(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の達成度閾値、前記第2の達成度閾値、前記習熟度閾値の少なくともいずれか一つは、複数の学習者間での前記達成度または前記習熟度を比較した第2の比較情報を参照して設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の学習支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による学習支援システムについて、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態による学習支援システム1の概略構成を示す図である。
図1において、学習支援システム1は、支援サーバ10、児童用タブレット20、保護者用PC(Personal Computer)30、教師用PC40、児童用PC50を含んで構成される。そして、児童用タブレット20、保護者用PC30、教師用PC40、及び児童用PC50と支援サーバ10は、無線または有線LAN、WAN、インターネット、または電話回線等で通信可能となっている。以下の実施形態では、本実施形態に係る学習装置を児童用タブレット20に適用し、支援装置を支援サーバ10に適用し、支援情報表示装置を教師用PC40に適用した例について説明する。また、支援サーバ10、児童用タブレット20、保護者用PC30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)など、コンピュータの構成を備えている。
【0017】
児童用タブレット20は、各々の児童が所持する携帯端末であり、本実施形態では、児童が学習計画を入力する入力機能や、その計画達成情報を表示する機能や、学習機能を提供する。この学習機能には、児童に問題を出題する機能や、出題した問題に対する児童の回答を採点する採点機能がある。また、児童用タブレット20は、支援サーバ10に接続された際に上述した計画達成情報など学習情報を支援サーバ10に出力する。なお、児童用タブレット20は、学習機能を提供する場合には、オフライン状態であってもよい。
支援サーバ10は、学習情報を児童用タブレット20から取得し、非認知能力(後述)を向上させる支援情報を教師用PC40に提供する。また、支援サーバ10は、支援情報の他に、児童用タブレット20に児童の習熟度等に応じた問題を宿題として提供したり、児童用PC50にテスト問題を提供したりする。さらに、支援サーバ10は、支援情報等を参照し、サポートが必要な児童を特定し、学習達成状況に関する通知を配信するこができる。
【0018】
教師用PCは、支援サーバ10から提供された学習情報一覧を表示する。この学習情報一覧に表示される学習情報は、教師が担任するクラスに属する児童の学習情報などである。
保護者用PC30は、保護者が監護する児童の計画達成状況などを閲覧するためのPCである。児童用PC50は、学校内に設置され、テストなどを行い、その回答を支援サーバ10に送信するPCである。
【0019】
このように、本実施形態に係る学習支援システム1は、児童が自ら計画を入力し、その達成度情報を表示することにより、児童に内発的刺激や達成感を与えることができる。また、学習支援システム1は、教師用PC40に達成度一覧情報を表示することで、教師による児童のサポートを促す結果、児童へ外発的刺激を与えることができる。さらに、学習支援システム1は、達成度一覧情報を参照し、サポートが必要と想定される児童および必要に応じてその保護者や指導者に対して、学習が遅延している旨の通知を行うことで、指導者の負荷を軽減しつつ、学習の遅延を防ぐことができる。このように、学習支援システム1により児童への内発的刺激と外発的刺激を与えることで、非認知能力の向上を支援することが可能となっている。
【0020】
ここで非認知能力について説明する。独立行政法人経済産業研究所によると、非認知能力とは、パフォーマンスに影響を与えるその他の特性、パーソナリティ特性、選好などを指すとされている。また、慶応義塾大学の中室牧子准教授は、ロンドン大学教育学部と英国内閣府がまとめた調査を基に作成した非認知能力として、以下を挙げている。
・自己認識(Self-perceptions)自分に対する自信がある、やりぬく力がある
・意欲(Motivation)やる気がある、意欲的である
・忍耐力(Perseverance)忍耐強い、粘り強い、根気がある、気概がある
・自制心(Self-control)意志力が強い、精神力が強い、自制心がある
・メタ認知ストラテジー(Metacognitive strategies)理解度を把握する、自分の状況を把握する
・社会的適正(Social competencies)リーダーシップがある、社会性がある
