特許第6844037号(P6844037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844037
(24)【登録日】2021年2月26日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】挿入機器、及び、挿入機器の操作部
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20210308BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   A61B1/00 711
   A61B1/00 716
   A61B1/00 713
   A61B1/018 515
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-560837(P2019-560837)
(86)(22)【出願日】2018年10月19日
(86)【国際出願番号】JP2018039108
(87)【国際公開番号】WO2019123815
(87)【国際公開日】20190627
【審査請求日】2020年5月7日
(31)【優先権主張番号】特願2017-247014(P2017-247014)
(32)【優先日】2017年12月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉永 卓斗
(72)【発明者】
【氏名】大田 司
(72)【発明者】
【氏名】王 雄偉
【審査官】 北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−039205(JP,A)
【文献】 特開2005−131413(JP,A)
【文献】 特開2011−167460(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0004507(US,A1)
【文献】 特開2011−235005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
A61F 2/82 − 2/97
A61M 25/00 −29/04
A61M 35/00 −36/08
A61M 37/00
A61M 99/00
G02B 23/24 −23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って先端側から基端側へと延在する少なくとも1つの長手方向孔を有し、前記長手方向孔を外部に連通させる第1の連通孔が外周面に開口するチューブと、
前記チューブが挿入されるチューブ挿通孔と前記チューブ挿通孔を外部に連通させる第2の連通孔とを有する枠部材と、
前記チューブに外装され、前記チューブ挿通孔に位置決めされ、前記第1の連通孔と前記第2の連通孔とを連通させるスペーサと、
を具備することを特徴とする挿入機器。
【請求項2】
前記チューブと前記チューブ挿通孔とに密着して第1のシール部材及び第2のシール部材が配置され、
前記スペーサは前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間に配置され、
前記第2の連通孔は前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間の範囲に開口することを特徴とする請求項1に記載の挿入機器。
【請求項3】
前記第1のシール部材または前記第2のシール部材と前記スペーサとは一体的に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の挿入機器。
【請求項4】
前記第1のシール部材、前記第2のシール部材及び前記スペーサは一体的に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の挿入機器。
【請求項5】
前記第1のシール部材又は前記第2のシール部材の位置は、前記チューブ挿通孔の内部において前記長手方向に移動可能であることを特徴とする請求項2に記載の挿入機器。
【請求項6】
前記第1の連通孔よりも基端側に配置され前記孔を封止する封止部材を有することを特徴とする請求項2に記載の挿入機器。
【請求項7】
前記枠部材の基端部に保持される終端部材を有し、
前記チューブの基端が前記終端部材によって位置決めされることにより、前記チューブ挿通孔の内部における前記第1の連通孔と前記第2の連通孔との相対位置が位置決めされることを特徴とする請求項2に記載の挿入機器。
