特許第6844218号(P6844218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6844218ゴルフボールの製造方法及びゴルフボール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844218
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】ゴルフボールの製造方法及びゴルフボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 45/00 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   A63B45/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-228494(P2016-228494)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-113535(P2017-113535A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】14/757,462
(32)【優先日】2015年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 雄宣
(72)【発明者】
【氏名】永沢 裕之
(72)【発明者】
【氏名】田島 佳奈映
(72)【発明者】
【氏名】山邊 将大
【審査官】 目黒 大地
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4051374(JP,B2)
【文献】 特開2002−143349(JP,A)
【文献】 特開2001−334306(JP,A)
【文献】 特表2004−521777(JP,A)
【文献】 特許第3494441(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0323512(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102266658(CN,A)
【文献】 特開2011−156743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B37/00−47/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアに1層以上のカバーを有し、該カバーの最外層が、ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合物の群から選ばれる熱可塑性材料により成形されるゴルフボールの製造方法であって、少なくとも下記の工程(1)及び(2)を含むことを特徴とするゴルフボールの製造方法。
(1)カバーの表面をイソシアネート化合物により処理する工程
(2)カバーの表面に対して水を噴射させる際の温度5〜60℃及び吐出圧力3〜8MPaで噴射させることにより、上記イソシアネート化合物のうち過剰なイソシアネート化合物を10〜30秒の時間で洗浄し、物理的に除去する工程
【請求項2】
上記工程(1)において、上記イソシアネート化合物が、下記の群から選ばれる1種又は2種以上の混合物である請求項1記載のゴルフボールの製造方法。
〈イソシアネート化合物の選択群〉
トリレン−2,6−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレン、イソホロンジイソシアネート(異性体混合物を含む)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、及びこれらの誘導体、並びに上記イソシアネート化合物から形成されるプレポリマーからなる群
【請求項3】
上記工程(1)において、上記イソシアネート化合物がポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)である請求項2記載のゴルフボールの製造方法。
【請求項4】
コアに1層以上のカバーを有し、該カバーの最外層が、ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合物の群から選ばれる熱可塑性材料により成形されるゴルフボールであって、成形された上記最外層の表面がイソシアネート化合物により処理されるものであり、該最外層の外側部位(最外層の表面からコア中心に向かって100μm離れた領域までの部位)において、FT−IRのATR法で測定される赤外吸収スペクトルを吸光度表示したとき、波数1512cm-1付近、波数2280cm-1付近及び波数2840cm-1付近の吸光度ピーク高さをP1,Q1,R1とそれぞれ定義した場合、Q1/R1の値がP1よりも大きくなることを特徴とするゴルフボール。
【請求項5】
上記のQ1/R1の値が0.3以上となる請求項4記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記のQ1/R1の値が0.4以上となる請求項4記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性材料からなるカバーを有するゴルフボールを製造するに際して、熱可塑性材料により成形されたカバーの表面に、特定の処理を施すことにより優れた耐擦過傷性やスピン特性を有し、ボール外観が良好であるゴルフボールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフボールのカバー材料としてポリウレタン材料を用いることが注目されている。ポリウレタン材料は成形物の成形方法の観点から、熱硬化性ポリウレタン材料と熱可塑性ポリウレタン材料に大きく分けられている。
【0003】
しかしながら、熱硬化性ポリウレタン材料の成形物は、加熱による可塑性がないために、原料及び成形品のリサイクルを行うことはできない。また、熱硬化性ポリウレタン材料の成形物は、加熱硬化工程及び冷却工程が長時間であること、原料の加熱反応性が高く不安定なため、成形時間のコントロールが非常に困難であることから、ゴルフボールカバーのような特殊な成形物(芯材の周囲に被覆する成形物)に適用した場合の生産性は効率的ではないとされる。
【0004】
一方、後者の熱可塑性ポリウレタン材料の成形物は、直接原料を反応させて成形物を得るのではなく、前述の熱硬化性ポリウレタン材料とはやや異なった原料と製造法を用いることで合成された線状ポリウレタン材料が成形に用いられる。このようなポリウレタン材料は熱可塑性があり、熱可塑化したポリウレタン材料は冷却することで固まる性質を持つ。よって、このようなポリウレタン材料は射出成形機を用いた成形が可能である。熱可塑性ポリウレタン材料の射出成形は成形時間が熱硬化性ポリウレタン材料の成形時間に比べて非常に短く、また精密成形に適しており、ゴルフボールカバーの成形法として最適である。また、熱可塑性ポリウレタン材料はリサイクルが可能であり地球環境にも優しい。
【0005】