・回復力と対処能力(Resilience and coping)すぐに立ち直る、うまく対応する
・創造性(Creativity)創造性に富む、工夫する
・性格的な特性(Big 5)神経質、外交的、好奇心が強い、協調性がある
【0021】
本実施形態に係る学習支援システム1は、上述した非認知能力のうち、特に自制心を向上させるための支援に好適なシステムとなっている。
【0022】
図2は、支援サーバ10、児童用タブレット20、教師用PC40の概略構成を示す図である。児童用タブレット20は、学習情報生成部21、計画入力部22、学習機能提供部24、表示部25、及び記憶部26を含んで構成される。
このうち、計画入力部22は、児童用タブレット20により学習を行う学習計画が児童により入力される。この学習計画とは、上記学習機能により提供される問題を児童が行う時間や問題数の計画であり、入力画面等は後述する。
【0023】
学習情報生成部21は、学習計画に対する実績を取得し、入力された学習計画の達成度を示す達成度情報を生成する。また、学習情報生成部21は、学習機能の採点機能による採点結果などの実績に基づき、実績に基づき、学習による習熟度を示す習熟度情報を生成する。
学習機能提供部24は、児童に問題を出題する機能や、出題した問題に対する児童の回答を採点する採点機能を提供する。また、学習機能提供部24は、支援サーバ10の問題提供部13から問題が提供される。
【0024】
表示部25(第1表示部)は、例えばLCD(liquid crystal display)などで構成され、上述した計画の入力画面や問題等を表示する。記憶部26は、RAMやROMなどの記憶装置であり、後述する各データベース(DB)が記憶される。
各DBは児童の学習等により更新されるが、児童用タブレット20は、支援サーバ10から要求があった場合、児童用タブレット20がオフラインからオンラインになった場合、または更新した場合に、支援サーバ10に各DBに記憶されたデータを送信する。支援サーバ10は児童用タブレット20からデータを取得し、支援サーバ10の記憶部14に記憶された各DBを更新する。
【0025】
次に支援サーバ10について説明する。支援サーバ10は、一覧生成部12、問題提供部13、支援情報提供部15、配信部16、及び記憶部を含んで構成される。
一覧生成部12は、複数の児童用タブレット20から取得された学習計画及び実績から、各々の児童用タブレット20における学習計画の達成度の一覧を示す達成度一覧情報などを生成する。
【0026】
問題提供部13は、児童の学力等から児童に適した問題を児童用タブレット20に提供する。支援情報提供部15は、一覧生成部12により生成された達成度一覧情報などを教師用PC40に提供する。記憶部14は、RAMやROMなどの記憶装置であり、後述する各DBが記憶される。
配信部16は、一覧生成部12により生成された達成度一覧情報を参照し、学習の達成度が設定された閾値を下回る児童やその保護者、指導者に対して、必要に応じて、学習が遅延している旨の通知を後述する形式等で行う。
教師用PC40は、支援情報取得部41、及び表示部42を含んで構成される。支援情報取得部41は、支援サーバ10から達成度一覧情報などを取得する。表示部42(第2表示部)は、例えばLCDなどで構成され、上述した達成度一覧情報などを表示する。
【0027】
図3、
図4は、上述した記憶部14、26に記憶される各DBを示す図である。以下の説明では、各DBを構成するデータのうち、説明済みのデータの説明を省略する。
図3(A)は児童DBを示す図である。児童DBは、児童ID、クラスID、児童名、クラス内整理番号で構成される。児童IDは、児童を一意に特定する特定情報である。クラスIDは、学校におけるクラスを一意に特定する特定情報であり、児童IDに対応する児童が所属するクラスのクラスIDである。児童名は、児童IDに対応する児童の氏名である。クラス内整理番号は、児童のクラス内での整理番号である。
【0028】
図3(B)は、計画DBを示す図である。計画DBは、児童ID、曜日、学習時間/問題数で構成される。まず曜日についてであるが、本実施形態の場合、学習計画は曜日単位で設定されるので、計画DBの曜日は、この曜日を特定するためのデータである。計画は、設定された曜日での計画を示し、本実施形態では一例として学習時間または問題数で設定される。
【0029】
図3(C)は、学習履歴DBを示す図である。学習履歴DBは、児童ID、問題ID、正誤結果、学習日時、及び学習時間で構成される。問題IDは、問題を一意に特定する特定情報である。正誤結果は、問題IDで特定される問題に対する児童の回答の正誤を示す。学習日時は、問題IDで特定される問題を学習した日時である。学習時間は、問題IDで特定される問題を学習した時間である。
