃エンジン3と電気機械4との結合が可能になる。よって、内燃エンジン3の第一駆動トルク5、又は、電気機械4の第二駆動トルク6、又は、第一駆動トルク5及び第二駆動トルク6の両方を一緒に、第二遊星トランスミッション14に選択的に伝達することが可能である。さらに、発電機26として動作する電気機械4によって、内燃エンジン3の第一駆動トルク5を少なくとも部分的に電気エネルギーに変換し、ハイブリッド車2の蓄電池31に蓄えてもよい。加えて、第一遊星トランスミッション8を用いて、内燃エンジン3を消費量に関して最適動作点で動作させることができ、電気機械4を用いて、運転者が望む第三駆動トルクの変更又はドライブシャフトの回転速度の変更を設定することが可能である。
【0080】
第一遊星トランスミッション8によって予め決まる回転速度の、及び、伝達される第三駆動トルク12の、第一伝達比38及び第二伝達比39(例えば、図4及び5を参照)は、第二遊星トランスミッション14によって実現される。これにより2ギア比シフト構成が実現される。すなわち、第一遊星トランスミッション8とドライブシャフト7との間の2つの異なる伝達比である第一伝達比38及び第二伝達比39を、第二遊星トランスミッション14によって設けることが可能となる。
【0081】
これら第一遊星トランスミッション8及び第二遊星トランスミッション14の2つは、互いに対して独立に構築される。すなわち、第三駆動トルク12は、互いにかみ合う歯部を有する2つの構成部分を介して、第一遊星トランスミッション8と第二遊星トランスミッション14との間で伝達される。第一遊星トランスミッション8には第一構成部分(この例では、第一遊星キャリア11)が割り当てられ、第二遊星トランスミッション14には第二構成部分(この例では、第二遊星キャリア13)が割り当てられている。
【0082】
内燃エンジン3は、第一リングギア10を介して、第一駆動トルク5を第一遊星トランスミッション8に入力する。電気機械4は、第一サンギア9を介して、第二駆動トルク6を第一遊星トランスミッション8に入力する。本例では、第一サンギア9と電気機械4との間に(入力ピニオン35を含めるように)さらなる伝達比が設けられている。
【0083】
内燃エンジン3は、第一クラッチ20を介して第一リングギア10に連結可能である。第一クラッチ20は、このトランスミッション装置1のハウジング22の外側に配置される。
【0084】
第一リングギア10は、第二クラッチ21によって、トランスミッション装置1のハウジング22に共に回転可能な態様で連結可能である。本例では、第一リングギア10は、トランスミッション装置1の(回転しない)ハウジング22に固定されている。
【0085】
さらに、第一遊星キャリア11は、第三クラッチ23によって、第一リングギア10に共に回転可能な態様で連結可能である。
【0086】
第二サンギア15は、第四クラッチ24によって、トランスミッション装置1のハウジング22に共に回転可能な態様で連結可能である。よって、本例では、第二サンギア15は、トランスミッション装置1の(回転しない)ハウジング22に固定される。
【0087】
さらに、第三サンギア16(又は、第三サンギア16を有するシャフト)と第二遊星キャリア13は、共に回転可能な態様で、第五クラッチ25によって相互に連結可能である。所望の第一伝達比38及び第二伝達比39を設定するために、第四クラッチ24及び第五クラッチ25が作動される。
【0088】
再生との関連で、第四駆動トルク27は、発電機26として動作する電気機械4を用いて蓄電池31を充電するために利用することができる。
【0089】
図2は、図1によるトランスミッション装置1を備えた駆動システム41を簡略図で示し、第一伝達比38で係合された場合の、CVT運転方法における第一駆動トルク5及び第二駆動トルク6の配分が図示されている。図1に関連して行った説明を参照する。
【0090】
本例では、第一クラッチ20は閉状態である。すなわち、内燃エンジン3と第一リングギア10とは共に回転可能な態様で相互に連結されている。さらに、第二クラッチ21及び第三クラッチ23は開シフト状態である。内燃エンジン3によって第一駆動トルク5が供給され、電気機械4によって第二駆動トルク6が供給される。得られた第三駆動トルク12は、第一遊星キャリア11を介して第二遊星キャリア13に伝達される。
【0091】
第一伝達比38については、第四クラッチ24は閉状態であり、第五クラッチ25は開状態である。この場合は、第三駆動トルク12は、第二遊星キャリア13と、該第二遊星キャリア13に配置された第二遊星ギア18とを介して、第二遊星ギア18の第二歯部19とかみ合っている第三サンギア16に伝達される。
【0092】
