特許第6844266号(P6844266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844266
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】温水装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   F24H9/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-2621(P2017-2621)
(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公開番号】特開2018-112348(P2018-112348A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大下 亘
(72)【発明者】
【氏名】大東 健
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−163863(JP,U)
【文献】 実開昭58−159437(JP,U)
【文献】 特開平11−337053(JP,A)
【文献】 実開昭59−067744(JP,U)
【文献】 実開昭51−121554(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換部と、前記熱交換部を収容する第1ケースとを含む熱交換器と、
前記熱交換器の前記第1ケースに接続された第2ケースを含む箱体とを備え、
前記熱交換器の前記第1ケースは、第1周壁部と、前記第1周壁部の下端に設けられた第1開口部と、前記第1開口部よりも上方において前記第1周壁部から外側に張り出した第1フランジ部とを含み、
前記箱体の前記第2ケースは、前記第1フランジ部に接続された第2フランジ部と、前記第2フランジ部の内側に配置された第2周壁部と、前記第2周壁部の上端に設けられた第2開口部とを含み、
前記熱交換器の前記第1周壁部は、前記箱体の前記第2開口部から前記第2周壁部の内側に挿入された垂下壁部を含み、
前記垂下壁部が前記第2周壁部の内側に配置された状態で、前記第1開口部は前記第2フランジ部の上面よりも下方に位置しており、
前記垂下壁部は、前記第2周壁部との間に隙間を介在して配置されており、
前記箱体は、前記第2周壁部の下端に接続された接続部を含み、
前記接続部は、前記第2周壁部の内側に向けて延在しており、かつ前記垂下壁部の下端との間に隙間を介在して配置されており、
前記垂下壁部と前記第2周壁部との間の隙間は、前記垂下壁部と前記接続部との間の隙間よりも大きい、温水装置。
【請求項2】
前記第1開口部は前記第2フランジ部の下面よりも下方に位置している、請求項1に記載の温水装置。
【請求項3】
前記垂下壁部は前記第1周壁部の周囲の全体に設けられている、請求項1または2に記載の温水装置。
【請求項4】
前記第1周壁部は板部材を含み、
前記垂下壁部は、前記板部材を前記第1周壁部の下端で折り返すことにより構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の温水装置。
【請求項5】
記接続部は、前記第2周壁部の内側に向けて下り勾配を有するように傾斜しており、かつ前記垂下壁部の下端との間に隙間を介在して配置されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の温水装置。
【請求項6】
前記箱体は、前記接続部の内側に配置されかつ前記接続部から上方に立ち上がる立ち上がり結合部と、前記立ち上がり結合部に取り囲まれた貫通孔と、前記貫通孔に挿入された本体部とを含み、
前記立ち上がり結合部は、前記本体部の上端に外側から接合されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の温水装置。
【請求項7】
前記立ち上がり結合部は、前記立ち上がり結合部の上端に設けられた第1切欠き部を含み、
前記本体部は、前記本体部の上端に設けられた第2切欠き部を含み、