特開2002−336378号公報には、熱可塑性ポリウレタン材料とイソシアネート混合物からなるカバー材を用いたゴルフボールが記載され、当該カバー材はリサイクル可能であり、かつ反発性が高く、しかも耐擦過傷性に優れた熱可塑性ポリウレタン材料である。このカバー材は、熱可塑性ポリウレタンの生産性の良さと熱硬化性ポリウレタン並みの物性発現の両立を達成せしめると同時にイソシアネート化合物の可塑化効果により熱可塑性ポリウレタン材料の流動性を向上させ、生産性も向上させることができるという点で優れた手法である。しかし、上記の手法では、イソシアネート混合物を成型機内に直接投入することによる焼け異物の発生や、ドライブレンドという手法を用いるために配合比率にバラツキがあり、均一性が良くなく、成形の不安定さを引き起こすという問題を生じると同時に、イソシアネート混合物中のイソシアネート化合物と、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂との組成比が決まっているため、添加したいイソシアネート化合物の量及び熱可塑性樹脂の量、更には種類を自由に選択することは困難であった。
【0006】
また、特許第5212599号公報には、反発性が高く、スピン性能、耐擦過傷性に優れるものであり、かつ流動性が高く、生産性が高いゴルフボールが記載されているが、用いられる熱可塑性ポリウレタン材料は特殊な樹脂混合物であり、該樹脂混合物の生産、供給及びコスト面に課題がある。また、イソシアネート基が未反応状態で残存する材料を射出成型機内及びその付帯設備に投入することになるので、イソシアネート成分の付着による焼き付き、固化等不良率を増加させる要因となり得る不都合があった。
【0007】
更に、特許第3494441号公報には、熱可塑性樹脂からなるカバーを有するゴルフボールのカバー表面層に改質処理を施すことにより優れた特性を有するカバーが得られる技術が提案されている。しかし、成形性に優れる熱可塑性材料でカバーを成形した後、物性を改質することができて優れた手法ではあるが、耐擦過傷性改良の程度や改質後のゴルフボール特性として改善の余地があった。特に、イソシアネート化合物としてMDIを選択した場合、MDIを処理に適した溶融液状態にするためには、凝固点(約39℃)以上に保つ必要がある。また、MDIの場合、ダイマー(二量体)の生成にも注意する必要があり、即ち、ダイマーの生成は一般に温度が高くなると早くなるため、安定した生産性を保つためには緻密な温度制御が必要であり煩雑を要する。更に、ゴルフボールの一部にアイオノマー材料を使用している場合、高い温度で処理した際に変形や物性の変化を引き起こしてしまう可能性もある。
【0008】
また、特許第4051374号公報には、高いメルトインデックスを持つ熱可塑性ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合材料により製造されたゴルフボールの製造方法が記載されている。具体的には、ベース熱可塑性ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合材料を得るステップと、このベース樹脂材料のメルトインデックスを増加させるステップ、このメルトインデックスが増加した熱可塑性ポリウレタン材料をモールド成型するステップ、次にイソシアネート溶液のような2次的硬化剤により処理されるステップが記載されている。上記技術の手法は、イソシアネート成分によりカバー材料を架橋することによって、柔らかい感触のようなカバーとして望ましい他の特徴を維持しつつ、耐損傷抵抗を与えることができる優れた手法であるが、2次的硬化剤中にカバー材料を膨潤させ得る有機溶剤を含んだ場合、処理条件によっては数ミクロンレベルでのディンプル形状の変形を引き起こし、飛び性能に悪影響を及ぼし、或いは、成形時に発生したカバー材界面に溶剤が入り込むことにより、外観悪化を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−336378号公報
【特許文献2】特許第5212599号公報
【特許文献3】特許第3494441号公報
【特許文献4】特許第4051374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来のゴルフボールに比べて、より一層、優れた耐擦過傷性やスピン特性、及びボール外観等が得られるゴルフボールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、先に出願した米国特許出願第14/729,207号明細書において、コアに1層以上のカバーを成形するゴルフボールの製造方法において、該カバーの最外層を、ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合物の群から選ばれる熱可塑性材料により成形し、その後、上記カバーの表面を、有機溶剤を含まないイソシアネート化合物により処理するゴルフボールの製造方法を提案した。但し、この提案の発明においては、射出成形後に、カバーの表面処理後の膨潤によるサポートピン痕跡が残る点については、未だなお改善の余地があった。
【0012】
その後、本発明者らは、上記提案のゴルフボールの製造方法について、更に改良を重ねた結果、上記のイソシアネート化合物により処理されたカバーの最外層に対して、水,アルコール,ドライアイス,エアー及び各種研磨石などの物質を高圧に噴射させて、カバーの最外層に存在する過剰なイソシアネート化合物を物理的に洗浄及び除去することにより、その結果、製造されたボールが、耐擦過傷性に優れ、ドライバー(W#1)打撃時での低スピン性能を良好に維持し、飛び性能が良好であると共に、金型による射出成形後のピン痕跡が残ることがなくボール外観が損なわれないことを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0013】
従って、本発明は、下記のゴルフボールの製造方法及びゴルフボールを提供する。
1.コアに1層以上のカバーを有し、該カバーの最外層が、ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合物の群から選ばれる熱可塑性材料により成形されるゴルフボールの製造方法であって、少なくとも下記の工程(1)及び(2)を含むことを特徴とするゴルフボールの製造方法。
(1)カバーの表面をイソシアネート化合物により処理する工程
(2)カバーの表面に対して水を噴射させる際の温度5〜60℃及び吐出圧力3〜8MPaで噴射させることにより、上記イソシアネート化合物のうち過剰なイソシアネート化合物を10〜30秒の時間で洗浄し、物理的に除去する工程
2.上記工程(1)において、上記イソシアネート化合物が、下記の群から選ばれる1種又は2種以上の混合物である上記1記載のゴルフボールの製造方法。
〈イソシアネート化合物の選択群〉
トリレン−2,6−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレン、イソホロンジイソシアネート(異性体混合物を含む)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、及びこれらの誘導体、並びに上記イソシアネート化合物から形成されるプレポリマーからなる群