【請求項8】
前記チューブは、マルチルーメンチューブであることを特徴とする請求項2に記載の挿入機器。
【請求項9】
前記チューブは、2以上の前記長手方向孔を有し、2以上の前記長手方向孔の内面を外部にそれぞれ連通する前記第1の連通孔が外周面に2箇所以上で開口するマルチルーメンチューブであることを特徴とする請求項2に記載の挿入機器。
【請求項10】
前記挿入機器は内視鏡であることを特徴とする請求項1に記載の挿入機器。
【請求項11】
長手方向に沿って先端側から基端側へ延在する少なくとも1つの長手方向孔を有し、前記長手方向孔を外部に連通させる第1の連通孔が外周面に開口するチューブと、
前記チューブが挿入されるチューブ挿通孔と前記チューブ挿通孔を外部に連通させる第2の連通孔とを有する枠部材と、
前記チューブに外装され、前記チューブ挿通孔に位置決めされ、前記第1の連通孔と前記第2の連通孔とを連通させるスペーサと、
を具備することを特徴とする挿入機器の操作部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内に挿入可能な挿入部がチューブを用いて構成された挿入機器、及び、挿入機器の操作部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野においては、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより体腔内臓器などを観察することができる内視鏡が広く用いられている。
【0003】
このような内視鏡は、種々の手技、検査などに応じて、他の挿入機器等と併用される場合がある。例えば、内視鏡と挿入機器とを併用する内視鏡装置として、胆管内や膵管内の観察や治療を行う際に用いられるいわゆる親子式内視鏡が実用化されている。
【0004】
この親子式内視鏡は、親内視鏡となる通常サイズの内視鏡(例えば、十二指腸用内視鏡)の処置具チャンネル等に、挿入機器としての細径の子内視鏡を挿通させて体腔内に導き胆管内や膵管内の観察や治療を行うものである。
【0005】
この種の挿入機器としては、細径のマルチルーメンチューブ等のチューブを用いて挿入部を構成したものが知られている。この場合、挿入機器による送気、送水、吸引等の各種処置を実現するためには、チューブの基端側にチューブコネクタ等の枠部材を連結し、チューブに形成された所定の孔を、枠部材に設けられた管路等の連通孔に対し気密或いは液密な状態にて接続する必要がある。
【0006】
このため、例えば、日本国特開2003−169774号公報には、チューブコネクタに形成した接続孔の内周面に、円周溝状をなす送気路端部開口、送水路端部開口及び吸引路端部開口を形成するとともに、これらを各々軸先方向に挟む位置にシール用のOリングを装着し、各Oリングによって接続孔の内周面とチューブの外周面との間をシールした状態にて、チューブに形成した送気側孔、送水側孔、及び、吸引側孔を、送気路端部開口、送水路端部開口及び吸引路端部開口を介して、送気連通路、送水連通路及び吸引連通路に連通させる技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、上述の日本国特開2003−169774号公報に開示された技術では、接続孔の内部の所定の位置に複数のシール部材(シール用のOリング)をそれぞれセットする必要がある。従って、日本国特開2003−169774号公報の技術では、チューブコネクタを2分割し、チューブコネクタの分割体の接続孔に複数のシール保持溝を形成する等の必要があり、構造が複雑化する。さらに、チューブコネクタを組み立てる際には、各シール保持溝にシール部材をセットした後、チューブコネクタの分割体を液密に接合する必要があるなど、製造工程が複雑化する。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成及び工程により、チューブに形成した孔を枠部材に形成した連通孔に対しシール部材を介して連通することができる挿入機器を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による挿入機器は、長手方向に沿って先端側から基端側へと延在する少なくとも1つの長手方向孔を有し、前記長手方向孔を外部に連通させる第1の連通孔が外周面に開口するチューブと、前記チューブが挿入されるチューブ挿通孔前記チューブ挿通孔を外部に連通させる第2の連通孔とを有する枠部材と、前記チューブに外装され、前記チューブ挿通孔に位置決めされ、前記第1の連通孔と前記第2の連通孔とを連通させるスペーサと、を具備するものである。
