(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の有機溶剤が3−メトキシブタノール、乳酸メチル、乳酸エチル、ジアセトンアルコール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄方法又は製造方法。
染料(b)がアントラキノン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシア
ニン色素、ジピロメテン色素、クマリン色素及びアゾ色素よりなる群から選ばれる色素骨格を有する染料の1種又は2種以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄方法又は製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
(混合槽)
混合槽は、少なくとも顔料(a)及び染料(b)を含む着色組成物の原料を撹拌混合するための撹拌部と、着色組成物を混合槽から排出するための排出部とを有するものであれば、特に限定されない。撹拌翼の形状は特に限定されず、例えば、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、プロペラ翼、スクリュー翼、ヘリカルリボン翼等を適宜選択することができる。また、混合槽は、加熱又は冷却可能な構造、例えば、電気ヒーター、あるいは温水、蒸気、冷水が通液可能なジャケット等を備えていても構わない。
混合槽の鉛直上方には、原料等を投入するための開口部を有しており、開口の形状は、例えば、円形、楕円形及び方形のいずれでもよい。また、開口部には、脱着自在の蓋体を備えていてもよい。
混合槽の容量は製造スケールにより一様ではないが、通常50〜10,000L、好ましくは200〜5,000Lである。
【0011】
(着色組成物の調製)
着色組成物は顔料(a)及び染料(b)を含有すれば、顔料(a)及び染料(b)以外の成分を含有していてもよく、特に限定されるものではない。
顔料(a)は有機顔料及び無機顔料のいずれでもよく、有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる、具体例としては、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものが挙げられる。
【0012】
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264等の赤色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントブルー80等の青色顔料;
C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー179、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー215等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ38等の橙色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23等の紫色顔料。
【0013】
このほか、特表2011−523433号公報の式(Ic)で表されるブロモ化ジケトピロロピロール顔料を使用することもできる。また、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−191304号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料を挙げることができる。
【0014】
また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等が挙げられる。
【0015】
染料(b)としては特に限定されず、公知の染料を使用することができる。例えば、アントラキノン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン染料、サブフタロシアニン色素、ジピロメテン色素、クマリン色素、アゾ色素、ピラゾロン色素、キノリン色素、ニトロ色素、キノンイミン色素等の色素骨格を有する染料を挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。中でも、アントラキノン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、キノフタロン色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素、ジピロメテン色素、クマリン色素及びアゾ色素よりなる群から選ばれる色素骨格を有する染料の1種又は2種以上が好ましく、アントラキノン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、シアニン色素、フタロシアニン色素、及びアゾ色素よりなる群から選ばれる色素骨格を有する染料の1種又は2種以上が更に好ましい。
【0016】
具体的には、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてダイ(Dye)に分類されている化合物を挙げることができる。
【0017】
C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等のアントラキノン色素骨格を有する染料;
C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等のアゾ色素骨格を有する染料;
C.I.パッドブルー5等のフタロシアニン色素骨格を有する染料;
C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等のキノリン色素骨格を有する染料;
C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等のニトロ色素骨格を有する染料;
C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等のキノンイミン色素骨格を有する染料。
【0018】
また、本発明においては、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有することもできる。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等が挙げられ、また分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
【0019】
顔料(a)及び染料(b)の合計含有量は、通常着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%である。ここで、本明細書において「着色組成物の固形分」とは、後述する溶媒以外の成分をいう。
また、顔料(a)の含有量は、着色組成物の固形分中に35質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が更に好ましい。
【0020】
着色組成物は、顔料(a)及び染料(b)、並びに任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常有機溶剤(c)を配合して液状組成物として調製される。
