(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844089
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】面材連接装置
(51)【国際特許分類】
B29C 63/30 20060101AFI20210308BHJP
F16L 55/18 20060101ALN20210308BHJP
【FI】
B29C63/30
!F16L55/18 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-55517(P2017-55517)
(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公開番号】特開2018-158448(P2018-158448A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505354095
【氏名又は名称】タキロンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】黒川 裕司
(72)【発明者】
【氏名】建部 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】森田 佳伸
【審査官】
田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−200411(JP,A)
【文献】
特開2018−123854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/30
F16L 55/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸方向に沿って管の内面に並設した面材同士を、管心側から面材連接材を押圧して前記面材に係合させて面材同士を連接するために用いる面材連接装置であって、
前記面材連接装置が、管内に固定する固定部と、
管心側から管外周側方向に前記面材連接材を押圧して前記面材に係合させて面材同士を連接する押さえ部と、
前記押さえ部を前記固定部側に牽引する牽引部と、
前記面材の前記牽引部側の端縁に当接して、前記面材の移動を阻止する当接支持部とを有することを特徴とする面材連接装置。
【請求項2】
前記当接支持部が、前記牽引部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の面材連接装置。
【請求項3】
前記牽引部は、回動腕部を介して前記固定部に接続され、前記回動腕部が管心を中心にして回動することで、前記牽引部が管の内面に沿って設置位置を変更可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の面材連接装置。
【請求項4】
前記押さえ部は、該押さえ部に接続した線条体を介して前記牽引部によって牽引され、
前記線条体は、前記牽引部に設けた滑車を介して、前記固定部に設けられた巻取機で巻き取られるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の面材連接装置。
【請求項5】
前記当接支持部が、前記面材の前記牽引部側の端縁に当接して面材を支持する当接面と、該当接面から管軸方向の面材側に延びる延設片とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の面材連接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管軸方向に沿って管の内面に並設した面材同士を、管心側から面材連接材を押圧して前記面材に係合させて面材同士を連接するために用いる面材連接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した下水道管等の既設管の補修構造として、既設管の内面を内張り材で全面的に覆う既設管の補修構造が数多く提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
このうち、特許文献1に記載のものは、組み立てることにより管状、角形又は馬蹄形の筒状体を構成する、内周面を構成する内面板と、該内面板の周縁に立設された外周板とをプラスチックによって一体に形成した流路施設修復用ブロック体を用いて施工されるものであり、また、特許文献2に記載のものは、既設管路内に、当該既設管路内面に略沿った中空骨組み状補強材が配置され、その補強材の内側に、既設管路の筒長方向並びに周方向にそれぞれ複数の面材が連続的に取り付けられて筒状に組み立てられているとともに、既設管路の筒長方向に隣接している面材同士は、互いの端面が当接した状態で、双方の面材に跨って配置された面材連接材により相互に連接されてなり、面材と既設管路内面との間に硬化性充填材が充填されてなるものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、合成樹脂製のブロック体を使用するために高価な金型を必要とすることから、コストがかかり、また、数多くのブロック体の組み立てに多大な手間を要するものであり、また、特許文献2に記載のものは、既設管路の補修長が長くなるに従い、面材及び嵌合部材を筒長方向に連続したものを使用しようとする場合の輸送上又は製造設備上、製造現場における設置スペース等の問題を解決するものの、既設管路内に中空骨組み状の補強材を配置するのに補強材が多数の部材からなり補強材を既設管路内で組み立てるのに多大な手間を要し、また、面材の数も多くこれを同様に数の多い嵌合部材に係止するのに多大な手間を要するものとなっている。