また、本発明の一態様による挿入機器の操作部は、長手方向に沿って先端側辛き端側への延在する少なくとも1つの長手方向孔を有し、前記長手方向孔を外部に連通させる第1の連通孔が外周面に開口するチューブと、前記チューブが挿入されるチューブ挿通孔と前記チューブ挿通孔を外部に連通させる第2の連通孔とを有する枠部材と、前記チューブに外装され、前記チューブ挿通孔に位置決めされ、前記第1の連通孔と前記第2の連通孔とを連通させるスペーサと、を具備するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】内視鏡装置の構成を示す平面図
図2】子内視鏡の構成を示す平面図
図3】操作部内に配置されたチューブモジュールを示す平面図
図4】チューブモジュールの分解斜視図
図5】チューブモジュールの組立時の状態を示す斜視図
図6】チューブモジュールの斜視図
図7】チューブモジュール内におけるシール部材及びスペーサの配置を示す説明図
図8図6のVIII−VIII斜視図
図9図6のIX−IX斜視図
図10】ストッパ部材の斜視図
図11】チューブモジュールの断面斜視図
図12】子内視鏡の先端部を示す斜視図
図13】変形例に係り、チューブモジュールの分解斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係り、図1は内視鏡装置の構成を示す平面図、図2は子内視鏡の構成を示す平面図、図3は操作部内に配置されたチューブモジュールを示す平面図、図4はチューブモジュールの分解斜視図、図5はチューブモジュールの組立時の状態を示す斜視図、図6はチューブモジュールの斜視図、図7はチューブモジュール内におけるシール部材及びスペーサの配置を示す説明図、図8図6のVIII−VIII斜視図、図9図6のIX−IX斜視図、図10は止め部材の斜視図、図11はチューブモジュールの断面斜視図、図12は子内視鏡の先端部を示す斜視図である。
【0012】
図1に示す内視鏡装置1は、内視鏡である親内視鏡10と、この親内視鏡10に固定される挿入機器としての子内視鏡20と、を備えた所謂親子式内視鏡装置である。なお、本実施形態における子内視鏡20は、例えば、使用後に破棄されるディスポーザブルの挿入機器である。
【0013】
親内視鏡10は、被検体に挿入される細長形状の挿入部11と、この挿入部11の基端側に連結する操作部12と、を備えて構成されている。
【0014】
挿入部11は、先端側から順に、先端部13、湾曲部14および可撓管部15が連設して構成されている。
【0015】
先端部13の内部には、例えば、対物光学系及びCCDやCMOS等のイメージセンサを備えた撮像ユニット、ライトガイドバンドルによって伝送された照明光を照射する照明光学系等(何れも図示せず)が配設されている。ここで、本実施形態において、撮像ユニット及び照明光学系の光軸は、挿入部11の長手軸(挿入軸O1)に対して所定角度傾斜されており、これにより、親内視鏡10は、側視/斜視型の内視鏡となっている。
【0016】
また、先端部13には側方に開口する開口部13aが設けられ、この開口部13aには、挿入部11の内部に挿通された処置具チャンネル(図示せず)の先端側が連通されている。ここで、処置具チャンネルには、例えば、処置具などの他、子内視鏡20の挿入部21を挿通させることが可能となっている。
【0017】
さらに、開口部13aには、処置具チャンネルを通じて開口部13aから突出される処置具や子内視鏡20の挿入部21などを起上させるための図示しない処置具起上台が設けられている。
【0018】
湾曲部14は、例えば、図示しない複数の湾曲駒が挿入軸O1方向に沿って連設された湾曲駒組を内部に有し、上下左右方向(UP−DOWN/RIGHT−LEFT)を含む挿入軸O1周りの全方向へと能動的に湾曲することが可能となっている。
【0019】
可撓管部15は、受動的に湾曲可能な可撓性を有する管状部材によって構成されている。
【0020】
操作部12の先端側には、処置具挿通部16が設けられ、この処置具挿通部16には処置具チャンネルの基端側が連通されている。処置具挿通部16には、ディスポーザブルの鉗子栓16aが着脱自在となっている。
【0021】
また、操作部12の基端側には、湾曲部14を湾曲操作するための一対の湾曲操作ノブ18、処置具起上台を操作するための操作レバー19などが設けられている。
【0022】
さらに、操作部12の基端側の側部からはユニバーサルケーブル17が延出され、このユニバーサルケーブル17の延出端には、光源装置などの外部機器(図示せず)に着脱自在な内視鏡コネクタ17aが設けられている。