有機溶剤(c)としては、顔料(a)及び染料(b)や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、1種又は2種以上を含有することができる。
【0021】
有機溶剤の具体例としては、例えば、前述のグリコールエーテル、乳酸アルキルエステル、ケトアルコール、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及びケトンの他、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、(シクロ)アルキルアルコール、環状エーテル、ジアセテート、アルコキシカルボン酸エステル、芳香族炭化水素、アミド、ラクタム等を挙げることがきる。
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。(シクロ)アルキルアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。環状エーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。ジアセテートとしては、例えば、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等が挙げられる。アルコキシカルボン酸エステルとしては、例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等が挙げられる。脂肪酸アルキルエステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。アミドとしては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0022】
有機溶剤(c)の含有量は特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%が更に好ましい。このような態様とすることにより、分散性、保存安定性の良好な着色剤分散液、並びに塗布性、保存安定性の良好な着色組成物とすることができる。
【0023】
さらに、着色組成物は、バインダー樹脂(d)を1種又は2種以上含有することができる。
バインダー樹脂(d)としては、当該技術分野においてバインダー樹脂として通常使用されているものであれば特に限定されないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂が好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」とも称する。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(d1)」とも称する。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(d2)」とも称する。)との共重合体を挙げることができる。
【0024】
不飽和単量体(d1)と不飽和単量体(d2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(d1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。
不飽和単量体(d1)と不飽和単量体(d2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0025】
バインダー樹脂(d)の含有量は、顔料(a)及び染料(b)の合計100質量部に対して、通常10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部、より好ましくは50〜200質量部である。
【0026】
また、着色組成物は、重合性化合物(e)を1種又は2種以上含有することができる。ここで、本明細書において「重合性化合物」とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。重合性化合物(e)としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0027】
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物〔多官能(メタ)アクリレート〕、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの反応物〔多官能ウレタン(メタ)アクリレート〕、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物〔カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート〕等を挙げることができる。
【0028】
2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0029】
重合性化合物(e)の含有量は、顔料(a)及び染料(b)の合計100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、20〜800質量部がより好ましく、100〜500質量部が更に好ましい。
【0030】
さらに、着色組成物は、光重合開始剤(f)を1種又は2種以上含有することができる。ここで「光重合開始剤」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、重合性化合物(e)の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0031】
光重合開始剤(f)としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物、オニウム塩系化合物等を挙げることができる。中でも、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物及びO−アシルオキシム系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0032】
光重合開始剤(f)の含有量は、重合性化合物(e)100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、1〜100質量部が更に好ましい。
【0033】
着色組成物は、必要に応じて、充填剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、残渣改善剤、現像性改善剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することもできる。
【0034】
着色組成物は適宜の方法により製造することができるが、例えば、顔料(a)及び染料(b)を、有機溶剤(c)や任意的に加えられる他の成分と共に、混合槽内で撹拌混合することにより製造することができる。また、顔料(a)を有機溶剤(c)中、分散剤の存在下で分散して顔料分散液とし、この顔料分散液と、染料(b)及び任意的に加えられる他の成分とを混合槽内で撹拌混合することにより製造することもできる。なお、着色組成物の構成成分の混合順序、及び撹拌速度は特に限定されず、任意の順序、又は任意の速度を設定できる。
