特許第6844166号(P6844166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6844166-半導体装置 図000002
  • 特許6844166-半導体装置 図000003
  • 特許6844166-半導体装置 図000004
  • 特許6844166-半導体装置 図000005
  • 特許6844166-半導体装置 図000006
  • 特許6844166-半導体装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844166
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20210308BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20210308BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   H01L23/50 U
   H01L21/52 A
   H01L23/28 A
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-181106(P2016-181106)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-46214(P2018-46214A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 賢平
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−083241(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/52
21/58
23/28−23/31
23/48
23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子が接合材を介して設置される設置領域を備えるダイパッドと、
を有し、
前記ダイパッドは前記設置領域の周囲に、前記ダイパッドからの立ち上がりの角度を鋭角に切り起こした切り起こし部が形成されて、前記接合材が前記半導体素子及び前記設置領域の間から前記半導体素子及び前記切り起こし部の間に及んでいる
半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子と前記ダイパッドとを封止する封止部材、
を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記切り起こし部は、方形状の前記設置領域の辺に沿って形成されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記切り起こし部は、前記設置領域の前記辺に連結して、連結部分を支点にして立ち上げられている、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記設置領域の角部から、前記切り起こし部の形成により得られる切り欠き部の、前記角部から近い方の端部までの第1距離は、前記ダイパッドの厚さ以上である、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記切り欠き部の前記端部から、前記切り欠き部内の前記切り起こし部の端部までの第2距離は、前記ダイパッドの厚さ以上である、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記切り欠き部から、前記切り欠き部に対向する、前記切り欠き部から近い方の前記ダイパッドの端部までの第3距離は、前記ダイパッドの厚さ以上である、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記角度に対する正弦の値が、前記接合材の厚さ以上、前記半導体素子の高さ以下である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体素子と、
前記半導体素子が接合材を介して設置される設置領域を備えるダイパッドと、
を有し、
前記ダイパッドは前記設置領域の周囲に、切り起こし、方形状の前記設置領域の辺に沿って連結されて、連結部分の長さは前記設置領域の辺よりもそれぞれ短い切り起こし部が形成されている、
半導体装置。
【請求項10】
半導体素子と、
前記半導体素子が接合材を介して設置される設置領域を備えるダイパッドと、
を有し、
前記ダイパッドは前記設置領域の周囲に、方形状の前記設置領域の辺に沿って切り起こした切り起こし部が形成されて、前記設置領域の角部から、前記切り起こし部の形成により得られる切り欠き部の、前記角部から近い方の端部までの距離は、前記ダイパッドの厚さ以上である、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、パワー半導体素子と、パワー半導体素子がハンダを介して配置されるダイパッドと、パワー半導体素子とワイヤで電気的に接続されるリードフレームとを有している。そして、半導体装置は、パワー半導体素子と、ダイパッドと、リードフレームのワイヤの接続箇所とが封止樹脂により封止されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような半導体装置は、自動車のエンジンルーム等の温度変化が大きい環境で利用されるため、冷熱変化に対する信頼性が要求される。