【0023】
子内視鏡20は、細長形状をなす挿入部21と、この挿入部21の基端側に連設される操作部22と、を有して構成されている。
【0024】
挿入部21は、先端側から順に、先端部23と、湾曲部24と、可撓管部25と、が連設して構成されている。
【0025】
先端部23の内部には、例えば、イメージガイドバンドルに接続する観察光学系、及び、ライトガイドバンドルによって伝送された照明光を照射する照明光学系(何れも図示せず)が設けられ、これらが先端部23の先端面に形成された観察窓23a(図12参照)の内側に配置されている。ここで、本実施形態において、撮像ユニット及び照明光学系の光軸は、挿入部21の長手軸(挿入軸O2)に沿って設定されており、これにより、子内視鏡20は直視型の内視鏡となっている。
【0026】
また、先端部23には、前方に開口する開口部23bが設けられるとともに、一対の送水ノズル23cが設けられている。
【0027】
湾曲部24は、例えば、弾性を有する金属製の湾曲管(図示せず)を内部に有して構成され、上下左右方向(UP−DOWN/RIGHT−LEFT)を含む挿入軸O2周りの全方向へと能動的に湾曲することが可能となっている。
【0028】
可撓管部25は、受動的に湾曲可能な可撓性を有するチューブ30によって構成されている。このチューブ30は、長手方向(すなわち、挿入軸O2方向)に沿って先端側から基端側へと延在する少なくとも1つの孔を有するものである。
【0029】
なお、可撓管部25のみならず、湾曲部24についても、上述の湾曲管等に代えて、チューブ30を用いて一体的に構成することも可能である。
【0030】
操作部22には、湾曲部24を湾曲操作するための一対の湾曲操作ノブ26と、処置具挿通部27と、が設けられている。
【0031】
さらに、操作部22からは、イメージガイドバンドル、ライトガイドバンドル、吸引チューブ28a、及び、送水チューブ28b等のケーブル・チューブ類28が延出されている。
【0032】
なお、本実施形態の子内視鏡20においては、先端部23の内部、或いは、操作部22の内部に図示しない撮像ユニットを配設することも可能であり、この場合、操作部22からは、イメージガイドバンドルに代えて、撮像ユニットに接続された信号ケーブルが延出される。
【0033】
また、操作部22には、当該操作部22を親内視鏡10の操作部12に固定するための固定バンド29が設けられている。
【0034】
このような子内視鏡20において、可撓管部25を構成するチューブ30は、例えば、イメージガイドバンドル(或いは、撮像ユニットの信号線)及びライトガイドバンドル等を挿通可能な観察用孔31と、吸引チャンネルを兼ねる処置具チャンネルとして機能するチャンネル用孔32と、孔としての一対の送水用孔33と、湾曲操作ノブ26に接続された4本のワイヤ(図示せず)をそれぞれ挿通可能な4つのワイヤ挿通用孔34と、を有するマルチルーメンチューブによって構成されている。なお、本実施形態においては、チューブ30に一対の送水用孔33を設けた構成について例示しているが、チューブ30に設けられる孔としての送水用孔33は、1つであってもよく、また、3つ以上であっても良い。
【0035】
このチューブ30の基端側において、チャンネル用孔32には処置具挿通部27及び吸引チューブ28aが連通され、また、一対の送水用孔33には送水チューブ28bが連通されている。これらの連通を実現するため、本実施形態のチューブ30の基端側には、枠部材としてのチューブコネクタ41が接続されている。
【0036】
このチューブコネクタ41はチューブ30とともにチューブモジュール40を構成するものである(図6,8等参照)。そして、このチューブコネクタ41が操作部22の内部に保持されることにより(図2参照)、チューブ30の基端側(すなわち、挿入部21の基端側)を操作部22に連設することが可能となっている。
【0037】
ここで、チャンネル用孔32及び一対の送水用孔33をチューブコネクタ41に連通するため、チューブ30の基端側には、チャンネル用連通孔32aと、第1の連通孔としての一対の送水用連通孔33aと、が形成されている。
【0038】
具体的に説明すると、チャンネル用連通孔32aは、チャンネル用孔32の内面とチューブ30の外周面とを挿入軸O2に対して略直角方向に連通する連通孔(側孔)であり、各送水用連通孔33aは、各送水用孔33の内面とチューブ30の外周面とを挿入軸O2に対して略直角方向に連通する連通孔(側孔)である。