【0004】
一方、このような実情に鑑み、経済的な部材を用い、その組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、作業完了後においても長期に亘って耐久性のある既設管の補修構造として、既設管の内周面の周方向に沿って、管軸方向に所定の間隔をあけて配設した剛性リングと、これら剛性リングの内側に跨るように管軸方向に、剛性リングの周方向に所定の間隔をあけて配設した既設管の中心側に所定の間隔をあけて形成した切欠きを有する剛性直材と、該剛性直材の切欠きに対応する突条を有する帯状の合成樹脂製面材とからなり、前記合成樹脂製面材の突条を剛性直材の切欠きに嵌着することにより、合成樹脂製面材を既設管の内周面の周方向に沿って、かつ、管軸方向に隙間なく順次配設し、既設管と合成樹脂製面材との間に生じる空隙に硬化性充填材を充填したものも提案されている(例えば、特許文献3参照。)が、合成樹脂製面材が既設管の内周面の周方向に沿って配設されるものであるため、面材を管軸方向に凹凸を生じないように精度高く配設することができず、既設管路の補修長が長くなるに従い、面材の配設に手数がかかるという問題があった。
【0005】
このような実情に鑑みて、本件出願人は、先に、面材の設置作業を簡便化し、かつ、作業完了後においても長期に亘って耐久性のある面材及びその面材を用いた管の内層構造を提案した(特許文献4参照。)。
この面材を用いた管の内層構造は、
図9(a)〜(c)に示すように、幅方向に並設した帯状の面材M1同士を、各面材M1の幅方向の端部に形成された溝111内に形成した面材嵌合爪112と、両方の面材M1の幅方向の端部に跨って配設される面材連接材M2に平行に形成された突条121に対向して形成した面材連接材嵌合爪122とをそれぞれ嵌合させて連接する構造からなるものである。
しかしながら、この連接構造の場合、各面材M1の面材嵌合爪112と、面材連接材M2の面材連接材嵌合爪122とをそれぞれ嵌合させて面材M1同士を連接する作業に手数がかかるとともに、面材嵌合爪112と面材連接材嵌合爪122との嵌合作業の確実性が担保しにくいという問題があった。
【0006】
そして、この嵌合爪を嵌合させて面材同士を連接する構造のものが有する問題点を解決するため、本件出願人は、嵌合爪同士を確実に嵌合させながら、面材同士を簡易に連接することができるようにした面材の連接用スライド治具(押圧係合操作部)を提案した(特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−286742号公報
【特許文献2】特開2002−310378号公報
【特許文献3】特開2006−316539号公報
【特許文献4】特開2014−70421号公報
【特許文献5】特許第5819567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、本件出願人が特許文献5において提案した面材の連接用スライド治具(押圧係合操作部)を効率よく、円滑に適用することができるようにするための面材連接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の面材連接装置は、管軸方向に沿って管の内面に並設した面材同士を、管心側から面材連接材を押圧して前記面材に係合させて面材同士を連接するために用いる面材連接装置であって、前記面材連接装置が、管内に固定する固定部と、管心側から管外周側方向に前記面材連接材を押圧して前記面材に係合させて面材同士を連接する押さえ部と、前記押さえ部を前記固定部側に牽引する牽引部と、前記面材の前記牽引部側の端縁に当接して、前記面材の移動を阻止する当接支持部とを有することを特徴とする。
ここで、固定部を固定する管内とは、既設管内のみでなく人孔内等も含むものである。
【0010】
この場合において、前記当接支持部が、前記牽引部に設けられているようにすることができる。
【0011】
また、前記牽引部は、回動腕部を介して前記固定部に接続され、前記回動腕部が管心を中心にして回動することで、前記牽引部が管の内面に沿って設置位置を変更可能に設けられているようにすることができる。
【0012】
また、前記押さえ部は、該押さえ部に接続した線条体を介して前記牽引部によって牽引され、前記線条体は、前記牽引部に設けた滑車を介して、前記固定部に設けられた巻取機で巻き取られるようにすることができる。
【0013】