そこで、例えば、パワー半導体素子とダイパッドとの間のハンダの厚さを厚くすることが行われる。これにより、温度変化に応じてパワー半導体素子とダイパッドとの熱膨張係数差によりハンダに熱応力が発生しても、厚いハンダは熱応力に対して持ちこたえることができる。したがって、ハンダに対するクラックの発生等を抑制することができ、パワー半導体素子とダイパッドとの接合箇所の信頼性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−263210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、パワー半導体素子とダイパッドとの間のハンダの厚さを厚くする場合、パワー半導体素子の設置領域にハンダを塗布すると、流動性があるハンダはこの設置領域外に濡れ広がってしまう。このため、ハンダが薄くなってしまい、また、設置領域に設置するパワー半導体素子の位置がずれてしまう。パワー半導体素子にワイヤボンディングを行うワイヤボンディング装置は、このようなパワー半導体素子の位置を適切に認識することができなくなってしまうおそれがある。
【0006】
また、濡れ広がったハンダがリードフレームの側面に付着すると、リードフレームに電気的特性不良を生じさせるおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、ハンダの濡れ広がりを防止して、信頼性の低下を抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、半導体素子と、前記半導体素子が接合材を介して設置される設置領域を備えるダイパッドと、を有し、前記ダイパッドは前記設置領域の周囲に、前記ダイパッドからの立ち上がりの角度を鋭角に切り起こした切り起こし部が形成されて、前記接合材が前記半導体素子及び前記設置領域の間から前記半導体素子及び前記切り起こし部の間に及んでいる、半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、半導体装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態の半導体装置の上面図である。
図2】実施の形態の半導体装置の断面図である。
図3】実施の形態のプレス加工された半導体装置のダイパッド及びリードフレームを示す図である。
図4】実施の形態の半導体装置のダイパッド及びリードフレームの断面図である。
図5】実施の形態の半導体装置の切り起こし部が形成されたダイパッド及びリードフレームの断面図である。
図6】参考例の半導体装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。
半導体装置について、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、実施の形態の半導体装置の上面図であり、図2は、実施の形態の半導体装置の断面図である。
【0011】
なお、図2は、図1の一点鎖線Y−Yにおける断面図を表している。
半導体装置1は、半導体素子50と、半導体素子50がハンダ40を介して設置される設置領域10aを備えるダイパッド10と、ダイパッド10に一体的に形成されるリードフレーム20a〜20dと、を有している。そして、半導体装置1は、半導体素子50の主電極とワイヤ60a〜60dで電気的にそれぞれ接続されたリードフレーム30a〜30dを有している。このような半導体装置1は、これらの構成が封止樹脂70で封止されている。
【0012】
半導体素子50は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)等である。
【0013】
ダイパッド10は、導電性並びに放熱性に優れた、金、銀、銅、アルミニウム等の金属により構成されている。ダイパッド10の略中央部には、半導体素子50が設置される設置領域10aが設けられている。ダイパッド10は、半導体素子50の設置領域10aの周囲に、切り起こした切り起こし部11a〜11dが形成されている。図1に示されるように、上面視で方形状の設置領域10aの各辺にそれぞれ切り起こし部11a〜11dが形成されている。さらに、このような切り起こし部11a〜11dは、図2に示されるように、設置領域10aの辺に接合して、この接合箇所を支点として所定角度立ち上がっている。また、切り起こし部11a〜11dが切り起こされた箇所には、切り欠き部12a〜12dが形成されている。なお、切り起こし部11a〜11dの詳細については後述する。
【0014】
また、ダイパッド10の切り起こし部11a〜11dが四方に形成された設置領域10aには、ハンダ40が塗布されて、当該ハンダ40を介して半導体素子50が配置されている。
【0015】
リードフレーム20a〜20dは、ダイパッド10と同様の材質により構成されている。このようなリードフレーム20a〜20dは、図1に示されるように、ダイパッド10に一体的に形成されている。
【0016】
リードフレーム30a〜30dは、ダイパッド10と同様の材質により構成されている。リードフレーム30a〜30dは、図1に示されるように、ダイパッド10に対向して配置している。
【0017】
また、封止樹脂70が、半導体素子50と、ダイパッド10と、リードフレーム20a〜20dの一部と、リードフレーム30a〜30dのワイヤ60a〜60dの接続部分とワイヤ60a〜60dとを封止している。このような封止樹脂70は、例えば、エポキシ樹脂、マレイミド変性エポキシ樹脂、マレイミド変性フェノール樹脂、マレイミド樹脂等の樹脂である。
【0018】
次に、このような半導体装置1の製造方法について、図3図5を用いて説明する。