3.上記工程(1)において、上記イソシアネート化合物がポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)である上記2記載のゴルフボールの製造方法。
4.コアに1層以上のカバーを有し、該カバーの最外層が、ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合物の群から選ばれる熱可塑性材料により成形されるゴルフボールであって、成形された上記最外層の表面がイソシアネート化合物により処理されるものであり、該最外層の外側部位(最外層の表面からコア中心に向かって100μm離れた領域までの部位)において、FT−IRのATR法で測定される赤外吸収スペクトルを吸光度表示したとき、波数1512cm-1付近、波数2280cm-1付近及び波数2840cm-1付近の吸光度ピーク高さをP1,Q1,R1とそれぞれ定義した場合、Q1/R1の値がP1よりも大きくなることを特徴とするゴルフボール。
5.上記のQ1/R1の値が0.3以上となる上記4記載のゴルフボール。
6.上記のQ1/R1の値が0.4以上となる上記4記載のゴルフボール。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法により製造されたボールは、耐擦過傷性に優れ、ドライバー(W#1)打撃時での低スピン性能を良好に維持し、飛び性能が良好であると共に、金型による射出成形後のピン痕跡が残ることがなくボール外観が損なわれない優位な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】カバーの最外層の所定部位における、FT−IRのATR法で測定される赤外吸収スペクトル(吸光度表示)チャートの一例を示すデータ図である。
図2図1の赤外吸収スペクトルチャートを部分的に拡大したデータ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明の製造方法は、コアに1層以上のカバーを成形するゴルフボールの製造方法において、該カバーの最外層を、ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合物の群から選ばれる熱可塑性材料により成形するものである。
【0017】
本発明では、カバーの各層のうち最外層を、ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合物の群から選ばれる熱可塑性材料により成形するものである。この場合、ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合物がカバー樹脂組成物全体に占める割合は、特に制限されるものではないが、50質量%以上、好ましくは80質量%以上とすることができる。上記のポリウレタン又はポリウレアについて以下に説明する。
【0018】
ポリウレタン
熱可塑性ポリウレタン材料の構造は、長鎖ポリオールである高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、ハードセグメントを構成する鎖延長剤及びポリイソシアネートからなる。ここで、原料となる高分子ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。ポリエステル系ポリオールとしては、具体的には、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジペートグリコール、ポリブタジエンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール等のアジペート系ポリオールやポリカプロラクトンポリオール等のラクトン系ポリオールを採用することができる。ポリエーテル系ポリオールとしては、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)及びポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
これらの長鎖ポリオールの数平均分子量は、500〜5,000の範囲内であることが好ましい。かかる数平均分子量を有する長鎖ポリオールを使用することにより、上記した反発性や生産性などの種々の特性に優れた熱可塑性ポリウレタン組成物からなるゴルフボールを確実に得ることができる。長鎖ポリオールの数平均分子量は、1,500〜4,000の範囲内であることがより好ましく、1,700〜3,500の範囲内であることが更に好ましい。
【0020】
なお、上記の数平均分子量とは、JIS−K1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である(以下、同様。)。
【0021】
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限されるものではない。本発明では、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有し、かつ分子量が2,000以下である低分子化合物を用いることができ、その中でも炭素数2〜12の脂肪族ジオールを好適に用いることができる。具体的には、1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等を挙げることができ、その中でも特に1,4−ブチレングリコールを好適に使用することができる。
【0022】
ポリイソシアネートとしては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はない。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。但し、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。
【0023】
なお、必須成分ではないが、熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性樹脂又はエラストマーを配合することができる。具体的には、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレンブロックエラストマー、水添スチレンブタジエンゴム、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体又はその変性物、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体又はその変性物、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体又はその変性物、ABS樹脂、ポリアセタール、ポリエチレン及びナイロン樹脂から選ばれ、その1種又は2種以上を用いることができる。特に、生産性を良好に維持しつつ、イソシアネート基との反応により、反発性や耐擦過傷性が向上することなどの理由から、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー及びポリアセタールを採用することが好適である。上記成分を配合する場合、その配合量は、カバー材の硬度の調整、反発性の改良、流動性の改良、接着性の改良などに応じて適宜選択され、特に制限されるものではないが、熱可塑性ポリウレタン成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上とすることができる。また、配合量の上限も特に制限されないが、熱可塑性ポリウレタン成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは75質量部以下、更に好ましくは50質量部以下とすることができる。