また、前記当接支持部が、前記面材の前記牽引部側の端縁に当接して面材を支持する当接面と、該当接面から管軸方向の面材側に延びる延設片とを有するようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の面材連接装置によれば、管軸方向に沿って管の内面に並設した面材同士を、管心側から面材連接材を押圧して前記面材に係合させて面材同士を連接するために用いる面材連接装置であって、前記面材連接装置が、管内に固定する固定部と、管心側から管外周側方向に前記面材連接材を押圧して前記面材に係合させて面材同士を連接する押さえ部と、前記押さえ部を前記固定部側に牽引する牽引部と、前記面材の前記牽引部側の端縁に当接して、前記面材の移動を阻止する当接支持部とを有することにより、嵌合爪同士を確実に嵌合させながら、面材同士を簡易に連接することができるようにした押さえ部を効率よく、円滑に適用するようにすることができ、面材の牽引方向への引き込まれを防止することができる。
【0015】
また、前記当接支持部が、前記牽引部に設けられているようにすることにより、装置の構造を簡略化しながら、当接支持部によって牽引部に作用する牽引力の反力を確実に取るようにすることができる。
【0016】
また、前記牽引部は、回動腕部を介して前記固定部に接続され、前記回動腕部が管心を中心にして回動することで、前記牽引部が管の内面に沿って設置位置を変更可能に設けられているようにすることにより、牽引部を管の内面の連接する面材の位置に設置させて、押さえ部を連接する面材に沿って正確に牽引するようにすることができる。
【0017】
また、前記押さえ部は、該押さえ部に接続した線条体を介して前記牽引部によって牽引され、前記線条体は、前記牽引部に設けた滑車を介して、前記固定部に設けられた巻取機で巻き取られるようにすることにより、押さえ部を円滑に牽引するようにすることができる。
【0018】
また、前記当接支持部が、前記面材の前記牽引部側の端縁に当接して面材を支持する当接面と、該当接面から管軸方向の面材側に延びる延設片とを有するようにすることにより、当接支持部によって牽引部に作用する牽引力の反力をより確実に取るようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の面材連接装置の一実施例を示す横断面の説明図である。
【
図6】本発明の面材連接装置の押圧係合操作部を示し、(a)は正面図、(b)は治具のスライド方向の前面図、(c)は治具のスライド方向の背面図、(d)は突条ガイド部の各部位の断面図である。
【
図7】押圧係合操作部による面材の敷設方法の説明図で、(a)は正面図、(b)は治具のスライド方向の前面図、(c)は治具のスライド方向の背面図、(d1)〜(d3)は突条ガイド部の各部位の断面図、(e)は面材及び面材連接材の断面図である。
【
図8】面材及び面材連接材を組み立てた状態を示し、(a)は管の縦断面方向の説明図、(b)は管の横断面方向の説明図(面材及び面材連接材省略)、(c)は管の縦断面方向の要部の説明図である。
【
図9】面材連接材の面材連接材嵌合爪の形状が異なる例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の面材連接装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
図1〜
図7に、本発明の面材連接装置の一実施例を示す。
この面材連接装置1は、管軸方向に沿って管Pの内面に並設した面材M1同士を、管心側から面材連接材M2を押圧して面材M1に係合させて面材M1同士を連接するために用いる面材連接装置1であって、管P内に固定する固定部2と、管心側から管外周側方向に面材連接材M2を押圧して面材M1に係合させて面材M1同士を連接する押さえ部33を具備した押圧係合操作部3と、押圧係合操作部3を固定部2側に牽引する牽引部4と、面材M1の牽引部4側の端縁に当接して、面材M1の移動を阻止する当接支持部5とを有する。
【0022】
この場合において、固定部2は、面材連接装置1を管P内に固定するためのもので、本実施例においては、面材M1の端部を挟持して面材連接装置1を管Pの直径方向に強固に固定できるようにしている。また、面材と、面材を既設管に固定する部材とを併せて挟持して固定することもできる。これらのように既設管や人孔に直接固定せず、面材自体を挟持して固定する構造は、既設管等の構造や壁面の形状に影響されず、安定して固定することができるため、より好ましい。
なお、既設管等に直接固定してもよい。
また、固定部2の固定機構は、挟持機構のほか、突っ張り機構等、面材連接装置1を管P内に固定することが可能な任意の固定機構を採用することができる。
【0023】
押圧係合操作部3には、本件出願人が特許文献5において提案した面材の連接用スライド治具を適用することができる。
この押圧係合操作部3は、
図9(a)〜(c)に示すように、幅方向に並設した帯状の面材M1同士を、各面材M1の幅方向の端部に形成された溝111内に形成した面材嵌合爪112と、両方の面材M1の幅方向の端部に跨って配設される面材連接材M2に平行に形成された突条121に対向して形成した面材連接材嵌合爪122とをそれぞれ嵌合させて連接するために用いられるものであって、面材M1の溝111内に挿入される支持部31と、面材連接材M2の平行に形成された突条121間に挿入される突条ガイド部32と、面材連接材M2の表面を押圧する押さえ部33とを、この順に接続部34を介して一体に備え、支持部31を、