図3は、実施の形態のプレス加工された半導体装置のダイパッド及びリードフレームを示す図である。
【0019】
図4は、実施の形態の半導体装置のダイパッド及びリードフレームの断面図である。
図5は、実施の形態の半導体装置の切り起こし部が形成されたダイパッド及びリードフレームの断面図である。
【0020】
なお、図4は、図3の一点鎖線Y−Yにおける断面図をそれぞれ表しており、図5は、図3の一点鎖線Y−Yに対応する箇所の断面図をそれぞれ表している。
まず、金、銀、銅、アルミニウム等の金属で構成された平板材を用意する。この平板材の厚さtは、0.1mm以上、0.2mm以下であり、例えば、0.15mmである。
【0021】
また、開口部13a〜13dが形成されたダイパッド10と、リードフレーム20a〜20d,30a〜30dとに対応した金型を備えるプレス装置が、平板材に対してプレス加工を行う。これにより、図3に示されるような、後に半導体素子50が設定される設置領域10aの周囲に開口部13a〜13dが形成され、リードフレーム20a〜20dが一体的に形成されたダイパッド10と、リードフレーム30a〜30dとが得られる。
【0022】
なお、開口部13a〜13dの内側(設置領域10a側)は切り起こし部11a〜11dに対応する。プレス加工後の段階では、まだ、図4に示す切り起こし部11c,11dのように、切り起こし部11a〜11dが形成されておらず、また、リードフレーム20a〜20d,30a〜30dに湾曲が付加されていない状態である。
【0023】
また、図3に示されるように、設置領域10aの(図3中左上の)角部から、開口部13aの一方(当該角部から近い方)の端部までの距離s1は、ダイパッド10の厚さt以上であり、好ましくは、ダイパッドの厚さtの2倍以上である。さらに、開口部13aの一方の端部から、切り起こし部11aの一方(開口部13aの一方の端部の近い方)の端部までの距離s2も、ダイパッド10の厚さt以上であり、好ましくは、ダイパッドの厚さtの2倍以上である。
【0024】
なお、開口部13aの他方の端部と切り起こし部11aの他方の端部とに関する距離s1,s2についても、上記と同様に、ダイパッド10の厚さt以上であり、好ましくは、ダイパッドの厚さtの2倍以上である。
【0025】
さらに、開口部13aに限らず、設置領域10aの各角部から開口部13b〜13d(及び切り起こし部11b〜11d)に関する上記距離s1,s2も、ダイパッド10の厚さt以上であり、好ましくは、ダイパッドの厚さtの2倍以上である。
【0026】
また、図3に示されるように、開口部13a〜13dの長手方向の辺と、この辺に対向するダイパッド10の辺との距離L1〜L4もまた、ダイパッド10の厚さt以上であり、好ましくは、ダイパッドの厚さtの2倍以上である。
【0027】
このようにダイパッド10において、開口部13a〜13dに対して距離s1,s2及び距離L1〜L4を設定することで、ダイパッド10から設置領域10aが分離しない程度の強度を保つことができる。
【0028】
次いで、このようなダイパッド10の開口部13a〜13dの切り起こし部11a〜11dを、切り起こし部11a〜11dの設置領域10aの各辺の連結部分を支点にして、所定角度立ち上げる。
【0029】
例えば、図5に示されるように、開口部13c,13dの切り起こし部11c,11dを立ち上げる。この際、切り起こし部11c,11dの立ち上がり角度aに対する正弦の値である高さHは、後の工程で塗布するハンダ40の高さ以上であって、当該ハンダ40上に配置される半導体素子50の厚さ以下となるような立ち上がり角度aとする。立ち上がり角度aは、ロスがなく立ち上がり、加工しやすい角度であることが望ましい。
【0030】
ダイパッド10では、例えば、図5に示されるように、開口部13c,13dから切り起こし部11c,11dを立ち上げると、開口部13c,13dの切り起こし部11c,11dの元の箇所に切り欠き部12c,12dが構成される。開口部13c,13dに限らず、開口部13a,13bも同様に、切り起こし部11a,11bを立ち上げると、切り欠き部12a,12bが構成される。
【0031】
そして、リードフレーム20a〜20d,30a〜30dを所望の形状に湾曲する(図5では図示を省略)。
次いで、ダイパッド10の切り起こし部11a〜11dが形成された設置領域10aにハンダ40を塗布して、ハンダ40上に半導体素子50を設置して、ダイパッド10上に半導体素子50を固着する。
【0032】
ボンディング装置がワイヤボンディングを行って、半導体素子50の主電極と、リードフレーム30a〜30dとをワイヤ60a〜60dで電気的に接続する。
リードフレーム20a〜20dが一体的に形成され、半導体素子50が固着されたダイパッド10と、半導体素子50とワイヤ60a〜60dで電気的に接続されたリードフレーム30a〜30dとを所定の金型にセットする。そして、トランスファー成型により半導体素子50、ダイパッド10、ワイヤ60a〜60d等を封止樹脂70で封止する。
【0033】
以上により、図1及び図2に示される半導体装置1を得ることができる。
ここで、半導体装置1に対する参考例の半導体装置について、図6を用いて説明する。
図6は、参考例の半導体装置の上面図である。
【0034】
また、半導体装置2は、半導体装置1と同様の構成には、同様の符号を付している。
半導体装置2は、半導体素子50と、半導体素子50がハンダ40を介して設置されるダイパッド10と、ダイパッド10に一体的に形成されるリードフレーム20a〜20dと、を有している。そして、半導体装置2は、半導体素子50の主電極とワイヤ60a〜60dで電気的にそれぞれ接続されるリードフレーム30a〜30dを有している。このような半導体装置2は、これらの構成が封止樹脂70で封止されている。