【0024】
また、上記ポリウレタン形成反応における活性水素原子:イソシアネート基の配合比は、上記した反発性、スピン性能、耐擦過傷性及び生産性などの種々の特性がより優れた熱可塑性ポリウレタン組成物からなるゴルフボールを得ることができるよう、好ましい範囲にて調整することができる。具体的には、上記の長鎖ポリオール、ポリイソシアネート化合物及び鎖延長剤を反応させて熱可塑性ポリウレタンを製造するに当たり、長鎖ポリオールと鎖延長剤とが有する活性水素原子1モルに対して、ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基が0.95〜1.05モルとなる割合で各成分を使用することが好ましい。
【0025】
熱可塑性ポリウレタンの製造方法は特に限定されず、公知のウレタン化反応を利用して、プレポリマー法、ワンショット法のいずれで製造してもよい。
【0026】
上述した熱可塑性ポリウレタン材料としては、市販品を好適に用いることができ、例えば、ディーアイシーバイエルポリマー社製の商品名「パンデックス」や、大日精化工業社製の商品名「レザミン」などを挙げることができる。
【0027】
ポリウレア
ポリウレアは、(i)イソシアネートと(ii)アミン末端化合物との反応により生成するウレア結合を主体にした樹脂組成物である。この樹脂組成物について、以下に詳述する。
【0028】
(i)イソシアネート
イソシアネートは、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はなく、上記ポリウレタン材料で説明したものと同様のものを用いることができる。
【0029】
(ii)アミン末端化合物
アミン末端化合物は、分子鎖の末端にアミノ基を有する化合物であり、本発明では、以下に示す長鎖ポリアミン及び/又はアミン系硬化剤を用いることができる。
【0030】
長鎖ポリアミンは、イソシアネート基と反応し得るアミノ基を分子中に2個以上有し、かつ数平均分子量が1,000〜5,000であるアミン化合物である。本発明では、より好ましい数平均分子量は1,500〜4,000であり、更に好ましくは1,900〜3,000である。この平均分子量の範囲であれば、反発性及び生産性等がより一層優れるものとなる。上記長鎖ポリアミンの具体例としては、アミン末端を持つ炭化水素、アミン末端を持つポリエーテル、アミン末端を持つポリエステル、アミン末端を持つポリカーボネート、アミン末端を持つポリカプロラクトン、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの長鎖ポリアミンは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
一方、アミン系硬化剤は、イソシアネート基と反応し得るアミノ基を分子中に2個以上有し、かつ数平均分子量が1,000未満であるアミン化合物である。本発明では、より好ましい数平均分子量は800未満であり、更に好ましくは600未満である。上記アミン系硬化剤の具体例としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン、テトラヒドロキシプロピレンエチレンジアミン、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンの誘導体、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン)、1,3−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン)、ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピレントリアミン、イミド−ビス−プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、イソホロンジアミン、4,4’−メチレンビス−(2−クロロアニリン)、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチルチオ−2,6−トルエンジアミン、4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン及びその誘導体、1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、N,N’−ジアルキルアミノ−ジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、4,4’−メチレンビス−(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン)、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジエチルアニリン)、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらのアミン系硬化剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
(iii)ポリオール
ポリウレアには、必須成分ではないが、上述した(i)成分及び(ii)成分に加えて更にポリオールを配合することができる。本発明では、このポリオールとして、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はないが、具体例として、以下に示す長鎖ポリオール及び/又はポリオール系硬化剤を例示することができる。
【0033】
長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
上記長鎖ポリオールの数平均分子量は、500〜5,000であることが好ましく、より好ましくは1,700〜3,500である。この平均分子量の範囲であれば、反発性及び生産性等がより一層優れるものとなる。
【0035】
ポリオール系硬化剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限されるものではない。本発明では、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有し、かつ分子量が1,000未満である低分子化合物を用いることができ、その中でも炭素数2〜12の脂肪族ジオールを好適に用いることができる。具体的には、1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等を挙げることができ、その中でも特に1,4−ブチレングリコールを好適に使用することができる。また、上記ポリオール系硬化剤の好ましい数平均分子量は800未満であり、より好ましくは600未満である。
【0036】