【0039】
これらチャンネル用連通孔32a及び送水用連通孔33aは、チューブ30の基端側の領域において挿入軸O2方向に位置をずらして形成されている。すなわち、本実施形態において、チャンネル用連通孔32aは、一対の送水用連通孔33aよりも挿入軸O2方向の先端側にずれた位置に形成されている。なお、本実施形態においては、一対の送水用孔33に対応し、チューブ30に一対の送水用連通孔33aを設けた構成について例示しているが、孔としての送水用孔33が1つである場合には、第1の連通孔としての送水用連通孔33aをチューブ30の1箇所に設けることも可能である。また、孔としての送水用孔33が3つ以上である場合には、第1の連通孔としての送水用連通孔33aを各送水用孔33に対応してチューブ30の3箇所以上に設けることも可能である。さらに、チューブ30に設けられる第1の連通孔としての送水用連通孔33aは、1つの送水用連通孔33aに対して、挿入軸O2方向にそれぞれ2箇所以上設けることも可能である。
【0040】
図4に示すように、チューブコネクタ41は、筒状のコネクタ本体45を有する。
【0041】
このコネクタ本体45の内部には、チューブ30を挿通可能なチューブ挿通孔46が形成されている。
【0042】
このチューブ挿通孔46は、チューブ30の外周面よりも大きい内径の内周面を有する、段付きの貫通孔によって構成されている。
【0043】
具体的に説明すると、チューブ挿通孔46は、例えば、先端側から順に、チューブ30の外径よりも十分に大きい内径を有する第1の挿通孔部46aと、第1の挿通孔部46aよりも小径な(チューブ30の外径よりもやや大きい)内径を有する第2の挿通孔部46bと、第2の挿通孔部46bよりも大径(例えば、第1の挿通孔部46aと同径)な内径を有する第3の挿通孔部46cと、第3の挿通孔部46cよりも大径な内径を有する第4の挿通孔部46dと、が挿入軸O2と同軸上に連設されて構成されている。
【0044】
また、コネクタ本体45には、第2の挿通孔部46bに連通するチャンネル用分岐管47と、第3の挿通孔部46cに連通する送水用分岐管48と、が一体形成されている。
【0045】
チャンネル用分岐管47の内部にはチャンネル用分岐管路47aが形成され、このチャンネル用分岐管路47aの先端は、第2の挿通孔部46bの内面に開口されている。これにより、第2の挿通孔部46bの内面はチャンネル用分岐管47を介して外部に連通されている。
【0046】
ここで、チャンネル用分岐管47は、基端側(分岐端側)が操作部22から突出するように配置され、これにより処置具挿通部27としての機能を有する。
【0047】
また、チャンネル用分岐管路47aの中途からは、吸引用分岐管49が分岐されている。この吸引用分岐管49の内部には、チャンネル用分岐管路47aに連通する吸引用分岐管路49aが形成されている。また、操作部22の内部において、吸引用分岐管49には、吸引チューブ28aの先端側を接続することが可能となっている。
【0048】
送水用分岐管48の内部には、第2の連通孔としての送水用分岐管路48aが形成されている。この送水用分岐管路48aの先端は、第3の挿通孔部46cの内面に開口され、これにより、第3の挿通孔部46cの内面は送水用分岐管48を介して外部に連通されている。また、操作部22の内部において、送水用分岐管48には、送水チューブ28bの先端側を接続することが可能となっている。
【0049】
第1の挿通孔部46aは、コネクタ本体45の先端側において、チューブ30の外周面とチューブ挿通孔46の内周面とをシールするOリング55を保持するための機能を有する。
【0050】
この第1の挿通孔部46a内には、例えば、2つのOリング55がコネクタ本体45の先端側から挿入されている。
【0051】
ここで、第2の挿通孔部46bが第1の挿通孔部46aよりも小径に形成されることにより、第1の挿通孔部46aの基端には、チューブ挿通孔46の内側に突出する第1のストッパ部46eが形成されている。そして、一対のOリング55のうち、基端側に位置するOリング55が第1のストッパ部46eに当接されて基端側への移動が規制されることにより、第1の挿通孔部46a内における各Oリング55の位置決めが行われている。
【0052】
そして、このように挿入された各Oリング55がチューブ30の外周面と第1の挿通孔部46aの内周面とに密着することにより、チューブ30と第1の挿通孔部46aとの空隙が、各Oリング55によって気密及び液密にシールされている。
【0053】
第2の挿通孔部46bは、チューブ30の外周面に開口するチャンネル用連通孔32aに対応して設けられている。