【0035】
(着色組成物の排出)
このようにして調製された着色組成物は、混合槽の排出部から排出すればよい。
【0036】
(洗浄工程)
本発明に係る洗浄工程は、混合槽を有機溶剤で洗浄し、洗浄液を混合槽から排出する工程であり、当該工程を複数回行う。混合槽の洗浄方法は特に限定されず、例えば、洗浄ノズルから有機溶剤を噴射して混合槽内を洗浄しても、また混合槽内に有機溶剤を投入した後、混合槽内に設けられた撹拌部により有機溶剤を撹拌して混合槽内を洗浄するか、あるいは混合槽を揺動させながら混合槽内を洗浄してもよい。更に、これらの2以上を組み合わせて洗浄することもできる。なお、撹拌や搖動により洗浄する場合、その速度は特に限定されず、任意の速度を設定できる。
【0037】
本発明では、複数回行う洗浄工程のうち最後に行う洗浄工程において、染料(b)の溶解度が1.0g/100mL未満である第2の有機溶剤を使用すれば、その前に行う洗浄工程は適宜の有機溶剤を使用することができるが、少なくとも1回は第2の有機溶剤以外の有機溶媒を使用して洗浄することが、汚染及び異物欠陥の抑制の観点から好ましい。より具体的には、例えば、複数回行う洗浄工程として、下記の洗浄工程A及び洗浄工程Bを含むことが好ましい。この場合、洗浄工程Bを最後に行えば、洗浄工程A及び洗浄工程Bをそれぞれ複数回行っても、洗浄工程Aと洗浄工程Bを交互に、必要によりそれぞれ複数回行っても構わない。なお、洗浄工程Aを複数回行う場合、各工程で使用する有機溶剤の種類は同一でも異なっていてもよく、洗浄工程Bを複数回行う場合においても同様である。
【0038】
洗浄工程A:混合槽を、染料(b)の溶解度が1.0g/100mL以上である第1の有機溶剤で洗浄し、洗浄液を混合槽から排出する工程
洗浄工程B:混合槽を、染料(b)の溶解度が1.0g/100mL未満である第2の有機溶剤で洗浄し、洗浄液を混合槽から排出する工程
【0039】
ここで、本明細書において「染料(b)の溶解度」とは、25℃において有機溶剤に対する染料(b)の溶解性を測定した値であり、例えば、染料を有機溶剤に添加して一定時間撹拌後、濾過して濾紙に不溶物が残存した場合に、その質量を測定することにより測定することができる。なお、染料(b)は着色組成物の調製に使用された染料であり、複数の染料を用いた場合には、いずれか一の染料の溶解度が上記要件を満たす有機溶剤を選択すればよい。
【0040】
中でも、複数回行う洗浄工程としては、汚染及び異物欠陥を高水準で抑制する観点から、下記の(i)又は(ii)が好ましく、(ii)が更に好ましい。
【0041】
(i)混合槽を、染料(b)の溶解度が1.0g/100mL以上である第1の有機溶剤で洗浄し、洗浄液を混合槽から排出する洗浄工程Aと、
混合槽を、染料(b)の溶解度が1.0g/100mL未満である第2の有機溶剤で洗浄し、洗浄液を混合槽から排出する洗浄工程B
を含む洗浄工程。
(ii)混合槽を、染料(b)の溶解度が1.0g/100mL未満である第2の有機溶剤で洗浄し、洗浄液を混合槽から排出する洗浄工程Bと、
混合槽を、染料(b)の溶解度が1.0g/100mL以上である第1の有機溶剤で洗浄し、洗浄液を混合槽から排出する洗浄工程Aと、
混合槽を、染料(b)の溶解度が1.0g/100mL未満である第2の有機溶剤で洗浄し、洗浄液を混合槽から排出する洗浄工程B
を含む洗浄工程。
【0042】
洗浄工程Aで使用する第1の有機溶媒としては、染料(b)の溶解度が1.0g/100mL以上であれば特に限定されないが、例えば、グリコールエーテル、乳酸アルキルエステル、ケトアルコール、アルキルアルコール、アミド等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。
グリコールエーテルとしては、例えば、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられ、ケトアルコールとしては、例えば、ジアセトンアルコール、アセトール、アセトイン、アセトエチルアルコール等が挙げられる。アルキルアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール等が挙げられ、アミドとしては、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
中でも、第1の有機溶媒としては、染料の溶解性に優れる点で、3−メトキシブタノール、乳酸メチル、乳酸エチル、ジアセトンアルコール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0043】
第1の有機溶剤中の3−メトキシブタノール、乳酸メチル、乳酸エチル、ジアセトンアルコール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルの合計含有量は、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましく80〜100質量%である。
【0044】
洗浄工程Bで使用する第2の有機溶媒としては、染料(b)の溶解度が1.0g/100mL未満であれば特に限定されないが、例えば、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ケトン等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。
(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等を挙げることができる。ケトンとしては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
中でも、第2の有機溶媒としては、洗浄作業の効率化の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート及びシクロヘキサノンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0045】
第2の有機溶剤中の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート及びシクロヘキサノンの合計含有量は、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましく80〜100質量%である。
【0046】
有機溶剤の使用量は、着色組成物の製造スケールにより一様ではないが、着色組成物の質量に対して、好ましくは5〜100質量%、より好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは15〜40質量%である。なお、複数回行う洗浄工程のうち、各工程における有機溶剤の使用量は適宜選択することができるが、略同一とすることが洗浄効率の観点から好ましい。
【0047】
このようにして清浄な混合槽とすることができるが、洗浄工程後、混合槽内にエアを噴射して乾燥することもできる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0049】
<バインダー樹脂の合成>
合成例1
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mwが12,200、Mnが6,500であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(d−1)」とする。