上記ポリウレタン及びポリウレアには、必要に応じて、更に種々の添加剤を配合することができ、例えば、顔料、無機充填剤、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
【0037】
上記ポリウレアの製造方法については、公知の方法を採用し得、プレポリマー法、ワンショット法等の公知の方法を適宜選択すればよい。
【0038】
上記ポリウレタン及びポリウレアを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、射出成形機に上述の材料を供給し、コアの周囲に射出する方法を採用することができる。この場合、成形温度は、配合等によって異なるが、通常150〜270℃の範囲である。
【0039】
工程(1)イソシアネート化合物により処理する工程
本発明の製造方法においては、上記により成形されたカバー最外層の表面を、イソシアネート化合物により処理する工程を有する。この処理方法について以下に説明する。
【0040】
上記の処理方法は、イソシアネート化合物を用いるものであるが、有機溶剤を含まないイソシアネート化合物を使用することが好適である。ここで、上記イソシアネート化合物としては、特に制限はないが、以下の選択群から選ばれる。
【0041】
〈イソシアネート化合物の選択群〉
トリレン−2,6−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレン、イソホロンジイソシアネート(異性体混合物を含む)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、及びこれらの誘導体、並びに上記イソシアネート化合物から形成されるプレポリマーからなる群
【0042】
上記イソシアネート化合物としては、芳香族系イソシアネート化合物を使用することが好適であり、特に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(モノメリック(ピュア)MDI)とポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)が好適に用いられる。芳香族系イソシアネート化合物を本発明に用いる場合、熱可塑性樹脂中の反応性基との反応性に富むため、本発明の効果を良好に得ることができる。更に、ポリメリックMDIは、イソシアネート基の数がモノメリックMDIよりも多いため、架橋形成による耐擦過傷性改良効果が大きくなり、また、常温で液体状であるため、取り扱い性に優れる点から好適に採用される。但し、ポリメリックMDIは、一般的には暗褐色の外観を有しており、被処理材であるカバー材料の着色汚染が懸念される。この着色は、ポリメリックMDIを有機溶剤に溶解した溶液状態で処理した際に顕著に表れるため、本発明では、この着色の懸念からも有機溶剤を含まない状態での使用が好適である。また、ポリメリックMDIとしては市販品を好適に用いることができ、例えば、住化バイエルウレタン(株)製のスミジュールp-MDI 44V20L、44V10、44V40、SBUイソシアネート J243、Bayer Material Science社製のMONDUR MR Light、DOW社製のPAPI27、東ソー(株)製のミリオネートMR−100、MR−200、MR−400、BASF INOAC ポリウレタン(株)製のルプラネート M20S、M11S、M5Sなどを挙げることができる。
【0043】
なお、本発明においてポリメリックMDIによる着色低減方法として、例えば、特許第4114198号公報や特許第4247735号公報等に記載される事前処理を好適に採用し得る。上記の特許文献記載のような手法を採択しても良いが、これらに限定されるものではない。このような事前処理を行い、処理後に適切な洗浄を行えば、着色汚染はほとんど発生しないものである。
【0044】
上記のイソシアネート化合物による表面処理方法としては、浸漬法、塗装法(スプレー法)、熱や圧力を掛けた浸透法、滴下法などを好適に採用することができ、特に、浸漬法、塗装法又は滴下法が工程管理や生産性の観点から好ましい。浸漬法による処理時間については、1〜180分とすることが好適であり、より好ましくは10〜120分、更に好ましくは20〜90分である。上記の処理時間が短すぎると、十分な架橋効果が得られ難くなり、長すぎると、過剰なイソシアネート化合物によりカバー表面の変色が大きくなる可能性がある。また処理時間が長くなることで、生産のリードタイムが長くなるため生産性の観点からあまり好ましくない。上記の処理時の温度については、生産性の観点から安定した溶融液体状態を保ち、また、反応性を安定に保てるような温度領域に制御することが好適であり、具体的には、10〜80℃であることが好ましく、より好ましくは15〜70℃、更に好ましくは20〜60℃である。処理温度が低すぎる場合、カバー材への浸透・拡散又は表層界面部での反応性が十分でなくなり、所望の物性が得られない場合がある。処理温度が高すぎる場合、カバー材への浸透・拡散又は表層界面部での反応性が高くなり、過剰なイソシアネート化合物によってカバー表面の変色が大きくなる可能性がある。また、ディンプル形状を含む外観の変化やゴルフボールの一部にアイオノマー系材料が使用されている場合には、物性変化を引き起こす可能性がある。上記の好適な範囲の処理時間及び処理温度で処理を行うことにより、生産性を損なうことなく、十分な架橋効果を得、所望の物性を得ることができる。
【0045】
また、反応性を制御し、より耐擦過傷性に優れ、スピン性能に優れたゴルフボールを得るためには、イソシアネート化合物の処理剤又は被処理材であるカバー材料に、触媒やイソシアネート基と反応性を有する官能基を2個又は3個以上含む化合物を予め含有しておくことができる。上記の化合物の含有の方法については、イソシアネート化合物の処理剤の溶融液体処理剤中に分散状態で混合する方法や、被処理材(カバー材)である熱可塑性樹脂中に単軸又は二軸押出機等の混練機を用いて混合することもでき、或いは、射出成型機に各成分をドライブレンド状態で投入しても良い。この場合、投入の際には、化合物単体で投入しても良いし、予め適当なベース材料を用いてマスターバッチの状態にしておいても良い。
【0046】
なお、上記のイソシアネート化合物による表面処理の事前処理として、乾燥処理を行うこともできる。即ち、ポリウレタン、ポリウレア及びこれらの混合物を有する熱可塑性材料により成形されたカバーの処理に際し、カバー材に含有される水分を除去し、処理後の物性安定化や処理溶液の長寿命化のため、必要に応じて、事前に乾燥処理等を実施することが好適であるが、必ずしもその限りではない。乾燥処理としては、温風乾燥、真空乾燥等の一般的な手法を用いれば良い。これらの表面処理の事前処理については、特にアイオノマー系材料をその一部に含有するゴルフボールの場合、変形や物性変化を引き起こさない範囲での処理を施すことが望ましい。この事前処理において、温風乾燥を施す場合、特に制限はないが、温度は15〜60℃、好ましくは20〜55℃、時間は好ましくは10〜180分、より好ましくは15〜120分、更に好ましくは30〜60分の条件で設定することが好適である。乾燥条件は、カバー材中の含有水分量との相関において適宜選定しても良く、カバー材中の含有水分量が5,000ppm以下となるように調整することが好適であり、より好ましくは3,500ppm以下、更に好ましくは2,500ppm以下、最も好ましくは1,000ppm以下となるように調整することである。