図3(D)は、学力DBを示す図である。学力DBは、児童ID及び学力で構成される。学力は、児童IDで特定される児童の学力を示し、ここでの学力は問題の正誤結果などから推定された学力となっている。
【0030】
図3(E)は、習熟度DBを示す図である。習熟度DBは、児童ID、小単元ID、習熟度で構成される。小単元IDは、小単元(後述)を一意に特定する特定情報である。習熟度は、小単元に対応する問題の正解数により定まる。
図4に移り、
図4(A)は、教師DBを示す図である。教師DBは、教師ID、氏名、クラスIDで構成される。教師IDは、教師を一意に特定する特定情報である。氏名は、教師IDに対応する教師の氏名である。クラスIDは、教師IDに対応する教師が担任するクラスのクラスIDである。
【0031】
図4(B)は、クラスDBを示す図である。クラスDBは、クラスID、及びクラス名で構成される。クラスIDは、クラスを一意に特定する特定情報である。クラス名は、5年1組など、クラスIDに対応するクラスの名称である。
図4(C)は、ドリルDBを示す図である。ドリルDBは、ドリルID、及びドリル名で構成される。ドリルIDは、ドリルを一意に特定する特定情報である。ドリル名は、ドリルIDに対応するドリルの名称である。このドリルは、単元で構成され、単元はさらに小単元で構成される。単元の一例として例えば「かけ算」が挙げられ、単元「かけ算」の小単元として「かけ算のきまり」などが挙げられる。
【0032】
図4(D)は、単元DBを示す図である。単元DBは、単元ID、ドリルID、及び単元名で構成される。単元IDは、単元を一意に特定する特定情報である。ドリルIDは、この単元が属するドリルのドリルIDである。単元名は、単元IDに対応する単元の名称である。
図4(E)は、小単元DBを示す図である。小単元DBは、小単元ID、単元ID、小単元名、及び問題数で構成される。小単元IDは、小単元を一意に特定する特定情報である。単元IDは、この小単元が属する単元の単元IDである。小単元名は、小単元IDに対応する小単元の名称である。問題数は、小単元に用意された問題の数を示す。
【0033】
図4(F)は、問題DBを示す図である。問題DBは、問題ID、小単元ID、及び問題で構成される。問題IDは、問題を一意に特定する特定情報である。小単元IDは、この問題が属する小単元の小単元IDである。問題は、問題のデータそのものを示す。
以上説明した各DBは、支援サーバ10の記憶部14に記憶される。また、各DBのうち、教師DB、クラスDBを除いた各DBは、児童用タブレット20の記憶部26に記憶される。
【0034】
以下、上述した構成により行われる各処理について説明する。
図5は、児童用タブレット20の表示部25に表示される計画入力画面101の一例を示す図である。上述したように、学習計画は、設定欄102に示されるように、学習時間または問題数で設定できる。児童は、設定欄102のいずれかをタップすることで選択できる。
図5の場合は、学習時間がタップされた状態を示している。そして、児童は、時間表示欄103で設定したい曜日をタップすることで、学習時間を設定することができる。以下の説明では、学習時間で設定する場合の処理例について説明する。
【0035】
図6は、計画入力部22により行われる計画設定処理の一例を示すフローチャートである。
図6において、計画入力部22は、計画入力画面101を表示し(ステップS101)、児童により、計画が入力されたか否かを判定する(ステップS102)。計画が入力された場合には(ステップS102;YES)、曜日と学習時間を計画DBに記憶し(ステップS103)、ステップS102に戻る。一方、計画が入力されず、入力が終了した(戻るボタンがタップされた)場合には(ステップS102;NO)、本処理を終了する。
【0036】
図7は、学習機能提供部24により児童用タブレット20の表示部25に表示される問題画面104を示す図である。問題画面には、問題の他に、習熟度105が表示される。このように習熟度105を表示することにより、児童に内発的刺激を与えることができる。
【0037】
図8は、学習機能提供部24により行われる出題処理の一例を示すフローチャートである。学習機能提供部24は、学習時間の計測を開始し(ステップS201)、
図7に示したような問題を表示する(ステップS202)。
次いで、学習機能提供部24は、児童の回答を受け付け(ステップS203)、採点を行い(ステップS204)、学習時間の計測を終了する(ステップS205)。その後、学習機能提供部24は、表示した問題の問題ID、正誤結果、学習日時、学習時間を学習履歴DBに記憶する(ステップS206)。
次いで、学習機能提供部24は、次の問題があるか否か判定する(ステップS207)。ここでは、児童の操作により、次の問題を行うか否かを判定する。次の問題がある場合には(ステップS207;YES)、ステップS201に戻る。