図3は、図1及び2によるトランスミッション装置1の側面断面図を示す。図1に関連して行った説明を参照する。第一クラッチ20は本図では示されていない。本例では、ドライブシャフト7は、ディファレンシャル40を介して第三サンギア16に連結される。個々のクラッチ21、23、24、25はそれぞれ、アクチュエータ34(この例ではリング形状のピストン)を用いて油圧で作動される。第五クラッチ25は多板クラッチとして設計され、外側板状キャリア36は、第三サンギア16(又は第三サンギア16を有するシャフト)に共に回転可能な態様で連結される。内側板状キャリア37は、第二遊星キャリア13に共に回転可能な態様で連結される。
【0093】
図4は、図1〜3によるトランスミッション装置1を備えた駆動システムを簡略図で示している。ここでは、第一伝達比38で係合された場合の、電気モータ運転方法における第二駆動トルク6と第三駆動トルク12の配分が図示されている。図1及び2に関連して行った説明を参照する。
【0094】
図2と比べると、この例では、第一クラッチ20及び第三クラッチ23が開シフト状態である。よって、内燃エンジン3は、切り離されている。第二クラッチ21は閉シフト状態にある。すなわち、第一リングギア10は、ハウジング22に共に回転可能な態様で連結されている。よって、電気機械4の第二駆動トルク6は、第一遊星トランスミッション8の第一サンギア9を介し、且つ、第一遊星キャリア11上に配置された第一遊星ギア33の、第一サンギア9とかみ合っている歯部を介して、第一遊星キャリア11に伝達される。この第一遊星キャリア11を介して、第二駆動トルク6は第二遊星トランスミッション14の第二遊星キャリア13に伝達される。
【0095】
さらに、第一伝達比を生成するために、第四クラッチ24が閉状態にされ、第五クラッチ25が開状態にされる。この例では、第三駆動トルク12は、第二遊星キャリア13と、該第二遊星キャリア13上に配置された第二遊星ギア18とを介して、該第二遊星ギア18の第二歯部19とかみ合っている第三サンギア16に伝達される。
【0096】
図5は、図1〜4によるトランスミッション装置1を備えた駆動システム41を簡略図で示している。ここでは、第二伝達比39で係合された場合の、電気モータ運転方法における第二駆動トルク6と第三駆動トルク12の配分が図示されている。
【0097】
図4に関連して行った説明を参照する。図4と比べると、この例では第二伝達比39で係合されている。この第二伝達比39については、第四クラッチ24は開状態であり、第五クラッチ25は閉状態である。この場合、第三駆動トルク12は、第二遊星キャリア13を介して、(直接に)第三サンギア16(又は、第三サンギア16を有するシャフト)に伝達される。
【0098】
図6は、設計の第二変形例によるトランスミッション装置1の側面断面図を示す。図7は、図6によるトランスミッション装置1を備えた駆動システム41を簡略図で示す。以下に、図6図7とを共に説明する。これについては、図1〜3に関して行った説明を参照する。
【0099】
図6では第一クラッチ20は示されていない。設計の第一変形例(図1及び3を参照)と比べると、第一サンギア9と電気機械4との間の伝達比が設けられていない。本例では、内燃エンジン3と電気機械4とは、互いに同軸に配置されている。
【0100】
内燃エンジン3は、第一リングギア10を介して第一遊星トランスミッション8に第一駆動トルク5を入力する。電気機械4は、第一サンギア9を介して第一遊星トランスミッション8に第二駆動トルク6を入力する。
【0101】
これら第一遊星トランスミッション8及び第二遊星トランスミッション14の2つは、互いに対して独立に構築される。すなわち、第三駆動トルク12は、互いにかみ合う歯部を有する2つの構成部分を介して、第一遊星トランスミッション8と第二遊星トランスミッション14との間で伝達される。第一遊星トランスミッション8には第一構成部分(この例では、第一遊星キャリア11)が割り当てられ、第二遊星トランスミッション14には第二構成部分(この例では、第二遊星キャリア13)が割り当てられている。
【0102】
第二サンギア15は、第四クラッチ24によって、トランスミッション装置1のハウジング22に共に回転可能な態様で連結可能である。よって、本例では、第二サンギア15は、トランスミッション装置1の(回転しない)ハウジング22に固定される。
【0103】
さらに、第三サンギア16(又は、第三サンギア16を有するシャフト)と第二遊星キャリア13は、共に回転可能な態様で、第五クラッチ25によって相互に連結可能である。所望の第一伝達比38及び第二伝達比39を設定するために、第四クラッチ24及び第五クラッチ25が作動される。
【0104】
本例では、ドライブシャフト7は、ディファレンシャル40を介して第三サンギア16に連結される。個々のクラッチ21、23、24、25はそれぞれ、アクチュエータ34(この例ではリング形状のピストン)を用いて油圧で作動される。第五クラッチ25は多板クラッチとして設計されている。また、図3に対してのさらなる差異として、内側板状キャリア37は、第三サンギア16(又は第三サンギア16を有するシャフト)に共に回転可能な態様で連結される。外側板状キャリア36は、第二遊星キャリア13に共に回転可能な態様で連結される。