【0047】
工程(2)洗浄工程
次に、カバーの表面に対して特定物質を高圧に噴射させて、上記イソシアネート化合物のうち過剰なイソシアネート化合物を洗浄し、物理的に除去する。これにより、イソシアネート化合物による表面処理後におけるカバー最外層に過剰のイソシアネート化合物を除去するが、カバー最外層内部に含浸して存在するイソシアネート化合物を隅々に亘るまで完全に除去するものではなく、前工程である、イソシアネート化合物による表面処理の効果を十分に発揮させることができる。即ち、ボールの耐擦過傷性が向上し得、ドライバー(W#1)ショット時のスピン量を十分に低減化させて、十分な飛距離を獲得することが可能である。
【0048】
上記の洗浄工程において、高圧に噴射させる特定物質としては、特に制限はないが、例えば水、アルコールのような常温で液体状の物質、砂、ビトリファイト研磨石、プラスチック研磨石、アルミナ系研磨石、有機質研磨石及び金属系研磨石のような固体状の物質、通常のエアー等の気体状物質や常温で固体状態から気体状態に昇華するドライアイスのような物質の群から選ばれる少なくとも1種類、又はこれらの混合物であることが好適である。
【0049】
上記の洗浄工程において、特定物質を噴射させる際の吐出圧力は高圧となるように設定される。具体的には、吐出圧力は、3MPa以上であることが好ましく、より好ましくは6MPa以上、更に好ましくは8MPa以上である。
【0050】
噴射させる特定物質が水やアルコールの場合、過剰に除去せず残存するイソシアネート(NCO基)が増えることとなり、イソシアネート化合物による表面処理の温度を低くしたり、処理時間の短縮が可能であることから、好適に採用される。また、後述するように、本来は、イソシアネート化合物にとって水やアルコールは接触が禁忌とされているところ、水やアルコールを意図的に使うことに発明の意義がある。この水やアルコールを使用する場合、高圧洗浄機の吐出水量は、180L/h以上であることが好ましく、より好ましくは300L/h以上、更に好ましくは400L/h以上である。
【0051】
また、上記の洗浄工程において、特定物質を噴射させる際の温度は、特に制限はないが、5℃以上であることが好ましく、より好ましくは10〜80℃、更に好ましくは15〜60℃である。また、洗浄時間は、特に制限はないが、10秒以上であることが好ましく、より好ましくは15〜30秒である。
【0052】
高圧洗浄機としては、例えば、KARCHER社、RYOBI社、アイリスオーヤマ社、HIDAKA社、HITACHI社製などの市販の高圧洗浄機が例示される。
【0053】
本発明では、上記の洗浄工程を採用することにより、下記の作用効果を有する。
(i)イソシアネート化合物を溶解し、イソシアネート化合物と反応し得る反応基を有さない有機溶剤による洗浄の場合、カバー最外層のポリウレタンを膨潤させる可能性があり、また、内部に含浸したイソシアネート化合物まで除去される可能性がある。水とアルコールはイソシアネートと反応する反応基を有しており、反応固化してしまうため接触が厳禁とされていた。しかし、本発明では、イソシアネート化合物を過剰に除去しないので耐擦過傷性が向上し得ると共に、ドライバー(W#1)ショット時のスピン量を十分に低減化させることができる。
(ii)上記の洗浄工程は、多工程や多量の材料等を必要とすることなく比較的安価で行うことができ、材料コスト、設備コスト等の経済的にコスト低減になる
(iii)上記の洗浄工程は、ポリウレタンを膨潤させ、イソシアネート化合物を溶解し、イソシアネート化合物と反応し得る反応基を有さない有機溶剤を使用せず、水や比較的安全であるアルコールを使用するため環境にやさしい。
(iv)イソシアネート化合物は、水やアルコールと容易に反応し固化と同時に二酸化炭素を発生させるため、通常、水やアルコールとの接触は禁忌とされている。しかし、本発明の製造方法では、高圧洗浄することにより、イソシアネート化合物が大量の洗浄溶液中に微分散する形になり、比較的安全に適用することが可能となる。また、水やアルコールは、洗浄後に洗浄溶液中にイソシアネート化合物を固化状態にするため、その固化物を容易に除去可能であり、このため洗浄溶液の再利用も可能である。
(v)表面処理後にポリウレタンを膨潤させ、イソシアネート化合物を溶解し、イソシアネート化合物と反応し得る反応基を有さない有機溶剤で洗浄する場合には、射出成形時に使用した複数のサポートピンによるピン痕跡がボール成形物に残り、ピン痕跡が膨潤してしまう問題があった。しかし、本発明の洗浄工程は、ポリウレタンを膨潤させ、イソシアネート化合物を溶解し、イソシアネート化合物と反応し得る反応基を有さない有機溶剤で洗浄するものではないので、サポートピンによるピン痕跡がボール成形物に残るようなことがなくボール外観を良好に保つことができる。
【0054】
上記のイソシアネート化合物による表面処理の後は、ポリウレタン、ポリウレアの熱可塑性材料とイソシアネート化合物との架橋反応を効果的に進行させ、物性・品質の向上や安定化、また、生産タクトの管理・短縮のために適切なキュア工程を設けることが好ましい。但し、イソシアネートは室温でも反応が進行するため、必ずしもキュア工程を設ける必要はない。キュア工程を設ける場合、その手法は、熱や圧力、触媒の存在下、架橋反応を進行させる手法を適宜選択することができる。具体的には、15〜150℃、24時間以内、好ましくは20〜100℃、12時間以内、更に好ましくは30〜70℃、6時間以内の適切な温度及び時間による加熱処理を行うことが好適である。
【0055】
上記のイソシアネート化合物による表面処理後のポリウレタン、ポリウレアの熱可塑性材料とイソシアネート化合物との架橋反応の進行度合いについては適切な手法により確認することができる。例えば、ATR法FT−IRを用いてキュア後のボール表面を測定することは有効である。
【0056】
具体的には、上記(1)及び(2)の工程により製造したゴルフボールのカバーの最外層の外側部位において、FT−IRのATR法で測定される赤外吸収スペクトルを吸光度表示したとき、波数1512cm-1付近、波数2280cm-1付近及び波数2840cm-1付近の吸光度ピーク高さをP1,Q1,R1とそれぞれ定義した場合、Q1/R1の値がP1よりも大きくなることが好適である。波数1512cm-1付近の吸光度ピーク高さP1は、ウレタン結合由来のアミド基(NHCO基)の変角振動の吸光度ピーク高さである。また、波数2280cm-1付近の吸光度ピーク高さは、イソシアネート基(NCO基)由来のピーク強度を表し、波数2840cm-1付近の吸光度ピーク高さは、CHの伸縮振動由来のピーク強度を表す。即ち、イソシアネート基(NCO基)由来のピーク強度がある程度高いことを示す。アセトン等の有機溶剤による洗浄に比べて、本発明で採用する洗浄方法の方が、カバー最外層内にイソシアネート基(NCO基)を多く残存させ、耐擦過傷性やスピン特性等のボールの諸物性を向上させることができる。
【0057】