【0038】
一方、次の問題がない場合には(ステップS207;NO)、学習機能提供部24は、小単元DBから、問題IDに対応する問題数を取得し(ステップS208)、正誤結果と問題数から習熟度を更新して(ステップS208)、本処理を終了する。
【0039】
図9は、学習情報生成部21により児童用タブレット20の表示部25に表示される習熟度確認画面106を示す図である。習熟度確認画面106に示されるように、小単元ごとに習熟度が棒グラフで示され、特に習熟度が100%の場合には、棒グラフ108に示されるように、例えば金など、他とは異なる色で表示される。このように他と異なる色で表示することにより、児童に達成感を与えることができる。
【0040】
図10(A)は、学習情報生成部21により行われる習熟度画面表示処理の一例を示すフローチャートである。学習情報生成部21は、表示対象の単元IDを取得し(ステップS301)、児童DBから児童IDを取得する(ステップS302)。次いで、単元に含まれる小単元の習熟度を取得する習熟度取得処理を行い(ステップS303)、習熟度取得処理により得られた小単元名と習熟度に基づき習熟度確認画面106を表示して(ステップS304)、本処理を終了する。
【0041】
図10(B)は、学習情報生成部21により行われる習熟度取得処理の一例を示すフローチャートである。学習情報生成部21は、単元IDに対応する小単元IDと小単元名を小単元DBから取得する(ステップS401)。次いで、学習情報生成部21は、小単元IDと児童IDに対応する習熟度を習熟度DBから取得して(ステップS402)、小単元名と習熟度をRAMに記憶し(ステップS403)、単元に対応する全ての小単元の習熟度を取得したか否か判定する(ステップS404)。全ての小単元の習熟度を取得していない場合には(ステップS404;NO)、学習情報生成部21は、ステップS401に戻り、全ての小単元の習熟度を取得した場合には(ステップS404;YES)、本処理を終了する。
【0042】
図11は、学習情報生成部21により児童用タブレット20の表示部25に表示される達成度確認画面109を示す図である。この達成度確認画面109は、計画入力画面101で児童が入力した計画の達成度を示す画面であり、
図11の場合は学習時間で計画を設定した場合の画面を示している。
達成度確認画面109において、計画入力画面101で児童が入力した計画は「もくひょう」として折れ線グラフ110で表示され、学習時間の実績は「あなたのきろく」として棒グラフ111で表示される。
さらに、達成度確認画面109には、計画を達成した回数が「もくひょうクリア」として表示され、学習時間の平均、合計時間も表示される。
【0043】
図12は、学習情報生成部21により行われる達成度確認画面表示処理の一例を示すフローチャートである。学習情報生成部21は、達成度確認画面109で表示する表示期間を取得し(ステップS501)、児童DBから児童IDを取得する(ステップS502)。次いで、学習情報生成部21は、達成度を取得する達成度取得処理を行い(ステップS503)、達成度取得処理により得られた学習日、合計時間、平均、計画学習期間、及び達成カウンタに基づき達成度確認画面109を表示して(ステップS304)、本処理を終了する。
【0044】
図13は、学習情報生成部21により行われる達成度取得処理の一例を示すフローチャートである。学習情報生成部21は、学習日として表示期間開始日をセットする(ステップS601)。次いで、学習情報生成部21は、学習日が一致する学習時間を学習履歴DBから取得し(ステップS602)、学習日における学習時間の合計時間を算出する(ステップS603)。
次いで、学習情報生成部21は、計画DBから学習日における計画学習時間を取得して(ステップS604)、合計時間が計画学習時間以上か否か判定する(ステップS605)。合計時間が計画学習時間以上の場合には(ステップS605;YES)、学習情報生成部21は、達成フラグをオンにして(ステップS606)、達成カウンタを1増分し(ステップS608)、ステップS609に進む。
【0045】
一方、合計時間が計画学習時間以上ではない場合には(ステップS605;NO)、学習情報生成部21は、達成フラグをオフにして(ステップS607)、ステップS609に進む。
次いで、学習情報生成部21は、先週の同じ曜日の学習時間を学習履歴DBから取得して、合計時間が先週の合計時間以上か否か判定する(ステップS609)。合計時間が先週の合計時間以上の場合には(ステップS609;YES)、学習情報生成部21は、比較フラグをオンにして(ステップS610)、ステップS612に進む。
【0046】