図6(a)に矢印で示す押圧係合操作部3のスライド方向の前方に向けて接続部34から延設させるとともに、突条ガイド部32及び押さえ部33を押圧係合操作部3のスライド方向の後方に向けて接続部から延設させるようにしたものである。
【0024】
ここで、面材連接材M2に平行に形成される突条121は、互いに一定の間隔をあけて形成されるようにする限りにおいて、
図9(a)に示すように、面材連接材M2を構成する表面材120に対して、垂直に形成するほか、
図9(b)及び(c)に示すように、傾斜させて形成することができる。
【0025】
そして、この押圧係合操作部3は、スライド方向にスライドさせた場合に面材連接材M2が回転部材33a、33b、33cによって順次下方へ押されるようになっている。すなわち、
図6(a)の進行方向の後方に行くに従い、回転部材33a、33b、33cが上部位置から下部位置に順次位置をずらせて設けるように構成されている。
これにより、押さえ部33の面材連接材M2への摩擦抵抗を少なくして、押圧係合操作部3のスライドを円滑に行うようにすることができ、面材連接材M2が下方へ押されるようにする。
【0026】
また、突条ガイド部32は、面材連接材M2の突条121の位置を安定して制御するためのもので、この突条ガイド部32は、押圧係合操作部3のスライド方向の後方に向けて、面材M1の幅方向の端部に形成された溝111内に入り込む方向に傾斜して設けるようにしている。
これにより、面材連接材M2の突条121を、押圧係合操作部3のスライドに合わせて、面材M1の幅方向の端部に形成された溝111内に引き込むことができる。
【0027】
また、突条ガイド部32は、面材連接材M2の2つの突条121間の間隔を押し広げるように制御するように形成されている。具体的には、突条ガイド部32は、押圧係合操作部3のスライド方向の後方に向けて、先割れ状態に拡開して形成されており、突条ガイド部32の先割れした部分の間に両方の面材M1に形成された面材嵌合爪112が入り込むようにしている。
これにより、突条ガイド部32が、各面材M1に形成された面材嵌合爪112と干渉することを防止することができ、面材嵌合爪112と面材連接材嵌合爪122とを確実に嵌合させるように突条121の位置を制御することができる。
【0028】
そして、押圧係合操作部3に備えた2つの支持部31は、並設した面材M1のそれぞれの溝111内に挿入される。2つの支持部31の間の間隔(距離)が面材嵌合爪112の基部の厚みを2つ合わせた寸法と概ね合致しているので、支持部31が並設した面材M1のそれぞれの溝111内に挿入されると、2つの面材嵌合爪112が隙間なく(又は所定の隙間寸法に)合わせられる。このようにして、面材嵌合爪112が隙間なく合わせられると、面材嵌合爪112の上方から面材連接材M2を嵌合しやすくなる。
また、支持部31が並設した面材M1のそれぞれの溝111内に挿入されると、面材嵌合爪112の拡張部の基部に支持部31が位置することとなり、支持部31は面材嵌合爪112の拡張部によって、
図7(b)の上方にずれることができなくなり、これにより、押圧係合操作部3が面材連接材M2を上方から下方へ押す押圧力の部材として機能させることができる。
【0029】
次に、押圧係合操作部3に備えた押さえ部33は、面材連接材M2を上方から下方に押圧するための部分であり、押さえ部33に設けられた回転部材33a、33b、33cを介して、面材連接材M2を上方から下方に押圧するようにすることにより、押圧力が押圧係合操作部3の進行方向への抵抗(摩擦抵抗)となりにくくすることができる。そして、回転部材33a、33b、33cのうち少なくとも1つの回転部材33cは、突条ガイド部32の終端よりも後方に配設することが好ましく、これにより、面材嵌合爪112と面材連接材嵌合爪122とが確実に嵌合(係合)される位置まで、面材連接材M2の突条121(面材連接材嵌合爪122)の溝111内への押し込み動作を継続して行うことができる。
なお、図示はしないが、押さえ部33に回転部材の代わりに回転しない当接部を設け、該当接部が面材連接材M2に当接することで押し込み動作を行うこともでき、押さえ部33は面材連接材M2を押圧できる機構を具備しておればよい。
【0030】
また、この押圧係合操作部3は、押圧係合操作部3のスライド方向の前部に、面材M1の表面に当接して回転する回転部材35を配設するようにしている。
これにより、押圧係合操作部3の面材M1への摩擦抵抗を少なくして、押圧係合操作部3のスライドを円滑に行うようにすることができる。
【0031】
この押圧係合操作部3は、
図7に示すように、幅方向に並設した帯状の面材M1(なお、面材M1は、連接が完了した状態で、幅方向に接触して配設されるもののほか、隙間を設けて配設されるものでもよい。)の間に、面材連接材M2を配置する。
このとき、支持部31を面材M1の溝111内に挿入し、突条ガイド部32を面材連接材M2の平行に形成された突条121間に挿入する。同時に、押さえ部33によって面材連接材M2の表面が押圧されるようにして押圧係合操作部3を設置するようにする。
これにより、面材連接材M2は、押圧係合操作部3のスライド方向の後方に向けて、面材M1内に入り込む方向に傾斜して導入される。そして、支持部31により、各面材M1に形成された面材嵌合爪112同士が位置合わせされて、面材連接材嵌合爪122と嵌合しやすくすることができる。また、支持部31は、面材嵌合爪112と面材連接材嵌合爪122とを嵌合する場合の反力部材として機能する。