前記第1切欠き部は前記第2切欠き部に重なるように配置されている、請求項に記載の温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加熱用気体と湯水との間で熱交換するための熱交換器を備えた温水装置は、たとえば国際公開第2015/141995号(特許文献1)に開示されている。この文献に記載された温水装置は、顕熱回収熱交換器および潜熱回収熱交換器を備えている。顕熱回収熱交換器のケースと潜熱回収熱交換器のケースとは互いに連通している。顕熱回収熱交換器のケースの下端に設けられた第1フランジ部と潜熱回収熱交換器のケースの上端に設けられた第2フランジ部とが互いに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/141995号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載された温水装置では、顕熱回収熱交換内で発生したドレンは、顕熱回収熱交換器のケースの内面を伝って下方に流れる。このドレンが顕熱回収熱交換器のケースの下端に流れると、顕熱回収熱交換器の第1フランジ部と潜熱回収熱交換器の第2フランジ部との間から流出するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱交換器の第1フランジ部と第1フランジ部に接続された第2フランジ部との間から熱交換器内で発生したドレンが流出することを抑制することができる温水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の温水装置は、熱交換器と、箱体とを備えている。熱交換器は、熱交換部と、熱交換部を収容する第1ケースとを含む。箱体は、熱交換器の第1ケースに接続された第2ケースを含む。熱交換器の第1ケースは、第1周壁部と、第1周壁部の下端に設けられた第1開口部と、第1開口部よりも上方において第1周壁部から外側に張り出した第1フランジ部とを含む。箱体の第2ケースは、第1フランジ部に接続された第2フランジ部と、第2フランジ部の内側に配置された第2周壁部と、第2周壁部の上端に設けられた第2開口部とを含む。熱交換器の第1周壁部は、箱体の第2開口部から第2周壁部の内側に挿入された垂下壁部を含む。垂下壁部が第2周壁部の内側に配置された状態で、第1開口部は第2フランジ部の上面よりも下方に位置している。
【0007】
本発明の温水装置によれば、垂下壁部が第2周壁部の内側に配置された状態で、第1開口部は第2フランジ部の上面よりも下方に位置している。したがって、熱交換器内で発生したドレンは垂下壁部を伝って第1開口部から下方に流れるため、ドレンが第1開口部から第2フランジ部の上面に流れ込むことを抑制することができる。これにより、第1フランジ部と第2フランジ部との間から熱交換器内で発生したドレンが流出することを抑制することができる。
【0008】
上記の温水装置において、第1開口部は第2フランジ部の下面よりも下方に位置している。したがって、第1開口部から第2フランジ部の上面までの上下方向の距離は第2フランジ部の上面から下面までの上下方向の距離よりも離れているため、熱交換器内で発生したドレンが第1開口部から第2フランジ部の上面に流れ込むことを効果的に抑制することができる。
【0009】
上記の温水装置において、垂下壁部は第1周壁部の周囲の全体に設けられている。このため、第1周壁部の周囲の全体において熱交換器内で発生したドレンが第1開口部から第2フランジ部の上面に流れ込むことを抑制することができる。
【0010】
上記の温水装置において、第1周壁部は板部材を含む。垂下壁部は、板部材を第1周壁部の下端で折り返すことにより構成されている。したがって、第1周壁部の下端から垂下壁部の内部に熱交換器内で発生したドレンが流入することを防止することができる。このため、ドレンによって垂下壁部が内部から腐食することを防止することができる。
【0011】
上記の温水装置において、垂下壁部は、第2周壁部との間に隙間を介在して配置されている。このため、熱交換器内で発生したドレンが表面張力によって第1開口部から垂下壁部と第2周壁部との間を通って第2フランジ部の上面に流れ込むことを抑制することができる。
【0012】
上記の温水装置において、箱体は、第2周壁部の下端に接続された接続部を含む。接続部は、第2周壁部の内側に向けて延在しており、かつ垂下壁部の下端との間に隙間を介在して配置されている。垂下壁部と第2周壁部との間の隙間は、垂下壁部と接続部との間の隙間よりも大きい。したがって、熱交換器内で発生したドレンは垂下壁部と第2周壁部との間の隙間よりも垂下壁部と接続部との間の隙間に流れやすいため、ドレンが垂下壁部と第2周壁部との間に流れることを抑制することができる。これにより、熱交換器内で発生したドレンが垂下壁部と第2周壁部との間を通って第2フランジ部の上面に流れ込むことを抑制することができる。
【0013】
上記の温水装置において、箱体は、第2周壁部の下端に接続された接続部を含む。接続部は、第2周壁部の内側に向けて下り勾配を有するように傾斜しており、かつ垂下壁部の下端との間に隙間を介在して配置されている。したがって、熱交換器内で発生したドレンは接続部を伝って第2周壁部の内側に向けて流れるため、ドレンが第2フランジ部に向けて流れることを抑制することができる。これにより、熱交換器内で発生したドレンが第2フランジ部の上面に流れ込むことを抑制することができる。