一方、合計時間が先週の合計時間以上ではない場合には(ステップS609;NO)、学習情報生成部21は、比較フラグをオフにして(ステップS611)、ステップS612に進む。
学習情報生成部21は、学習日、学習時間総和/平均、計画学習時間、達成フラグ、及び比較フラグをRAMに記憶する(ステップS612)。
【0047】
次いで、学習情報生成部21は、学習日を1日増分し(ステップS613)、増分した学習日が表示期間外となったか否か判定する(ステップS614)。表示期間外となった場合には(ステップS614;YES)、学習情報生成部21は、達成カウンタをRAMに記憶して(ステップS615)、本処理を終了する。一方、表示期間外となっていない場合には(ステップS614;NO)、ステップS602に戻る。
【0048】
以上説明した計画入力画面101、問題画面104、習熟度確認画面106、達成度確認画面109などを児童用タブレット20の表示部25に表示することにより、児童に内発的刺激や達成感を与えることができる。
【0049】
次に、児童へ外発的刺激を与える支援を行うために、教師用PC40に表示される画面等について説明する。
まず、教師用PC40の処理について説明する。
図14は、教師用PC40により実行される支援情報取得処理の一例を示すフローチャートである。支援情報取得部41は、支援サーバ10に、後述する達成度一覧情報などの支援情報を要求し(ステップS701)、支援情報が支援サーバ10から提供され、支援情報を取得すると(ステップS702;YES)、表示部42に支援情報を表示して(ステップS703)、本処理を終了する。本実施形態では、支援情報として各種情報があるが、いずれの支援情報であっても、
図14に示される処理が行われる。
【0050】
図15は、教師用PC40の表示部42に表示される達成度一覧画面112を示す図である。この達成度一覧画面112は、支援サーバ10から支援情報として、達成度一覧情報を取得したときに表示される画面である。
達成度一覧画面112は、番号、児童名、及び日付で構成される。番号は、児童DBに記憶されているクラス内整理番号を示す。児童名は、児童DBに記憶されている児童名を示す。日付は学習した日付を示し、日付ごとに、2段構成で時間が表示される。上段113に記載された時間は、学習時間の合計時間である。下段114に記載された時間は、計画学習時間である。
さらに、上段113には、学習計画が達成されたか否かを示す達成記号115がマルまたはバツで表示される。合計時間が計画学習時間以上の場合はマルが表示され、そうでない場合にはバツが表示される。さらに、矢印116は、過去(先週の同じ曜日)の合計時間と実績とを比較した結果を示す。合計時間が先週の合計時間以上の場合には、上向きの矢印で表示され、そうでない場合には下向きの矢印で表示される。
【0051】
達成度一覧画面112により、児童が頑張って計画通り学習できたか否か、先週と比較してどれだけ頑張ったか、また実際の学習時間などを教師が知ることができるので、児童への外発的刺激となる賞賛、励まし、及び個別指導などに非常に有効である。また、計画通りの学習や、先週との比較は他児童との比較ではなく、自らがどれだけ頑張ったかを示すので、それに対する賞賛や励ましは、児童への有効な外発的刺激となり、さらなるやる気を引き出すことができる。
【0052】
図16は、一覧生成部12及び支援情報提供部15により行われる達成度一覧提供処理の一例を示すフローチャートである。この処理では、教師用PC40から、表示期間と教師IDが送信される。
一覧生成部12は、達成度一覧画面112で表示する表示期間を取得し(ステップS801)、教師IDを取得する(ステップS802)。次いで、一覧生成部12は、教師DBからクラスIDを取得し(ステップS803)、クラスIDに対応する児童IDを児童DBから取得し、児童IDをリスト化する(ステップS804)。
【0053】
次いで、一覧生成部12は、
図13で説明した達成度取得処理を行う(ステップS805)。
図13の場合は、児童用タブレット20に搭載された達成度取得処理を実行するモジュールによる処理であったが、これと同じモジュールが支援サーバ10にも搭載されている。この達成度取得処理により、学習日、学習時間総和/平均、計画学習時間、達成フラグ、比較フラグ、及び達成カウンタが記憶されるので、
図15に示した達成度一覧画面112を表示することができる。
次いで、一覧生成部12は、リストを参照し、クラスに属する全児童に対して達成度を取得したか否か判定する(ステップS806)。クラスに属する全児童に対して達成度を取得した場合には(ステップS806;YES)、達成度取得処理により記憶された各情報から、達成度一覧画面112を表示するための達成度一覧情報を教師用PC40に提供して(ステップS807)、本処理を終了する。一方、クラスに属する全児童に対して達成度を取得していない場合には(ステップS806;NO)、リストに示される次の児童IDをセットして(ステップS808)、ステップS805に戻る。