【0054】
そして、この第2の挿通孔部46bにチャンネル用連通孔32aが位置するようにチューブ挿通孔46内におけるチューブ30の位置決めさがれることにより、チューブ30内に形成されたチャンネル用孔32を、チャンネル用分岐管路47a及び吸引用分岐管路49aに連通することが可能となっている。
【0055】
第3の挿通孔部46cは、チューブ30の外周面に開口する送水用連通孔33aに対応して設けられている。
【0056】
この第3の挿通孔部46cの内部には、例えば、第1のシール部材としてのOリング60と、筒状のスペーサ61と、第2のシール部材としてのOリング62と、円環状の調整リング63と、がコネクタ本体45の基端側から順に挿入されている。
【0057】
ここで、第2の挿通孔部46bが第3の挿通孔部46cよりも小径に形成されることにより、第3の挿通孔部46cの先端には、チューブ挿通孔46の内側に突出するストッパ部としての第2のストッパ部46fが形成されている。そして、Oリング60が第2のストッパ部46fに当接されて先端側への移動が規制されることにより、第3の挿通孔部46c内におけるOリング60、スペーサ61、Oリング62、及び、調整リング63の位置決めが行われている。
【0058】
具体的には、Oリング60は、第2のストッパ部46fに当接されることにより、第3の挿通孔部46c内において、送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aよりも先端側に位置決めされている。そして、このように位置決めされたOリング60がチューブ30の外周面と第3の挿通孔部46cの内周面とに密着させることにより、送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aよりも先端側において、チューブ30の外周面と第3の挿通孔部46cとの空隙が、Oリング60によって気密及び液密にシールされている。
【0059】
スペーサ61は、Oリング60に当接されることにより(すなわち、Oリング60を介して第2のストッパ部46fに当接されることにより)、第3の挿通孔部46c内において、送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aの先端開口部に対応する位置に位置決めされている。
【0060】
図8,9,11に示すように、このスペーサ61は、チューブ30と第3の挿通孔部46c(チューブ挿通孔46)との間にそれぞれ所定の隙間を有して配置される略円筒形状をなす壁部61aを有する。また、このスペーサ61の壁部61aには、当該壁部61aの内面側と外面側とを連通する第3の連通孔としての連通孔61bが形成されている。
【0061】
そして、このような連通孔61bを有するスペーサ61が、送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aの先端開口部に対応する位置に配置されることにより、チューブ30内に形成された一対の送水用孔33が単一の送水用分岐管路48aに対してそれぞれ連通されている。
【0062】
Oリング62は、スペーサ61に当接されることにより(すなわち、Oリング60及びスペーサ61を介して第2のストッパ部46fに当接されることにより)、第3の挿通孔部46c内において、送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aよりも基端側に位置決めされている。そして、このように位置決めされたOリング62がチューブ30の外周面と第3の挿通孔部46cの内周面とに密着することにより、送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aよりも基端側において、チューブ30の外周面と第3の挿通孔部46cとの空隙が、Oリング62によって気密及び液密にシールされている。
【0063】
なお、図4に示すように、本実施形態において、Oリング60と、スペーサ61と、Oリング62と、は予め一体的に形成されている。
【0064】
調整リング63は、Oリング62に当接されることにより(すなわち、Oリング60、スペーサ61、及び、Oリング62を介して第2のストッパ部46fに当接されることにより)、第3の挿通孔部46c内の基端に位置決めされている。
【0065】
第4の挿通孔部46dには、チューブ挿通孔46の基端側を閉塞するための終端部材70が保持されている。
【0066】