【0105】
図8は、設計の第三変形例によるトランスミッション装置1の側面断面図を示す。図9は、図8によるトランスミッション装置1を備えた駆動システム41を簡略図で示す。以下に、図8図9とを共に説明する。これについては、図1〜3に関して行った説明を参照する。
【0106】
図8では第一クラッチ20は示されていない。設計の第一変形例(図1及び3を参照)と比べると、第一サンギア9と電気機械4との間の伝達比が設けられていない。内燃エンジン3と電気機械4とは、互いに同軸に配置されている。
【0107】
内燃エンジン3は、第一リングギア10を介して第一遊星トランスミッション8に第一駆動トルク5を入力する。電気機械4は、第一サンギア9を介して第一遊星トランスミッション8に第二駆動トルク6を入力する。
【0108】
これら第一遊星トランスミッション8及び第二遊星トランスミッション14の2つは、相互に強固に連結される。すなわち、第三駆動トルク12は、共通の第一遊星キャリア11と第二遊星キャリア13とを介して、第一遊星トランスミッション8と第二遊星トランスミッション14との間で伝達される。
【0109】
よって、共通の遊星キャリア11、13により、第一遊星トランスミッション8及び第二遊星トランスミッション14の2つは、互いに同軸に配置される。すなわち、第一遊星キャリア11は、第二遊星キャリア13に対し同軸に配置される。
【0110】
第二サンギア15は、第四クラッチ24によって、トランスミッション装置1のハウジング22に共に回転可能な態様で連結可能である。本例では、第二サンギア15は、トランスミッション装置1の(回転しない)ハウジング22に固定される。
【0111】
設計の第一変形例及び第二変形例に比べ、この例では、第二サンギア15(又は、第二サンギア15を有するシャフト)と第二遊星キャリア13は、共に回転可能な態様で、第五クラッチ25によって相互に連結可能である。所望の第一伝達比38及び第二伝達比39を設定するために、第四クラッチ24及び第五クラッチ25が作動される。
【0112】
本例では、ドライブシャフト7は、ディファレンシャル40を介して第三サンギア16に連結される。個々のクラッチ21、23、24、25はそれぞれ、アクチュエータ34(この例ではリング形状のピストン)を用いて油圧で作動される。第五クラッチ25は多板クラッチとして設計されている。また、図3と比べて、内側板状キャリア37は、第二サンギア15(又は第二サンギア15を有するシャフト)に共に回転可能な態様で連結される。外側板状キャリア36は、第二遊星キャリア13に共に回転可能な態様で連結される。
【0113】
図10は、設計の第四変形例によるトランスミッション装置1を備えた駆動システム41を簡略図で示す。図1に関連して行った説明をさらに参照する。図1〜9による設計の変形例と比べると、この例では、内燃エンジン3の第一駆動トルク5が、第一サンギア9を介して第一遊星トランスミッション8に入力されている。電気機械4の第二駆動トルク6は、第一リングギア10を介して第一遊星トランスミッション8に入力されている。この設計の変形例では、第二クラッチ21は設けられていない。内燃エンジン3によって第一駆動トルク5が供給され、電気機械4によって第二駆動トルク6が供給される。得られた第三駆動トルク12は、第一遊星キャリア11を介して第二遊星キャリア13に伝達される。
【0114】
純粋な電気モータ運転(EM)に対し、第一クラッチ20は開状態であり、第三クラッチ23は閉状態である。他の実施形態で必要な第二クラッチ21の機能は、この例では必要でない。
【符号の説明】
【0115】
1 トランスミッション装置
2 ハイブリッド車
3 内燃エンジン
4 電気機械
5 第一駆動トルク
6 第二駆動トルク
7 ドライブシャフト
8 第一遊星トランスミッション
9 第一サンギア
10 第一リングギア
11 第一遊星キャリア
12 第三駆動トルク
13 第二遊星キャリア
14 第二遊星トランスミッション
15 第二サンギア
16 第三サンギア
17 第一歯部
18 第二遊星ギア
19 第二歯部
20 第一クラッチ
21 第二クラッチ
22 ハウジング
23 第三クラッチ
24 第四クラッチ
25 第五クラッチ
26 発電機
27 第四駆動トルク
28 第一側
29 第二側
30 軸方向
31 蓄電池
32 電気モータ
33 第一遊星ギア
34 アクチュエータ
35 入力ピニオン
36 外側板状キャリア
37 内側板状キャリア
38 第一伝達比
39 第二伝達比
40 ディファレンシャル
41 駆動システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10