【0054】
更に、本発明の一様態において、支援サーバ10は、達成度一覧情報を参照して、学習の達成度が、設定された第1の達成度閾値を下回る児童に対して、学習が遅延している旨などの通知を配信する。例えば、設定された第1の達成度閾値が70%である場合、配信が行われる所定の時点または期間において、学習の達成度が65%であった児童Aと、達成度が75%であった児童Bとが存在する場合、児童Aに対して、
図19に記載するような学習が遅延している旨の通知を配信する。また、設定された値自体を厳密な基準として通知の有無を判断せずに、設定した値を一程度下回るか上回るかという差分情報を参照した上での第1の達成度閾値として利用されてもよい。また、児童Aに対して学習が遅延している旨の通知が配信される場合において、第1の達成度閾値を越える児童Bに対しては学習が十分達成できている旨を通知しても良い。更に第1の達成度閾値は、予め固有の閾値を全児童に対して等しく設定してもよいし、個別の児童毎に異なる閾値を適宜設定してもよい。尚、前述の実施例では、第1の達成度閾値を%で表記したが、閾値の設定単位等はこれに限定されず、例えば学習時間として閾値が設定されてもよく、いかなる単位を以て閾値とすることを妨げない。
【0055】
配信が行われるタイミングは適宜することが可能であり、例えば、1週間毎など定期的に処理がおこなわれてもよいし、指導者等が指定する任意のタイミングで配信されてもよい。通知は、学習端末を通じ、各学習者のアカウントに対して配信されてもよいし、予め設定された児童自身や、その保護者もしくは指導者などのメールアドレスに対して配信されてもよく、その他如何なる電子的な手段によって行われることを妨げるものではない。
【0056】
更に、本発明の一様態において、支援サーバ10は、学習の達成度が設定された第1の達成度閾値を下回る場合、第1の達成度閾値からの離れ度に応じて、異なる内容を通知しても良い。例えば、設定された第1の達成度閾値が70%である場合、配信が行われる所定の時点あるいは期間において学習の達成度が65%であった児童Aと、達成度が50%であった児童Bとが存在する場合、離れ度が比較的小さい児童Aには
図20のメッセージを配信し、離れ度が比較的大きい児童Bには、
図21のメッセージを配信するなど、適宜通知内容を変更することができる。また、メッセージ内容の以外の通知内容について変更してもよい。例えば、配信先を変更してもよく、前記児童Aの場合は本人のみへの通知とし、前記児童Bの場合は本人に加え保護者または指導者への通知を併行して行うなどの差異を設けることができる。或いは、配信の処理が指導者による任意のタイミングではなく定期的に自動処理されている場合には、配信の頻度が変更されてもよい。例えば、通常の配信頻度が1週間に一度である場合、前記児童Aの場合には通常の配信頻度での通知とし、前記児童Bの場合は3日一度の配信に設定が変更されてもよい。
【0057】
更に、本発明の一様態において、支援サーバ10は、各児童の過去の学習計画に対する達成度と、今回の学習計画に対する達成度を比較することで、第1の比較情報として参照し、今回の達成度が過去の達成度を一程度以上上回っている場合には、標準として設定された第1の達成度閾値を上回っていなくても、前回よりもより学習計画を達成できた旨の通知を配信してもよい。例えば、標準的に設定された第1の達成度閾値が70%であり、ある児童の今回の学習計画に対する達成度が60%だった場合において、当該児童の前回の学習計画に対する達成度が50%だった場合には、その差分についての情報を第1の比較情報とし、
図22に記載するように、前回よりも達成度が向上した旨を文中に記載して通知してもよい。また、
図22に記載する通知は、前記差分が別の所定の閾値を上回っている場合にのみ配信されるように設定されてもよい。このように、必ずしも学習の達成度が全体として求められる水準に達していない児童であっても、前回の結果との比較において向上した点を適切に評価することで、児童の学習意欲を向上させることができる。
【0058】
更に、本発明の一様態において、支援サーバ10は、第1の達成度閾値を固有の固定値とせずに、変動値として設定してもよい。例えば、第1の達成度閾値は予め設定せずに、全児童の達成度一覧情報が取得された後、第2の比較情報を参照することで、第1の達成度閾値が定められてもよい。第2の比較情報とは、例えば、当該単元または期間等における全児童の平均的な学習達成度など、複数の学習者間の達成度を比較することで得られる情報である。若しくは、第1の達成度閾値を予め設定した上で、第2の比較情報を参照して、第1の達成度閾値を補正してもよい。
【0059】