この状態で、押圧係合操作部3をスライドさせることにより、
図7(d1)〜
図7(d3)に示すように、突条ガイド部32によって面材連接材M2の突条121を拡開する方向に変形させるとともに面材連接材M2の突条121が溝111内に導入されて、各面材M1の幅方向の端部に形成された溝111内に形成した面材嵌合爪112と、両方の面材M1の幅方向の端部に跨って配設される面材連接材M2に平行に形成された突条121に対向して形成した面材連接材嵌合爪122とをそれぞれ嵌合させて面材M1同士を連接するようにする。
このようにして、押圧係合操作部3を用いて、面材嵌合爪112と面材連接材嵌合爪122とを確実に嵌合させながら、面材M1同士を簡易に連接することができる。
【0032】
押圧係合操作部3を固定部2側に牽引する牽引部4は、回動腕部41を介して固定部2に接続され、回動腕部41が管心を中心にして回動するようにすることで、牽引部4が管Pの内面に沿って設置位置を変更可能に設けられている。
これにより、牽引部4を管Pの内面の連接する面材M1の位置に設置させて、押圧係合操作部3を連接する面材M1に沿って正確に牽引するようにすることができるようにしている。
また、牽引部4を固定部2に対して回動可能に構成したことにより、牽引操作のたびに固定部の位置を変える必要なく牽引操作が行うことができるため、作業性が良い。
【0033】
この牽引部4は、押圧係合操作部3に連結したロープやワイヤ等の線条体42を介して牽引部4によって牽引され、線条体42は、牽引部4に設けた滑車43を介して、固定部2に設けられた巻取機44で巻き取られるようにしている。
これにより、押圧係合操作部3を円滑に牽引するようにすることができるようにしている。
ここで、巻取機44は、手動駆動方式のほか、電動等の動力駆動方式のものを用いることができる。動力駆動方式の場合は、電動機等の駆動源を巻取機44に備え付けるほか、例えば、ドリルドライバ等の手動工具の動力を利用するようにすることもできる。
また、巻取機44が、リモコン装置による操作が不要で、線条体42を任意に繰り出し可能であるフリー機能を備えていれば、巻取機44の傍に作業者がついている必要がなく、作業者一人でも作業が可能になる。
【0034】
そして、この牽引部4に、面材M1の牽引部4側の端縁に当接して、面材M1の移動を阻止する当接支持部5を設けるようにしている。
これにより、装置の構造を簡略化しながら、当接支持部5によって牽引部4に作用する牽引力の反力を確実に取るようにすることができるようにしている。
また、面材M1と、面材M1を既設管に固定する部材とを併せて、当接支持部5に当接するよう構成することで、より面材M1の引き込まれを防止することができる。
【0035】
この当接支持部5は、面材M1の牽引部4側の端縁に当接して面材M1を支持する当接面51と、該当接面51から管軸方向の面材M1側に延びる延設片52(本実施例においては、延設片52は、面材M1の両面に沿って延びるようにしているが、いずれか一方又は両方を省略することもできる。)とを有するようにしている。
これにより、当接支持部5によって牽引部4に作用する牽引力の反力をより確実に取るようにすることができるようにしている。
【0036】
この面材連接装置1によれば、面材M1と面材連接材M2の嵌合爪、すなわち、面材嵌合爪112と面材連接材嵌合爪122同士を確実に嵌合させながら、面材M1同士を簡易に連接することができるようにした押圧係合操作部3を効率よく、円滑に適用するようにすることができる。
【0037】
ところで、本実施例において、面材連接装置1は、管Pの一方側に設置し、押圧係合操作部3を一方向(往方向)に牽引するようにしたが(この場合、押圧係合操作部3の復方向の移動は、上記フリー機能を利用し、押圧係合操作部3に接続した復帰用線条体を他の復帰用牽引部(図示省略)により牽引することにより行ったり、地上を搬送して行うことができる。)、面材連接装置1を、管Pの管軸方向に距離を隔てて両側に設置することにより、押圧係合操作部3をシャトルのように往復させることによって、管Pの両側から往復で面材M1同士を連接するようにすることができ、作業効率を向上することができる。
【0038】
以上、本発明の面材連接装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、管軸が水平方向以外の管、例えば、管軸が傾斜した管や垂直方向の管(人孔)にも適用することができる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の面材連接装置は、嵌合爪同士を確実に嵌合させながら、面材同士を簡易に連接することができる押圧係合操作部を効率よく、円滑に適用することができることから、下水道管等の既設管の補修構造として用いられる面材同士を連接するための用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 面材連接装置
2 固定部
3 押圧係合操作部(スライド治具)
33 押さえ部
4 牽引部
41 回動腕部
42 線条体
43 滑車
44 巻取機
5 当接支持部
M1 面材
M2 面材連接材
P 管