【0035】
すなわち、半導体装置2は、半導体装置1と異なり、切り起こし部11a〜11dが形成されておらず、ダイパッド10に対してハンダ40が直接塗布されている。
このような半導体装置2では、ダイパッド10に塗布されたハンダ40が、図6に示されるように、ダイパッド10上で濡れ広がってしまう。このため、ハンダ40上の半導体素子50の位置がずれてしまうおそれがある。半導体素子50の主電極にワイヤ60a〜60dをワイヤボンディングするボンディング装置は、半導体素子50の位置がずれてしまうと、半導体素子50に対するボンディング位置を適切に認識することができなくなってしまう。このため、半導体素子50に対するワイヤボンディングの位置の精度が低下してしまい、適切にワイヤボンディングを行うことができなくなるおそれがある。
【0036】
また、ハンダ40が濡れ広がってしまうために、ハンダ40の厚さにばらつきが生じてしまう。このため、半導体素子50の放熱性にもむらが生じてしまい、半導体装置2の放熱性が低下してしまうおそれがある。
【0037】
ハンダ40の濡れ広がりが、リードフレーム20a〜20dの側面まで及ぶと、リードフレーム20a〜20dと外部電極との電気的な接続に接続不良が発生してしまうおそれがある。
【0038】
また、ダイパッド10、半導体素子50、リードフレーム20a〜20d,30a〜30d等を封止する封止樹脂70は、これらの構成に対する密着性に優れているものの、ハンダ40との密着性は優れていない。したがって、ハンダ40が濡れ広がると、ハンダ40と封止樹脂70との接触面積が増加して、封止樹脂70は、ハンダ40と密着した箇所が隙間となってしまう。この隙間から封止樹脂70にクラック等が入り込んでしまうおそれがあり、半導体装置2の信頼性の低下を招いてしまう。
【0039】
一方、半導体装置1は、半導体素子50と、半導体素子50がハンダ40を介して設置される設置領域10aを備えるダイパッド10と、ダイパッド10に一体的に形成されるリードフレーム20a〜20dと、を有している。さらに、半導体装置1は、半導体素子50の主電極とワイヤ60a〜60dで電気的にそれぞれ接続されるリードフレーム30a〜30dを有して、これらの構成が封止樹脂70で封止されている。そして、半導体装置1では、ダイパッド10の設置領域10aの周囲に、切り起こした切り起こし部11a〜11dが形成されている。
【0040】
このため、設置領域10aに塗布したハンダ40は、切り起こし部11a〜11dにより、設置領域10aからの濡れ広がりが抑制される。したがって、設置領域10aにハンダ40を介して設置される半導体素子50の位置ずれを防止することができる。したがって、ボンディング装置は半導体素子50に対するボンディング位置を適切に認識でき、半導体素子50に対してワイヤ60a〜60dを正常にボンディングすることができる。
【0041】
切り起こし部11a〜11dによりハンダ40の濡れ広がりが防止されるために、ハンダ40の厚さを均一に維持することができる。このため、半導体素子50が均一に放熱されて、半導体装置1の信頼性の低下を抑制することができる。
【0042】
さらには、ハンダ40がリードフレーム20a〜20dの側面まで及ぶことも防止されるために、リードフレーム20a〜20dと外部電極と接続不良の発生を抑制することができる。
【0043】
また、既述の通り、ハンダ40は切り起こし部11a〜11dにより設置領域10aに留まり、設置領域10aから濡れ広がることが防止される。したがって、ダイパッド10、半導体素子50、リードフレーム20a〜20d,30a〜30d等を封止する封止樹脂70は、封止樹脂70に対して密着性が低いハンダ40と殆ど接触することがない。このような封止樹脂70によるダイパッド10、半導体素子50、リードフレーム20a〜20d,30a〜30d等に対する密着性の低下が抑制される。このため、封止樹脂70内にクラック等の発生が防止されるために、半導体装置1の信頼性の低下を抑制することができるようになる。
【0044】
また、半導体装置1を封止する封止樹脂70は、ダイパッド10の切り欠き部12a〜12dの間を充填し、切り起こし部11a〜11dが埋まっている。このため、切り起こし部11a〜11dによるアンカー効果により封止樹脂70に対する密着性が向上する。したがって、半導体装置1に対する封止樹脂70の密着性が向上して、封止樹脂70内のクラック等の発生が抑制されて、半導体装置1の信頼性の低下を抑制することができるようになる。
【0045】
なお、図3で説明したように、距離s1,s2及び距離L1〜L4は、ダイパッド10の厚さt以上であり、好ましくは、ダイパッドの厚さtの2倍以上である。ダイパッド10において、切り起こし部11a〜11d(開口部13a〜13d)に対して距離s1,s2及び距離L1〜L4を設定することで、ダイパッド10から設置領域10aが分離しない程度の強度を保つことができる。
【0046】
但し、距離s1,s2は、切り起こし部11a〜11dの間から設置領域10aに塗布したハンダ40の濡れ広がりを防止し、または、ハンダ40の濡れ広がりを遅らせる程度の距離であるものとする。
【符号の説明】
【0047】
1 半導体装置
10 ダイパッド
10a 設置領域
11a〜11d 切り起こし部
12a〜12d 切り欠き部
13a〜13d 開口部
20a〜20d,30a〜30d リードフレーム
40 ハンダ
50 半導体素子
60a〜60d ワイヤ
70 封止樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6