図17は、教師用PC40の表示部42に表示される習熟度一覧画面117を示す図である。この習熟一覧画面117は、支援サーバ10から支援情報として、習熟度一覧情報を取得したときに表示される画面である。
習熟一覧画面117は、番号、児童名、及び単元で構成される。番号は、児童DBに記憶されているクラス内整理番号を示す。児童名は、児童DBに記憶されている児童名を示す。単元は、単元と小単元を示している。例えば、1−1は、単元1の小単元1を示している。また、マルは81点以上99点以下、三角は41点以上80点以下、バツは40点以下を示している。
【0060】
この習熟一覧画面117によれば、まず番号が4の児童が全体的に苦手としていることが分かり、さらに単元2の小単元3がクラス全体で苦手とする児童が多いことが分かる。すなわち、苦手な個人とクラスで苦手な単元を特定することができるので、より適切な教師による指導を支援することができる。
【0061】
図18は、一覧生成部12及び支援情報提供部15により行われる習熟度一覧提供処理の一例を示すフローチャートである。この処理では、教師用PC40から、ドリルIDと教師IDが送信される。
一覧生成部12は、習熟一覧画面117で表示するドリルのドリルIDを取得し(ステップS901)、単元DBからドリルIDに対応する単元IDを取得し(ステップS902)、一覧生成部12は、小単元DBから単元IDに対応する問題IDをリスト化する(ステップS903)。
【0062】
次いで、一覧生成部12は、教師IDを取得し(ステップS904)、教師DBからクラスIDを取得し、クラスIDに対応する児童IDを児童DBから取得し、児童IDをリスト化する(ステップS905)。
一覧生成部12は、児童IDで特定される学習履歴DBから問題IDに対応する正誤結果を取得して点数を算出する(ステップS906)。次いで、一覧生成部12は、クラスに属する全児童に対して点数を算出したか否か判定する(ステップS907)。
【0063】
全児童に対して点数を算出した場合には(ステップS907;YES)、一覧生成部12は、習熟度一覧情報を教師用PC40に提供して(ステップS908)、本処理を終了する。一方、全児童に対して点数を算出していない場合には(ステップS907;NO)、一覧生成部12は、リストに示される次の児童IDをセットして(ステップS909)、ステップS906に戻る。
【0064】
更に、本発明の一様態において、支援サーバ10は、習熟度一覧情報を参照して、学習の習熟度が設定された習熟度閾値を下回る児童に対して、当該単元についての習熟が十分でない旨などの通知を配信する。更に、支援サーバ10は、達成度一覧情報を参照して、学習の習熟度が設定された習熟度閾値を下回る児童の内、学習の達成度が設定された第2の達成度閾値を上回る児童と、下回る児童とに、それぞれ異なる内容の通知を配信する。例えば、設定された習熟度閾値が70%で、且つ第2の達成度閾値が70%である場合、配信が行われる所定の時点または期間において、学習の習熟度が60%であって学習の達成度が60%であった児童Aと、学習の習熟度が60%であって学習の達成度が80%であった児童Bと、学習の習熟度が80%であって学習の達成度が60%である児童Cとが存在する場合、学習の習熟度が習熟度閾値を下回る児童Aおよび児童Bに対して、当該単元についての習熟度が十分でない旨の通知を配信する。またその場合において、学習の達成度が第2の達成度閾値を下回る児童Aには、
図22に記載するように、学習が遅延している旨を含む通知を配信し、学習の達成度が第2の達成度閾値を上回っているにも関わらず習熟度が習熟度敷地を下回っている児童Bに対しては、
図23に記載するように、期待される学習効果が得られていない旨および指導者への相談を推奨する旨を含む通知を配信する。
【0065】
また、通知されるメッセージの内容以外の部分について変更してもよい。例えば、配信先を変更してもよく、前記児童Aの場合は本人のみへの通知とし、前記児童Bの場合は本人に加え保護者または指導者への通知を併行して行うなどの差異を設けることができる。特に、学習の達成度が第2の達成度閾値を上回っているにも関わらず習熟度が習熟度敷地を下回っている前記児童Bの場合、自助努力だけでは課題の解決が難しく、保護者や指導者など本人以外の第三者による助言やサポートが必要である可能性が高いため、児童への通知と併行して、保護者や指導者など本人以外の第三者に対して当該児童をサポートすべき旨の通知が配信されるとより効果的である。
【0066】
配信が行われるタイミングは、前記第1の達成度閾値による通知の配信を行う場合と同様にして適宜設定することが可能であるため、以下詳細な説明は割愛する。さらに、第2の達成度閾値は前記第1の達成度閾値と同様に設定できるため、以下詳細な説明は省略する。
【0067】