具体的に説明すると、例えば、図10に示すように、終端部材70は、第4の挿通孔部46dを閉塞するための蓋体71と、この蓋体71の基端側に延出する筒状部72と、が一体形成されて要部が構成されている。
【0067】
蓋体71の先端面には、チャンネル用孔32に対応する位置に、ピン状の封止部材73が突設されている。そして、この封止部材73がチャンネル用孔32に挿入されることにより、チャンネル用孔32の基端側が封止されるとともに、チューブ30の基端側が終端部材70に連結されている。
【0068】
ここで、チューブ30が終端部材70に連結されるに際し、各送水用孔33の基端部にはピン状の封止部材74がそれぞれ挿入され、これにより、各送水用孔33の基端側が封止されている。
【0069】
また、蓋体71には、観察用孔31、及び、各ワイヤ挿通用孔34に対応する位置に、挿入軸O2方向に貫通する貫通孔71a,71bが設けられている。そして、終端部材70がチューブ30の基端側に封止部材74を介して連結されることにより、観察用孔31、及び、各ワイヤ挿通用孔34が、各貫通孔71a,71bを介して、筒状部72の内部(内側)に連通されている。そして、このように各貫通孔71a,71bを介して筒状部72の内部に連通されることにより、当該筒状部72の内部から、観察用孔31内にイメージガイドバンドルやライトガイドバンドルを挿通し、また、各ワイヤ挿通用孔34にワイヤを挿通することが可能となっている。
【0070】
筒状部72の外周面には、一対の切欠部72aが設けられている。さらに、筒状部72の基端部には、切欠部72aを除く領域に、外径方向に突出するフランジ部72bが設けられている。
【0071】
また、これらの切欠部72a及びフランジ部72bに対応して、コネクタ本体45の基端部には一対の係止爪部50が設けられている。
【0072】
そして、これらの係止爪部50が筒状部72の基端に係止されることにより、終端部材70の蓋体71が、第4の挿通孔部46d内に保持されている。
【0073】
その際、終端部材70によってチューブ30がチューブ挿通孔46内に押し込まれることにより、コネクタ本体45に対して、チューブ30の挿入軸O2方向における基端位置の位置決めが自動的に行われる。これにより、チューブ挿通孔46内におけるチューブ30の挿入軸O2方向の位置決めが自動的に行われ、チャンネル用連通孔32aを第2の挿通孔部46b内に配置されるとともに、送水用連通孔33aを第3の挿通孔部46c内に配置されている(図8,9参照)。
【0074】
また、一対の係止爪部50の間に切欠部72aフランジ部72bが挟み込まれることにより、終端部材70の挿入軸O2周りの回転位置の位置決めが行われる。そして、この終端部材70の回転位置の位置決めに伴い、チューブ挿通孔46内におけるチューブ30の挿入軸O2周りの回転位置の位置決めが自動的に行われ、第2の挿通孔部46b内において、チャンネル用連通孔32aが、チャンネル用分岐管路47aの先端開口と一致する位置に配置されている(図8参照)。
【0075】
さらに、Oリング60、スペーサ61、及び、Oリング62が、調整リング63を介して、第2のストッパ部46fと終端部材70との間に挟み込まれることにより、これらOリング60、スペーサ61、及び、Oリング62が、第2のストッパ部46fを基準とする所定位置に位置決めされた状態にて保持されている(図7〜9,11等参照)。
【0076】
ここで、このようなチューブモジュール40を組み立てる際には、例えば、図5に示すように、一対のOリング55は、コネクタ本体45の先端側からチューブ挿通孔46(第1の挿通孔部46a)の内部に挿入される。
【0077】
また、チューブ30には、Oリング60、スペーサ61、Oリング62、及び、調整リング63がチューブ30に仮組みされる。
【0078】
また、チューブ30の各送水用孔33に封止部材74が挿入されることにより、各送水用孔33の基端側が封止される。
【0079】
さらに、チャンネル用孔32に封止部材73がされることにより、チャンネル用孔32の基端側が封止されるとともに、チューブ30の基端に終端部材70が連結される。
【0080】
そして、このようにOリング60、スペーサ61、Oリング62、及び、調整リング63が仮組みされるとともに、終端部材70が連結された状態にて、チューブ30は、コネクタ本体45の基端側からチューブ挿通孔46の内部に挿入される。
【0081】