【0014】
上記の温水装置において、箱体は、接続部の内側に配置されかつ接続部から上方に立ち上がる立ち上がり結合部と、立ち上がり結合部に取り囲まれた貫通孔と、貫通孔に挿入された本体部とを含む。立ち上がり結合部は、本体部の上端に外側から接合されている。このため、立ち上がり結合部を本体部の上端に溶接することが容易となる。
【0015】
上記の温水装置において、立ち上がり結合部は、立ち上がり結合部の上端に設けられた第1切欠き部を含む。本体部は、本体部の上端に設けられた第2切欠き部を含む。第1切欠き部は第2切欠き部に重なるように配置されている。このため、第1切欠き部および第2切欠き部からドレンを貫通孔に流すことができる。これにより、ドレンの排出が容易となる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、熱交換器の第1フランジ部と第1フランジ部に接続された第2フランジ部との間から熱交換器内で発生したドレンが流出することを抑制することができる熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1における温水装置の構成を模式的に示す図である。
図2】本発明の実施の形態1における顕熱回収熱交換器および潜熱回収熱交換器の構成を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態1における顕熱回収熱交換器および潜熱回収熱交換器の構成を概略的に示す断面図である。
図4】本発明の実施の形態1における顕熱回収熱交換器および潜熱回収熱交換器の構成を概略的に示す分解斜視図である。
図5】本発明の実施の形態1における顕熱回収熱交換器の構成を概略的に示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態1における潜熱回収熱交換器の構成を概略的に示す斜視図である。
図7図4のVII部を示す拡大図である。
図8図3のVIII部を示す拡大図である。
図9】比較例の図8に対応する部分を示す断面図である。
図10】本発明の実施の形態2における顕熱回収熱交換器、潜熱回収熱交換器、排気集合筒およびダクトの構成を概略的に示す断面図である。
図11図10のXI部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1における温水装置の構成について図1を用いて説明する。
【0019】
図1に示されるように、本実施の形態の温水装置100は、顕熱回収熱交換器(一次熱交換器)10と、点火プラグ14と、潜熱回収熱交換器(二次熱交換器)20と、バーナ30と、チャンバ31と、送風装置32と、ダクト33と、ベンチュリ34、オリフィス35、ガスバルブ36、配管40と、バイパス配管41と、三方弁42と、液液熱交換器43と、温水配管44と、筐体50と、排気集合筒70とを主に有している。筐体50の内部に、上記の部品のうち筐体50を除く全ての部品が配置されている。
【0020】
燃料ガスは、ガスバルブ36とオリフィス35とを通じてベンチュリ34に流れる。ベンチュリ34で混合された混合ガスは送風装置32に送られる。送風装置32は、混合ガスをバーナ30へ供給するためのものである。
【0021】
送風装置32はチャンバ31に接続されており、チャンバ31はバーナ30に接続されている。送風装置32から供給された混合ガスは、チャンバ31を通じてバーナ30に送られる。
【0022】
バーナ30は、顕熱回収熱交換器(熱交換器)10に供給される加熱用気体を発生させるためのものである。バーナ30から吹出される混合ガスは、点火プラグ14によって着火され、燃焼ガスとなる。
【0023】
燃焼ガスが顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20を順に通過して湯水と熱交換するように、バーナ30、顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20が接続されている。潜熱回収熱交換器20には排気集合筒70が接続されている。排気集合筒70にはダクト33が接続されており、ダクト33は筐体50の外部へ延びている。これにより、潜熱回収熱交換器20を通過した燃焼ガスは、排気集合筒70を経由してダクト33を通じて筐体50の外部へ排出される。
【0024】
顕熱回収熱交換器10よりも出湯側の配管40の部分とバイパス配管41とは三方弁42で接続されている。バイパス配管41には液液熱交換器43が接続されている。液液熱交換器43の内部を流れる温水が温水配管44の外側を流れることにより、液液熱交換器43の内部を流れる温水と温水配管44の内部を流れる温水との間で熱交換を行うことが可能となる。