【0050】
<顔料分散液の調製>
調製例1
顔料(a)としてC.I.ピグメントブルー15:6を13質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー社製、固形分濃度40質量%)を12.5質量部、バインダー樹脂(B−1)溶液(固形分濃度33質量%)を15.2質量部及び溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート59.3質量部を混合し、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(A−1−1)を調製した。
【0051】
調製例2〜3
調製例1において、顔料(a)の種類を表1に示すように変更した以外は調製例1と同様にして、顔料分散液(A−1−2)及び(A−1−3)を調製した。なお「B15:6」はC.I.ピグメントブルー15:6、「R254」はC.I.ピグメントレッド254、「Y139」はC.I.ピグメントイエロー139をそれぞれ意味し、調製例3ではR254とY139を20/80(質量比)で混合したものを13質量部用いた。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例1
300L容の混合槽内で、3−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、染料(A−2−1)3質量部、及び染料(A−3−1)2質量部を撹拌混合し、更にバインダー樹脂としてバインダー樹脂(d−1)溶液(固形分濃度33質量%)を33質量部、重合性化合物として(e−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物37質量部(日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD DPHA)、光重合開始剤として、(f−1)2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製、商品名IRGACURE 907)3質量部、(f−2)オキシム系開始剤(ADEKA社製、商品名NCI−831)1.5質量部を加えて攪拌混合し、最後に顔料分散液(A−1−1)100質量部を加えて撹拌混合し、着色組成物(S−1)を85L調製した後、混合槽の排出ラインから着色組成物(S−1)を全量排出した。なお着色組成物(S−1)における固形分濃度が17.0%となるようにした。
次に、表3に示す工程(2)として、3−メトキシブタノール20kgを混合槽に投入して撹拌することにより混合槽内を洗浄した後、洗浄液を混合槽の排出ラインから全量排出した。次に、表3に示す工程(3)として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20kgを混合槽に投入して撹拌することにより混合槽内を洗浄した後、洗浄液を混合槽の排出ラインから全量排出した。
【0054】
<洗浄試験>
−評価1−
最後に排出した洗浄液を目視観察した。洗浄液が無色透明且つ異物が観察されなかった場合を「◎」、極僅かに着色しているが、異物が観察されなかった場合を「○」、着色が認められ且つ異物が観察された場合を「×」として評価した。評価結果を表3に示す。
【0055】
−評価2−
洗浄後の混合槽を用いて、着色組成物(W−1)を85L調製した。なお、着色組成物(W−1)は、着色組成物(S−1)において染料を含まないこと以外は着色組成物(S−1)と同様にして調製した着色組成物である。
着色組成物(W−1)を10cm角ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで100秒間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。作製した基板を電子顕微鏡で観察し、基板上の異物が0個であった場合を「◎」、異物が1個以上5個未満であった場合を「○」、5個以上であった場合を「×」として評価した。評価結果を表3に示す。
【0056】
実施例2〜11及び比較例1〜10
実施例1において、着色組成物の配合成分を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、着色組成物(S−2)〜(S−6)を調製した。そして、実施例1と同様にして調製した85Lの着色組成物を全量抜き取った。なお着色組成物(S−2)〜(S−6)は、参考例1において用いた各成分の種類及び量を表2に示すように変更した以外は参考例1と同様にして調製した。
【0057】
【表2】
【0058】
表2中の各成分は、以下の通りである。
【0059】
【化1】
【0060】
・A−3−1:Solvent Blue70(フタロシアニン染料)
・A−3−2:Valifast Orange 3209(モノアゾ染料、オリエント化学工業社製)
・PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・MB :3−メトキシブタノール
・ML :乳酸メチル
・DAA :ジアセトンアルコール
・e−1 :ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物
・f−1 :2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASF社製、商品名IRGACURE907)
・f−2 :ADEKA社製NCI−831
・f−3 :ADEKA社製NCI−930
【0061】
<洗浄試験>
−評価1−
実施例1の洗浄工程において、工程(2)及び工程(3)に代えて、表3に示す工程(1)から工程(4)まで順に行ったこと以外は、実施例1と同様にして評価1を行った。評価結果を表3に示す。なお、表3中の工程(1)から工程(4)において、表中の記号は有機溶剤の種類を示し、空欄のものはその工程を行なわなかったことを意味する。また、評価1は、工程(1)から工程(4)のうちの最後の工程で排出した洗浄液について評価するものとする。
【0062】
−評価2−
洗浄後の混合槽を用いて、表3に記載の着色組成物(W―1)〜(W−6)を調製し、実施例1と同様にして着色組成物(W―1)〜(W−6)について評価2を行った。評価結果を表3に示す。なお、評価1の結果が「×」のものは、「洗浄不良」であるため、評価2を断念した。
また、着色組成物(S−1)〜(S−6)に用いる染料について、工程(1)〜(4)で使用した有機溶剤に対する溶解度(25℃)を測定し、1.0g/100mL以上である場合を「○」、1.0g/100mL未満である場合を「×」として、その測定結果を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】
表3中の工程(1)〜(4)において使用した有機溶剤は、以下の通りである。
・CHN :シクロヘキサノン
・ML :乳酸メチル
・MB :3−メトキシブタノール
・DAA :ジアセトンアルコール
・PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・PGEE :プロピレングリコールモノエチルエーテル