そして、終端部材70が一対の係止爪部50に係止されることにより、チューブ30、Oリング60、スペーサ61、Oリング62、及び、調整リング63が、チューブ挿通孔46の内部において自動的に位置決めされる。これにより、チューブ30に形成されたチャンネル用孔32がチャンネル用分岐管路47a及び吸引用分岐管路49aに連通されるとともにチューブ30に形成された送水用孔33が送水用分岐管路48aに連通される。
【0082】
このような実施形態によれば、長手方向に沿って先端側から基端側へと延在する送水用孔33を有し、送水用孔33の内面を外部に連通する送水用連通孔33aが外周面に開口するチューブ30と、チューブ30の外周面の外径よりも大きい内径の内周面を有するチューブ挿通孔46を有し、チューブ挿通孔46(第3の挿通孔部46c)の内面を外部に連通する送水用分岐管路48aが形成されるとともに、送水用分岐管路48aよりも先端側においてチューブ挿通孔46の内側に突出する第2のストッパ部46fが形成されたチューブコネクタ41と、第2のストッパ部46fとの当接によって送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aの先端開口よりも先端側に位置決めされた状態にてチューブ30とチューブ挿通孔46との間に配置され、チューブ30の外周面とチューブ挿通孔46の内周面とに密着するOリング60と、Oリング60との当接によって壁部61aが送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aの先端開口に対応する位置に位置決めされた状態にてチューブ30とチューブ挿通孔46との間に所定の隙間を有して配置され、壁部61aの内面側と外面側とを連通する連通孔61bが形成されたスペーサ61と、スペーサ61との当接によって送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aの先端開口よりも基端側に位置決めされた状態にてチューブ30とチューブ挿通孔46との間に配置され、チューブ30の外周面とチューブ挿通孔46の内周面とに密着するOリング62と、を具備することにより、簡単な構成及び工程により、チューブ30に形成した送水用連通孔33aを送水用分岐管路48aに対しOリング60,62を介して連通することができる。
【0083】
すなわち、チューブ挿通孔46内に形成した第2のストッパ部46fとチューブ挿通孔46内に挿入したスペーサ61とを用いて、送水用孔33の送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aの先端開口に対するOリング60,62の位置決めを行うとともに、スペーサ61の壁部61aに形成された連通孔61bを介して送水用連通孔33a側と送水用分岐管路48a側とを連通することにより、簡単な構成及び工程により、送水用連通孔33a及び送水用分岐管路48aの先端側及び基端側のシールを行いつつ、送水用分岐管48を通じて供給される洗浄液等を送水用孔33に供給して、送水ノズル23cから噴出させることができる(図11,12参照)。
【0084】
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。
【0085】
例えば、上述の実施形態においては、Oリング60、スペーサ61、及び、Oリング62を予め一体的に形成した一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図13に示すように、これらOリング60、スペーサ61、及び、Oリング62をそれぞれ別体にて構成することも可能である。或いは、Oリング60とスペーサ61のみ、又は、スペーサ61とOリング62のみを予め一体的に形成することも可能である。
【0086】
また、上述の実施形態では本発明の構成を内視鏡(子内視鏡)に対して適用した場合の一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、マルチルーメンチューブ等のチューブを用いたカテーテル或いはシース等の挿入機器に対しても適用が可能であることは勿論である。
【0087】
また、本発明の構成は送水用孔の連通に限定されるものではないことは勿論である。
【0088】
本出願は、2017年12月22日に日本国に出願された特願2017−247014号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
図1
図2
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図10
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