【0025】
次に、図2図8を用いて、本実施の形態の熱交換器セットの構成について説明する。図2に示されるように、熱交換器セットは、顕熱回収熱交換器(熱交換器)10と、潜熱回収熱交換器(箱体)20と、シール部材60とを有している。本実施の形態では、顕熱回収熱交換器10が特許請求の範囲の熱交換器に相当し、潜熱回収熱交換器20が特許請求の範囲の箱体に相当する。
【0026】
図3および図4に示されるように、顕熱回収熱交換器10は潜熱回収熱交換器20の上にシール部材60を介して配置されている。つまり、顕熱回収熱交換器10と、潜熱回収熱交換器20との間にシール部材60が挟まれている。シール部材60は環状に構成されている。またシール部材60は平板状に構成されている。なお、シール部材60は、顕熱回収熱交換器10と、潜熱回収熱交換器20との間に配置されていなくてもよい。
【0027】
図2および図3に示されるように、本実施の形態の顕熱回収熱交換器10は、ケース(第1ケース)11と、ヘッダ12と、伝熱管(吸熱パイプ)13と、フィン16と、押さえ部材17と、固定部材18とを主に有している。ケース11の内部に位置する伝熱管(吸熱パイプ)13およびフィン16が熱交換部15を構成している。
【0028】
ケース11は熱交換部15を収容する。ケース11は、周壁部(第1周壁部)111と、上側開口部112と、下側開口部(第1開口部)113と、フランジ部(第1フランジ部)114とを有している。ケース11は、第1側壁11a、第2側壁11b、第3側壁11cおよび第4側壁11dを有している。第1側壁11a〜第4側壁11dは、四角の枠状となるように接続されている。第1側壁11a〜第4側壁11dは周壁部111を構成している。
【0029】
上記枠形状を有するケース11は、上側開口部112および下側開口部113を有している。これにより、ケース11の上側開口部112を通ってケース11の内部に燃焼ガスが給気可能である。またケース11の下側開口部113を通って燃焼ガスがケース11の外部へ排気可能である。
【0030】
第1側壁11aの外面にヘッダ12が設けられている。第1側壁11aの外面に設けられたヘッダ12には、入水側の継手13aおよび出湯側の継手13bが取り付けられている。第3側壁11cの外面にも図示しないヘッダ12が設けられている。
【0031】
第1側壁11aの外面に設けられたヘッダ12と、第3側壁11cの外面に設けられたヘッダ12とは複数の伝熱管13で接続されている。複数の伝熱管13は、ケース11の内部に位置する伝熱管13と、ケース11の外部に位置する伝熱管13とを有している。
【0032】
ヘッダ12と伝熱管13とを流通する湯水の流れはたとえば以下のようになる。
入水側の継手13aから入水した湯水は、第1側壁11aの外面の最も一方端側に設けられたヘッダ12を通じて、ケース11の内部に位置する伝熱管13に入る。この伝熱管13内に入った湯水は、第3側壁11cの外面に設けられた図示しないヘッダ12に達する。第3側壁11cの外面に設けられたヘッダ12に達した湯水は、当該ヘッダ12に接続された別の伝熱管13を通って第1側壁11aの外面に設けられたヘッダ12に達する。このように湯水は、第1側壁11a側から第3側壁11c側へ向かった後に、第3側壁11c側から第1側壁11a側へ折り返される。その後、湯水は、第3側壁11c側への折り返しと第1側壁11a側への折り返しとが繰り返されるように流れる。
【0033】
上記により第1側壁11aの外面の最も他方端側に設けられたヘッダ12に到達した湯水は、第2側壁11bの外面に設けられた伝熱管13を通って第3側壁11cの外面に設けられたヘッダ12に達する。第3側壁11cの外面に設けられたヘッダ12に達した湯水は、第4側壁11dの外面に設けられた伝熱管13を通って第1側壁11aの外面に設けられたヘッダ12に達し、最後に、湯側の継手13bから出湯する。
【0034】
図3および図4に示されるように、フランジ部114は、下側開口部113よりも上方において周壁部111から外側に張り出している。周壁部111は、周壁部111の下端に配置された垂下壁部11wを有している。垂下壁部11wはフランジ部114よりも下方に配置されている。垂下壁部11wの下端に下側開口部113が設けられている。
【0035】
図5に示されるように、フランジ部114は周壁部111の周囲の全体に亘って設けられている。垂下壁部11wは周壁部111の周囲の全体に設けられている。垂下壁部11wは四角の枠状となるように構成されている。
【0036】