ここで、FT−IRのATR法で測定される赤外吸収スペクトルを吸光度表示したチャートを図1に示す。また、図2は、図1の部分拡大チャートであり、図2に示すように、波数1494cm-1と1571cm-1との吸光度が0となるようにベースラインの補正を行い、補正後の吸光度ピーク高さとして、P1を求めるものである。吸光度ピーク高さを、ベースラインを基準として算出する理由は、測定する度に吸光度測定値のバラツキが生じるため是正する必要があるからである。また、測定データの精度を高めるには、測定回数(N回)を増やして測定を行い、相対標準偏差(%)(以下、「RSD」とも言う。)が3.0%以下になるように吸光度ピーク高さを求める。なお、相対標準偏差(%)は、下記の数式により表される。
相対標準偏差(%)=(標準偏差/平均値)×100
【0058】
また、上記のQ1/R1の値が、0.3以上であることが好ましく、より好ましくは0.4以上である。この範囲を逸脱すると、耐擦過傷性に劣り、ドライバー(W#1)打撃時での良好な低スピン性能が得られない。
【0059】
上記カバーの最外層の外側部位における、FT−IR分析については、塗装前のボール又は塗装後のボールであれば塗装を除去し、試料表面が十分に平滑になるよう作製し、ATR法又は顕微IRによるATR法にて測定する。ここで、上記の最外層の外側部位とは、最外層の表面だけでなく、該表面からコア中心に向かって100μm離れた領域までの部位を意味する。測定データの相対標準偏差が3.0%以下になるまで、測定回数(N回)を増やして測定を行う。また、架橋反応の進行が安定するまで、数日かかるため、処理後1週間程度経過したものを測定することが好ましい。また、測定方法等については、JIS K 0117に準じて行うことができる。
【0060】
上記カバーの最外層を成形する方法としては、例えば、射出成形機に上述の樹脂配合物を供給し、コアの周囲に溶融した樹脂配合物を射出することによりカバーの最外層を成形することができる。この場合、成形温度としては熱可塑性ポリウレタン等の種類によって異なるが、通常150〜270℃の範囲である。
【0061】
ゴルフボールを構成する1層以上のカバーにおいて、上記表面処理後のボール表面硬度としては、デュロメータD型硬度で、好ましくは30〜70、より好ましくは33〜65である。カバーの最外層の硬度が低すぎると、ドライバー打撃時のスピン量が多くなり飛距離が低下する場合がある。また、カバーの最外層の硬度が高すぎると、フィーリングが悪くなると共にウレタン素材の反発性能、耐久性能に劣る場合がある。
【0062】
なお、上記表面処理前の最外層の反発弾性率としては、特に制限はないが、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは45%以上である。カバーの最外層の反発弾性率が低すぎると、ゴルフボールの飛距離が大幅に低下する場合がある。また、カバーのうち最外層の反発弾性率が高すぎると100ヤード以内のコントロールを必要とするショットやパッティングで初速度が高くなりすぎ、ゴルファーのフィーリングに合わないことがある。なお、本発明において反発弾性率とは、JIS K7311に準拠した反発弾性率をいう。
【0063】
上記ゴルフボールに使用されるコアについては特に制限はなく、例えばツーピースボール用ソリッドコア、複数の加硫ゴム層を持つソリッドコア、複数の樹脂層を持つソリッドコア、糸ゴム層を有する糸巻きコアといった種々のコアが使用可能である。コアの外径、重量、硬度、材質等についても制限はない。
【0064】
また、上記ゴルフボールにおいて、カバーが2層以上の場合、即ち、最外層の内側に中間層を含む構成とする場合、かかる中間層の硬度、材質、厚み等にも特に制限はない。中間層と最外層と間の密着性改良のため、必要に応じてプライマー層を設けることや密着性又は接着性を改良するための一般的な公知技術を適用することができる。一般的な公知技術の例としては、例えば、プラズマ表面処理(マイクロ波プラズマ処理、高周波プラズマ処理、大気圧プラズマ処理等)、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、塩素処理、有機溶剤による表面拭取処理、シランカップリング剤塗布処理、ホーニング処理、化学的エッチング処理、物理的表面荒らし処理等が挙げられ、これらの処理を1種又は複数種組み合わせても良い。
【0065】
なお、上記カバーの最外層の厚さは0.1〜5.0mmの範囲とすることができ、好ましくは0.3〜3.0mmであり、より好ましくは0.5〜2.0mmである。カバーを2層以上の多層構造に形成する場合は、中間層の厚さは、特に制限されるものではないが、0.1〜5.0mmの範囲とすることができ、好ましくは0.3〜3.0mmであり、より好ましくは0.5〜2.0mmである。
【0066】
なお、ゴルフボールは、ゴルフ規則に従った直径及び重さに形成されることが好ましい。
【実施例】
【0067】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0068】
〔実施例1〜12、比較例1〜6〕
表1に示す配合により、全ての例に共通するコア用のゴム組成物を調製した後、155℃、15分間により加硫成形することにより直径36.3mmのコアを作製した。次に、同表に示す各種の樹脂材料を配合した、全ての例に共通するカバー(内側から順に包囲層、中間層)を射出成形法により順次被覆して中間球状物を得た。包囲層の厚みは1.3mm、材料硬度はショアD硬度で51であり、中間層の厚みは1.1mm、材料硬度はショアD硬度で62である。
【0069】
また、上記中間球状物には、全ての例に共通するカバーの最外層を射出成形法により被覆した。最外層の樹脂材料は表2に示す。最外層の厚みは0.8mmである。なお、特に図示してはいないが、最外層の外表面には多数のディンプルが射出成形と同時に形成された。
【0070】
【表1】
【0071】
上記コアの材料の詳細は下記のとおりである。表中の数字は質量部を示す。
「ポリブタジエンA」:JSR社製、商品名「BR01」
「ポリブタジエンB」:JSR社製、商品名「BR51」
「有機過酸化物」:ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」(日油社製)
「硫酸バリウム」:堺化学工業社製「沈降性硫酸バリウム100」
「酸化亜鉛」:堺化学工業社製
「アクリル酸亜鉛」:日本蒸留工業社製
「老化防止剤」:2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、商品名「ノクラックNS−6」(大内新興化学工業社製)
【0072】
カバー(包囲層、中間層)の材料の詳細は下記のとおりである。なお、表中の数字は質量部を示す。
「HPF1000」:Dupont社製のアイオノマー
「ハイミラン1605」:Na系アイオノマー、三井・デュポンポリケミカル社製
「ハイミラン1557」:Zn系アイオノマー、三井・デュポンポリケミカル社製
「ハイミラン1706」:Zn系アイオノマー、三井・デュポンポリケミカル社製
【0073】
【表2】
【0074】
カバー(最外層)の材料の詳細は下記のとおりである。なお、表中の数字は質量部を示す。