尚、第1の達成度閾値の場合と同様に、習熟度閾値についても、設定された値自体を厳密な基準として通知の有無を判断せずに、設定した値を一程度下回るか上回るかという差分情報を参照した上での習熟度閾値として利用されてもよい。また、習熟度閾値を下回る児童Aに対して当該単元についての習熟が十分ではない旨の通知が配信される場合において、習熟度閾値を越える児童Bに対しては、十分に習熟できている旨を通知しても良い。習熟度閾値は、予め固有の閾値を全児童に対して等しく設定してもよいし、個別の児童毎に異なる閾値を適宜設定してもよい。
【0068】
更に、本発明の一様態において、支援サーバ10は、習熟度閾値を固有の固定値とせずに、変動値として設定してもよい。例えば、習熟度閾値は予め設定せずに、全児童の習熟度一覧情報が取得された後、第2の比較情報を参照することで、習熟度閾値が定められてもよい。第2の比較情報とは、例えば、当該単元または期間等における全児童の平均的な習熟度など、複数の学習者間の習熟度を比較することで得られる情報である。若しくは、習熟度閾値を予め設定した上で、第2の比較情報を参照して、習熟度閾値を補正してもよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態では、児童用タブレット20は、当該児童用タブレット20により学習を行う学習計画が入力され、学習計画に対する実績を取得し、入力された前記学習計画の達成度を示す達成度情報を生成し、生成された達成度情報(
図11の達成度確認画面)を表示する。
また、支援サーバ10は、複数の児童用タブレット20から、学習計画及び実績を取得し、取得された学習計画及び実績から、各々の児童用タブレット20における学習計画の達成度の一覧を示す達成度一覧情報を生成し、生成された達成度一覧情報を教師用PC40に提供し、教師用PC40は、達成度一覧情報(
図15の達成度一覧画面)を表示する。これにより、教師は、オンライン接続された際に取得される学習実績をもとにした各児童の達成度一覧情報をもとに家庭における学習状況を把握できる。
更に支援サーバー10は、達成度一覧情報をもとに、学習が遅延している各児童や、当該単元について十分に習熟していない各児童に対して、各々の学習計画に対する学習の達成度を考慮して適切な助言を自動的に通知することができる。
【0070】
このように、学習支援システム1は、児童用タブレット20により、児童に内発的刺激や達成感を与え、教師用PC40に各々の児童の各種情報の一覧を表示することで、教師による児童のサポートを促す結果、児童へ外発的刺激を与えることができる。
具体的には、学習支援システム1において、児童が児童用タブレット20に自ら学習計画を入力し、その学習計画を達成し、教師用PC40に表示された各種情報を確認した教師から賞賛や励ましなどが与えられることで、再び学習計画を達成する意欲が高まることとなる。こうして学習計画を繰り返し達成することで、非認知能力の1つである自制心を向上させることができる。また、保護者用PC30に、支援情報として達成度情報(
図11の達成度確認画面)を表示することで、保護者から賞賛や励ましなどを児童に与えることもできるので、保護者によっても児童へ外発的刺激を与えることができる。
【0071】
こうして児童たちが非認知能力を向上させることで、学力の向上が図られ、これにより児童が大人になったときの所得の向上が見込まれることにより、社会保障費用の削減や税収の増加などを期待できる。
また、ある地域の児童の学力の向上により、地域の文教都市化が進み、犯罪率が減少することで、犯罪対策費用が軽減され、また子育て人口の増加による少子化対策などにも効果がある。
【0072】
なお、上述した学習支援システム1、児童用タブレット20、支援サーバ10、及び教師用PC40が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した学習支援システム1、児童用タブレット20、支援サーバ10、及び教師用PC40が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した学習支援システム1、児童用タブレット20、支援サーバ10、及び教師用PC40が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0073】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に学習支援システム1、児童用タブレット20、支援サーバ10、及び教師用PC40が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0074】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。