図3および図5に示されるように、ケース11の内部に位置する伝熱管13の外周面には、複数のフィン16が接続されている。なお、図5においては、説明の簡略化のため、フィンの図示は省略されている。
【0037】
図3および図4を参照して、潜熱回収熱交換器20は、ケース(第2ケース)21と、熱交換部22と、継手部23とを主に有している。ケース21はケース11に接続されている。
【0038】
ケース21は、周壁部(第2周壁部)211と、上側開口部(第2開口部)212と、下側開口部213と、フランジ部(第2フランジ部)214と、接続部215と、立ち上がり結合部216と、貫通孔217と、本体部218とを有している。
【0039】
ケース21は熱交換部22を収容する。ケース21の周壁部211は、垂下壁部11wの周囲を取り囲むように構成されている。周壁部211は四角の枠状となるように構成されている。上記枠形状を有するケース21は上側開口部212および下側開口部213を有している。これにより、ケース21の上側開口部212を通ってケース21の内部に燃焼ガスが給気可能である。またケース21の下側開口部213を通って燃焼ガスがケース21の外部へ排気可能である。
【0040】
熱交換部22は外部を流れる加熱用気体と内部を流れる湯水との間で熱交換するためのものである。熱交換部22は複数の伝熱プレートを有している。複数の伝熱プレートは互いに積層されている。複数の伝熱プレートの互いに隣り合う伝熱プレート同士はろう付けされている。複数の伝熱プレートの互いに隣り合う一対の伝熱プレートの間は、湯水を通す流路を構成している。複数の伝熱プレートの互いに隣り合う一対の伝熱プレート同士の間の空間は燃焼ガスを通す流路を構成している。
【0041】
一対の継手部23は、熱交換部22の複数の伝熱プレートに湯水を流出入させるためのものである。一対の継手部23の各々は、配管を接続するための継手である。一対の継手部23の各々の流路は、複数の伝熱プレートの各々の内部流路に接続されている。したがって、入水側の継手部23から入水した湯水は、一対の伝熱プレートの各々の内部流路内を流れてから出湯側の継手部23から出湯する。
【0042】
図4および図6に示されるように、フランジ部214は、ケース21の上端に配置されている。フランジ部214は環状に構成されている。フランジ部214は、周壁部211からケース21の外側に張り出している。フランジ部214は周壁部211の上端に接続されている。周壁部211はフランジ部214の内側に配置されている。上側開口部212は周壁部211の上端に設けられている。上側開口部212は周壁部211の内側に設けられている。フランジ部214にシール部材60が載置されている。
【0043】
立ち上がり結合部216は、接続部215の内側に配置されている。立ち上がり結合部216は、接続部215から上方に立ち上がっている。貫通孔217は、立ち上がり結合部216に取り囲まれている。本体部218は貫通孔217に挿入されている。本体部218は熱交換部22の周囲を取り囲むように構成されている。立ち上がり結合部216は、貫通孔217に挿入された本体部218の上端に外側から接合されている。
【0044】
図7に示されるように、立ち上がり結合部216の上端に第1切欠き部216aが設けられている。したがって、立ち上がり結合部216は、第1切欠き部216aにおいて高さが低くなっている。本体部218の上端の第2切欠き部218aが設けられている。したがって、本体部218の上端は、第2切欠き部218aにおいて高さが低くなっている。
【0045】
本体部218の上端が貫通孔217に挿入された状態で第1切欠き部216aは第2切欠き部218aに重なるように配置されている。つまり、第1切欠き部216aおよび第2切欠き部218aは互いに連通するように配置されている。
【0046】
貫通孔217は、フランジ部214を上方から見たときに、四角形状を有している。第1切欠き部216aおよび第2切欠き部218aは、貫通孔217の四隅にそれぞれ設けられている。
【0047】
図3および図8に示されるように、潜熱回収熱交換器20のケース21のフランジ部214は、顕熱回収熱交換器10のケース11のフランジ部114に接続されている。ケース11の垂下壁部11wは、ケース21の上側開口部212から周壁部211の内側に挿入されている。ケース11の垂下壁部11wがケース21の周壁部211の内側に配置された状態で、ケース11の下側開口部113はケース21のフランジ部214の上面よりも下方に位置している。本実施の形態では、ケース11の下側開口部113は、ケース21のフランジ部214の下面よりも下方に位置している。
【0048】