「T−8290」「T−8295」:DIC BayerPolymer社製の商標パンデックス、エーテルタイプ熱可塑性ポリウレタン
「ハイトレル4001」:東レデュポン社製、ポリエステルエラストマー
「ポリエチレンワックス」:三洋化成社製、商品名「サンワックス161P」
「酸化チタン」:石原産業社製「タイペークR680」
【0075】
浸漬処理
次に、各実施例、比較例の最外層の表面において、ポリメリックMDI、住化バイエルウレタン株式会社製の商品名「スミジュールp−MDI 44V20L」を用い、各実施例,比較例ごとに表面処理を行った。この表面処理は、(i)55℃、60分で事前加温、(ii)表3、表4、表5に示す温度及び時間による溶剤を用いないイソシアネート化合物単体によりボール全体が十分浸かるように浸漬処理した。
【0076】
洗浄工程
次に、各実施例の最外層の表面に対しては、表3、4に示す特定物質(洗浄溶液)を高圧に噴射させて過剰なイソシアネート化合物を洗浄し、物理的に除去する工程を行った。各実施例の洗浄工程の条件、即ち、洗浄溶液,洗浄方法,吐出圧力,吐出水量,洗浄溶液の温度及び洗浄時間の各項目については、表3、4に示した。なお、各実施例で使用する高圧噴射機は、KARCHER社製の「HD4/8C」を使用した。この高圧噴射機は、上記のイソシアネート化合物による浸漬処理を行ったゴルフボールを金属製の網で作られた籠(カゴ)に載置し、20rpmの条件で回転させながら、ボールから約20cmの距離に高圧噴射機を設置して洗浄工程を実施した。また、各比較例については、表5に示す有機溶剤を用いて、15℃、30秒間で、ボールの最外層の表面を浸漬することにより洗浄した。
【0077】
キュア工程
上記の洗浄処理後、55℃、60分間の条件でキュアを行った。
【0078】
上記の表面処理、洗浄処理及びキュア工程を行ったゴルフボールについて、下記の方法により評価した。その結果は表3、表4及び表5に示した。
【0079】
最外層の外側部位のFT−IR吸光度
カバー最外層を中間層から剥離してサンプルを採取した。カバー表面の測定箇所がFT−IR測定面に十分密着するようカバー裏側からディンプル中心部を加圧し測定面に密着させ測定した。最外層の外側部位において、ATR法にて赤外吸収スペクトルを吸光度表示したときの波数を測定した。最外層の外側部位における、FT−IRのATR法で測定される赤外吸収スペクトルを吸光度表示したとき、波数1512cm-1付近、波数2280cm-1付近及び波数2840cm-1付近の吸光度ピーク高さをP1,Q1,R1とそれぞれ定義した。なお、測定データの精度を高めるために、相対標準偏差(%)(以下、RSD%)が3.0%以下になるように測定回数をN回行い、各吸光度ピーク高さを求めた。また、最外層に表面処理を実施した7日後に測定した。FT−IRのATR法の分析測定機器は、フーリエ変換赤外分光光度計 「Spectrum100 システムB」(Perkin Elmer社製)を使用し、下記条件に従って試料を測定した。
・測定方法 :全反射法(ATR法:Attenuated total reflection)
・検出器 :FR-DTGS
・分解能 :4cm-1
・積算回数 :16回
・測定波数範囲:4000cm-1〜650cm-1
・測定箇所 :[外側部位]ディンプル中心部の表面部位
【0080】
耐擦過傷性
ボールを23℃に温調するとともに、スウィングロボットマシンを用い、クラブはピッチングウェッジを使用して、ヘッドスピード33m/sで各ボールを各5球ずつ打撃し、打撃傷を以下の基準で目視にて評価し、その平均値を算出した。
5点:傷がついていないか、ほとんど傷が目立たない。
4点:やや傷が見られるものの、ほとんど気にならない。
3点:表面がやや毛羽立っている。
2点:表面が毛羽立ったり、ディンプルが欠けたりしている。
1点:ディンプルが完全に削り取られてしまっている。
【0081】
飛び性能
ゴルフ打撃ロボットにドライバー(W#1)を取り付けて、ヘッドスピード45m/sで打撃した時のスピン量及びトータル飛距離を測定した。クラブはブリヂストンスポーツ社製「TourStage X−Drive 707(2012モデル)」(ロフト9.5°)を使用した。
【0082】
外観(洗い残し)
洗浄後のボール外観(表面)について、洗浄不足による付着汚れの有無を調べ、下記基準により評価した。なお、付着汚れは、ボールの外観が悪くなり、また、耐候性の悪化を招き、更には、打撃時に塗膜が剥がれる不具合が生じるおそれがある。
○:洗浄不足による付着汚れが無い。
△:洗浄不足による付着汚れがわずかにある。
×:洗浄不足による付着汚れがある。
【0083】
ピン痕跡の評価(NG率)
ピン痕跡の採点基準は、マーキングチェック法による採点を行った。即ち、黒色油性色の鉛筆でボール表面のピン部分をこすり、その後、乾いたウエスで拭取る。拭取った後に、上記ピン部分に黒色油性色の鉛筆が残ったピン痕跡個数を算出し、これをNGとして、ボール1個につき存在するピンの総数に対するNGの割合(%)を算出した。
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
**表中の「MEK」は、メチルエチルケトンであり、「MIBK」は、メチルイソブチルケトンを示す。
【0087】
表3〜5のボール性能の結果より、以下のことが考察される。
実施例1,3,4は比較例1〜6と比較して耐擦過傷性に優れ、ドライバー(W#1)での低スピン化が図られてトータル飛距離性能も十分であり、更に、ピン痕跡外観を損なわないことが分かる。
実施例2は、実施例4よりも吐出圧力及び吐出水量が小さく耐擦過傷性及び低スピン効果が大きく得られている。また、比較例1〜6と比較して耐擦過傷性に優れ、ドライバー(W#1)での低スピン化が図られてトータル飛距離性能も十分であり、更に、ピン痕跡外観を損なわないことが分かる。
実施例7は、実施例4と比較して処理時間を短くしたにもかかわらず、比較例1〜6と比較すると、耐擦過傷性に優れ、ドライバー(W#1)での低スピン化が図られてトータル飛距離性能も十分であり、更にピン痕跡外観を損なわないことが分かる。
実施例5,6は、実施例7よりも洗浄溶液温度が低く、耐擦過傷性及び低スピン効果が大きく得られている。また、比較例1〜6と比較して耐擦過傷性に優れ、ドライバー(W#1)での低スピン化が図られてトータル飛距離性能も十分であり、更に、ピン痕跡外観を損なわないことが分かる。
実施例8,10,11は、実施例7よりも洗浄溶液温度を高く洗浄時間を短くすることで同等性能が得られており、比較例1〜6と比較して耐擦過傷性に優れ、ドライバー(W#1)での低スピン化が図られてトータル飛距離性能も十分であり、更に、ピン痕跡外観を損なわないことが分かる。
実施例9は、実施例10,11よりも更に洗浄時間が短く耐擦過傷性及び低スピン効果が大きく得られている。また、比較例1〜6と比較して耐擦過傷性に優れ、ドライバー(W#1)での低スピン化が図られてトータル飛距離性能も十分であり、更に、ピン痕跡外観を損なわないことが分かる。
実施例12は、実施例9〜11と比較して洗浄時間が長く、耐擦過傷性及び低スピン効果はやや劣るが、比較例1〜6と比較して耐擦過傷性に優れ、ドライバー(W#1)での低スピン化が図られてトータル飛距離性能も十分であり、更に、ピン痕跡外観を損なわないことが分かる。
図1
図2