ケース11の周壁部111は板部材を含んでいる。周壁部111の垂下壁部11wは、板部材を周壁部111の下端で折り返すことにより構成されている。つまり、垂下壁部11wは1枚の板部材を折り返すことにより構成されている。また、本実施の形態では、フランジ部114は一枚の板部材を折り曲げることにより構成されている。すなわち、ケース11の第1側壁11a〜第4側壁11dの各々において、周壁部111、垂下壁部11wおよびフランジ部114は1枚の板部材により構成されている。
【0049】
ケース11の垂下壁部11wは、ケース21の周壁部211との間に隙間を介在して配置されている。つまり、垂下壁部11wは周壁部211に密着していない。垂下壁部11wと周壁部211との間の隙間は、周壁部111の外側に設けられている。本実施の形態では、垂下壁部11wと周壁部211との間の隙間は、周壁部111の周囲の全体に設けられている。
【0050】
ケース21の接続部215は周壁部211の下端に接続されている。接続部215は、周壁部211の内側に向けて延在している。接続部215は垂下壁部11wの下端との間に隙間を介在して配置されている。接続部215と垂下壁部11wの下端との間の隙間は、垂下壁部11wの下端の真下に設けられている。垂下壁部11wと周壁部211との隙間は、垂下壁部11wと接続部215との隙間よりも大きい。本実施の形態では、接続部215は、周壁部211の内側に向けて下り勾配を有するように傾斜している。
【0051】
図2および図3に示されるように、顕熱回収熱交換器10では、伝熱管13へ入水する湯水の温度が低い場合、またはバーナ30の加熱量が少ない場合などにおいて、ドレンが発生する。このドレンは、顕熱回収熱交換器10から潜熱回収熱交換器20に流入する。
【0052】
図3および図8に示されるように、顕熱回収熱交換器10から潜熱回収熱交換器20に流入したドレンは、熱交換部22に流れる。具体的には、図3および図8中矢印で示されるように、顕熱回収熱交換器10で発生したドレンは、ケース11の周壁部111の内面を伝って下側開口部113からケース21の接続部215に流れ落ちる。このドレンは接続部215の傾斜に沿って接続部215の上面を斜め下方に周壁部211の内側に向かって流れる。ドレンは立ち上がり結合部216に達すると第1切欠き部216aおよび第2切欠き部218aを通って熱交換部22に流れる。熱交換部22に流れ込んだドレンは、熱交換部22を通過し、下側開口部213から流出する。
【0053】
次に、本実施の形態の作用効果について比較例と対比して説明する。
比較例では、特に説明しない限り、上記の本実施の形態と同様の構成を備えているため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0054】
図9を用いて比較例について説明する。比較例では、本実施の形態の垂下壁部が設けられていない。そのため、図9中矢印で示されるように、顕熱回収熱交換10内で発生したドレンは、ケース11の周壁部111の内面を伝って下方に流れる。このドレンが周壁部111の下端に流れると、ドレンが顕熱回収熱交換器10のフランジ部114と潜熱回収熱交換器20のフランジ部214との間に流れ込むおそれがある。その結果、ドレンが顕熱回収熱交換器10のフランジ部114と潜熱回収熱交換器20のフランジ部214との間を通って顕熱回収熱交換器10および潜熱回収熱交換器20の外部に流出するおそれがある。
【0055】
これに対して、本実施の形態の温水装置100によれば、図8に示されるように、垂下壁部11wが周壁部(第1周壁部)211の内側に配置された状態で、下側開口部(第1開口部)113はフランジ部(第2フランジ部)214の上面よりも下方に位置している。したがって、顕熱回収熱交換器10内で発生したドレンは垂下壁部11wの内面を伝って下側開口部(第1開口部)113から下方に流れるため、ドレンが下側開口部(第1開口部)113よりも上方に位置するフランジ部(第2フランジ部)214の上面に流れ込むことを抑制することができる。これにより、フランジ部(第1フランジ部)114の下面とフランジ部(第2フランジ部)214の上面との間から顕熱回収熱交換器10内で発生したドレンが流出することを抑制することができる。
【0056】
さらに、下側開口部(第1開口部)113はフランジ部(第2フランジ部)214の下面よりも下方に位置している。したがって、下側開口部(第1開口部)113からフランジ部(第2フランジ部)214の上面までの上下方向の距離はフランジ部(第2フランジ部)214の上面から下面までの上下方向の距離よりも離れているため、顕熱回収熱交換器10内で発生したドレンが下側開口部(第1開口部)113からフランジ部(第2フランジ部)214の上面に流れ込むことを効果的に抑制することができる。
【0057】
また、図5に示されるように、垂下壁部11wは周壁部(第1周壁部)111の周囲の全体に設けられている。このため、周壁部(第1周壁部)111の周囲の全体において顕熱回収熱交換器10内で発生したドレンが下側開口部(第1開口部)113からフランジ部(第2フランジ部)214の上面に流れ込むことを抑制することができる。
【0058】
また、図8に示されるように、垂下壁部11wは、板部材を周壁部(第1周壁部)111の下端で折り返すことにより構成されている。したがって、周壁部(第1周壁部)111の下端から垂下壁部11wの内部に顕熱回収熱交換器10内で発生したドレンが流入することを防止することができる。このため、ドレンによって垂下壁部11wが内部から腐食することを防止することができる。
【0059】
また、垂下壁部11wは、周壁部(第2周壁部)211との間に隙間を介在して配置されている。このため、顕熱回収熱交換器10内で発生したドレンが表面張力によって下側開口部(第1開口部)113から垂下壁部11wと周壁部(第2周壁部)211との間を通ってフランジ部(第2フランジ部)214の上面に流れ込むことを抑制することができる。
【0060】
また、垂下壁部11wと周壁部(第2周壁部)211との間の隙間は、垂下壁部11wと接続部215との間の隙間よりも大きい。したがって、顕熱回収熱交換器10内で発生したドレンは垂下壁部11wと周壁部(第2周壁部)211との間の隙間よりも垂下壁部11wと接続部215との間の隙間に流れやすいため、ドレンが垂下壁部11wと周壁部(第2周壁部)211との間に流れることを抑制することができる。これにより、顕熱回収熱交換器10内で発生したドレンが垂下壁部11wと周壁部(第2周壁部)211との間を通ってフランジ部(第2フランジ部)214の上面に流れ込むことを抑制することができる。
【0061】
また、接続部215は、周壁部(第2周壁部)211の内側に向けて下り勾配を有するように傾斜している。したがって、顕熱回収熱交換器10内で発生したドレンは接続部215の内面を伝って周壁部(第2周壁部)211の内側に向けて流れるため、ドレンがフランジ部(第2フランジ部)214に向けて流れることを抑制することができる。これにより、顕熱回収熱交換器10内で発生したドレンがフランジ部(第2フランジ部)214の上面に流れ込むことを抑制することができる。また、潜熱回収熱交換器20の全体が周壁部(第2周壁部)211の外側に向けて傾斜した場合に、接続部215に付着したドレンがフランジ部(第2フランジ部)214に向けて流れることを抑制することができる。
【0062】
図7に示されるように、立ち上がり結合部216は、本体部218の上端に外側から接合されている。このため、立ち上がり結合部216を本体部218の上端に溶接することが容易となる。
【0063】
また、立ち上がり結合部216の上端に設けられた第1切欠き部216aは本体部218の上端に設けられた第2切欠き部218aに重なるように配置されている。このため、第1切欠き部216aおよび第2切欠き部218aからドレンを貫通孔217に流すことができる。これにより、ドレンの排出が容易となる。
【0064】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、特に説明しない限り、上記の本発明の実施の形態1と同様の構成を備えているため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0065】
上記の実施の形態1では、顕熱回収熱交換器10が特許請求の範囲の熱交換器に相当し、潜熱回収熱交換器20が特許請求の範囲の箱体に相当する場合について説明した。これに対して、本実施の形態では、潜熱回収熱交換器20が特許請求の範囲の熱交換器に相当し、排気集合筒70が特許請求の範囲の箱体に相当する。
【0066】
図10および図11に示されるように、潜熱回収熱交換器20は排気集合筒70の上にシール部材80を介して配置されている。つまり、潜熱回収熱交換器20と、排気集合筒70との間にシール部材80が挟まれている。なお、シール部材80は、潜熱回収熱交換器20と、排気集合筒70との間に配置されていなくてもよい。
【0067】
潜熱回収熱交換器20のケース(第1ケース)21はフランジ部(第1フランジ部)219を有している。フランジ部219は下側開口部(第1開口部)213よりも上方において本体部(第1周壁部)218から外側に張り出している。本体部218は、本体部218の下端に配置された垂下壁部21wを有している。
【0068】
排気集合筒70は、ケース(第2ケース)71と、仕切板72とを主に有している。ケース71は、潜熱回収熱交換器20のケース21に接続されている。ケース71は、周壁部(第2周壁部)711と、上側開口部(第2開口部)712と、接続開口部713と、フランジ部(第2フランジ部)714とを有している。
【0069】
ケース71の周壁部711は垂下壁部21wの外側に配置されている。ケース71の上側開口部712を通ってケース71の内部に燃焼ガスが給気可能である。またケース71の接続開口部713を通って燃焼ガスがダクト33へ排気可能である。
【0070】
フランジ部714はケース71の上端に配置されている。フランジ部714は周壁部711からケース71の外側に張り出している。フランジ部714は周壁部711の上端に接続されている。周壁部711はフランジ部714の内側に配置されている。上側開口部712は周壁部711の上端に設けられている。上側開口部712は周壁部711の内側に設けられている。接続開口部713はダクト33に接続されている。フランジ部714にシール部材80が載置されている。
【0071】
ケース71のフランジ部714は、潜熱回収熱交換器20のケース21のフランジ部214に接続されている。ケース21の垂下壁部21wは、ケース71の上側開口部712から周壁部711の内側に挿入されている。ケース21の垂下壁部21wがケース71の周壁部711の内側に配置された状態で、ケース21の下側開口部213はケース71のフランジ部714の上面よりも下方に位置している。本実施の形態では、ケース21の下側開口部213は、ケース71のフランジ部714の下面よりも下方に位置している。
【0072】
ケース21の垂下壁部21wは、ケース71の周壁部711との間に隙間を介在して配置されている。垂下壁部21wと周壁部711との間の隙間は、周壁部711の外側に設けられている。
【0073】
ケース71は仕切板72を収容する。仕切板72は熱交換部22の下方に配置されている。仕切板72には複数の孔72aが設けられている。潜熱回収熱交換器20から排気集合筒70に流入した燃焼ガスは複数の孔72aを通ってダクト33に流れる。また潜熱回収熱交換器20から排気集合筒70に流入したドレンは複数の孔72aを通ってケース71の下面に設けられた排出口71aから排出される。
【0074】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の温水装置100によれば、潜熱回収熱交換器20内で発生したドレンは垂下壁部21wの内面を伝って下側開口部(第1開口部)213から下方に流れるため、ドレンが下側開口部(第1開口部)213よりも上方に位置するフランジ部(第2フランジ部)714の上面に流れ込むことを抑制することができる。これにより、フランジ部(第1フランジ部)214の下面とフランジ部(第2フランジ部)714の上面との間から潜熱回収熱交換器20内で発生したドレンが流出することを抑制することができる。
【0075】
さらに、下側開口部(第1開口部)213はフランジ部(第2フランジ部)714の下面よりも下方に位置している。したがって、下側開口部(第1開口部)213からフランジ部(第2フランジ部)714の上面までの上下方向の距離はフランジ部(第2フランジ部)714の上面から下面までの上下方向の距離よりも離れているため、潜熱回収熱交換器20内で発生したドレンが下側開口部(第1開口部)213からフランジ部(第2フランジ部)714の上面に流れ込むことを効果的に抑制することができる。
【0076】
また、垂下壁部21wは、周壁部(第2周壁部)711との間に隙間を介在して配置されている。このため、潜熱回収熱交換器20内で発生したドレンが表面張力によって下側開口部(第1開口部)213から垂下壁部21wと周壁部(第2周壁部)711との間を通ってフランジ部(第2フランジ部)714の上面に流れ込むことを抑制することができる。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
10 顕熱回収熱交換器、11,21,71 ケース、11w,21w 垂下壁部、12 ヘッダ、13 伝熱管、14 点火プラグ、15,22 熱交換部、16 フィン、17 押さえ部材、18 固定部材、20 潜熱回収熱交換器、30 バーナ、40 配管、50 筐体、60,80 シール部材、70 排気集合筒、100 温水装置、111,211,711 周壁部、112,212,712 上側開口部、113,213 下側開口部、114,214,219,714 フランジ部、215 接続部、216 立ち上がり結合部、216a 第1切欠き部、217 貫通孔、218 本体部、218a 第2切欠き部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11